メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年7月3日~7月17日
| みんながアメリカを嫌う | |
![]() | ギ ソルマン Guy Sorman 秋山 康男 朝日新聞社 2006-05 売り上げランキング : 5629 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アメリカの知識がなくては何も語れない時代になった。人種の坩堝(るつぼ)であるアメリカは、やがて世界各地の人々が追体験していくであろう先駆的な社会である――A・トクヴィルの名著『アメリカの民主政治』以来、幾度となく繰り返されてきた指摘を、やはりフランスの代表的知識人である著者も否定できない。アメリカ文明の独自性や他の文明との違いを強調しつつ、いずれフランスも日本も「メード・イン・USA」の世界的文明に沈められ、“思い出の小島”になってしまうのではないかとの不安をあらわにしている。
ともあれ知らないことには何事も始まらない。情報が溢れているようでいて、実はあまり知られていない現代アメリカの多様で複雑な実相の把握と解明が本書の眼目だ。なるほど、良くも悪くもアメリカは“民主主義”の国である。ただしフランス人との間には、民主主義それ自体の理解について、決定的な齟齬があった。欧州では各分野の専門家が “真実”や“美”に一定の規定を与えることが認められるが、アメリカでは大衆の支持がすべて。知的な政治家は「egg-head」と呼ばれ、軽蔑の対象にされる。人々の自由は結果的に個々の主張を消してしまい、画一的な価値観へと強制されていく危険性も小さくないようだ。
合衆国内で、にもかかわらず続けられている“2つの文化”の闘いが興味深い。ポルノ、先住民族、銃…。リベラル派対保守派の形容がピタリとはまる確執は、単に政治的な対立だけでは済まないものがある。果たして近年は保守派が優勢だが、その背景には資産家が提供する莫大な資金があるという。貧困層への公的援助は彼らを恒久的な依存状態に閉じ込めてしまうとする発想も、犯罪の責任は社会にではなく犯罪者自身にのみあるとする“ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)”の理論も、果たして養鶏業者と銀行家が創設したシンクタンク「マンハッタン研究所」によって打ち出され、政策化されていた。
大衆の人気を神とする社会は現在、人々を1級市民と2級市民とに分断してしまっている。経済的繁栄の前には、ワーキングプアーの悲惨な生活も当然の犠牲として捨て置かれるべきである、と。剥き出しの資本主義は、確かに徹底した民主主義ではあるのかもしれない。アメリカはこの価値観の輸出にすさまじい情熱を傾けてきたし、今後もそうするだろう。抵抗する相手に対しては圧倒的な軍事力による侵略も辞さずにだ。彼らと軍事同盟を結んでいる日本の運命はいかに。その是非が真剣に検討されなければならない時期ではないか。【評者 斎藤貴男(ジャーナリスト)】
| 自壊する帝国 | |
![]() | 佐藤 優 新潮社 2006-05-30 売り上げランキング : 376 おすすめ平均 ![]() 知的好奇心を満足させる書 前作『国家の罠』との見事な連環 作家、佐藤優のエリート生態エッセイ集Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ロシア外交のプロとして鳴らし、「外務省のラスプーチン」などの異名を取った著者の回想録。在ソ連日本大使館の外交官として見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る。
「もともと、人見知りが激しい」という著者だが、モスクワ大学留学中に知り合った学生を仲介に、多くの重要人物と交流を深め、インテリジェンス(機密情報)を得る。ウオツカをがぶ飲みしながら、神学の教養を中心に幅広いテーマで議論を交わし、信頼と友情を勝ち取る。その豊富な人脈と情報収集力を1991年のクーデター未遂事件でも発揮、ゴルバチョフ大統領の生存情報をいち早く入手した。
出世競争が最大の関心事であるキャリア組とは大きく異なる仕事・生活ぶりで、外交官の本質を考えさせられる。
| 日銀はだれのものか | |
![]() | 中原 伸之 中央公論新社 2006-05 売り上げランキング : 112600 おすすめ平均 ![]() よく書けています。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
