メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2008年1月7日~1月28日

人材空洞化を超える
人材空洞化を超える日経ビジネス

日本経済新聞出版社 2007-11
売り上げランキング : 3717

おすすめ平均 star
star人材育成力が企業を二極分化する

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今、企業ではバブル崩壊後の「失われた10年」の副作用が様々な形で姿を現しつつある。若手社員の大量離職、職場内コミュニケーションの希薄化、度を越した管理業務への対応で疲弊する現場と業務の停滞、などだ。本書は現場の取材を通してこうした人材や職場の歪みを指摘し、教育再生ならぬ「職場再生」の手がかりを発見しようと試みている。

「短期で結果を出さなければ投資家に支持されない時代」「内部統制に関する要求が厳しくなった」など、職場環境が悪化した理由を外部に求めるのは簡単だろう。だが、それらの経営課題と折り合いをつけながら組織を導き、結果を出すのが経営者の責務のはずだ。こう考える時、本書は経営者の近視眼的なマネジメントに対する警告の書として読むこともできる。

例えば、内部統制を扱った章では、急激に内部統制を強化したことで企業の業務が滞り、社員が大きなストレスを抱えている例が紹介されている。そして社員は「いったい何のための管理なのか」とつぶやく。法令順守の対応が必要なのは当然だが、会社が、箸の上げ下ろしに近い細かな点まで社員の行動を監視するのはいかがなものか。

監視の網を張り巡らせれば、大半のミスや不正を防げるのかもしれない。ただ私には、経営者が自分の会社をいつでも売却できるよう、常に自己デューデリジェンス(資産査定)に励んでいるとしか思えないのだ。息が詰まるような監視は社内の活気をそぐ。しかも、内部統制に完璧はないし、現場をいくら監視しても防げない不正がある。

昨年相次いだ食品偽装を思い出してほしい。現場からは「おかしい」との声が上がっていた。その声を封じたり、偽装を指示したのは、監視される現場ではなく、役員を含めた経営者の側だった。結局のところ、仕組みの問題ではなく、トップの志や意識、あるいは社員との信頼関係が不正を食い止める風土を作るのだと思う。

私自身、2007年秋に創業以来初めての全社員アンケートを実施した。用意した設問は「1年以内に辞めようと思っているか」「職場に自分の居場所があるか」など15項目。グループ社員数が3000人を超え、全員と顔を合わせることが難しくなり、「おまえたち、幸せか」と問いかけることで社員の意識を改めてつかんでおきたいと考えたからだ。結果は前向きな社員が8割で、前向きでも後ろ向きでもない社員と、ドロップアウトを予感させる社員が1割ずついた。後者の2割をどう巻き込んで経営するかを考える毎日だ。【評者 ワタミ社長 渡邉美樹】

■2008/01/28, 日経ビジネス, 84ページ

支那四億のお客さま (別世界との出会い 1)
カール・クロウ (著), 新保 民八 (翻訳), 山田 侑平 (翻訳)

1937年に米国で出版された同名書の復刻版で、著者は当時の中国に20年以上とどまり、欧米商品の市場開拓に尽くした広告マン。共産主義が台頭する前の中国に、未開拓の一大市場として欧米諸国は熱い視線を注いでいた。その状況は、現在急速に市場を開放している中国を巡る状況とよく似ている。『ジャパン アズ ナンバーワン』の著者であるエズラ・F・ヴォーゲル氏はその点に注目し、近年、本書を米ハーバード・ビジネススクールの教科書に採用した。

著者は自身を「支那の人々はどんな品物を買い、どんな包装に包み、どんな広告をしたら一番売れるかということばかりを考える人間」だったと綴る。欧米の“常識”とは大きく異なる購買心理や行動特性を明らかにする。

■2008/01/28, 日経ビジネス, 84ページ

シュガー社員が会社を溶かす
シュガー社員が会社を溶かす田北百樹子

ブックマン社 2007-10-24
売り上げランキング : 400

おすすめ平均 star
star社員性悪説に基づく本
star読み物としては 面白いですが
star私も社会保険労務士

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著者に聞く-パーソナルライフ-田北百樹子氏[田北社会保険労務士事務所所長]

半人前なのに自分には甘く、周囲への迷惑を顧みない──。そんな自己中心的な若手社会人を「シュガー社員」と名づけた。企業は労務管理を見直す時期に来ていると言う。

──昔から企業には「ぶら下がり」と呼ばれる社員がいました。「シュガー社員」は彼らと何が違うのですか。

「2対6対2の法則」などの呼び方があるように、組織には士気が低い社員が2割はいると言われてきました。それが最近、契約先企業の雇用問題に対応するうちに、この2割の一部に新しい共通項があると感じたのです。

自分に甘くて自立心に乏しい。要求が通らないと会社を突然休んだり仕事を放棄するなどの短絡的な行動を取る。それでいて自分を変えようとは思わず、すべて周りが悪いと自己を正当化し、権利意識は強い──。こうした社員をシュガー社員と名づけました。

権力者やカリスマ経営者には憧れるのに、身近な大人に敬意を払わないのも特徴です。「ウチの子供は大きなことをやってくれるはず」と、子供に夢を託す親から過保護に育てられたケースが多く、根拠のない自分への自信が醸成されています。それが社会に出て行動に規制がかけられると、拒絶反応を起こす。さらに自分の子供を客観視できない親が会社に怒鳴り込んでくるという構図です。

──そんなシュガー社員を企業はどのようにして戦力化していけばよいのでしょうか。

シュガー社員は、劇的な出来事でも起こらない限り行動様式を変えようとはしません。圧倒的に仕事のできる上司がいて、その人に憧れるといったようなことがあれば別ですが。何しろ家庭で受けてきた教育が人格を形成しているのですから、通り一遍の社会人教育が通用しないのは確かです。結局のところ、採用段階でシュガー社員を見抜くことが最大の対策になっています。

