メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2007年10月29日~11月12日
| テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0 | |
![]() | 翔泳社 2006-07-22 売り上げラ ンキング : 9722 おすすめ平均 ![]() 結局は批判本 関係者が漠然と感じていることを言語化した本 テレビCMは広告担当者の怠慢
の結果?Amazonで詳しく見 る by G-Tools |
テレビの先行きに悲観論を述べる人は多い。マスメディアの王様としての地位ゆえの驕りが 命取りになるという人もいれば、そのセンセーショナリズムが許せないという人もいる。確 かに最近のボクシングの「亀田騒動」などを見ていても、性(さが)とはいえテレビは問題 の本質でないところで騒ぎすぎる。
そうした中でこの本は、テレビ局経営の根幹であるCMが既に崩壊を始めていると指摘する。 将来の話ではない。ある自動車メーカーは、米国で若者向けの車のテレビCMをかなり前か らやめている。インターネットに移したのだ。また、この本の帯には「なぜ、ペプシはテレ ビCMから撤退するのか?」とある。
自分も関わっているので、筆者はテレビをよく見る方だろう。しかし、では「昨日何のテレ ビCMを見たのか」と聞かれれば答えられない。CMを送る側の熱意に消費者が敏感に応じ ているとはとても思えない。自分が何をなぜ買ったのかを考えると、身近な友人のちょっと した話や、ネットでのやり取りに依存していることが多い。経済行動の意思決定プロセスが テレビから離れつつあるのだ。
なぜそうなのか。この本はCMの受け手、多様化した消費者のマスメディアからの遠ざかり を指摘するB最初から自分に関係ないものを興味深く見続ける人はいない。この本のように 「終わった」と言い切れないまでも、マス(十把一からげ)メディア(媒体)は著しく有効 性を落としているのである。企業がテレビCMの非有効性に気づくのはこれからだろう。
テレビにとって脅威なのは、ネットの普及によってありとあらゆる新しいメディアが登場し てきていることだ。ネットでも単純なブラウジングからオンデマンド視聴、SNS(ソーシ ャル・ネットワーキング・サービス)などのグループ行動まで実に様々だ。ほかにも消費者 を引きつけてやまないセグメントを絞った新メディアが登場した。消費者が多様化し、情報 を伝達する手段も増えて、組み合わせは無数だ。消費に惜しみなくお金を使える層は、ます ますテレビを消費のきっかけにはしなくなる。
筆者は、直ちにテレビCMの崩壊が起きるとは思わない。子供はCMの大ファンで、すぐ真 似をする。覚えていなくても、見ていて楽しいのがCMだ。しかしテレビ局経営の土台であ るテレビCMは明らかにかつての影響力を失いつつある。そのCMの先行きを考えるうえで 絶好の1冊である。【評者 住信基礎研究所主席研究員 伊藤洋一】
| バイオエタノールと世界の食料需給 | |
![]() | 小泉 達治 筑波書房 2007- 10 売り上げランキング : 5439 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
トウモロコシやサトウキビなどのバイオマス資源から製造される燃料用エネルギー、バイオ エタノール。CO2(二酸化炭素)排出量を抑制し、地球温暖化防止に役立つと言われ、近 年価格の高騰が著しい原油の代替エネルギーとなり得るとの見方から、各国が熱い視線を注 いでいる。本書では、農林水産省の研究官が今後のバイオエタノール需給のカギを握るブラ ジルや中国、米国、日本などの政策を読み解いていく。
ブラジルは、従来の砂糖供給量を維持しつつ、サトウキビ作付面積を大幅に増加する計画だ という。また、米国や中国が進めているトウモロコシのバイオマス資源化政策は、国際トウ モロコシの需給バランスにマイナス影響を及ぼす可能性があると指摘する。
| 仮説の検証 科学ジャーナリストの仕事 | |
![]() | 小出 五郎 講談社 2007-09-26 売り上げランキング : 14356 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-小出五郎氏[科学ジャーナリスト] 「未来の代理人」と 心得よ
社会問題になったテレビの捏造や“やらせ”。NHKでの番組制作の経験から、効率化の追 求がもたらした下請け構造の欠陥を指摘する。報道を担うジャーナリズムの本来のあり方を 説く。
