メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年11月20日~12月11日

日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」
日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」有馬 哲夫

新潮社 2006-10-17
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おすすめ平均 star
star米国の反共活動の全貌を描く。
starジャパンロビーが面白い
star小説より面白い

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あれは大がかりな洗脳だったのだ。昭和20年代末の街頭に設置され、瞬く間に各家庭のお茶の間に入り込んでいったテレビ受像機。空手チョップで外国人レスラーをなぎ倒していく力道山に束の間のプライドを満足させた日本人は、同時に「名犬リンチンチン」や「パパは何でも知っている」などのホームドラマを見ては米国の物質的豊かさに憧れ、彼らと同じ価値観を共有したい、同じものになりたいと、強烈な思いを抱かされていく――。

日本初の民間テレビ放送局・日本テレビ放送網。今日も視聴率で他の追随を許さない同局は、東西冷戦下における米国の反共産主義スキームと、心理的再占領計画との産物だった。よく知られた“テレビの父”こと正力松太郎や、懐刀・柴田秀利のサクセスストーリーは、それはそれで事実であるにせよ、より上位の意思による巨大な枠組みの下で実現された挿話にすぎなかったのである。

かねてささやかれてきた噂をメディア論を専攻する研究者が立証した。彼は米国の国立第2公文書館で正力に関する大量のCIA(米中央情報局)文書を発見。見事な研究成果に結実させた。

史実はあまりに生々しい。民放テレビ局の設立を含む日本でのマイクロ波通信網建設計画は「ポハイク」。本人にはそれと知られぬよう作戦を担わせる正力は「ポダム」の暗号名で呼ばれていたという。

いわゆる「逆コース」へと大きく舵が切られた占領後期以降。テレビによる反共プロパガンダは、公共放送のNHKではならなかった。資本家が設立した民放局が、経済的利潤を追求することで維持されていくものでなければ…。かつて警視庁の警務部長として国民の思想取り締まりに当たった過去を持ち、「逆コース」ゆえに公職追放を解除された正力ほど、米国にとっておあつらえ向きの人物はいなかった。

CIAの計画に初めは乗った吉田茂首相が、途中から対立に転じていく経緯が興味深い。当時の誰もが、できる範囲内で懸命だった。安易に非難できるものではないが、ともあれ「現在を生きる者はこの事実と向かい合わなければならない」と著者は強調する。同感だ。

民放のテレビは相変わらず低俗きわまりない番組を垂れ流し続けている。拉致事件を多く扱えとの政府命令に屈服し、ジャーナリズムを放棄したNHKが、それでも相対的にマシに思えてしまう光景は正気の沙汰ではないが、その裏面史を顧みれば自然の成り行きということなのか。一刻も早い対抗メディアの構築を望むものである。【評者 ジャーナリスト 斎藤貴男】

■2006/12/11, 日経ビジネス, 91ページ

資本と知識と経営者―虚構から現実へ
資本と知識と経営者―虚構から現実へ亀川 雅人

創成社 2006-09
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資本とは何か――。現代の経済社会を支えるこの唯一無二の価値を、いま一度定義し直そうと試みる書。「お金」や物質的な「富」の集積は資本の一部にすぎないと言い、代わりに「知識」と「技術」といった無形の財が持つ価値について考察を加えていく。資本主義経済の主役は資本家ではなく、知識や技術を創造し社会に貢献する役割を担った企業経営者であると結論づける。

資本主義経済の仕組みを解き明かす過程で、著者が提唱するキーワードが「虚構」である。“将来の豊かな社会のイメージ”と言い換えてもよいだろう。その実現に必要な有形・無形の価値が資本であり、ストック(資本財)に無形の知識や技術を組み合わせて新たな価値を創造することこそが、企業経営者の使命であると指摘する。

■2006/12/11, 日経ビジネス, 91ページ

萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか
萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか堀淵 清治

日経BP社 2006-08-14
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おすすめ平均 star
starアメリカにマンガをもたらした男の自伝
star要は、ヒッピーが高橋留美子に救われる話です
star日本人としての誇り

