メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 > 2005年1月1日~3月26日
| 就職の赤本シリーズ 履歴書 エントリーシート 志望動機 自己PRの書き方 | |
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反面教師ならいいんだけれど
昔々、ジャパン・アズ・ナンバーワンだったころ、その強さの秘密を探るため、CIAは「東スポ」までチェックしたという。で、現在ただいまのニッポンの弱さを分析したいなら、最適のサンプルはこの本。
新卒の就職活動に必要な書類一切の埋め方、指南してる(つもりの)一冊だけれど、ページ開いて眼に刺さるのは、陳腐な建前とか低次元の間違いとか。
まず驚くのは、内定取った(っていう)学生による実例集。NHKを「御社」と呼ぶ文系男子、静岡銀行で「プライベートバンキングを専門にし、金融アナリストとして活躍」するのが希望の文系女子。これ採用してる(らしい)側も含め、いかりや長介に言われるよ、「ダメだ、こりゃ」。
ついでに本のつくりもダメ。「書き方」講釈なのに、あちこちに誤植や悪文。「就職の赤本」で商標登録済みとおっしゃるが、元祖本家、大学受験の「赤本」とは似ても似つかない。
こんなのが累計一〇〇万部超。就職ってのが教育と経済の接点なら、この国じゃどっちもグズグズってことが、よぉくわかる。
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親が読むより子に読まそう
「批判ばかりされた 子どもは/非難することを おぼえる」で始まる一文、皇太子が誕生日会見で全文引用して、「非常にこの詩には私は感銘を受けました」。
その作者、ノルト本人が、一九節ある原詩の一節ごとに一章を割いて詳しく語ってるのが、この一冊。ノルトは詩人じゃなく家庭教育の専門家らしいから、まずは純粋な子育て本です。
六年前に出た邦訳の単行本は一〇〇刷を超え、一昨年発売の文庫版も早一九刷。長く売れてる本の常で、中身は実は目新しくはない。子は親の鏡、言って聞かせるより模範を示せ、悪い子と怒るな、悪いことを叱れ、矯正より誘導――。
どれもなかなかできないんだけれど、なぜそうすることが必要なのか、著者たちは丁寧(ていねい)に説く。読まれてる理由はそこだろう。
でも、手に取ってほしいのは、親や親予備軍よりも十代。あるべき親の姿、受けるべき躾(しつけ)の中身、そして自分の親の実態。気づくのは早いほどいい。子供自身で修正かけられるから。
ま、この本読んでくれるような子に育てるまでが、まず大変なんだけどね。【林操 コラムニスト】
| へんないきもの | |
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どこか懐かしい「科学エンタメ」
妙に懐かしい本。いや、昔よく似た本があったとか、そういう話じゃなく、新出来なのに既視感がある。
実在する奇妙でマイナーな生物を一種類ずつ、白黒イラスト一ページと解説一ページの見開き単位で紹介していく構成は、よく言えば「良質な科学系エンタテインメント」。こういうの、最近のTVじゃ、コストかかる割に視聴率取れないんで、まず見かけないが、昔は民放にさえ、そんな番組があった。その活字版がこの本だと思えば、懐かしさにも納得できる。
もっとも、絵も文もユルくて、学術系より娯楽系。埋め込まれてるギャグは、どれも「週刊朝日」のお笑いコラムみたいに無難だから、思い出すのは、若いモンに媚び始めた頃のNHK。実際、コレが売れ始めてまず飛びついたのは、糸井重里とかタモリだった。
結局、ヒットしたのは、昔「×年の科学」「ビックリハウス」と渡り歩いたヘンタイよいこが齢とって、いま“大人買い”してるせいなんだな。「大人の科学」が古き良き七〇年代なら、こっちは八〇年代。昭和ってのは商売になる。【林 操●コラムニスト】
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受験生限定じゃもったいない
受験英語の単語学習本といえば『出る単(シケ単)』でしょ、って話も今は昔。最近のランキングや書店の店頭ながめてると、こっちのほうが目立つ。
中身見たら、びっくり。やさしいんですよ、これ。いや、易しいんじゃなく、優しいの。この本の狙いとか、これ使っての勉強法とか、説明からして懇切丁寧(ていねい)で、やたら独習しやすげ。
さすが通信添削会社の作、だけれど、Z会って元来、チョ~難関校専門が売り。こんなに手取り足取りしてくれる会社だったっけ?
