メイン > 日経・日経産業新聞書評(2005年) > 2005年4月3日~4月24日

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た
4822244466村上 宣寛

日経BP社 2005-03-30
売り上げランキング : 243

おすすめ平均
star騙されないように
star十分に読ませる内容
star作者の人間性って・・・

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昨年、血液型と性格を関連づける複数のテレビ番組に対して、「科学的でない」などの苦情が寄せられた。確かにこれだけ大勢の人間を四タイプに分類すること自体に無理があるだろう。もっとも、それは「血液型占い」だけに限らないようだ。心理学や性格測定に関するプログラム開発を手がける著者は、心理(性格)テストの「大部分は信用できない」と断言する。

例えば、インクのシミで心を占う「ロールシャッハ・テスト」。二十年ほど前、複数の臨床心理学者が、テストの結果だけを見て被験者の性格を診断するシンポジウムが開かれた。著者によれば、結果はいずれも「見当外れ」。その結果、同様のシンポは姿を消してしまったという。「正常者と精神障害者を弁別できない」として、海外ではこの検査法に対する批判の声が高まっているとも指摘する。

性格テストの定番とされる「YGテスト(矢田部ギルフォード性格検査)」や、就職試験にしばしば使われる「内田クレペリン検査」も、本書は「信頼性は低い」と見る。その背景には不十分な基礎データの収集・解析や、海外から導入する際の解釈の誤りがあると分析する。

大学の教え子とのやりとりなど、時折ユーモアを交えながらも、心理テストの「根拠のなさ」を批判する舌鋒(ぜっぽう)は鋭い。きわめて論争的な一冊であり、心理テストを推進している側からの反論も聞いてみたい。

■2005/04/24, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

戦争とゲーム理論の戦略思考
4534038798竹内 靖雄

日本実業出版社 2005-02-24
売り上げランキング : 5,733

おすすめ平均
starちょっと期待と違いました。
star戦争を数学で語れるか?

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経済思想の大家が、戦略的思考について考察した異色の書である。著者によると、フォン・ノイマン以後のゲーム理論は、数学的なスタイルをとった戦略論の現代版であるという。

そうした視点に立って本書は、孫子、韓非子から君主論、ゲーム理論に至るまで数多くの戦略書や理論を俎上にあげる。数多くの事例研究を通して、根拠のない思いこみを定石や鉄則のように錯覚してビジネスに取り込むのは愚か、と説いている。

■2005/04/24, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

銀座激変商売の桧舞台で、いま何が起きているのか!
4478520038丸木 伊参

ダイヤモンド社 2004-10-08
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おすすめ平均
star「銀座空洞化」はあるか?

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東京・銀座に林立するブランド店、ディスカウント店、飲食店など新興、老舗合わせて約五十店の営業形態、販売戦略、歴史などを紹介する。銀座は老舗が幅を利かす商業地と思われがちだが、本書は新興勢力が商業地図を塗り替えつつあり、小売店が長い歴史を頼りにするだけでは生き残りが難しいと指摘する。顧客の多い消費地ですら商売の仕方を見直さざるを得ない実態を伝え、全国の商業関係者に意識改革を求めている。

■2005/04/17, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

強い会社の成長戦略
4532312035日本経済新聞社

日本経済新聞社 2005-02-19
売り上げランキング : 61,081


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昨年10月に東京で開催された第6回世界経営者会議の内容を収めた。独シーメンス、米3M、京セラ、ソニーなど世界の名だたる企業のトップが自分の言葉で自社の強みを率直に語る。

意外なことに多くの経営者が市場中心主義や株主中心主義ではなく、従業員との価値の共有や雇用の拡大、企業の社会的責任などをテーマに取り上げている。講演者ごとに割かれた質疑応答のページからは、周到に用意された講演にはない、経営者の本音が伝わり興味深い。

