メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年12月18日~12月25日

貧困の終焉―2025年までに世界を変える
貧困の終焉―2025年までに世界を変えるジェフリー サックス Jeffrey D. Sachs 鈴木 主税

早川書房 2006-04
売り上げランキング : 680

おすすめ平均 star
star貧困根絶へ向けての道をはっきりと指し示す全人類希望の書
starほっとけない、世界の貧しさ
star問題は世界が見て見ぬふりをしていること

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先日、発表された国連大学世界開発経済研究所の調査は、地球規模で「豊かさ」の偏りが生じていることを示した。世界の富は既に125兆ドルに達しているが、最も豊かな層に属し、成人人口の1%に相当する人が世界の4割の富を所有し、最も貧しい層を含む成人人口の50%は1%の富しか所有していない。

「なぜ、貧しい国と豊かな国があるのか」、この問いに対し、本書は明快な答えと、貧困をなくすための具体的方策を明らかにしている。著者のジェフリー・サックス氏は、経済学者で、国際開発の第一人者でもある。東欧革命中のポーランド、解体直後のロシアなど世界各国の歴史的局面で、経済政策に携わり、各国のリーダーたちに助言を与えてきた。

類書との違いは、単なる「貧困の分析」にとどまらず、20年間にわたって100カ国以上を渡り歩き、数々のプロジェクトの成功に関わった著者の揺るぎない経験と信念に基づいた具体策が盛り込まれている点である。

ケニア、ガーナ、インドのムンバイなどを取り上げ、民主主義の不在や近代的価値観の欠如、ガバナンス(統治)の腐敗といった、貧困に内在する問題を鋭く描き、貧困層のHIV(エイズウイルス)感染者に対する現代的な薬物治療、安定した新通貨の導入、返済不可能な債務の帳消しなど、各国での興味深い青写真も示されている。

著者によれば、現在、10億人が飢餓や疫病、地理的孤立によって貧困の罠から抜け出せず、1日1ドル未満で生活することを強いられ、毎年、800万人以上の人々が貧困の中で死んでいるという。「アメリカ政府は今年、4500億ドルを軍事費に回す予定だが、貧しい人々を救うために、そのわずか30分の1の150億ドルしか投入しないような状態が続けば、いくら軍事に金を使っても平和は得られない。本当の意味で人命を尊重する、より安全な選択をすべきである」「人的資源の確保やインフラ整備を行うことで、自然と経済活動が促され、私たちの世代は2025年までに極貧をなくすことができる」という主張の通り、貧困の解決には、先進国の役割と地に足の着いた解決策が求められる。

現在、サックス氏が傾注する仕事は、「2025年までに地球上から極度の貧困をなくす」という、国連のミレニアムプロジェクトである。著者が主張するように、貧困解決には、まず、「貧しい人の声を届かせる」こと。本書が1人でも多くの読者の手に取られ貧困についての理解が広がれば、と思う。【評者 東洋大学経済学部教授 白石真澄】

■2006/12/25, 日経ビジネス, 93ページ

「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史
「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史ウィリアム バーンスタイン William J. Bernstein 徳川 家広

日本経済新聞社 2006-08
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おすすめ平均 star
star歴史的偶然が生んだ人類共有のレシピ

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人間の歴史はある一時を境に、「貧困と不合理の時代」と「豊かで合理的な時代」に二分される。高名な投資アドバイザーである著者は、2つの時代を隔てる人類史上最も重要な“境界線”を19世紀に求めた。経済学・政治学に加え、法律学・科学にわたる豊富な知識を駆使し、19世紀、人類が突如として到達した「持続的に富を増大化し得る社会」の構造を明らかにする。

「豊かさ」とは、私有財産制、科学的合理主義、資本市場、効率的な輸送・通信手段の4つの要素から成る。それらの発生から熟成に至る過程を、西欧の産業革命や近代化に向かう日本の実例を検証しつつ詳述する。さらに「豊かさ」は人間を幸福にするのかという巨大な命題に真っ向から迫りつつ、現代人に託された課題をあぶり出す。

■2006/12/25, 日経ビジネス, 93ページ

MITチームの調査研究によるグローバル企業の成功戦略
MITチームの調査研究によるグローバル企業の成功戦略スザンヌ バーガー MIT産業生産性センター 楡井 浩一

草思社 2006-09-23
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star「多種多様」な「成功モデル」から読者は何を学び得るのか?

