メイン > 日経・日経産業新聞書評(2005年) > 2005年3月6日~3月27日

NPOという生き方
4569640745島田 恒

PHP研究所 2005-02-16
売り上げランキング : 10,382

おすすめ平均
star究極の自己実現の書
starNPOで、もう1つの生き方が可能か?

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日本を変革する新しい勢力として最近脚光を浴びているNPO(非営利組織)。お金ではなく「共感」を至上価値とするこのNPOの意義や役割を身近な事例でわかりやすく解説している。若者や女性だけでなく、「もうひとつの生き方」を模索している中高年のサラリーマンに大いなる刺激を与えてくれる。

■2005/03/27, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

科学経営のための実践的MOT-技術主導型企業からイノベーション主導型企業へ
4822244296ヒューゴ・チルキー 亀岡 秋男

日経BP社 2005-01-27
売り上げランキング : 5,076

おすすめ平均
starMOT本は数あれど・・・

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技術開発を製品の事業化に結び付ける、技術経営(MOT)の基本と方法論について一通り学ぶことができる好著。編者はカール・ツァイス・チューリッヒの最高経営責任者(CEO)などを務めた人物で、ヨーロッパを代表するMOTの権威。豊富なケーススタディーを通してMOTを実際のビジネスに取り入れるうえで重要となる課題や、環境整備について丁寧に解説している。

■2005/03/27, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

嗤う日本の「ナショナリズム」
4140910240北田 暁大

日本放送出版協会 2005-02
売り上げランキング : 1,894

おすすめ平均
star唯「言説空間」史観の限界
starネット的ナショナリズムは
star頭でっかちの功罪

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 『電車男』はインターネットの書き込みがベストセラーに発展した。この話題の恋愛物語などを素材に、「感動はしょせん作りもの」であることを知りながらあえて物語作りに参画し、感動を求めるという皮肉な行動をとる現代人の心理を、社会学者が考察した。

テレビのお笑い番組や広告の宣伝文句などメディア30余年の変遷をたどりながら、人々がマスコミと距離を置き、内輪のつながりを重視するようになった過程を論じる。

■2005/03/27, 日本経済新聞 朝刊, 25ページ

日本語ぽこりぽこり
4093875545アーサー・ビナード

小学館 2005-02-28
売り上げランキング : 7,732

おすすめ平均
star鋭い感性とユーモア
star家族との思い出と対話する著者の筆致が好きです。
star池袋村から世界を茶化す遊詩人

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米国出身の詩人で中原中也賞を受賞した著者が、日常感じた言葉にまつわる疑問や発見をエッセーにつづった。魚や肉を焼く「七厘」が米国に渡り、「hibachi」として浸透している謎解きに挑戦。

芭蕉の句「閑かさや……」が駅のポスターで「how silent!」と訳されているのを見かけ、芭蕉のいう「閑かさ」の実感が出ていないと自前の訳を試みる。言葉の常識に挑戦する手段として「母語の英語だけでなく日本語をも得て、退屈することは皆無」という。

■2005/03/27, 日本経済新聞 朝刊, 25ページ

キャピタル 驚異の資産運用会社
4532351367チャールズ・エリス

日本経済新聞社 2005-02-19
売り上げランキング : 3,138

おすすめ平均
star資産運用会社の成長秘話。
star株主至上主義の今こそ必読
starそうか!!と思いたくなるような話

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「資産運用額の最大化ではなく、お客のためにベストを尽くすこと」を使命とするキャピタル。同社は表向きの華々しさとは無縁だ。一見物静かなため、その実態を知る者は少ないが、米国の投資信託、年金資産運用、国際分散投資の分野で比類なき存在の企業である。本書は、米国で最も優れた資産運用会社、キャピタル・グループの物語である。

同社の強みはどこにあるのか。著者のエリスは、金融関係のコンサルタントとして名高いグリニッジ・アソシェーツの代表を長年務め、資産運用業界の表も裏も見つめてきた。そのエリスが「詳しく知りたい」と思った企業がキャピタルだった。

