メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年6月12日~6月26日
| 白血病「治療」日記―家族でのりこえた500日 | |
![]() | 草間 俊介 東京新聞出版局 2006-05 売り上げランキング : 50418 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-草間俊介 氏[東京新聞記者] ガンと闘う仲間たちへ-『白血病「治療」日記』
45歳で白血病と告げられた新聞記者が家族とともに綴った500日の闘病記。 完治率30%の臍帯血移植を乗り越え、復帰後に本を書くまでに回復を遂げた。 病気によって生きる喜びと弱者の視点を与えられたと語る
――完治率30%未満の臍帯血移植を乗り越えて、血液型もO型からB型に変わり、「新しい命」を与えられました。人生観が変わったのではないですか。
家族と生きる命さえあれば、今はほかに何も望むものはありません。人生にとって本当に大切なものは何なのか。自らに問いかけていった時、今まで当たり前だった「生きていること」に改めて感謝するようになりました。
病気になったことで見えていなかったものも見えるようになった。まだリハビリを続けていた頃に、気晴らしに東京ドームに出かけてみたのです。でも中に入れなかった。おぼつかない足元で回転ドアを通り抜けるのに恐怖心を覚えたからです。
つい先日も、見知らぬお年寄りがJR新橋駅のエスカレーターで転げ落ちそうになり、周囲の人に支えられて「ごめんなさい」と何度も謝っている場面に出会いました。謝る必要などないのです。日本では少子高齢化が進み、足腰の弱った高齢者が増えてくるでしょう。高齢者の目線で見た使いやすいインフラや社会環境の整備は、最優先すべき課題ではないですか。
私自身、自らが弱者の立場に身を置いて、初めてお年寄りのところに駆け寄って「どうしたのですか」と声をかけられるようになりました。病気を経験することで反対に「強さ」を与えられたんですね。
――「自分と同じガンの病床にある人たちや、その家族のために」書いた闘病記は、新聞に連載した時から大きな反響があったと聞いています。
読者の方々のお手紙や励ましは本当に支えになりました。同時に、ガンと闘っている仲間の多さにも改めて気づかされました。
病気と闘うには、何よりも患者本人が治療の方針に納得し、ガンに立ち向かわなければなりません。私自身、主治医から「抗ガン剤では治癒の見込みがなく、完治率30%の移植を選択せざるを得ない」という事実を聞かされた時は、涙が止まらず、病室で夜を過ごすことができませんでした。それでも、やはり告知は必要だと思います。
ガンを経験した仲間と話していても、正確な事実を知らされていなかった人の方が、後で事実を知った際の精神的なショックが大きいのです。
病院ごとの治療実績など客観的なデータの公開も絶対に必要です。今は正確なデータが把握できていないために、必ずしも進んでいないのが実情です。そのためにも、ガン患者すべての情報を集め、治療に生かす「ガン登録法」が欠かせないのではないでしょうか。これもガンになって初めて分かったのですが、民間の健康療法から新興宗教まで、患者のところにはありとあらゆる勧誘や売り込みが舞い込んでくる。患者の個人情報を保護するためにも、むしろ法制化が必要だと思うのです。
――健康な人には気づかない視点に立てば、これからも記者としてやるべき仕事はたくさん残っています。
一例を挙げましょう。中国などに行って臓器移植を受けることに対し、批判する声もあるようですが、私には到底そんな気は起きません。誰が病気を持つ人たちに「生きる可能性を模索するな」と言えるのでしょうか。
対案なき批判や後づけの講釈に陥らず、弱者と強者が自然に共存していくためには何をすればいいか、そんな提案を続けていくのが私の願いです。
草間俊介(くさま・しゅんすけ)氏
1957年新潟生まれ。81年に東京新聞入社。2002年9月、白血病との診断を受け、2003年3月に臍帯血を移植、2004年6月、職場に復帰。
| 安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う | |
