メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2007年11月19日~11月26日

三角合併解禁後のM&Aの税務
三角合併解禁後のM&Aの税務長谷川 芳孝

中央経済社 2007-09
売り上げランキング : 55196

おすすめ平均 star
star図表と索引が充実してわかりやすかったです

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昨年施行された新会社法により、我が国でも三角合併が合法化された。三角合併とは、例えば日本企業にM&A(合併・買収)を実行しようとする外資系企業が、現金を用いずに日本企業の株式と外国にある自身の親会社の株式を交換することで成立する買収方法だ。敵対的買収への備えという観点から1年間施行が延期されていたが、今年5月から事実上解禁となった。

本書は、法人税務の専門家が三角合併・三角会社分割・三角株式交換などの新たな企業再編事例に関わる税制について詳しくまとめたもの。M&Aを実行しようとする側から株式以外に金銭の交付がないなどの要件を満たす「適格合併」と、それ以外の「非適格合併」の課税の仕組みを、ケーススタディーなどを用いて解説している。

■2007/11/26, 日経ビジネス, 127ページ

金融再生危機の本質―日本型システムに何が欠けているのか
金融再生危機の本質―日本型システムに何が欠けているのか大村 敬一 水上 慎士

日本経済新聞出版社 2007-09
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著者に聞く-パーソナルライフ-水上慎士氏[前早稲田大学ファイナンス総合研究所所長] 決済システムを切り離せ

民間任用の適用第1号として内閣府で2001年から金融再生に携わった。再び民間に戻り、不良債権処理にまつわる行政と金融機関の行動を検証した。金融システム危機を克服して見えた日本の金融の課題とは。

──米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は金融業界にどのような課題を提示しましたか。

金融機関が、国民やその先にある国民経済を人質に取ってビジネスをしている状態を是正する必要があると示唆していると思います。

サブプライムローン問題で関係者が懸念しているのは、これが金融システム危機に発展するのではないかということです。金融システムの危機とは、決済システムの危機と同義です。個別の銀行や株式市場、証券化商品の流動性といった固有の問題で片づけばいいのですが、決済システムという金融のインフラに病原菌が入ると経済活動が麻痺してしまう。

決済は保全しないといけないから、公的資金を使って結局は政府が出ていかざるを得なくなる。最後は国が尻を拭ってくれるとなると、どうしてもバブルが起きやすい。インフラとしての決済機能を持つ銀行が、同時にリスクビジネスを手がける以上、サブプライムローン問題は起こるべくして起こったと言えるのです。

──金融行政はどのような対処が求められますか。

単に日本で金融庁が目を凝らして金融機関を監視すればいいという問題ではありません。海外で起きた問題が日本に波及し、「江戸の仇を長崎で討つ」みたいな状況が起きているのですから。

ある特定の業種がシステムを強化すればいいという簡単な問題でもない。銀行業界で言えば、国際決済銀行(BIS)が様々なリスク管理の取り組みをしても今の事態が起きたわけですよね。国や業種を超え、金融ビジネス全体に対する監督のあり方を横断的に議論する時期に来ていると思います。

もっとも、金融界の国際競争も無視できない。何かのルールを決める際に、各国が自国に有利な内容にしたいという思惑が交錯するだけに、利害調整は容易ではない。やはり、決済に影響が及ばないようにビジネスを組み替えない限り、世界経済を人質に取っている状態は変わらないと思います。

──日本も不良債権の処理を通じて「護送船団」からの脱却を図る動きがあります。行政と金融機関の関係は変わりますか。

民間による自己管理・自己統治型の金融システムに移行しようという動きはありますが、護送船団の名残のようなマインドセットの問題をどう克服できるかがカギです。

民間の自主規制を土台とした監督の仕組みが機能している、英国をモデルにすべきという暗黙の了解が日本にはあります。ただ、英国の金融界はギルドの伝統がベースにある。身内のルールの方が外部からの罰則より厳しい。検査や監督の財源も加盟社が出していて、不合理な監督などをすると異議申し立てが出るというチェック機能が働いている。

一方の日本では、長らく旧大蔵省が金融行政と監視監督をすべてやっていた。「明日から民間が自分たちでやるんだよ」と言い切れるかどうか。事実、金融庁が懇談会を開き、そこで議論したテーマを基に業界が自主規制ルールを作るという流れがまだあります。本来と順番が逆なんです。

