メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年8月21日~9月4日
| 大地の咆哮 元上海総領事が見た中国 | |
![]() | 杉本 信行 PHP研究所 2006-06-22 売り上げランキング : 105 おすすめ平均 ![]() 一番の問題はどこにあるのか やはり、これが限界か…… 同じ時期に出た二冊Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 外交敗北――日朝首脳会談の真実 | |
![]() | 重村 智計 講談社 2006-07-04 売り上げランキング : 1147 おすすめ平均 ![]() アメリカ様がお怒りだ! 日朝首脳会談のまとめとして 日本の外交の危うさが見える。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一向に解決の糸口が見えない中国との靖国問題。北朝鮮の拉致問題や核開発問題も混迷を極めるばかりだ。日本の対中、対朝外交の進展を阻む真の障壁に鋭く迫る2冊がランクインした。
本年8月に肺ガンで他界した元外務省上海総領事の杉本信行氏。『大地の咆哮』(丸善丸の内本店2位、ジュンク堂書店大阪本店3位)は、対中外交の表と裏を知り尽くした杉本氏が、病魔と闘いつつ記した書だ。
中国に関する我が国での報道や分析の多くは、極端な楽観と悲観に偏り過ぎていると批判する。中国人の胸の内には、外国から常に疎まれ、いじめられ、辱めを受けてきたという歴史認識、「義和団コンプレックス」があるという前提で反日感情を捉えよと言う。人口13億人のうち、わずか5~6%の共産党員が統治するゆえに生じる格差問題などに触れ、中国が抱える“時限爆弾”を明らかにする。
北朝鮮分析の専門家である重村智計氏は、『外交敗北―日朝首脳会談と日米同盟の真実』(ジュンク堂書店大阪本店7位)で、我が国主導による一連の日朝正常化外交は失敗だったと論じる。永田町での駆け引きを優先した「国会対策的外交」は、日米同盟を危機に陥れたと批判する。
| 会社は誰のために | |
![]() | 御手洗 冨士夫 丹羽 宇一郎 文藝春秋 2006-07 売り上げランキング : 52 おすすめ平均 ![]() 本当に対談集?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
企業を構成する組織、個人、そしてトップはどうあるべきか――。日本経済団体連合会の会長に就任したキヤノン会長の御手洗冨士夫氏と、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏が、こうした「会社論」をテーマに対談した内容をまとめたのが本書だ。
お2人の主張に、何度もうなずきながら読み進め、読後にはスカッとした気分になった。とにかく小気味よい発言が続く。そして、誰かから良く思われたいとの打算に基づいた、周囲におもねる姿勢が全くないのがいい。
例えば、経営を外部の目から監視する機能として、導入企業が増えている社外取締役について。
御手洗氏は、「昨日今日来たばかりの社外取締役など無用だ」と言い切り、自身が米国で社外取締役を務めていた時の経験を披露する。職務に誠実に対応しようとしても、経営判断に必要な知識の量では社内取締役に及ばなかったという。それなら、その企業をよく知る常任監査役の独立性を確保した方が有益との見解を示している。
私も同意見だ。どんなに完璧に見える制度を作っても、そこには必ず盲点があり、悪意をもって、その穴を突こうとする輩が必ず現れる。企業統治について言えば、経営者が嘘つきであれば、その仕組みは機能しないわけで、結局のところ、経営者が自らを律するしかないのだと思う。
その意味で、「企業におけるすべてのことはトップが全責任を負わねばならない」との表現と対句で丹羽氏が語った「トップは最終決定権を握っている独裁者である」という経営者観にも賛同する。そこには仕組み頼み、あるいは他人任せといった甘えがない。
そもそも経営者に曖昧な判断は許されない。神経を研ぎ澄ませ、孤独に耐えながらいくつもの修羅場をくぐり抜けてきたからこそ、何者にも左右されない軸ができるのだ。