新日銀法が施行された1998年4月から2002年3月まで、日銀の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員を務めた著者の回想録。政策委員会の中身は、議事録が10年後に公表されるまで明らかにしてはならないことになっているが、既に公表されている議事要旨の範囲内で、著者の思いや政策決定までの経緯を振り返る。
1998年当時、日本経済はデフレスパイラルに陥る瀬戸際に追い詰められていた。著者は審議委員に就任後まもなく金利引き下げを、その後ゼロ金利や、さらなる追加緩和策を提案。これらは少数意見として否決され続けるが、経済情勢のさらなる悪化で、後追い的に採用されていく。2000年8月、著者は強く反対したが、景気が上向いたとの判断でゼロ金利は解除される。ゼロ金利解除後、景気は反転。結局、追加緩和が必要となり、著者が主張してきた量的緩和策が採用されたという。本書では、こうした過程での政治家や日銀幹部とのやり取り、委員会内部の“票固め”の様子などが描かれる。
日銀のあり方についても考察する。政策委員会の構成、審議委員の選び方、人員削減などに言及する。また、政策運営で失敗しても責任を取らない現在の状況を是正するため、政府に総裁の罷免権を与えるべきと提言する。
| 経営に大義あり―日本を創った企業家たち | |
![]() | 日本経済新聞社 日経= 日本経済新聞= 日本経済新聞社 2006-05 売り上げランキング : 19157 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
明治維新から昭和にかけての日本には、個性豊かな企業家が数多く登場した。本書は著名な作家や経済・経営学者らが、こうした企業家の行動の軌跡、国造りにかける大志などをたどる。2005年9月から日本経済新聞で連載した「やさしい経済学――ニッポンの企業家」に加筆してまとめた。
取り上げる企業家は盛田昭夫、本田宗一郎、小林一三、益田孝、渋沢栄一、岩崎弥太郎など。盛田はソニー創業時から、「日本国を世界で復権させる」という壮大な野心を抱き、世界の最先端市場で勝負することを心に誓っていた。仕事をゲームのように楽しみ、部下をその楽しみに巻き込んだ。大きな目的に邁進するエネルギー、志、純情が周囲を動かし、世界的企業を生み出す源となった。岩崎は「万事を一身に背負う」気概を持っていた。江戸時代の藩組織が実際は私心私欲の集合体だと知ったことで、民間の事業こそ公器で人々への奉仕でなければならないと考えた。近代化する日本の中で、個人としてそれを実現しようと志した。
作家の童門冬二氏、国際日本文化研究センター教授の猪木武徳氏、東京大学教授の岡崎哲二氏による座談会も収録。国家的レベルの夢を抱き、リスクを冒して賭ける生き方をした近代の企業家から学ぶべき教訓などを探る。
| アディダスVSプーマ もうひとつの代理戦争 | |
![]() | バーバラ・スミット 宮本 俊夫 ランダムハウス講談社 2006-05-25 売り上げランキング : 2993 おすすめ平均 ![]() オビに惹かれて購入すると後悔・・・するかも 世界をまたにかけた壮大な兄弟げんかは引き分けに終わったんだろうな…たぶんAmazonで詳しく見る by G-Tools |
世界のスポーツ市場で競い合う「アディダス」と「プーマ」。この両ブランドは、ドイツの小さな村で反目し合う2人の兄弟、アドルフ・ダスラーとルドルフ・ダスラーによってそれぞれ設立された。両社は長年にわたって火花を散らし、スポーツビジネスを様変わりさせた。綿密な調査・取材で、その内幕を描く。
1920年代、ダスラー兄弟は製靴事業で成功を収めた。だが、2人は正反対の性格で、しばしば衝突を起こすようになる。48年、アドルフは自分の名前と姓を縮めたアディダスを、ルドルフは名前をもじった「ルーダ」をより軽快にしたプーマを立ち上げる。
アディダスはメルボルンオリンピックで選手に靴を無料配布し、ブランドを浸透させた。次のローマオリンピックではプーマも一流選手と接触し、靴を無料提供する。次第に舞台は、サッカーのワールドカップなどにも広がり、有名選手の囲い込みが激化する。やがて、衣料分野にも進出し、様々なチームとスポンサー契約を結ぶようになる。「ナイキ」など他メーカーも絡み競争はさらに激しくなっていった。
ワールドカップは国と国との代理戦争と呼ばれる。舞台裏では巨大利権と有名選手を巡り、また別の熾烈な争いが繰り広げられていることが分かる。
| フラット化する世界(上) | |
![]() | トーマス・フリードマン 伏見 威蕃 日本経済新聞社 2006-05-25 売り上げランキング : 169 おすすめ平均 ![]() ひとつの世界像を構築できる刺激的な著作 読めば得する 今の日本ではまだ実感がないかもしれないが・・・。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| フラット化する世界(下) | |