行政からシグナルを出さないと民間が動かないだろうとの諦念が行政と金融機関の双方にあるならば、護送船団からの脱却は絵に描いた餅に終わってしまう。まずは、立場を超えて様々な金融の課題をオープンな場で議論することが必要だと思います。

水上慎士(みずかみ・しんじ)氏
1960年福岡県生まれ。上智大学経済学部卒業、日興リサーチセンターなどを経て、2001年から2004年まで内閣府で金融再生などに従事。

■2007/11/26, 日経ビジネス, 131ページ

監査難民 (講談社BIZ)
監査難民 (講談社BIZ)種村 大基

講談社 2007-09-26
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おすすめ平均 star
star企業人は、他山の石として必読書

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今年7月、上場企業500社以上をクライアントに抱えていた大手監査法人、みすず(旧・中央青山)監査法人が解散した。担当会計士がカネボウの粉飾決算や日興コーディアルグループの不正会計に加担したと見られたことから、監査法人の命とも言える信用を失墜させ、経済界からの退場を迫られた。

本書は、みすず監査法人消滅に至る顛末の真相に迫った共同通信社記者の書き下ろしである。消滅の舞台裏を時系列で描くとともに、我が国が急速な国際会計基準導入へと舵を取ることで生じた歪みや、現場の会計士らの当惑、旧来の甘い監査のぬるま湯にどっぷりと浸かっていた企業の動揺などを克明に描く。著者は「(旧来の)監査は『制度』としては存在しても、その『機能』は事実上の“休眠”状態にあった」と断じる。本書が問うのは一連の“事件”の真相だけではない。今後、監査法人が「会計の番人」としての役割を取り戻した時、果たして我が国のどれだけの上場企業が厳格監査に耐え抜けるのかといった構造的かつ根の深い問題をも浮き彫りにする。

カネボウの粉飾決算事件が明らかになるまでの東京地検や証券取引等監視委員会(SESC)、金融庁の動きを丹念に取材し、同監査法人を追い込んでいく様子を赤裸々に描き出す。

■2007/11/26, 日経ビジネス, 129ページ

天国と地獄―2010年から史上空前の世界経済大変動がやってくる
天国と地獄―2010年から史上空前の世界経済大変動がやってくる浅井 隆

PHP研究所 2007-09
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おすすめ平均 star
star途中までは、楽しめたけど、国家破産までの準備は腰砕け
star平成のノストラダマス
star天国へのパスポートも準備次第?

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著者の浅井隆氏は、過去に平成不況の長期化や金融機関の破綻などをいち早く予測して、書籍などを通じて警鐘を鳴らしてきた実績があるジャーナリストだ。本書では「失われた10年」を耐え抜いて復興しつつあるかに見える我が国経済の現状と2010年以降の世界経済の姿を予測する。

今の日本は「一時的な天国」の状態だと言う。著者曰く「カネ至上主義」が地球規模に蔓延する今は「世界バブル」の状態にあり、そう長くは持たないだろうと推測する。その象徴が中国の台頭だと指摘し、安全性に問題のある食料品の輸出などを例に挙げて批判を浴びせかける。さらに同国の生産工場における労働者の処遇を「奴隷制」と憤り、経済発展の代償として地球環境に与えている悪影響についても批判を加える。同時に、米国が先導する新たな資本主義の形についても「世界に害をもたらすもの」と斬り捨てる。

こうした考察の上に立ち、次に訪れるのは「国家破産」だという見解を示す。我が国の借金が増え続けデフレ状態が継続した場合、「2015年が日本国破産のXデー」となり得るという大胆な予測を提示する。ハイパーインフレや大増税の可能性にも言及し、そうした事態に国民一人ひとりが対処するための備えなどについて説く。

■2007/11/26, 日経ビジネス, 129ページ

現代中国産業経済論
佐々木 信彰 (編さん)

大阪市立大学大学院教授であり、日本現代中国学会常任理事・関西代表を兼務する編者らが、昨今の中国経済の動向について解説した書。農業、繊維、鉄鋼、家電、自動車、住宅など産業別の考察が特徴で、それぞれの執筆を大学や企業の研究者が担当している。