私のような若輩者が言うと不遜に聞こえてしまうかもしれないが、本書を読むと、お2人は、経営者という仕事を通して、人間としての修業を積んできたのではないかと思える。この世には実に多くの仕事があるが、その中で、経営とは何と素敵な仕事なのだろうという気持ちにさせてくれる。
中には「実績を自慢し合っているだけでないか」という見方をする人もいるだろう。そう感じたら、本書に登場する会話の表現に改めて注目してほしい。借り物ではない言葉の数々がある。自分なら同じテーマに対して、どんな言葉でその本質を表現するか、自問しながら読めばいいだろう。そうすれば、発言の重みが認識できると思う。【評者 ワタミ社長 渡邉美樹】
| もう一つの鎖国―日本は世界で孤立する | |
![]() | カレル・ヴァン ウォルフレン Karel van Wolferen 井上 実 角川書店 2006-08 売り上げランキング : 16761 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
戦後、日本は米国の政治的、軍事的な庇護の下、複雑な国際問題に対応する必要のない「もう一つの鎖国」状態にあった。だが、著者は日本の政治家、官僚が安住してきたその状態は既に継続不可能となっていると警告する。
ブッシュ政権誕生後の米国は、イラク戦争で明らかな通り、国際秩序を破壊する側となった。米国が世界の平和秩序を維持し、その安定に関心を示していた世界はもはや存在しない。ブッシュ政権は日本、また欧州との同盟関係を一方的に放棄した格好だ。
米国は軍産複合体を維持するための新たな外敵として中国を標的に据え始めている。日本は、自らを取り巻く世界が大きく変化したことを認識し、成熟した一人前の国家として、必要とされる役割を果たすべきだと説く。
| タックスよ、こんにちは!―茶の間で語らう親子のために | |
![]() | 石 弘光 日本評論社 2006-07 売り上げランキング : 5806 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
政府税制調査会会長である著者が、小学6年生~中学1年生レベルの生徒を念頭に、税金の仕組みや税金が必要な理由などを分かりやすく解説する。実際の納税者でありながら、税金の知識に乏しく、正確に理解していない親の世代も読者と想定し、望ましい税金のあり方などを示す。
最初に、税金は身近な日常生活を支える公共サービスの代価であり、国を支える社会的インフラだと説明する。日本では税金と公共サービスを別個に考え、「少ない税金」と「多い公共サービス」を求める傾向が強い。このように「納税者」意識が希薄なのは、欧米社会のように市民革命を起こし、自分たちの手で新しい国を作った経験がなく、国を築き上げた自覚や責任感が乏しいことが原因と指摘する。
次に所得税、法人税、消費税など主要な税金の仕組みを説明、人口が減少し、少子高齢化が進む日本でどのような税制度を構築すべきかを考察する。北欧型の高福祉・高負担の方向に持っていくのか、米国型の自助努力を基本とする低福祉・低負担で良いとするのかは国民の選択だと指摘。できるだけ多くの人に「広く」「公平に」税金を負担してもらい、オールジャパンで社会を支えるには、消費税の役割を高めることが不可欠と結ぶ。
| 公務員人事の研究―非効率部門脱却の処方箋 | |
![]() | 山中 俊之 東洋経済新報社 2006-05 売り上げランキング : 7471 おすすめ平均 ![]() プラグマティックな1冊 研究?処方箋?書名に異議あり。 公務員人事を変えたい熱意にあふれる1冊Amazonで詳しく見る by G-Tools |
外務省での勤務経験を持つ公務員人事コンサルタントが、公務員人事改革のあり方を示す。
現在の公務員は目的と手段を取り違える傾向があり、「前例を疑わない」「市民や国民を一律に取り扱わなければならない」という思い違いも顕著であると指摘。その結果、非効率的な仕組みが残っているという。小さく効率的な政府を作るためには、顧客志向、市場志向、透明志向を取り入れる必要がある。人事制度にもこうした志向を組み込むことが重要と主張する。