![]() | トーマス・フリードマン 伏見 威蕃 日本経済新聞社 2006-05-25 売り上げランキング : 211 おすすめ平均 ![]() 今の子供達が大人になったらの話 残念ながら 平坦な世界のネガティブを直視する、重い内容Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-トーマス・フリードマン氏[ニューヨーク・タイムズ紙コラムニスト] ライバルはインド・中国人
もはや地球上のどこにも情報格差はない。世界はフラットになった。子供たちは、中国やインドの優秀な人材との熾烈な競争にさらされる。話題の書が描く未来は過酷だ。
――全米での販売部数が200万を突破、30カ国での出版が決まりました。何が読者の共感を呼んでいるのでしょう。
多くの人たちは2000年頃から、身の回りで起きている変化を感じていたと思います。それはこんな感覚です。
「インターネットや携帯電話を通じて、それまでに接触したことがない人といつの間にか接触できるようになった。自分が住んでいる場所は頂上ではない。私がここにいて、彼らが向こうにいて、同じ土俵に立っている。これからは他人と違うことができないと、いい暮らしはできないかもしれない」
私はこの感覚を「世界はフラットになった」という言葉で、単純に表現しました。それが読者の思いや不安と一致したのでしょう。私自身、この言葉は周囲から教えられました。インドのバンガロール市でアウトソーシングの取材をしていた時、現地の大手IT(情報技術)コンサルティング企業、インフォシス・テクノロジーズのナンダン・ニレカニCEO(最高経営責任者)がこう言ったのです。「トム、グローバル経済の土俵は平らになっているが、米国人は何の準備もしていないようだね」と。この時、私は世界で何が起きているかを悟りました。
――途上国の人たちの不利が解消され、チャンスが膨らんでいるわけですね。
米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が私にこう言ったことがあります。「35年前なら、東京で生まれた平均的な生徒は、北京やバンガロールで生まれた天才よりもチャンスがあった。しかし、今は違う」と。確かに35年前なら、誰も中国の文化革命の真っただ中に生まれたくはなかったでしょう。
同様に、あなたが高度な技術を持ったインド人のエンジニアで、日欧米のいずれのビザも持っていなかったとしましょう。以前なら、あなたの技術はムンバイ市の波止場に置かれた野菜のように腐っていました。しかし世界がフラットな時代には、インドに居ながらにして、ソニーのためだろうと、東芝、韓国のサムスン電子、米IBMのためだろうと、貢献できます。あなたはグローバルな知識サプライチェーンの一部になれるのです。
私は先頃、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで、米グーグルが提供する「グーグル・ファイナンス」がインドのオフィスで設計されたことを書きました。同社の本社があるシリコンバレーではなく、「インダスバレー」からわき起こったのです。つまり、これまでとはベクトルの向きが逆になっています。これからの世界には「イン」も「アウト」もありません。だから、アウトソーシングという言葉は古い。アラウンドソーシングの時代が始まろうとしています。
――フラットな時代を生き抜くには教育が重要だと説いています。
私はかつて両親に「トム、ご飯は残さずに食べなさい。中国やインドでは食べたくても食べることのできない人たちがいるのですよ」と叱られました。しかし、今、私は娘たちに「宿題をしなさい。そうしないと、中国やインドの人たちがおまえたちの仕事を奪ってしまうよ」と言い聞かせています。
ならば、どんな教育が必要なのか。私は、“学び方”を学ぶ能力だと思っています。何を知っているかではなくて、どう学ぶかです。なぜなら、あなたが今日知っていることは、これまでに経験したことのない速さで、明日には時代遅れになるからです。
トーマス・フリードマン(Thomas L.Friedman)氏
1953年米ミネソタ州生まれ。オックスフォード大学を卒業後、通信社UPIを経て、81年からニューヨーク・タイムズに移籍。3度のピュリツァー賞受賞経験を持つ。
| 心の力―人間という奇跡を生きる | |
