メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2007年3月12日~3月26日

吉野家安部修仁逆境の経営学
吉野家安部修仁逆境の経営学戸田 顕司

日経BP社 2007-03
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吉野屋 安部修仁 逆境の経営学-逆風下の人心掌握術-『吉野家 安部修仁 逆境の経営学』

政府による米国産牛肉の輸入禁止措置を受けて牛丼の販売休止を余儀なくされた「吉野家」は、米国産牛肉にこだわり、他国産に乗り換えることはしなかった。他業態を展開する外食チェーンのM&A(企業の合併・買収)にも消極的だった。その後、米国産牛肉の輸入が解禁になり、牛丼の販売も再開、今は客足が戻ったと聞く。

だが、米国産牛肉の輸入禁止期間中に吉野家ディー・アンド・シーが取った一連の戦略を、今の段階で危機管理における「成功モデル」と称賛するのは時期尚早だろう。例えば、株式市場での時価総額は、豪州産牛肉を使い、牛丼主体の経営からの脱却を図ってM&Aを重ねた同業他社の方が大きい。危機を経て、吉野家が強くなったかどうかの評価は今後、お客や市場が下していくことになるはずだ。

本書は吉野家ディー・アンド・シーの安部修仁社長が、牛丼の販売休止期間中に何を考え、トップとしてどんな行動を取ったのかがまとめられている。安部氏本人が語る形式を取っているため、講演を聴いている感覚で読み進めることができる。

印象に残ったのは、米国側のルール違反が原因で、解禁された牛肉輸入が再び禁止になった時のエピソードだ。安部氏は社員を前に、戦略や対処方法の説明をするのではなく、第一声で「アッタマにきた」と発言し、社員の闘争心に火をつけたという。現場を知り、社員への目配りを欠かさない安部氏ならではの統率術だと感じる。

私自身、安部氏とは外食産業の業界団体などを通じてのおつき合いがある。数年前、私の父が亡くなった時に葬儀に参列してくださったことがあった。後で聞けば、出張の予定を繰り上げ、駆けつけてくれたのだという。「義理堅い人だなあ」。年齢的にも経営者としても後輩に当たる私は、安部氏に対してこんな印象を持ち続けてきた。社内でも同様の気配りをしているのだろう。だからこそ、トップが下した判断に社員がついてくる。

逆境にある時、企業のトップは平時以上に人心の掌握が求められる。動揺し、将来への不安を抱えた社員やスタッフをどう鼓舞し、前向きな集団に変えていくか。この点で安部氏は、社内のベクトルを揃えることに成功していたように思う。

外食産業は労働集約型の産業である。戦略が立派でも、現場が動かなければ画餅に終わる。その労働集約型産業のトップが危機に際して社員に何を語ったかを知ることは、業種を超えて参考になるはずだ。つまり、本書は「逆境の人心掌握術」としても読める。【評者 ワタミ社長 渡邉美樹】

■2007/03/26, 日経ビジネス, 115ページ

エディトリアル
エディトリアル大下 英治

講談社 2007-01-30
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「お笑い」という無限の市場に、芸人という“商品”を次々と送り込んで成長を続ける吉本興業。旧来のタレント事務所方式を捨てることで手にした独自の人材育成法やマネジメント戦略にノンフィクション作家が迫る。

同社の吉野伊佐男社長はお笑いブームを一過性とはとらえていない。ファン層は厚く強固で、「吉本には老若男女あらゆるファンを惹きつける芸人を市場に投入するシステムが整っている」と言う。島田紳助や「なんばグランド花月(NGK)」で根強い人気を獲得しているベテラン芸人から、ブラックマヨネーズや南海キャンディーズなど「吉本総合芸能学院(NSC)」出身の今を時めく若手芸人までを、重層的に配置する特異な仕組みを明かす。

■2007/03/26, 日経ビジネス, 115ページ

松下ウェイ―内側から見た改革の真実
松下ウェイ―内側から見た改革の真実フランシス・マキナニー

ダイヤモンド社 2007-02-17
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おすすめ平均 star
star一連の企業改革の理論的な裏づけ