中国の農村人口は全人口の約6割にも相当し、圧倒的な生産量を誇るように見える。しかし意外なことに、中国が輸出する穀物は米など数品目で、小麦や大豆については今や一大輸入国となっている。こうした背景にある産業構造や国民の食生活の劇的な変化、食料自給率政策が内包する問題点を解説する。また、生産量世界一を誇る分野は、よく知られる繊維や鉄鋼だけにとどまらない。例えばビール産業においては米国を抜き、今や世界最大の生産大国となっている。我が国のビール各社も進出・提携を行っている中、特に国内シェア4位のサントリーが上海市場で圧倒的なシェアを勝ち得ている例を示して、「日本のビールメーカーの国際化にとっての試金石となるであろう」と解説する。

そうした発展の陰で生じている諸問題にも触れる。自動車産業では外資合弁系企業のシェア拡大に伴う民族系企業の出遅れや、「自主開発=コピー」といった発想が根強い点を明かす。

■2007/11/26, 日経ビジネス, 129ページ

だから若手が辞めていく――ミドルがカギを握る人材「リテンション」の可能性
だから若手が辞めていく――ミドルがカギを握る人材「リテンション」の可能性ダイヤモンド社

ダイヤモンド社 2007-09-29
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おすすめ平均 star
star新社員が何を考えているのか
star若手の価値観を知り人事・経営に活かす

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若手社員の3割強が入社3年以内に退職する「3年3割」問題を考察する。50人を超える若手社員にインタビューを実施。「自分が成長すること」に貪欲で、「物足りないから辞める」若者の姿を浮き彫りにする。一方、景気低迷期に多くの人材が去った職場では、若手に仕事を教える余裕もノウハウもなく、OJT(職場内訓練)が崩壊している。業務に関わる適切な指導がないままに、会社との紐帯が弱まり、早期離職が多発していると解説する。

OJTを軸に新卒社員をじっくり育てる方針を取る企業、必要な業務知識を教えたり相談に乗ったりする「ブラザー・シスター制度」を導入する企業など、人材の育成、定着に力を入れる企業の取り組み事例を紹介し、リテンション(人材定着化)の可能性を探る。

■2007/11/19, 日経ビジネス, 91ページ

逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)
逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)岡本 正善

青春出版社 2000-04
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おすすめ平均 star
star潜在能力
star人を頼るわたし、、、
star以外でした。

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“すごい逸材”になれ!!
“すごい逸材”になれ!!齋藤 正勝

三笠書房 2007-10
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おすすめ平均 star
star実践派!!
star人に嫌われたかったら読めばいいかも

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迷いや挫折を克服し、強い心を持てとエールを送る書が売れている。仕事の重責に耐え切れずに組織を去る人や心を病んでしまう人が増加している昨今の問題とも無関係ではないようだ。

『「打たれ強さ」の秘密』(紀伊國屋書店総合20位)では、精神面強化のための企業研修で実績を残している著者が、様々なプレッシャーに打ち勝つコツを指南する。クヨクヨ、ビクビクしがちな人は、「自分には何かが足りない」と悩みがちだ。しかし、緊張やスランプを乗り切るのに特別な能力は必要なく、自然体の自分を強くイメージしたり、「絶対」「必ず」といった言葉へのこだわりを捨てれば、徐々に克服可能だと言う。

カブドットコム証券の取締役代表執行役社長に就く齋藤正勝氏は、著書『“すごい逸材”になれ!!』(旭屋書店本店6位)の中で、「実は、当たり前のことができない人が9割。“当たり前” を実行することで、周囲からの評価は一変する」と呼びかける。具体的には、「知ったかぶりをしない」「報・連・相を欠かさない」といった基本が大切だと言い、それができる自分に自信を持てと言う。また、上司に叱ってもらえるのは幸運だと考えて、そんな人にこそ喜んでついていけと助言する。

■2007/11/19, 日経ビジネス, 95ページ

生命の産業―バイオテクノロジーの経済倫理学
生命の産業―バイオテクノロジーの経済倫理学佐藤 光

ナカニシヤ出版 2007-09
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バイオテクノロジーを基盤とした産業の問題点を様々な角度から整理して示す。大阪市立大学大学院経済学研究科を母体とした「バイオエコノミクス研究会」が2006年春に開催した会議で発表された基調報告論文と、それに関する討論の記録を編集した。