実はこれと関連する採用の変化があります。中小企業が以前にも増して派遣社員などの非正規社員の受け入れに積極的になっています。派遣社員を増やす理由を調査すると必ず「専門知識を必要としていた」「人件費の変動費化」などの回答が上位に来る。でも、本音は別のところにある。

かつてシュガー社員を雇用して痛い目に遭った会社が、一種の雇用リスクを遮断しようとしているのです。中小企業は良い人材をなかなか集められず苦労しています。でも、「来てくれれば誰でもいい」からと若手を採用したらそれがシュガー社員だった、では目も当てられませんから。

──家庭環境が原因だとすると、今後もそのような迷惑社員の比率は高まっていくと考えられます。

従来と異質の社員が出現しているのに、昔のままの感覚で社員とつき合っている経営者の多さに危機感を覚えています。当のシュガー社員と言われる人からは「会社だって悪い」との批判を受けました。この指摘は一部、当たっています。企業も社員の善意に寄りかかるような労務管理を改めなくてはならない。

例えばサービス残業は当たり前という企業が多くあります。経営者は「頑張ってくれれば賞与は弾むから」と社員を鼓舞しながら10年、20年と家族的な経営をしてきました。古参社員も権利を主張し過ぎて会社が潰れるのは困るから、一定の線で妥協してきた。

そんな職場に、権利意識の強いシュガー社員が舞い降りる。彼らは自分を正当化するために労務管理の穴を突いてきますよ。第三者がいない場所で注意をしただけで、「不当解雇された」と当局に駆け込まれるようなケースもあります。企業の規模に関係なく、自社の労務管理や日常業務に違法性がないかを点検し、意識を改める時期に来ています。

田北 百樹子(たきた・ゆきこ)氏
1962年札幌市生まれ。札幌大谷高等学校卒業。社会保険労務士の資格を取得後、96年に田北社会保険労務士事務所を開業。

■2008/01/28, 日経ビジネス, 86ページ

トヨタ国富論―三河発・世界一企業の実像
トヨタ国富論―三河発・世界一企業の実像日本経済新聞社

日本経済新聞出版社 2007-11
売り上げランキング : 148165

おすすめ平均 star
star懐の深いトヨタに感心した

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実質的に「自動車世界一」になったトヨタ自動車は、お膝元の愛知県や日本だけでなく、世界中から「当てにされる」公共財のような大きな存在になった。そんなトヨタの国内や北米、中国の現場をつぶさに調べている。

トヨタの売上高(2006年度)を国際通貨基金(IMF)の2005年版GDP(国別国内総生産)ランキングに当てはめると34位でタイに次ぐ規模。それゆえ、一見関係のない、様々な立場の人や組織と関わることになる。

稼ぎ頭の北米では路上生活者の社会復帰を支援するプログラムを実施、トヨタ生産方式を伝授して家具工場の再建を支援する。各国政府からの工場進出要請にも耳を傾けなければならない。国内では時に、トヨタ側から規制緩和を仕掛ける。霞が関に若手社員を出向させ、官との間合いを計りながら規制緩和を誘導する。そこには、「自社の利益」と「社会の利益」のベクトルを合わせようとする姿がある。

驚異の持続的成長を遂げる一方で、副作用も見え始めた。自治体が財政運営などでトヨタへの依存度を高め、下請け企業はトヨタに高卒の働き手を奪われ、深刻な人手不足に陥っている。国家と同じような悩みを抱えるトヨタの21世紀の課題についても指摘している。

■2008/01/28, 日経ビジネス, 85ページ

スター主義経営―プロフェッショナルサービス・ファームの戦略・組織・文化
スター主義経営―プロフェッショナルサービス・ファームの戦略・組織・文化ジェイ W.ロッシュ トーマス J.ティアニー 山本 真司

東洋経済新報社 2007-11
売り上げランキング : 4067

おすすめ平均 star
starまずまずかな うまくゆっている例に刺激されやる気になりそうだが・・・

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卓越した専門知識と行動力で企業活動をサポートする専門家の組織を、本書ではプロフェッショナルサービス・ファーム(PSF)と総称し、競争力に長けたPSFのあり方を論じる書。著者は、米ハーバード・ビジネススクールで人間関係論を専門とする教授と、24カ国に3700人を擁する戦略コンサルティング会社、米ベイン・アンド・カンパニーの要職経験者。

企業が実践する新規事業開拓や商品開発、マーケティング、法務、財務、人事、M&A(合併・買収)などの活動では、経営コンサルティング会社や法律・会計事務所、投資銀行といったPSFの仕事ぶりがその成否を左右する割合が増しているという。

本書のタイトルにある「スター」とは、自立し、専門的なスキルに優れ、クライアントとの関係作りに長けた社員を指す。そうした人材を導きながら組織全体と調和させることに注力する経営を、「スター主義経営」と呼ぶ。スターを組織につなぎ留めておくのは容易ではないとの前提に立ち、業績管理人事や評価、報酬制度の原則を説く。中身はPSFについて論じたものだが、PSFと関わりを持つ企業の経営者や担当者、PSFに準じたサービスを行う企業や部門の責任者にとっても役立つ内容となっている。