大恐慌を経験した創業者が何を考え、いかなる信念でこの業界に参入したのかを記した第一章。この章に今日のキャピタルのすべてが凝縮されているといえるかもしれない。もちろん市場の変遷と共にキャピタル自身も変貌を遂げていく。しかし、本書を読む限り現在に至るまで、創業当初の同社の基本理念には何の揺らぎも見られない。

その一つが長期投資である。長期投資こそ個人投資家に役立つと信じ、流行を追わず、割安株の投資に徹してきた。「数年後に現在の株価よりもはるかに高い評価を受けると予想される」株式こそ、キャピタルが定義するところの割安株であり、投資対象だった。そうした株を見つけるためには、高い能力と経験豊かなアナリストが企業を徹底的に分析するだけではなく、得られた情報を共有するための文化と、仕組みが必要となる。

口で言うのは簡単だが、長期投資を実践するのは難しい。市場に安易に追随せず、独自の道を切り開かなければならないからだ。それも冒険的な道ではない。むしろ、「失敗を避ける機能」や、「建設的な『ノー』という意思決定」が経営に備わっていることが求められる。情報共有の文化と仕組みに加え、まさにそうしたものを持っていることがキャピタルの強みだった。

この本は日本の資産運用機関の担当者には是非読んでもらいたい一冊である。もちろん、キャピタルの経営を単純に真似てもだめだ。まず、顧客のための投資とは何なのか、そのヒントを本書から得て欲しい。

■2005/03/20, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

オレ様化する子どもたち
4121501713諏訪 哲二

中央公論新社 2005-03
売り上げランキング : 2,881

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starすごい本です
star教育現場における子どもの問題を検証

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自分を客観視できず、自己中心になりがちな現代の子どもたち。研究会「プロ教師の会」代表で元高校教諭が、そんな「オレ様化」した子どもたちの実態や教育のあり方を論じている。不登校や引きこもり、援助交際など様々な教育問題の背景には、行き過ぎた「個の自由尊重」があると指摘。公教育の使命は、子どもを社会に通用する市民に育てることだと力説する。

■2005/03/20, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press
4478502161ジェラルド・ザルトマン 藤川 佳則 阿久津 聡

ダイヤモンド社 2005-02-10
売り上げランキング : 8,428

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starポストモダンと大脳生理学のコラボレーション
star課題として克服すべき物
starInsightの発見の重要性

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大半の消費財メーカーは、消費者の潜在需要を探るために過去の購買行動にともなう習慣性や意識の調査に膨大な時間と経費をかけているが、ヒット商品に結びつくケースは少ない。むしろ、失敗の山を築いてしまうことのほうが多い。

買い手の意識が作り手とは異なることに、メーカー側も気が付いているものの、それを埋め合わせる分析手法が、なかなか見いだせないでいるのが現状だ。

本書は消費者の購買の意思決定における直感、物語性、記憶、比喩、潜在意識といった部分に焦点をあてている。これまでのような莫大なサンプル数による消費者調査でなく、少数のサンプル(消費者)の無意識の中にある価値観を導き出すような創造性のある調査(質問)が必要であると指摘する。洞察力が求められるのだ。

従来のミクロ経済学の消費者行動理論など科学的なアプローチによるマーケティング論とは一線を画している。著者はハーバード大学経営大学院名誉教授。心理学や脳科学などの分野にも目配りし、消費者行動やマーケティングを学際的にとらえている。

現在、消費者行動に心理学を持ち込むことは大きな流れになっているが、本書も若干、抽象的な解釈に陥りがちな面がある。学術書としての重量感はあるが、実業の世界で活用するには、読み手の力量が問われる。

■2005/03/20, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実
4822243427ASH(ACTION ON SMOKE AND HEALTH) ASH (ACTION ON SMOKE AND HEALTH) 津田 敏秀 切明 義孝

日経BP社 2005-01-20
売り上げランキング : 13,343

おすすめ平均
star知っておくべき。
starもう終わってるネタ。新鮮味なし。
star知らなかった現実を見ました。

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欧米タバコ産業の実態を暴露した衝撃の書。タバコ産業は「タバコに含まれるニコチンには依存性がない」と主張してきた。しかし、業界内部では早くからニコチンの持つ依存性に注目し、逆にそれを武器に消費者に拡販する戦略がとられてきた。