■2005/04/17, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

広報の達人になる法 戦略的PR活動のための88の鉄則
447842053X山見 博康

ダイヤモンド社 2005-03-11
売り上げランキング : 20,351

おすすめ平均
star広報マンだけでなく社長さんに読んで欲しい。
star古今東西の名言がちりばめられて

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不祥事が多発、企業の社会的責任への関心が高まるなか、広報体制の強化が求められている。神戸製鋼所などで20年以上、広報業務に携わってきた著者が「達人」になるためのノウハウをまとめた。「社長の分身になろう」「本質は商品価値を知らせること」など基本的考えから記者との接し方まで具体的に説く。

■2005/04/14, 日本経済新聞 夕刊, 13ページ

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在
4122045053玄田 有史

中央公論新社 2005-03
売り上げランキング : 5,628


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中高年に比べると見過ごされてきた若年層の失業問題。経済学者の著者は、若者の就業意識の低下ではなく、中高年の雇用既得権を優先する社会構造に問題の本質がある、と看破する。信頼できる友人を持ち、「自分で自分のボスになる」ことをすすめる著者の助言は、世代を超えて胸に響く。

■2005/04/10, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

CSR経営モラル・キャピタリズム―グローバル時代の資本主義のあり方
482011803Xスティーブン・B.ヤング 経済人コー円卓会議日本委員会 原 不二子

生産性出版 2005-01
売り上げランキング : 62,883


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最近、社会的信用を維持するためにCSR(企業の社会的責任)活動を専門に担当する部署を設ける企業が増えている。企業は従業員や株主はもちろん、取引先や地域社会に対しても社会的に責任ある行動を取らなければならない。そうしたCSRの根幹に流れる思想を本書は説く。

著者は、日米欧財界人の議論の場である「経済人コー円卓会議」のグローバル・エグゼクティブ・ディレクター。

宗教、古代哲学、倫理学、産業論など幅広い分野の学問を織り交ぜながら、企業にとって長期的に最適な行動様式をとるために必要な条件として「道義的資本主義(モラル・キャピタリズム)」があり、それこそ今日話題のCSRに則した経営の前提条件になっている、と述べている。

そのうえで著者は、「企業は利害関係者の尊厳と利害を最大限尊重し、経営者が積極的にリーダーシップを発揮して道義的な企業活動を進めるべきだ」という、九四年に同会議が採択した「企業の行動指針」を着実に実行するべきだと企業経営者に訴える。

論理展開がユニークな半面、CSRの実践面にはほとんど触れていない。日本語訳がこなれていないせいか、倫理学の教科書をよんだような印象を与える部分も少なくない。それでも、CSRが資本主義にとって長年にわたって重要な課題であったことはよく理解できる。

■2005/04/10, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

公証人が書いた老後の安心設計
4532351308清水 勇男

日本経済新聞社 2005-01
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star老後の心配解消

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残りの人生をどう生き、どんな最期を迎えるか。残された家族が困らないようにするには、どうしたらいいのか。そんなとき、役に立つのが公証人。財産の相続などで相談に乗ってくれる。

本書は安心して老後を迎えるために指針となる一冊。財産の贈与から遺言づくりまで、わかりやすく解説している。検察官としてロッキード事件などを手がけ、公証人に転じた著者は自身の生活実感をまじえて書いており、説得力がある。

■2005/04/10, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

上司殿!それは、パワハラです
4532311993岡田 康子

日本経済新聞社 2005-03
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パワハラ(パワー・ハラスメント)という上司が部下に行う嫌がらせやいじめは、なぜ起きるのか――。この問題の第一人者が様々なケースを挙げながら、パワハラの起きやすい職場環境や、パワハラと正当な指導法の違いを具体的に解説する。部下との適切な接し方にも触れている。

■2005/04/10, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

期待と不確実性の経済学―デフレ経済のミクロ実証分析
4532132908清水谷 諭

日本経済新聞社 2005-02
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star期待に働きかける政策の重要性

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日本経済はようやく「失われた10年」という長いトンネルの出口にさしかかった。それに呼応するかのように経済低迷をもたらした要因を整理して、長期不況のメカニズムを解明しようとする書物が増えてきている。本書もその流れを汲むものであり、二つの視点が一貫して根底に流れている。

