メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 > 2006年10月7日~12月23日

パパッと出せる年賀状〈2006〉
パパッと出せる年賀状〈2006〉SE編集部

翔泳社 2005-10
売り上げランキング : 339340


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

パソコンで虚礼

タバコに酒に会社、中元に歳暮にクリスマスと言や、やめると楽だし困ることもない6大習慣ですが、年賀状ってのがまた、シャンプーの後のリンス級の虚礼。それでも年末のベストセラーランキングには、賀状作成マニュアルがちゃんと入ってくる。

今年よく売れてるこの本の場合、前提はパソコン利用。書籍部分は完成イメージのカタログに徹してて、“読者”は付属のCD-ROMに入ってるソフト使ってデータを選んでいくだけだから、タイトルに偽りなし(宛名書きのことさえ忘れれば、ね)。

で、驚くのは値段。使い方の電話サポートに税まで込みでも600円で釣りが来る。どれくらい電話つながるかは謎としても、こりゃちょっとすごい。

干支別の賀状ガイドは普通、10月の発売で年が明ければもう売れない生鮮品。賞味期限は石原真理子の自伝並みなのに、今年も類書が50~60冊は出てる。年賀状やめられない人がそれだけいて、つまりはニッポンもまだまだ三丁目の夕日ってことか。 【林 操 コラムニスト】

■2006/12/23, 週刊ダイヤモンド

トヨタの正体―マスコミ最大のパトロン トヨタの前に赤信号はないのか
横田 一 (著), 佐高 信 (著), 『週刊金曜日』取材班 (著)

大トヨタ様にひとこと

表紙カバーに刷り込まれてるサブタイトルは「マスコミ最大のパトロン トヨタの前に赤信号はないのか」。そう、これはトヨタについての書であると同時に、まともなトヨタ批判ができなくなったニッポンのマスメディアについての書でもあります(同じ版元からは『電通の正体』なんてのも出てて、そっちも同様)。

RVの欠陥放置で社内から3人も送検されたとか、社長以下の大幹部が総選挙で公然と自民党を応援してたとか、北米法人の社長のセクハラで秘書から巨額訴訟を起こされて、でも早々に和解とか、最近に限ってもトヨタのマイナス情報ってのは、新聞雑誌テレビとも扱いがえらく小さい。

なぜそうなるのかの答えがこの本に書いてあるわけじゃなく、決して濃い出来でもないんだけれど、賞賛系以外のトヨタ本って存在が稀少なんでしょう、6月に出て12刷6万部。東京じゃなぜか見かけないのに、お膝元・愛知の書店じゃビジネス書番付でずっと上位につけてるわ。【林 操 コラムニスト】

■2006/12/16, 週刊ダイヤモンド

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来城 繁幸

光文社 2006-09-15
売り上げランキング : 142

おすすめ平均 star
starタイムリー
star言いたいことはわかるが・・・
star若者として声をあげよう!このままでいいのか!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

成果も年功もダメ?

リストラだ行革だでずいぶん絞られたはずの会社だ役所だにも、使えねぇ年寄りはまだまだわんさか残ってる。能力もないのに連中がしがみついてる地位と給料、それを負担してやってるのは、面白くもない仕事に安月給でコキ使われてる若い層。

そういう馬鹿なシステムが生き延びてるのは、いまだにアチコチで年功序列制がけっこう健在だから。とにかくコレどうにかしないと、若手はどんどん辞めてっちゃうよ――。

ってこと言いたいのかなぁ、と読める1冊で、そういう主張は、まぁごもっとも。仕事は老若男女に関係なく、本人の適性と希望に応じて選べるのが理想だろうから、この本が若年層以外にまで売れてる理由もよくわかる。

でも、腑に落ちないのは、著者があの『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』も書いてること。昔の勤め先に幻滅した30代前半の東大法学部卒として一家言あるのはわかるけど、成果主義にも年功序列にもダメ出しするならそろそろ代替案も出してね。【林 操 コラムニスト】

■2006/12/09, 週刊ダイヤモンド

ブタのふところ
ブタのふところ小泉 吉宏

メディアファクトリー 2006-09
売り上げランキング : 3824

おすすめ平均 star
star発見が出来る本
star3年ぶりだよ!シッタカブッタ君!
starぶた・ブタ・ぶた ブッタがたくさん 

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

心をほぐす禅問答

心の健康、安定、安寧、バランス……まぁ何でもいいんですが、そういうもの得るための本ってのは掃いて捨てるほどあって、でも、その大半はアレやれコレやれ、あるいはアレやるなコレやるなのハウツーもの。

