メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2007年9月17日~10月1日

「うるさい日本」を哲学する
「うるさい日本」を哲学する中島 義道 加賀野井 秀一

講談社 2007-08-18
売り上げランキング : 4286

おすすめ平均 star
star対話集かな?

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日本では駅、電車、商店街など、至る所で注意・勧告・お願いなどの放送が絶え間なく流れている。本書は、これらの音に猛烈な不快感と怒りを感じる2人の哲学者が、大多数の日本人はなぜ無関心なのかを探る往復書簡集。「言霊思想」「記号化・記号操作」といった側面から論じる。

言霊思想を持つ日本人は、言葉に魔力を感じる一方、意味に無関心なところがあり、氾濫する機械音も意味を詮索せず聞き流す。また、現実を直視するより、名称やそれについての言説など、記号を介して見る傾向がある。選択的で観念的な世界との関わり方が、騒音を騒音と感じさせないフィルターの役割を果たしていると分析する。騒音問題を切り口に、日本人や日本文化の実情を様々な角度から考察する。

■2007/10/01, 日経ビジネス, 161ページ

「まずい!!」学―組織はこうしてウソをつく (祥伝社新書 79)
「まずい!!」学―組織はこうしてウソをつく (祥伝社新書 79)樋口 晴彦

祥伝社 2007-07
売り上げランキング : 731

おすすめ平均 star
star今必要なのは「監督責任」の再認識か。
star企業の論理って怖いですね
starリスク管理に携わる人もそうでない人にも!

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著者に聞く-パーソナルライフ-樋口晴彦氏

不正や事故といった「組織の失敗」はなぜ起き、繰り返されるのか。パロマ、社会保険庁、関西テレビ放送などの不祥事から、失敗の背景を読み解く。危機管理のプロは内部統制の死角をどこに見るか。

──内部統制システムを構築する企業が増えていますが、企業の不正や失敗はなかなか減りません。

かつての国際標準化機構(ISO)ブームを思い出してください。多くの企業が「そこまでしなくても」というほど重いシステムを作り、現場で使い物にもならないマニュアルがたくさん出来上がりました。結果的に一部のコンサルタントが儲かっただけという例が多かった。

今、内部統制もブームとしか言いようがない。内部統制システムは最新の経営技術ではありません。本来、どんな組織にも内部統制の仕組みは存在します。商品の発注を担当者が行い、経理が伝票を処理し、商品の受領は倉庫係が担当するというように。システムがないから不祥事が起きるのではなく、それが機能していないことが問題なのです。システムを作るだけでは何も始まりません。

──内部統制を機能させるには、何よりトップ、企業で言えば社長のリーダーシップが不可欠と説いています。

内部統制は実務そのものです。社業の全容を把握する立場にあるのが社長で、そのために高い給料をもらっているわけですから。

「内部通告の制度を作ったが、幸い1件も通告がない」と胸を張った大企業の経営者がいました。それは制度が信用されていないだけなんです。逆に、別の企業では、社長が「何かあったら隠さずに言え」と言い続け、ようやく5年目になって報告が上がるようになった。社員が「本当に出しても大丈夫だ」という気持ちになるには、それぐらいの年月が必要なのです。トップが根気よく言い続けないといけません。

内部統制の運用に誰を充て、どう処遇するのかも社長の重要な仕事です。窓際の人を担当にするようではナメられるだけ。あるエネルギー会社は、監査役員の部屋が社長室よりも高い、眺望の良い最上階にありました。これぐらい監査を重く見ているのだという、社員に対する無言のメッセージです。

──不祥事などの原因を調べる時、自らを予断のない立場に置くよう心がけているそうですね。情報が氾濫する時代には難しいとも感じます。

不祥事を起こした組織の多くが調査報告書を作ります。この報告書が原因を究明するにはバランスを欠いていることが多いのです。嘘は書いていないから事実関係を調べるにはいい。でも、本編の中身と、冒頭に記してある概要のニュアンスが往々にして違う。特定の問題については最初から議論しない、あるいは不祥事の背景となった、業界や組織の構造上の問題を意図的に避けている場合があって、読み手をミスリードすることが非常に多いのです。