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著者に聞く-スザンヌ・バーガー氏[米マサチューセッツ工科大学教授] 多様性こそ米国の力-『グローバル企業の成功戦略』

米製造業の復活の礎となった名著『Made in America』の続編。 日独との比較を軸にした前回と異なり、世界500社の企業を論じる。多様性こそ米経済が復活した力の源と喝破する。

――日米欧のみならず、東欧や台湾にまで対象を広げ、500社以上の企業を題材にグローバル戦略を論じています。

現代のグローバル企業は複雑な形態を成しているのが特徴です。かつての米フォード・モーターのように「素材から製造まで」すべてを持ち株会社の下に抱え込むコングロマリット型が姿を消して、米モトローラや蘭フィリップスが半導体事業を切り離してコア事業に集中するように、取捨選択の事例が多く見られます。

一方で鉄鋼のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)が典型ですが、国境を超えたM&A(企業の合併・買収)を積極的に仕掛け、世界的な再編の主導権を握ろうと試みる拡大型の企業も枚挙に暇がありません。

この多面性こそ、グローバリズムの本質と言っていいでしょう。例えば、中国経済を理解するためには、台湾を知ることがどうしても欠かせない。今や中国最大の輸出企業は台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)、通称Foxconnなのですから。

日米は急速に追いついてくる中国やインドとの新たな競争にさらされています。米国が日本の脅威にさらされて、マサチューセッツ工科大学(MIT)が『Made in America』を発表した1980年代とは、明らかに時代が変わったのです。

――コア事業への集中と国境を超えたM&Aは、ともに日本企業の最も苦手とする戦略にほかなりません。

我々の調査チームも、最初は「日本企業の改革は遅れている」と批判的に見ていました。しかし、グローバリズムの本質は「多様性」にあり、正解は1つではないのです。

パソコンを例に取ると、米デルはあらゆる部品や素材を外部から調達し、自社工場で4分半だけねじ締めを行って、「米国製」のシールを張っています。方やソニーは中核半導体のセルに巨額の資金を投じ、パソコンを自社の工場で生産しています。ソニーの「バイオ」を作っているエンジニアは「この光沢は日本国内の工場でなければ出せない」と誇りを持って答えてくれました。

目先の業績を見れば、デルもソニーも苦戦しているように見えるのかもしれません。それでも、パソコンを作るのにどちらかが正しくて、どちらかが間違っている、というわけではないのです。インターネットを通じ、世界中でアウトソーシング(業務の外部委託)を活用できる環境が整っていることと、それを活用しなければ成功しない、というのは別の意味なのですから。

――とはいえ、米国に比べ、日本は新しい事業や企業を生み出す活力に欠けているのは否めません。

1つには資金調達の環境があるでしょう。同時に米国の強みは多様な人たちの頭脳を結集できる、まさに多様性にあるのを忘れてはなりません。

MITがあるボストンは米国でも最も税率が高く、賃金水準も高いのですが、バイオ関連や製薬企業などが世界でも最高の頭脳を求めて結集し、新しい事業を次々と生み出しています。

そのMITにしても、教授陣の3分の1から半分近くは米国外の出身です。今回のプロジェクトではチームのほぼ半数に世界中から集まった学生を加え、多様なメンバーで500社を超える企業を調査しています。グローバリズムが文字通り、多様性の時代なのだとすれば、米国にはその点で一日の長があるのかもしれません。

スザンヌ・バーガー(Suzanne Berger)氏
マサチューセッツ工科大学(MIT)産業生産性調査委員会の主要メンバーとして『Made in America:アメリカ再生のための米日欧産業比較』にも貢献した。

■2006/12/25, 日経ビジネス, 97ページ

間違いだらけの公務員制度改革―なぜ成果主義が貫けないのか
間違いだらけの公務員制度改革―なぜ成果主義が貫けないのか中野 雅至

日本経済新聞社 2006-09
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公務員制度を抜本的に見直そうという大合唱の下、改革は国民の合意を得て粛々と進められているかに見える。地方公務員を経て国家試験に合格後に旧労働省に入省、現在は大学で社会制度研究に従事する著者は、それは間違いだと指摘する。これまでの政府主導による改革の骨子については、「内閣主導型を強化するようなものではなく、むしろ、各府省のセクショナリズムを助長するようなもの」と批判する。国民が求める抜本的な改革にはほど遠いものだと言う。