■2008/01/28, 日経ビジネス, 85ページ

汗出せ、知恵出せ、もっと働け!―講演録ベストセレクション
汗出せ、知恵出せ、もっと働け!―講演録ベストセレクション丹羽 宇一郎

文芸春秋 2007-11
売り上げランキング : 1510

おすすめ平均 star
star広い層に参考になる内容
star人の強さというもの

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1998年に伊藤忠商事の社長に就任後、巨額の不良債権処理に踏み切り、2000年には同社の最高益(当時)を達成した丹羽宇一郎氏。会長となった現在も、商社業界に限らず、我が国の経済界全体の士気を鼓舞するメッセージを送り続けている。本書は、著者の目に映る日本の問題点や経営者の意識改革、次代を担う若者への提言などについての講演内容をまとめたもの。

日本の緊急課題として、「地域生産、地域消費(地産地消)」の考えに基づいた農地改革の必要性を訴える。また、医療技術分野に象徴されるような技術革新の遅れを取り戻すべく、「日本版シリコンバレー」作りが急務であると論じる。また、そうした難題のただ中で我が国の牽引役を担っていく若者には、論理的思考や対話能力の衰退が現代社会の病巣の根源にあると説き、「人間として立派であること」がすべての基本であると活を入れる。

経営者に対しては、「会社とは多数決でものが決まるわけではない非民主主義的な世界である」との事実と自らの権限に伴う責任の重さを自覚しながら、それを前提に「全員野球」を行うための努力を怠るなとエールを送る。また、働くこととは究極的には「見返りを求めない愛」であるという自らの哲学の意味について説く。

■2008/01/28, 日経ビジネス, 85ページ

「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方
「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方駒崎弘樹

英治出版 2007-11-06
売り上げランキング : 288

おすすめ平均 star
starやりたいことがないと嘆く若者に。
star興味がある人が最初に読むと役に立つ本
star笑って笑って、泣いた。腹に響く実践の書

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本書はNPO(非営利組織)として病児保育事業に取り組む若き社会起業家、駒崎弘樹さんの奮闘記である。この事業は地域の主婦で作る「かけつけレスキュー隊」が、提携しているタクシーで病気の子供を引き取りに行き、提携先の小児科医の診断を受けた後、保育士・看護師の有資格者や子育て経験のあるベテラン主婦である「在宅レスキュー隊」の自宅で病児を預かる仕組みである。

年間保険料をかけておけば保育の実費はかからない。著者は「政治家や官僚だけが世の中を変えるのではない。気づいた個人が事業を立ち上げ、社会問題を解決できる時代になっている。『社会を変える』を仕事にできる時代を僕たちは迎えている」と言う。

子育て中の働く女性が最も悩むことは「子供の病気で遅刻や欠勤し、周囲に迷惑をかける」ことである。感染性の病気や発熱が37.5度以上の場合、保育園は子供を預かってくれない。

私事だが、子供2人がまだ幼かった頃、立て続けに病気にかかると「会社に顔を出す間、サルでもいいから留守番してほしい」と思ったものだ。

2005年の数字で保育所や小児科に併設された病児・病後児の保育施設は全国で約600、業界団体の調査では9割が赤字だ。国から交付金を受けた各市町村は地域の事情に応じ、病児保育事業者への補助事業を行っているが、利用料設定に係る規定があり、大半の事業者における利用料は、事実上1日当たり2000円程度に固定化されてしまっている。

これでは人件費も賄えず、新規参入が増えないばかりか、既存事業者の経営存続も危うい。

著者は大学在学中にIT(情報技術)ベンチャーの社長に就任し、その後、米国留学を経て、この事業を立ち上げた。ベビーシッターをしていた著者の母親から「子供の熱で仕事を休み、解雇された」というお客の話を聞き、今の日本は「親が子供を看病する当たり前のことをして職を失う社会である」と痛感する。

「ビジネスの社会ではニーズあるところにマーケットがあるのに、なぜ市場が存在しないのか」と旺盛な探究心で保育園を訪ね歩き、徹底的にリサーチした。著者が巻末で引用した「あなたが見たいと思う変革に、あなた自身がなりなさい(ガンジー)」の言葉を文字通り実践し、「経済的に自立ができない」モデルを、地域資源の活用とアイデア、行動力で自立できるモデルに変えた著者の熱い思いが伝わる1冊である。【評者 関西大学教授 白石真澄】

■2008/01/21, 日経ビジネス, 85ページ

私はこうして受付からCEOになった
私はこうして受付からCEOになったカーリー・フィオリーナ

ダイヤモンド社 2007-11-30
売り上げランキング : 336

おすすめ平均 star
star現場で戦ってきた人の金言に溢れている
star驚異のスピード出世と戦いの日々
starリーダーシップの優れたケーススタディ

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米ヒューレット・パッカード(HP)元会長兼CEO(最高経営責任者)の自伝。最初に就職した不動産会社では受付の仕事に就き、頼まれた以上のことをこなそうと努める。ビジネススクールを経て入社した米AT&T、米ルーセント・テクノロジーズでも困難に挑む姿勢を貫き、常にベストを尽くした。昇進を重ね、HPにスカウトされる。が、CEO就任後は順風満帆ではなかった。米コンパック・コンピューター買収を巡って創業家と泥沼の争いを演じ、2005年には不協和音が生じた取締役会から更迭された。

それでも「持てる力をすべて、正しいと信じたことに使った」と潔い。仕事の取り組み方、リーダーとしてのあり方など、参考になる面が多い。

■2008/01/21, 日経ビジネス, 85ページ

大人の見識 (新潮新書 237)
大人の見識 (新潮新書 237)阿川 弘之

新潮社 2007-11
売り上げランキング : 111

おすすめ平均 star
star昔の教養人の知恵とユーモア
star阿川さん健在
star阿川さんの言葉に頭が痛い60歳バカセです!