現在の公務員人事制度の問題として「組織のミッションが不明確」「マネジメントの欠如」「キャリア形成の重要性の認識不足」の3点を挙げ、解決の方向性を示す。公平な人事評価、モチベーションを上げる目標管理のあり方について、海外での事例も紹介しながら詳細に解説する。また、公務員は「何でも屋」から脱却し、基本知識とともに2つ程度の専門知識を持つ「πパイ型人材」を目指すべきだと説く。
日本と海外の公務員制度を見た場合、最大の相違点は幹部候補生の流動性にある。中途採用を大量に行うなど、公務員人材マーケットを徹底的に流動化し、視野が広く専門性、マネジメント能力のある公務員を養成すべきだと強調する。
| あなたもこうしてダマされる―だましの手口とだまされる心理 | |
![]() | ロバート レヴィーン Robert Levine 忠平 美幸 草思社 2006-07 売り上げランキング : 819 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
人はいかに操られ、自分がやるとは思ってもいなかったことをやってしまうのか――。社会心理学者が、好感度満点の煙突掃除夫に騙されるという自らの体験をきっかけに、騙しの手口と騙される心理を分析する。
著者は台所用品の訪問販売会社や自動車販売会社でセミナーや研修に参加。化粧品、会員制の共有別荘など、あらゆるものを売る行商人たちの口上に耳を傾け、奇術師、読心術師などペテン師を観察した。そして、訪問販売や宗教の勧誘、タイムセール、募金依頼など、一見、全く違う種類に見えるものが、みな同じ心理テクニックを応用していることを突き止める。
説得の場面では、語る内容よりも、誰が、いつ、どこで、どのように語るかが重要になる。口がうまく、押しが強いセールスマンは誰でも警戒するが、誠実そうで好感の持てる相手には気を許しがちである。しかも、彼らは周到に根気よく状況を作り上げるため、説得されているという自覚すらないままに、手玉に取られる。
我々は「自分だけは他人に騙されることはない」という奇妙な幻想を抱く傾向がある。だが、実際には誰でも自分が思っているよりも説得されやすい。警戒を怠ると、策士の罠にかかりやすいと注意を喚起する。
| リベラリズムとは何か―ロールズと正義の論理 | |
![]() | 盛山 和夫 勁草書房 2006-06 売り上げランキング : 6689 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
あなたはリベラルか、リベラリズムを支持するか、と問われたら?
私ならためらいなくイエスと答える。個人の自由を尊重し、他に対し寛容であるべきだから。しかし、こうした私の理解は、リベラリズムの一面しかとらえていない。現実に、本書が指摘するごとく、こちらの自由を立てればあちらの自由が立たない問題が世界中に存在する。日本の靖国問題や脳死問題、米国の堕胎問題、フランスのスカーフ問題等々…。
リベラリズムの定義、その政治的、社会的立ち位置は、歴史的、文化的背景に大きく依存する。本書で焦点が当てられるのは、米国の哲学者ジョン・ロールズの思想を核として1970年代以降に形成発展を遂げた、現代的リベラリズムである。
ロールズは、「正義は善に優先する」と唱えた。個々人が善きことと考えるものより、社会が成り立つための規範の方が上位に立つという意味である。文化や価値の多元化に覆われた状況下で、自由、平等な望ましい社会を構成するための普遍的原理を何とかして見いだそうという、ある意味、けなげな発想だ。
しかし、「正義」ほど厄介なものはない。ブッシュの正義、イスラムの正義に始まり、ヒトラーやスターリンにも、ある種の主観的な正義はあった。ロールズの正義は手続き的な概念であり、次元は異なる。だが、超越した原理を押しつけることになるという、正義に共通する陥穽を免れていない。
では、リベラリズムの対立軸は何か。安易な相対主義はさておき、一方に、個人の自由を極限まで徹底しようとするリバタリアニズムがあり、他方には、個人ではなく共同体の価値観を優先するコミュニタリアニズムがある。しかし、他者や教育、環境(その最大のものは言語環境であろう)の影響のない神聖なる「自由意志」や「自己決定」などあり得ない。また、「共同体の価値」も、一種の神話であり、個人の抑圧に道を開いてきた例は枚挙に暇がない。