──テレビ番組の捏造や“やらせ”が起きた原因をどう考えていますか。
番組制作における外部発注のリスクが出た格好です。放送局と制作会社は「こんな結論にな るでしょう」という仮説を基に企画を立て、実際には制作会社が番組を作ります。制作会社 が下請けに出すこともある。こうした力関係にあっては、企画が通った後、取材過程で仮説 の誤りに気づいても「検証したら間違いでした」と放送局に言えません。「話が違うじゃな いか」となりますから。
社会問題になった「納豆でやせる」というテーマで制作された番組がありました。実は「ダ イエットにならない」という結論でもよかったはずです。それを検証する過程を面白く伝え ればいいだけのことです。それなのに、“あっと驚く”成果だけを求めたために、無理を招 いてしまった。
テレビが基本的にエンターテインメントであるのは確かです。多くの人に見てもらうために、 映像のアングルに凝ったり、簡略化や例え話を使ったりして、飽きさせない工夫をしていま す。しかし、捏造となると話は別です。採算重視や視聴率狙いの番組作りになるのは、会社 が自社の株価を上げたいからでしょう。
──「科学番組」に対する信頼も揺らいでいます。
ジャーナリズムの意味を実感できない世の中になっているという思いがあります。現代の生 活は、原子力や交通機関、医療など科学技術なしでは考えられません。しかし、科学技術に は光と影の両面がある。この両方をきちんと伝えていくのがジャーナリストです。ところが、 科学技術を推進する側は、自分たちの都合の良いことだけを広めてほしいというケースが少 なくありません。
科学というと、多くの人が「理科」だと思いがちです。しかし、社会科学、人文科学という 分野があるように、幅広くとらえることができます。科学とは、人間の意識の総体だと私は 考えています。ですから、環境を考える際には国際政治を無視するわけにはいきませんし、 生殖技術では医療と倫理が対立する側面があります。ジャーナリストはいろいろな側面を考 慮して、当事者からは距離を置きつつ、将来のあるべき姿を考えていく。いわば「未来の代 理人」として、その時の真実を伝えていくわけです。
インターネットの普及で、誰もが情報を発信できるようになりました。だからこそ、ジャー ナリストの役割が高まっているというのが私の考えです。当事者の話を、どういうスタンス で伝えるのかが問われるからです。こういう活動ができる人材を、報道機関は輩出する責務 があります。ジャーナリストがいないのは、日本の社会にとって決して幸せではないと感じ ます。
──古巣NHKに対しても、政府との関わりで公共放送から「政権放送」へ転ずる危険性を 指摘しています。
1990年代から政治と近くなったような気がします。料金を払う人の立場で放送するのが 本来の姿ですが、受信料は国会の承認、電波は総務省管轄です。だから、これまでも政権と はぶつかったり、擦り寄ったりしてきました。どうしても「みなさまのNHK」になり得な いところがあります。
視聴者が料金を自発的に払う公共放送はあった方がいい。特定団体の意向に番組内容を左右 されずに済みます。問題は、今のNHKが国民を向いていると必ずしも言えない点でしょう。
小出五郎(こいで・ごろう)氏
1941年東京都生まれ。64年東京大学農学部卒業、NHKに入局。科学番組を制作、8 4年に「核戦争後の地球」で芸術祭大賞。NHK解説委員も務めた。
| 影響力の武器[第二版] | |
![]() | ロバート・B・チャルディーニ 社会行動研究会 誠信書 房 2007-09-14 売り上げランキング : 369 おすすめ平均 ![]() 今年一番の本 影響力 社会の知恵と力は増す< a href="http://www.amazon.co.jp/gp/redirect.html%3FASIN=4414304164%26tag=planbiz-2 2%26lcode=xm2%26cID=2025%26ccmID=165953%26location=/o/ASIN/4414304164%253FSubscrip tionId=0G91FPYVW6ZGWBH4Y9G2" target="_blank">Amazonで詳しく見る by G-Tools |
他人の要請を受け入れるか否か──。我々は商談や社内における上下伝達、あるいは私的な 購買行動や社会奉仕活動において、日々何らかの決断を迫られている。しかし、そうした判 断のすべてを理性的かつ論理的に行っているとは言い難いだろう。言い換えれば、相手の言 葉や態度がもたらす心理的な「影響力」に、我々は決断を左右される場合が少なくないとい うことだ。本書では、米国の社会心理学者が「影響力」のメカニズムを解き明かす。