![]() | 村上 和雄 玄侑 宗久 致知出版社 2006-04 売り上げランキング : 1521 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-玄侑宗久氏[臨済宗僧侶・作家] 経済は万能ではない-『心の力』
芥川賞作家の禅宗僧侶と遺伝子の権威が「いのち」を語る異色の対談集。宗教家が仏教の科学性を説き、科学者が信仰の重要性に改めて目を向ける。ともに「経済と大義名分」による科学の暴走を危惧する。
――宗教家が科学を語り、科学者が信仰を語る。異色の対談ですね。
生命の根本に遺伝子を置く考え方は、仏教から見ても全く違和感がありません。それどころか、仏教は科学の方法論を超えたすごみを持っているんです。
科学は自然現象の一部分を取り出して、範囲を限定し、条件を仮定してその中で起こる出来事を解析しますよね。仏教は「空」という言葉が表すように、常に全体とのかかわりを視野に入れながら、渾沌(カオス)にも意味を見いだしていく。「ご縁」という言葉はどなたでもご存じでしょう。
例えば私たちが死んだ後、意識は瞬間的に消滅してしまうのでしょうか。私にはそうは思えないのです。物質を構成する最小単位の量子を瞬間移動させる実験は、既に成功しています。だとしたら、我々の死後、意識はどこかに移動するだけで、場を変えて存在しているのではないか。宇宙の塵でできている我々の体が、再び宇宙の塵に戻り、より大きな「宇宙意識」の中で存在し続けていくのではなかろうか。
死は謎に満ちているのですから、すべてを説明することは到底できません。それでも、分からないことを切り捨てて物事を単純化するのではなくて、全体とのかかわりの中で物事を捉えていく仏教の考え方は、現代の科学にはない可能性を秘めているんですね。
――「経済原理」と「大義名分」で科学が暴走することに、宗教者と科学者の立場を超えて警鐘を鳴らしておられます。
かつて研究の対象だった遺伝子は、今や早くも「利用する」段階に入ってきています。そこに「あらゆることをお金で解決できる」というむき出しの経済原理が加わったなら、いったい何が起こるのでしょう。
科学の進歩を否定するのではありません。しかし、臓器移植にも「値段」があるのは事実ですし、いのちさえお金で買える風潮が蔓延していけば、人間を「役に立つか立たないか」という浅薄な有用性だけで判断する過ちを犯してしまうのではないでしょうか。
お金があって、社会に有用らしき人物だけが高度な科学によって長寿を手に入れる。実に怖い話です。そんな事態に陥る前に、宗教の側からも発言していかなければなりません。仏教界では、盛永宗興老師(故人)が科学界との対話で先達の役割を担われました。「ES細胞(胚性幹細胞)を使えばパーキンソン病が治る」といった大義名分の下、結局は経済原理だけの議論が横行するのに歯止めをかける意味でも、今こそ宗教界は積極的にかかわっていくべきだと思います。
――暴走する危険をはらんでいるのは、科学よりも経済なのかもしれません。
小学生に働く意味を教える前に、株式投資のノウハウを教え込む。立ち止まっていては国際競争に勝ち抜けないというグローバリズムの大義名分で、弱い者や小さい者の切り捨てを正当化してしまう。おかしな話です。お金など人間が作り出した虚構に過ぎないのに、その虚構に人間が縛られて、振り回されてしまうんですね。
「無用の用」という言葉はご存じでしょうか。一見すると役に立っていないように見えるものが、実は大切な役割を果たしていることがある。現実の世の中だって同じことでしょう。
構造改革という美名の下に、「無用」を切り捨てる政治が改まらない限り、日本は誤った方向に進んでしまうような気がしてなりません。
玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)氏
1956年福島県生まれ。慶応義塾大学中国文学科卒業、27歳で出家。現在は福島県三春町の福聚寺副住職。『中陰の花』で第125回芥川賞受賞。
| 末期ガンになったIT社長からの手紙 | |
![]() | 藤田 憲一 幻冬舎 2006-06-09 売り上げランキング : 350 おすすめ平均 ![]() 一気に読んでしまった 考えさせられる 肩の力を抜いて生きることAmazonで詳しく見る by G-Tools |
IT(情報技術)業界で大きな成功を手にした若手起業家が、ある日「末期ガン、余命数カ月」の宣告を受けた。物質面、金銭面では「もう望むものはない」などと達観したかのようなそぶりを見せる著者。しかしその一方で、「結婚がしたい。子供を残したい」と生への未練を包み隠さず吐露する。