結局、受験産業も「黙ってオレについてこい」的スパルタじゃ続かないんだろな。最近の受験生は幸せだ。少子化に感謝しろよ。
で、コドモに親切なこの本、英語読まなきゃいけないオトナにも優しい。単語ン千語が並んでる単語帳じゃなく、長文(オトナにゃ短文)読みながら、読解の鍵になる九〇〇語くらいの重要語を文脈のなかで覚える式。野口“超”悠紀雄先生もご推奨のメソッドです。
も少し難易度の低い「必修編」その他もあり。受験生に独占させとくなんて、もったいない。【林操 コラムニスト】
| オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す | |
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負け犬の次はオニババ
三十代以上・未婚・子ナシが負け犬なら、そのまま更年期まで過ぎちゃったのがオニババ……最近の女って、自分たちのこと表現するのに、どうしてキツい言葉使うのかねぇ。
ま、女同士で卑下しあってるわけでもなく、『負け犬の遠吠え』は、負け犬で何が悪い!っていう開き直りの一冊だし、こっちは、オニババ化しないための指南の書。犬だ鬼だは、ポピュラーフェミニズム商法の看板みたいなもんか。
この本も中身は別にキツくない。女が産む性である以上、職業人としてのキャリア優先の晩婚・高齢出産、非婚・不産は不自然で、結婚や出産は経験すべきだし、それも若いうちが吉――ってのが著者の言い分。仕事は子育てが一段落してから本腰入れりゃいいって話も、お説ごもっともです。それが可能な世の中、まずつくらなきゃだけれど。
一五万近い読者の大半は二十~三十代の女のはず。でも、性を、ただこなすだけじゃなく、己の身体で能動的に経験しようっていうラテン系な提言が広く受け入れられれば、当然ながら影響は男にも及びます。【林操 コラムニスト】
| 問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい? | |
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日本語ブームのこれが正統派
なんだか盛り上がってる書店の日本語コーナーに平積みで、累積一五万部超。値段の安さに加えて、パッと見のツクリの安さもあるのか、日本語ブームとやらに便乗のお手軽本みたいだけれど、じつはカタくて由緒正しき読み物です。
新しい国語辞典一冊を編んだ際の副産物だから、編者から執筆者、版元までが辞典と同じ。辞書が日本酒なら、こっちは米焼酎、辞書がワインなら、こっちはグラッパっていう関係。辞書屋とは思えぬ、なかなかにうまい商売だね。
ま、酒の場合は副産物のほうが濃いけれど、この本は辞書より薄くて読みやすい。使い分けが難しかったり誤用の多かったりする言葉や表現について、広め深めに解説するのが辞書、狭め浅めに語るのがこっち。
もっとも、「全然いい」「すごいおいしい」「ふいんき」「こんにちわ」「わたし的には」なんて見聞きしても「別にィ」って人にとっちゃ、辞書読むのと同じくらい退屈か。一方で、そんな日本語に違和感なり興味なりを持てる奇特な方には、元祖本家の『明鏡国語辞典』までお薦めしときます。
| 『噂の真相』25年戦記 | |
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書かれて喜ぶ人の率の低さと、読んで喜ぶ人の率の高さにおいて、「噂の眞相」は長らくトップの月刊誌だった。勝ち組からは嫌われ、負け組からは愛された「日本を代表するゴシップ誌」と言ってもいい。
それが異例の“黒字休刊”してそろそろ一年。編集長兼経営者が「噂眞(うわしん)」の歴史と意義を飄々(ひょうひょう)と語ってるのがこの本で、一冊まるごとが、よくできた弔辞。今あの雑誌がないことを、強く惜しませてくれる。
NHKだ朝日だ、お上品志向の談合系マスメディア(自称・報道機関)はあのザマ。下品も恐れぬ非体制的メディアこそが不可欠なのに、その先陣切ってた「噂眞」はもう……。
いや別にサヨクのアジに乗せられたわけじゃない。福田和也だって「まともな機能する民主主義は、パパラッチとタブロイド紙の大群を率いてしか前進できない」なんて言ってます。