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著者に聞く-パーソナルライフ-フランシス・マキナニー 氏[経営コンサルタント] 『松下ウェイ 内側から見た改革の真実』

松下電器産業の中村邦夫会長のブレーンとして約10年間、改革を支えた。松下が抱えていた数多くの問題と解決策をシンプルに整理してみせる。日本企業は「もっと顧客に寄り添うべき」と説く。

――松下電器産業はなぜ業績を短期間で回復させることに成功したのでしょうか。

一言で言えば、強力なキャッシュマネジメントと、アナログからデジタルへの製品転換を同時に実行したからです。デジタル化が進み製品のライフサイクルが極端に短くなる中で、アナログ時代の事業構造を引きずっていた松下は、売り上げを現金化する速度が遅く、それが経営効率を大きく悪化させていた。米デルや米ウォルマート・ストアーズと比較すると、松下の経営効率の悪さは一目瞭然でした。

松下が抱えている問題を整理すると、致命的なものだけでも30以上ありました。一般的な会社なら優先順位をつけて順番に解決していくところを、中村邦夫会長は一気に取り組んだ。生きるか死ぬかの状況で、順番に解決していく時間的な余裕はなかったのです。まさに、ノーチョイスだった。

上層部から命令するだけでは改革は成功しなかったでしょう。松下は約35万人の従業員を抱え、販売している製品も地域も幅広い。もはや、分裂するか結束するか、方法は2つしかなかったのです。改革を成功させたのは魔法ではなく、社員が危機意識を共有し、結束して小さな改革を積み重ねていった結果にほかなりません。

――中村改革の結果、プラズマテレビやデジタルカメラなど多くのヒット商品が生まれました。

過去の松下は、ビデオデッキの次は携帯電話といった具合に、大型商品が順番にヒットすることで支えられてきました。しかし、この好循環が止まったら存続すら危うくなるのです。プラズマテレビやデジタルカメラなど複数の製品を“V商品”として定め、同時にヒットさせる仕組みを作ったのは、こうした弱点を克服するためでした。

ヒット商品を作るために、過剰な自前主義とも決別しました。何が付加価値を生む技術なのかを明確に定め、それを競合に真似されないようにブラックボックス化したうえで、それ以外は外部の技術も積極的に活用するように切り替えたのです。

――創業者である松下幸之助氏が残した“聖域”も切り崩しました。

中村会長は幸之助氏の真意を最もよく理解していました。幸之助氏の残した本当に大切な教えは2つだけなのです。競合他社よりも顧客に近づける組織を作るということと、効率よく現金を使うという2つに尽きている。聖域として見られていた事業部制も、かつては顧客に近づく最も良い手段でした。しかし、若かりし頃の幸之助氏が今の松下のトップだったとしたら、インターネットを駆使し、米アップルのスティーブ・ジョブズ氏と同じ戦略を採用したに違いありません。

松下に限らず多くの日本企業にとって、今後、デマンドマネジメント、つまり本当の意味で顧客を知ることが最大の課題になっています。IT(情報技術)を使って24時間、顧客に寄り添うことが欠かせない。アップルは携帯音楽プレーヤー「iPod」と音楽配信サービスを組み合わせ、オーディオ製品の定義を変えて大成功を収めました。

ITを駆使し、自社の製品が顧客にどのように使われるのかを十分に理解したうえで、ハードをサービスで包み込んで提供していく。それができれば、松下は営業利益率10%の目標達成が可能だと思いますし、研究開発費を引き下げて10%以上の営業利益率を実現することも夢ではないでしょう。

フランシス・マキナニー(Francis McInerney)氏
30年間、日本企業へのコンサルティングに携わり、米ノースリバー・ベンチャーズを創業、現在はマネージング・ディレクター(代表)。

■2007/03/26, 日経ビジネス, 119ページ

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち
下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち内田 樹

講談社 2007-01-31
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おすすめ平均 star
star十把ひとからげにし過ぎ
star多様な価値観を是とするか、否とするか。
star消費主体として幅を利かせる日本人

