メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2008年2月25日~3月10日
| 地球温暖化で伸びるビジネス | |
![]() | 日本総合研究所 東洋経済新報社 2007-12 売り上げランキング : 29153 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
企業は地球温暖化問題から目を背けず、次代を勝ち抜くための“新たなルール”であることを認めて、少しでも有利な位置を占める方策を講じよと提案する書。欧州における環境先進国の現状などを踏まえながら、観光や金融、運輸、自動車、建設、食品などの分野別に諸策を示していく。
「エコ」という概念は、世界的に見ても好意的に受け入れられており、企業ブランドとの親和性は高いと言う。そうした価値感を利用した方策を「エコ・ブランディング」と呼び、導入のための理論的な枠組みを示す。産業別対応編の「金融」に関する章では、注目が集まる温暖化ガスの「排出権市場」や温暖化ガスの排出量から資産を新たに再評価する「カーボン・ファイナンス」について詳しく解説する。
| 科学バカ人生! (ナレッジエンタ読本 4) | |
![]() | 柳田 理科雄 メディアファクトリー 2008-01 売り上げランキング : 1529 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-柳田理科雄氏[空想科学研究所主任研究員]
テレビを見ていても外出先でも、興味を持ったら何でも計算する。『空想科学読本』の著者が明かす24時間科学漬けの生活。理科も科学も実に面白い。
──身の回りの事象を何でも科学にしてしまうのが柳田さん流。この本も、科学的に正しい時候の挨拶や生涯に飲む酒の量、人間が光より速く走れるようになるかなど、思わずニヤリとしてしまうテーマが満載です。
子供の頃、テレビで放映されていたウルトラマンは身長40m、体重3万5000トンということでした。それで僕が、「鉄骨でできている東京タワーが高さ333mで約4000トンなのに、40mで3万5000トンとは一体どういうことなんだろう?」と友人たちに話したら、とても受けた。思えば、あれが「科学バカ人生」の始まりだったんでしょうね。
大人になって、ある出版社に入った友人が当時のやり取りを本にまとめないかと勧めてくれ、書いたのが12年前の『空想科学読本』でした。SFやアニメーションには作り手の夢がぎっしり詰まっているから、読んで、見て、楽しい。それについて、いろいろ考えを巡らすのが大好きなんです。作品の設定や一つひとつの描写が正しいかどうかを検証するのが目的ではありません。
しかも、真面目に考えると面白そうなネタはアニメの世界だけに転がっているのではない。本書で取り上げたように、暮らしの中にも疑問はてんこ盛りです。その目の前の疑問をおろそかにしないというのが僕のスタンスなのですよ。
──1年ほど前から、全国の高校などの図書館に向けて「空想科学図書館通信」の発行を始めたそうですね。
生徒たちから寄せられる質問に答える形で、毎週配信しているファクス新聞が、ちょうど50号になりました。直近では「『鉄腕アトム』に登場するお茶の水博士の鼻がすごく大きいが、そんなことあり得ますか? 生活が不便では?」というテーマを取り上げています。
少し解説すると、鼻の大きさはラグビーのボール級、重さが8kg以上、これでは肩凝りに悩まされるし、風呂に入ると溺れ死んでしまう…という具合です。配布先は現在2100校を超え、学校の図書館便りと一緒に配布したり、バックナンバーをすべて張り出したりするなど、各学校ごとに工夫して楽しんでもらっているようです。そういえば、「通信」を始めた1年前よりも、フーンと唸らせられるような鋭い質問が増えてきた気がします。 ──理科離れや理系科目の学力低下が指摘されています。何が原因でしょうか。
子供たちに理科や科学の実験を見せると、面白がって自分たちもやりたいと言います。本来、科学の世界に興味を持たない子供などいない。学校の教科としての理科が嫌いになっているだけだと思います。
教科としての理科とは、この内容、ここまでの範囲の知識を覚えなさいという教え方です。逆に言えば、それ以外には興味を持つな、考えるなと言っているのと同じ。何かに気づいて、疑問点が出てきて、立ち止まって考えるというプロセスが楽しいはずなのですが、今の理科教育では魅力を分かってもらえません。