バランスを欠く部分については新聞や雑誌、インターネットなどで情報を補っていきます。ただし注意が必要なのはネットから情報を取る時で、別の情報ソースに同じ情報がないか、必ず検証を行います。意外な発想が載っていることがありますが、必ずしも事実に基づいていなかったり、議論の前提が途中で変わっていたりすることがあります。

ネットで検索をすれば一度に何万件もの情報が出てきます。上位にあるいくつかのサイトを見て終わる人が多いと思いますが、それは「人気がある」情報や主張を見ているに過ぎない。現実には情報の探索に時間をかけられない人が大半です。だとしたら他人の意見に安易に乗るなと言いたいですね。

樋口晴彦(ひぐち・はるひこ)氏
1961年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、国家公務員上級職として警察庁入庁。愛知県警察本部警備部長、外務省への出向などを経て現職。

■2007/10/01, 日経ビジネス, 165ページ

熱湯経営―「大組織病」に勝つ (文春新書 586)
熱湯経営―「大組織病」に勝つ (文春新書 586)樋口 武男

文藝春秋 2007-08
売り上げランキング : 1874

おすすめ平均 star
star本当に素晴らしい師弟経営者たち。
star真に人に優しい企業とは

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大和ハウス工業の会長兼CEO(最高経営責任者)が自らの経験を基に綴る経営論。ぬるま湯を排し、熱い心で仕事に立ち向かうことの大切さを説く。

1993年、著者は大和ハウス専務から、経営危機に陥っていたグループ会社、大和団地社長に就任した。支店増設、人員増強、若く実力ある社員の抜擢などを断行し、同社は2年後に黒字転換。7年後には売り上げが倍増し、復配を達成するなど再生を遂げた。

2001年、大和ハウスと大和団地の合併を機に大和ハウス社長に就任する。8年ぶりに戻った古巣は仕事をするフリだけの社員や上ばかり見る“ひらめ社員” が繁殖し、大企業病に陥っていた。著者はぬるま湯から脱却するために「熱湯経営」を目指す。役員任期の短縮、イントラネット上の社長宛「提案ボックス」の設置、事業部制の廃止と支店制への移行、支店長公募制の導入など、改革を進めた。2003年3月期は創業以来初の赤字決算となったが、2100億円の特別損失を一括処理して、その後V字回復を遂げた。

人間の能力の差は、“やる気”の差だと指摘し、経営者も社員も前向きなやる気、チャレンジする熱い心を持つことが重要だと強調。経営の師、人生の師と仰ぐ創業者・石橋信夫氏とのエピソードも数多く紹介している。

■2007/10/01, 日経ビジネス, 163ページ

プライドと情熱―ライス国務長官物語
プライドと情熱―ライス国務長官物語アントニア・フェリックス 渡邊 玲子

角川学芸出版 2007-07
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おすすめ平均 star
starコンディがライス長官になるまで

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コンドリーザ・ライス米国務長官の半生を綴る。知性、能力、人格とも傑出したスーパーウーマン“コンディ”がどのように育まれたかをたどる。

コンディの両親は愛情と思いやりと称賛を惜しみなく娘に与えた。音楽、バレエ、外国語、スポーツなど、あらゆる教育の機会を提供し、白人の子供の2倍、3倍も優秀であることを求めた。南部でも最も人種差別の激しい地域に生まれたが、差別に屈せず、誇りを持って生きるよう育てられた。

ピアニストを目指し、音楽を専攻したが、演奏家として生き残るには何かが欠けていると悟ると、政治学とロシア語専攻に転向する。19歳で大学を卒業。26歳でスタンフォード大学の助教授に就任し、38歳で過去最年少、女性初、黒人初の同大学副学長に任命されて頭角を現す。政界との接点は、現大統領の父、ブッシュ元大統領の国家安全保障会議メンバーに選ばれたのが始まり。現ブッシュ政権第1期では国家安全保障問題担当大統領補佐官に、第2期ではアフリカ系女性初の国務長官に就任。世界を飛び回り、問題解決に当たっている。

「プライドと情熱」を支えに、偉業を成し遂げてきたと記す。大のフットボールファンで、選手と婚約したことがあるという意外な側面も紹介する。

■2007/10/01, 日経ビジネス, 163ページ

「小さな政府」の落とし穴―痛みなき財政再建路線は危険だ
「小さな政府」の落とし穴―痛みなき財政再建路線は危険だ井堀 利宏

日本経済新聞出版社 2007-08
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我が国では、政府支出の中身に対する不信感などから、「小さな政府」を支持する人が多い。本書は単純な「小さな政府万能論」の限界を示し、真に効率的で公平な政府規模や、財政面から見た政府のあるべき姿を考察する。