![]() | 安岡 正篤 致知出版社 2006-05 売り上げランキング : 273 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
東洋思想研究の大家であり、戦前戦後を通じ、一貫した姿勢で日本人の正しい精神のあり方を説き続けた故・安岡正篤氏。その教えは政財界のリーダーたちをはじめ、多くの日本人に強い影響を与えてきた。本書は故人の数ある著作の中から、今も色褪せることのない金言を抽出し、一日一言、暦に準じて読めるようにしたもの。
ある日の教えでは「富や位や才智などは結局人の愛に値しない。要するに徳を補助するにすぎないものである」と言い、「徳」の重要性を諭す。カネや権力を与えることを“愛”だと誤解してはならず、真の愛とは「相手の徳を厚くするように仕向けてやる」ことだと言う。日本人と日本への探究心を刺激しつつ、経営哲学や行動原則の指針となり得る書でもある。
| フィット・フォー・ライフ ――健康長寿には「不滅の原則」があった! | |
![]() | ハーヴィー・ダイアモンド マリリン・ダイアモンド 松田 麻美子 グスコー出版 2006-04-08 売り上げランキング : 458 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ダイエット(食事制限)を健康維持の“特効薬”だと信じ、無条件で受け入れがちな日本の健康ブームのあり方に一石を投じる書。著者らは米国でカリスマ的人気を誇る栄養科学のカウンセラーだ。1985年に初版が世に出て以来、今日までに世界で1000万部以上が刊行されたロングセラーである。
溢れんばかりの健康関連情報の中にあって、我々は自然に即した本来の法則、すなわち「生命の法則」とも呼ぶべきルールを見失っていると言う。例えば、人間はもともと果食動物だったのだから、まずは果物を中心としたメニューを構成せよという。「果物は私たちの体内に摂取できる最も重要な食べ物だ」とまで言い切る。一方で「牛乳は決して人間のために作られたものではない」と論じ、カルシウムを取るためだけならば果物や野菜で十分だと、具体的な食材の例を示して解説する。ダイエットについては「私たち人間のあらゆる行動のなかで、最も効果がなく奇妙な行為」と批判する。
本書の後半では1日3食、4週間分に及ぶ理想のメニューを示す。さらに果物と野菜を中心とした推奨料理のレシピを公開している。本書向けに最近加筆された章もあり、米国民の肉食離れやベジタリアン(菜食主義者)が増加している実情などにも触れる。
| インポッシブル・シンキング 最新脳科学が教える固定観念を打ち砕く技法 | |
![]() | ヨーラム“ジェリー”ウィンド コリン・クルック ロバート・ガンサー 日経BP社 2006-04-27 売り上げランキング : 3015 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書のテーマは“発想の転換”である。口で言うのはたやすいが、必要に応じて意識的に制御できる人は少ないだろう。本書は、発想の転換を脳科学の視点から捉え、その実践法を説くもの。著者のウィンド氏はマーケティングの権威であり、米国政府をはじめ多数の有名企業に助言を行っている。
カギとなるのは「メンタルモデル」。人間は誰しも固有のメンタルモデルに自分を取り巻く世界を無意識に当てはめようとする。だが実際には「人間の脳は受け取った感覚的な刺激のほとんどを捨てている」と指摘。メンタルモデルを理解して効果的に活用できれば世界は違って見えると論じる。メンタルモデルは、経営に関わる技術革新やビジネスモデルよりも幅広い概念だが、ビジネスリーダーには欠かせない意思決定の力や組織構成力、クリエーティブ・シンキングの向上に直結する概念だとも解説。複雑極まりない現実にあって、要点だけを抽出(ズームイン)したり、瞬時に全体像を俯瞰して把握(ズームアウト)できるようなメンタルモデルを構築せよと指導する。
米スターバックスコーヒーを世界的企業に育てたハワード・シュルツ会長の勝因分析など具体的な事例を示しつつ「既存のパラダイムから抜け出す法」を指南する。
