メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 > 2005年4月2日~9月24日

日本語能力試験受験案内 平成17年度 (2005)
日本語能力試験受験案内 平成17年度 (2005)
凡人社 2005-10
売り上げランキング : 160,077


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紀伊國屋書店の週間ランキング、9月頭の単行本部門で堂々の2位。とはいってもパッケージの中身は、検定の案内パンフと願書類、語学学校その他の広告集だけ。

日本語能力試験ってのは、20年以上続いてて、基本的には外国人向け。実施は年1回で、最新の受験者は国内6万6000人、海外99都市で35万5000人!

TOEFLの日本での受験者数が3万人前後らしいから、それ以上の人がまだ日本語に興味を持ってくれてるのはありがたいけど、この試験、いろんな意味でニッポン的。

公式解答集のまえがきで「日本語教育関係者の力」より先に謝辞が捧げられてるのは「外務省・文部科学省の支援」。試験の主催者は役所の外郭団体なんです。

で、財団日本国際教育支援協会って、副会長に理事長、専務理事が旧文部省出身。新任の理事長なんて見事に再々就職だぜ。

総理! たった3人の文科省OBの既得権益を守って、いったいどんな改革ができるんですか?【林 操 コラムニスト】

■2005/09/24, 週刊ダイヤモンド

帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて
帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて小谷野 敦

筑摩書房 2005-07-06
売り上げランキング : 1,160

おすすめ平均 star
star夫婦の見方がすこし偏っている
star小谷野敦、世情に噛み付く男
starいろいろな意味でマイルドになってます

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1962年、茨城県出身。東大大学院博士課程修了、学術博士。文芸評論家兼大学教官。身長163センチ。資産、特になし。スポーツ、苦手。独身。

そういう著者が99年に出した『もてない男』はその年のうちに10万部を売ったとかで、この本は6年ぶりの続編。その間に当人は結婚して離婚して、バツイチになって帰ってきました、と。

「才色兼備」の女にこそもてたいっていう個人的な本音、フェミニズムや男性学についての考察、テレクラや結婚相談所を覗(のぞ)いてみての体験談、文学作品および文学者の恋愛・結婚・性愛(観)の紹介。

メニューは相変わらず盛りだくさんで、モノ言いも凝り過ぎてないから、すらすら読めて楽しめる人文・社会科学版ポピュラーサイエンスの書。自分自身で人体実験やってるところがサイエンスだ。

「小泉純一郎に、セックスの相手はいるのだろうか」の一文にも笑った。女だらけの刺客選び、目のあたりにしてるとね。【林 操 コラムニスト】

■2005/09/17, 週刊ダイヤモンド

マンガ嫌韓流
マンガ嫌韓流山野 車輪

晋遊舎 2005-07
売り上げランキング : 13

おすすめ平均 star
starニダー
starTo Korean people watching this site, from a Japanese citizen
star変わった国:韓国

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なぁにが強制連行だ。なぁにが従軍慰安婦だ。なぁにが植民地支配だ。なぁにが独島だ。なぁにが外国人参政権だ。

そういう「新しい歴史教科書」系な日韓話をマンガで絵解き、出版各社が出版拒否! 新聞各紙が広告掲載拒否! 発売1週間で20万部突破!……なんだとか。

で、開いてみたら中身は、「オトナは興奮できないヘアヌード」。陰影も奥行きもなしに韓国の下の毛ばっかりがアップになってるから、飛びつくのは“ホントのこと”を知らない/知りたいコドモたちだろう。「王様は裸だ!」って叫んだのもコドモなら、韓国の裸を見て騒いでるのもコドモ。

いや、コドモの好奇心とか下心とかは否定しません。一方、この本バカ売れで、また隣国から非難されても、今回は仕方ない。コドモの劣情かきたてる下地をつくってきた罪は戦後ニッポンにあるからね。必要以上に相手に媚びて、反省だ謝罪だW杯だヨン様だ。これじゃ反動も起きるって。【林 操 コラムニスト】