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国家の謀略
国家の謀略佐藤 優

小学館 2007-11-29
売り上げランキング : 1732

おすすめ平均 star
star面白い!
starビジネスに応用できるかどうかは何とも
starこんな世界も、

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「偽」がキーワードとなる事件や不祥事が相次ぐ中、「日本人は本来持っていたはずの見識や真実を見抜く力を取り戻せ」と訴える本が売れている。

作家生活60年を迎えた阿川弘之氏は、『大人の見識』(紀伊國屋書店総合6位)で真の武士道やジェントルマンシップについて語る。一国のトップの顔つきや人間としての風格は、そのまま国家の品位として世界に受け取られると言い、第2次世界大戦終結時に内閣総理大臣を務めた鈴木貫太郎氏を高く評価する。鈴木元首相には、玉砕覚悟の抗戦を匂わす発言などから今も賛否両論がある。

しかし阿川氏は、その発言は国をあるべき方向に導く「一世一代の大芝居」だったという見方を披露する。そのほか、欧州の騎士道精神や孔子の教えなどについて解説する。

問題作『国家の罠』などのベストセラーを世に送り出している外交官(休職中)佐藤優氏は、『国家の謀略』(ジュンク堂書店ビジネス書6位)で国や個人が「インテリジェンス」を醸成し活用する利点を説く。単なる情報収集のレベルではなく、国の行く末や事業の成否を決する激しい戦いの下では「謀略」をも駆使すべきとし、日本を巡る情報戦の舞台裏や各国の事情を示す。

■2008/01/21, 日経ビジネス, 89ページ

師匠は広告の鬼―もうひとつの吉田学校
師匠は広告の鬼―もうひとつの吉田学校石川 周三

宣伝会議 2007-10-15
売り上げランキング : 25075


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「広告の鬼」と呼ばれた電通第4代社長の吉田秀雄氏。吉田氏のツテで電通に入社し、「短期間で極めて大きな影響を受けた」という著者が、直接・間接に学んだことを記す。

吉田氏は日本の広告界を近代化するために「新しい考え」を次々に導入した。創造力に富み、それを実行するために「鬼」と言われるほど死力を尽くした。本書からは、絶対的な権限を握り、果敢にリーダーシップを発揮した吉田氏の姿が浮かび上がる。

著者は就職の経緯や当時は珍しかった海外勤務を経験していたことから、ほかの社員より吉田氏との接触が多かったという。米ニューヨーク赴任の挨拶に来た著者を連れて会社を飛び出し、高級洋服店でスーツを贈ったエピソードや、新聞社幹部の訃報に接し、すぐ未亡人宛に何十行にもわたる弔電を送ったエピソードなど、著者だからこそ知り得た吉田氏の人間的な側面も紹介する。ビジネスパーソンにとっての立ち居振る舞いの重要性、それ以前に大事な信義など、吉田氏から学んだことは大きな資産だと振り返る。

電通入社から海外勤務という流れの中で、関係するテーマを差し込む。吉田氏が九州出身であることを導火線に幕末・明治・大正の日本の歴史に触れるほか、日米の文化の違いなども綴る。

■2008/01/21, 日経ビジネス, 87ページ

Googleとの闘い―文化の多様性を守るために
Googleとの闘い―文化の多様性を守るためにジャン・ノエル・ジャンヌネー 佐々木 勉

岩波書店 2007-11
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おすすめ平均 star
star魂の仕事を担う書店員、図書館員

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米グーグルは2004年、6年間で1500万冊の書籍、約45億ページをデジタル化すると発表した。仏国立図書館長で歴史家の著者は、この「グーグル・ブック・サーチ」がグーグルによる情報の一極支配につながると危惧する。

文化的側面から問題を指摘する。グーグルが提供する情報には階層性がある。何ページにもわたる検索結果があっても、検索者は最初のページぐらいしか見ない。グーグルの検索結果は、ほかの利用者の検索数などに応じて表示する仕組みで、そこにはマーケティング的な要素も加味される。検索結果の上位には、利用者数の多い英語で書かれ、アングロサクソン文化に即した、大衆主義の作品が並ぶことになると予測する。結果的に、米国発の作品の支配性、米国の出版社の市場支配性が高まり、世界全体が米国的な発想、思考へと傾斜するとの危機感を示す。

著者は少部数の書籍の著者、小規模予算の出版社、少ない人口とマイノリティーの言語に支えられた多様な文化を守るべきだと強調する。グーグルの挑戦に対する欧州の対応として、インターネット利用者の協力を引き出しながら、ヨーロッパ・デジタル・ライブラリーの構築を進めること、さらに欧州独自の検索エンジンを開発することが必要だと戦略を示す。

■2008/01/21, 日経ビジネス, 87ページ

国際金融危機の経済学
国際金融危機の経済学ジャン・ティロール 北村 行伸 谷本 和代

東洋経済新報社 2007-10
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この20年ほど、メキシコ(1994年)、タイ、インドネシア、韓国(以上97年)、ロシア(98年)、ブラジル(98~99年)、アルゼンチン(2001年)と、大規模な国際金融危機が続いた。経済理論家の著者が、再発を防止するためにあるべき金融システムの姿や、国際通貨基金(IMF)などの国際機関が果たすべき役割について解説する。

まず、近年の金融危機を概観し、金融の自由化と巨額の資本流入が先行すること、危機前に銀行制度が脆弱だったことなどが共通すると指摘する。

著者は、2つの決定的問題を除けば、国際金融は標準的な企業金融と同じだと主張する。その2つの問題を「重複代理人問題」「共通代理人問題」と名づけ、解説する。前者は、投資家の利益が、借り手と、「第3のプレーヤー」である借り手の政府という2つの代理人によって影響を受ける状況を指す。後者は政府や民間企業など1人の借り手が、複数の貸し手から融資を受ける場合、一方の貸し出しや契約事項が他方にどのように影響するかを考慮せず、非効率になった状態を示す。いずれも、市場の失敗の原因になると説明する。