| 脳の力こぶ―科学と文学による新「学問のすゝめ」 | |
![]() | 川島 隆太 藤原 智美 集英社 2006-05 売り上げランキング : 2829 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
副題は「科学と文学による新『学問のすゝめ』」。著者は「脳を鍛えるドリル」シリーズなどの著書で知られる医学博士の川島隆太氏と、家庭や子供の教育問題を取材し続けている芥川賞作家の藤原智美氏だ。本書は異なる分野の2人が繰り広げた教育談議である。
意見を交換し合うまで、藤原氏は川島氏が提唱する「脳のトレーニング法」に違和感を抱いていたという。機械的すぎると感じたからだ。しかし論議が深まるにつれて、現代の教育が抱える本質的な問題点においては見方が一致していることに気づく。川島氏は藤原氏という相手を得て、「いままで(脳科学者として)語ってこなかった部分」について初めて公言したと述べている。例えば「世の中に充満する大人たちの拝金主義による醜態をマスコミが事細かに報道することによって、子どもたちにまで、価値観の大転換が生じてしまった」などと、自身の主観に基づく憂いを吐露する。藤原氏は「ゆとり教育」と「つめ込み教育」という二元的な議論そのものに疑問を呈し、目指すべきは両立だと主張する。
論議のテーマは英語、理科・社会から、国語・算数へと進んでいく。また、教育への安直なIT(情報技術)導入がもたらす悪影響について、脳科学と人文学双方の視点から批判を加える。
| 脳をめぐる冒険 | |
![]() | 竹内 薫 藤井 かおり 飛鳥新社 2006-04 売り上げランキング : 4982 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「僕」がひょんなことから知り合った少年、アキラと一緒に自分の頭の中に迷い込み、“脳ミソ探検”する物語。
脳には風変わりな住人が住み、働いていた。「左脳ホテル」の「ウェルニッケ野」という部屋では、学者風のおじさんが一生懸命ノートをつけている。目や耳から送られた信号を言葉に置き換えているのだ。オーディオ機器であふれた「ブローカ野」の部屋では、DJ風の若者が信号を言葉にして外に出す役をしていた。
探検を進めるうち、「僕」は愛情や心のありかに興味を持つ。自分が自分でいられるのは、思い出があるからだとも気づく。それらを探るうち、「僕」はアキラの真の姿を知ることになる。
脳の複雑な構造と各部の働きの概要を楽しみながら知ることができる。
| 秀吉の枷 (上) | |
![]() | 加藤 廣 日本経済新聞社 2006-04-18 売り上げランキング : 136 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 秀吉の枷 (下) | |
![]() | 加藤 廣 日本経済新聞社 2006-04-18 売り上げランキング : 164 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-加藤廣 氏[作家] 秀吉に見る経営学-『秀吉の枷』(上・下)
昨年、75歳にして『信長の棺』で小説家デビューした著者の第2作。光秀の謀反を知り、信長の死に関わったことから秀吉の苦悩が始まった。企業経営に詳しい著者ならではの現代に通じる歴史作品だ。
――今までに読んだことがない豊臣秀吉が描かれていたので驚きました。
例えば、懐に織田信長の草履を入れて温めたという、誰もが真っ先に思い出すエピソードがあるでしょう。これは明治時代に入って講談用に創作された話です。そんな話を信じていた人だと、常識の全く逆とも言えるような豊臣秀吉に出会うかもしれませんね。
私が詳細に調べた結果では、秀吉は丹波(現在の兵庫県北部)の出身で、農民だったという説は間違いだと思います。先祖は天皇の流れを汲む藤原家であり、権力抗争の中で追われて丹波の山に隠れ住んだのだと見ています。若い時から読み書き、乗馬が達者で、算盤を周りの人間に教えていました。農民出身とは考えられません。