タバコ産業の宣伝や広告の多くが、子供や女性をメーンターゲットに据えていたことなど、関係者の証言やメーカーの内部文書などを通じて驚くべき事実が次々と明かされていく。

■2005/03/20, 日本経済新聞 朝刊, 25ページ

プロ論。
4198619611B-ing編集部

徳間書店 2004-12-19
売り上げランキング : 697

おすすめ平均
star編纂ものは必ずしも面白くないものが多いが、本書は違う
star生の先人の意見はホント、参考になる!
starいつか必ず自分のプロ論を言いたいって思った

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「『これに乗ったらいい場所に連れていってもらえる』というものはそもそもない。大体、それでは人生があまりに情けないでしょう。(略)自力で進むからこそ、達成感は得られるのです」(オリックス会長の宮内義彦氏)

日産自動車のカルロス・ゴーン社長、コピーライターの糸井重里氏、映画監督の北村龍平氏……。様々なジャンルの著名人五十人が仕事について語った『プロ論。』(B―ing編集部編、徳間書店・1,600円)。12月の刊行以来3カ月で10刷、発行部数は15万部に達している。

リクルートの就職誌B―ingの「巻頭インタビュー 21世紀を働く」をまとめたもので、「会社で頭ひとつ出たいとき」「会社を辞めるべきか迷ったとき」など、勤める人の機微を心得た章立てとなっている。例えば、「仕事でヒットを飛ばしたいとき」に登場するイラストレーターの安西水丸氏は「僕の周りには絵のうまい人はたくさんいました。でも、描くことがいちばん好きなのは、文句なしに僕だったと思っています」と、仕事を好きになることの大切さを語っている。

ホテルマンからタレントに転身した石橋貴明氏や、新聞社を辞めて漫画家になった藤子不二雄(A)氏ら、意外な過去を持つ人物の話も興味深い。藤子氏は「もっと面白い仕事をしたいという思いは、きっと仕事に、人生に、大きなプラスをもたらしてくれる」と話す。

読者は若手サラリーマンやフリーターなど20代男性が中心。就職することや働くことの厳しさを感じるようになった彼らは、自分の好きなことをやって成功した人々の体験談に、勇気づけられるのだろう。「いずれの方々も真剣に熱く語りつつ、けっして押しつけがましくない。それも若い読者を引きつけている理由のようだ」と担当編集者の青山恭子氏。

ミリオンセラーとなった村上龍著『13歳のハローワーク』(幻冬舎)同様、「職」の様々な可能性を提示している。終身雇用制が揺らぎ、実力社会へと転換しつつある日本の現在を、敏感に映し出した本である。

■2005/03/17, 日本経済新聞 夕刊, 14ページ

東大で教えた社会人学―人生の設計篇
4163665803草間 俊介 畑村 洋太郎

文芸春秋 2005-01
売り上げランキング : 3,323

おすすめ平均
star自立が大切
star学生は必読
starお金と社会の常識は東大でなく全高校生に教えてほしい

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東大工学部の人気講義をまとめた。学生が卒業後の人生設計に必要な知識を説く。新しい職種への転職は38歳が限界、離婚の労力は結婚の10倍……。ユニークな社会人入門書。

■2005/03/17, 日本経済新聞 夕刊, 14ページ

資本主義vs資本主義―制度・変容・多様性
4894344335R.ボワイエ

藤原書店 2005-01
売り上げランキング : 27,854


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本書は、現代経済学に興味を持つ人たちに(それが肯定的であれ批判的であれ)、新たな視座を与えてくれる。著者には、資本主義は本来多様で、一つの形式に収斂しないという基本認識がある。その多様性は、労働者の技術と錬成のために必要とされる教育や社会的諸関係に強く依存すること、またそうした意識的・無意識的制度構築に際し、後から取り返しの付かない膨大な費用が注ぎ込まれた結果、既得権益が生まれ、資本主義は短期的には改革できないという論旨が展開される。