最大の問題は、公的セクターや公務員のあるべき姿、つまり、「そもそも公務員が担うべき仕事とは何か」という本質を議論せず、労働条件を切り下げるだけの施策に終始していることだと断ずる。とはいえ、抜本的な改革が容易ではないことは著者も認めるところだ。最大の理由は、日本の公務員制度が良くも悪くも完璧に、強固にデザインされたもので、確かに過去にはこの国を支えていたこと、それゆえに他の先進諸国に模範とすべきモデルが存在しないことだと解説する。

このように公務員制度の基本的な仕組みや特殊事情を明らかにし、今の改革案の欠点を子細に検証する。それらを基に、政官分離、権限移譲、成果主義に基づく三位一体の改革案を示す。

■2006/12/25, 日経ビジネス, 95ページ

2010年日本の経営―ビジョナリー・エクセレンスへの地図
2010年日本の経営―ビジョナリー・エクセレンスへの地図野村総合研究所 野村総研=

東洋経済新報社 2006-11
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starエポック・メイキングなモデル化

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理念やビジョンのあるなしを問われれば、「なし」と答える経営者は少ないだろう。しかし、「その理念は額縁の中に放置されていないか」と問われて「ノー」と断言できる人もまた少数だろう。本書をまとめた野村総合研究所の研究チームは、日本企業の眼前に山積する経営課題のうち、最も重要なものは「人材問題」だと指摘する。終身雇用・年功序列神話の崩壊後に、多様かつ有能な人材を引き寄せるものは、優れた理念とビジョン以外にはないと言い、その構築法を示す。

まずは「変容する人材」の中身を探る。キーワードは「イヌ型人間からネコ型人間への転換」だ。組織への忠誠心が強いイヌ型が減少し、自己実現を求めてさまようネコ型が急増している現実を、種々の調査から明らかにする。ならば、いかなる理念・ビジョンを構築してネコ型人間を呼び込み、定着を図ればよいのか。

著者は「ビジョナリー・エクセレンス」という経営モデルを示す。理念・ビジョンを組織内にとどめず、会社を取り巻く関係者のすべてに持続的に響かせよと説く。さらに、コトバより浸透させることに注力せよ、独り善がりにならず社会的役割を明確に示せなど、成功企業の事例を紹介しつつ、理念・ビジョンの活用法を指南していく。

■2006/12/25, 日経ビジネス, 95ページ

明日から中国で社長をやってください
明日から中国で社長をやってください五十嵐 らん

エクスナレッジ 2006-10-20
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star中国に進出する企業、駐在員はまず一読?
star私が見てきたアジアと重なります
star中国についての入門書

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東京大学大学院で植物の研究に没頭していた日々から一転、日本をはじめ米国や中国などに拠点を持つ園芸関連企業に就職した著者は、いきなり中国現地法人の社長を務めることになった。本書は右も左も分からぬままに、単身中国に乗り込んで、異なる文化と人々に向き合い、悪戦苦闘する女性社長の奮闘記である。

中国に関する本は数多くあるが、「データだけを基にして実際に現場を見ていないと思えるもの」や「発展した一部の都市しか見ていないもの」が少なくないと著者は言う。その指摘の通り、本書には著者が赴いた雲南省で体験した、時に深刻で時にユーモラスなやり取りが多数紹介されている。例えば、中国人の社員たちの欠点として、ある日突然仕事に理不尽な言いがかりをつけたり、ボイコットのような「幼稚な行動」を取ったりすることを挙げる。その原因を著者なりに分析し、反日教育や中華思想だけでなく、一人っ子政策や言論弾圧が彼らのそうした行動に影響を与えていると指摘する。

著者は帰国後の現在もユニークな「中国研究」を継続しており、インターネット上のブログ「中華的生活『多少銭?』」で発表し、人気を博している。著者名から容易に検索できるので、覗いてみるのもいいだろう。

■2006/12/25, 日経ビジネス, 95ページ

内部統制Q&A 経営幹部の疑問にズバリ答える
内部統制Q&A 経営幹部の疑問にズバリ答える経営情報学関連学会 「内部統制」タスクフォース

日経BP社 2006-10-19
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内部統制は、経営者や従業員のミス・不正を防ぎ、企業価値にマイナスの影響が出ないことを狙いとする。コストはかかるが、それだけで自然に企業価値が増大するものではない。だが、IT(情報技術)を導入した内部統制体制を上手に利用することで、企業価値を向上することも可能。経営情報学の立場から、「攻めの内部統制」をQ&A方式で解説する。

内部統制とITとの関係では、ITを道具として業務全般に関する統制を強化・合理化する「ITによる統制」と、ITの構築・運用の不備によるリスク全般を管理する「ITに対する統制」とがある。それぞれ、整備のための具体的な手順を解説し、適切なIT投資ができるよう、経営幹部向けに考え方を示す。