■2005/09/10, 週刊ダイヤモンド

調理以前の料理の常識―基本の知識253
調理以前の料理の常識―基本の知識253渡辺 香春子

講談社 2004-12
売り上げランキング : 1,915

おすすめ平均 star
star常識の料理
star便利です。
star目からうろこ

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真っ赤なカバーに白い帯が真夏の書店に平積み、また靖国系かよと思ったら、料理本。「15万部突破!」(帯より)ってことは、このジャンルじゃ大ベストセラーだけど、実物はあれこれ不可解です。

表も、写真が一切ない中身も自費出版級に簡素なのに、版元は講談社。数々のファッション誌はもちろん、いまだ写真週刊誌まで出してる、あのビジュアル魂はどこへ消えた?

一方で思うのは「実用書って、これでいいんだよなぁ」。兼業シュフとして料理書はあれこれ持ってますが、たいていは編集過剰の写真過多。ゆえに高価だし、わかりやすくもない。その真逆をいったのがこの本なんだろう。つくりの割に安くないけど、読んで理解できないことは何もない。

だって、「基本の知識253」のうち、初耳なものは皆無。トマトのヘタは取ってから、なんて言われてもねぇ。学校の家庭科、っていうより家庭じゃ子どもに料理、もう身につかないのか?【林 操 コラムニスト】

■2005/09/03, 週刊ダイヤモンド

落語ファン倶楽部〈VOL.1〉
落語ファン倶楽部〈VOL.1〉笑芸人

白夜書房 2005-07
売り上げランキング : 6,226

おすすめ平均 star
starブームに敏感な方も,根っからの落語好きにも

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「笑点」の視聴率がいいのは、ほかに見るモンのない年寄りが見てるから。林家こぶ平の正蔵襲名パレードにン万人が集まったのは、なにかの動員がかかったから。

なんて思い込んでたら、最近はいい若いモンまでが、噺(はなし)家が主人公のドラマにハマったり、寄席に押しかけたり。ネットには落語のCDの違法コピーまでが流れてる。

そういうところに出てきたガイド本だから、出足は絶好調。落語案内といや、妙に高踏的だったり噺のダイジェストだったりが相場。ところがこの本は、あの高田文夫(放送作家)が噛んでるだけに、まず平易。ネタよりヒト優先で、東京と上方両方の噺家網羅のうえに、講談師や役者までカバーしてる。つまりは“TVで見た顔から入る落語入門”。

いや落語もそこまで堕ちたかって話ではもはやなく、落語の世界はTVの外にまた広がり出してる。「失われたン十年」から脱しつつある落語、一方そこにまっしぐらなのがTVっていう図式。【林 操 コラムニスト】

■2005/08/27, 週刊ダイヤモンド

ちびくろ・さんぼ
ちびくろ・さんぼヘレン・バンナーマン フランク・ドビアス 光吉 夏弥

瑞雲舎 2005-04-15
売り上げランキング : 283

おすすめ平均 star
star懐かしい~♪
star再会できてうれしかったけど・・・
starイラストが・・・

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チビかつクロかつサンボ。そりゃまぁケチもつけられやすいタイトルではあった。あ、サンボってのはアメリカじゃ黒人に対する差別語になるらしく。

で、あれこれあったバージョンのほとんどが昭和の末期に絶版。代わりに出回ったのは毒消しバージョンで、たとえば『おしゃれなサムとバターになったトラ』。漂白後のマイケル・ジャクソンか。

それから20年が経って今年の6月、見事にチビかつクロかつサンボのまんまで復活したのがこの本。表紙に見覚えあるぞってアナタは、かつての岩波書店版の読者でしょう。これ、復刻版なんです。

が、版元はまったく別で、どうやら安産ではなかった様子。そのあたり扶桑社版の歴史教科書と似てて、サンボ復刻も「戦後」の清算ではある。

ただし、こっちは売れても別に不気味ではなし。元来お話の舞台はアフリカじゃなくインド。黒人差別の書なんて馬鹿げた冤罪が晴れただけですから。【林 操 コラムニスト】

■2005/08/20, 週刊ダイヤモンド

禁煙セラピー―読むだけで絶対やめられる
禁煙セラピー―読むだけで絶対やめられるアレン カー Allen Carr 阪本 章子

ロングセラーズ 1996-05
売り上げランキング : 592

おすすめ平均 star
starやめられて、しあわせ
star私はこの本で中毒から抜け出しました。
star簡単だった。(あぜん...)