現在、我が国の実態は、歳出面ではそれなりに「大きな政府」だが、税負担面では相当小さな政府である。その乖離が巨額の財政赤字で、将来世代に負担を転嫁する格好になっている。財政健全化は不可欠の政策課題。短命に終わった安倍晋三政権は歳出削減と成長促進による財政再建戦略を掲げたが、著者は増税なしで財政を再建するには5%を超える高い経済成長率が必要と分析する。成長という“神風”を期待するのはリスクが大きく、今後、増税を含む改革が必要だと説明する。

消費税率25%程度で大きな政府を選択する北欧では、個人レベルで受益と負担がある程度リンクしているため、負担率が上昇しても実質的な負担をそれほど重く感じない。政府支出の規模は「資源配分機能」「所得再分配機能」「経済活動の安定化機能」「将来世代への配慮」などの視点で決めるべきものである。地域間、個人間、世代間で多様化と格差の拡大が進行する我が国では、小さな政府への移行は必ずしも望ましいものではないと指摘する。

■2007/10/01, 日経ビジネス, 163ページ

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)関根 眞一

中央公論新社 2007-05
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おすすめ平均 star
star一般向け入門編としてバランスがよい
starお客様相談室の男
starエピソードは面白いが…

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西武百貨店「お客様相談室」のエキスパートとして長らく活躍した著者が、種々の実例を挙げてクレーム処理の極意を指南する。著者が定義するクレーマーとは、商品やサービスを提供する側にとって、ずばり「必要でない顧客」のことだ。事実、体験談には本物のヤクザや、詐欺師のごとき話術で言いがかりをつけてくる顧客が登場する。著者と繰り広げる持久戦は、場合によっては数カ月に及んだという。

「お客様の立場に立つ」と口で言うのは簡単だが、それは至難の業であり、著者は3年を要したと記す。多くの場合、企業の立場で守りに入る姿勢が問題を複雑化し、非効率を招いていると指摘。心底、顧客の立場に立った時、「クレームの8割は電話だけで解決できるようになった」と言う。

■2007/09/24, 日経ビジネス, 111ページ

日英蘭奇跡の出会い―海に眠る父を求めて
日英蘭奇跡の出会い―海に眠る父を求めて鶴亀 彰

学習研究社 2007-07
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おすすめ平均 star
star感謝の気持ちがわいてきます

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著者に聞く-鶴亀彰氏[ユゴビ社長]

父親が乗っていた潜水艦の沈没地点を探す旅をきっかけに、英国やオランダで同じような境遇にいる家族と交流を持つ。戦争が遺族に心の傷をもたらすのは万国共通だ。

──なぜ第2次世界大戦で戦死した父親を探す旅を思い立ったのでしょうか。

還暦を過ぎて、老後の人生について妻と考えるようになりました。まずは、いったん仕事を忘れて、ゆっくりと世界一周旅行しようと。2003年のことです。ところが、中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)騒ぎがあって、旅行を中断せざるを得なくなりました。仕方なく米ロサンゼルスの自宅に戻ると、以前に我が家にホームステイした方から1通の手紙が届いていたのです。そこに親父が乗船していた潜水艦の情報が書かれていました。

その方は海軍兵学校の卒業生です。滞在時に、私が海軍にいた親父の話をしたことを覚えていて、わざわざ調べてくれたのです。内容に驚きました。戸籍では親父の命日は7月22日だったのですが、正しくは7月17日、マラッカ海峡で沈んだ潜水艦「伊166」に乗船していたことが分かったのです。

本来の命日を追悼したら、親父に会いたい衝動がどうしても抑えきれなくなりました。伊166に関する資料を集めて沈没した場所を特定しました。マラッカ海峡の沈没地点にたどり着いた時は、達成感でいっぱいでした。