著者は、投資家の代理モニター機関が政府と契約し、重複・共通代理人問題を調整することが必要と主張。IMFがその役割を果たすべきだと結ぶ。

■2008/01/21, 日経ビジネス, 87ページ

憎まれ役
憎まれ役野中 広務 野村 克也

文藝春秋 2007-10
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おすすめ平均 star
star憎まれ役の言い分
starまさに新手法のコラボレーション!
star信念の人

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日本の政治とプロ野球が今のように堕落したのは、本音で問題点を語る人間がいないからだ──。そう憂えて「憎まれ役」を買って出た2人が、世間すべてを敵に回しても構わないとの覚悟で病巣のありどころを探る。

「小泉改革」に反旗を翻して政界を去ることになった野中広務氏は、「国民はマスコミの作る偶像に騙されるな」と訴える。一時の興奮や眼前の利益に走り、過去のすべてを破壊するような人物と、それを英雄視する風潮が、報われない多くの弱者を生んだと批判する。一方、野村克也氏は、スター選手や監督への過度な依存がプロ野球人気を凋落させたと見る。それを象徴するのが「長嶋巨人」だったと言い、メディアでタブーとされてきた長嶋茂雄氏への批判に踏み込んでいく。

■2008/01/14, 日経ビジネス, 59ページ

空飛ぶナース
空飛ぶナース山本 ルミ

新潮社 2007-11
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おすすめ平均 star
star面白い!!

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著者に聞く-パーソナルライフ-山本ルミ氏[エスコート・ナース] 医療現場の国際化を

患者の国際搬送に付き添う「エスコート・ナース」となって10年。日本では考えられないユニークな海外での経験を、本にまとめた。自らの体験を踏まえ「医療現場の国際化が必要」と訴える。

――「エスコート・ナース」という仕事は、看護師の間でも、ほとんど知られていないようですね。

日本には数人しかいませんから、多くの看護師はエスコート・ナースという仕事を知らないでしょうね。患者さんも同じで、外国の病院に迎えに行くと「あなたはどこから来たの?」と驚かれることが少なくありません。

私が「日本まで付き添います」と説明すると、患者さんからものすごく感謝されるんです。外国で病気になり、自分の国に帰りたいけれど帰れない。そんな状況で言葉の通じるナースが迎えに来たことに、ホッとするんでしょう。エスコート・ナースとしてものすごく快感を覚える瞬間です。

――海外との医療制度や習慣の違いに驚いたことも多いのでは。

フィリピンでは、せっかく救急車で患者を搬送しているのに、空港までの道路に何台もの車が押し寄せてきて、一般車と同じスピードしか出せませんでした。こちらは一刻も早く空港に着きたいわけで、救急車の中で焦ったことが何度かありました。

どこに行っても驚くことばかりですが、実は一番、変わっていると感じるのは米国なのです。ほかの国と違って米国内に入ると、外国人看護師である私は、一切治療行為ができないからです。

2003年頃、米国人ビジネスマンを香港からサンフランシスコに送り届けたことがありました。ようやく空港に着いたと思ったら「あとはもういいから」と係員から言われてしまって…。ほかの国なら、患者さんを病院まで搬送することも重要な仕事なのですが。

患者さんの航空チケットを紛失しそうになるなど、トラブルもありますが、他国の医療制度を垣間見られるし、旅行気分も味わえる(笑)。貴重な経験ができる有意義な仕事です。

――様々な国の医療制度を知る山本さんの目に、日本の医療はどう映りますか。

今、制度改革の議論が盛んですね。医療費の抑制など、難しい問題が数多くあります。そうした中で、エスコート・ナースの立場から言いたいのは、「医療現場の国際化」をもっと進めるべきだということです。

私が働いている「インターナショナル・クリニック」は患者の大半が外国人。普通の病院でも外国人をお世話する機会は増えていますが、外国語が話せたり、その国の文化を理解できる看護師の数は十分とは言えません。実際、「日本の大病院に行ってみたけれど言葉が通じなくて」と、うちに駆け込んでくる患者さんも多いのです。

幸い私は、東京慈恵会医科大学附属病院で働いていた時に留学制度ができて、その第1号として米国に留学しました。当時の師長が「これからの看護師は幅広く人間性を磨くことが大切。音楽ができる人や英語が得意な看護師がいなければ駄目だ」という考えの人で、私を送り出してくれたのです。

今では留学制度がある病院も増えましたが、実際に留学できる看護師は多くありません。人手不足で余裕がないのでしょうが、工夫の余地はあるはず。

私の周りには看護師の免許を持っていながら、働いていない人がいっぱいいます。そうした人たちが安心して働ける環境ができれば、人手不足はある程度、解消できます。看護師OB・OGをうまく活用すれば、医療の国際化に役立つ施策も実行できるでしょう。外国人の看護師を招く、招かないといった議論の前に、まだまだ取り組むべき課題が残っていると感じます。

山本 ルミ(やまもと・るみ)氏
1967年大分県生まれ。東京・六本木「インターナショナル・クリニック」勤務。フランスのアシスタンス会社に登録する唯一の日本人エスコート・ナース。

■2008/01/14, 日経ビジネス, 61ページ

市場と法 いま何が起きているのか
市場と法 いま何が起きているのか三宅 伸吾

日経BP社 2007-10-25
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おすすめ平均 star
star企業法務の行く末に関心のある人、読むべし
star読み物としては難しいが、快著
star市場関係者に対する警告書