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ワタシは喫煙しませんが、タバコへの偏見は(少)ないつもり。吸ってる本人と周りの健康に害あり、飲み食いの場に漂う煙はなにもかもマズくして、吸殻の始末ができない馬鹿が多数、値段の6割以上は税金で、JTの会長は不祥事で役所辞めた大蔵省OB――以上はすべて偏見じゃなく、事実。

それでも吸いたいって人、止める気だってない。ただひとつお願いしたいのは、「好きに吸っていいから、その代わり煙は残さず全部吸い込めよ。吹き戻したり漏らしたりは一切するな」。

なんて立場からすれば、この本が発売から9年で188刷、累計100万部突破って事実、まずは喜ぶべきなんでしょう。中身は断煙術よりタバコのダメさ、馬鹿さが軸の脱(逆)洗脳系、つまりコレ読んで禁煙できる人は、よくも悪くもモノわかりのいいタイプ。

怖いのは、そういう素直なオトナが増えてそうなこと。大増税だってノんでくれるなら、タバコの税収減っても役人は困らない。

■2005/08/06, 週刊ダイヤモンド

生きて死ぬ智慧
生きて死ぬ智慧柳澤 桂子 堀 文子

小学館 2004-09-18
売り上げランキング : 44

おすすめ平均 star
star科学者の肩書きですな
star著者渾身の現代語訳
starタイトルに魅せられ・・・

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ギャーテーギャーテー腹が痛え、でおなじみ、般若心経の現代語訳。“原文”からして漢字で全266字だから、訳文だってデカ文字・大余白・改行しまくりで全16ページのいわばパンフレット級。

それをイラストや英訳で47ページにまでふくらませ、固い表紙つけて香典袋めいたカバーかけて、ハイ、税込み1200円でお願いしますっていう商売はまさに空即是色、おぬしもワルよのぉ、小学館。

すでに人口に膾炙(かいしゃ)してる著作権フリーの中身を、化粧して料理して増幅して新商品に。そういうリパッケージ商法って、1982年の大ヒット『日本国憲法』と同じだ。

とはいえこの本、“訳者”は生命科学の第一人者で、通りいっぺんの語義解釈では全然ない。求めてた言葉をココに見つけ出しちゃった読者が多いんだろう、バカ売れしてるわけですが、一方で「なにこれ意味不明じゃん」っていう人もたくさんいて、それはそれでまた幸せ。幸福のタネ、教典に求めずに済んでるうちが花なのよ。【林 操 コラムニスト】

■2005/07/30, 週刊ダイヤモンド

ドラゴン桜 第1巻
ドラゴン桜 第1巻清水真由美 遠田孝一

メディアファクトリー 2005-12-22
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画と物語で成り立ってたマンガに、情報という柱が加わってから、ずいぶん経つ。『美味しんぼ』でいえばグルメ、『ナニワ金融道』なら裏経済。で、この『ドラゴン桜』の柱は受験、それも東大受験。

元来、ガキの現実逃避先だったマンガが、いまや勉強法指南かよ、っていう違和感は脇におくとして、でもコレ、読んでてチッともおもしろくありません。

まずストーリーが陳腐、画は下手、なにより肝心の受験術が柱として弱い。中身は目新しくもないし、東大に受かる方便にいまさら興味も持てないから、知る楽しみもノゾき趣味も満たされない。

わからないのは、こんな受験トリビア集がマンガ化される理由。性欲食欲所有欲知識欲その他の官能に訴えない低体温情報なら、活字のノウハウ本で十分だろう。

マンガ以外は読まない層に向けて東大合格指導、ってギャグかとも思ったけど、中身はけっこうマジ。真剣に読んでるらしい受験生に親に教員、大丈夫か?【林 操 コラムニスト】

