メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 > 2006年1月7日~3月25日

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
食品の裏側―みんな大好きな食品添加物安部 司

東洋経済新報社 2005-10
売り上げランキング :

おすすめ平均 star
star食品の裏側
star大切な人に教えてあげたい
star怖い話の先に

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ワタシ、兼業シュフかつTVウォッチャーでもありまして、ゆえに生まれた生活の知恵がひとつ。すなわち「CMで宣伝されてる食い物はできるだけ口に入れない」。宣伝にカネかかってる食品ほどイロイロ混ざってるって傾向に、イヤでも気がついちゃうもんでね。

で、食品表示のチェックとこのルールで危険過ぎない食生活は送れてると思ってたら、この本が登場。「食品添加物について(中略)そこそこの知識のある人でも、思わず驚愕するような内容」が確かに並んでて、悪い冗談が現実になっていると知らされた。産廃手前のクズ肉と白い粉30種でミートボールの出来上がり、とかね。

著者は元食品添加物商社マン。教条的にヒステリックに叫ぶんじゃなく、自らの経験とモノ喰う人びとのひとりとしての感覚を基に淡々と語ってて、それが怖い。

こりゃ売れるはずと調べてみたら、去年の10月に出て現在15万部。そういうベストセラーをTVがロクに取り上げないのも怖い。【林 操 コラムニスト】

■2006/03/25, 週刊ダイヤモンド

ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版
ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2005-09-01
売り上げランキング : 1,200

おすすめ平均 star
star絶対こっち!
starすでに上下巻を読んだけれども大満足
star資料集 さながらの濃厚さです

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

日本語版だけで200万部もハケた大ベストセラーだもの、ココでもとっくに紹介ずみですが、こちらは「ヴィジュアル愛蔵版」だと。

非愛蔵版との最大の差は、物語の鍵になるキリスト教関連の図版やらルーブルその他の舞台の見取り図やらが計140点プラスされてる点。わからないことは調べながら読むっていう趣味も時間もない人向けの、いわば読む無洗米です。

「見ながら読むか、読みながら見るか」の新・角川商法かと思ったら、英語のイラストレーテッド版の単なるヨコタテ物件でしたが。

で、邦訳版オリジナルは上下巻2冊の合計で税抜3600円、コレは1冊にまとまって900円割高。図版や写真にはネットで検索すりゃ出てくるようなのも多いから、既読組の需要は薄いと思うんだけど、去年の秋に出てすでに6刷。

もっとも、引き続き未読で、5月には映画版が公開だから押さえときたいなんて皆様には今月、非ヴィジュアル文庫版(3分冊で税抜計1700円)も出ました。【林 操 コラムニスト】

■2006/03/18, 週刊ダイヤモンド

日本の「戦争力」
日本の「戦争力」小川 和久

アスコム 2005-11-21
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

送金メール騒動でもわかるとおり、地に足の着いた議論なんてのは、国会や新聞・TVに期待する方が間違い。でも、そうタカをくくってられない話もあって、たとえば安全保障はその筆頭格。

この国じゃ安保だ軍事だは、左がケナして右がヨイショ、大多数は避けて通るネタに堕してますが、実は個々人の命から政治経済の安定までがかかった重大問題です。

で、そのテーマの入り口から出口までをQ&Aで説いてくれるのがこの本。売れないのが定説の軍事・安保本としちゃ例外的にハケてて、発売2ヵ月で早7刷だって。

「北朝鮮のミサイルの実態は?」「核ミサイルの可能性はあるのか?」「自衛隊の実力は世界第何位?」「アメリカにとっての日本の重要度とは?」「沖縄の基地問題をどう解決すべきか?」……。

的確な質問にリアルな回答。疑問符の付く問答もあるけれど、それは読む側が非現実になれ親しみ過ぎてるせいかなぁ。『震災時帰宅支援マップ』買うならコッチも。【林 操 コラムニスト】