一方、この著者の「シッタカブッタ」シリーズは真逆で、心のありようを、主に仏教的な捉え方で淡々と絵解きして見せてくれるだけ。シンプルな4コママンガで語られるのは、拍手の音は右手から出たか左手から出たかなんて類いの禅問答で、心についての問題課題の答えは読む側が出すつくり。

導師的存在のブッタ、迷えるシッタカブッタ、傲慢なカイカブッタその他、かわいいブタたちが登場する絵は一見とっつきやすそうなんだけれど、ちょっと眺めてみるだけで深くて広いことはすぐわかる。

13年前から始まったシリーズはこれで6作目。累計部数は180万部を超えたらしい。老若男女を問わない出来ゆえ、宗教だ哲学だからは遠ざかってそうな本誌の読者にも、実はお薦め。【林 操 コラムニスト】

■2006/12/2, 週刊ダイヤモンド

病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-
病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-新谷 弘実

サンマーク出版 2005-07-08
売り上げランキング : 349

おすすめ平均 star
star参考にはなりますが……
star私には合っていました
star犬と仲良くなる方法

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

99.9%は仮説?

去年の7月に出て、現在すでに100万部超え。にもかかわらず、これまでココで紹介しなかったのは、この版元には“とんでも本”が多くて、たとえケナすにせよ少しでも宣伝に手ェ貸すようなマネはしたくなかったから。

にもかかわらず、今回ココで紹介するのは、某有名勝ち組企業の大幹部が、この本のこと名著呼ばわりして周りに薦めてるって聞いちゃったから。

肉はやめとけ野菜喰え、牛乳やめとけ飲むなら水、油脂もやめとけ玄米摂れ、酒タバコ厳禁・昼寝しろ、その他いろいろ、目新しくもない話の山の中に、ミラクル・エンザイムだとか「よい水」だとか眉唾ネタが混入。その多くが「仮説」だっていうから、この1冊こそ99.9%は仮説、か?

著者が30万人の患者を診てきた「胃腸内視鏡の権威」じゃなかったら、振り向く人は少なそう(「よい水」売る会社とツルんでるし)。これ読んで眼からウロコとか公言してる皆様は、私は科学にウトい人間ですって吹聴して回ってるのと同じだよ。【林 操 コラムニスト】

■2006/11/25, 週刊ダイヤモンド

オフィシャルガイドブック相棒
オフィシャルガイドブック相棒
TVnavi編集部 2006-10
売り上げランキング : 276

おすすめ平均 star
star見れば納得!
starとにかくお薦め。
star相棒フリーク必読本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

TVの稀少な上澄み

ワタシ、「週刊新潮」でTVの悪口も書いてるんですが、昔から取り上げたいのに果たせてないドラマがあって、それがテレビ朝日系水曜夜の「相棒」。

英国帰りの天才警部(キャリアなのに窓際)が水谷豊、熱血が取り柄の巡査部長(正直すぎて窓際)が寺脇康文。そういうコンビが警察のしがらみの中で奇妙な事件を解決していく刑事モノなんですが、役者たちの芝居から脚本や演出に至るまで、イチャモンのつけどころがなかなか見つからない。

視聴率もよくて現在ただいまは第5シーズンが放送中。TVなんか見てられないよっていう本誌の読者にもお薦めできる、ほとんど唯一の連ドラです。

で、その公式ガイドが10月に出版されたら、どこの本屋でもすぐに売り切れ。アマゾンのランキングでもベスト100入りして、いわゆるTV本の売れ行きとしちゃ韓流モノ以来だって。

ようやく増刷分を手に入れたら、本のつくりがまた秀逸。ドラマともども、オトナのエンタメがきちんと商売になるってのは嬉しいかぎり。【林 操 コラムニスト】

■2006/11/18, 週刊ダイヤモンド

憲法九条を世界遺産に
憲法九条を世界遺産に太田 光 中沢 新一

集英社 2006-08-12
売り上げランキング : 261

おすすめ平均 star
star情念の本
star憲法順守
starお笑い芸人風情が何をいう

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

改憲論議の斜め上

ちょっと前に憂国マンガ家小林よしのりの『いわゆるA級戦犯』を取り上げて、こう書いた――(護憲派、戦後民主主義派は小林と)同じくらい強力で危ないカウンターパンチ、とっとと出さないと、ホント手遅れになるよ。