最初のガンの発見と手術から1年半後に再発が判明し、余命宣告を受けたのは今年の1月だ。6月現在も、著者は「メディアとネットの融合」を目標に事業運営を続けている。本書の最終章では、実務の事業計画書を模して作った「人生の総仕上げ」を公開。IT業界と今後のガン治療発展のために、自分ができることは何かを冷静に見つめ、率直な言葉で綴る。
| 富の未来 上巻 | |
![]() | A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一 講談社 2006-06-08 売り上げランキング : 142 おすすめ平均 ![]() やはり凄い! 過去の著作の総まとめ 時空間への社会学的なアプローチAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 富の未来 下巻 | |
![]() | A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一 講談社 2006-06-08 売り上げランキング : 164 おすすめ平均 ![]() うーん、新鮮味が?? 主要国の今後と宗教、民族主義、経済中心から新しい時代へAmazonで詳しく見る by G-Tools |
世界的ベストセラー『第三の波』の著者として知られるアルビン・トフラー博士と夫人による最新刊。経済学、社会学、科学、さらには哲学をも網羅した知識と研究によって、現在地球規模で進行している重大な変化を読み取っていく。
今回のテーマは「富の歴史的、革命的な変化」だ。人類が生活基盤として作り上げた富の創出、配分、循環、消費、蓄積、投資に関わる“常識”が、劇的に変わり始めていると論じる。その変化は産業革命に匹敵する衝撃であり、我々に新しい生活様式と文明をもたらすと言う。起爆剤となるのは「知識」だ。「知識資本主義」についての研究は各方面で盛んだが、著者はそれらは断片的だと論じ、より深遠部分で起きている変化に目を向けよと言う。
例として、IT(情報技術)の発達により「土地、労働、資本、サービスなど市場セクターの事実上すべてで、もう1つの市場が仮想空間に生まれている」と解説。一方で「生産消費経済」という概念を示す。金銭を介さないボランティアや自己完結型の日常の行為、無給労働などが、科学技術の進歩に伴って、実は金銭経済と同等以上の規模に膨らんでいくのだと言う。これによって全く新しい市場が次々と開かれ、古い市場は消えていくと論じている。
| ライブドア監査人の告白 | |
![]() | 田中 慎一 ダイヤモンド社 2006-05-26 売り上げランキング : 610 おすすめ平均 ![]() プロフェッショナリズムと当時の心境 会計士としての信念に感銘 カッコよく書きすぎでは・・・Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は、1999年から今年1月にライブドア事件が起きるまで、同社の監査を任されていた港陽監査法人の公認会計士である。同監査法人からは在宅起訴された者も出たが、著者は同社の犯した偽計取引や風説の流布、あるいは粉飾決算の疑いに直接手を貸した人間とは見なされず、訴追を免れた。しかしながら自らの意思で公認会計士の資格を返上し、今後は会計関連の職には関わらないと宣言した。同社の犯罪行為を見抜けなかったことへの“けじめ”だと言う。
本書を執筆したのもけじめの1つであろう。ライブドアの内幕を知る人間として、子細な具体例を示しつつ容赦なく糾弾していく。堀江貴文被告を含む旧経営陣に対しても同様に厳しい評価を加える。架空取引による粉飾会計については、事件の前から「何かがおかしい」と感じ取っていたにもかかわらず正せなかったと猛省しつつも、「シロかクロかはっきりせず、どこまでいってもグレーのまま。当局の捜査とは違って会計士の監査手続きでは限界がある」と弁明する。
同社の本業たるIT事業には収益性がなかった事実や、投資事業のうまみを平然と口にし始めた旧経営陣の暴走を挙げて、同種のベンチャー企業に対しても警告を発している。
| 東レ 前田勝之助の原点 現実を直視せよ | |
![]() | 綱淵 昭三 実業之日本社 2006-05-20 売り上げランキング : 2472 おすすめ平均 ![]() 前田勝之助氏には畏敬の念を抱きましたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
我が国の経済が敗戦から立ち直り、高度成長期へと移行し始めた1956年、東洋レーヨン(現・東レ)に1人の技術者が入社した。その後に社長にまで上り詰め、2004年に名誉会長に就く前田勝之助氏だ。本書は、「東レ“中興の祖”」「稀代のカリスマ経営者」と称される前田氏の半生を総括し、その魅力あふれる人物像に迫るもの。