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著者に聞く-パーソナルライフ-堀淵清治氏 [ビズピクチャーズ社長兼CEO(最高経営責任者)] 米国に広まる「今の日本」- 『萌えるアメリカ』

日本のマンガ本や雑誌「少年ジャンプ」を翻訳して米国で出版する。1986年7月の会社設立時はゼロだった米国マンガ市場は今や約200億円に成長。マンガを皮切りに新たな日米の懸け橋を作ろうと奔走している。

――なぜ米国で日本のマンガを販売しようと思い立ったのですか。

皆、マンガを読んだ経験があるでしょう。こんな面白いものが米国で受けないはずがない、と思っていたんですね。たまたま訪米していた小学館常務(当時、現在は社長)の相賀昌宏さんと出会った際に、「米国でマンガを出したら面白いでしょうね」と話したのです。そうしたら、相賀さんも同じことを考えていた。それで1986年7月に小学館が20万ドルを出資して米国で日本のマンガを出版する会社を立ち上げ、私が社長を務めることになりました。2003年1月には「少年ジャンプ」英語版の販売をきっかけに集英社も出資しています。

最初に米国でどんな作品を紹介すればいいのか、選ぶ作業は本当に楽しかった。忍者の成長を描く『カムイ外伝』、戦闘ロマンの『エリア88』、超能力少女の物語『舞』の3作品で始めることに決めました。選択基準は、自分の感性。絵が大事です。映画で俳優の演技がしっかりしていると満足できるのと一緒で、マンガもまずキャラクターが確立していないと読んでもらえないんですよ。

『舞』を発見した時は興奮しました。私自身も知らなかったんですが、絵が素晴らしくてストーリーもよくできている。絶対にいけると思いました。案の定、米国で大ヒットして、映画会社から映画化したいとの申し出もありました。ただし、映画会社が倒産してしまい、実現には至らなかったのですが。

――20年経って、米国にマンガは定着したと考えていいでしょうか。

はい。マーケットは今も拡大しています。米国の書籍は横文字で左開き。それに合わせるために、最初の頃はマンガの原稿を反転印刷しました。しかし、今では、右開きという日本のスタイルが当たり前になっています。また、少女コミックの台頭にも驚いています。最近では、女の子が書店で少女コミックを立ち読みしています。私自身、会社を立ち上げた時は、少女向けのマーケットがあるとは考えてもいませんでしたから。

読者層の主流は13~15歳です。これから少年少女が成長していくことで、将来的には青年コミックのマーケットもできるでしょう。そうなれば、通勤時にマンガを読む日本のような風景が出てくるかもしれませんね(笑)。

売れているのは、今まさに日本で流行っている作品です。手塚治虫先生などマンガ創成期の素晴らしい作品では、どうしても古い世界観が表れてしまうんですね。それよりも、今の日本で何が起きているのか、時代の空気をマンガから読み取っています。日本のポップカルチャーとして、米国人は刺激を受けているのです。

――今後は、邦画の配給ビジネスにも乗り出すそうですね。

2008年中に、サンフランシスコにミニシアターをオープンする準備を進めています。日本の本や音楽CDも揃えたエンターテインメントビルで、仮称はJポップセンター。マンガやアニメに慣れ親しんだ世代の米国人は、日本のポップカルチャーに興味を持っていると確信しています。彼らを対象に、日本の情報を発信していきます。

当面の目標は「Jポップムービー」というジャンルを米国で確立すること。「愛・フレンドシップ・チャレンジ」をテーマに、字幕付き映画を見たことがない米国人を楽しませたい。第1弾作品は「電車男(Train Man)」です。

堀淵清治(ほりぶち・せいじ)氏
1952年徳島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、75年に渡米。86年に小学館から出資を受け、米国で日本のマンガ本の出版事業を立ち上げた。