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我が国の格差問題の原因について、1つの衝撃的な解答を示す書。若年層が社会から逸脱し下流に落ちるのは環境ややる気の問題ではなく、まともな生活を営むうえで決定的な能力が欠落していることによると説く。著者の専門は文学・思想史であり、統計的な分析や実地調査に基づく分析は用いていない。しかし、人間のあり方そのものを深く洞察する手法で「学び」と「労働」を放棄する若者の思考のメカニズムを、説得力をもって解明していく。

我が国で下流に落ちる若者たちは、人類史上初めて登場したタイプではないかと言う。彼らは生きるために必要な知識を学ぶという当然の行為を否定する。その裏には「無知のままで生きる不安を感じずにいられる」という絶望的な特徴があると指摘する。これは貧困や劣悪な生活環境によって「教育を受けたいが受けられない」といった、従来存在した下層社会の問題とは根本的に異なる。彼らにとって教育や労働は強制された「苦役」でしかなく、避けられるものならば避けて通りたい面倒ごとにすぎないと言う。

そうした若者が増殖する原因の1つは「孤立化」だと言い、社会の目に見えない相互扶助ネットワークから一度逸脱してしまうと、下流生活が定着化してしまうと憂える。

■2007/03/26, 日経ビジネス, 117ページ

徴税権力―国税庁の研究
徴税権力―国税庁の研究落合 博実

文藝春秋 2006-12
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おすすめ平均 star
starなかなか読ませる
star「金丸信摘発の舞台裏」とその後の自民党の迷走
star日本人の税金意識

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国税庁とは何か。元朝日新聞記者として長年同庁を担当し数々のスクープをものにして名を馳せた著者が、徴税機関が有する「巨額マネーを巡る情報収集力」という視点から、その強みや問題点を解き明かしていく。同庁については「秘密主義の官庁の中でもガードの堅さは群を抜いている」と指摘しながらも、内部の協力者から得た極秘扱いの「内部文書」を紹介するなどして、脱税事件の舞台裏にも迫る。

同庁の情報収集力と資料分析力は、「最強の捜査陣」と喧伝される検察庁をもしのぐと著者は言う。例えば1993年に起きた「金丸事件」。自由民主党元副総裁・金丸信氏の巨額脱税を摘発した同庁査察官の手腕を振り返る。

その一方で「与党と一体となって行政を進める大蔵省(現財務省)の外局にすぎない国税庁は、有力政治家からの圧力に弱い。(本件の成果は)やはり例外中の例外であった」とも論じる。「永田町からの圧力」により、脱税事件が単なる申告漏れとして処理された事例も少なくないと言い、事件としての立件に執念を燃やす地検特捜部との間に確執が生じることもあったと指摘する。例えば、91年の地産グループ総帥による43億円の申告漏れなど、政治家が同庁の調査に介入したケースを関係者の実名を挙げて告発する。

■2007/03/26, 日経ビジネス, 117ページ

金融市場の勝者―銀行・ファンド・企業、複線化する金融
金融市場の勝者―銀行・ファンド・企業、複線化する金融高田 創 柴崎 健

東洋経済新報社 2007-02
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銀行勤務を経て現在はみずほ証券市場調査部に在籍する著者らは、金融市場の主役はもはや銀行だけではないと言い、「ファンドも含めた投資家、さらに企業も含まれる金融の国盗り物語の時代に入ってきた」と指摘する。本書では、従来銀行だけが担ってきた金融仲介機能が「解体」された後の将来像を模索しつつ、「日本版ニューエコノミー」をキーワードに据えて関係する機関に生き残りの策を示す。

バブル崩壊後、我が国の企業は借入金・株・不動産に対して強い抵抗感を示してきた。この3つを著者らは「悪の枢軸」と呼ぶ。しかし今、その考え方に大きな転換が生じていることを種々の調査結果から明らかにする。また、企業全体に生じつつある資金の余剰は構造的な現象であり、自社の資本効率を重視した経営を行おうとすれば、企業は投資家的発想を持たざるを得ないと指摘する。とはいえ、1980年代にバブル経済を膨張させたような振る舞いに対しては慎重であり、パートナーとしての銀行にも、緻密な施策提案が求められるようになっていると言う。