■2006/03/11, 週刊ダイヤモンド

県庁の星
県庁の星桂 望実

小学館 2005-09
売り上げランキング : 772

おすすめ平均 star
star全体的にイマイチ
star主人公の作りが弱いところがマル。
star娯楽として楽しむ本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

あの「踊る大捜査線」シリーズに続く織田裕二主演のフジテレビ映画にして、今回の共演相手は柴咲コウ。となれば、ヒットして当たり前、コケるほうがニュースになるくらいの勢いです。

原作だってさっそく20万部も出てるっていうから、まずは読んでみたら……ダメだこりゃ。

主人公は、県庁からスーパーに出向した若い役人と店のパートのおばちゃん。それだけ聞いて頭に浮かぶ筋立てが、ほぼそのまま活字になって現れるのも驚きだけれど、もうひとつ、役所や流通業についての蘊蓄もありきたり、かつ小盛りだから、情報エンタテインメントとしても薄い。

帯には「サラリーマンも身につまされる役人意識構造改革ストーリー」のお題目。でも、少なくとも「週刊ダイヤモンド」の読者がカネと時間を割く対象じゃないなぁ。忠実に映像化したら、せいぜいが2時間ドラマだもの。

映画は原作からかなり離れる気配ながら、それでもちょっと心配。【林 操 コラムニスト】

■2006/03/04, 週刊ダイヤモンド

ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話
ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話大西 泰斗 ポール・マクベイ

日本放送出版協会 2005-12
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1月半ばに出たばっかで、さっそく増刷とはいえ、まだ2刷。どこがベストセラーじゃい! と、お怒りの貴兄に耳打ち。

この本、実はNHKの語学番組のテキスト3冊を合本したM&A物件。人気講座ゆえテキストはしばらく売り切れ・品切れになってて、それが今回1冊にまとまったってわけ。テキストまで合わせりゃ、すでにかなり売れてるんです。

英文法を、瑣末事の丸暗記じゃなく、単語や言い回しの核心(ハート)で感じる、頭ではなく心(ハート)で感じる、っていうのが、レクチャーの肝。基礎表現の根本的イメージを押さえて、あとは類推で応用してこうよってアプローチは別に新しくも珍しくもないから、人気の鍵はTVに出てた著者たちのキャラって気も。

それにしても、読んでて腹が立つのは受験英語の嘘と役立たず。ネイティブの巻き舌ばっか追いかけるのも間抜けだけれど、偏屈な倭流英語道に精進させられたって、あらためて気づくのもまた癪でね。【林 操 コラムニスト】

■2006/02/25, 週刊ダイヤモンド

やっぱりあぶない、IH調理器―電磁波の被害を、第二のアスベストにするな
やっぱりあぶない、IH調理器―電磁波の被害を、第二のアスベストにするな船瀬 俊介

三五館 2005-09
売り上げランキング : 28,044

おすすめ平均 star
star参考情報のひとつに
star著者はIHヒーターに何か恨みでも?!
star大変参考になりました

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

計100ページに満たない、いわば厚めのパンフレット。それで税抜き1000円は割高な気もするけれど、去年の3月に出た初版は半年で10万部。9月には早くも改版されて、引き続き売れ続けてる。

中身はIHクッキングヒーターだけじゃなく、最近セットで売り込まれてる住宅のオール電化までが標的の「買ってはいけない」。買い占めもされず書店に平積みされている姿は壮観だけど、IHが発する電磁波の健康への影響について、科学的にトンデモ系な表現が混じってたりするのは残念。

もっとも、IHだオール電化だを進めてる電力業界もレベルは似たり寄ったり。主婦向け雑誌に広告打っていわく、CO2を出さない原発はクリーンなエネルギー、だってさ。あれ、放射能は? JCO事故の遺族の前で同じこと言える? 検査の手抜きがバレて原発全部停め、電気使うなって頼んでた東京電力がオール電化推進?