■2006/12/11, 日経ビジネス, 95ページ

環境経営のイノベーション―企業競争力向上と持続可能社会の創造
環境経営のイノベーション―企業競争力向上と持続可能社会の創造天野 明弘 松村 寛一郎 國部 克彦

生産性出版 2006-09
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近年叫ばれるようになった「環境経営」とは、環境の保護に配慮した企業活動を目指す経営のこと。その重要性は認められつつあるが、学術的側面からの研究は始まったばかりであり、当然のことながら実践経営上のデータも少ない。そうした中、我が国で同テーマの研究をリードする学者らが、最新の研究結果をまとめた。

環境経営を“コスト負担”と捉えて歓迎しない経営者には、「環境経営はイノベーションを促進し、財務パフォーマンスに寄与し、競争力向上に貢献する」と呼びかける。

前半では主に「長期的には環境パフォーマンスの向上は財務パフォーマンスの向上につながる」という命題について解説する。欧米の学者による欧米企業の研究と、日本経済新聞社が実施している「環境経営度調査」などを基にした国内企業の分析を重ねて、環境経営への本格的な取り組みが、技術革新や省エネ・省資源などの新たな強みを誘発していることを明らかにする。

後半では環境経営の実践法を論じる。「競争力の向上」をテーマに据えて、例えば、環境マネジメントシステム「ISO 14001」の意義及び具体的なメリットを挙げる。また、新たに登場し注目されている「環境会計」という経営手法について詳しく解説を加える。

■2006/12/11, 日経ビジネス, 93ページ

新世代富裕層の「研究」―ネオ・リッチ攻略への戦略
新世代富裕層の「研究」―ネオ・リッチ攻略への戦略宮本 弘之 尾日向 竹信

東洋経済新報社 2006-10
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おすすめ平均 star
star富裕層研究
star初めて役に立った富裕層本。

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「ニューリッチ」や「セレブ」などと呼ばれる人々が、メディアに出現して派手な言動を繰り広げている。話題としては興味深いが、彼らの姿を今後増加が予測される新世代富裕層の典型だと捉えると、その企業は経営戦略を見誤る――野村総合研究所で研究に取り組む著者らはそう注意を促す。では、真の「新世代富裕層」とは何者か。

同研究所では独自のアンケートやインタビューを基に、その実相をあぶり出した。主に金融資産運用に関わるサービス業者に向けての内容だが、マーケティング関連業、あるいは読み手自身が富裕層を中心に自らのポジションを確認するのにも役立つ。本書では、金融資産の保有額が1億から5億円を「富裕層」と定義する。それ以上は「超富裕層」で今回の研究の対象ではない。富裕層の中でも1947年以降生まれを「新世代」と定義し、その象徴が「団塊世代富裕層」だと言う。

さらに、「団塊世代」だからといってその特性を一括りにするなと言い、資産運用に臨む思考をタイプ別に分類していく。例えば、株式や投資信託などリスク性資産形成に積極的なタイプと、預貯金で十分という消極的なタイプに二分できることを種々の調査結果から明らかにし、彼らを顧客として取り込むための方策を示す。

■2006/12/11, 日経ビジネス, 93ページ

デザインエクセレントな経営者たち―ポジティブ発想の宝庫!「第2回デザイン・エクセレント・カンパニー賞」受賞21人
デザインエクセレントな経営者たち―ポジティブ発想の宝庫!「第2回デザイン・エクセレント・カンパニー賞」受賞21人デザイン&ビジネスフォーラム

ダイヤモンド社 2006-09
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商品やサービス、商環境において真に優れたデザインとは、単なる見かけの演出や広告戦略から生まれるものではない。消費者の幸福や社会的意義を十分に理解したうえで、革新的な経営哲学を“かたち”として示す英知を持った企業だけがなし得るものだ。こうした企業を選考し表彰しているのが「デザイン・エクセレント・カンパニー賞」である。本書は2005年度に同賞を受賞した21の企業を紹介し、併せて経営者のインタビューを掲載したもの。

