メイン > 日経・日経産業新聞書評(2005年) > 2005年6月12日~6月17日

敵対的買収
4198620121堀井 愼一

徳間書店 2005-05-22
売り上げランキング : 26,695

おすすめ平均 star
star初心者向けにやさしく書かれた本。
star敵対的買収の全体を俯瞰したいならこの本!
starM&A、そして株式会社の本質がようやく理解できました!

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四カ月前、ライブドアによるニッポン放送株の大量取得、フジテレビを視野に入れた敵対的買収の動きが連日のように報道された。ポイズンピル(毒薬条項)、ホワイトナイト(白馬の騎士)といった言葉が飛び交い、株式や企業買収に縁のなかった人も「ライブドア対フジテレビ」の行方に引き込まれた。

このM&A(企業の合併・買収)の本質に迫るのが「敵対的買収」(掘井慎一著、徳間書店)だ。著者は元大和証券副社長でベンチャーキャピタルを十年経営し、多くの企業買収を手がけてきた。「日本の状況は二十年前のアメリカ」、「外国企業のTOBに応じたトヨタ、伊藤忠」などデータや事実を掘り起こしつつ、企業買収やその防衛策、M&Aについて具体的に分析している。

著者は「二〇〇六年の商法改正で日本は本格的なM&A時代が来る」と警告した上で、「M&Aを恐れてはいけない。物事には必ず光と陰があるが、陰の部分だけを見ていては本質は見えない。企業価値を高めようとするM&Aを積極的に取り込んでいくべきだ」と主張する。「経営者はM&Aに備えて何をなすべきか」など興味深い経営論も織り交ぜられており、必読の一冊である。

■2005/06/17, 日経産業新聞, 22ページ

法務担当者のための証券取引法
478571218X松井 秀樹

商事法務 2005-03
売り上げランキング : 20,162


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大買収時代に入り、企業ニュースを読み解くには証券取引法の知識が欠かせなくなってきた。この法律は証券取引にかかわるすべての当事者を対象にした規制。株式公開買い付け(TOB)に関する情報開示義務や大量保有報告制度(五%ルール)は、有価証券報告書などによる企業内容の開示と並んで証取法の情報開示規制の骨格をなす。本書はインサイダー取引規制や課徴金制度などを含め、複雑で一般にはなじみにくい証取法をわかりやすく解説する。

投資者保護という証取法の精神から説き起こし、そのためにこの法律がどんな構造になっているか最初に全体像を説明。記述も平易で、「法務担当者のための」とあるが一般のビジネスマンも読みやすい内容だ。

■2005/06/17, 日経産業新聞, 22ページ

会社のストレスに負けない本
4479791213渡部 卓

大和書房 2005-05
売り上げランキング : 1,041

おすすめ平均 star
star経営層及び管理職層にこそ読んで貰いたい
star経営者に読ませたい本
starビジネスパーソンのビジネスパーソンによるビジネスパーソンのためのquot;ストレス対処本”

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社会経済生産性本部の調査によると心の病は増加傾向を示し、従業員三千人以上の企業の九五・五%に一カ月以上の休職者がいるという。競争の激化、将来への不安など企業人のストレスは重くなっている。心の問題を個人の問題ととらえがちだった日本企業も正面から向き合う時が来た。

著者はメンタルヘルス業務を請け負うベンチャー企業の経営者。心の問題は生産性の低下だけでなく様々な不祥事の温床にもなると説く。最新のストレス事情を踏まえ、うまくストレスとつき合う受け身技を伝授する。また先進国の米国や優良企業がストレスにどう対処して生産性を高めているかを解説する。メンタルタフネスを身につけたい人だけでなく、経営者にも有効な一冊だ。

■2005/06/17, 日経産業新聞, 22ページ

靖国問題
4480062327高橋 哲哉

筑摩書房 2005-04
売り上げランキング : 88

おすすめ平均 star
star「靖国問題」の現在
star国家の神さまとかけてトイレの神さまと解く その心は
star思考の灯になろうとする氏の姿勢には感服する

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小泉首相の参拝に対して中国・韓国が反発するなど、靖国神社をめぐる問題が国内外で論議を呼んでいる。そんな中、哲学者の高橋哲哉・東大教授が「靖国」を論理的に読み解くことを主眼に書き下ろした『靖国問題』(ちくま新書、七二〇円)の売れ行きが好調だ。四月上旬の刊行から二カ月で九刷、発行部数は二十一万部を超えている。

靖国神社をめぐっては様々な論点があるが、本書でまず取り上げているのは「感情」の問題だ。靖国問題の根底にあるのは「戦死した家族が靖国神社に合祀されるのを喜び肯定する遺族感情と、それを悲しみ拒否する遺族感情とのあいだの深刻な断絶」であると指摘。断絶の背景には、靖国神社が遺族の悲しみや痛みを共有するためでなく、戦死を顕彰する「国家の祭祀」のために存在していることがあると見る。

「歴史認識」の問題では、東京裁判の時に有罪判決を受けたA級戦犯の合祀を理由に、中国政府が首相参拝を批判しているのは、むしろ靖国問題を「A級戦犯合祀」に限定し、中国側が一種の政治決着を図ろうとしているとの見方を示す。実際、中曽根内閣の時に、A級戦犯を靖国神社から他に移す「分祀」が検討された例が紹介されている。その企ては靖国神社と一部の遺族の拒否で実現しなかった。