まずは「人間の自動的反応」に着目する。例えば、「高額なもの=良いもの」と反応してし まう購買者の心理を巧みに利用する者は、価格の吊り上げによって売れにくかった商品や サービスを売り抜いていると言う。また、購買者に対して無償をうたったサービスや試供品 をまず先に提供する方法は、人間の「借りを作りたくない。お返しをしたい」という心理を 突いた「返報性の原理」を利用していると指摘。その実例などを示していく。
情報が氾濫する現代社会では、誰もが「思考を伴わない承諾」をしがちだと言う。本書の訳 者は、ここで明らかにされた心理学的知識を「両刃の剣」だと言い、悪用する者が絶えない 一方、読者には自己防衛に役立ててほしいと提案している。
| キーストーン戦略 イノベーションを持続させるビジネス・エコシステ ム (Harvard Business School Press) | |
![]() | 翔泳社 20 07-09-20 売り上げランキング : 1245 おすすめ平均 ![]() 共生的な企業関係を基礎としビジネスの仕組みを考えるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
「キーストーン種」とは生物学の用語で、少数でありながら周辺の生態系(エコシステム) に多大なる影響を与える存在を指す。本書は、企業の持続的発展には外部の企業や人材との 結びつきが不可欠であるという前提に立ち、キーストーンたる企業の戦略論(ビジネスエコ システム)について解説する。著者はベンチャー企業の技術戦略やイノベーション研究を専 門とする米ハーバード・ビジネススクール教授と、米マイクロソフトでキーストーン戦略を 実践したコンサルタントである。
ビジネスエコシステムを活用して成長を遂げた企業として、著者らはマイクロソフトや米 イーベイ、米ウォルマート・ストアーズなどを挙げる。システム内には「良質なキーストー ン」「注意すべき領主や支配者」「力を持たないニッチプレーヤー」という3つの立ち位置 が存在していると言い、個々の役割について解説する。悪い「領主」の実例として、破綻し た米エンロンを挙げて分析を加える。
もう1つのキーワードがネットワークハブである。エコシステムの下では、関連する組織や 個人の振る舞いがネットワーク全体に影響を与える。ハブとなる者には、自らの利益とシス テム全体の利益を同時に追求し得る知識と実行力が必要だと論じている。
| 100年企業、だけど最先端、しかも世界一 | |
![]() | 泉谷 渉 亜紀書 房 2007-09 売り上げランキング : 5735 おすすめ平均 ![]() 教科書のようだ。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
主に半導体・マテリアルの分野から日本企業の取材を続けている著者が、100年企業なら ではの戦略や技術、社風を紹介する。金融やIT(情報技術)の分野で短期間に莫大な利益 を上げた企業に注目が集まりがちな昨今の風潮に対して著者は、「目先の利益よりも、『絶 対多数の絶対幸福の追求』こそがキーワードではないか」と疑問を呈する。100年企業が 10万社に及ぶという我が国の数字は世界に例がないと言い、その強みに光を当てることが 次代の繁栄をもたらすと言う。
繊維業界では、セーレン、ユニチカ、東洋紡を取り上げる。福井県の地場産業から育った セーレンは、名門カネボウの繊維部門買収で一躍名を馳せた。しかし、強みの本質部分には、 革命的とも言える衣料品の製造販売システムや、自動車業界におけるシートファブリック市 場への新規参入、さらにはメディカル分野素材への進出といった大胆かつ辛抱強い挑戦があ るという。同様に斜陽産業と位置づけられて久しい印刷業界でも、液晶ディスプレーのカ ラーフィルター開発にいち早く挑み、現在では世界シェアの約40%を占めるに至った凸版 印刷の事例を示す。
それら勝ち組に共通する“日本的価値観”を、グローバル化の波の中で失ってはならないと 著者は論じている。
| チョコ レートの真実 | |
![]() | キャロル・オフ 北村陽子 英治出版 2007-08-27 売り上げランキング : 1351 おすす め平均 「苦いチョコレート」 安価なカカオは奴隷的な農民に
よって作られる 目からうろこです。Amazonで詳し く見る by G-Tools |