「お料理教室」という業態に全く新しい付加価値を加えて、今や全国に約80拠点、17万人に及ぶ会員を獲得しているのがABC Cooking Studioだ。駅ビルや複合商業施設の中核区域にガラス張りの店を構え、白を基調とした清潔で美しいクッキングテーブルを囲んだ女性会員たちが料理の腕を振るう。その華やかさに道行く人の多くが足を止めて見入る。同社を率いる横井啓之社長が、静岡県藤枝市でたった1人の生徒と始めたビジネスをきっかけに、現代女性の心の内にあるニーズを掘り起こしていった経緯を明かす。

その他、ショップ形態からは東急ハンズの日下部二郎社長らが、モノ作りジャンルからは貝印の遠藤宏治社長らが表彰されており、デザインに対する持論や企業戦略について語る。

■2006/12/11, 日経ビジネス, 93ページ

漢字伝来
漢字伝来大島 正二

岩波書店 2006-08
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おすすめ平均 star
starちょっとばかり私には難しすぎました
star漢字肉化の歴史
star「漢字伝来」をより広い視点から描く

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日本で漢字文化が確立されるまでの軌跡をたどる。

無文字社会を生きた古代日本人は、中国で創られた漢字を、自分たちの言語を表す文字として採用した。中国語とは言語構造の異なる日本語を漢字で書き写すのは無理があり、様々な障壁にぶつかったが、試行錯誤を重ねて乗り越えた。音読、訓読の技を取得し、万葉仮名による表記法をつかみ、カタカナ、ひらがなを案出した。最終的に漢字とかなで自在に日本語を綴るようになり、“日本語化”に成功した。

一方、同様に漢字文化の波を受けたアジア近隣諸国には、漢字を捨てた国、漢字を真似て文字を創ったものの、利用が途絶えた国などがある。漢字を巧みに利用して自国の言語に適合させた日本は特異な存在であることを示す。

■2006/12/04, 日経ビジネス, 107ページ

常識を再発明する!―YAPPAが切り拓くコミュニケーション・テクノロジーの未来
常識を再発明する!―YAPPAが切り拓くコミュニケーション・テクノロジーの未来伊藤 正裕

ダイヤモンド社 2006-09-15
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ウェブ3D技術によるソリューションを提供するヤッパ社長が、同社の技術や商品戦略、経営哲学を披露する。

ヤッパは「常識の再発明」をベースに、新しいコミュニケーションやインターフェース作りを進めているという。パソコンのハードディスクは巨大な容量に進化し、CPU(中央演算処理装置)の性能も上がっているにもかかわらず、ファイルを開くシステムなどパソコンの「常識」は変化がない。現状のシステムでは何万枚ものファイルや何万曲もの音楽から目当てのものを探し出すのは難しい。パソコンの常識を発明し直すことが重要である。その際、3Dは情報の接点として重要な役割を担う。立体空間を再現できるため、ファイルを「ウィンドウ状に開く」のではなく、「ページをめくるように開く」ことも可能だからだ。

著者は17歳で起業し、現在23歳。詐欺に引っかかり、倒産の危機に直面するなど、様々な経験を積みながら、企業経営を学んだという。企業にとって一番大切なのはフィロソフィーやビジョンだと悟り、「普遍的に社会貢献ができる会社」を目指す。社会はデジタルに傾斜してきたが、「アナログそのものである」人間の生活が便利で豊かになるものは何かを考えていかなくてはならないと強調している。

■2006/12/04, 日経ビジネス, 109ページ

まっとうな経済学
まっとうな経済学ティム・ハーフォード 遠藤 真美

ランダムハウス講談社 2006-09-14
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おすすめ平均 star
starLevittとの共著本よりは劣る
starスタバの値上げ
starこの本に書かれていることは全て真に受けよう!