子供の自由な発想を邪魔せず勝手に育つのを見守る、というのがいいと思うんですけどね。例えば、トラがグルグル回って最後はバターになってしまうという内容の童話がありました。現実にはトラがバターに変わることなど絶対にないですが、ではトラがグルグル回ると実際に何が起きるか、それを考えるのが面白いんだよ、ということなのです。
柳田理科雄(やなぎた・りかお)氏
1961年鹿児島県生まれ、理科雄は本名。『空想科学読本』シリーズなど著書多数。全国各地での講演やテレビ、ラジオへの出演も。
| 論語力 | |
![]() | 于 丹 孔 健 講談社 2008-01-29 売り上げランキング : 1401 おすすめ平均 ![]() 論語は好きだけど、儒教は嫌い 論語って幸せへの合理的な道なんですね・・・Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ここ数年中国では、孔子とその高弟による言行をまとめた古典『論語』のブームが続いている。その火つけ役となったのが本書の著者である北京師範大学教授の于丹氏だ。彼女は『論語』が示す真理や生きるための指針を、現代人が取り入れやすいようにシンプルかつ独創的に解釈し広めた人物として、高く評価されているという。本書はそのエッセンスを分かりやすくまとめたものだ。
于丹(うたん)氏の提案は「7つの心得」から成り、「心得一 天・地・人の道」では、孔子が唱える教えの基盤となる人間観を明らかにする。人間は「理想としての天」と「現実としての地」の間で調和を保ちながら生き、理想に近づく努力を行うべきだと言う。孔子の思想を引き継いだ孟子は、それに加えて「人の和」の重要性を説いた。著者は日本の「お天道様に顔向けができない」という言葉を挙げて、『論語』に通じる教えだと解説する。
「心得三 処世(世渡り)の道」では、「直きを以て怨みに報い、徳を以て徳に報いる」という教えを引用し、他人に悪意があっても公正さや心の広さをもって対処せよと諭す。同時に、人間関係とは緊密すぎても災いを招くと言い、『論語』には「ほどほどの距離」の大切さが記されていると説く。
| ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112) | |
![]() | 堤 未果 岩波書店 2008-01 売り上げランキング : 14 おすすめ平均 ![]() 個人を押しつぶす大きな歯車が回り始めたのか? 貧困から見たアメリカ 奴隷化と戦争による巨大利権システムAmazonで詳しく見る by G-Tools |
米社会でじわじわと拡大する貧困層の実態とその原因に迫る書。例えば米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は「単なる金融の話ではなく、過激な市場原理が経済的『弱者』を食いものにした『貧困ビジネス』の1つだ」と指摘。そうした「貧困ビジネス」が巧妙な手口で米国社会を侵食している現状をリポートする。
例えば、増え続ける肥満の人々は、もはや贅沢な食生活の象徴ではなく、貧困ビジネスの犠牲者だと言う。ニューヨーク州の公立小学校に通う生徒の約半数が肥満児であるという衝撃的な事実とともに、その児童たちの主食がジャンクフードやファストフードである現状をリポートする。学校の無料や割引の給食制度の食材が、少ない予算の下ではインスタント食品などに頼らざるを得ないからだ。
2005年に米南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」は多くの犠牲者を生み出した。現地での災害対策や事後の救済策においても、貧困地域とその住民は見捨てられていたとの見方を示す。その背景には効率化や民営化の名の下に予算を編成する権力者の意思が働いており、貧困層は「生存権」さえも食いものにされていると訴える。同時に、日本も同じ道を歩み始めているのではないかと憂える。
| CEO vs. 取締役会―株主主権時代の権力闘争の行方 | |