じゃあ、オウム礼賛してたって叩かれたチシキジンと、立川談志の違法コピーとも呼ばれるゲーニンが組んだら、「美しい国」への流れに対して、さてどんな異議申し立てができるのか。

肝心の中身は文芸誌での対談がベースで、国会で野党が引用できるような政治的有用性も、「TVタックル」の床屋政談みたいな娯楽的有用性もない。ただ、2人の話には、安倍チャンの言う美しさとは別の、不思議な美しさがあって役立たずだけれど美しい、美しいけれど役立たず。要するに憲法9条と同じです。

そういう本が、今年の8月に出て、もう20万部超え。地上戦レベルにまで降りてきた改憲騒ぎを、1歩退がって1段上がった位置から眺められるのが、人気の秘密なのかしらん。【林 操 コラムニスト】

■2006/11/11, 週刊ダイヤモンド

下流喰い―消費者金融の実態
下流喰い―消費者金融の実態須田 慎一郎

筑摩書房 2006-09
売り上げランキング : 206

おすすめ平均 star
star消費者金融にノーベル平和賞が貰えるのに、日本は遅れている
star消費者金融の生々しい実態
starそんな儲け方を社会が許さない時代をつくろう

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

買い占められてる?

9月の新刊ゆえ、累計ン十万部なんてヒットではまだありません。にもかかわらずココで取り上げるのは、初版がすぐに売れ切れて、増刷までの間、手に入りにくい状態が続いたから。

東京都心のビジネス街じゃたいていの書店で品切れ。思わず疑っちゃったね、カネにあかせて買い占めてる連中がいるんじゃないの?

なにせヤリ玉に挙げられてるのは消費者金融、その元サラ金と一体化しつつあるメガバンク、そして闇金筋に政治屋。そういう筋のやりクチのあれこれがこれでもかっていう勢いで晒されてるから、読まれたくないって皆様が出てきてもおかしくはない。

で、この本でいう「下流」ってのは、闇金や消費者金融の客。彼らに貸し込んで儲けるビジネスモデルが許され、「ご利用は計画的に」なんてCMが許されてきたニッポン、美しい国だわ。

格差について知りたいなら、読むべきは『下流社会』じゃなく断然コッチ。あれだけ広告出してる業界の実態はTVや新聞じゃまずわからないし。【林 操 コラムニスト】

■2006/11/04, 週刊ダイヤモンド

佐賀のがばいばあちゃん
佐賀のがばいばあちゃん島田 洋七

徳間書店 2004-01
売り上げランキング : 912

おすすめ平均 star
star泣けるけど笑える不思議なエッセイ
starほんわかした情景が思い浮かぶ
star金=幸せ?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

田舎の三丁目の夕日

80年代漫才ブームのアダ花、B&Bの“おもしろい方”の片割れが著者。広島出身で「もみじ饅頭!」なんて叫んでた洋七(1950年生まれ)が、佐賀にいる祖母に預けられていた小中学校時代の貧乏話を語ってます。

5年前に小さい版元から出たときには話題にもならなかったのに、洋七が「徹子の部屋」に招かれた折にこの本のこと語ったら火がついて、文庫版やら派生本やらが登場。合計の部数はなんと180万部、すでに映画化ずみのうえ、来年の正月には泉ピン子主演でドラマ特番にもなるそうな。

芸人が貧しい幼年期を明かして大ヒットって構図は、ビートたけしの『たけしくん、ハイ!』と似てるけれど、アッチが全員勝ち組幻想のバブル前期に回顧趣味で当たったとすれば、コッチに飛びついてるのはどうやら田舎の高齢層、つまりは格差社会の負け組(転落恐怖症患者も含む)。「明るい貧乏」を肯定する中身からは、森永卓郎の『年収300万円』シリーズの臭いもして、素直にはカンドーできない。【林 操 コラムニスト】