こうしてみると、チャーチルが民主主義について述べた図式が、リベラリズムにも当てはまるのではないか。すなわち、「リベラリズムは良くない思想だ。しかし他の思想はもっと悪い」。著者も、リベラリズムを最終的に擁護することは困難と認めつつ、その創造性、理念追求の姿勢に多大の敬意を払っている。
本書は、リベラリズムと、その根底にある自由、平等概念の徹底分析を試みた力作である。現代政治思想理解の標準的テキストになるであろう。【評者 国際協力銀行理事 岩下正】
| 日本文明の興廃 いま岐路に立つこの国 | |
![]() | 中西 輝政 PHP研究所 2006-04-25 売り上げランキング : 29351 おすすめ平均 ![]() 歴史に学ぶとは何かAmazonで詳しく見る by G-Tools |
長い歴史の中に息づいてきた日本文明は今、大きな岐路に立っている。日本はどのような方向に進むべきか。保守派の論客である著者が考察する。この数年、「Voice」などに掲載した原稿を修正し、書き下ろしを加えた。
日本人は100年、200年の単位ではなく1000年の単位で見る文明的視野を持つべきと説く。文明史的に見ると、日本の危機は安全保障、国民精神、皇室のあり方という3つの軸で起きている。本書は皇室典範改正、靖国神社参拝、北朝鮮問題など日本が直面する問題を取り上げ、危機を訴える。
日本の戦後は、根本的な国家観や歴史観、世界観、道徳意識に関わる問題を棚上げし、経済専念で過ごした「逃避の60年」だと指摘。それを招いた戦後の呪縛を克服すべきと強調する。
| こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから | |
![]() | 荒井 千暁 文藝春秋 2006-04 売り上げランキング : 644 おすすめ平均 ![]() 現代社会の問題点をとらえた好著だと感じました。 じわり、購読者は増えていると思います あなたは‘上司’になりたいですか?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-荒井千暁氏[統括産業医]「心の病」は企業リスク-『こんな上司が部下を追いつめる』
職場の人間関係など「心の病」を抱える社員が増えている。背景にあるのは、成果主義などの導入で希薄化する社員間コミュニケーション。放置すれば経営リスクにもなりかねないと、産業医が警告する。
――若者の過労死や、うつ病に追い込まれる新入社員など、冒頭から「過労現場」の生々しいエピソードに衝撃を受けます。
個人情報保護の観点から必要最小限で脚色しましたが、いずれも実際の出来事を基にしています。
うつ病に代表される「心の病」は、周囲の人間とのコミュニケーション不足が原因であることが圧倒的に多いです。次から次へと降ってくる仕事に対して、本人が危険信号を出せないまま追いつめられてしまうんですね。特にその傾向は、仕事ができる人に顕著です。仕事がすべて集中してしまい、本人が身動きできなくなってしまう。携帯電話やインターネットによって、いつでもどこでも仕事ができる環境が当たり前になったことも、心の病を抱える社員の増加に拍車をかけています。
こうした事態を防ぐために、上司は部下に対するアンテナを伸ばしておいてほしいと思います。目配り、気配り、心配りと書きましたが、ある程度部下の立場になって考えてあげることが必要でしょう。
上司が部下の異変に早く気づいてあげれば、本人にとっても、会社にとっても損害が少なくて済みます。例えば、うつ病の場合、早期に兆候を発見できれば、治療を始めてから3日目ぐらいで回復するケースも少なくありません。
――とはいえ、実際にはどう取り組めばいいのか、頭を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
以前なら、上司が終業後に一杯飲みに誘って部下の悩みを聞く、といったことが円滑なコミュニケーションにつながっていました。ところが今は、こうした場を嫌う若者も増えています。何か違う形でじかに部下と接して話し合える時間を作ってあげないといけないでしょう。