![]() | アラン・マレー 山崎 康司 ダイヤモンド社 2008-01-19 売り上げランキング : 5446 おすすめ平均 ![]() 「コーポレートガバナンス」を肌で感じる書 名著Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ここ数年米国で相次いでいる巨大企業のCEO(最高経営責任者)解任劇の舞台裏を描いた書。同国のヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナ氏やボーイングのハリー・ストーンサイファー氏のみならず、富と名誉をほしいままにした「帝王CEO」たちが王国を追われた事例には枚挙に暇がない。著者はそれらの背後に共通して起きている地殻変動、すなわち「絶対君主的なCEOはもはや不要。企業は新たな秩序を必要としている」という米国経済界の大きな変化に着目した。
多くのメディアは今もなおCEOを企業組織の中心として描きがちだが、実際には彼らの存在は以前と比べてはるかに小さくなったと指摘する。たとえ成功しても、社会からは最大の攻撃対象となりつつある。生き残ったCEOでさえも増大する要求に対して、政治家のように八方美人的な振る舞いを強いられていると苦言を呈する。
CEOを追い出した取締役会とて、そのうねりから逃げることはできないと言う。企業はステークホルダー(利害関係者)と呼ばれる株主や従業員、顧客、消費者、地域社会の声や動向に、これまでとは比較にならないほど大きな影響を受けるようになるだろうと読み、新たな主役たちを「パワープレーヤー」と呼んで彼らの実態に迫る。
| サブプライム問題の教訓―証券化と格付けの精神 | |
![]() | 江川 由紀雄 商事法務 2007-12 売り上げランキング : 2896 おすすめ平均 ![]() サブプライム、証券化、格付け-これ1冊でコンセプトが把握できる待望の書 是非読んでおきたい一冊 サブプライム問題に関する正確な事実把握と深い理解に役立つ一冊Amazonで詳しく見る by G-Tools |
世界市場を揺るがした米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、実際には過半が証券化されていた。そこで、本書は前半でサブプライムについて振り返り、後半でその証券化の問題点や格付けの役割などを考察している。
サブプライムは住宅ローン担保証券(RMBS)に証券化され、一部は機関投資家が手を出しやすいよう、債務担保証券(CDO)と呼ばれる別の証券化商品に再加工された。これらの商品は市場を通じて「世界中に広く薄く散布されてしまった」ため、リスクの所在すら明確でないと解説する。本書は、様々な段階で判断の責任転嫁が行われた可能性を指摘し、これらの経験から学ぶべきことや、今後の証券化市場発展の方向性を探る。
| M&A敵対的買収防衛完全マニュアル | |
![]() | 福谷 尚久 土橋 正和 中央経済社 2008-01 売り上げランキング : 10580 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-福谷尚久氏[GCAパートナー]
日本企業の置かれた状況を国内外のM&Aの歴史と背景を含め分かりやすく解説した。買収防衛策を講じるなら、まず自社の企業価値を知るべきだと説く。そして、それが自社の戦略を根本から見直す好機になる、と。
──敵対的買収は日本でも珍しい話でなくなりました。そのため、毒薬条項など防衛策の導入に走る企業が後を絶ちません。
M&A(合併・買収)業務に携わって15年、近年は敵対的買収を受ける日本企業のアドバイザーを務める機会が急増しています。その中で痛感するのは、「自社は何のために存在しているのか」ということを意識している経営者が極めて少ないことです。
だから、目先のテクニカルな防衛策に走ったり、買収攻勢を前に株主の支援を取りつけようと達成可能とは思えない強気な経営計画を慌てて発表して、自ら首を絞めるようなケースさえ出てきたりしています。
何より大事なのは、まず己を知ることです。「この価格で買いたい」と突然買収を提案されても、自社のフェア・マーケット・バリュー(FMV)、すなわち「適正な企業価値」を知らなければ「安い」「不当だ」と反論もできない。これでは敵対的買収の防衛もやりようがありません。株を取得されて株価が5割上がったとします。そこで「これだけ高値で買い戻せば、相手も相当利益を得るのだから承諾して出ていってくれるだろう」などと期待するのは甘い。相手が企業価値をもっと高く評価していれば、その時点で手放すわけがない。だから日頃から自社の根源的価値を把握しておくことが不可欠なのです。
──そういう発想が日本企業には欠けているのが問題だと?