どれほどおいしいチョコレートを作れるかが、その国、その土地の文化の成熟度を表す、と も言われる。先進国の子供たちは、この魅惑的なお菓子を日常気軽に口にする。ところが、 その原料のカカオを栽培する熱帯の農園では、最貧国の子供たちが奴隷同然に酷使されてい るという。チョコレートを巡る深い溝だ。
著者はカナダの女性ジャーナリスト。カカオ産地の奥深くまで踏み込み、その労働、取引、 そして背後のシステムの実態に迫った。
まず概観されるのはチョコレートの歴史である。原産地・中米から、スペイン人によるマ ヤ・アステカ征服を機として、カカオをもととした「黄金の液体」が欧州にもたらされた。 それは王侯貴族からやがて庶民にも広まり、技術革新をてこにチョコレート製造企業が勃興、 今日に至る。この間、カカオの主産地は熱帯西アフリカへと移るが、その奴隷制ないし強制 労働への依存は一貫して変わっていない。
現在、カカオの最大輸出国はコートジボワール(象牙海岸)である。同国政府や農園主の否 定にもかかわらず、著者の実地調査は、国境をまたいで児童を農園に送り込む人身売買の実 態を明るみに出す。これだけでも十分深刻だが、問題はそれにとどまらない。同国の権力者 は、上から下まで、カカオ収入の上前をたっぷりはねて懐にしている。本書が描写するその 腐敗ぶりはすさまじく、追跡したフランス系ジャーナリストが消された顛末は、まるでスリ ラー小説のようだ。
この暗澹たる状況を前に、何ができるのか──。
米国議会では、チョコレートに「奴隷不使用」ラベルを付させる提案が出された。しかし、 ロビイングに長けた企業側の工作で、いまだ実現していない。仮にラベリングが実現し、カ カオ農園での児童酷使が消えたとしても、それは新たな失業の発生を意味する。最下層にあ えぐ人々は、児童売春など、よりひどい稼ぎを余儀なくされ、さらに下へと墜ちてしまう。 著者も、チョコレート企業には終始厳しい目を向けつつ、具体策には慎重だ。
カカオに限らない。最貧国の産出するすべての1次産品に共通する問題である。一時的、部 分的解決は新たな歪みをもたらす。産地国自身が、内戦や部族抗争をやめ、信頼できる統治 を確立し、経済を再建して地道に貧困解消に取り組むしかない。かつて「アフリカの奇跡」 と称される経済発展を誇ったコートジボワールがたどった転落の道が、まさに反面教師であ る。【評者 ローン・スタージャパン会長 岩下 正】
| 男はつら いらしい (新潮新書 228) | |
| 奥田 祥子 <
br /> 新潮社 2007-08 売り上げランキング : 19336 おす すめ平均 ![]() 切ないね、でも頑張らなくちゃね これでよかった
のでしょうか。 男はつらい・・・のか?Amazonで 詳しく見る by G-Tools | |
「負け犬」「フリーター」など、昨今、社会の関心は女性や若者の問題に集中しがちである。 だが、実は働き盛りの男性たちも結婚、仕事、心身の不調など様々な問題にもがき苦しんで いる。
自分に自信がなく、女性との接し方も分からない──。「結婚したいのに、できない33歳 の男性は、「花婿学校」に通って、服装の選び方、女性との会話術、出会いの見つけ方など を学ぶ。心身の不調に苦しんだ51歳の男性は、“ドクターショッピング”の末に男性更年 期障害と診断され、ようやく前向きに病とつき合えるようになった。
「男は妻子を養わなければならない」「男は弱音を吐かない」といったこだわりや呪縛を抱 えながら、必死に「生」と格闘している男性の姿を描き、読者の共感を誘う。
| 京都花街 の経営学 | |
a> | 西尾 久美子 東洋経済新報社 20 07-09 売り上げランキング : 553 おすすめ平均 ![]() 知らなかった。そんな社会だったんだ あきまへん 今に生きるダイナ
ミズムAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-西尾久美子氏[神戸大学大学院COE研究員] 350年 続く組織の強さ
舞妓さん、いちげんさんお断り…350年の歴史を持つ花街を徹底調査した。「伝統」「文 化」で片づけず、「ビジネス」というキーワードで読み解く。持続力のカギは独特の人材育 成システム、組織力にあった。
──先日、イタリアのシンポジウムで花街や舞妓さん、芸妓さんについて研究成果をお話し してきたとか。
この5年、花街の研究、取材をきっかけに和服を着ることが多くなりました。この格好で海 外へ行くと、滞在中に必ず「ヘイ、ゲイシャサン!」と声をかけられるほどです。海外で 「ゲイシャ」の知名度は高いですからね。本当は、「芸者」は関東地方の呼び方で、関西で は舞妓、芸妓なんですけど。
