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『テーマで探す現代を読み解く良書・話題本』
週刊東洋経済 2006年8月12日・19日合併号 48~49ページ)
Web2.0とインターネットの未来
流行を追いかけずにネットの全体像をつかむ
選者 須磨国際学園研究理事 池田信夫(いけだ・のぶお)
1953年生まれ。1978年東京大学経済学部卒。日本放送協会などを経て、2005年から現職。著書に『情報技術と組織のアーキテクチャ』など。
書店の本棚に並ぶインターネット関連書籍を見ると、不可解なカタカナや略語 だらけの本があふれていて、戸惑う人も多いだろう。
しかし、そのほとんどはマニュアル本かハウツー本で、普通のビジネスマンが こういう流行を追いかける必要はない。大事なことは、現在のインターネットの 全体像を知ることだ。
| ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる | |
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ところが、そういう日本語の本は驚くほど少なく、2006年の現状を伝えるのは、『ウェブ進化論』程度しか見当たらない。だからこそ、これがベストセラーになったのもうなずける。
しかし、この本の現状認識には疑問も残る。特に、そのキーワードである「Web2・0」という概念は、その定義がよくわからない。現象的には、確かに、「ブログ」(日記風ホームページ)や「ウィキペディア」(読者が編集する百科事典)などの新しいメディアが急速に成長しているが、それは梅田氏の言うような「革命」ではなく、インターネットの誕生以来、変わらない理念が具体化した「進化」と考えたほうがよいのではないか。
その理念とは、「ユーザーがネットワークをコントロールする」という設計思想である。これまで、大部分のユーザーがダイヤルアップで使っている状態では、この理念は実現できなかった。ブロードバンドが常時接続・定額料金で自由に使えるようになったため、ブログや「SNS」(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のようにユーザーが情報を発信するメディアが急速に普及し、ウェブを「民主化」したわけだ。
| ザ・サーチ グーグルが世界を変えた | |
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リンクで全世界のサイトが分散データベースに
Web2・0の中心的存在が、世界最大の検索エンジン、グーグルである。『ザ・サーチ』は、検索エンジンの歴史とグーグルのサクセス・ストーリーを中心にして、検索の仕組みを解説している。グーグルが従来の検索エンジンと違うのは、ウェブサイトの重要性を「ハイパーリンク」(サイトを引用する仕組み)の数で決めたことだ。リンクによって、全世界のウェブサイトが相互に参照する分散データベースになったのである。
| 新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く | |
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リンク数の分布を調べると、リンクの非常に多い少数の「ハブ」(グーグル、ヤフーなど)と、リンクの少ない大多数のサイトに分かれる「べき分布」になる。横軸にリンク数のランキング、縦軸にリンクの数をとって描くと、左上(ヘッド)のハブの部分が高く、右下(テール)のニッチの部分が長い「ロングテール」と呼ばれる双曲線(の正の部分)になる。
| The Long Tail: Why the Future of Business is Selling Less of More | |
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ロングテールは、社会現象によく見られる。たとえばアマゾン・ドットコムの扱う書籍は300万点以上になるが、その売り上げは少数のベストセラーと大多数の売れない本に分かれる。通常の書店の売り場に置ける本は数万点が限界だから、テールの大部分は切れている。
しかし、アマゾンには売り場面積の物理的限界はないから、テールの部分は限りなく長い。その結果、アマゾンの売り上げの半分は、ランキングで4万位以下の本が占めているという。
テールの部分こそ、従来は存在しなかった新しい市場である。その新しい市場を狙うために、消費者がこれまでに購入した商品の履歴を基にして新たな商品を推薦していくのが、アマゾンの「おすすめ」というわけだ。
また、グーグルは、検索で入力されたキーワードに関係のある広告を画面に出す。たとえば「ビジネス雑誌」と入力すると、検索結果の右側に『週刊東洋経済』の広告が出る。この広告料金は、広告代理店を通さないで、オークションで決められるものだ。
従来のマーケティングでは、ヘッドの「売れ筋」を狙って大量に宣伝する手法がとられてきたが、このような手法では、広告主にとって無駄が多いばかりでなく、消費者も不要な情報を見せられる。それよりも、アマゾンやグーグルのように、必要な情報を必要な消費者に提供するシステムのほうが効率が高く、消費者にも役立つ。
ユーザーが送る動画を見せるサイトに注目集まる
「ヘッド」と「テール」の分化する現象は、これまでも「ネットワーク外部性」や「ひとり勝ち」として知られていたが、Web2・0ではテールが伸び、ヘッドが低くなって市場が多様化する現象が注目されている。
この「べき分布」は、株価や為替レートにも広く見られる。従来の経済学では、こうした値動きをランダムウォークと考えることが多かった。だが、『ネット株の心理学』でも詳細に解説されているように、最近の「行動経済学」では、市場参加者の心理の動きに依存する一定の法則性があることに注目している。
| ネット株の心理学 | |
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次世代のインターネットの主役は、ブロードバンドを利用したビデオ配信だと思われてきたが(『融合するネットワーク』)、今のところ、これは大きなビジネスになっていない。著作権法などの制度的な障害もあるが、最大の問題は、在来のマスメディアをモデルにしてビデオ配信を考えていることではないだろうか。
| 融合するネットワーク | |
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ユーザーから送られた動画ファイルを見せる「ユーチューブ(Youtube)」というサイトが注目を集めているのは、それがWeb2・0的なブロードバンドのモデルを示しているように見えるからだ。
| Web2.0 BOOK | |
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そのほかにも、Web2・0に関する事項をカタログ的に整理したものとしては、『Web2・0 Book』、ネットワークの興味ある特徴を分析した『スモールワールド・ネットワーク』、ユーザー中心の技術革新については『民主化するイノベーションの時代』などがある。



翻訳が悪すぎ
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