この20年で企業を取り巻く環境を大きく変えたのは外国人投資家です。これまでは上場企業といえども、ライバルさえ意識していれば自社の価値なんてあまり気にせずに済みました。しかし、グローバル化が進み、海外から資金が大量に入ってきた以上、それを意識しないわけにはいきません。
投資家も様々で、彼らの要求には傾聴に値するものも少なくない。親子上場に対する批判などはその1つでしょう。極めて論理的なので、その発想を理解しておくことは必要です。
敵対的買収とは、単に経営者と買収者の考え方が合わないことだけを指していて、それ自体が悪いわけではない。経営者だけが考えが擦り合わず、ほかの人たちがいいという場合もある。
しかし、日本企業が米国型経営に近づく必要はない。繰り返しになりますが、問われているのは自社の事業の存在意義です。それを深めるための考え方が、社員や地域の人、株主などすべてのステークホルダーに浸透していれば、王子製紙に買収されそうになった北越製紙のように、彼らが買収の盾となる。
たとえ企業価値の最大化を実現できていなくても、今以上の経営者・経営陣による経営はないという状況を常に 作り出しておけば買収は起こり得ない。また、そうであれば買収を提案されても泰然と構えていられるはずです。
──しかし、具体的には企業は何から着手すればよいのでしょうか。
まずFMVをはじき出すことです。その過程は自社の「強み」「弱み」の把握はもちろん、全体を洗い直し、戦略を根本から見直す絶好の機会となる。
そして、その経営を粘り強く国内外の投資家に説明していくことです。最近は日本の考え方が局所的にしか海外に報道されず、日本異質論が台頭しています。このままでは海外からの投資が減ってしまう。時間はかかりますが、自信を持って日本企業には日本企業ならではの考え方があることを理解してもらえばよいのです。
福谷 尚久(ふくたに・なおひさ)氏
1985年国際基督教大学卒業。コロンビア大学MBA。87年から三井銀行(現三井住友銀行)でM&A業務に携わり、2005年3月GCAに入社。
| すごい製造業 日本型競争力は不滅 (朝日新書 92) (朝日新書 92) | |
![]() | 中沢 孝夫 朝日新聞社 2008-01-11 売り上げランキング : 1341 おすすめ平均 ![]() 職探しをする若者に読ませたい 王道を歩もう 個別事例を取り上げるのはよいが、著者の信念の語りばかりが目につくAmazonで詳しく見る by G-Tools |
オンリーワンやナンバーワンの技術・商品がなくても、絶えず新しいことにチャレンジし、人を育てる仕組みを作っている「優れた会社」や「強い会社」はたくさんある。中小企業を中心に、日本の製造業の競争力を考察する。
強い会社とは、「いつもある仕事」をしながら「新しい仕事」を生み出す力のある会社だと表現する。新しい仕事の獲得には、新しい素材や新しい形状の加工を頼まれたり、従来にない機能や能力を持つ部品・装置の設計・製造を受注する力、つまり「現場力」が必要である。実例を紹介しながら、現場力を担う「人」を育成するためには、経験を積ませること、意識的に選抜した人物をトレーニングし、“Aクラス”の人材育成に力を注ぐことが重要であることを示す。
良いアウトプットをするための開発力についても考察する。大企業に頼らず、オリジナル製品を生み出す中小企業などの事例から、目標の持ち方や着想の得方などのヒントを探る。
日本企業は国内の「大きな内需」を巡る過酷な企業間競争の中で、人作りという最も重要なテーマに知恵を絞り、努力を傾けてきた。著者は日本企業には「優れた現場」が無数にあるとして、「もっと誇ってよい」「自信と確信を持ってよい」と主張する。
| 自分のために働け! ~ホンダ式朗働力経営 | |
![]() | 高橋 裕二 講談社 2007-12-07 売り上げランキング : 1857 おすすめ平均 ![]() 現在の混沌とした世の中を見直すのによい判断基準だ! 管理職に読んでほしい。 部下に120%の力を発揮させるコツAmazonで詳しく見る by G-Tools |