イタリアの会場からは「舞妓さんは結婚後も続けられるのか」という質問が出て、「既婚者 の舞妓さん、芸妓さんはいません。その理由は忙しくて家庭生活が成り立たないからです」 と答えると、一同びっくりしていました。彼女らは、お稽古事やお座敷でほぼ1日中、拘束 されて、帰宅するのは夜中の12時を回ることもざらです。私の実家は米穀店で、花街のお 茶屋さんに料理を出す料理屋さんと取引があり、花街業界のことを多少は見る機会がありま した。それだけに、随分しんどそうな仕事だなあ、自分には到底できないだろうなあといつ も思っていたんですよ。
──「お母さん」と呼ぶお茶屋の経営者、先輩と後輩、お客さんと学校がすべて一体となっ たユニークな評価、育成の仕組みを解説しています。
10代で花街の業界に入り、修業の期間を経て一人前の舞妓、芸妓さんになっていくわけで すが、こうした技能、人材の育成システムは世界的に見ても独特だと思います。
舞妓さん、芸妓さんは個人事業主で3~5人の単位でお座敷に出るプロジェクトチーム、お 母さんは予算とコスト、人員配置を見ながらお座敷を運営していく事業部長のような存在と 言えます。つまり個人の技量だけでなく、プロジェクトとして良いサービスを提供できたか どうか、チーム単位のパフォーマンスの良し悪しが重要になるわけです。お座敷の評判が良 ければ、そのお茶屋さんの評判が上がり、花街そのものの評判につながります。
逆に、どこか1つのお座敷、お茶屋さんだけが良くてもダメです。花街業界が右肩上がりで 伸びている市場ではない以上、成熟したマーケットを業界ぐるみで守り、維持していくとい う発想が何よりも大事なのです。限られたエリートやスターを生み出すためのシステムは成 り立ちません。スキルが100点の舞妓さん、芸妓さんを1人作るより、スキル80点の人 材を5人作る方が業界全体の生産性を高めるためにはいいわけですから。
花街というと、「いちげんさんお断り」に代表される閉じた世界で、古くさいイメージを持 つ人も多いかもしれませんが、実際に研究してみると業界運営の理念や手法は合理的だなと 思うことが数多くあります。
──すっかり、花街ファンになったとのことですが、次は宝塚歌劇団の研究に興味を持って いるそうですね。
例えば、舞妓さんのキャリアパスの経年変化を追いかけるような調査はあるかもしれません が、まとまった形での研究は一区切りという感じです。
次から次へとトップスターを作り上げるエンターテインメント産業の代表格である宝塚。エ ンタメ産業が元気がない中で、宝塚は今でも市場創造を続けていますが、その強さの仕掛け は何なのかに注目しています。そもそも、日本の経営学がサービス系の企業を事例研究の題 材に取り上げること自体が少なかったですから、いい機会かなとも思います。
西尾久美子(にしお・くみこ)氏
1960年京都市生まれ。大阪ガス勤務などを経て2006年10月から現職。専門は経営 組織論。テレビやラジオに出演多数。
| 正しさを 貫く | |
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td valign="top">飯田 亮 |
セコム創業者が、自身の実体験を基に仕事と経営の哲学を示す。
著者の原点は、酒卸問屋を経営していた父親から教えられた「商売をする時、間違ったこと をしてはいけない」という倫理観だという。社会的に見て正しいこと、公正なことは必ずい つか受け入れられる。逆に間違ったことや人の道に外れたことは、結局、社会の制裁を受け ると強調する。
著者は「有能な人間イコール良い人材」とは考えない。何事にも誠実で、正直で、卑しさや 陰湿さがなく、人柄が良い、「良い人格」の人こそ「良い人材」だと主張する。仕事とは結 局、人間同士の営みだ。どんな仕事でも、成功しようと思ったら人間的魅力が欠かせない。 お礼の言葉や感謝の気持ち、思いやりのある振る舞い、時間厳守といった「人間としての基 本」が重要である。リーダーは、組織が大きくなるに応じて、自分の人間性を高めていくこ とが必要だと指摘する。
セコムは日本になかったセキュリティー産業を立ち上げ、情報通信、医療、保険などに事業 の幅を広げてきた。成功することは難しいが、成功を続けることはもっと難しい。成功し続 けるためには、人間の本質に立脚した普遍的な原則や哲学、理念に沿って日々、継続的に努 力することが必要と説く。
| 中国の不 良債権問題―高成長と非効率のはざまで | |
![]() |
柯 隆 日本経済新聞出版社 2007-09 売り上げランキ ング : 392 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