というわけで、真実は彼らの宣伝とこの本の間のどこかにある。【林 操 コラムニスト】

■2006/02/18, 週刊ダイヤモンド

容疑者Xの献身
容疑者Xの献身東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25
売り上げランキング : 262

おすすめ平均 star
star素晴らしい。一気読み&電車乗り過ごし
starすごいよ東野!
star内面にある行動の価値基準

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ライブドアへの強制捜査やらヒューザーの社長の証人喚問やらと重なったせいもあってカスんじゃいましたが、東野圭吾にようやく直木賞が授けられた。

落選5回を経て、6度目の正直。受賞後の会見で著者本人が、落ちるたびに残念会で選考委員の悪口言ってましたって明かしちゃうくらいの因縁があったらしい。

もっとも、東野有利説は選考会の前から強かった。根拠のひとつは、この受賞作の版元が文藝春秋だから。ご存知のとおり賞の実質的胴元も文春で、直木賞過去10回の受賞作13のうち9作が文春発行。最近じゃ芥川賞ともども「文春販促賞」なんて揶揄されちゃう。

ま、どっちの賞も、筒井康隆や村上春樹はもらってないし、候補になるのを辞退する小説家さえ増えてきて、“レコード大賞化”の兆しが見えてる。東野にしても、直木賞抜きですでに十分売れてる小説家。今回また漏れたほうがニュースとしてはもう少し大きくなったのかもしれない。【林 操 コラムニスト】

■2006/02/11, 週刊ダイヤモンド

ものづくりハンドブック 1 第2版 (1)
ものづくりハンドブック 1 第2版 (1)たのしい授業編集委員会

仮説社 1988-06
売り上げランキング : 74,084

おすすめ平均 star
star持っていて損はない1冊

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タイトルだけ見ると、なんだか製造業立国ニッポン!(チャチャチャ!)系プロジェクトXなビジネス本ですが、実はコレ、教育の書。教科書ベッタリ座学ミッチリの旧文部省推薦型とはひと味(いや、根本的に)違う「仮説実験授業」の実例が集められてる。

ハガキで強い形をつくる、タンポポを食べる、「吹き玉」で親子競争、その他のメニューは基本的に小学校の理科向けっぽいけれど、なかには分子模型の作り方とか日本史年表をフリーハンドでかく法とかもあって幅が広い。

で、この第1集が1986年の発売以来2版計14刷で累計5万6500部。現在第5集まで続いてるから、シリーズ総計じゃ20万部を超える。

でも、もったいないですよ、ガッコのセンセだけに買わせとくの。紹介されてる実験の多くはそのまま親子の遊びに転用可。孫や子を喜ばすのに手品に走るオトナが増えてるらしいが、それならコッチの方がコドモのためになる。たぶんニッポンのためにも。【林 操 コラムニスト】

■2006/02/04, 週刊ダイヤモンド

国家の品格
国家の品格藤原 正彦

新潮社 2005-11
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

去年の11月に出て、もう40万部超え。作家夫婦(新田次郎&藤原てい)の息子の数学者による国家論、ってのもずいぶんネじれたパッケージだけれど、人気の理由は読めばすぐわかる。とにかく使い勝手がいいんだわ、上下左右老若男女、どんな立場の人にとっても。

朝日新聞は元旦の社説で首相の靖国参拝にケチつけるために引用したし、その3日後の「産経抄」は、マネーゲームだ耐震偽装だの拝金主義を蹴飛ばすのに、やっぱりこの本頼み。

戦後の日本もおかしいし、その歪みを米国式に矯正してる今の日本もまたおかしいってのが著者の見立てだから、なんか文句言いたい人にゃ格好の足場なのよ。

新しい論争のタネになるより、すでにあるいろんな論争に燃料投下する1冊。ゆえに、あちこちで書名を見かけるから買う人が増えるっていう構図は、商売としちゃ成功パターンでしょう。でもホントは、お祭り騒ぎから離れてひとりニヤニヤ読みたい本。【林 操 コラムニスト】

■2006/01/28, 週刊ダイヤモンド

野ブタ。をプロデュース
野ブタ。をプロデュース白岩 玄

河出書房新社 2004-11-20
売り上げランキング : 4,507

おすすめ平均 star
star学校というスタイルの中で
star面白い
starおもしろい。理屈ぬきに。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