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かつて“自由主義の皮を被った社会主義経済”と揶揄され、国家の庇護と監視の下にあった我が国の市場が、急速に自由化へと転じ始めている。規制の緩和や廃止が進み、企業間の競争が激化する一方で、ライブドア事件に象徴されるインサイダー取引や不正会計、談合による経済事件の摘発が後を絶たない。本書では日本経済新聞社で法務報道を担当する編集委員が、様々な要素から「市場国家」と「法」の関係性を読み解いていく。

企業人は自由を手にしたが、規律が適切に機能しなければ社会一般に不満が高まり、市場国家は信認を失う。市場国家が迷走すれば、官僚の統制欲に再び火を灯し、世論もそれを後押しするかもしれないと著者は危惧する。こうした視点に立ち、ライブドア事件や日興コーディアルグループの不正会計問題などで、違法性を追及する側と擁護する側が法廷やメディアで展開した法的議論の意味を検証している。

「検証・刑事司法」の章では、我が国に「経済犯罪厳罰化の時代」をもたらしたキーマンとして、松尾邦弘・元検事総長を挙げている。松尾氏が関わった事件の裁判記録や講演内容などから、経済活動の自由化に比例する形で違法行為に厳しい処分を下し始めた司直の狙いを明らかにしていく。

■2008/01/14, 日経ビジネス, 60ページ

成功のコンセプト
成功のコンセプト三木谷 浩史

幻冬舎 2007-10
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starビジネスマンのビタミン本
star仕事を通じて自己実現、幸せに生きる
starここまでやれば成功できる。シンプルだがハードな5つのコンセプト

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インターネット上で商品やサービスを売買する「楽天市場」は開業11年目を迎えた。出店約2万店、2006年の流通総額は4200億円を超え、証券会社などを含むグループ全体の流通総額は1兆円に及ぶ。創業者であり、現在もグループの陣頭指揮を執る著者が、「どうやって成功したのか?」という素朴な疑問に答えを示す。

書名の通り、成功に至る過程ではぶれない5つのコンセプトが不可欠であり、仲間として迎え入れた社員に対しては、それらを徹底することが重要だったと振り返る。

第1のコンセプトは「常に改善、常に前進」。潜在能力には絶対的な個人差があることを認めつつも、ビジネスの成否はその能力をどれだけ引き出せるかで決するのだと主張する。“凡人”にもできる行為が改善と前進であり、天才と競い合うための唯一の方法でもあると言う。

第2は「プロフェッショナリズムの徹底」であり、究極的には「仕事を人生の最大の遊びにすべし」と説く。さらに、「仮説→実行→検証→仕組化」「顧客満足の最大化」「スピード!! スピード!! スピード!!」といったコンセプトを示し、大企業を率いる今も変わることのない起業家精神についての持論を体験談とともに明かす。

■2008/01/14, 日経ビジネス, 60ページ

アルファドッグ・カンパニー (講談社BIZ)
アルファドッグ・カンパニー (講談社BIZ)D. フェン 宮本 喜一

講談社 2007-09-26
売り上げランキング : 1899

おすすめ平均 star
star小企業(店)ほど差がつく
star夢とパワーを与えてくれる良書
star中小企業経営者に勇気を与えてくれます

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アルファドッグとは、「自他共に認める群れの先頭、最強の犬」という意味である。米国の起業家や中小企業を取材している著者が、一見すると発展性が期待しづらい“オールドビジネス”でアルファドッグとなり得た7つの企業に焦点を当て、強みを解析する。

取り上げる企業は、自転車ショップ、アイスクリーム店、靴下メーカーなど。いずれの企業もさほど多くの資金を持たない非上場企業で、最新の経営手法を駆使しているわけでもないものの、それぞれの業界で確固たる存在感を示している。例えば自転車会社の経営者は、「無料保証期間1年サービス」で消費者の信頼を勝ち取った。大手がしぶしぶ追随すると保証期間を2年に延ばし、ついには誰もが耳を疑った「生涯無料保証」を掲げ、大成功を収めた。本書ではこうした実例を多数示す。

アルファドッグになるために必要な要因の1つは、消費者の意識の変化に敏感であることだという。米国では大企業の多くが提供する商品やサービスが、自分の欲求に合致しないとの意識が消費者の間に高まっていると指摘。それが不満を通り越して怒りに発展していると言い、巨額の資金やIT(情報技術)を駆使した戦略などを持たない中小企業でも、業界トップの地位を狙うチャンスがあると訴える。

■2008/01/14, 日経ビジネス, 60ページ

警視庁情報官
警視庁情報官濱 嘉之

講談社 2007-12-04
売り上げランキング : 419

おすすめ平均 star
starフィクションという名のノンフィクション
star帯に偽りあり

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姿の見えない捜査機関、公安警察の存在を世に知らしめるきっかけとなったのはオウム真理教が引き起こした未曾有のテロ、地下鉄サリン事件であった。その事件をきっかけに新聞記者、作家らの手によって見えない組織、公安を題材にノンフィクションやフィクションが数多く発表された。

しかし、それはあくまで外部の人間の手によって見えない組織の輪郭をなぞったものであり、その組織に通う血液を、その組織を支える骨格を描き出し、公安警察官一人ひとりの息遣いが伝わってくるものではなかった。

その意味では、本書は公安警察の内部に身を置いた者による初の本格的“公安小説”である。それゆえに細部にわたり公安警察ならではのエピソードがちりばめられている。

例えば公安警察の協力者、つまり情報提供者はどのようにリクルートされるのか。

旧大蔵省・日銀接待汚職事件で一躍有名となった金融機関の大蔵省担当者、通称“MOF担”。そのMOF担を協力者に仕立て上げる場面では、エリート意識の強いMOF担のその意識をくすぐり、東京・向島の料亭で羽目を外させ、そして六本木のディープな店での濃厚な女性接待を行う。役人を接待するMOF担から接待漬けにされている官僚たちの情報を取る。これが公安警察の使命の一端である。

