メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 > 2005年4月2日~6月25日

起業バカ
起業バカ渡辺 仁

光文社 2005-04-22
売り上げランキング : 6,258

おすすめ平均 star
starあんまり本は読まないんですが..
star起業ブームの光と陰
star起業の夢を持つ人は足場を固める意味で一読を

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分析じゃなく告発の書

起業・起業家がもて囃されてるけれど、起業の実際は落とし穴だらけだし、起業家だってウサン臭いのがゾロゾロ。数少ない成功者の陰には失敗者が死屍累々、起業支援なんて唱えてる役所だって役立たず以前に悪質――。

著者の言い分はよくわかるし、間違ってもいない。会社興して上場目指すベンチャー式だけじゃなく、フランチャイズへの参加なんていう単なる脱サラ式までを話に含めたのも正解だと思う。取り上げてる実例も豊富で、著者自身の起業(ベンチャー支援雑誌の編集・発行)の失敗談も読みどころ。

嗚呼それなのに、読み終わってみると、なんだか薄っぺらいんだよなぁ、全体が。「成功するのは1500人に1人」って計算の根拠はユルいし、他人のカネ預かる起業と、退職金などほか自己資金ベースの起業の切り分けも曖昧だ。

結果、ビジネス書というより告発本。熱に浮かされてる起業病患者には効く薬だとしても、冷静に考える材料としちゃモノ足りない。【林操 コラムニスト】

■2005/06/25, 週刊ダイヤモンド

失踪日記
失踪日記吾妻 ひでお

イースト・プレス 2005-03
売り上げランキング : 627

おすすめ平均 star
star菊地成孔さんの帯のコメントと
star実は吾妻ひでおの作品を読むのはこれが初めて。
starすごい本です

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本当にあった怖い話

あちこちで書評されてるし、そのどれもがホめてるし、売れてるし、日本漫画家協会賞大賞まで取っちゃったし、自分で読んでみても思うところ(極)大。一方でこの本、おおっぴらに語っちゃっていいのかよ、なんて疑問が頭をよぎる危険物でもある。

仕事に行き詰まって失踪。路上生活が2回に、配管工暮らしが1回。そこから復帰した後、今度は「アル中病棟」に保護入院。そういう著者の体験を、「描いてないこともあるけれど、描いてあることは全部実話」っていう具合にサラけ出されてる1冊。一見、口当たりがいいのは、『ふたりと5人』とか『ななこSOS』あたりの、あのマルくてちょこまかした絵柄と、ギャグ交じりの語り口ゆえ。

が、漫画家って特殊とか吾妻ひでおって特別なんて割り切って楽しめる読者、カタギの給与所得者にだってどれほどいるか。アッチ側をのぞく窓として、あまりによくできてるから、アッチ側への扉にもなりそうで、心底怖い。【林操 コラムニスト】

■2005/06/18, 週刊ダイヤモンド

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学山田 真哉

光文社 2005-02-16
売り上げランキング : 26

おすすめ平均 star
star数字の意味を読む
starゴミ批判はベストセラーの証拠!?
star会計にまったく縁のない人が、興味をもつきっかけになるかな。

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売れて当然の会計入門

この、やたら散文的なタイトルをみんなホメてる。別の版元の新書編集者も「やられましたよ、あの題名には」なんて感服してた。

で、ワタシはそうは思わない。この看板、大いに偽りアリ。さおだけ屋の謎にはロクに答えてないし、そもそもテーマが会計だってこと、この題からはわからない。

が、イイんですよ、中身は。利益、在庫、回転率、連結、機会損失、キャッシュフロー、その他いろいろが、くだけた譬(たと)え話と平易な文章で頭に入ってきちゃう。企業や家計で役立つ会計にポイント絞ってるのが、入門書としても商品としても正しくて、40万部売れてるのも不思議じゃない。

ま、「週刊ダイヤモンド」読者にはナニをいまさら? でも、会計とか経営とか、住宅ローンの繰り上げ返済とか保険の見直しとか、好きでも得意でもないのに、そういうの迫られてるアナタに、まずお薦め。あと、高校生や大学生、主婦に老人がコレ読むようになると、この国もだいぶ変わるはず。【林 操●コラムニスト】