去年の11月頃だったかなぁ、この本が立て続けに3冊、目の前で売れていくのを目撃しました。小さな本屋でそういう勢いだから、累計65万部もムベなるかな。

著者は、あの『蹴りたい背中』の綿谷りさと同じ文藝賞受賞者で、やっぱり未成年だった専門学校生。河出の新人クンたち、大当たり続きなわけですが、『野ブタ』の売れてる理由は『蹴りたい』とは違う。

本屋で次々と買ってったのは、小学校高学年が1人に中学生が2人で全員が女の子。そのひとりが連れの母親に言うことにゃ、「これ、アレの原作だよね?」。そう、ジャニーズの男の子たち主演で連ドラ化されてて、売れ方としちゃファンシー商品だったわけ。

いや、小説としちゃなかなか読ませるんですよ。でも、ドラマのほうは筋も設定も出来も別物で、やっぱりファンシー商品。作者としちゃ、アレで自作が売れてうれしいんだろうか? 暮れにドラマが終わった途端、さっそく売れ行き急降下みたいだ。【林 操 コラムニスト】

■2006/01/21, 週刊ダイヤモンド

野村ノート
野村ノート野村 克也

小学館 2005-09
売り上げランキング :

おすすめ平均 star
star他競技の指導者として読みました
star球界のバイブルと言う表現に恥じない本
starこんなご時世だから、読むべし!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

プロ野球が縮小スパイラルから抜け出せない最大の理由。それはアレがオッサン(向け)の人生ゲームに墮(だ)し切ったからだと思う。

組織だ人だ経営だ、興味の軸は赤提灯系。そんなファンが主流じゃ野球がポマード臭くなるし、なにより球団運営側がいちばん臭う。野球そのものを楽しもう、楽しませようって空気はまだ薄い。

そういう球界(間抜けな字面)にも非主流、反主流があって、野村はそっち側のトップ格。なんてのが相場らしいけれど、この本読んでみれば野村も立派なオッサン。

“ID野球”や“再生工場”の偉業はともかく、繰り返すのはプロ野球高度成長期の成功体験。なのに、監督時代の阪神の低迷やサッチー事件になると口が重い。

野球好きが飛びつくのはわかります。が、発売3ヵ月で12万部も売れてるのは、版元の思惑どおり、コレ参考書にするような「ビジネスマン」もまだいるからか? それって単なる「野球人生ゲーム」ファンだと思うが。【林 操 コラムニスト】

■2006/01/14, 週刊ダイヤモンド

明るい暮らしの家計簿 2006 (2006)
明るい暮らしの家計簿 2006 (2006)ときわ総合サービス

ときわ総合サービス 2005-10
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

この時期、新年版がゾロゾロ出てくる家計簿のなかで、ひときわ地味ゆえ逆に目立ってるのがコレ。中身は再生紙に単色刷り、なのに紀伊國屋書店のベスト10に入ってる。版元によれば、「半世紀にわたりミリオンセラー」だって。

で、面白いのはその版元。ときわ総合サービスって、「紙幣せんべい」に「貨幣まんじゅう」、2000円札柄のタオルなんて日本銀行券グッズの数々までを扱ってるプチ総合商社。出版物も日銀がらみが多くて、本社も日銀本店のすぐ近くだ。社名の「ときわ」だって、日銀の斜め前にある常磐橋が由来じゃないの?

一方で、(人材派遣業もやってるくらいなのに)会社のサイトには社長の名前以下、企業情報はほとんどなし。現職や過去のトップが日銀OBであることとか、世間に知らせたくはないみたい。

ま、この家計簿も作成に日銀の外郭団体=金融広報中央委員会が協力してる。“監修料”の類い、いくらくらいなんでしょ?【林 操 コラムニスト】

■2006/01/07, 週刊ダイヤモンド

Edit

 
Copyright (C) 2004-2006 Ambitious Kanda, All Rights Reserved.