主人公によって“落とされた”MOF担は、今度は公安警察の組織的な監視対象者となる。なぜか? 報提供者としての適性がチェックされるのである。その件はこう描かれている。

「MOF担はこれから数週間、協力者としての適性チェックのため、二十四時間監視態勢の中に身を置かれることとなる」

狙った人物の経歴を洗い出し、その人物の日常的な行動を数カ月にわたり尾行(公安では追尾と呼ぶ)し、調べ上げる。行きつけの店、本人も気づかぬ癖、女性の好み、読書傾向、思考パターンまで文字通り丸裸にしていく。オウム真理教にも潜入していたというS(スパイ)の原型がここに存在している。

作者の投影である主人公、黒田は時に国会議員の抱えるトラブルを処理しながら、時には電力会社の代理人のように振る舞いながら、人知れず懐に入り込んでは情報を引き出していく。

一線に立ち続けた公安警察官出身が著した本書はある意味すべて“真実”であるとも言える。圧倒的なリアリティーが公安警察小説の新たな地平を切り開いた。【評者 ジャーナリスト 児玉 博】

■2008/01/07, 日経ビジネス, 55ページ

生命保険の「罠」 (講談社+α新書)
生命保険の「罠」 (講談社+α新書)後田 亨

講談社 2007-11-21
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おすすめ平均 star
star『生命保険会社の罠』といった内容
star悪くはないが・・・
starここまでぶっちゃけていいの?

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日本生命保険の元営業マンだった著者が商品の仕組み、営業担当者の事情など、保険業界のカラクリを明かす。

保険会社が売りたいのは「会社にとってメリットが大きな保険」であって、顧客に「いいことずくめの保険」ではない。「持病があっても入れる保険」は、「高めに保険料が設定されている」か「保険料の支払いが渋い」と考えられるし、「60歳からの保険料が半額になる」保険は、60歳までの保険料がその分高いはずだ。顧客は常に「『美味しい話』はどこにもない。それでも保険を活用するとしたら…」という視点で保険を選ぶべきだと指摘する。

保険会社の人間が「売っている保険」と「入りたい保険、入っている保険」は全く違う。プロが入っている保険事例を紹介し、プラン決定の参考を示す。

■2008/01/07, 日経ビジネス, 55ページ

ちょいデキ! (文春新書 591)
ちょいデキ! (文春新書 591)青野 慶久

文藝春秋 2007-09
売り上げランキング : 131

おすすめ平均 star
star今日からできる「三分間ライフハッキング」
star楽しくビジネスをこなすためのちょっとしたコツ
star斬新さがまったくない。

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著者に聞く-パーソナルライフ-青野 慶久 氏[サイボウズ社長] スキル志向の呪縛を解く

会社設立から4年7カ月で東京証券取引所第2部に上場、当時の最短記録を作ったベンチャーの創業者が、自らの仕事術をまとめた。ちょっとした発想の転換で、仕事が楽しくなる。

──自らの仕事術を公開しようと思ったきっかけは何ですか。

私のブログ(日記風の簡易型ウェブページ)に普段から実践している仕事術を書き込むと、読者から大きな反響がありました。例えば、車酔いを防ぐ方法。シートに背中をつけず、振動が体に伝わらないようにする。これだけで効果てきめん、仕事がはかどります。すると後日、セミナーなどで会った若い人たちが「ブログを読んで私も実践しています」と声をかけてきたのです。

そこで、若い人に向けて“入門編”のような仕事術をまとめると、お役に立てるのかなと思いました。若い頃は、「すごいビジネスパーソン」にならなければいけないという恐怖心があります。あれもできないといけない、これもできないといけないとスキル志向になりがちです。私自身もそうでした。でも長い間働いていると、目の前の仕事をコツコツとこなせる人は、どこに行っても通用すると分かります。

私は東京証券取引所第1部上場会社の社長ですが、決して特別な存在ではありません。普通にへこみます。先ほども、重要な電子メールの宛先を間違えてしまった。何で送信前にきちんと確認しなかったのだろうと、落ち込みましたよ。でも、現実を受け入れて、15分後には吹っ切ろうと決める。そうすれば、後悔を引きずらなくて済みます。こうしたちょっとした仕事術を知った若い人が「本を読んで気が楽になった」と言ってくれると、とてもうれしく感じます。

──上場企業の社長としても、「ちょいデキ!」を実践しているのですか。

はい。実は社長就任当初、無理して失敗しました。組織の長は、リーダーシップと人徳があって、ぐいぐい引っ張っていく強さが必要だと思っていたのです。だから、自分で方針を考えて、戦略を立てて、皆ついてこいという経営を目指しました。子会社を増やして、こうやって儲けろと指示を出したのです。ところが、目論見通りにいかなくて、業績は落ち込み、社員は疲弊する一方…。1年ほど前に、自分のやり方が間違っていると気づきました。

自分で考えるのは諦めて、優秀な部下に任せることにしました。皆に考えてもらって実行してもらって、私は「ありがとう」と言うだけ。すると、社員のやる気が変わってきました。「やってみせますよ、青野さん」という感じです。

ただし、任せっ切りではダメです。部下のやりたい放題になってしまいますから。ゴールは決めておく。サイボウズのゴールは「世界で一番使われるグループウエアメーカーになろう」です。そして、社員の取り組みがこのゴールに向かっているかどうか、この点だけを、私がチェックするようにしています。

