メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2007年4月23日~5月14日
| 不動心 | |
![]() | 松井 秀喜 新潮社 2007-02-16 売り上げランキング : 250 おすすめ平均 ![]() 努力の重要性を改めて感じました だから、松井は凄い。 戦いに身を置く者の肉声Amazonで詳しく見る by G-Tools |
世界的スラッガーに成長したニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手が、自ら歩んだ野球人生の軌跡と、その過程で手にした人生訓を綴った書。言動が“優等生”すぎて面白みがないと評されることもある松井選手だが、本書では「僕も人並みに悩みます。苦しみます。失敗します」と告白。苦境を糧としながら前進する生き方の原点は、書名の「不動心」であると言う。
高校3年の夏、星稜高校が甲子園で敗れた試合では、5打席連続敬遠という悔しい思いをした。その後、読売巨人軍にドラフト指名されたものの、夢見ていたのは阪神タイガースの縦縞のユニホームだった。「もしもあの時…」という思いは拭いきれないが、運命を真正面から受け入れる不動心が結果として成功に導くのだと語る。
| 宋文洲の傍目八目 | |
![]() | 宋 文洲 日経BP社 2007-04-12 売り上げランキング : 180 おすすめ平均 ![]() 経験の尊さ いじめに悩んでいる人に読んでもらいたいAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-宋文洲氏[ソフトブレーン創業者] 逃げるのも価値がある-『宋文洲の傍目八目』
昨年、岐阜県の女子中学生がいじめを苦に自殺した時、日本には逃げ場を与えようとしない空気、常識があると指摘した。思い込みから逃げる、その大切さを説く根源にあるものは。
――来日して20年以上たちますが、当時と現在で日本は、中国は、そして世界は変わったと思いますか。
ものすごく変わったと思います。現象的なことで言えば、僕が日本に来た頃の中国は、経済発展が始まったばかりだったので、日本のカラーテレビをお土産に持って帰るとものすごく喜ばれました。それが今では、中国の家電メーカーでさえ薄型テレビを生産し、しかも儲からないような時代です。
日本も変わりました。先日、初めて来日してから半年ほどしてできた彼女と、たまたま連絡が取れました。彼女から「あの頃は、『このままつき合い続けても、明るい出口はないだろう』と思っていた」と言われました。
当時は、中国人留学生も珍しく、留学生がそのまま日本に残って僕のように起業することなど想像もできない状況でした。中国人の僕が東証1部に上場する企業のトップになっていたことを、彼女はつい最近まで知らず、とても驚いていました。
今までのエピソードは、毒にも薬にもならないような話ですが、苦言という意味では、日本も中国もこの20年の間に拝金主義が信じられないくらい進んだと思います。
――それは何が原因なのでしょう。
中国のことで言えば、鄧小平の改革開放が始まるまでは「人間は一切欲望を持ってはならない」と強いていたのを、改革開放でそのたがを外したのですから、反動が一気に出たのでしょう。文化大革命は人が本来持つ欲望を人工的に抑え、国家のために滅私奉公を強いた。人間の自然な振る舞いを抑制したのだから、文化大革命によって経済がおかしくなったのは当然です。
僕は長時間残業や、気合だけで部下を働かす上司など、日本の企業社会に根づいている振る舞いについて批判してきました。そこには滅私奉公の空気が見えるからです。僕はこの滅私奉公が嫌いです。幼少の頃、文化大革命で僕自身がいわれのない差別を受けた経験があるからにほかなりません。祖父が上海で貿易の仕事をしていたという理由で、「資本主義に染まった家族の一員」として、学校の同級生、そして教師からもいじめを受けたのです。
どんな人間も、自分の出自を変えることはできません。ですから、生まれ、国籍、性別といった自分の力ではどうしようもないことで理不尽な扱いを受けることは、絶対に認められません。相手の立場を無視して、自分たちの理由で一方的に振る舞うのはフェアではありません。こうした経験から、会社が社員を、株主が経営者や社員を、自分のもののように扱う態度は許せないのです。
――こうした理不尽な振る舞いをなくすためには、どうしたらいいのでしょうか。
「相手の立場になってよく考えなさい」というようなことを聞きますが、それは僕にとっては難しいことだと思います。人はなんだかんだ言っても、自分がかわいく、そして自分を一番に考えてしまうからです。しかし、自分と生まれが違おうが、考え方が異なろうが、相手は自分と対等であると考えることは、難しくないと思います。
相手を自分と対等と認めるには、自分の思い込みや信じ込んでいる常識からいったん離れることが大切です。自分が正しいと信じていた常識から逃げてみると、世界が開けてくるものです。だから「傍目八目」という言葉があるのだと思います。
宋文洲(そう・ぶんしゅう)氏
1963年6月中国山東省生まれ。84年中国・東北大学を卒業、90年北海道大学大学院を修了。92年ソフト販売会社のソフトブレーンを創業。
| デキる上司 | |
![]() | 白潟 敏朗 中経出版 2007-02-28 売り上げランキング : 860 おすすめ平均 ![]() お手軽なハウツー本、でも本当に使えば役に立ちますよ 今すぐ始められる! 上司の役割は「部下の力を引き出すこと」Amazonで詳しく見る by G-Tools |