──その後、オランダで日本軍に父親が乗っていた潜水艦を沈められた女性や、伊166に魚雷を発射した英国人の艦長に出会います。

海に眠る父を求める気持ちは、私1人だけではありません。オランダの知人は、父親が乗っていた潜水艦を発見するために4回も海に潜っています。そこには、父親がいない喪失感があります。英国人の艦長も、15年間の潜水艦生活で心身ともにボロボロだったそうです。肉体の回復に15年かかったといいます。精神的な回復にはもっと時間がかかり、5回目の挑戦でヨットによる単独世界一周に成功した時、やっと癒やされたとのこと。「戦争に勝者はいない」とつくづく思いました。

私とオランダ人の子供、英国人艦長の孫と、第3世代が集まる会も開きました。彼らはクラブで午前2時過ぎまで歌って踊ったそうです。それで、翌日、言っていましたよ。「もしおじいさんたちが自分の孫たちは朝まで仲良くパーティーしていると知っていたとしたら、本当に魚雷を打ち込めたのだろうか」って。彼らの結論で、私も同意しますが、大切なのは相手への思いやりです。相手を見下すところから、戦争は始まります。

──日本の遺族に何も知らせない政府の対応を嘆いています。

伊166の遺族を探したら、今日までに60家族見つかりました。本を執筆したのは、ご家族に気づいてほしいという思いがあります。情報はあります。例えば、軍歴書は厚生労働省で入手できます。でも、この事実を知っている人はほとんどいないでしょう。戦争時は軍事機密だったかもしれませんが、今は違うはずです。厚労省に「なぜ広く告知をしないのか」と問うと、「人件費の問題が…」などと言いますが、要はやる気の問題ですよ。お国のために戦った人の遺族が闇に置かれている現状はおかしい。

佐世保海軍墓地の慰霊碑も、ひっそりと立っています。反戦ムードのため、メディアでもあまり取り上げられず、口コミでしか存在が伝わらない。遺族は、慰霊碑に自分の夫や父親の名前があるとうれしいのです。生きていた証明ですから。これは軍国主義ではなく、公のために働いた人に感謝する普通の気持ちです。でも、この国は、そんなことすら忘れていると感じます。

鶴亀 彰(つるかめ・あきら)氏
1941年鹿児島県生まれ。京都外国語大学卒業後、米国で経営コンサルタントに。10月、日本の工芸品などをネット販売する「YUGOBI(融合美)」を開始予定。

■2007/09/24, 日経ビジネス, 115ページ

フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法
フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法アル・ライズ 川上純子

海と月社 2007-08-03
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おすすめ平均 star
starビジネスは製品の競争ではない。フォーカスの競争である。
starさすが、と思わせる充実の内容と説得力

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「フォーカス」とは言葉通り、自社の研究開発や事業展開、市場を得意分野や優位性のある分野に絞り込む戦略を指す。米国のマーケティング戦略家として知られる著者は、多角化戦略や異業種を合併・吸収することで得られる「シナジー効果」がもてはやされた時代は終わったと見る。事実、米ウエスチングハウスや米ゼロックス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)といった巨大企業がこれまでに取った多角化戦略はことごとく失敗したと指摘する。

いまだに多くの企業は「(複数業種の)集合」という概念を信奉しており、例えば米国のウォールストリート・ジャーナル紙でさえもが「『集合』は今後も有効だ」と語っている。だが、著者は「いったん行動を起こしたら引き下がれない、まるで『ベトナム症候群』だ」と批判。新時代の経営モデルの成功例として取り上げられることが多いGEについては、「これからの企業はGEに学ぶな」とまで言う。

日本が不況に陥った原因の1つは、多くの企業が生産ラインの拡大に走ったことだと指摘。また、日本を代表する総合商社6社について、「売り上げは大きいが純利益がその0.1%にも満たない。フォーカスを失っている日本型コングロマリットの落日は遠くないだろう」と厳しい見解を突きつける。

■2007/09/24, 日経ビジネス, 113ページ

ルイ・ヴィトンの法則―最強のブランド戦略
ルイ・ヴィトンの法則―最強のブランド戦略長沢 伸也

東洋経済新報社 2007-08
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高級ファッションブランドの中でも、日本の女性たちから圧倒的な支持を受けるルイ・ヴィトン。しかし、そのブランドを保有する持ち株会社が「LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン」という巨大なブランドコングロマリットであることや、その戦略がいかなるものかはあまり知られていない。同社の傘下には、クリスチャン・ディオールやフェンディ、時計のタグ・ホイヤー、酒類のモエ・エ・シャンドンなど50を超える世界的ブランドが名を連ね、2006年のグループ売上高は約2兆4500億円に達している。