ただ、「噂眞」が必要悪だとして、著者が焦点当ててるのは当然ながら「必要」の方。「悪」についても、誰か「噂眞」被害者が検証してくれないかなぁ。前首相とか元検事長とか。
| 「もっと、生きたい…」 | |
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これぞバカ売れ 非読書人用小説
ケータイ小説を本にしたら、シリーズ四作の合計で二五〇万部売れた『Deep Love』。援交女子高生がエイズもらって云々(うんぬん)っていう、えらく安易な説教話なんだけれど、同じ作者の新作がこれ。
ケータイに送られてきたメールに「足の指」とだけ書いてあって、それを目にしたとたん、自分の足の指が一〇本とも、スパッと切れてなくなっちゃう。
なんて『リング』みたいな怪事件で幕を開けるホラー、ってことらしいが、筋、文章、テーマ、すべてが稚拙で、これが世に出てることこそホラー。誤字や矛盾も小説家&編集者入門講座のテキストに最適で、もちろん反面教師として。
著者の肩書は「本を読まない人たちのミリオンセラー作家」。だから“作品”はどれも、コンビニで売ってる自称握り寿司=プロが握った寿司は食べない人たちのための寿司モドキ。
そういうジャンク本、喜んで読んでるのはどんな層か、興味のある方は、ネット書店アマゾンの読者評をチェック!高い評価つけてる人のコメント、なかなかにシビれます。
| このミステリーがすごい!2005年版 | |
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読書案内だけで楽しめる不思議
ここに載る年間ベストテンは、ミステリーの格付けとしちゃ「週刊文春」のランキングと双璧。あっちの初回が一九七七年なら、こっちは八八年。どっちも毎年暮れの発表で、いまや出版業界年末の風物詩。
「商売優先」「マンネリ」なんて陰口も聞きますが、『このミス』の場合、一冊二〇〇ページ弱のうち、ランキング関係は四〇ページ程度。残りは作家や評論家のインタビューに対談、コラムその他の読み物で、本としての商品価値はむしろそっちにある。
語られる作品はかなりの数になるから、マニア向けと思われがち。でも、実際には、一度でもミステリーにハマったことのある人なら、なかなかに楽しめる。
本について書かれた本を読む=間接読書、疑似読書ってのは、最近の流行(はや)り。『あらすじで読む日本の名著』あたりの教養ダイジェストは、人前じゃ読めないビンボくさい実用書だけれど、エンタメ評論の『このミス』はホンワカした趣味の書。未読の本の話が続いても、なぜだか飽きない。
行かずにすませる旅行記、食べたつもりの料理本。【林操 コラムニスト】
| あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック | |
![]() | ロン クラーク Ron Clark 亀井 よし子 草思社 2004-06 売り上げランキング : 9,937 おすすめ平均 ![]() オトナたちへの問いかけ満載 すべてに同感 お互いを尊重することAmazonで詳しく見る by G-Tools |
中身はまんまタイトルどおり。著者(米国の小学校教師)が教室で子どもたちに課してるルール、計五〇条を並べて解説してる一冊です。日本語版は去年の夏に出て、半年で三〇万部。
「大人の質問には礼儀正しく答えよう」に始まり、「お客様を歓迎しよう」「人の名前をしっかり覚えよう」「訪問先では何かをほめよう」、そして「信じるもののために立ち上がろう」「きみのなれるもっともすばらしい人間になれ」。お説ごもっとも。
で、この本がいいのは、決まりごとを子どもたちに守らせるための実践的方法が書き込まれてる点。ルール同様、これがおとなにも役立つから、結果として全体が社会人教育にまで使えるテキストになってる。
親子向けのはずなのに企業人も群がるっていう構図は、エセ童話『グッドラック』と似てるし、箇条書きルール本としちゃ『ツイてる!』彷彿(ほうふつ)。つまるところ教訓本、セルフしつけ本が大流行ってことなんだけれど、その背景とかはもう、分析する気が起きません。
類書のなかじゃ、出来はこれが一番。いや、単にほかが低レベルなんだけどさ。【林操 コラムニスト】
| 間違いだらけのクルマ選び〈05年冬版〉 | |