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「フィナンシャル・タイムズ・マガジン」のコラムニスト、世界銀行グループの国際金融公社主任エコノミスト・ライター、英オックスフォード大学経済学部講師など多彩に活動する著者が、身近な問題を題材に経済学の基本のエッセンスを紹介する。

米スターバックスのカプチーノの値段はどのように決まるのか。コーヒー、ミルク、紙コップ、電気代にスタッフの給料などを合わせても、原価はわずか。人通りの多い一等地の地代が高くついているようだ――。ここから、地代が高くなる仕組みを経済学的に解説する。肥沃な牧草地と入植者を例に、相対的な希少性と交渉力との関係を論じる。牧草地の地代は、地代なしで借りられる「限界地」との相対ベースで決まること、地主が結託して土地開発を制限する「グリーンベルト」導入を迫り、地代をつり上げる方法があることなどを説明。こうした経済学の理論で、現代の都市計画規制、銀行経営、資源、移民問題などを分析する。

スーパーマーケットの価格設定、交通渋滞など身の回りの問題から、国家財政、グローバル化、環境のような大きな問題まで取り上げるテーマは幅広い。経済学者の視点を身につけると、世の中を動かす仕組みが理解でき、世界を見る目が変わると主張している。

■2006/12/04, 日経ビジネス, 109ページ

仕事ができる人の「段取り」の技術
仕事ができる人の「段取り」の技術西野 浩輝

東洋経済新報社 2006-09
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段取りとは「成果を最大化し、目標を最短ルートで達成するためのすべての計画と行動」。段取りを極めるためには、適切な考え方、適切なやり方、適切なツールのほかに、場面や状況を思い描く「イメージング」が重要だという。業務、時間、情報、人間関係の4つの領域に分けて、段取りの技術を具体的に解説していく。

業務に関しては、「大きな仕事も小さな単位に分けて、1つひとつを確実に潰していく」チャンク・ダウン法を取ることが不可欠。そのうえで、やるべき仕事を「To doリスト」にする。リストの管理は手帳を使うのが最適という。1枚の付箋紙に1つの業務を書き、すべての業務を手帳に張りつける。1日に何度も見直して、優先順位の高い業務から低いものへと順番を並べ替える。こうすることで、抱えている仕事を明確に把握でき、仕事のイメージもしやすくなる。同様に、仕事の種類に応じたチェックリストを作って活用すると、確実性、効率性が増すという。

「鳥の目」「アリの目」の視点を取り入れたスケジュール帳の活用方法、情報管理の基本中の基本であるメモやノートの取り方、良好な人間関係を築くための「報・連・相」など、段取り上手になってスムーズに仕事をこなすための方法を詳細に示す。

■2006/12/04, 日経ビジネス, 109ページ

データの罠―世論はこうしてつくられる
データの罠―世論はこうしてつくられる田村 秀

集英社 2006-09
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おすすめ平均 star
star統計調査の結果を真に受けてはいけない
starああ毎日新聞
star冷静な批判

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「データ」の正統性を問う本が何冊か書店に並んでいる。これもその1冊だ。何事においてもデータは計画のベースや説明に使わざるを得ない。しかし、そのデータに様々な前提があること、そしてその解読にはそれなりの“目”が必要であり、そうでなければ使う人間がデータに騙されたり、世論操作の対象になったりしかねないと警告する。データにある程度依存せざるを得ない仕事をしている人間としては、大いに気になる問題である。

驚くべきニュースを覚えているだろうか。内閣府の世論調査委託先の外郭団体「新情報センター」のデータ捏造事件。面接調査なのに面接しなかったというのだ。日本銀行の委託分調査にも捏造があったから、日本の経済統計の信頼性は大きく傷ついた。これはデータの信頼性以前の問題だ

こうした例外的な事件は別にして、我々は数値データを客観的なものであると思いがちだ。しかし、マスコミを含めて実際には客観性を装う、いかがわしいデータが数多く跳梁跋扈しているとこの本は指摘する。「都合の良いデータを使い、自分の考えや特定の政策へ導こうとしているものが少なからず存在するのである」と、この本が指摘しているのは当たっている。