グローバル化が叫ばれる今日にあっても、日本の市場ならではの特性は残ると言い、企業・銀行・一般投資家など金融市場の参加者が新たに構築すべき金融手段のモデルを示す。

■2007/03/26, 日経ビジネス, 117ページ

つっこみ力 ちくま新書 645
つっこみ力 ちくま新書 645パオロ・マッツァリーノ

筑摩書房 2007-02-06
売り上げランキング : 528

おすすめ平均 star
star本性を現したな!こんちくしょーめ!
star肩の力がぬける
star切り口はおもしろい

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著者は自称イタリア人戯作者。本書は現状の社会学を批判した『反社会学講座』などに続く3冊目の著作である。

「つっこみ」は、日本独自の笑いの仕組み。分かりやすさを高め興味を引きつける効用がある。人は「正しい」議論や批評、批判には興味を持たない。つっこみ力を磨き、「おもしろい演出」をすることが必要だと主張する。つっこみ力を構成する要素は愛と勇気とお笑い。どれも社会と人生を面白くするために欠かせない。一方、メディアリテラシーの要素は論理と批判だが、社会が求めているのは新たな価値を提供する創造力であり、論理力や批判力は役に立たないと指摘する。

職業についての考察、データとのつき合い方など、つっこみ力を駆使した著者の理論も展開する。

■2007/03/19, 日経ビジネス, 117ページ

みんなで国語辞典!―これも、日本語
みんなで国語辞典!―これも、日本語「もっと明鏡」委員会 北原 保雄

大修館書店 2006-12
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おすすめ平均 star
starこの本の企画そのものが素晴らしいマーケティング。内容は素晴らしいネタ本。
starシンプル・イズ・ザ・ベスト
starこれが新語?と驚く

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著者に聞く-パーソナルライフ-北原保雄氏[筑波大学名誉教授] 日本語って面白い-『みんなで国語辞典!』

全国から募集した11万語以上の新語、造語の中からイケてる1300語を厳選。 『明鏡国語辞典』の生みの親が、読者参加型で全く新しい辞書を編み出した。  日本語にもっと関心を――込めたメッセージは明快だ。

――全く意味が分からない、ついていけない言葉がたくさんあります。言葉の世界が広がったのか、乱れているのかどう考えればよいのでしょうか。

この本で取り上げた言葉の多くは「若者言葉」です。仲間うちだけで通じる隠語を作って流通させているのです。警察に「ホシ」など特殊な隠語、符丁があるのと同じ。若者は昔から言葉遊びが大好きです。それ自体は別に悪いことではないと思います。

ただ、少し度が過ぎている、この手の言葉が氾濫しすぎかなという気もします。今の子供は、学校で友達と話し、学校が終わっても友達とメールばかりしている。家に帰っても共働きで両親は不在。もちろん同居している祖父母もいない。おのずと友達だけでしゃべる時間が長くなります。生活は「話し言葉」が大半で、そうなると仲間だけで流通する新しい言い回しが次から次へと生まれるのです。「ちゃけば」が「ぶっちゃけ話」つまり「本音で話す」と言われると、略し方はなるほどと思う半面、聞いても分かりません。

驚くほど寿命も短い。「イマい」「ナウい」なんて今では使いませんよね。本書で取り上げた言葉も数年後には3分2が消えているでしょう。言葉も消費されているのです。まさに消耗品です。

――辞書というのは言葉が分からない時に意味を調べるものですが、『みんなで国語辞典!』は発想を変えましたね。

自分たちで辞書を作っちゃおう、言葉を定義してみよう、ということです。教育的見地からは、言葉を定義する作業は非常に良いことなんです。いかに曖昧な使い方をしているのかが自覚できる。米国の学校ではDefinition(定義)の授業があるといいます。例えば「母」について30字以内で定義しなさい、と。では母の反対語は何だろう、父か子供か、という具合に物事の概念、論理などを考えていくのです。