10%以上の経済成長を続ける中国だが、今後、経済成長のペースがスローダウンした際に は不良債権問題が浮上する危険をはらむ。中国人エコノミストが様々なデータを分析し、中 国の不良債権問題を解説する。
中国では国内の貯蓄率が高水準で推移し、投資の源泉となって経済成長を牽引している。過 剰な投資によって生み出された生産物は十分に消費されない構造となっており、この状態が 続けばいずれは頭打ちになると指摘する。北京五輪、上海万博などイベント経済が一段落す ると、構造上のゆがみが一気に顕在化すると予想される。採算の合わないプロジェクトに投 資した国有企業は債務を返済できず、不良債権問題が急浮上し、金融システム全体が信用不 安に陥る恐れがある。著者は2012年あたりがその山だという。
こうしたシナリオを回避するためには、金融制度改革を急ぐことが必要だと解説する。中国 では、実体経済の自由化は急速に進んでいるのに対し、金融業の自由化は遅々として進んで いない。金融機関は国有で、金融仲介は政府行政に強く影響され、非効率なものとなってい る。国有企業を優遇する措置を撤廃し、フェアな市場競争を促進し、完全な市場経済への制 度移行を達成すべきだと主張する。
| 社会が変 わるマーケティング――民間企業の知恵を公共サービスに活かす | |
![]() | フィリップ コトラー/ナン
シー リー スカイライトコンサルティング 英治出版 2007-09-04 売り 上げランキング : 6570 おすすめ平均 ![]() 誰にでも
分かりやすい公共マーケティングの本 あまりに初心者向け 新鮮だった。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
企業で顧客満足度の向上や売り上げ、利益の拡大のために使われてきた「マーケティング」 の原理・手法を、公共分野で活用することを提案する。マーケティングの活用で、市民ニー ズを捉え、社会的にも有益で、経済的にも環境の面でも有意義な質の高い公共サービスが提 供できると指摘する。世界各地で実践されている「社会を変える」取り組みの事例を紹介す る。
最初に、マーケティングの5つの基本原理である、「顧客中心主義の徹底」「市場の細分化 とターゲット市場の設定」「競争相手の特定」「マーケティングにおける4P(製品、価格、 流通チャネル、プロモーション)の活用」「活動状況のモニタリングと修正」が取り組みの カギであることを説明する。英国の学校給食の内容を劇的に改善した「フィード・ミー・ベ ター」プロジェクト、地球を守るブランドとして米環境保護局とエネルギー省が連携して普 及させた「エナジースター」ラベル、フィンランドの「ファット(肥満)からフィット(ス リム)へ」運動、ネパールのHIV(エイズウイルス)対策など、実例を示しながら、これ らの原理・手法の具体的な活用方法を解説する。
民営化、民間委託、官民連携などが進む昨今、優れた公共サービスのあり方を考察する一助 となる。
| ザ・ニ ューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態 | |
![]() | ロバート・フランク 飯岡 美紀 ダイヤモンド 社 2007-09-14 売り上げランキング : 1592 Am azonで詳しく見る by G-Tools |
近年注目されている「新富裕層」と呼ばれるリッチマンたち。旧来の金持ち層とは異なる価 値観やライフスタイルを持つと言われており、優良顧客として取り込みを図りたい金融業界 を中心に、その研究が進んでいる。本書は、我が国に先んじて「新富裕層」が出現し、社会 に定着した米国の事情にジャーナリストが迫った1冊だ。
今日の米国では、優れたアイデアさえあれば誰でも富豪になれると言い、置物としてのミニ チュアハウスの製造販売で富裕層に仲間入りした男性の例を紹介する。しかし、彼らの多く が「成功をうまく楽しめずにいる」とも言い、今日の米国社会は億万長者ですら隣の金持ち と張り合うのに必死で、心の充足を得るのが難しい状況にあるというユニークな見解を示す。
| 中国の危 ない食品―中国食品安全現状調査 | |
![]() | 周勍 廖建龍 草思社 2007-09-29 売り上げランキング : 159 おすすめ平均 ![]() 中国だけなんだろうか、、、 問
題提起にしても微妙 「食」を通じてわかる、「中国」と「中国人」Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-周勍氏[ジャーナリスト]