コミュニケーションがうまく取れている企業の多くは、定期的な自主勉強会などを企画しています。
上司と部下が接することが目的ですから、勉強会の議題は何でも構いません。例えば、特定の新聞記事について議論する、といった基本的な内容でよいのです。
こうした集まりを1カ月に1回など定期的に続けていると、上司は自然に部下の心理状態を把握できるようになってきます。だから、「何となくこいつはおかしいな」といった状況もすぐに把握できます。
――心の病を抱える社員の増加は、企業にとって経営リスクの高まりにほかならないと指摘しています。
企業は人の集まりである以上、社員の抱える心の病は、企業全体にとっての危機を意味します。
最近は、敵対的買収を含め、対外的な買収に対する防衛策に関しての議論が盛んです。ところが、社員のメンタルケアという組織内部のリスク対策については、多くがおざなりになっていると言わざるを得ません。
社員の心のケアをおろそかにした結果、次々と社員が倒れれば、事業そのものが立ち行かなくなるでしょう。
この点を、経営者の方々には認識していただきたい。私の立場から言えば、会社は誰のためにあるかと聞かれたら、それは株主のためではありません。まずは従業員のためです。
会社という組織では、従業員が持てる能力を最大限引き出せる環境を作って初めて成果も出るし、株主が満足します。決してこの順番を間違えたらいけないと思います。
荒井千暁(あらい・ちあき)氏
1955年静岡県生まれ。新潟大学医学部卒、東京大学大学院修了。専門は産業医学、呼吸器病学、アレルギー学。日清紡で産業医を務める。
| BRICs 新興する大国と日本 | |
![]() | 門倉 貴史 平凡社 2006-06-10 売り上げランキング : 4794 おすすめ平均 ![]() BRICs経済の最適な入門書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
高成長を続けるブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs諸国。本書は豊富なデータを基に各国の最新の情報を紹介する。
まず、BRICsの高成長のメカニズムを明らかにする。成長パワーの源として、豊富な天然資源、豊富な労働力、外資の積極的な導入、購買力を持った中産階級の台頭の4点を挙げる。特に、各国で都市部を中心に育ちつつある富裕層、それに準じるニューリッチ層の実態について、独立した章を設けて詳細に解説する。各国の中産階級の間では、自動車、パソコン、家電製品などの高額製品や各種の金融商品に対する需要が膨らんでいる。「豊かさ」の負の側面である糖尿病患者数の増加、格差の拡大など、マイナスの影響も出始めていることを指摘する。
日本など先進国とBRICsの関係も考察する。軍事力、政治力の面でも存在感を高めるBRICsだが、欧米企業はその台頭を脅威ではなく機会ととらえ、輸出攻勢をかけている。日本は中国との貿易・投資関係は深まっているが、他の国との関係は希薄で、出遅れ感が目立つとしている。
ポストBRICsの有力候補として南アフリカ共和国、ナイジェリア、メキシコ、トルコなどを挙げ、各国の経済概況を記す。
| 「強い会社」を作る―ホンダ連邦共和国の秘密 | |
![]() | 赤井 邦彦 文藝春秋 2006-06 売り上げランキング : 3278 おすすめ平均 ![]() ホンダという会社の理念、どう考え、どう行動したか 「秘密」までには至らない 金返せ!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
独立独歩路線を歩みつつ、世界の自動車メーカーの「勝ち組」に残るホンダ。福井威夫社長ら経営幹部、社員、ディーラーなど関係者への取材を基に、その強さの秘密に迫る。
福井社長は就任に当たって、「ホンダを『強い会社』にしたい」と考えたという。その実現のため、まずブランドの強化に着手した。2輪車、4輪車、芝刈り機、ジェットエンジン、ロボット、太陽電池など幅広い製品を送り出す企業として、「The Power of Dreams」というスローガンを作り、全世界に発信した。Hマークを際立たせ、自動車を前から見た時の存在感を高めるデザインを施すなど、ホンダ車の「顔作り」を徹底した。