言葉を意識して、自分の言葉の使い方に自覚を持てば、自然と良い言葉を使おうと考え、言葉の力が身につきます。語彙を豊富にしようと思うなら、書き言葉で論理的に書かれた長い文章を読むべきでしょう。仲間との会話やメールが悪いとは言わないが、それだけでは言葉は豊かにならない。文化審議会の国語分科会長をしていた2003年、「自ら本に手を伸ばす子供を育てることが大切」という内容の報告をまとめたこともあり、とにかく本を読むべしというのが私の考えです。

――昔からある言葉で、使い方が大きく変わったものもあります。

「死亡」はその一例です。生命活動が停止する意味ですが、本書では、トイレにたどり着けなかった状態、ブームの去った芸能人がテレビに出演しなくなることなどの意味も紹介しました。実際にこういう意味で使われているかどうかを確認する作業の方が大変でした。編集スタッフがインターネットのブログなどを「ググって」1つずつ調べていったわけですから。

以前に出した『問題な日本語』もそうですが、私の願いは日本語ブームが続くこと。日本人が日常的に日本語に関心を持って、日本語を大事にしていってほしいということです。

今回の『みんなで国語辞典!』は2006年版ですが、いずれ内容をアップデートし、新バージョンを作ろうかと思っています。10年後、20年後に読み返した時に日本語の変遷が分かれば楽しいじゃないですか。

北原保雄(きたはら・やすお)氏
1936年生まれ。東京教育大学大学院修了。『明鏡国語辞典』など20冊以上の辞書編纂に携わる。2004年から日本学生支援機構理事長。

■2007/03/19, 日経ビジネス, 117ページ

「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た!
「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た!馬場 康夫 ホイチョイ・プロダクションズ

講談社 2007-01-20
売り上げランキング : 2064

おすすめ平均 star
star泣かす
starすばらしい名著
star映画の宣伝なんてとんでもない、歴史本として秀逸

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小谷正一氏、堀貞一郎氏という2人のプロデューサーを軸に、日本のエンターテインメントビジネスの草創期を振り返る。

小谷氏は毎日新聞事業部長として各種のイベントを手がけ、プロ野球パ・リーグの創設にかかわる。その後、日本初の民間ラジオ放送を起こし、電通でラジオ・テレビ局長を務め、大阪万博では複数のパビリオンをプロデュースした。常に新しい試みに挑戦する姿は井上靖氏の小説のモデルとなった。小谷氏の電通時代の部下が堀氏。人気テレビ番組「シャボン玉ホリデー」や「11PM」の立ち上げにかかわり、万博では小谷氏の右腕として活躍した。

小谷氏は万博の準備のために視察したディズニーランドに魅せられ、後半生では「ディズニーランドを日本に持ってこられたら…」が口癖だった。実際のディズニーランド招致には、三井・三菱という日本を代表する企業グループが動く。電通から三井不動産の関連会社であるオリエンタルランド常務に出向していた堀氏は、ディズニー首脳陣の心をつかむプレゼンテーションともてなしで、土壇場の逆転でディズニーランドの浦安招致を実現する。

ディズニーランド招致に賭けた2人の思いや、エンターテインメントビジネス草創期の活気が伝わってくる。

■2007/03/19, 日経ビジネス, 117ページ

お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす
お金より名誉のモチベーション論  <承認欲求>を刺激して人を動かす太田 肇

東洋経済新報社 2007-01-04
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おすすめ平均 star
starほりえもんの反動か?お金にはさほど魅力がないと?
starものの見方、考え方を養える
star人事管理には欠かせない一冊!