経営コンサルティング会社、トーマツイノベーションの辣腕コンサルタントが、「部下のやる気を引き出し、成長させる法」を説いた書。著者はこれまでにも『上司のすごいしかけ』をはじめとするベストセラーを世に出すなど、実務に落とし込みやすい業務改善策を提案することに定評がある。
本書では、同社が豊富な経験から導き出してまとめた、即効性があり継続可能な20の策を公開する。いずれのアドバイスも、日常の何気ない慣習の中に潜む問題点を指摘して改善を促すものだ。例えば、部下とのコミュニケーション不足を補う策として、日常の挨拶では「○○さん、おはよう」といった具合に、必ず相手の名前を呼ぶことを推奨する。簡単な行為だが、部下との距離を縮めるのには有効な方法だと言う。また、部下と共通の話題がないなどと躊躇せずに、「最近どう?」と語りかけ、じっくり相手の話に耳を傾けようと提言する。
さらに、部下への「公平な接し方」に気を配れと助言する。上司も部下も分け隔てなく「さん」づけで呼ぶのはもちろん、どの部下とどのくらいの頻度で会話をしたか、また、ランチを何回共にしたかなどを毎日表にまとめて、不足や偏りが生じないように自己管理せよと説き、表の雛形を示す。
| 大企業のウェブはなぜつまらないのか―顧客との対話に取り組む時機と戦略 | |
![]() | 本荘修二 ダイヤモンド社 2007-02-17 売り上げランキング : 3594 おすすめ平均 ![]() よく知られた知見 もっと早く読みたかった 大企業とのビジネスを仕掛けようとする人向きAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は、企業にウェブ戦略の重要性を説く本は多いが、その多くはベンチャー企業向けのものだと指摘する。現在のシェア、ブランド、豊富な人材などの強みを持つ大企業には、リスクを取って新たな仕組み作りに挑むベンチャー企業とは異なるウェブ戦略が必要だと言い、本書の読者を「大企業のマネジャー」に絞っている。そうした立ち位置から見えるウェブの世界を描き直すとともに、有効に活用する方法を改めて整理する。
大企業における「ネット化」の効用は多岐に及ぶが、本書では「顧客とのコミュニケーションの活性化」に焦点を当てる。社内情報の共有化といった側面には言及していない。まずは多くの大企業の課題として、広報や宣伝には手慣れていても、一部の欧米企業に見られるような先進的なマーケティングコミュニケーションを試みることに消極的である点を指摘。そのうえで、ネット化が新市場の開拓や新たな顧客の創造に有効であると論じる。
重要な点は、ネット化を成熟市場と向き合う大企業の経営課題や組織課題に直結させることだと言う。急務でないがゆえに個々の部門が場当たり的にウェブを利用していることが、本書のタイトルの通り、大企業のウェブをつまらなくしている原因だと説く。
| リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功の法則 | |
![]() | 井上 富紀子 リコ・ドゥブランク オータパブリケイションズ 2007-04 売り上げランキング : 213 おすすめ平均 ![]() 井上氏の話が不要 最高のビジネス書。 サプライズの素晴らしさAmazonで詳しく見る by G-Tools |
今年3月、東京・六本木に誕生した複合施設「東京ミッドタウン」が話題になっている。同施設内に、世界トップレベルの施設とサービスを誇るホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業した。同グループとしては大阪に続く日本での第2号店だが、先行して東京での開業を果たした「マンダリンオリエンタル東京」や、開業を間近に控える「ザ・ペニンシュラ東京」などを相手に顧客獲得を競い合う、“東京ホテル戦争”に注目が集まっている。
本書は、ザ・リッツ・カールトン・グループの歴史と企業文化が育んだサービスの品質について、この分野の専門家ではない1人の女性が、顧客の立場から綴っていくもの。それまでの人生で高級ホテルとは全く縁のなかった人間が、あるセミナーで同グループ社員の講演に感動したことをきっかけに、全世界に同グループが展開する59すべてのホテルを巡った。高額な宿泊費を補うために、多くの渡航はエコノミークラスを利用したという。言うなれば本書は、“庶民感覚で体験した超高級ホテル見聞録”である。
また、東京店の総支配人に就任したリコ・ドゥブランク氏が、同グループを代表して、リッツ・カールトン流のサービスや理念・哲学を解き明かすコラムも随所に配置されている。
| いま伝えたい生きることの真実 | |
![]() | 竹田 和平 生活文化出版 2007-03 売り上げランキング : 495 おすすめ平均 ![]() 著者の人生を語った言葉たち 生きる支えになる本です。 早速読んでみましたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は「タマゴボーロ」などを製造する竹田製菓の社長。株式投資などで得た資金を「旦那道」に基づいて社会還元している。本書では、“心”を教わることが少ない現代人に、根本となる教えやお金の話など、幸せな人生を生きるための素養を伝える。
基本となるのは、輪廻転生・因果応報の考えだと主張する。人に与えたものはいずれ自分に返ると信じれば、世の中は平和になり、発展する。また、徳があると運が上向き、福が寄ってくるとして「貯徳」を勧める。元気は出せば出すほど増え、ケチれば幸運が逃げていく。元気を失いかけたら、朝日を拝み、充電するのがよいという。
孫に語りかけるような平易で味わい深い言葉で様々な人生訓を綴る。