![]() | 徳大寺 有恒 草思社 2004-11 売り上げランキング : 19,509 おすすめ平均 ![]() 近年にない出来(と思う) 大いなるマンネリなのか? クルマ評論界のクラウンかAmazonで詳しく見る by G-Tools |
一冊目が世に出たのは一九七六年だから、遠からずシリーズ誕生三〇周年。毎年一回、最近はボーナス時期の年二回、新版に更新され続け、雑誌主体の“自動車言論界”じゃ異例のベスト&ロングセラーだ。
自動車雑誌の多くは、(1)メーカーの広告(料)、(2)外車崇拝、(3)そもそもがカーキチ(死語)向け……の三大呪縛に縛られて、(1)タイコ持ち、(2)卑屈、(3)役立たず、っていう袋小路に突入済み。だから、著者が言いたいこと、言うべきことを言ってるクルマ本の意義はデカい。大トヨタだろうが聖メルツェデスだろうが、ダメなものにはダメと宣告するモノ言いは、読みものとして気持ちいい。
著者の目配りはメーカーの姿勢やクルマ社会のあり方にまで及んでて、山ほどある自動車の負の面を(免罪符的にとはいえ)無視してない点も評価していい。
もっとも、自動車は今、白物家電化が進行中。商品としてのクルマに対する消費者の関心は薄らいでる。『間違いだらけの冷蔵庫選び』はないわけで、『クルマ選び』の存在感も右肩下がり基調ではあるのかも。
| 義経〈上〉 | |
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| 義経〈下〉 | |
![]() | 司馬 遼太郎 文藝春秋 2004-02 売り上げランキング : 73,565 おすすめ平均 ![]() 終わり方があっさり… 悲劇的なイメージを想像させる軍事的天才、義経。 本当の義経にかなり近いAmazonで詳しく見る by G-Tools |
にもかかわらず、一年ほど前にわざわざ新装文庫版が出たのが、この『義経』。NHKの大河ドラマにあやかろうって魂胆だろうけど、原作はこっちじゃなく、去年の一一月に出たばっかりの宮尾登美子作『義経』。
NHKまで司馬離れかよと思って読み比べて納得。単行本なのに行間広い宮尾版、文庫で上下合わせて一〇〇〇頁近い司馬版。軽薄な世間に媚びたい最近の国営放送がどっちに飛びつくかは、見た目からだけでも一目瞭然なれど、中身の差もまたわかりやすい。
なんだかパサパサ、淡白な司馬版に比べ、なよなよペトつくのが宮尾版。おばはん殺しの韓(ハン)流で一発当てたつもりのNHKの好みは、そりゃ後者だろう。タッキーだ上戸彩だの学芸会キャストで司馬版やれば、通年かくし芸大会になっちゃうしね。ま、もともと司馬好きの間でも人気は高くないんだけどさ、『義経』。
| ズッコケ三人組の卒業式 | |
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学研「6年の学習」の連載が本になったのが一九七八年。以来シリーズ化されて、この最新作が五〇作目。文庫版と合わせた累計部数は……二一〇〇万部!
児童文学といや、たいてい純文学なのに「ズッコケ三人組」はエンタメ系。ミステリーありSFありホラーありの枠組みに、肥満や地震、離婚や経済なんて時事ネタも絡む超大河情報娯楽小説。大人だってヘタな二時間ドラマより楽しめる。
なのに、アニメやドラマ、映画版のほうはいずれもボチボチ。根は実直で商売っ気も薄い原作に、みんな忠実だったせいだろう。
主人公の三人組は、四半世紀変わらず地方都市の公立小のフツーの六年男子。変身もしなけりゃ超能力もないから、キャラクター商売は難しいし、オタク層だって萌(も)えてくれない。
だからってわけじゃなく、「三人組」は今回で打ち止め。還暦を過ぎた著者の意向らしい。同じ版元からは話題のエセ童話『グッドラック』も出てるけど、この正月休みは、懐かしくて心丸洗いのコッチでしょう。特にいま三十代半ば頃までの「ズッコケ」経験組なら。【林操 コラムニスト】



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この先も何度も読み返したい一冊

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ある意味驚き


糞過ぎる