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ビジネスマンの多くは、経済学が想定しているような、お金のためだけに働く「経済人」ではない。むしろ目先のお金よりも他人から認められ、尊敬されることを重視する「承認人」である。ただ、その「承認欲求」を表に出しにくいのが日本人の特徴。本書は日本の組織や社会構造を分析し、日本人の認め方、認められ方を考察する。

日本では、大きな成果を上げたり、卓越した実力を発揮することで積極的に認められるよりも、義理を果たしたり、周りとの調和を保つことで消極的に認められる場合が多い。著者は前者を「表の承認」、後者を「裏の承認」と呼ぶ。裏の承認を重視する風土は画一性と調和を重んじる農業社会や少品種大量生産の工業化社会には適していたが、個性や創造性が求められる情報化社会では障害になる。

閉鎖的で流動性に乏しい日本社会では、名誉や尊敬が全人格的な序列につながり、誰かがそれを手にすると誰かが失う「ゼロサム」の関係になりがちだった。「表の承認」の文化を広げるには、名誉や尊敬を全人格的評価から切り離し、多様な基準で認める「名誉の分かち合い」が必要だという。様々な企業の取り組みを紹介しながら、隠れた「承認欲求」を引き出し、インセンティブとする手法を解説する。

■2007/03/19, 日経ビジネス, 117ページ

なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実
なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実マイケル・J・シルバースタイン ジョン・ブットマン

ダイヤモンド社 2007-01-13
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おすすめ平均 star
star軸をしっかり持って勝負しよう!ということだ。
star私には参考になった。前著「何故高くても~」と一緒に読む必要性は?
star一人二極化消費の実態と企業が進む方針を示した良書

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ベストセラー『なぜ高くても買ってしまうのか』の続編。世界中のミドルクラス消費者は、限られた所得で最大の価値を実現しようとしている。自分にとって重要な少数のカテゴリーでは「ワンランク上の消費」を楽しみ、それ以外のカテゴリーは「ワンランク下の消費」に徹するか、「なしで済ませる」。本書は、「ワンランク下の消費」市場の大きさや成長性を解説し、「1人・1家族2極化消費」が生まれる背景を考察する。

様々なミドルクラス消費者の事例を紹介し、購買行動の裏にある心理や感情を分析する。ある一家は家計を切り詰め、その分でクリスマスに大型液晶テレビ1台と韓国メーカーの13型テレビ3台を購入した。30代のキャリアウーマンは洋服などに重点的に投資し、食事はスナック菓子で済ませる。消費者が家族や自分にとって大切なものを手に入れるために日々「選択」し、「宝探し」のように価値ある一品を追い求めている様子を描く。

一方、こうした消費者の心理や感情的な背景を理解して成功している企業も紹介する。毎月、品揃えを一新し、「今ここでしか買えない」演出をする独チボー、大型小売店より便利な場所にあって、店舗規模もほどよい米ダラー・ゼネラルなどを取り上げる。

■2007/03/19, 日経ビジネス, 117ページ

ゾウを倒すアリ
ゾウを倒すアリ廣川 州伸

講談社 2007-01-23
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おすすめ平均 star
star夢の卵が見つかるはず
star視点を変えて夢をつかもう!元気の出る本です!
star頑張る中小企業にエール

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大企業(巨ゾウ)に一歩も引けを取らない闘いを挑み勝利した中小企業(アリ)の戦略には、共通の必勝方程式がある――。コンサルタントとして企業間のシェア争いや、ベンチャー企業が台頭した数多くの事例を知る著者が、アリの取るべき基本戦略を示す。

組織力でかなうはずのない巨ゾウにも、従業員が顧客との1対1のきずなを深める戦術なら勝算はある。例として「競争しない、比べない」という経営哲学で成功した居酒屋チェーンを挙げ、繁華街でなく住宅街に出店する、チェーン店の標準化を否定し地域色を優先するなどの知恵を紹介する。そのほかに「一気に世界市場に飛ぶ」「ニッチ市場で特許を取得し一気に業績を伸ばす」など、元気な中小企業が仕掛けたあの手この手を分析する。

■2007/03/12, 日経ビジネス, 133ページ

負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える
負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える大橋 弘昌

ダイヤモンド社 2007-01-19
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おすすめ平均 star
star平易な内容だが一読の価値はあると思う
star日本人は日本人の交渉人のやり方が一番!
star交渉を放棄した現代日本への警鐘

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著者に聞く-パーソナルライフ-大橋弘昌 氏[ニューヨーク州弁護士] お人よしは尊敬されない-『負けない交渉術』