| イラク自衛隊「戦闘記」 | |
![]() | 佐藤 正久 講談社 2007-03-15 売り上げランキング : 37889 おすすめ平均 ![]() 佐藤さん、おつかれさまでした。 現場からの獅子吼を聞け!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-佐藤正久氏[元自衛隊一等陸佐・イラク先遺隊隊長] 「意」なくば立たず-『イラク自衛隊「戦闘記」』
先遣隊長としてイラク復興支援を陣頭指揮、「ヒゲの佐藤」として日本とイラク両国で有名になった。現地で高い評価を得た自衛隊の活動は、会社経営に通ずる。
──イラクへの自衛隊派遣は是か否か、日本でも議論になりました。当事者としてどのように感じていますか。
我々の役割は1つだけです。困っている人を助けて自立を促すこと。そのために、道路を整備したり、給水施設を作ったりといった復興支援業務に当たりました。復興支援は民間企業でもできるでしょう。ただ治安が悪いから、自衛隊がやる。それだけのことです。
「米国に言われたから行くのだろう」と盛んに言う人もいましたよ。政府としては、派遣の狙いはいろいろとあったかもしれません。結果として、米国との信頼関係が強まった、世界における日本の発言力が高まったということはあるかもしれません。
しかし、イラクの人には全く関係ありません。困っている人がいるから助けに行くという分かりやすくてぶれない派遣理由があれば、国民の理解はもう少し違っていたのかなとは思います。私は最初から「日本国民の善意の代表者で、実行者だ」と言っていました。このフレーズは、小泉純一郎・前首相も気に入られたようでメールマガジンなどで使われたようですね。
──ヒゲを蓄えた姿が印象的ですが、これも現地に溶け込むために生やしたそうですね。
知らない土地ですから、自衛隊に好意を持っている人間をつかまえるのは重要な戦略です。企業も、海外進出では地元にパイプのある人間と動きますよね。
そして、現地の人とともに考えて結論を出すやり方を取りました。「結論はこうかな」と見えていても、最初からは切り出しません。こちらが最善策だと思っていても、押しつけてしまうと、現地の人から不満が出ます。これがたまると、反自衛隊、反日本の温床になりかねません。一緒に議論すれば、時間はかかりますが、相手も納得します。要望もたくさん寄せられました。これも、できる範囲で対応し、ダメだったらごめんなさいです。努力していることは相手にも伝わります。「引き受け力」が大事なのです。
こうした姿勢を示すことは、安全の観点からも必要でした。そもそも多勢に無勢ですから、むやみに争うわけにはいきません。治安が悪いとはいえ、人は腹を割って話せば通じるものです。良い関係を作れば、安全を確保できるし、仕事もやりやすくなる。現地に受け入れてもらえなければ、何も始まりませんからね。我々の活動は、自衛隊というと違和感があるかもしれませんが、イラク復興支援に携わった「佐藤商会」という会社と考えてもらえば理解していただけるのではないでしょうか。
──危険と背中合わせの現地で隊員を指揮するのは、平常時とは勝手が違ったのではないでしょうか。
私は典型的な楽観主義者だとよく言われます。理想を考えれば、現実とのギャップが浮かび上がります。これを埋めればいい。100点を追求しますけれど、取れっこないんですから、結果は51点あれば上出来です。そして、次の作業に目を向けていく。
最初は現地でも自衛隊の仕事を理解してもらえず、「帰れ」と罵声を浴びせられたり、石を投げつけられたりしたこともありました。でも、我々は日本の代表として善意を伝えるという思いがありました。思いがなければ、何も始まりません。「信なくば立たず」という言葉がありますが、私は「意なくば立たず」です。「意」がなければ、「信」ができるはずがありませんから。
佐藤 正久(さとう・まさひさ)氏
1960年福島県生まれ。PKO(国連平和維持活動)ゴラン高原派遣輸送、カンボジア和平などに従事。2007年1月に退官、政治家を目指す。
| 広告会社は変われるか―マスメディア依存体質からの脱却シナリオ | |
![]() | 藤原 治 ダイヤモンド社 2007-02-17 売り上げランキング : 10096 おすすめ平均 ![]() 電通のレベルの低さがよく出ている このままではマズいという気持ちは受け取りました この本こそが広告会社が変われないことを証明してしまったのかもしれない。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
戦後、マスメディアとともに発展してきた日本の広告会社だが、インターネットの出現、グローバル化の進展などを受け、大きく変化しつつある。30年以上、広告業界に身を置き、電通総研前社長を務めた著者が、今後の広告会社のあり方を提示する。
まず、広告会社を取り巻くメディア、広告主、消費者という3者の現状を解説する。特にメディアは、双方向性を持ち、時間的・空間的に制約のないインターネットの台頭によって大きく変貌を遂げつつあると指摘する。広告会社はスペースを押さえることで強みを発揮してきたが、無限に拡大し、所有者もいないインターネットではそれもできない。マスメディアと対極の性質を持つインターネットの普及によって、広告主の間では宣伝部が凋落する。消費者は“個化”が進み、マーケティングが効かなくなる。広告会社の経営は本質的な転換が必要だと分析する。
著者は、広告会社は今後、CRM(顧客情報管理)の技法を駆使する必要があると指摘する。消費者の個人情報を集積し、確実な購買者層に有用な広告を届けることが求められるようになるからだ。広告会社に共通する経営課題として、R&D(研究開発)戦略、組織論、人材育成などについても著者の考えを示す。