労働には、自らの意思と無関係に隷属的に働かされる「牢働」と、自発的な意思で朗らかに働く「朗働」があると著者は指摘する。人事・労務・教育部門を中心にホンダで36年間を過ごした経験を基に、ホンダを飛躍的発展に導いた「朗働」の仕組みを明かす。
「朗働」を実現した代表が創業者の本田宗一郎氏だという。不況のために企業存亡の危機にあった1954年には「マン島レース」への参戦を宣言した。常識では考えられない決断だったが、「世界一の競争車を作りグランプリ・レースに出場する」という目的ができたことで、社内の空気は一変。7年後には団体優勝を飾り、ホンダの存在を世界に示し、その後の発展への基礎を固めるきっかけとなった。
自由闊達な討議を通して、独創的な考え方や計画案を見つけ出す「ワイガヤ」、思考の集中性を高める「山ごもり」、職位に関係なく誰もを肩書抜きで呼び合う「さんづけ」、価値ある失敗であれば表彰する「失敗表彰制度」など、楽しく、積極的に仕事ができる仕組みや文化を数多く作り上げた。
具体的なエピソードを交えて、「自分のために働く」ことを目指すホンダの哲学を紹介する。企業の生産性を引き上げ、個も組織も豊かになる「朗働」のあり方を探る。
| 効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 | |
![]() | 勝間 和代 ダイヤモンド社 2007-12-14 売り上げランキング : 21 おすすめ平均 ![]() この編集方針が好き 情報で飯を食っている人必読 目的を読み違えた批判が・・Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2005年、米「ウォールストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれ、現在、経済評論家として活動する著者が、仕事の生産性を高めるノウハウを示す。
カギは情報のインプット、アウトプットの技術を磨くこと。「空気のようにIT(情報技術)機器を使いこなす」ことが必要だと指摘する。グーグルのメールサービス「Gmail」、ノートパソコン、デジタル・オーディオ・プレーヤー、ファイル・マネジメント・ソフトウエアなど、著者が日常的に使用しているウェブサイトや機器、ソフトを具体的に紹介し、実際の使い方、使うメリットなどを説明する。良質な情報を手早く入手できる点で、本の有効性にも触れる。本には惜しみなく投資し、良書に巡り合い、知見を得ることが大事だと強調する。
いい情報を見つけてインプットしたら、それを成果として表さないと宝の持ち腐れになる。「独自のアウトプットでインプット情報を確かめてみる」「学びをブログで表現してみる」など、アウトプットをこまめに行う仕組みを作るべきだと主張する。
生産性を高めるための生活習慣や人脈を作るための技術なども解説し、小さなことでも、変化に向けて新しい行動を起こすことが大事だと説く。
| 日本の狂気 | |
![]() | ジェリー S.ピヴェン 勝田 有子 日本評論社 2007-11 売り上げランキング : 1939 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どの国、どの文化、そしていつの時代も、それぞれに特有の病理、狂気を抱えている。狂気は通常、一般人と隔絶したマイノリティーとして語られる。しかし、両者は同根、その懸隔は相対的なものだ。社会の大多数が、それと気づかずに狂気に染まることも稀ではない。ナチスドイツがその典型だが、同様のリスクは至る所に転がっている。
本書は、精神分析的手法で、日本特有の心の病、狂気に迫る。現代日本人の無意識の闇には何があるのか、なぜそれはあるのか。そこには、日本社会独特の構造、なかんずく家族のあり方が関わってくる。