――信長を殺した張本人は明智光秀ではなかったというのも衝撃的です。
これについては前作の『信長の棺』でも書きました。参謀の竹中半兵衛に言われて大変な諜報網を張り巡らしていた秀吉は、光秀の謀反をあらかじめ知っていたはずです。もう残虐な信長に嫌気が差していて、この時には既に天下をどう我が物にするかを考えていたんですね。
信長嫌いの半兵衛からは、遺言のようにして「信長様を毛利に殺させなされ」と言われていた。それが、光秀の謀反の動きを知って、方法を変えたわけです。用意周到な準備がなければ、高松城の降伏を素早くまとめて京都に取って返すなんて全く不可能です。
――登場人物の描写が現代の企業社会における経営者と重なって見えます。
私は、金融機関に勤めて何人もの起業家を見てきました。名前を挙げれば誰でも知っている有名な方々の創業期に融資したことが何度もあります。そうした企業の成長過程を見て思うのは、おべんちゃらをうまく言いつつも自分を見失わないことの大切さです。
人間、誰しも上司の批判をしたくなるものです。しかし、上司が若いうちは忠告に対する抵抗力があるのですが、年を取るにつれて必ず弱くなっていく。そうなると、心地よいおべんちゃらしか聞きたくなくなるんですよ。
光秀はまさに忠告型の人間だったわけです。信長は、天下をほぼ手中にすると聞く耳を持たなくなり、光秀を嫌うようになる。その点、秀吉は生涯一度も信長に忠告をしませんでした。ただし、あまりに酷い信長の命令は陰でこっそり無視しているんですね。そこが秀吉のすごさだと思います。
――70歳を超えて小説家を目指したのはなぜでしょうか。
実は、以前から経営の本は書いてきました。しかし、あまり売れないし、すぐ絶版になってしまいます。せっかく書くのなら、いつまでも読み継がれる本を書こうと思ったのです。
私は30代の時に、50歳までには会社を辞めようと考えて準備を始めました。旧大蔵省からどんどん天下りしてきて、ポストを独占され将来がないと思ったからです。そして、英検1級や国際通訳の資格など、ポータビリティーのある能力を身につけました。当時は珍しかったかもしれませんが、向上しようという人間を抑えつけるような組織に対抗するには、自分を磨き会社を飛び出すしか方法はありません。
もし会社に定年までいたら今の自分はないでしょう。あと10年は書き続けるつもりですが、その意欲があるのも会社を辞めたおかげとも言えます。
加藤廣(かとう・ひろし)氏
1930年生まれ。東京大学法学部卒業、中小企業金融公庫入庫。京都支店長、調査部長を歴任して旧山一証券に転じる。昨年作家デビュー。
| ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する | |
![]() | スティーヴン・レヴィット スティーヴン・ダブナー 望月 衛 東洋経済新報社 2006-04-28 売り上げランキング : 54 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米国の気鋭の若手経済学者が、日常生活に浸透している様々な通念をユニークな分析でひっくり返す。
1990年代、米国では若者による凶悪犯罪が激増するとの予測が広がった。だが、実際には米国内のどこでも、あらゆる種類の犯罪が減った。好景気、銃規制、取り締まり強化などの理由が指摘されたが、著者は73年の「ロー対ウェイド裁判」によって、中絶が合法化されたことこそ真の理由と主張する。家庭環境の悪い子供はそうでない子供に比べて罪を犯す可能性がずっと高い。裁判の結果を受け、貧しい未成年の女性が中絶に走ったことで、犯罪予備軍が劇的に縮小したと解説する。
不動産屋の営業担当者が自分の家を売った時とお客の家を売った時を比べると、自分の家の場合は最高の買い手が現れるまで待つ結果、平均して10日長く市場に出し、3%強高く売っている。一方、お客の家の場合は、そこそこの買い手が現れればすぐ売り払うよう追い立てる。営業担当者が欲しいのは取引で、早く決めたいからだ。
ほかにも、「銃とプールと危ないのはどちらか」「麻薬の売人はなぜいつまでも母親と住んでいるのか」など興味深い問題を提起。豊富なデータを基に分析し、経済学の基礎となるインセンティブの概念を明らかにする。