■2005/07/23, 週刊ダイヤモンド

通勤電車で座る技術!
通勤電車で座る技術!万 大

かんき出版 2005-03-23
売り上げランキング : 29,380

おすすめ平均 star
starやばい!!!
starわ、笑える!そして真実!
star隙間本

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著者は国立大卒で印刷会社勤務。余技で始めたメールマガジンが人気でめでたく出版、その本がまた売れて、っていうストーリーは、まんま“サラリーマンがネットで副業”です。

中身はもう題名どおり。「カップルの後ろに並ぶな!」「いわくありげな席を恐れるな!」「降りる客を記憶せよ!」「制服から見極めよ!」「相手を不快にさせろ!」「譲らなければ譲られない!」

披露されてる「技術」の大部分は、「週刊ダイヤモンド」読者の皆様には特に目新しいとも思われず、つまるところこの1冊、実用書っていうより冗談本。貧し過ぎ、厳し過ぎる通勤環境を笑ってやり過ごす--ニッポン勤め人根性、まだまだ健在の見本でもある。

英「タイムズ」やロイターが取り上げてるのもそのせいでしょうが、もうひとつ、文章にイラスト、構成を含めたつくりのよさがまたジャパネスク。もっとも、この本が売れてる国の民であることは、決して名誉じゃないけれど。【林 操 コラムニスト】

■2005/07/16, 週刊ダイヤモンド

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて佐藤 優

新潮社 2005-03-26
売り上げランキング : 733

おすすめ平均 star
star何が真実であるのか?
star途中での感想ですが
starこういう才能を無駄にしてはいけない

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カワゲラの棲む川、ムラサキガイのいる海と同じで、この本が平積みになってる書店は、いい本屋。色モノ、生臭モノと誤解されがちな1冊だけれど、じつは本としての出来がレベル高いんです。

個人的にノンフィクションってのは、たいていが必要だから読む資料。たとえネタがよくても仕事は下手、海辺の寿司屋の握りみたいなのも多い。玄人の作品でさえそうだから、素人の手記となると(ほとんどはプロの手が入るのに)読了までが苦行だったり。

で、『国家の罠』、素人手記なのに、見事に読まされちゃう。対露外交、永田町に霞が関、ムネオ失脚、著者自身にも向かう「国策捜査」。ネタの深さは当然として(偏りはあるけど)、文章や展開が高度に知的で、ムネオやムルアカの手記とは雲泥の差。こういうのを記録文学っていうんだろう。

発売から3ヵ月、この手の本としちゃ異例の9万部が出てるのも、いい意味での“読み物”としての力が結構大きいはず。【林 操 コラムニスト】

■2005/07/09, 週刊ダイヤモンド

女たちよ!
女たちよ!伊丹 十三

新潮社 2005-03
売り上げランキング : 6,403

おすすめ平均 star
starホンモノとは、何かを学ぶ
star軽やかに
star読みすぎに注意

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「マルサの女」や「お葬式」の監督、ヤクザに切りつけられてメロンみたいにネットかぶってたなぁ、最後は自殺だったっけ……ってあたりで認識が止まっちゃってる人も増えてきた伊丹十三。

じつはダ・ヴィンチ級の多芸多才、伊丹万作が父で大江健三郎が義弟っていう家系まで含め、つかみどころのない人ではあるんだけれど、その十三にブームの兆し。

没後7年にして最初の伊丹リバイバルの今回、まず光が当たってるのはエッセイストとして。著作が3冊、まとめて再文庫化された。

で、これがどれもブームだリバイバルだの薄っぺらさ安っぽさとは無縁の定番系。驚くべきはいま売れてることじゃなく、長らく絶版だったことのほうでしょう。

オトナのための大人入門書なんて囃され方は、最近のちょい不良(ワル)オヤジ熱と通じちゃってますが、流行りに乗る恥ずかしさとは無縁の価値が伊丹本にはある。ブランド物みたいに悪目立ちもしないから、密やかな嗜(たしな)みとして最上級。【林 操 コラムニスト】

■2005/07/02, 週刊ダイヤモンド

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