カギとして提示されるのは、父、母、子の三角関係である。端的に言えば、「日本人の精神は、濃厚な母性による献身的庇護によって支配されてきた」。本来、母性への依存を断ち切るべき「エロス的父」は、一貫して存在しない。「家長としての父」は、子と母の間に割って入るべき健全なエディプス機能を果たさなかった。「会社人間パパ」においてはなおさらである。
ところが、辛うじて母性社会を支えてきた母親が、近年、崩れ始めた。女性の意識変革、社会進出の下、「母」への過度の依存はもはや成り立たない。女たちは「聖女」の役割を降りる。ストレスのあまり、「鬼女」に変身する例もある。
無意識の部屋に閉じ込められていたのは、「浄化された母の眼差し」と「力強く導く父」双方への渇望、と本書は看破する。父を権威、作為と、母を慈愛、自然と言い換えてもいいだろう。幼児から大人への長い時間をかけた成長に、揃って不可欠なものが、機能不全に陥って久しい。
本書が分析する症例の1つである、「インターネット心中」を見てみよう。底流にあるのは、「もののあわれ」への傾倒に象徴される、「感傷の共同体」という枠組みである。それは、原初的2者関係である母親と乳児の世界への回帰にほかならない。他者との対立を基に論理を鍛える習慣に乏しい日本人は、対面を回避したネット世界で、現実感を失い、自己の輪郭は一層ぼやけて、他者のそれと混濁する。こうした背景の中、一切の葛藤を解消するアクロバットとして、集団自殺が立ち現れる。
無意識の闇を解明されることは、決して愉快なことではない。対象が無意識であるだけに、本書の答えが唯一の正解とは限らない。しかし、それが何であれ、向き合い、克服し、あるいは飼いならすという骨の折れる作業が我々を待ち受けている。【評者 ローンスタージャパン会長 岩下 正】
| 大人の宿題―発想以前の発想法! | |
![]() | 山名 宏和 サンマーク出版 2007-12 売り上げランキング : 2792 おすすめ平均 ![]() 観察力の教科書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
良いアイデアや意外な解決策を次々に思いつく人は、どのように頭を働かせているのか。「行列ができる法律相談所」や「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」などの人気テレビ番組を手がける放送作家が、自らの体験談を披露しつつ、発想力を鍛えるための「宿題」を読者に提示する。
発想力が豊かな人は、アイデアを生成する以前の段階に目を向け、情報のストックならぬ“発想につながるヒントのストック”を持っていると言う。「新聞や雑誌の写真の周辺や手前に何があるか想像する」「10代の異性になったつもりで自分と同世代の人々を観察する」「携帯電話が普及したことによって生まれた不都合を挙げる」など、日常生活の中でも簡単にできる頭のトレーニング法を示す。
| 公認会計士vs特捜検察 | |
![]() | 細野 祐二 日経BP社 2007-11-15 売り上げランキング : 314 おすすめ平均 ![]() 検察 この本の価値 事件後4年にして真相を知り納得できた。元社員Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-細野祐二氏[公認会計士] 逮捕と裁判の「闘争記」
2004年、上場企業の粉飾決算事件に加担・共謀した容疑で逮捕された。190日間にわたる凄惨な取り調べの後も無罪を主張。経済事件専門の検察官と裁判所の設置を主張する。
──シロアリ駆除の上場企業、キャッツが2002年の中間・期末決算を粉飾したとされる事件で、ご自身も担当の公認会計士として加担、共謀した疑いをかけられ2004年に逮捕されました。