■2005/06/11, 週刊ダイヤモンド

渋谷ではたらく社長の告白
渋谷ではたらく社長の告白藤田 晋

アメーバブックス 2005-06
売り上げランキング : 2,318

おすすめ平均 star
star苦労話・ザ・スタンダード
starものすごく面白い
starサイバーエージェントの

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IT長者の自費出版

起業しろ、営業しろ、成功しろ――ライブドア堀江クンのご著書、『稼ぐが勝ち』の中身はそれだけだった。さて、この本は――起業した、営業した、上場した、株価下がった、落ち込んだ、復活した、奥菜恵と結婚した。以上。

書いてるのは33歳の素人。現役社長だから差し障りも多いんだろう。せっかくのIT長者の自伝なのに、読み物としても事実の記録としても薄い。株価が落ちて投資家にマスコミ、身内から総スカン喰らい悶え苦しむあたり、読みどころではあるけれど、その後どうやって復調したかの話は一切なし。

そもそもコレ、版元の社長までが著者っていう、いわば自費出版。堀江・三木谷に及ばない知名度アップが目的にせよ、起業経験者として言いたいことがあるにせよ、自分のブログに書きゃ済む話。値段付けて売るたぁイイ根性だ。

ソニー、ホンダ級の「日本を代表する企業」目指してるらしいが、本気なら道ははるかに遠い。っていうか道、間違ってる。【林操 コラムニスト】

■2005/06/04, 週刊ダイヤモンド

渡辺篤史のこんな家を創りたい
渡辺篤史のこんな家を創りたい渡辺 篤史

講談社 2004-11-30
売り上げランキング : 98,631

おすすめ平均 star
star眺めるだけで良い!

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家誉め芸、4冊目

小田和正の透明すぎる歌声に乗って「おはようございます。渡辺篤史です」と聞こえてきたら、土曜の朝。放送開始から早17年、テレ朝系「建もの探訪」で渡辺が上がり込んだ他人の家は800軒近い。

あの番組、実は着々と本にもなってて、この『創りたい』で4冊目。最初に出た『こんな家に住みたい』は文庫化までされてるから、『渡辺篤史のこんな家~』シリーズ、TV本としても住宅本としても、ベストセラーといっていい。

で、出来は番組とほぼ同じ、物件も施主も建築家も誉めて貶さない渡辺の家幇間芸、ここでも炸裂。ホントは一度『渡辺篤史のこんな家はイヤだ』、やって欲しいんだけど、ま、家建てたいって人にとっちゃ、現状でも、営業マン手ぐすねの住宅展示場とかよりはずっと気軽、かつ使いでがあるだろう。

とはいえ渡辺、最近は立派な物件ばっかり紹介してる。この本でも目立つのは、意地の都市住宅より余裕の郊外別宅。いずれも他人の芝生であり、他山の石であり。【林操 コラムニスト】

■2005/05/28, 週刊ダイヤモンド

夜のピクニック
夜のピクニック恩田 陸

新潮社 2004-07-31
売り上げランキング : 4,948

おすすめ平均 star
star青春時代の本
star本屋さんはちゃんと本を読んでるんだなぁ。
star完璧です。

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「本屋大賞」のチカラ

第26回吉川英治文学新人賞作。でも、各所で扱いが断然デカいのは「第2回本屋大賞受賞」の方。

去年の第1回は小川洋子の『博士が愛した数式』に授けられて、それまで10万部だった発行部数が40万部にジャンプ。全国の書店員が「いちばん!売りたい本」を選ぶのが賞の趣旨だから、店頭でも売るのに気合入るんだろう。

結果として本屋大賞の影響力は芥川賞・直木賞以上とも。文壇ムラの政治とは無関係に投票数で決まる選考システム、ソレ受賞すれば本が売れるっていう構造。小説家にしても「いちばん!もらいたい賞」かもしれない。

ま、対象が日本の小説だけなのはなぜ、って疑問はある。非文芸系売りたい本屋だっているはず。それに、せっかく現場から投票募るんだから、売りたくない本ナンバーワンも選んでほしい。読者も版元も、それこそ知りたい。