| ロシアにかける橋―モスクワ広報・文化交流ノート | |
![]() | 河東 哲夫 かまくら春秋社 2006-04 売り上げランキング : 102412 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
モスクワの日本大使館で広報・文化センター所長として勤めた1990年12月~94年7月までの日々を記した1冊。95年に出版した初版を改訂した。
著者は、日本の実情を知ってもらうため、新しい試みを次々に仕掛けた。ゴルバチョフ大統領の訪日前には、大衆向け新聞に賞品付きの「日本クイズ」を掲載。「東京は環境汚染がひどく、人々は常時マスクを着けているか」「日本の主婦は毎日、茶の湯の儀式をしているか」など、当時のソ連国民の誤った対日観に基づく質問を用意した。本当の答えを調べる過程で、日本への理解を深めてもらう狙いだった。
デザイナーの山本寛斎氏、岡本アソシエイツ代表の岡本行夫氏ら第一線で活躍する日本人を招いたシンポジウム「動く日本、変わる日本」は、「日本人は礼儀正しいばかりで何を考えているか分からない」という偏見を払拭するために企画した。このシンポジウムがきっかけとなり、93年6月には寛斎氏が赤の広場横でスーパーショー「ハロー!! ロシア」を開催。12万人の観衆に向け、日本の現代文化を披露した。
著者の交流からは、人間味あふれるロシア人とロシア社会の一端がうかがえる。ソ連崩壊前後のロシア情勢、領土問題を抱えた日ロ関係の最前線にも触れられる貴重な記録となっている。
| パブリック・リレーションズ―最短距離で目標を達成する「戦略広報」 | |
![]() | 井之上 喬 日本評論社 2006-03 売り上げランキング : 13208 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
20世紀初頭、米国で登場したと言われるパブリック・リレーションズ(PR)。PRの専門家として35年間、活躍してきた著者が、PRの概念、役割などを解説する。
著者はPRを「個人や組織体が最短距離で目標や目的を達成する、『倫理観』に支えられた『双方向コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動」と定義する。発信した情報のフィードバックから、より良いものを吸収し、誤りを修正する姿勢を持つことが重要と説く。
PRは人、モノ、カネ、情報という4つの経営資源を強化し、統合する「第5の経営資源」だと位置づける。PRの代表的なものとしてメディア・リレーションズ、インベスター・リレーションズ、ガバメント・リレーションズ、エンプロイー・リレーションズ、コミュニティー・リレーションズの5つを取り上げ、特徴や役割を紹介する。米国でPRが発展した歴史的背景を紹介するとともに、日本で普及が遅れた原因を分析する。
国際競争が激化する現代では、PRの役割はますます重要になっている。日本にはPRを専門とする実務家が少ない。欧米と肩を並べるPR先進国となるため、資質と能力を持った人材の発掘・育成が必要と指摘する。
| 夢をかなえる勝負力! | |
![]() | 瀬川 晶司 PHP研究所 2006-04 売り上げランキング : 13031 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一度は閉ざされたプロ棋士への道。しかし、不屈の精神で再出発を遂げた著者は、企業勤めの傍ら再びアマチュア棋界を駆け上がり、日本将棋連盟に対してプロ棋士編入試験を熱望する異例の「嘆願書」を提出した。関係者やファンの後押しも手伝って、連盟は61年ぶりとなる6番勝負による編入試験を実施。昨年11月、著者は見事にこの試練を乗り切った。
本書では柔道家・古賀稔彦氏、女流囲碁棋士・梅沢由香里氏、「失敗学」研究で知られる工学博士・畑村洋太郎氏らとの対談を通して、著者の類まれなる気力や発想力の原点を探る。古賀氏とはスポーツの世界にも共通する「年齢の壁」を打ち破る精神について、梅沢氏とは挫折を乗り越えたきっかけやプロへの思いについて語り合う。