世界的な大騒動となっている中国の食の安全問題。現場取材を重ねたジャーナリストが実態 を報告した。事態を変えるには「海外メディアの力が必要」と訴える。
――食の大国だった中国で、偽装食品の問題が相次いでいます。何が原因なのでしょうか。
最大の要因は、経済最優先を国を挙げて推奨する現在の「体制」にあると思います。食に対 するモラルがここまで低下したのは、「まず富める者から先に富め」という改革・開放路線 が本格的に始まってからのことです。
改革・開放により我が国(中国)は驚異的な経済発展を成し遂げたわけですが、同時に様々 な負の面も顕在化しました。自分が売っている食品が深刻な健康被害をもたらしても、誰も 何の反省もしないという風潮です。国の隅々にまで、こんな風潮が蔓延しています。
ご存じのように中国共産党の指導者は、しばしば壮大な“きれいごと”を口にします。周恩 来首相(当時)はかつて「2000年には欧米を抜いて、中国が世界一豊かな国になる」と いうとてつもない約束をしましたが、今に至るも実現していません。それでも責任を問われ たことはありません。ほかの幹部も似たようなものです。
こうしたことが積み重なった結果、国民の間に「嘘を言っても構わないじゃないか」という 気風が形成されてしまった。国家全体がモラルハザード(倫理の欠如)を起こしています。
――本の中には合成抗菌剤「マラカイトグリーン」を大量に使ったために、体全体が緑に変 わったスッポンの写真が出てきます。
恐ろしいことですが事実です。ただ、偽装食品を作っている末端の業者は悪気がないという か、添加物などについて無知なだけなのです。抗菌剤は適量であれば、魚などの養殖に有効 ですが、業者の大半は「多く使えば使うほどよいのだろう」と考えてしまう。添加剤の副作 用を知りながら、確信犯的に使っているのは大企業の方です。
抗菌剤などの新しい薬剤は生産性を高める「ハイテク」として国が推奨していました。です から業者を監督する役人も適正な使用基準を知る立場にある。それなのに自らの保身のため、 適正量を超えて添加剤を使用する業者を見逃しているのです。
――中国政府も取り締まりに動き出しました。根本的な解決策はあるのでしょうか。
まず必要なのは、食の安全に関する情報公開です。情報公開が徹底され、メディアも自由に 報道できるようになれば、責任の所在がはっきりします。これは悪徳業者に対し大変な抑止 効果になります。
次に大切なのは教育です。農家や個人事業主はもちろん、買い手である市民にも啓蒙的な教 育が必要でしょう。
長期的な視点で言うと「市民としてのモラル」の問題にも取り組まなければなりません。長 い時間がかかると思いますが、モラルの再建がなければ、根本解決はできないのです。
中国政府は2008年の北京オリンピックを控え、かつてないほど国際世論に敏感になって います。これは我が国を変革する好機です。中国には「よその和尚さんの方が経を唱えやす い」という諺があります。地元のお坊さんの唱える経は聞き飽きているから誰も聞きたがら ないという意味です。私はよそから来た和尚さん、つまり外国メディアの報道に大いに期待 しています。
この本の目的は、危ない食品を暴露することではありません。多くの人々が事実を知ること で、中国の状況が変わることです。米国や日本だって100年ほど前には、食の安全に関し て今ほど体制が整っていなかった。今回の騒動を機に、中国がより良い方向に改革されるこ とを願っています。
周 勍(しゅう・けい)氏
1964年、中国・西安市生まれ。西北大学作家コースに学ぶ。89年の天安門事件に連座 し、3年近く獄中に。現在「口述博物館」誌編集長。
| 危機の政 権―コイズミクラシーとヘイゾノミクス | |
![]() | 東洋経済新報社 2007-09 売り上げランキング : 54484 おすすめ平均 ![]() これはガッカリ< br />Amazonで詳しく見る by G-Tools |
先の参院議員選挙で惨敗し辞任に追い込まれた安倍晋三前首相と小泉純一郎元首相は、危機 意識の有無という点で好対照を成していた――。ノンフィクション作家である著者はそのよ うに主張し、小泉政権の運営を支えた力を「危機」という言葉を手がかりに解読していく。
著者は小泉元首相の政治を「コイズミクラシー」と呼び、同政権下で金融E財政政策を担っ た竹中平蔵氏の経済理論を「ヘイゾノミクス」と呼ぶ。永田町の異端児と政E官の世界にと っての異邦人、この2人の出会いが、我が国にかつてない「危機克服政権の時代」をもたら したと論じる。安倍前首相は国民の間に横たわる危機意識を発見し制圧する能力に欠けてい たと指摘する一方、小泉元首相と竹中氏にはそれがあったと言い、国民と危機意識を共有し、 危機の克服に巻き込むことにも成功したと評価する。そうした政治手法を著者は「危機の政 治化」と呼ぶ。