第1の視点は、経済主体が将来に目を向けながら行動するという近年のマクロ経済学に立脚して家計と企業の行動を実証的に分析している点である。その観点から九〇年代における地域振興券の導入、特別減税や法人税減税の消費・設備投資誘発効果が定量的に評価されている。

第2の視点は、個々の家計や企業を単位とするミクロデータを用いた実証分析に基づいて議論が進められている点である。マクロデータには集計というフィルターがかかることを考えると、政策変更をはじめとする経済環境の変化が人々の行動に与える影響を検証するにはミクロデータの利用は不可欠である。

このような統一的な視点に留意しながら本書を読み進めていくと「失われた10年」をもたらした要因が次第に明らかになってくる。それは人々の将来に対する期待である。先行きの予想に関するミクロデータに基づいて、90年代後半には人々が悲観的な予想を抱いていたこと、それが家計消費や設備投資の萎縮につながったことが示される。

「失われた10年」の要因を巡るこれまでの議論は、需要不足、潜在成長力の低下、金融システムの機能不全に焦点が当てられていたが、将来に対する期待の低下という新たな要因について実証的に分析した点は本書の大きな貢献である。惜しむらくは、期待が他の要因に比べどれだけ重要だったのか、定量的な比較分析が展開されていない点である。

本書は、悲観的な期待を反転させる政策が真に求められていると締めくくられている。そのためにはマクロ経済政策と所得再分配政策の相互補完性を意識した総合的な政策立案が不可欠であり、その効果を評価するためにもミクロデータに立脚した実証分析の蓄積が急務であると著者は警鐘を鳴らしている。内閣府で政策立案に携わっていた著者の言だけに極めて説得的である。

■2005/04/03, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

金融マーケティング戦略
4478502501岸本 義之

ダイヤモンド社 2005-02-17
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長年経営コンサルタントとして活躍してきた著者が銀行のマーケティング面の課題を解説する。「護送船団方式」と呼ばれる金融行政のもとで資金の貸し手と借り手を結ぶ資金仲介業にとどまってきた日本の銀行が金融サービス業に脱皮するために何が有効なのか、そのヒントを本書は数多く示唆する。

多くの項目が見開き、ないし、4ページにまとめられ、ビジネススクールなどで学ぶ学生のテキストとしても使いやすい。

■2005/04/03, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで
4396110022浜野 保樹

祥伝社 2005-02
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star歴史を見ていないですね
star誇れる日本文化
starデータベース的な内容

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メディア論やコンテンツ論を専門にする研究者が、海外で高く評価される日本文化の事例をまとめた。映画やアニメ、美術、料理、服飾など、今や文化において日本は「模倣する国」から「模倣される国」へと変わりつつある。「今後、さらに進んで『文化大国』の地位を確立するためには何が必要なのか」を考え、本書を著した。

ハリウッドにおける黒沢明作品の模倣や、フランスや韓国における日本の漫画・アニメの人気ぶりは有名だ。他にも漫画家の鳥山明の非常に高い知名度や日本料理がフランス料理に与えた影響、欧米のファッション界での和様式の流行など、世界で注目される日本文化の例を数多く挙げる。

こうした日本文化の本質は、衣食住などにおける伝統的な美意識、多様な価値観を認める寛容な世界観などにあると見る。「世界的にも希少な考え方であることを再確認してほしい」と語る。

「今の日本文化を明治期の浮世絵にしてはならない」というのが持論。明治維新で一度は捨て去った浮世絵の価値を見直すには、欧州での評価が必要だった。「海外での評価でしか自国文化を認めることができないとすれば情けない。自前の評価基準を持つことが最終的な目標」と考える。だが「すでに国民の価値観は西洋化されており、自前の基準を持つことは非常に困難」とも考える。

しかし、手段がないわけではない。「無理にでも自国の伝統文化に接する機会を持つこと」だ。自身も仕事以外では常に着物を着る。東京・神楽坂近くに住み、花街の情緒を残す通りをよく歩く。

「ドアノブに裾が引っ掛かるような生活で、毎日を嫌でもゆっくりと過ごさねばならない。行動範囲も狭まるが、地域やコミュニティーの大事さが身にしみて分かる」という。

■2005/04/03, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

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