「東レは戦後の再スタートを切ってから10数回の危機に直面した」とは前田氏の弁だ。財界人への取材と論評に定評のある著者は、「前田の半世紀に及ぶチャレンジは、そのまま日本企業の生きてきた姿であり、サラリーマン史でもある」と語り、“前田研究”の今日的な意義を強調する。また、「化学技術者から経営者への変容もドラマチックだった」と述べ、先端技術の追求や制度改革には積極的でありながら、根底では軸がぶれない前田氏の経営哲学を高く評価している。
前田氏へ寄せられたのは賛辞ばかりではない。バブル崩壊後には一時的な業績悪化に見舞われ、社内外からバッシングを受けたこともあった。また、社長を退きながらも代表権を残した会長職に就いたことは「前田院政」と批判された。著者は前田氏を巡るそうした風評には誤解が多いと指摘し、自らの取材で得た新たな見解を示す。
| 川淵三郎 虹を掴む | |
![]() | 川淵 三郎 講談社 2006-05-30 売り上げランキング : 16971 おすすめ平均 ![]() Jリーグの光と影 キャプテン、ありがとう… 違った意味で独裁者ですAmazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は、日本でサッカーを人気スポーツに仕立て、一種の社会現象に発展させた日本サッカー協会キャプテンの回想録である。自らのサッカー人生、ビジネスマンとして味わった挫折、Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、Jリーグの危機などを振り返る。
スポーツビジネスの新しい形を追求した姿が印象的だ。「自治体と住民、サッカークラブ、出資企業が一体となって地域を活性化する」理念を掲げた。言葉が古くさくては訴求力に欠けるとチェアマン、サポーター、ホームタウンといった新しい言葉を採用した。本書は、その過程で生まれた読売グループとの確執の一部始終も明かす。
オフト、トルシエ、ジーコら歴代日本代表監督の率直な感想も記しておりサッカーファンならずとも興味深い。
| 7つの習慣―成功には原則があった! | |
![]() | スティーブン・R. コヴィー ジェームス スキナー Stephen R. Covey キングベアー出版 1996-12 売り上げランキング : 338 おすすめ平均 ![]() 正しく、有用で、読みやすい 人生を変えてくれた書 間違った壁にはしごをかける前に!!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 3つの成功サイクル | |
![]() | 川西 茂 中経出版 2006-05-16 売り上げランキング : 667 おすすめ平均 ![]() 分厚いのに、読みやすい。 日本人発、の成功哲学 『7つの習慣』の元社長の本Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 即戦力の磨き方 | |
![]() | 大前 研一 PHP研究所 2006-04 売り上げランキング : 798 おすすめ平均 ![]() これが大前ワールドか とりあえず、危機感を煽ってはくれますね 足りないのは危機感Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「“できる人”にはあって自分にないものを見つけ出し、今すぐ習得せよ」と訴える書がランクインした。今を生き抜くのに必要な資質や能力は、一昔前のそれとは同じではないと言う。
ベストセラー『7つの習慣』を翻訳し、同書を基にした企業セミナーを展開する川西茂氏は、『3つの成功サイクル』(丸善丸の内本店15位)の中で、“できる人”には共通の発想術があると指摘する。それは能力そのものの有無ではなく、能力の「引き出し方・活かし方」にこだわるセンスだと言う。また、安直な目標設定が失敗を招いていると言い、自分の性格や過去の成功体験を掘り下げないと、真の目標は見えないと説く。
経営コンサルタントの大前研一氏は、『即戦力の磨き方』(アマゾンジャパン14位)の中で、日本のビジネスパーソンに特有の欠点を次々に見つけ出して処方箋を示していく。「世界標準からは20年は遅れている」など、歯に衣着せぬ“大前節”を披露しつつ、語学力(英語)・財務力・問題解決能力を磨けば「勝ち組」になれると訴える。日本人は経理には強いが財務に弱いと指摘。家や年金、持ち株、借金などを含めた「我が身の貸借対照表」が即座に頭に浮かぶようでなければダメだと論じる。
| バブル再来 | |
![]() | ハリー・S・デント・ジュニア 神田 昌典 飯岡 美紀 ダイヤモンド社 2006-05-12 売り上げランキング : 185 おすすめ平均 ![]() 経済は人間が作り出すもの あれ?日本は・・ 視点Amazonで詳しく見る by G-Tools |