| ビジョナリービジネス 明確なビジョンを描けばビジネスは必ず成功する | |
![]() | マーク・アレン 和仁 達也 総合法令出版 2007-02-23 売り上げランキング : 435 おすすめ平均 ![]() 優れた「実践書」です きた~! 創業時の情熱を思い出しましたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
ニューワールド・ライブラリーを創設し、大手出版社に育て上げた著者が、フィクションを交えた物語形式で成功の法則を示す。登場するのはビジネスを立ち上げたばかりの「僕」マークと投資家バーニー。バーニーは的確な助言でビジネスの発展を支援する。
バーニーは最初に、すべてのビジネスにビジネスプランが必要であることを強く主張する。プランにはビジネスの内容と現在の状況、1年後、2年後に目指す到達点、5年後のゴールを描く。経営者だけでなく、従業員も一緒に「理想の状態」を思い描き、それを基に、具体的な数字で示したビジネスプランを構築する。成功するビジネスはすべてビジョンに基づいている。よく考え抜き、未来のビジョンを描いたビジネスプランはビジョナリービジネスの有効なツールだと指摘する。
経営には「危機に対応する経営」と「ゴールに導かれる経営」がある。前者は日常の問題に意識を奪われ、大局的にビジョンを描くことができない。詳細なプランに設定したゴールに照準を合わせ続けることが重要だと説く。
新鮮な見方ができるよう、時にはビジネスから距離を置くこと、従業員には気前よく利益を分配すること、価値ある組織に寄付することなど、経営者が実践すべき内容を具体的に提示する。
| 最強集団ホットグループ奇跡の法則―成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方 | |
![]() | ジーン・リップマンブルーメン ハロルド J.レヴィット 上田 惇生 東洋経済新報社 2007-03 売り上げランキング : 8198 おすすめ平均 ![]() 品がないけど言ってることは正しい 久々に熱い本 組織人には一読の価値ありAmazonで詳しく見る by G-Tools |
義務感や帰属意識ではなく、ミッションや仕事で結びついた自主的な組織内集団が「ホットグループ」だ。現在、企業などの組織は、組織の中に無数のホットグループを必要としている。スピードと革新の時代には、旧来の指揮命令型組織ではなく、ホットグループのような適応力と創造性にあふれる集団が求められるからだ。本書はその特性を解説し、ホットグループを育て、活躍させるための方策を示す。
ホットグループは計画的に作られるものではなく、環境が整った時に自ら芽吹くという。ホットグループは、ルール優先の沈滞した空気では育たない。自由な環境で、組織が本当に変化する必要がある危機の時に成長する。ホットグループを育てたい場合、親となる組織はむしろ具体的な行動は取らない方が賢明で、古いルールや制約を解除すればよいと説く。
ホットグループはミッション一辺倒の集団で、政治力に欠けるため、親組織の中で生き延びるにはリーダーの役割が重要になる。自ら手足を使う「指揮者型」、人材、予算、政治力で支援する「パトロン型」、頑なにミッションに取り組み、前進させる「炎の番人型」と3種類のリーダーを示し、それぞれのリーダーがいかにグループを主導すべきか、具体的な心得を述べる。
| 江戸の遺伝子―いまこそ見直されるべき日本人の知恵 | |
![]() | 徳川 恒孝 PHP研究所 2007-02 売り上げランキング : 12365 おすすめ平均 ![]() 「封建社会」ではない「江戸」の発見で大感激です! 江戸という時代を見直す良書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は「世界の中の日本という視点」で描かれ、特に江戸時代と、その時代を支えた「心」、現代に脈々と遺されている文化を紹介している。著者自身も述べているように、「どちらかといえば矮小で、極めて日本的で孤立したもののように感じられる」日本の歴史を、世界史的に見る視点は非常にユニークである。
著者は徳川宗家第18代当主の徳川恒孝氏。日本郵船副社長を経て、現在は同社顧問の傍ら、徳川記念財団の理事長も務める。
38年間にわたるサラリーマン時代は、2度のニューヨーク勤務、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、当時のソビエト連邦、ルーマニア、ブルガリアなど、50カ国を舞台に仕事をしてきた。いずれも歴史や民族の複雑な興亡が繰り返され、それぞれの民族の個性を学ばなければビジネスが難しい地域である。
今や世界はグローバル化の波に洗われ、多くの国が固有の文化や価値の喪失に直面し、日本がモデルとしてきた西欧文明自体の「品格」が喪失していることに、著者は警鐘を鳴らす。世界で尊敬を受けるためには、国として他に類のない文化や個性を持たねばならないと主張する。
例えば、「現在の過剰消費型社会から抜け出して新しい方向性を示すのに、世界で最も適しているのは日本人」という。自然との素晴らしい共生世界を265年も維持し、完全な省資源文明を築いた江戸時代の遺伝子を持っている日本人は、世界に貴重な手本を示すことができるそうだ。
本書は上下水道、交通網といった社会インフラを作った江戸時代を、同時代の西欧に劣らぬ洗練された社会だったと再評価している。