私は一貫して無罪を主張しています。検察は、当時のキャッツ社長、大友裕隆氏が仕手筋に渡った同社株を買い戻す資金として、自社から60億円を借り入れたとし、それを隠蔽する目的で粉飾決算を行ったと主張しています。しかし、決算には虚偽記載などはなく、まして、会計士である私との共謀などはあり得ません。
60億円は預け金として処理されていて会計上は何の問題もない。この預け金を原資として、会社を買収しました。
──なぜ、1審のみならず、2審までもが有罪判決となってしまったのでしょう。
私の1審の有罪判決は、同じ時期に逮捕された大友氏ら経営陣の証言によってもたらされたものです。
しかし、後になって彼らは検察の手法に問題があった、私の身は潔白だと明かしました。元経営陣、監査役の7人が公証役場に出向いて宣誓証言し、証拠能力が高い16通の「宣誓供述書」を渡したのです。
どうして彼らは検察の思う通りに「粉飾決算があった」と証言してしまったのか。
実は、検察は大友氏に、私の粉飾決算への関与を証言する答弁を丸暗記させ、40~50回もリハーサルさせたそうです。これが事実なら憲法違反です。大友氏は何度も同じことを言わされるうちに、自分でもそれが事実だったと思えてしまったのではないでしょうか。
2審では、証書が提出されたこともあり、私は無罪を確信していた。それでも結果は有罪。日本の裁判では、検察官の有罪立証を崩しただけでは、無罪を勝ち取れないのです。
──日本の検察自体に疑問を投げかけています。
このところ、ライブドア事件やカネボウ事件など、経済事件が相次いでいます。しかし、こうした事件を捜査する検察側の“受け皿”がないのです。検察官は普段扱っている事件の90%以上が刑事事件。だから経済事件には不慣れで、会計原則の基礎知識も知らない検察官もいます。
私の場合も、粉飾決算をしているかどうかということを検察は争点にしてくれませんでした。彼らが主張したのは「共犯者が粉飾決算をしたと言っている」ということの一点張りです。
私が虚偽記載がないことを企業会計原則によって説明しても、耳を貸そうとしない。後は私が何を言おうが、凄惨な取り調べが続きました。拷問だと思ったこともありました。それが190日間も続いたのです。
しかし、今後も増えていくであろう経済事件を、会計を知らない検察官が摘発するのは問題でしょう。冤罪が起きる可能性も十分にあるでしょう。
誤解していただきたくないのですが、私は粉飾決算は必ず摘発すべきだと思っている。だからこそ、経済事件を専門に扱う捜査官を設置すべきなのです。欧米では既にそういった機関ができています。
私は運よく検察官と最後まで戦うことができる環境にありました。今まさに最高裁で戦う準備をしています。しかし、私のような会計士ばかりではない。この裏には無念の思いを抱えながら罪を認めざるを得なかった多くの人が存在している気がしてなりません。
細野 祐二(ほその・ゆうじ)氏
1953年生まれ。78年早稲田大学を卒業、82年公認会計士登録。78年から2004年までKPMG(現あずさ監査法人)とロンドンで会計監査に従事。
| 2020年日本のあり方―21世紀世代への7つの提言 | |
![]() | 石原 信雄 塩川 正十郎 水野 清 東洋経済新報社 2007-12 売り上げランキング : 25099 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は、政・官・財界や学会の有志が1997年に結成した「日本再建のため行革を推進する700人委員会」(発足当時は「100人委員会」)の提言をまとめたもの。委員会の代表世話人を務める元衆院議員で建設大臣などを歴任した水野清氏と、政界引退後も「ご意見番」として人気の高い塩川正十郎氏が本書の取りまとめを手がけた。元自治省官僚で内閣官房副長官などの要職を長らく務めた石原信雄氏らも執筆に参加し、経済復興策や省庁再々編、「道州制」問題、憲法改正などをテーマに日本のこれからについて論じる。
塩川氏は、戦後官僚機構に頼りきってきた我が国の歪みが限界に達していると指摘する。日本人は自立心と公共の精神のバランスを失っていると苦言を呈し、それが教育や福祉改革の足かせとなり、いびつな格差社会を招いた一因でもあると断じる。