その一方、長期的に見れば、効用関数・生産関数の特徴をあらわす「深いパラメータ」さえもが、社会的・制度的要因の変化に応じて変動するという。こうした著者の指摘は、近代経済学の限界を的確に言い当てている。

昨今、マクロ経済学の「終着駅」とも言うべき、「実物的景気循環理論」によって九〇年代の日本の長期不況を説明しようという、評者から見ると「知的傲慢」ともいえる動きが隆盛を極めている。そうした中、本書の批判は、現代経済学を見直す上で有力な材料の一つとなろう。

だが、著者の指摘は既に、良心的な新古典派経済学の泰斗(たとえば、ハイエクやアローの著作にはそれが反映されている)によってなされていることにも、注意を喚起しておきたい。つまり著者の主張は、深く近代経済学に取り組んでいるものから見れば、やや外在的で、かつ表面的である。新古典派経済学に比較すれば、筆者の「レギュラシオン理論」はいかにも羅列的である。そもそも「レギュラシオン理論」が具体的に何なのかについて、明確な記述がなされていないのは大きな問題であると言えよう。

しかしこのことは、著者が近代経済学を専門としないがゆえであり、無いものねだりなのかも知れない。新古典派経済学を装うある種の経済学から比べれば、少なくとも随分と誠実な著作になっていることは、評者も認めるところである。分かりにくいところがあるのは確かだが、多くのことを私たちに考えさせてくれる書物である。

■2005/03/13, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

フード・ポリティクス―肥満社会と食品産業
4788509318マリオン・ネスル

新曜社 2005-01
売り上げランキング : 137,044


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ファストフードだけを食べる生活を続けるとどうなるか――こんな実験をした米国の映画監督がいて、彼の行動を追った映画が評判になった。世界一豊かな国である米国はまた、世界一「食」が貧しい国としても知られている。料理と呼べるものは少なく、人々は出来合いの“栄養過多”のフードを口にすることが多いためか、世界一の肥満国でもある。そんな米国の食品産業と政治とのかかわりを記した本だ。

著者はニューヨーク大学の栄養学・食品科学の教授である。食品企業はほかの企業と変わらず利益が第一であるということを原点に書かれている。  第1部「食生活の助言を骨抜きにする」から第5部「テクノフーズの発明」まで五部、16章に分けて政治と食品産業の関係をはじめ、学校教育と食、サプリメント、機能性食品(テクノフーズ)などについて言及している。例えば、米国の食品ガイドができるまでの政治と産業、生産者団体との綱引きの模様にはりつ然とするものがある。

記述はやや硬いが、克明に調べた内容は読み応えがある。原著は2002年に出ているが古さを感じさせない。

食と健康の関係に対する消費者の関心は高い。食事はファストフードですませ、足らざる栄養はサプリメントで補う――こんな“悪夢”のような食生活をなくすのに役立つ書である。

■2005/03/13, 日本経済新聞 朝刊, 24ページ

ガルブレイスわが人生を語る
4532351286J.K.ガルブレイス

日本経済新聞社 2004-12
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本書は連載中から話題を集めた20世紀を代表する経済学者の一人、ガルブレイスの「私の履歴書」を一冊にまとめたものである。ニューディール、戦後復興、ベトナム戦争――。戦前から戦後にかけ、時代を画する多くの出来事に彼は学者としてばかりではなく、ある時はスピーチライターとして、ある時は大使として立ち会ってきた。著者の言葉はそのまま歴史の証言になっている。

■2005/03/13, 日本経済新聞 朝刊, 25ページ

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
4334032915山田 真哉

光文社 2005-02-16
売り上げランキング : 3

おすすめ平均
star経営学の入門書として
starさらりと読んでみよう
star実生活と会計のつながりが分かる会計入門書

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お得意様に他の商品を配達するついでに「さおだけ屋」を営業している金物屋もあるらしい。(中略)仕事の合間にやっているわけだから人件費はさほどかからないし、トラック代、ガソリン代なども本業のものをそのまま流用することができる。つまり、諸経費は限りなくゼロに近いというわけだ。