一方で、現在の日本に見られる教育の荒廃や拝金主義に対しては手厳しい。「武士の教育は人格教育が目的、教育の基本は人格」「江戸時代は手習い塾で、社会全体が子どもを育てていた。教育の責任は親なのか学校なのかといった現代の不毛な議論とは異なる世界があった」「社会の上部に存在した武士は、利潤追求だけが社会のルールではない世界をつくっていた」など、江戸の社会や人々の生き様が生き生きと描かれる。
単に歴史や文化を扱った類書と本書との差異は、著者の豊富な海外経験に基づく国際理解と深い教養に裏打ちされ、私たちが知る江戸時代をはるかに超える内容へと昇華されていることだ。日本人としての誇りと先人の偉大さを感じることのできる一冊である。【評者 関西大学教授 白石真澄】
| できる若者は3年で辞める!―伸びる会社はできる人よりネクストリーダーを育てる | |
![]() | 久野 康成 出版文化社 2007-03 売り上げランキング : 8001 おすすめ平均 ![]() すごい本です!!!! 期待外れ。 思いのほか前向きな気持ちになれる1冊。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
新卒採用から3年以内に退職する社員が3割以上――。そんな統計を突きつけられたら、管理職や人事担当者が「辞めさせない方法」探しに躍起になるのも無理はない。しかし著者は「去ろうとする若者を引き留めるな、むしろ他社でも活躍できるような人材に育て上げる仕組みを作ってしまえ」と提言する。それによって、結果的に自社に有能な幹部社員が残るのだと言う。
転職を躊躇しない若者の最大の特徴は、「管理職」になることを嫌い「専門職」で働き続けたいと願っていることだと指摘。経営者に対しては、彼らに会社を牽引するリーダーを目指すことの意義や魅力を伝えるような教育を行っているかと問う。会社とは何か、働くことの意味とは何かを膝を交えて伝える研修が効果的だと助言する。
| 変われる国・日本へ イノベート・ニッポン | |
![]() | 坂村 健 アスキー 2007-03-12 売り上げランキング : 2861 おすすめ平均 ![]() 視点の広さ 坂村健の今までの著作とは異なる風味 変わることを恐れないAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-坂村健氏[東京大学大学院教授] 「予測不能」を前提とせよ-『変われる国・日本へ』
国や分野をまたいだ情報が連鎖し、イノベーション(技術革新)が起きる時代。政府も「目標設定型」から「環境整備型」へと役割を変えるべきと指摘する。日本がイノベーションを生み続けるための条件とは。
――イノベーション(技術革新)が活発に生まれるようにするためには、政府の役割も従来と変えるべきだと主張しています。
インターネットの発達で世界中がネットワークでつながり、国や分野を超えて技術の相乗効果が生まれています。その一方で、技術がどう発展するかという具体的な予測が不可能な時代に入っています。
これは高度成長期との違いで考えれば分かりやすいでしょう。当時は政府が優先順位を決めて産業政策的な目標を立て、実現に向けて頑張ればよかった。IT(情報技術)政策で言えば、「スーパーコンピュータを開発しよう」というように。
でも、今は物質的には大抵の物が存在している時代です。その分、次の目標とその実現に向けた優先順位を定めづらい。例えば「ガンの撲滅」と「水害時の死亡者ゼロ」は、どちらが大事かなんて決めようがない。命に関わること同士を比較することは難しいし、どちらが先に実現できるかも分かりません。
ただ何かのきっかけで、どちらかの技術が突然ブレークすることはあり得ます。その技術が生まれた時に、きちんと技術を育成し、実を結ぶための社会環境を整えておくことが政府に求められるのです。
――時期と内容に関する具体的な目標設定がない分、派手さがありませんね。
今後の政府が担うべき役割は、「人材育成」「投資」「インフラ」の3つです。優秀な人材を育成しておくことに異論を挟む人はいないですよね。誰かが革新的なアイデアを思いついた時に、必要な資金が供給される仕組みも必要です。コンピューターを社会のあらゆる装置に組み込んだ「ユビキタスコンピューティング」のような新しいイノベーションを生むための社会インフラも欠かせない。これらに国が取り組むのは間違っていないはずです。
確かに歯切れは悪い。「20年後に2足歩行型ロボットが空を飛ぶ」という目標と比べれば、即効性がなさそうに見えるのも事実です。でも、「実現に5年かかる」などと時間が分かる内容なら、それはイノベーティブではないし、民間が独自に取り組めるんです。
いつ、どうなるか分からないものだからこそ、国が長期的な視点で支える必要がある。これは「大きな政府」「小さな政府」といった議論とも異なる一種のパラダイムシフトです。
――そのような将来予測が不可能なネットワーク時代に必要な人材を、学校ではどう育成すべきでしょうか。
まず、膨大な情報から良質な情報を見抜き、全体からにじみ出てくる何かをつかむ能力を養わせる訓練をすべきです。例えば膨大な書き込みがあるインターネットの掲示板。見るに堪えない記述もたくさんありますが、そうしたノイズを遮断しながら、何かを訴えかけている情報を拾いながら最後まで読んでいく。そうして全体からにじみ出てくる何かをかぎ分けていく。
これは、良質な物、きれいな物をたくさん見せ、きれいな物の考え方を知る訓練を続ければいい。
制度的には、複数の専門を持つ「ダブルメジャー」を実現できる仕組みを大学に導入すべきです。文学部で始めた研究の中身が経済的な側面に及び、最後は医学的な知識を必要とされるなどという時に、学部を移ることができないのはおかしい。実現には、学校・学部を超えて学力レベルを担保する共通試験の導入が前提となるでしょう。