石原氏は2001年の省庁再編で大きな役割を担ったが、本書ではさらなる再々編の必要性を説く。「道州制」の導入によって約300万人の地方公務員を減らす策、その結果強くなった地方を統制するために内閣官房及び内閣府の機能を強化する策などを具体的に示す。また、我が国には世界に対抗し得る情報機関が不可欠だと言い、公安調査庁の機能強化の必要性を訴える。
| ドキュメント医療危機 | |
![]() | 田辺 功 朝日新聞社 2007-12-07 売り上げランキング : 6232 おすすめ平均 ![]() 医療崩壊もメシの種にしてしまうマスコミの貪欲さに不快感を覚えた。 医療の本質を把握していない 医療制度を根本から考え直す時期が来たAmazonで詳しく見る by G-Tools |
朝日新聞の医療担当記者として40年にわたり我が国の医療現場を取材してきた著者が、今日の危機的状況を告発する。同紙に掲載された複数の連載を加筆修正して1冊にまとめた。
地域医療崩壊の原因として、まず医師不足の実態に迫る。医師数が一定の数より少ないと診療報酬が減らされる仕組みのため、医師不足に悩む地方の病院は薄給や無給の大学在籍医師から「名義借り」を行う慣習がある。違法行為として裁かれるのは当然だが、根底にある原因は解消されていないと言う。厚生労働省の検討会は、現在9000人の医師が不足しているとするが、取材したある医師は「12万人が不足」と憂える。産婦人科に至っては「今や絶滅危惧種」を通り越して「絶滅種」だと訴える医師の声を紹介。労働基準法で定められた時間及び正規に結ばれるべき時間外協定が守られている病院は極めて少ないと指摘し、医師の長時間労働に関わる裁判の争点などについて解説を加える。
また、医師や看護師の労働環境悪化が一因となって起きる医療事故の実態、暴力を振るうなど悪質な患者の増加、ER(救急外来)における医療先進国と比較して立ち遅れた現状など、我が国の医療が抱える問題点に切り込み、解決策を模索する。
| ヒトラー・マネー | |
![]() | ローレンス・マルキン 徳川 家広 講談社 2008-01-11 売り上げランキング : 9321 おすすめ平均 ![]() 『大脱走』とか『007』が好きな、戦争映画、スパイ映画好きの人にオススメ おもしろいが食いたらない ドイツ情報部の数少ない成功した作戦Amazonで詳しく見る by G-Tools |
第2次世界大戦下、ナチスドイツが秘密裏に進めていた偽札作戦の全貌を明らかにしたノンフィクション。著者はニクソンショックなどの歴史的事件を現場から報じてきた金融記者で、本書の取材と執筆に5年を費やした。
偽札作戦に心を動かされたのはナチスドイツだけではない。本書では米国のノーベル賞作家、ジョン・スタインベック氏がフランクリン・ルーズベルト大統領に偽札作りを進言した逸話も登場する。偽札作戦が戦略として有効であることは自明の理だったが、ルーズベルトやヒトラーを含む当時のリーダーが、その非合法かつ卑怯なやり口に必ずしも積極的になれなかったとの記述は興味深い。
本書の主題である「ベルンハルト作戦」以前に、ナチスドイツは別のポンド札偽造プロジェクトに失敗していた。その原因は、完璧な偽札作りにおける指揮命令系統や人員教育の不備、つまり今日のモノ作りにも共通する生産管理上の欠陥であった。
新たなポンド札偽造作戦の責任者に抜擢されたのは、ナチス親衛隊の元紡織機技師であるベルンハルト・クルーガーだった。ザクセンハウゼン強制収容所に集められたユダヤ系技術者らとともに、完璧な偽札生産体制の確立に奔走する彼の姿を克明に描き出す。




論語は好きだけど、儒教は嫌い
論語って幸せへの合理的な道なんですね・・・





個別事例を取り上げるのはよいが、著者の信念の語りばかりが目につく







医療の本質を把握していない