福井社長は、研究所で働く技術者たちには「製品に自分の思いを込めろ。ただし独り善がりになるな」と語りかける。マーケットインは必要だが、データばかりを信用するのではなく、プロダクトに開発者の思いが入っていることが重要というのだ。実際、ミニバン「オデッセイ」などは、マーケットインとプロダクトアウトの絶妙なバランスを取った「ホンダ流プロダクトアウト」で作られ、大ヒットした。
創業以来の軌跡もたどりながら、ホンダを世界的大企業に成長させた技術者魂の神髄を解説していく。
| 自民党改造プロジェクト650日 | |
![]() | 世耕 弘成 新潮社 2006-07-14 売り上げランキング : 1429 おすすめ平均 ![]() 次回に期待 虎の巻 一読の価値ありAmazonで詳しく見る by G-Tools |
2003年11月の総選挙における事実上の敗北をきっかけに、自民党は党改革プロジェクトをスタートさせた。キーマンとして活動した著者が、その全容を振り返る。
党改革は立候補者選定のプロセス改善、「政治とカネ」の透明化、広報改革などが課題となった。しかし古参議員や党職員からの反発でなかなか進展しない。転機は2004年4月の衆議院埼玉8区の補欠選挙。前職の自民党議員が公職選挙法違反で逮捕された打撃から埼玉県連は不戦敗を訴えた。著者らはこれを好機と見て、公募による候補者選定、PR会社を入れたイメージ重視の選挙などを実行。勝利を得た。
埼玉補選での成功で党改革にエンジンがかかった。自民党は伝統的に盆、暮れに「モチ代」「氷代」と称して現金を配る習慣があったが、「税法上リスクが高い」「カネの流れを透明にすべき」といった著者らの主張が通り、廃止が実現した。2005年、郵政解散後の選挙戦では候補者公募の広告、テレビ討論番組への出演者選定、ブロガーとの会合など新しい試みを取り入れ自民党の歴史的大勝を導いた。
改革途上での小泉純一郎首相、安倍晋三官房長官らとの詳細なやり取りも記される。選挙や党内情勢の裏側を垣間見ることができる。
| カーネギー 心を動かす話し方―一瞬で人を惹きつける秘訣 | |
![]() | デール カーネギー Dale Carnegie 田中 融二 ダイヤモンド社 2006-02 売り上げランキング : 1551 おすすめ平均 ![]() やはり、王道Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1912年、ニューヨーク市の片隅で1人の元セールスマンが「話し方教室」を始めた。ビジネスにおける成績向上はもちろん、円滑な人間関係の構築に即効性を示す彼の教えは大人気を博し、全米はもとより全世界に広がっていく。デール・カーネギー本人は55年に他界したが、その遺志を継いだデール・カーネギー研究所は今も世界各地でプログラムを実践している。
本書は我が国で40年前に和訳された『カーネギー 話し方教室』の新装版である。セールスというと1対1の対面型を想像しがちだが、基本に据えられているのは聴衆の面前でも自信を持って話せる力の育成だ。スピーチを臆する心を「演壇恐怖症」と呼び、誰もが抱える悩みではあるが、短期間の効果的な訓練で克服は可能だと説く。
| 原典 ユダの福音書 | |
![]() | ロドルフ・カッセル マービン・マイヤー グレゴール・ウルスト 日経ナショナルジオグラフィック社 2006-06-02 売り上げランキング : 2888 おすすめ平均 ![]() 奇書、歴史の狭間より復活! 揺さぶられる文書であることは間違いないと思います。 宇宙論や世界についてAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-マービン・マイヤー氏[米チャップマン大学 聖書・キリスト教学科教授] 他人を許す世界を築こう
イエス・キリストを裏切ったユダ――。こんな定説を覆す古代文書が実存した。 初期のキリスト教には多種多様な考え方があったことを示しており、世界の宗教観に大きな影響を与える歴史的な発見だ。