坂村 健(さかむら・けん)氏
1951年東京都生まれ。慶応義塾大学大学院を卒業。社会のあらゆる物にコンピューターを実装する設計思想「TRON」の提唱者かつ、プロジェクトのリーダー。
| リーダーシップの旅 見えないものを見る | |
![]() | 野田 智義 金井 壽宏 光文社 2007-02-16 売り上げランキング : 588 おすすめ平均 ![]() リーダーシップに興味があるのなら、必読 理論的な論点が豊富 理念型おとぎ話Amazonで詳しく見る by G-Tools |
リーダーシップとは何か。それは組織での役職名ではなく、早計にあるなしを断じることができない資質であるが、確かに存在し必要とされている。著者の1人である金井壽宏氏は、経営管理と組織行動の視点からリーダーシップを論じている学者である。一方の野田智義氏は、旧・日本興業銀行勤務、欧米の複数の大学での助教授経験などを経て、現在はリーダーシップを研究するNPO法人(特定非営利活動法人)理事長に就く。
著者らは近年盛んなリーダーシップ論議について、「リーダーシップは先天的なものか、後天的なものかといった“神学論争”にはあまり意味がない」と一蹴する。後天的な環境がリーダーを育むと説き、「すごいリーダー幻想」に惑わされるなと指摘。類まれなるリーダーとして称えられる者たちは、自らなろうとしてそうなったのではないと断じ、彼らは信念を貫く「旅」を歩む中で、結果的にフォロワー(従事者・支援者)の共感を呼び起こしたのだと言う。
野田氏は、リーダーに共通する資質とは、「見えないものを見る力」だと説明し、金井氏が組織論の観点からその説を補完する。意思の力とぶれない姿勢(基軸力)こそ不可欠と論じ、それらが生まれる過程を解き明かす。
| 石の肺 アスベスト禍を追う | |
![]() | 佐伯 一麦 新潮社 2007-02-22 売り上げランキング : 204481 おすすめ平均 ![]() 重たい問い あえてドキュメンタリーとはいいたくない。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2005年6月、衝撃的なニュースが日本中を駆け巡った。兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場で働いていた78人が、アスベストが原因のガン、中皮腫などで死亡しており、近隣住民にも同様の被害が及んでいると、クボタ自らが発表したのだ。アスベストは30年以上前から危険性が指摘されていたにもかかわらず、建造物などに使われ続け、今も日本中に存在している。
本書は、長らく電気工として働いていた時期にアスベスト禍に遭い、それが原因で胸膜炎を患った体験を持つ文学作家が、自らが見た現場と、取材で得た被害者らの実情とを綴ったもの。日本の経済成長にとって有用であったがゆえに、危険性の広報や使用現場での管理がないがしろにされてきた実態を併せて告発し、それは国策の名の下に行われた“人体実験”だったのではないかと怒りの声を上げる。
アスベストを大量に使用する現場は、こうした問題が発覚する以前から作業員の間で“ヤバイ現場”と呼ばれていたと言う。著者曰く、そうした現場で汗を流す職人たちは「言葉で表現することが苦手な人々」であった。本人の意思とは無関係に危険な仕事に従事させられることになった人々の実態について、誰かが書かねばならないという思いに至ったと胸の内を明かす。
| フェアトレード―格差を生まない経済システム | |
![]() | ジョセフ・スティグリッツ アンドリュー・チャールトン 高遠 裕子 日本経済新聞出版社 2007-03 売り上げランキング : 1881 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
筆頭著者は、2001年のノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学教授。先進国主導の急激なグローバル化がもたらす経済の不均衡と格差の拡大に警鐘を鳴らす知識人の1人である。本書では、現在の世界の貿易ルールが途上国にとっていかに不公正であるかについて詳細な検証を施し、途上国を世界貿易システムに組み込んだ新たな枠組みを作り出す政策を提言する。
教授は「世界の選択は、先進国と途上国の大多数の民意を反映した公正な協定と、先進国の利益団体の意見を反映した不公正な協定のどちらかだ」と問題提起したうえで、「途上国の道徳的立場が、先進国よりもはるかに高いのは明らかである」と断じる。
この視座から、教授は世界経済の枠組みを包括的に協議するための「東京ラウンド」「ウルグアイ・ラウンド」、さらに2001年からの「ドーハ・ラウンド」に至る開発ラウンドに厳しい評価を加える。それらの必要性を認めながらも、公正さという点について無視できない問題を抽出し、最貧国への待遇や市場開放の方法など、克服すべき課題を明らかにする。
巻末には、世界の貿易協定などに関する文献や、報道でよく目にするキーワード・呼称を分かりやすく解説した「用語解説」を設けている。
| 右であれ左であれ、わが祖国日本 | |
![]() | 船曳 建夫 PHP研究所 2007-01-16 売り上げランキング : 2533 おすすめ平均 ![]() 国際日本、大日本、小日本、どの道を選ぶべきか 説得力あるモデルを提示―「中・日本」主義の提案 あとがきも秀逸Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「日本人論」は好まれる。外国人にシニカルにつつかれると身をよじって喜んだり。しかし国家としての「日本論」はからっきし苦手が多数派ではなかろうか。そこには、右とか左とかいうイデオロギーの匂いがついて回るからだ。