■2006/12/18, 日経ビジネス, 110ページ

理屈はいつも死んでいる
理屈はいつも死んでいる高原 慶一朗

サンマーク出版 2006-10
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おすすめ平均 star
star心のリポビタンD
star女性の時代を得て
star中小企業の経営者、幹部候補 必読の書

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著者に聞く-パーソナルライフ-高原慶一朗氏[ユニ・チャーム会長] 『理屈はいつも死んでいる』 心の生活習慣病を恐れよ

頭でこねた理屈より、現場のひたむきな努力が常に勝る――。45年間700冊もの「現場ノート」を刻み続けてきた創業者が説く経営哲学。品質問題は「現場軽視に傾く心の生活習慣病が原因」と語る。

――この本を今、執筆された理由は何でしょうか。

ここ十数年、IT(情報技術)によって生活は激変しました。情報はインターネットに氾濫し、携帯電話は当たり前、子供たちは昆虫をバーチャルな世界で飼うようになりました。便利になりましたが、昆虫を取りに行った時の埃や匂い、クワガタムシに挟まれる痛みは喪失して、人生そのものが薄っぺらくなりつつあるように感じます。

IT革命は明治維新、太平洋戦争敗戦に次ぐ大変革と言われましたが、明治維新の時でさえ勝海舟は「世間は生きている、理屈は死んでいる」と警鐘を鳴らしました。便利さを享受することを決して否定するのではありませんが、“手垢にまみれる”や“苦労を厭わない”といった言葉を死語にしてしまうと、取り戻せなくなるものがあるぞ、そう思って本書を書きました。

――高原さんは45年間にわたり、700冊もの「現場ノート」を取ってこられました。経営への生かし方を教えてください。

私にとって手書きのノートは体の一部みたいなものなんですが、実は手書きこそが大事なんです。パソコンで作った文章や資料は、検索したり、そのままメールで送ったり、編集や転用も簡単です。しかし、そういう資料は案外時間が経ってからもう一度見直したり、書き足したり、大事なところに色を塗ったりしないでしょう。

ノートはテーマごとに表題をつけているので、例えば同じ会議だと、1年前や1カ月前のページを開いて比較できる。文字の調子やマーカーの引き方は自分がやったことなので、すぐに思い出せます。実際にやってみれば分かるアナログの効用ですよ(笑)。

――日本の品質や「現場力」が揺らいでいます。何が足りないのでしょう。

持論ですが、病気には3種類あって、油断すると「心」「技」「体」で病気になる。体の病気や技、すなわち技術や技量の不調は、自覚症状がありますが、心の病すなわちうぬぼれ、驕り、甘え、マンネリ、妬みなどはなかなか自分では気づかない。だから最も恐れるべきは、心の生活習慣病です。

ただ、どの病気も共通しているのは、第三者の助言や直言に、聞く耳を持たない時にかかってしまう、ということです。品質の不具合や企業の不祥事も全く同じです。世間に耳を貸さなくなった時に病気になる。生産現場や営業現場という言葉はありますが、そこで会議ばかりしていては、現場が現場じゃなくなってしまう。定期健診を怠らないことと、常に世間に身をさらして温度差をなくすことが重要だと思います。

――現場重視を会社の隅々まで浸透させるには何が大事だと考えますか。

不易流行と言いますか、昔からそのまま変わらずに続いたものは皆無と言っていいでしょう。驕れるものは久しからず、とも言いますが、誰が真の顧客なのかを見誤ってはいけません。商品やサービスの値打ちは消費者が決めるのです。

だから難しいことや多くのことを言わずに、ユニ・チャームはそれらを「3つのDNA」として仕事を通じて伝承していく文化を持っています。3つとは「変化価値論」「原因自分論」「尽くし続けてこそナンバーワン」です。現場重視の姿勢を仕事の現場で継承することが、まさに「理屈は死んでいる」という考えの実践だと思います。

高原慶一朗(たかはら・けいいちろう)氏
1931年愛媛県生まれ。大阪市立大学商学部を卒業後、61年大成化工(現ユニ・チャーム)を設立。2001年から会長。

■2006/12/18, 日経ビジネス, 112ページ

教育崩壊―「夢教育」で私が再生に挑む
教育崩壊―「夢教育」で私が再生に挑む渡邉 美樹

ビジネス社 2006-10
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おすすめ平均 star
star渡邉氏の情熱が伝わってくる本
starちょっとがっかり