日本企業に交渉力がつけば鬼に金棒。もっと世界で活躍し、稼ぐことができる。そんな持論を持つ著者が100社以上の弁護経験で得た交渉ノウハウを公開した。在米弁護士が伝授する交渉の極意とは。

──今回、交渉術をテーマに本を書こうと思われたきっかけは何でしょうか。

米国に進出している日本企業のお手伝いをしていて、歯がゆい思いをしてきました。製品もサービスも一流なのに、経営では苦しんでいるところが多い。その大きな原因は交渉力の欠如にあると思います。

日本企業が海外で商品を販売する場合、値段の交渉で外国企業に押し切られることが多い。その結果、せっかくいい商品なのに少ない利幅に甘んじています。また、特許についても、外国企業に安く買い叩かれるか、ただ乗りされています。

さらに、日本企業で働く外国人幹部にも甘く見られています。日本人は気まずい雰囲気になるのが嫌で、彼らの分不相応な要求をのんでいる。その結果、厚遇しているケースが多く、人件費が膨らんでいます。

せっかくいい製品やサービスを提供できても、交渉が苦手な企業は負け組になってしまう。世界一のクオリティーを誇る日本企業は交渉術さえ磨けば、もっと利益を出せるはず。そんな思いから本を出そうと思いました。

──どうすれば交渉に負けませんか。

まず西洋人の考え方を理解しなければなりません。例えば、西洋では相手にとって耳障りの悪いことであっても、自分の利益を堂々と主張することは、当然と受け止められています。自分の意見を聞いて相手はムッとしますが、本音では「敵ながらあっぱれ」と感じているはずです。逆に、すぐに譲歩する相手は楽ですが、内心「この会社とつき合って大丈夫か」と不安を抱いています。要するに、お人よしでは尊敬されないのです。

その他にも、「最初のオファーは必ず相手に出させる」「交渉はずうずうしく高いところから始める」「嘘はダメ。ただし真実をすべて伝える必要はない」といった基本的な交渉の進め方があります。

いずれも誠実さやモラルを大事にする日本人には抵抗があるかもしれませんが、交渉を優位に進めるには必要なことです。

──何だか、交渉術を磨くと、とても嫌な人になるような気がするんですが。

私も争い事を好まない日本人です。弁護士になりたての頃は、米国流の交渉術はドライで思いやりに欠けるような気がしていました。しかし、交渉術を使うことは、決して相手を欺くことではありません。モラルや誠実さを欠いた行為でもありません。実際、米国ではビジネス上はタフな交渉をしていた人が、社会貢献に熱心で、情が厚い人だったりします。

「私は日本社会で生きていくから交渉術なんて関係ない」と思う人がいるかもしれません。しかし最近では、日本にいても、外国人と交渉する場面は増えています。例えば、外国企業が日本企業や土地を安く買い漁り、短期で利ざやを稼ぐケースが目立ちますが、本当にあれほど安く売る必要があったのでしょうか。ここでも日本人の交渉力の乏しさが垣間見えます。

また、最近では日本のアニメや音楽などが世界的に注目されています。目に見える製品以上に、目に見えないソフト分野は値段の相場がはっきりしません。交渉力がなければ、今後、買い叩かれてしまうでしょう。

ビジネスの成果を最大にするためにも、日本の素晴らしいモノや文化を世界に広めるためにも、日本人には交渉力が必要なのです。

大橋弘昌(おおはし・ひろまさ)氏
1966年東京都生まれ。慶応義塾大学卒、百貨店や証券会社を経て、ニューヨーク州弁護士資格を取得。日本企業の現地法人など100社以上の顧客を持つ。

■2007/03/12, 日経ビジネス, 137ページ

ねばちっこい経営 粘り強い「人と組織」をつくる技術
ねばちっこい経営 粘り強い「人と組織」をつくる技術遠藤 功

東洋経済新報社 2006-12-15
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おすすめ平均 star
star粘りが無いとお嘆きの貴兄に・・・。
star当たり前のことがなぜできないのか
star確かにそうです