| 東西逆転―アジア・30億人の資本主義者たち | |
![]() | クライド プレストウィッツ Clyde Prestowitz 柴田 裕之 日本放送出版協会 2006-03 売り上げランキング : 1028 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-クライド・プレストウィッツ 氏[アメリカ経済戦略研究所所長] 現実味を帯びる金融危機-『東西逆転』
世界市場で躍進を続ける中国とインド。両国に主導権を握られる米国と日本。 微妙なバランスのうえで成立してきた経済システムが崩れ始めている。行き着く先は金融危機と、対日交渉担当官出身の著者が警鐘を鳴らす。
――息子さんの一言が、本書を執筆するきっかけになったそうですね。
私の長男はソフト開発をしているのですが、休暇で一緒にスキーを楽しんでいた時に突然、「除雪業者に共同で投資しないか」と切り出されたのです。ソフト開発と除雪に一体何の関係があるのか、驚いて理由を聞くと、ソフト開発の仕事が、ものすごい勢いでインドや中国に奪われていると言う。だから「雪のビジネスならインドに持っていかれない」というわけです。考えたこともない事態でしたから、すぐに現地に飛びました。
実際、中国とインドの経済は目覚ましい勢いで成長していた。新しい歴史がここで展開していると確信するようになり、記録にとどめなければと思ったのです。
――中国とインドの急成長の先が金融危機という理由は。
発展途上国、特に中国とインドは、輸出によって成長しようとしており、その輸出先は大半が米国です。韓国、台湾、シンガポールも、いまだに輸出中心の政策を続けていますし、日本でさえ構造は輸出主導型です。一方で、消費は米国だけに集中しています。
米国の消費はこれらの国から流れてくる資金によって支えられるという関係が、従来はうまく機能してきました。
しかし、インドと中国が、巨大な人口を引っ提げて世界経済に加わったことで、微妙なバランスのうえで成立していたシステムが崩れてきた。両国は輸出を急増させています。さすがの米国にも、これらの輸出をすべて吸収する力はありません。
米国は巨額の貿易赤字を抱えていますが、これだけの赤字(になるほどの輸入)を維持するためには、海外から資本が途絶えることなく流れ込んでこなければなりません。
その中心は中国と日本であり、大量の米国債を買っています。日本の米国債保有残高は1兆ドル(約112兆円)を超え、中国の保有残高も6月までには1兆ドルを突破するでしょう。このバランスが中国とインドによって崩されれば、ドルは暴落し金利は急上昇するかもしれません。金融危機が起こる可能性は高いと思います。 今私たちが暮らしているこのシステムは、非常に脆弱で、不安定であり、今すぐ政策的な決断をしてシステムを変える努力をしなければなりません。私なりの解決案を、本書にまとめてあります。
――日本も無縁ではいられないと。
現在の高い生活水準を維持するためには、発想を転換して中国とインドへの対抗策を考える必要があります。
これまで日本も米国も、常に世界の先頭を走っていると自負してきました。それが、まさか米国の病院でスキャンした脳のレントゲン写真を、インドのバンガロールにいる医師が診断するような事態になるとは予想していなかった。医師はワシントンにいるものだと思い込んでいたんですね。
ところが、情報技術の発達で距離の壁がなくなり、状況が変わった。研究開発は中国でもインドでも可能です。日米の国際企業が、開発や研究所の一部を中国やインドに移しています。彼らが同じことを半分のコストで実現するのですから、これからは我々が2倍の給料をもらうことを正当化する理由が必要になるでしょう。
クライド・プレストウィッツ氏(Clyde Prestowitz)
1941年生まれ。81年からレーガン政権で商務長官特別補佐官を務める。日米貿易摩擦時には対日交渉担当官として辣腕を振るった。
西武争奪―資産2兆円をめぐる攻防
日本経済新聞社 (編集)