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ワタミ社長で郁文館夢学園理事長も務める著者が、学園で進行中の改革の詳細を明かす。

著者は、行き詰まりを見せている日本の社会が新たな発展を遂げるには教育改革が必要との信念を持ち、2003年から郁文館夢学園の経営に関わってきた。同学園は、よき人格とよき生活習慣を身につけ、「夢を持ち、夢を追い、夢を叶える」中で人間性を高めることを目標とする。偏差値教育に代わる「夢教育」を具体化するために、30代の若手教諭2人をリーダーとする「夢プロジェクト」を始動。家族から離れた環境で自分を見つめる「夢合宿」、夢の達成のためにどんな道に進むことが必要かを自分で調査する「夢実習」などのプログラムを作り上げた。夢教育を推進することで、結果的に大学合格実績が上がることを証明するため、「東京大学合格20人」を目標とする「東大プロジェクト」も進行中だ。

学校改革は2010年に完成させる計画。成果は様々な形で出始めているが、一方で、依然として問題を抱えた教諭もいるという。著者は、教諭一人ひとりと契約を交わし、教諭が永久就職ではない体制を作ろうとしている。今の教育を立て直すためには、厳しい自由競争を持ち込むしかないとして、「バウチャー制度」の導入を提唱している。

■2006/12/18, 日経ビジネス, 111ページ

敵対的買収を生き抜く
敵対的買収を生き抜く津田 倫男

文藝春秋 2006-11
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star護るも攻めるも命懸けの時代が眼の前に!

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2007年5月、三角合併が解禁され、国境を越えたM&A(企業の合併・買収)が加速すると予測される。本書は、企業が敵対的買収からいかに身を守るべきか、敵対的買収を仕掛けられた場合にはどう対応すべきかを考察する。

英ケーブル・アンド・ワイヤレスによる国際デジタル通信買収、米スティール・パートナーズによるサッポロビール買収の試みなど、過去の敵対的買収事例を紹介する。敵対的買収を仕掛ける企業には必ず論理があり、仕掛けられた側は相手のロジックを見極めるところから勝負が始まると指摘する。今後、外資による敵対的買収が想定される業界として鉄鋼、薬品、小売り、商社、銀行などの状況を概観する。

敵対的買収を仕掛けられる企業に共通するのが、「経営者が無能」「経営者や従業員が派閥抗争に明け暮れる」「株主がものを言わない」などの問題点。本書は、「取締役会が無能な経営者を代える」「従業員を含めて、全社一丸となって敵対者の意図をくじく」「ホワイトナイト候補の株主と対話を欠かさない」など、経営者や従業員、ステークホルダー(利害関係者)が取り得る防衛策・撃退策を探る。注目を集める事前警告型ポイズンピル、ライツプラン(事前許可に基づく株式希薄化)についても解説する。

■2006/12/18, 日経ビジネス, 111ページ

世界秩序の崩壊 「自分さえよければ社会」への警鐘
世界秩序の崩壊 「自分さえよければ社会」への警鐘ジョージ・ソロス 越智 道雄

ランダムハウス講談社 2006-10-12
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米国は都合の悪い現実から目をそらす「自分さえよければ社会」になってしまった。著者はこの態度が改まらない限り、米国は世界における支配的地位を失い、世界にも有害な結果が及ぶと予測する。本書で、「米社会はどこがおかしくなったのか」「世界秩序をどうしたら再生できるか」を論じる。

第1部では、「オープン・ソサエティ」の概念を説明しながら、米社会の問題点を浮き彫りにする。中心となるキーワードが誤謬不可避性。人間の理解力は生まれつき不完全で、我々は必ず過ちを犯す。そのことを認識し、受け入れ、過ちを修正することで社会は進歩する。だが、米国の国民は、こうした概念を理解していない。2001年の同時多発テロ後、米国のオープン・ソサエティは危機に瀕しているが、それは、テロリストの攻撃のためではなく、ブッシュ政権の対応によるものである。「テロとの戦争」というキャッチフレーズで真実が操作され、オープン・ソサエティの核心にあるべき批判的思考モードが停止してしまった。

第2部では、現在の世界の緊急課題である地球規模のエネルギー危機、核拡散、温暖化などを指摘する。また、「民主主義国家共同体(CD)」「国際市民社会」など、世界秩序を守るための新たな枠組みを考察している。

■2006/12/18, 日経ビジネス, 111ページ

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