――「ユダはキリストの良き理解者であった」という文書が存在した事実に、どのような反響がありましたか。
これまで裏切り者として描かれてきた人物が復権するわけですから、反響は大きいだろうと思っていました。実際、電子メールや手紙、電話などで意見が寄せられましたが、多くの人が「どんな内容なのだろう」と前向きな関心を示しています。
580年にエイレナイオス司教が『ユダの福音書』を異端の書としました。ただ、近年は文書の存在が確認できなかったため、誰も内容を知りませんでした。今回、まさに“禁断の書”が見つかったわけです。出版当初は、ローマ・カトリック教徒が本を読むのは原罪を犯すという見方もありました。今は皆が興味を持っているようです。
『ユダの福音書』のキリストは、新約聖書の4福音書(マタイ、マルコ、ユカ、ヨハネ)とは違います。キリストは他人の原罪をあがなうために死んだという信仰がありますが、そうは書かれていません。キリストは、肉体から己の魂を解放する手助けをユダに求めたとなっています。そこには自分の内に神を見つけるという、ユダヤ教の神秘主義に通ずる考え方があります。
『ユダの福音書』は2世紀半ばに書かれており、ほかの福音書とほぼ同時期です。キリスト教の黎明期に多種多様な考え方があったという事実はとても興味深い話です。
また、ユダヤ社会も強い関心を持っています。裏切り者のユダは、反ユダヤ思想の根拠として利用されてきました。キリストが磔(はりつけ)になる責任がユダにあり、その責めをユダヤ人が負ってきた歴史があります。それがキリストの良き人となると、全く事情が変わってきます。ユダの人物像が見直されることは大きな意味があります。
――どのような経緯で翻訳に関わることになったのですか。
2005年初夏にナショナルジオグラフィック協会から「プロジェクトに先生の力が借りたい。内容は話せないが、機密保持契約書に署名してほしい」という電話がかかってきました。私は、情報を漏らさないと約束したけれど、そもそも漏らす情報が何だか分からない(笑)。機密保持契約を済ませて、初めて『ユダの福音書』と教えられたわけです。
とてもうれしく、名誉に感じました。学者として、こんなチャンスはめったにありません。これまで沈黙させられていた書を世に出す作業に携わったのは光栄なことです。
――パレスチナ地域の紛争など、宗教が問題を引き起こす現実もあります。
これまで憎悪の対象となってきた人物が復権しました。まさに『ユダの福音書』そのものが、多様性を肯定すべきというメッセージです。他人を許して受け入れること、阻害してきた人を仲間として認めて復活させることを描いています。このことこそが、価値観が多様化した現代社会で、我々が築くべき世界ではないでしょうか。
憎悪は簡単に払拭したり、消し去ったりはできません。1冊の本で、一夜にして世界が変わることもありません。それほど世界は甘いモノではないのですから。しかし、『ユダの福音書』が残したメッセージが人々の耳に入れば、ささやかながら世界に貢献できるのではないかと期待しています。
マービン・マイヤー(Marvin Meyer)氏
1948年米ミシガン州生まれ。米クレアモント大学を卒業、古代エジプト語を研究する。古代の宗教思想の1つであるグノーシス主義の権威。
| ゴーン家の家訓 | |
![]() | リタ ゴーン Rita Ghosn 小林 禮子 集英社 2006-05 売り上げランキング : 21445 おすすめ平均 ![]() 主婦は休みなし 日本にも共通 う~ん・・・・?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
カルロス・ゴーン日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の妻が記した、家族の絆と誇りの書。まずは自らの半生と、ゴーン氏との出会いのエピソードを綴る。レバノン・ベイルートで生まれ、内戦の惨劇を目の当たりにしながらも学問に励みフランスへ留学。そこで、当時ミシュランに所属していたゴーン氏と運命的な出会いを果たし、彼のプロポーズを受けて結婚。彼の転勤先であるブラジル、米国で3女1男を儲け、子育てに専念しながらも、「ゴーン家」という唯一無二の家庭作りに尽力した。