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世界各国に拠点を持つコンサルティング会社、ローランド・ベルガー東京オフィスの会長に就く著者が、強い組織に不可欠の資質として「継続力・粘着力」を挙げ、日々の経営に生かす法を示す。著者はこれまでにも従業員の「現場力」や、業務の「見える化」といったキーワードとその実践法を提唱し支持を得ている。本書で説く「継続力・粘着力」については、これまでの提案と同様、「当たり前」のことのようだが、それをできずに敗れ去る企業が少なくないと指摘している。

では、「続けられる会社」は何が違うのか。今や世界ブランドとなったキヤノンの複写機やレーザープリンター、AF(自動焦点)一眼レフも、実は研究着手から製品化までに20年近くの歳月を要して生まれた「忍耐と執念の賜物」だという。また、40年間続くデンソーのQC(品質管理)活動や、店舗経営相談員全員による会議を30年以上、1500回を超えて開催し続けているセブン-イレブン・ジャパンの事例から、社員一人ひとりが時代を超えて積み上げたナレッジ(知識)がいかに強固なものであるかを示す。

それとは逆に「粘着力欠乏症」に感染している会社の悪しき慣例や失敗例を挙げ、経営理念の構築や採用の工夫による治療法を指南する。

■2007/03/12, 日経ビジネス, 135ページ

ワーキング・プア―アメリカの下層社会
ワーキング・プア―アメリカの下層社会デイヴィッド K.シプラー 森岡 孝二

岩波書店 2007-02
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おすすめ平均 star
star努力が報われない。

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多少の違いこそあれ、我が国の社会が着実に“米国化”している現象を否定しきれる人はいないだろう。昨今議論の的となっている「格差問題」についても、その行方を占うヒントのいくつかは米国社会が歩んだ履歴の中にあると言える。本書は、我が国に先んじて格差社会の悲劇が定着化した米国の一面を綿密な取材によって浮き彫りにしたリポートである。

「ワーキング・プア」とは「働く貧困者」を指す。持たざる者の努力が報われる、いわゆるアメリカンドリームのイメージとはあまりに懸け離れた最下層の人々の生活が、本書には生々しく描かれる。我が国への大きな教訓の1つは、そうした人々の数や実態についての当局の調査や統計が当てにならないということだ。著者は「生活が困窮していると当然考えられる人々の数を(政府は)過小に見積もり、現実を美化している」と批判し、さらに数字に表れない、より深刻な問題として、下層社会全体が言いようのない絶望感に苛まれている現状を危惧する。

我が国にも「格差問題」を扱う書は増えているが、学術的見地からの研究や個別の体験談を綴ったものがほとんどである。本書のようにジャーナリストが重層的に事実を編み込んだ記録は少なく、貴重な資料になり得るだろう。

■2007/03/12, 日経ビジネス, 135ページ

成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者
成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者レイ A.クロック ロバート・アンダーソン 野崎 稚恵

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「レイ・クロックは頭がおかしいか、夢追い人か、その両方だ」と周囲からささやかれていた男が、後に世界最大のハンバーガーショップチェーンを率いることになる――。本書は、現在世界100カ国以上に約3万店を展開するマクドナルド王国を一代で築き上げた事業家の足跡を追った半生記。

「未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる」という言葉が、クロック氏の座右の銘だという。それに反することなく、小さなセールス業を営んでいた彼がマクドナルド兄弟の店と出合い、この店に賭けようと決意したのは既に52歳の時であった。本書は彼の成功秘話だけではなく、事業拡大の過程で遭遇した廃業の危機や、冒頭のセリフのような対人関係の歪みまでもを淡々と描いていく。書名の『成功はゴミ箱の中に』も、実際に彼が深夜に競争相手のゴミ箱を漁り、仕入れや消費の数字を調べたというエピソードに由来するものだ。高い志と自らの事業の正当性、合理性を寸分たりとも疑わない信念によって、アメリカンドリームを成し遂げていく様が克明に描き出されていく。

巻末では日本マクドナルド創業者、藤田田氏をよく知る「ユニクロ」の柳井正会長とソフトバンクの孫正義社長による特別対談を掲載している。

■2007/03/12, 日経ビジネス, 135ページ

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