人口統計学を中心とするニューサイエンスを活用し、今後の経済・株価の動向を予測する。
経済成長や株式相場の上昇は、人口特性、世代、技術革新に左右されるというのが著者の主張。これらの要素を分析した結果、米市場では「2009年にかけて株価は再び大きく上昇」し、2009年にダウ工業株平均が3万5000~4万ドルに達すると予測する。2000~02年に株価は大幅に下落したが、最大の好況と強気相場はまだ終わっておらず、2009年後半から2010年半ば頃にベビーブーム世代の支出と生産性のサイクルが完了する時、初めてこの好況が終わると見る。2000~09年までの10年間が、米史上最大の株価上昇となった1922~29年の「狂乱の20年代」とよく似た状況であると指摘。好況の牽引役である新富裕層の特徴や攻略法なども解説する。
日本市場の行方も予測している。日本では多くの主要先進国のように50年代から60年代前半にベビーブームが起きなかった。新世代の支出は、米国よりも20年ほど早い80年代後半にピークを迎えた。だが、日本の人口特性の変化による個人消費の減少傾向は終わりつつあり、今後2009年まで緩やかな成長が見られ、2020年まで好況が続くだろうと予測する。
| 90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論 | |
![]() | 五百旗頭 真 薬師寺 克行 伊藤 元重 朝日新聞社 2006-06 売り上げランキング : 1463 おすすめ平均 ![]() 歴史を引き出す良質な1冊Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「論座」の長期連載企画「キーパーソンが語る証言90年代」に登場した小沢一郎氏が、湾岸戦争、自民党離党、細川護熙政権の擁立、新進党解党、自自公連立などの舞台裏を詳しく語る。
1993年、大連立内閣で自民党政権をストップさせた手腕は鮮やかだった。8つの党と会派がまとまるよう、細川首班で話を進めた。社会党からも了解を得るため、土井たか子・衆議院議長構想を進めるなど、周到に策を巡らせた。だが、その連立政権は長続きしなかった。小沢氏は細川氏の辞任後、渡辺美智雄氏を担ごうと動いたが、渡辺氏が最後の最後に踏み切れなかったという裏話を紹介する。その後を担った羽田孜政権は自民党が内閣不信任案提出の動きを見せたことで内閣総辞職した。小沢氏は「解散すべきだった」と振り返る。
小沢氏は一貫して「普通の国」になることを訴えてきた。本書でも、憲法の理念に基づいて、世界の平和のためにできることは最大限やるべきと説く。「次の総選挙での政権交代」を主張し、参議院では過半数を取ることを目標にすべきと強調している。
田中角栄氏、竹下登氏、金丸信氏など、関わった政治家の人物評も率直に語る。竹下氏への感情的なしこりなども隠さず吐露している。
| 上司は「メモ」で仕事をすすめなさい―最強のチームをつくる高井流指示システム | |
![]() | 高井 伸夫 大和出版 2006-04 売り上げランキング : 15006 おすすめ平均 ![]() この人の本は、気付いたら結構買っています メモの力は確かにすごい.Amazonで詳しく見る by G-Tools |
30年以上、弁護士として、法律事務所の経営者として活動してきた著者がメモを活用した仕事法を伝授する。
記憶は「目に8割、耳に2割」と言われる。メモという形で目に焼きつける情報の方が、口頭で伝える情報よりも記憶の定着性が高い。著者の事務所には弁護士が12人、秘書が9人、スタッフが10人いるが、仕事をスムーズに、間違いなく処理するために、すべての指示をメモで伝えるシステムを取っているという。
著者は、スタッフが退社してから翌朝までの間に、スタッフがやるべき仕事の指示や連絡事項をテープレコーダーに吹き込む。朝、担当秘書がそれを聞いて文章化し、案件ごとに用紙を切り取って担当者に配布する。それぞれの指示を処理した担当者は、「連絡ノート」に報告、連絡、相談を書き込み、著者に戻す。指示メモと連絡ノートのやり取りで、仕事をこなす仕組みは、能率を格段に高めるという。
業務の進捗状況をにらんで、「○○の件はどうなっていますか。至急着手のこと」といった“プッシングペーパー”を出すこと、場合によって「よかったね」「お疲れさん」などの言葉を加える心配りをすることなど、メモを中心にしながら、仕事をうまく回すための細かなノウハウを示す。










残念ながら



うーん、新鮮味が??