巻末には竹中氏への単独インタビューを掲載。「郵政民営化に衆議院解散を賭ける」とする 小泉元首相の発言を信じない政治家が少なくなかったことに、竹中氏は「なんと政治センス がないのかと思っていた」と本音を漏らす。このように異能の才が国の危機に立ち向かった 過程を克明に描き出す。
| とどめの ひと言―予期せぬ攻撃をかわす対話法 | |
![]() | PHP研究所 2007-08 売り上げランキング : 15 2 おすすめ平均 ![]() 言葉によるエレガントな護身術
です 国際ビジネスの現場、知らざる事ばかりAmaz onで詳しく見る by G-Tools |
欧州の企業でキャリアを重ね、現在はパリに居を構えて日本や欧米企業のコンサルティング を行う著者が、自らの経験から得た交渉術の極意を指南する書。特に、他人の話術や攻撃的 な言葉にやり込められがちな人が反撃に転じるための対話法に焦点を当てる。「いつも言わ れっ放しの自分でいいのか」と問いかけ、「とどめのひと言」、つまりケースに応じた切り 返しのセリフは必ず見つかると言い、実例を示す。
著者が英オックスフォード大学の招聘教官に就任した頃、あるパーティーで古株の外国人メ ンバーから「ここは学生の来るところじゃない」と高飛車な姿勢でたしなめられた。著者は 売り言葉に買い言葉で「私は学生ではない」と主張することも考えたが、そのセリフをぐっ とのみ込み、「私はあなたに招待されたわけではありません。学長から招待されたのです」 と切り返したのだという。相手が居丈高であるほど、こうした「とどめのひと言」が効くと 言い、応用戦術などを解説する。
時には褒め殺しやユーモアも有効だと言う。また、「愚問をどう処理するか」「皮肉の応酬 で優位に立つには」「怒り狂う相手を静めるには」など、我々が日常遭遇しがちな状況を多 数挙げて、それに負けない事前の心構えと対処法を具体的に示す。
| 流通王・ 中内功とは何者だったのか | |
![]() | 大塚 英
樹 講談社 2007-08-24 売り上げランキング : 4123 ![]() 後継者の育成と権力禅譲こそ創業者最大の使命 改めて凄さを実感Amazonで詳しく見る |
2005年に他界したダイエー創業者、中内功氏の生涯と、彼の悲願であった「流通革命」 闘争の顛末を描き出した書。著者は1980年代のダイエー最盛期から中内氏を取材し続け たフリージャーナリストだ。これまでにも『中内功200時間語り下ろし』(全3巻)を記 すなど、中内氏自身から信頼を得て多くの取材機会を持った人物である。同社の業績不振の 責任を負って中内氏が社長、会長職を辞しマスメディアから遠ざかった後も、単独インタビ ューを許されていた。「中内功一代記」とも言える本書について、著者は本人から「僕が死 んでから出してください」と釘を刺されていたという。
戦後の闇市で商才を発揮し始めた中内氏には、パチンコ店などいくつかの商売の選択肢があ った。「どれをやってもカネは儲かったと思うね。しかし僕は一番儲からんスーパーマーケ ットを選んだ。心が全く動かなかったと言えばウソになるが、でも、それではあまりにロマ ンがないやろ」。この発言のように本書では、人生における数々の転機を振り返る中内氏の 本音が随所で明かされている。
中内氏亡き後の今、生産者の論理で価格が決まる傾向が強まっていると著者は言い、「流通 がメーカー側の代弁者に成り下がってしまった」と嘆く。


結局は批判本
関係者が漠然と感じていることを言語化した本
テレビCMは広告担当者の怠慢
の結果?

![影響力の武器[第二版]](http://ecx.images-amazon.com/image
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今年一番の本
影響力
社会の知恵と力は増す




「苦いチョコレート」
安価なカカオは奴隷的な農民に
よって作られる
目からうろこです。
切ないね、でも頑張らなくちゃね
これでよかった
のでしょうか。
男はつらい・・・のか?
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あきまへん
今に生きるダイナ
ミズム



誰にでも
分かりやすい公共マーケティングの本
あまりに初心者向け
新鮮だった。


中国だけなんだろうか、、、

これはガッカリ



後継者の育成と権力禅譲こそ創業者最大の使命