本書ではブランド戦略や新事業開発に詳しい著者が、同社の生産体制から価格戦略、販売戦略までを体系的に論じている。「研究者はブランド論が好きであるが、『コカ・コーラ』や『マクドナルド』など安価で手に入る日用品と、ルイ・ヴィトンのようなラグジュアリーブランドとのギャップは大きい」と言い、一般消費財とは異なる高級ブランドならではのマーケティングの法則と成功モデルを示す。

例えば価格に関する法則群では、同社の戦略から「バーゲンセール禁止の法則」や「オマケ・セット販売禁止の法則」「端数価格は採らない法則」などを抽出し、その根底にある大胆かつ緻密な計算を読み解いていく。

■2007/09/24, 日経ビジネス, 113ページ

ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ
ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つオリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム 糸井 恵

日経BP社 2007-08-30
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おすすめ平均 star
star古い事象も新しい事象も新しい観点から
starインターネットビジネスに関心ある方は必読!

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インターネットの世界を中心に勢力を拡大しつつある「リーダーなき組織」の強みを分析した書。伸びる企業には強力な求心力と新たな道を切り開くパワーを兼ね備えたリーダーが不可欠だという常識を覆し、むしろそうした「中央集権型組織」は多様化する市場で困難に直面すると指摘する。著者の2人は米国の起業家であり、オンラインオークションで成功を収めた米イーベイや、インターネットを利用した無料電話網を世界に広げるスカイプ・テクノロジーなど注目企業の経営に詳しい。

クモとヒトデは似ているが、クモは我々人間と同じく頭を切り落とせば死んでしまう。しかし、ヒトデには頭や心臓といった明確な部位がなく、ある種のヒトデは一部を切り落とすとそれが新たな固体へと再生する。著者はそれこそがこれから求められる「分権型組織」の特徴であり、前述の企業に加えて、ユーザー参加型オンライン百科事典のウィキペディアや、「本社はクモ型だが工場ではヒトデ型が機能している」としてトヨタ自動車の例を示す。

歴史をさかのぼっても、ヒトデ型集団が巨大なクモ型組織を凌駕した事例があると言い、17世紀に南米大陸を支配した最強のスペイン軍がさらに北を目指した際、アパッチ族に敗れた事例について解説する。

■2007/09/24, 日経ビジネス, 113ページ

新・学問のすすめ
新・学問のすすめ和田 秀樹

中経出版 2007-07-19
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star目を覆いたくなる「不勉強国民」日本人の行く末

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学歴コンプレックスのある人には鼻につくかもしれない。しかも、あの福沢諭吉の名著のタイトルを頂いてしまったのだ。怒る読者がいても不思議はない。

しかし、本書はブームとなった「学力」本とは一線を画す。一貫して「ゆとり教育」を攻撃してきた学力派の著者が、新しい「愛国心」のあり方を問う問題作だ。著者は灘高校から東京大学の医学部を出た精神科医。『和田式要領勉強術 数学は暗記だ!』などの著書がある、受験界のカリスマの1人。通信教育による受験指導を行いながら、勉強を軽んじる傾向のある昨今の風潮を批判してきた。

「愛国教育」についての見解がユニークだ。日の丸を掲げ、君が代を歌わせることに心酔する教育は愚かだと指摘。「あなたたちが本当に日の丸を守りたい、日の丸を堂々と掲げられる祖国にしたいのなら、何よりも勉強が重要である」と教えることが大人の務めであると喝破する。そうでなければ、日本はフィリピンのように、優秀な人材がみな米国などに移住し、専門職ですら国内では食べていけなくなって、学問ができない人ばかりが国内に残ってしまうだろうと警告する。

経済協力開発機構(OECD)の調査で学力トップとなったフィンランドでは、1990年、当時29歳の教育相が、資源も子供の数も少ない小国では、国を滅ぼさないためには勉強する以外ないと説き、国民を挙げて「勉強すること」が新しい愛国心の姿になった。