西武グループを巡る企業事件、経営体制の解体と再編、そして“カリスマ経営者”の呼び名をほしいままにした堤義明氏の失脚。一昨年の有価証券報告書の虚偽記載事件に端を発した日本経済史上最大級の“お家騒動”は、多くの疑惑を残しつつも世間の記憶からは消え去りつつある。本書は、日本経済新聞社の記者らが、多角的な視座から騒動の真相に迫る。
事件の発覚時、グループ全体の借入金は1兆4000億円に達していた。焦げつきを恐れたメーンバンク、みずほコーポレート銀行は「経営改革委員会」を設立し、さらに副頭取であった後藤高志氏(現・西武鉄道及び西武ホールディングス社長)をグループの中核に送り込む。しかしみずほのプランには大きな誤算が生じたと指摘。堤氏に接近した後藤氏一派は、みずほが当初描いた青写真とは異なるグループ再建に動く。その企てがコクド株の名義偽装問題を曖昧にし、堤氏の影響力がいまだにちらつく“灰色の決着”を招いたと厳しく糾弾する。
創業者一族である堤家の歩みに見え隠れする闇の部分や、水面下で漁夫の利を狙う投資銀行の動きを丹念に追う。西武グループ争奪戦は現在進行形であり、さらなるマネーゲームに発展する可能性があると警鐘を鳴らす。
| 使う力 | |
![]() | 御立 尚資 PHP研究所 2006-04 売り上げランキング : 167 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
知識や技術の習得に躍起になる一方で、それらを「いかにうまく使うか」についての関心が薄い人が多いと、ボストン コンサルティング グループ日本代表に就く著者は指摘する。本書は、経営における知識と実務との関係、及び「使う力」を養う法について、著者の持論を分かりやすく解説したもの。
これまでの人材評価は、「使う力」の定義がなされていないか、曖昧であったと言う。例えば「人事型能力定義」には「情報収集力」や「協調性」「リーダーシップ」といった項目がある。しかし、いずれも結果論であって身につける方法が示されていないと指摘する。また、「コーチング力」や「プレゼンスキル」など、1つに絞って磨けと奨励する「一芸型能力定義」については、習得方法は見えるが、「仕事との直接的なつながりが薄い」と言う。それらの弱点を検証すれば、「使う力」を習得するヒントが見えると論じる。
「使う力」には3つの必要条件があると言い、自分の役割に即した目標と重なること、習得方法が明らかなこと、目の前の仕事に応用しつつ、さらに伸ばしていけることを挙げる。それらを前提に、日常のビジネスの基本となる「企画力」と「コミュニケーション能力」の向上に焦点を当てた著者流のトレーニング方法を指南していく。
| インテグリティマネジメント―コンプライアンス(法令遵守)を超えてCSRの実現へ | |
![]() | 新日本インテグリティアシュアランス 東洋経済新報社 2006-04 売り上げランキング : 2664 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
CSR(企業の社会的責任)を巡る欧米での最新動向を踏まえて、新日本監査法人の公認会計士らが、コンプライアンス(法令順守)を超えた先にある企業統治のあり方を経営リーダーに示した書。新日本インテグリティアシュアランスは新日本監査法人の100%子会社である。
コンプライアンスの大号令の下に、実務の実態に関係なく“一定のルールを基にしたマニュアル”をトップダウン方式によって押しつけるだけの経営改革が横行しているようだと著者らは憂える。それは、「事なかれ主義」や組織への閉塞感を取り除くどころか、反対に悪化させる危険性をはらんでいると指摘。現行法及び社内規範の統制は「狭義のコンプライアンス」にすぎず、社会規範レベル(企業倫理)の責任遂行までを見据えた内部統制こそ、目指すべき「広義のコンプライアンスマネジメント(インテグリティマネジメント)」であると論じる。CSRとは、さらにその上にある理想的な経営理念を指すと解説。まずはインテグリティマネジメントを組織内に浸透させよと言い、同マネジメントの概要と具体的な構築手順を示す。加えて、導入方法や成果のチェック法、問題点の解決策などをステップ形式で具体例を織り交ぜつつ指導する。