本書はその苦手を克服してくれる。右翼か左翼かなどと聞かれても困るが、普通に愛国心のあるまともな日本人が、国のあり方について軟らかく再考できる。
著者は東京大学教授で文化人類学者。ホリエモンや人気マンガ「ドラゴン桜」の敏腕編集者を輩出したゼミの先生としても名高い。
著者の分析によると「日本の対外的な国家体制は過去500年間、明治期から今に至るまでも、信長、秀吉、家康の3人が理想として追求した3つの国家モデルを使い分けてきた」という。
最も早くから西洋伝来の銃を戦術に取り入れた信長は、配下のキリシタン大名が天正遣欧使節を欧州に送るなどしており、キリスト教に寛容だった。仏教を抑える道具として利用しながら、国際的な場に日本が出ていく「国際日本」モデルを希求していた。
秀吉は、宣教師を追放するなど西洋の影響をいったん排除しつつ、東アジアに武力で進出。南蛮貿易を自らの管理下に独占し、中国に取って代わってアジアにおけるイニシアティブを取ろうとする「大日本」モデルだった。
家康は、国際的なキリスト教勢力からの脅威に対し鎖国によって国を閉ざした。一方で、国内に細かい支配の網の目を張り巡らせる緻密なマネジメントシステムを形成し「小日本」モデルの確立を意図する。
日本が目指すべき国家の姿は、ひたすら米国の傘下で生き永らえる「小日本」モデルでも、アジアを従えようとするマッチョな「大日本」モデルでもなく、フィンランドなど北欧諸国に似た「国際日本」モデルでもない「中庸国家」。3つの使い分けが大事と著者は指摘する。
しかし、その前提として「明治維新以来、日本は140年近くかけて、なすべきこと、走るべき競争はやり尽くした、という感があるのではないでしょうか」と問いかける。「あなたは、あなたの子供や後輩に、自分を超えてもっと頑張り、自分がやり残したことをしてほしい、と言いますか?」とも。読者は、これにどう答えるだろうか。
成長を絶対とするのではなく「美しく衰えるための戦略」が求められているのではないか。成熟社会を生きる技術が国にも個人にも問われているのではないか、と私には映る。【評者 東京都杉並区立和田中学校校長 藤原和博】
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中途半端なコスト削減策は、無駄や非効率の温床になるだけでなく、社員のやる気までそぐ――。多くの企業でそんな現実を目の当たりにしてきた著者が、コスト削減総合研究所を設立して「真の節約とは何か」を示す。
「人件費節約が最も効果的なコスト削減策」「コピーの裏紙を再利用せよ」「事務用品はカタログで一括注文せよ」。これらはすべて、実質的なコスト削減にはつながらないと指摘。問題の1つは効果測定の甘さにあると断じ、例えば自家発電機を導入しさえすれば電気代が下がるといった経営者の安直な考え方が、逆に経費増を招いていたケースなどを示す。さらに、「徹底して経費項目を洗い出す」「『削減可能マップ』を作成する」など、コスト削減の正しいステップを指南する。
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著者に聞く-パーソナルライフ-山脇由貴子氏[児童心理司] 解決の主役は父親-『教室の悪魔』
今学校で起きているいじめは、大人が想像する以上に陰湿で残酷だ。本書ではいじめ相談を受ける立場から、その恐るべき現実を訴えている。いじめは大人が解決すべきと著者は主張する。
――本書のいじめの事例を読んで、あまりの残酷さにショックを受けました。
この本を書こうと思ったのは、いじめの実態が全く世の中に伝わっていないことに危機感を覚えたからです。
大人たちは、自分が子供の頃を思い出して、いじめられても本人が頑張れば乗り越えられるんだと考えるようです。しかし、今のいじめは大人だって死にたくなるような陰湿なものです。
最近はいじめに携帯電話やインターネットが使われることも増えています。子供たちは大人の世界の誹謗中傷の方法を応用して、次々と新しいいじめの方法を生み出していきます。
いじめは「1人」対「残りのクラス全員」という構造です。いじめが起きている状態では、子供たちは被害者がかわいそうという感情を鈍磨させ、自分がいじめられないために必死になってしまいます。子供たちは正常な判断力を失い、まさに悪魔が取りついているような状態になるのです。
――大人がいじめに気づくにはどうしたらよいのでしょうか。
教師や親には絶対にいじめは分かりません。いじめを隠すことに関しては、加害者と被害者は協力関係です。被害者は大人にばれて、いじめが悪化することを恐れます。「ばれそうだから気をつけて」と加害者に忠告するほどです。でも子供たちは何もしないでと言っているのではなく、早く気づいて、早くどうにかしてと大人に訴えているのです。
親はある程度の時間を子供と過ごさなければ、いじめには気づけません。具体的には、子供が学校の不満を全然言わなくなると要注意です。
父親は子供と接する機会が少ないでしょうが、月に1度でもいいから時間がある時に子供と一緒に教科書を開いてみてください。今何を勉強しているのか、教科書が汚されていないかなどが分かります。ただし、子供に黙って勝手に見てはいけません。よかれと思ってしたことでも、信頼関係を損なってしまうと子供はいじめのような大事なことは話さなくなってしまいます。
――いじめが発覚した場合、親はどうしたらいいのでしょう。