日本でも、世襲の身分社会であった江戸期でさえ、出世には役に立たないのに、農民や町人の子が寺子屋で読み書き、和算を教わっていた。和算には「開平」といって平方根が含まれていたそうだ。そうした勉強熱が庶民の子でも福沢の『学問のすゝめ』を読める教養のベースを作り、日本の近代化に一役買った。

日本の再生には、もう一度、勉強から始めるしかない。著者はさながら「勉強教」の教祖のように繰り返す。「私は、少なくとも1年に3200人ほどが入れる東大に合格できないような人に日本国の首相になってほしくない」「そうした人物が首相として外国人と論争して勝てるだろうかという素朴な疑問を感じてしまうのだ」「日本で、賢い人間が政治家にならない、教師にならないというのは、一般大衆が勉強ができることに憧れを持たないという意識に起因している」…。

いま一度、優秀な人間が照れずに「先生」になるべき時が来たのかもしれない。コンサルタントや作家やテレビタレントではなく、政治家や教師や技師として。【評者 東京都杉並区立和田中学校校長 藤原和博】

■2007/09/17, 日経ビジネス, 95ページ

失敗は予測できる (光文社新書 313)
失敗は予測できる (光文社新書 313)中尾 政之

光文社 2007-08
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おすすめ平均 star
star失敗の本質

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「歴史は繰り返す」のと同様に「失敗も繰り返す」と著者は指摘する。ある失敗は、過去に別の場所で起きた失敗と似通っている。類似性に気づき、連想ゲームのように思考を巡らせれば「失敗は予測できる」。多くの例を挙げ、失敗が予測可能なことを検証する。

予測できたら回避も可能。回避できないケースでは「第1構成要素」の人が「第2構成要素」のモノや作業を手放せなくなっているが、そこに「第3構成要素」を加えれば打開できる。飲酒運転で例えると、ドライバーが第1構成要素、車が第2構成要素だが、そこに第3構成要素として運転代行を加えると問題解決できるという具合である。

本書はさらに、近年多く起きている企画・開発段階での失敗を分析し、失敗を成功に変える方法を考察する。

■2007/09/17, 日経ビジネス, 95ページ

不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ 252)
不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ 252)江副 浩正

中央公論新社 2007-08
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おすすめ平均 star
star内容はよいが詰め込みすぎて少しわかりにくい
starリクルートの江副さん
starタイトルと主張は逆

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マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学
マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学藤巻 健史

光文社 2007-07
売り上げランキング : 304

おすすめ平均 star
star新興国投資に臆病過ぎます
star自己神話化の書
starタイミングも悪く、買う必要もないでしょう

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米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題に端を発した世界同時株安によって、金融市場の先行きへの不安感が高まる中、金融市場の今後の動向を読み解くヒントを示した書がランクインした。

『不動産は値下がりする!』(紀伊國屋書店大手町ビル店10位)は、リクルートグループ創業者として知られる江副浩正氏が、自身の苦い経験を踏まえつつ、我が国の不動産ビジネスの仕組みを解説した書だ。今は総じて上昇傾向にある都市部の不動産価格だが、今後は「土地の勝ち組と負け組の格差」が明確になると予測する。日本でも米国の「サブプライム・ショック」と同じ現象が起こる可能性を示唆している。

『マネーはこう動く』(紀伊國屋書店大手町ビル店11位、ジュンク堂書店大阪本店6位)は、投資アドバイザーとして幅広い層から支持を得ている藤巻健史氏による最新刊だ。短期的予測や流行に惑わされるなと言い、「固定金利で借金をして、株、不動産、外貨建て資産を買い、債券を売る」という基本軸に沿った運用法を推奨する。資産運用のノウハウよりも、「国の金融政策とは何か」「日銀の役割とは」といった基本知識が重要だと説く。

■2007/09/17, 日経ビジネス, 99ページ

会社は頭から腐る―再生の修羅場で見た日本企業の課題
会社は頭から腐る―再生の修羅場で見た日本企業の課題冨山 和彦

ダイヤモンド社 2007-07-13
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おすすめ平均 star
star現在の日本発経営者論の最先鋒
star読んでてなんだかすっきり
star歯切れのいい筆者独特の経営論

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コンサルティング会社の経営者や産業再生機構の専務兼COO(最高執行責任者)などを務め、企業や経営者の「病理」を見つめながら再生に従事してきた著者が、その経験を通じて感じた組織や経営のあり方、現在の日本企業の問題などに見解を示す。