生活は決して順風満帆ではなかったと振り返り、例えば嫁姑問題に触れる。最愛の息子を奪われたと感じている義母との軋轢は苦しいものではあったが、決して愚痴をこぼさず、義母に対してもいつかは分かり合えるという気持ちで尊敬する態度を取り続けたと言う。こうした暮らしの中でゴーン家は「25の家訓」を得た。長女を甘やかしてしまった経験からは「過剰な愛情は誰のためにもならない」と言い、「平日は家でテレビを見せない」というしつけも家訓となった。また、「家族の大きな決定は、必ず夫婦ふたりの同意で」「母親が幸せならば、家族全員が幸せである」と言い、家庭を守る妻としての尊厳をうたう。
| エリクソンの「脱・カリスマ」管理術 ― イングランド代表を再生させたマネジメント哲学 | |
![]() | J. バーキンショー S. クライナー 中山 宥 講談社 2006-06-13 売り上げランキング : 79659 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
スポーツの世界で頂点を極めた指導者による管理理論が注目されている。先頃、我が国ではサッカー日本代表チーム監督にボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア)人のイビチャ・オシム氏が抜擢され、その力に期待が高まっている。しかし、2001年にイングランド代表チームがスウェーデン人であるスベン・ゴラン・エリクソン氏を監督に招聘した時は、反発の声が上がった。誇り高き“サッカー発祥の地”の代表を率いるリーダーが外国人で、しかも北欧の小国の出身者であってよいのかというのだ。
そうした批判をものともせず、エリクソン氏はベッカムやオーウェンらスター軍団をまとめ上げ、強いイングランドを作り上げた。本書は企業マネジメントの専門家らがビジネス社会にも共通する視点から、エリクソン氏の管理理論と哲学を明らかにしたものだ。
スウェーデンは「ヨーロッパの日本」と呼ばれるように、トップが一方的に決断を押しつけるやり方を好まず、上下のコミュニケーションのあり方を重視する国だと言う。著者らはエリクソン氏について、カリスマにありがちな独裁的な性格は持たないが、馴れ合うことも容認しない新しいタイプの指導者であると言い、彼の意思決定や合意の形成法を分析していく。
| ゴールデン・サイクル―「いざなぎ超え」の先にあるもの | |
![]() | 嶋中 雄二 東洋経済新報社 2006-05 売り上げランキング : 1787 おすすめ平均 ![]() 学生さんが読む本 データ豊富、しかし。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
長らく停滞期が続いた我が国の経済は上昇局面に転じており、中長期的には歴史的好景気の時代へと突き進むであろうと論じる書。著者は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング投資調査部長兼主席研究員であり、景気循環論研究の第一人者として政府のアドバイザーも務めている。著者は経済が好景気へと向かう周期のパターンを「ゴールデン・サイクル(黄金循環)」と名づけ、我が国がこれまでに経験した好景気の研究に加え、設備投資や生産性、産業構造の変革といったデータを示しながら、そのメカニズムを解き明かしていく。
景気循環には短期(3~4年)・中期(約10年)・長期(約20年)・超長期(約55年)の4つの波動があり、複数の波動の底が重なると1990年代の「失われた10年」のような不景気を招くと解説。逆にこれらの波動がすべて上昇波に入る時代こそが「ゴールデン・サイクル」であり、今年がその始まりだと説く。製造業における生産拠点の加速度的な国外移転にはブレーキがかかり、工場建設は国内に向かうと読む。それらを根拠に著者が予測する発展事業を示す。例えば、生活者の立場に立った「都市の景観、環境、観光、高齢化」という「4つのK(それぞれの頭文字)」に注目せよと提案する。


一番の問題はどこにあるのか
やはり、これが限界か……
同じ時期に出た二冊





研究?処方箋?書名に異議あり。