──青野流仕事術のネタは、まだまだありそうですね。

いつか書きたいのは、グループワーク編です。例えば、プロジェクトリーダーを任されたけれども、的確な指示が出せない。こう悩むケースは少なくありません。

このような場合は、指示ではなくて、管理です。メンバーの仕事に関するチェックリストを作っておいて、「あれはできた?」「明日までにやっておいて」と声をかける。もし「遅れています」と相談されたら、解決方法を一緒に考えればいい。すると「あの人ができるんじゃないか」といった話が出てきて、チームがまとまるんですよ。これだったら、誰にでもできそうでしょう。

青野 慶久(あおの・よしひさ)氏
1971年愛媛県生まれ。大阪大学工学部卒業、松下電工に入社。97年、ソフト開発のサイボウズを創業、副社長に就任。2005年4月から現職。

■2008/01/07, 日経ビジネス, 57ページ

オープンビジネスモデル 知財競争時代のイノベーション (Harvard Business School Press)
オープンビジネスモデル 知財競争時代のイノベーション (Harvard Business School Press)ヘンリー・チェスブロウ Henry Chesbrough 諏訪 暁彦

翔泳社 2007-11-20
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おすすめ平均 star
starイノベーション仲介企業とトロール

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企業は、より多くの社外のアイデア・技術を自社のビジネスに活用し、より多くの社内の未活用アイデア・技術を他社に活用してもらい、効率的にイノベーションを実現すべきというのが著者の主張。本書はこの「オープン・イノベーション」の効果や、実現に向けた具体的な手がかりを示す。

オープン・イノベーションを実行するには、ビジネスモデル自体のオープン化が不可欠だ。自前主義の発想、貴重なアイデア・技術を社内に閉じこめたいという考えは捨てるべきと説く。オープン・イノベーションには知的財産権の適切な保護も欠かせない。自社のビジネスモデルと連携しながら知財権を管理すること、技術の発展段階に応じて管理を変化させることが必要と指摘する。ビジネスモデルをオープンに変革してきた企業例として米国のIBM、P&Gなどを紹介する。

企業は、過去の成功パターンに合致するアイデア・技術の価値は理解できるが、それ以外のものはうまく活用できないケースがある。今後は、上流のサプライヤーが下流の開発者や生産者に知財やノウハウをライセンスする「仲介市場」の重要性が増すと予想する。新しいプレーヤーとして「イノベーション仲介企業」が台頭しつつあることも示す。

■2008/01/07, 日経ビジネス, 56ページ

国会議員村長―私、山古志から来た長島です
国会議員村長―私、山古志から来た長島です長島 忠美 石川 拓治

小学館 2007-11
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おすすめ平均 star
star一気に読んでしまいました

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2004年10月の中越地震で壊滅的な被害を負った新潟県山古志村。村の復興に全力で取り組んだ当時の長島忠美・山古志村村長の奮闘ぶりを描く。

震災後、長島村長は「リーダーとして迷わないこと、間違えないこと」を胸に誓った。村は電気、電話、水道、道路というすべてのインフラを失った。村民の生活を守り、命をつなぐためにはどうすべきかを考え、「村長として本当は一番したくなかった」全村民避難を決定。県庁と自衛隊に依頼し、2200人の住民を全員ヘリコプターで脱出させた。「ふるさとを離れたくない」という村民に対して責任を果たすため、「絶対にこの村を捨てない。必ず戻って緑の村を取り戻す」と自分自身に約束したという。

山古志村は2005年4月1日に長岡市と合併することが決まっていた。長島村長は山古志村であるうちに、復旧・復興計画を立て、財政面での裏づけを確保しようと考えた。2年で村に戻るという目標を掲げて県や国と交渉を続け、3月17日、復興計画をまとめ上げて村議会に提出。同じ時期に政府の山古志村復旧・復興支援プロジェクトも発表された。2005年9月、要請を受けて衆院議員選挙に出馬し、当選。国政の場で、日本の中山間地域の再生を訴えたいと意気込みを示す。

■2008/01/07, 日経ビジネス, 56ページ

イギリス経済再生の真実―なにが15年景気を生み出したのか
イギリス経済再生の真実―なにが15年景気を生み出したのか日本経済新聞社

日本経済新聞出版社 2007-11
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おすすめ平均 star
star英国の特異なポジションの再確認(大雑把な「つかみ」としては有効)

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15年連続で景気拡大を続け、世界での存在感も高まる英国。「英国病」と言われる停滞を味わった国はどのように復活し、飛躍を遂げたのか。マーガレット・サッチャー後の英国経済の動きを日本経済新聞の記者が追った。

自由・開放の方針を掲げたサッチャー改革の効果は、グローバル化が加速した1990年代半ば以降に表れた。国境を超える競争激化に直面した際、労働規制の緩やかな英国企業は余剰人員を抱え込むことなくリストラを完了。こうした人々が人手不足の金融サービス業へ移るなど、変化に対応できた。

ビッグバンから20年たった現在、金融街シティーでは様々な国籍の金融機関がサービスを競い、世界中から資金が集まる。金融業は英国のリーディング産業であり、過去10年の英国の成長のほぼ半分をもたらした。97年、トニー・ブレア政権は英金融サービス機構(FSA)を創設。銀行、保険、証券など複数の業態を一括して監督する仕組みを整え、変化の速いグローバル金融市場に対応した。

英政権は時に大胆に政策転換し、また時にきめ細かい政策を実行し、改革路線の基本を守りながら情勢変化に柔軟に対応してきた。英国内で進んだ規制改革や企業経営、金融戦略などから、日本が学ぶべき再生のヒントを探る。

■2008/01/07, 日経ビジネス, 56ページ

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