子供は無力です。いじめは大人だけで解決しなくてはいけません。担任と被害者の親だけでなく、学校、保護者の全員が解決に取り組むべき問題なのです。対処法は本に書きましたが、学校や教育委員会に怒鳴り込んで解決を委ね、責任を追及することだけはやめてください。これは最悪です。
何をするにも子供に黙って親が勝手にしゃしゃり出てはいけません。必ず子供の了解を得てから行動してください。また学校とは敵対関係にならず、一緒に解決してくださいという態度で話し合いを進めることが大事です。
いじめの解決は、父親が主役です。父親がリーダーにならないと解決できません。子供との間でいじめのことが話題にならなくても、自分が危機の時にお父さんはこんなに一生懸命になって頑張ってくれるんだ、ということが子供に伝わるだけでいいのです。
私は子供が持っている苦境に耐える頑張りや許す力をすごいと感じています。子供たちは加害者を罰してほしいとは思っていません。いじめをなくしてくれと言っているのです。いじめがなくなれば子供は劇的に明るくなります。誰のことも悪く言いません。そのために私たち大人が果たす役割はとても大きいのです。
山脇由貴子(やまわき・ゆきこ)氏
1969年生まれ。現在、東京都児童相談センターに勤務。著書に『子育てをしない男には女のスゴサがわからない』(ポプラ社)など。
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「使えるアイデアを次々に発案できる人には特別な才能が備わっている」という“常識のウソ”を正し、誰もがアイデアを堅実に生産できる方法を指南する書。良いアイデアを「継続的に」「納期までに」発案し続けることを求められるプロの企画マンやクリエーターは、センスや思いつきに頼っているだけでは仕事にならないと説く。
著者は広告代理店、博報堂の広告クリエーターとして、アサヒビール「スーパードライ」のテレビCMや新聞広告、全日本空輸の企業CMなど、話題となった広告表現を数多く手がけており、そのキャリアは33年に及ぶ。本書では、試行錯誤を経て行き着いたという、独自のアイデア生産法を示す。
その1つが「3回3ラウンド」という方法だ。与えられた納期から逆算して、以下の作業を3回繰り返せと言う。まずは頭に浮かんだアイデアをすべて紙に書き出す。次に、それらを別の紙に整理しながら清書する。この段階では、一つひとつの案をじっくり精査することが重要なので「手書き」が有効だと言う。最後は、すべての案を一目で見渡せるようにオフィスの壁面に張り出して「選択」を行う。
こうした提案に加え、良いアイデアが生まれやすい会議の運営や研修の方法などを具体的に提示する。
| M&A 賢者の意思決定―成功企業に学ぶ4つの基本原則 | |
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M&A(企業の合併・買収)について解説した書は少なくないが、本書は焦点をM&Aの出発点となる「経営者の意思決定」に絞ったものである。M&Aの会計や法務などにかかわる実務のマニュアルではない。経営者はM&Aの有効性をどのように測り、いかに行動すべきかを様々な実例を基に指南する。裏を返せば、経営者の意思決定の段階で失敗しているM&Aが、現実には多いことを示すものだ。
M&Aの成功には、欠かせない基本原則があると言う。それは「買収のターゲット企業を正確に選ぶ」「投資テーマに合致した買収案件を締結する」「統合全体の中で真の必要性を見極め、優先順に行う」「想定外の問題に迅速に対応する」という4つの段階的意思決定である。そのうえで、例えば1つ目について、「自社の競争基盤を見極める」「コア事業を合理化する」など、成功企業が行った具体的な行動プランを抽出して解説していく。
さらに、著者と同じ米系コンサルティング企業の日本法人に属する訳者は、日本企業がM&Aに臨む際の注意点をまとめた章を設けている。例えば、M&Aの流行やブームに幻惑されたり、短期で決着をつけるものだと決めつけて経営者が意思決定を焦ると、失敗の可能性が高まると警告する。
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2030年、世界はいかなる変容を遂げていて、我が国はどのような地位にあるのか。三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部は「メガ国家の出現」と「地球環境問題に対応する技術革新」をキーワードに、今後20年間に起こり得る歴史的な変化を予測した。経済における民族国家単位での「競争」の時代は終焉し、人類は地球環境の保全を視野に入れた長期的繁栄、すなわち「共創」を目指すであろうと指摘。それに至る一大変革期を「大転換=メガ・トランスレーション」と命名した。
台頭する中国やインド、ロシア、結束強化に向かう欧州連合(EU)など、世界の約2割の経済力と人口のシェアを持つ国や国家連合、すなわち「メガ国家」が、国際社会に強力な影響を及ぼすようになると言う。一方、現在の超大国である米国の地位は相対的に低下し、我が国は手をこまぬいているとメガ国家の間に埋没してしまう可能性すらあると警鐘を鳴らす。
そのため我が国は、世界トップクラスの技術力を武器に、複数のメガ国家との「共生」を目指す方向に舵を取るべきだと提言する。大量生産・大量消費からの質的脱却を実現し、生態系の持続を図れる技術の開発と提供によって、新たな世界でも確固たる存在感を主張し得ると予測している。


努力の重要性を改めて感じました
戦いに身を置く者の肉声



よく知られた知見
井上氏の話が不要

