え?今回の受賞作?懐旧懐古に浸りたい人にお薦め。題名からして、どっかで見たことあるし。【林操 コラムニスト】

■2005/05/21, 週刊ダイヤモンド

風の騎士―グイン・サーガ〈105〉
風の騎士―グイン・サーガ〈105〉栗本 薫

早川書房 2005-12
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老人力満載の100巻目

長生きもまた芸。きんさんぎんさん、森繁久彌、吉本隆明、その他いろいろ。言動に表れる揺らぎ、故ナンシー関の唱え続けた「大丈夫か森繁」的スリル。つまりは、なかなかに眼が離せない。

小説業界にも泉重千代級ご長寿シリーズがあって、それがこの「グイン・サーガ」。1979年の第1巻以来、続刊続刊また続刊で、この4月、ついに100巻目が出ました。

ま、ファンタジーってのは長くなりがちとはいえ、ひとりの作者によるフィクションとしては世界最長とか。さらに外伝が20編もあって、累計部数は2600万部だって。

で、ただの長生きじゃなく「元気で長生き」がめでたい昨今、この大河モノの近況はといえば……だいぶツいてきましたな、老人力。もっさりヨタヨタの展開、ツッコミどころ満載の細部、元来が誤字かもしれない誤植。

これ、実は次なる展開の伏線でした、なんてオチが待ってるならともかく、四半世紀以上つきあってきた読者は複雑だろうなぁ。【林操 コラムニスト】

■2005/05/14, 週刊ダイヤモンド

NANA 14 (14)
NANA 14 (14)矢沢 あい

集英社 2005-12-15
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少女マンガ版みつを

この12巻目だけで初版170万部、全巻累計だと2200万部っていうから、ううん、少女マンガ読む人って、まだまだいるんだなぁ。連載されてる雑誌は女子中高生向けらしいけど、いまやイイおとなまでがハマってるんだとさ。

バンドで歌やってるナナと、専門学校中退でオトコ命の奈々。どっちも「なな」、どっちも20歳、どっちも田舎の生まれで、東京に出てくる電車で一緒になって以来の腐れ縁――とか、どれだけ紹介したところで「週刊ダイヤモンド」の読者には異世界でしょう。夢だ愛だ成功だ妊娠だ、ま、驚くような話は特にないんですけどね。

じゃ、どうしてこれだけ売れてるのか。ゲームになったりCD出たり映画化されたりする理由は何なのか。読んでみて引っかかったのは、各話の頭や尻に出てくる妙な独白。「ねえナナ/もうがんばってなんて言わないから/好きな歌を空を見上げて歌えばいいよ」。現状追認と、ちょっとの改善提案。要するに、相田みつをかぁ。【林操 コラムニスト】

■2005/05/07, 週刊ダイヤモンド

もえるるぶ東京案内 2006年版
もえるるぶ東京案内 2006年版みさくらなんこつ 高河 ゆん 風上 旬

JTBパブリッシング 2006-01-30
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「萌え」の現場の歩き方

「るるぶ」といえばJTBの旅行ガイドで、語源は「見る」「食べる」「遊ぶ」。じゃ、今回その頭に付いてる「もえ」って何?

そりゃもちろん「萌え」、すなわち、コミックやらアニメやらゲームやらの世界が対象の「オタク的欲情」。そのオタクエロがビジネスとして勃興隆起、あの森永卓郎サンも「萌え経済」唱えてます。

結果、秋葉原なんていまや萌えの聖地。物販に加え、コスプレカフェとか風俗めいたサービスまでが集積してて、おいおいコレじゃオタクの歌舞伎町だよ状態。

で、そのアキバや新宿、池袋、元来オタクの多い中央線沿線その他を萌えの視点から案内してみせるのが、この「もえるるぶ」。その気のない人にはノゾきたくもない場所ばっか出てるのはともかく、ロリな幼女との入浴イラストまで入ってるから、かなりポルノ。

売りは「帯をはずせば街でも持ち歩ける!」。コレ持って街へ出よう、ただし帯は捨てよ――それでいいのか、JTB?【林操 コラムニスト】

■2005/04/23, 週刊ダイヤモンド

いのちの食べかた
いのちの食べかた森 達也

理論社 2004-12
売り上げランキング : 9,631

おすすめ平均 star
starお肉を食べる人はみんな読んでほしい
star私たちの存在の根に迫る普遍的な書
star本屋で立ち読みして震えた

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おとなにも効く「総合的学習」

重松清『みんなのなやみ』、白川静(監修)『神さまがくれた漢字たち』、みうらじゅん『正しい保健体育』――なんて不思議に豪華なラインナップで去年の暮れに登場したのが「よりみちパン!セ」なるシリーズ。