■2006/10/28, 週刊ダイヤモンド

ツレがうつになりまして。
ツレがうつになりまして。細川 貂々

幻冬舎 2006-03
売り上げランキング : 53909

おすすめ平均 star
star乗り越えたからこそ話せること
star支える人に読んで欲しい
star笑える、うつ病克服日記

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

鬱がマンガになる時代

日本の患者数は役所の統計で40万人台、治療薬メーカーの調査じゃ650万人。ワタシの周りでもコレで自殺した団体職員(30代)がひとり、治療中で快方に向かってる食品メーカーの社員(40代)がひとりいるから、鬱病ってのはもうけっこう身近だ。

著者はマンガ家兼イラストレーターで、そのツレ=夫も40歳を前に発症。サポートセンターの仕事してた外資系メーカーを辞め、自宅で治療に専念した2年ほどの記録がこの本です。

夫婦闘病エッセイマンガ、なんてまとめちゃうとお気楽な印象だけれど、紹介されてる症状は呑気なワタシにさえ思い当たるところアリ。つまりは常日頃ドタバタしててストレス感じてるゲンダイジンなら鬱と肌を接してることが痛感される。

発売は3月で現在12刷。部数はまだ5万部強だけれど、売れ方に弾みがついてきた。コレが他人事と思えない人が増えてることの是非はともかく、そういうワレワレにとっちゃ、あってよかった1冊かと。【林 操 コラムニスト】

■2006/10/21, 週刊ダイヤモンド

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール野口 嘉則

総合法令出版 2006-05-10
売り上げランキング : 7

おすすめ平均 star
star良い本といえば良い本だが・・・・・
star感動とインパクト
star言いたいことはわかるけど....

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

自己啓発渡り鳥向け

鏡に映る像には本体があるように、結果には原因がある。アナタが今困っているという結果の原因は、アナタが他人を、自分を許せていないこと。許せるようになれば困り事は解決する。

なんてありがちな自己啓発系唯心論を、「一杯のかけそば」より安直な“実話”に仕立て、余白だらけで100ページ未満のペーパーバックに流し込みゃ一丁上がり。

帯には「読んだ人の9割が涙した!」とあるけれど、その大半は税込み1000円をムダにしちゃった悔し涙じゃないの? と思ってたら、もう55万部出てるとか。

もっとも、この手の商品やサービスは、ダイエット本とかエステとかヅラと同じで、客は初めてのウブだけじゃなく、同じようなモンに何度もカネ払ってる筋金入りが多い。効果がないから、満足できないから次に飛びつく。

著者は国立大卒リクルート出身のコンサルタント。そういう層が参入してくるくらい、おいしい商売ではあるんでしょうな。【林 操 コラムニスト】

■2006/10/14, 週刊ダイヤモンド

水曜の朝、午前三時
水曜の朝、午前三時蓮見 圭一

新潮社 2005-11
売り上げランキング : 7466

おすすめ平均 star
starストレートなメッセージ
starこういう女性は御免蒙りたい
star生涯で、あと何度読み返すだろう?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

理由なきヒット

単行本とその他の版、つまるところ同じ本を計2回ココで取り上げるのはあの『ダ・ヴィンチ・コード』以来。

こっちはオトナの純愛小説で、2001年に出た単行本は4年間で7万部。文芸バブル崩壊後の荒野で、賞なし映像化なし作家は覆面っていう三重苦まで抱えながらの数字としちゃ立派で、増刷はなんと20回を超える。

それが去年の暮れに文庫になって、最初は版元筋さえ鳴かず飛ばず呼ばわりだったのが、最近になって急激な右肩上がり、今じゃ11刷20万部だって。

で、不可思議なのは、引き続き賞や映像化には無縁なのに売れ始めたワケ。実は売れっ子書評家でもある児玉“アタック25”清が強力プッシュする店頭広告が効いたとか、丸の内の丸善が推してから動き出したとか、百家争鳴諸説紛々我田引水で、今のところ原因不明なんだそうな。

ちなみに、中身がすごくイイ、なんてのがヒットの理由に挙がらないのは、おもしろい本いい本でも売れないのが普通になっちゃってるからです……。【林 操 コラムニスト】

■2006/10/07, 週刊ダイヤモンド

Edit

 
Copyright (C) 2004-2006 Ambitious Kanda, All Rights Reserved.