会計学の考え方を身近な話題から易しく解説する山田真哉著『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書・700円)。刊行2週間余りで10万部を出した。主な読者層は学生やサラリーマン。「光文社新書として歴代トップレベルのペースで売れている」(編集者の柿内芳文氏)という。

たーけやーさおだけー――。昼下がり、住宅街を行くトラック。間延びした声を誰もが耳にしたことがあるはずだ。しかし、実際にさおだけ屋からさおだけを買う人はいるのか。さおだけ屋は商売として成り立つのか。著者はこの“謎”に二つの答えを示す。

まず、さおだけ屋の売り上げは見かけより多いという説。「二本で千円」などと看板を出しつつも、実際は高級品を売ったり、さおだけの土台の修理を請け負ったり。ここから「単価を上げることが業績回復の近道」と解説する。さらに副業が、さおだけ屋である金物屋の実例も挙げる。

こうして、売り上げの増加と費用の削減こそが会計の基本中の基本であることを教える。他にも「ベッドタウンに高級フランス料理店の謎」「在庫だらけの自然食品店」といった例を引き、解説する。いずれも、考えてみれば不思議だな、と思わせる卑近な話である。

著者の山田氏は公認会計士。『女子大生会計士の事件簿』シリーズなどで、会計を易しく解説してきた。「文豪ゲーテが会計を『最高の芸術』と称賛したように、会計の考え方は物事の整理や理解にとても役立つ手段であることを知ってほしい」と話す。会計の本来の魅力が多くの読者を引きつける理由なのだ。

■2005/03/13, 日本経済新聞 朝刊, 25ページ

ベンチャーに生きる―私のチャレンジ半生記
4532311772今野 由梨

日本経済新聞社 2004-12
売り上げランキング : 270,977

おすすめ平均
star著者のエネルギーと心に秘めた悲しみが伝ってくる
starこんな女性ベンチャーがいたんですね

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1969年に電話情報サービス会社を設立した女性起業家の先駆けが、自らの半生を振り返った。周囲の反対を押し切って四年制大学に進学したが、就職活動で失敗。「自分で会社を興そう」と決めた。会社設立後もスポンサー探しなどに苦労する。それを乗り切ることができたのは「諦めない生き方」だったという。

■2005/03/10, 日本経済新聞 夕刊, 13ページ

経済論戦の読み方
406149760X田中 秀臣

講談社 2004-12-18
売り上げランキング : 26,001

おすすめ平均
star辛い辛い。
star経済論戦とは無縁と思っている人にこそ
starかなりの辛口!!

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日本経済の長期停滞について本書の診断と処方はスッキリしている。需要が供給を下回り、継続的な物価下落が引き起こされているのが、根本問題だ。資源配分の効率化を目指す構造改革を、短期の需要対策に割り当てるのは筋違いである。

財政赤字が膨らんだ現状では、金融緩和がデフレ克服の手段となる。が、短期の名目金利はゼロ%まで引き下げられている。袋小路から脱出するには、日銀がインフレ目標を設定し、外債、社債、株式、不動産などにも買いオペの対象を広げる必要がある。

政府が金融資産やお札の保有に課税、国民がカネを使うよう仕向けることも考えるべきだ。「マイナス金利」という一種の財産税である――。

オペ対象の拡大は、米国では主張者が多い。連邦準備理事会の理事経験者は最近も、「手形や短期国債の買いオペが札割れするなら、金を買い入れるくらい考えたらいい。問題は技術論ではなく、デフレ脱却だ」と言っていた。

後者の「マイナス金利」は、終戦直後の預金封鎖の亡霊であるとして家計をかえっておじけづかせ、「預金封鎖」本の人気を高めるだけのような気がするが、どうだろう。ケインズも『一般理論』で、疑義を呈していたはずだ。

それでも、著者が正統的な経済学の分析の枠組みを用いて議論を進めていることは、認めねばなるまい。経済学の基本を勉強し直すうえでも、本書は有益だろう。

■2005/03/06, 日本経済新聞 朝刊, 24ページ

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