いまだ平積みの書店が多いから、当たったんでしょう。中学生以上すべてが対象って設定ゆえ、語り口は平易なれど、中身はどれも浅くなくて、なかでも一番ヘビーなのがこの一冊。

肉を喰う、とはどういうことか。テーマは全編これに尽きてて、でもスゴいことに、無難な建前とも大げさな露悪とも、ちゃんと距離を保ってる。

牛や豚を屠(ほふ)る現場。肉食禁忌の文化的背景。根底にあるケガレ思想。被差別部落問題。マスメディアの及び腰。話は淡々と拡がり、深まる。

ゆとり教育で評判の悪い「総合的学習」ってのは本来、こういう世界を知ることだろ、と思う一方、子どもにだけ読ませとくと、おとなが置いてかれる気も。

著者は、オウム信者や放送禁止歌を題材にドキュメンタリー撮ってきた映像作家。著書も急増中で要注目。【 林操 コラムニスト】

■2005/04/16, 週刊ダイヤモンド

ワルの知恵本
ワルの知恵本門昌央と人生の達人研究会

河出書房新社 2004-10-23
売り上げランキング : 3,933

おすすめ平均 star
star生きてく為の知恵!
starこれはいいですねえ!
starこれが本として売られていること自体が疑問

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危険度ゼロのズルの技術書

ローンの踏み倒し方、税金払わぬ法、訴えられても負けないセクハラ道。あるいは盗聴盗撮ハッキングの具体的指南。エグくて下品な表紙から、その手のアングラ系情報あたり期待してると、見事に肩すかし。

「世渡りの極意」をうたう実際の中身は、「目くばせをよくする人には心を許すな」とか「聞き上手に徹することも人たらしの極意」とか、何をいまさらの処世術ばっか。ここで言われてる「ワル」とは単なるズルだし、「知恵」は、その場しのぎの技術にすぎない。

裏表紙に曰く、「親も学校も教えない、禁断の知恵を教授!」。でも、こんなの、人から教わりたいもんじゃないし、にもかかわらず教えてくれようとするお節介は、おじさんだ先輩だ上司だ、山ほどいる。

それをわざわざカネ出して学ぼうなんて人とはお近づきになりたくないが、この本、すでに四〇万部超で、続編まで出てる。世の中道理で住みにくいはずだ。

で、実はコレ、三年前に出てる安文庫本の焼き直し。ワルの知恵=ズルの技術がホントに豊かなのは版元でした、ってオチかよ。【林操 コラムニスト】

■2005/04/09, 週刊ダイヤモンド

2005年日本国際博覧会 愛・地球博 公式ガイドブック (日本語版)
2005年日本国際博覧会 愛・地球博 公式ガイドブック (日本語版)
ぴあ 2005-03-01
売り上げランキング : 9,911

おすすめ平均 star
star予習には適するが・・・
starとにかくお勧め。
star持って行くのは重たいね。

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見たくなくなる万博ガイド

あい、ちきゅーはく。声に出して読んでみると、口腔内にイヤな味が広がるけれど、とにかく開幕ってことで、書店にはガイド類が山積み。そのなかで一等地占めてるのがコレ。

が、「公式」なのに中身は地味で暗い。三波春夫や岡本太郎、堺屋太一とかの能天気は一切なし。眺めてて思うのは――おいおい、これってホントに万博?

まず写真や図版がチープ。パビリオンの絵なんて安いCGやイラストの予想図だらけ。案内文も出展者提出の文書そのまま流し込んでるのか、役所の書類みたいだ。レイアウトまで単調で、やっつけ仕事感ありあり、後々の記録としての価値も低そう。目立つのは広告ページばっかゆえ全体の印象は「週刊住宅情報」。

いや、いまどき万博そのものが派手で明るくなんかないんだよ、って話なら、何のための万博だ?

それでも見に行かなきゃいけないアナタ。どうせ買うなら、お薦めは非公式のガイドか、税込み七〇〇円と安くて小さい『公式ハンディブック』の方。あ、暴露本『虚飾の愛知万博』(光文社)も楽しめます。【林操 コラムニスト】

■2005/04/02, 週刊ダイヤモンド

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