何より強く感じるのは、日本で「経営や企業統治を担う人々の質が劣化している」ことだという。戦後日本の経済発展の背景には、ゲマインシャフト(共同体)的特性があった。暗黙の了解や予定調和の中で、強烈なリーダーシップなしでも組織は自律的に動き、企業は前進していた。経営者は真剣勝負で鍛えられる機会がなかった。

合理と情理、カネの論理とヒトの論理――。経営とは無数のトレードオフや葛藤の中で最適解を見いだし、それを実現していく厳しい仕事である。ダメになる会社とは結局、経営者や経営陣が弱っている会社だったという。企業の舵取りを担うにふさわしい経営者を鍛え選抜すること、さらにそういう人材を1人でも多く持っておくことが、会社を腐らせない最強の予防策だと指摘する。少資源国の日本は人的資源に頼るしかない。国の宝である現場の人材を食いつぶす前に、しっかりとしたリーダーと真の経営人材を作り直す必要があると訴える。

■2007/09/17, 日経ビジネス, 97ページ

おひとりさまの老後
おひとりさまの老後上野 千鶴子

法研 2007-07
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おすすめ平均 star
starズバズバしてますが。
star「フェミニズム」という船が女性を運ぶ行き先。
starさすが!

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少子高齢化社会では、女性が“家族する”期間は短い。配偶者がいても、平均寿命からすれば多くの場合、夫が先に逝く。せいぜい1人か2人の子供も、いつかは家を出る。結婚した人もしなかった人も、最後はみんな独りになる。一人暮らしのノウハウを身につけ、1人の老後を楽しもうと提案する。

1人の老後を楽しむには、自由になるお金と自分のための空間、つまり住まいが必要。実例を挙げながら、それらを実現する具体的方法を示す。住まいについては、各自の個室のほかに食堂などの共有スペースがあり、入居者が家事を共同で行うコレクティブハウス(共同居住型集合住宅)が広がりつつあることを示す。人間関係や介護資源を判断基準に、住む地域やスタイルを選ぶべきだと指摘する。

1人の老後には友人のネットワークが重要であることも強調する。2人で過ごしたい時は2人で、みんなと一緒にいたければみんなで過ごせるよう、各種パートナーの“在庫”を用途別に抱えておく。つらい時や悲しい時は泣き言を聞いてくれ、困った時は助けてくれる友人を調達し、メンテナンスしておくことも必要だと説く。

スキルとインフラさえ整えば、1人の老後は寂しいものでもかわいそうなものでもないと主張する。

■2007/09/17, 日経ビジネス, 97ページ

世界のどこにもない会社を創る!―セコム創業者の痛快な起業人生
世界のどこにもない会社を創る!―セコム創業者の痛快な起業人生飯田 亮

草思社 2007-07-31
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star無を有にされた努力の跡がぎっしり詰まった1冊です
starセコムを知りたい方へ

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セコム創業者の著者が自らの事業家人生を振り返る。

大学卒業後、父親が経営する酒問屋で働き、仕事の面白さ、楽しさを知る。次第に独立心が高まり、「努力をすれば大きくなる」「誰もやっていない」などの条件に合う事業を探し始める。欧州に警備専門の会社があると知り、1962年、当時の日本にはなかった警備業の日本警備保障(現セコム)を設立。だが、「自分の城は自分で守る」習慣が根づいている時代に警備業はなかなか理解されなかった。追い風となったのは64年の東京オリンピック。選手村などの警備を受け持ったところ、メディアに登場する機会が増えて認知度が高まり、契約件数が急増した。

66年、センサーが異常を感知すると回線を通して信号が管制センターに届く機械警備システム「SPアラーム」を発売。81年には家庭用安全システム「マイアラーム(現セコム・ホームセキュリティ)」を投入し、成長の基盤を築く。現在はセキュリティー事業のほか、医療事業や保険事業も手がけ、「困ったらセコム」と頼りにされる「社会システム産業」の構築を目指す。

常に仕事を楽しみ、前向きに新しいことに挑戦してきた著者。「生まれ変わっても事業家になりたい」「90歳まで現役で仕事をしたい」と綴る。

■2007/09/17, 日経ビジネス, 97ページ

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