日本のバイオテクノロジー産業は米国に比べて大きく遅れているとの指摘は多い。ある論文では、その遅れの原因の1つとして、産業、大学、政府の3つのセクターから成る「ナショナル・イノベーション・システム」が未発達な点を挙げる。医薬品産業では、莫大な研究開発費の回収のために、薬価が高騰するのはやむを得ないという見解があるが、ある論文では営利に基づかない社会的・公共的な医薬品開発の道もあり得るのではないかと指摘する。先端医療について取り上げた論文では、再生医療、遺伝子治療などは「医療」や「治療」から逸脱しているのではないかという問題を提起し、その決定的な一歩は生殖医療、臓器移植にあるとの認識を示す。

「生命の操作可能性」「人体のモノ化―医療資源化」につながりかねない「生命の産業」について、経済学、統計学、倫理学、哲学、医療社会学など様々な分野の研究者が、学際的なアプローチで問題を浮き彫りにしていく。

■2007/11/19, 日経ビジネス, 93ページ

豊潤なる企業―内部統制の真実
豊潤なる企業―内部統制の真実鳥飼 重和

清文社 2007-08
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おすすめ平均 star
star企業不祥事もこれだけ続くと珍しくもなく鈍感になってくるのが怖い。
star法令順守は当然でしょう
star経営者向けの格調高い力作

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企業が恒久的成長を実現するにはどうすべきか。企業法務に詳しい弁護士が成長の原理・原則を考察しながら、内部統制の考え方、あり方を示す。

著者は後進国だった明治日本が世界の大国として急速に成長した原点を探った結果、サミュエル・スマイルズの著した『西国立志編』にたどり着いたという。人間の成長、さらには人間が創り動かす組織である企業・国家の成長の原理・原則を示しているという同書の内容を紹介していく。その基本精神は「天は自ら助くる者を助く」という一文。自らの奮闘努力によって道を切り開くという自律的・主体的な精神を持つことの重要性を強調する。

自助努力によって恒久的成長を遂げようという自律的・主体的な精神は、企業経営の内部統制においても必須の精神だと指摘する。すべては経営者や従業員がどのような心を持ち、自らをどう支配するかにかかっている。自助の精神に立脚して内部統制をすれば、企業は恒久的な高い成長力を持つことができる。自助の精神を経営に生かす企業の実例として米ジョンソン・エンド・ジョンソンを取り上げる。

企業は経済的豊かさのほかに、従業員からも、顧客や社会からも「潤い」のある存在と認められる「豊潤なる企業」を目指すべきだと主張する。

■2007/11/19, 日経ビジネス, 93ページ

ブレイクアウトストラテジー 2ケタ成長企業の戦略
ブレイクアウトストラテジー 2ケタ成長企業の戦略シドニー・フィンケルシュタイン 橋口 寛 矢沢 聖子

日経BP社 2007-09-27
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おすすめ平均 star
star新規立ち上げ企業には適応できる

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急成長する企業は普通の企業と何が違うのか。本書は企業が「ブレイクアウト」し、劇的な成功を収めるために必要な戦略を示す。

企業が成功を収めるには、優秀な戦略と、ライバルと一線を画そうという決意が不可欠だ。本書は、企業がトップカンパニーを目指して実行する戦略的な原則と習慣を「ブレイクアウトストラテジー」と呼ぶ。ブレイクアウトストラテジーには、市場におけるポジションや事業領域の幅などに応じて4種類ある。無名企業がトップに躍進する「強襲型」、低迷していた企業が再躍進する「巻き返し型」、地方から地理的に市場を拡大する「拡張型」、徹底した変革により躍進する「変身型」で、それぞれ、実行すべき具体的なステップを記す。

戦略は異なるが、ブレイクアウトに必要な方法は共通する。ブレイクアウトの実行は「競争優位性のある企業ビジョンの追求」「自社の価値提供の明確な定義」「ビジョンや価値提供と密接に連関したビジネスモデルの構築」「確実な投資計画の構築と実行」「全ステークホルダーを巻き込んだ戦略実行」の5段階に分けられると解説する。

成功した企業、失敗した企業の事例を通して、ブレイクアウトの確実な方法を探る。

■2007/11/19, 日経ビジネス, 93ページ

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