三十―四十代の男性を中心に幅広い層の読者を獲得している。担当編集者の伊藤大五郎氏は「靖国問題を考える上で押さえるべき論点が整理されている」と話す。靖国神社に代わる「国立追悼施設」に否定的な見解を示すといった著者の主張には、必ずしも賛成する読者ばかりではないだろう。ただ靖国問題に興味を持つ人にとって、歴史的・網羅的に考察した本書は便利な参考書になっているようだ。

靖国神社がどのようなものであるのかを知らなければ、首相の参拝がなぜ問題になるのかは理解できない。参拝がなぜ問題になるのかを理解できなければ、それに対する自分の意見を持つこともできない。

■2005/06/16, 日本経済新聞 夕刊, 13ページ

ソウルソナタ―わたしのカレは韓国人!
4087813266金 敬哲 柴沼 恵えん

集英社 2005-06
売り上げランキング : 75,804


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韓国・ソウルで韓国人男性と結婚した日本人女性五十人から、恋愛や結婚生活の実態を聞き取り調査した。結婚して十年たっても愛の言葉を忘れない夫に驚き、日本よりはるかに強い家族や親せきのきずなに戸惑う日々。日韓の微妙なズレが生み出す恋人、夫婦のエピソードがユニークな比較文化論として興味深い。

■2005/06/16, 日本経済新聞 夕刊, 13ページ

わが子が成功するお金教育-よい小遣い・悪い小遣い
4062723131榊原 節子

講談社 2005-04-21
売り上げランキング : 5,544

おすすめ平均 star
star気楽にすぐ読めます。

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「お金」を題材に家庭で何が教えられるか、具体的なノウハウを披露する。かつての畑仕事や魚釣りと同じように、生きるためには「お金教育」が欠かせない、と主張。「小遣いを貯めてハワイのマラソン大会に出よう」――そんな目標を子どもが持つこと、親がそれを応援することの大切さを説いている。

■2005/06/16, 日本経済新聞 夕刊, 13ページ

良寛への道―ことばに生きる
4860940059岡田 勝明

灯影舎 2005-04
売り上げランキング : 1,566,365


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良寛といえば、子どもたちに囲まれ、楽しそうに遊ぶ姿を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。寺も持たず弟子もなく、自らを語ろうとしなかった良寛についての記録はほとんどないが、各地で伝承されたものは多い。

本書は、元教師でNHK教育テレビ・ラジオの講師などをつとめた著者が、生い立ちや作品、彼を支えた人々との交流などを紹介しながら、人間・良寛を描く。作品をしっかり読みこなし、和歌や漢詩を筆写し、出身地や修行の寺を訪ね歩くことで、「良寛の求めたもの、何のために精進したのか」を探ってゆく。七十歳を過ぎて、良寛の研究を再開した著者の、不明だからこそ知りたいという、熱い思いが伝わってくる。

■2005/06/16, 日本経済新聞 夕刊, 15ページ

日本の不平等
4532132959大竹 文雄

日本経済新聞社 2005-05-24
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日本の所得格差は本当に拡がっているのか――。答えはそう簡単ではない。所得の定義や観察期間、対象範囲により得られる結論が異なるからである。本書の第1の特徴は、徹底した実証主義に則り、先入観にとらわれることなく、事実全てをデータから解き明かそうとしている点にある。

著者は国内外の先行研究を参照しながら、政府統計のミクロデータを最大限駆使し、それでも不十分な情報は自ら設計した調査で補う。

その結果、八〇年代半ば以降の所得格差拡大は、年齢内で格差の大きい高齢者比率の上昇と単身・二人世帯の増加を反映したものであり、決して「日本の格差社会への移行を示すものではない」との結論を導き出す。その主張は最近目立つ「社会不平等化論」とは相容れないが、地道な研究の蓄積に基づく論だけに強い説得力を持つ。

それでは、なぜ人々は格差の拡大を実感しているのか。その原因をゼロ・インフレ下の人々の心理に求めたところに第2の特徴がある。

従来の経済学では人々の意識や効用は与件とされ、経済事象によってどのような影響を受けるか、十分検証されてこなかった。それに対し、著者は最近の行動経済学の考え方や手法を援用。平均賃上げ率ゼロの経済では、賃上げ経験者と同数の賃下げ経験者がいて、その分、より多くの人に格差の拡がりを実感させる仕組みになっていることを示した。さらに、別の要因として、九〇年代後半以降、消費格差の拡大が五十歳未満の層で観察されるようになった事実を指摘している。

では、具体的に誰が格差を感じ、再分配政策やワークシェアリング、成果主義の導入などを求めているのか。その背景にはどういう事情があるのか。次々連鎖して浮かび上がってくる疑問に対し丁寧な分析が加えられており、そこからは問題の核心に迫りたいという著者の強い意気込みが感じられる。

記述面でも難しい数式を補論に回すなど、初学者にも理解できるよう、細かい工夫が凝らされている。類書が多いなか、本書はこの分野の決定版ともいうべき内容の書籍であり、日本が抱える所得格差問題を沈着冷静に考えてみたいと思う一般読者にも是非熟読していただきたい。

■2005/06/12, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

モテたい脳、モテない脳
4101184518沢口 俊之 阿川 佐和子

新潮社 2005-05
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starわかりやすい脳の話

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『モテたい脳、モテない脳』澤口俊之、阿川佐和子著 北大教授の脳科学者とエッセイストが脳の不思議な働きをめぐり対談した。脳の大きさとIQ(知能指数)の関係や記憶力を高める方法など話題は多岐にわたる。論理的になりやすい男性に対し、女性の脳は感情的に情報処理することが多いなど脳の働きの違いについての知見を随所で披露する。

■2005/06/12, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

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