「危ない数字」としてまず指摘されているのは世論調査の数字だ。この本はある新聞社の世論調査で使われた文章を具体的に引いて、「誘導的な聞き方である」と断じている。これは世論調査を見る時に「質問事項」から目を通すことはせずに、結果の数字だけに注目して納得し、結論を引き出そうとする傾向が強い我々に対する警告とも受け取れる。

テレビ番組の評価で唯一のように使われる視聴率も、この本の指摘の通り危ういものだ。よく指摘されるが、この本で詳述される選挙の「出口調査」もそうである。筆者はある衆議院選挙で、自宅の近くで出口調査をじっと見ていたことがあったが、午前中の2時間やっていただけだ。朝方に投票所に行くのは老人が多い。若者は締め切り間際だ。確かに出口調査だが、今の日本で行われているのは「早朝出口調査」に過ぎない。だから当然ながら誤差が出る。

では数字を信じなければよいのか。そうもいかない。特に経済を論じる文章では、数字のない文章は説得力のないものだ。では、その数字の正しさをどうやって担保するのか。利用する我々のサイドで数字にリテラシーを持つ必要があるのではないか。そうしなければ数字に騙されてしまう気がしてならない。【評者 住信基礎研究所主席研究員 伊藤 洋一】

■2006/11/27, 日経ビジネス, 89ページ

国を誤りたもうことなかれ
国を誤りたもうことなかれ近藤 道生

角川学芸出版 2006-10
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少子高齢化や格差拡大などの国内問題に加え、出口の見えない安全保障問題などに取り囲まれ、多くの日本人が自信を失っている。それでもこの国には幾多の難局を乗り越えてきたたくましいDNAが宿っているとエールを送る書。著者は戦前戦後と旧大蔵省のエリートコースを歩み、銀行局長、国税庁長官を務めた後、財界に入って博報堂を率いた。現在は最高顧問に就く。

章の多くは著者の戦争体験談から成る。悲惨な戦争はこの国から多くのものをそぎ落としたが、精神の基盤となる士道や共存共栄を喜ぶ心ばえまでを奪い去ることはできなかったと言う。日本人は先祖から与えられた力を呼び起こし、原理主義の台頭が新たな軋轢を生んでいる国際社会において調和の使者となれと訴える。

■2006/11/27, 日経ビジネス, 89ページ

勝ち残りましょ、銀座で―老舗「銀座テーラー」を再生させた3代目女社長の手づくりビジネス
勝ち残りましょ、銀座で―老舗「銀座テーラー」を再生させた3代目女社長の手づくりビジネス鰐渕 美恵子

徳間書店 2006-09
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著者に聞く-パーソナルライフ-鰐渕美恵子 氏[銀座テーラー社長]
「続」こそが信用の源泉-『勝ち残りましょ、銀座で』

夫が病に倒れ、専業主婦から一転して経営の最前線に駆り出された。待ち受けていたのは、バブル崩壊で傷んだ財務と“抵抗勢力”と化したベテラン幹部。素人社長が体当たりで挑んだ、老舗テーラーの再生劇。

――銀座テーラーは歴代の総理大臣も贔屓にした名門です。過去のこととはいえ、バブル後に経営危機に陥った事実を公表するのに、ためらいはありませんでしたか。

なかったと言えば嘘になります。でも、価格が手頃な第2ブランドの導入や、店舗規模の縮小といった、再生途中に下した経営判断に比べれば、小さな悩みです。事実、お客様からのお叱りは1件もありませんでした。

お客様が老舗に期待するものは何でしょうか。縫製や接客などの技術や、店の格だけではないはずです。「自分の洋服を息子にも着せたい。このテーラーなら10年先もやっているだろう」という安心感ではないでしょうか。

専業主婦だった私が突然、経営の最前線に立つことになったのですから、男社会であるテーラー業界の専門知識はありませんでした。でも、大阪の菓子問屋で育っていましたから、これだけは間違いないと確信していました。

再生の途中では、経費削減のため、ビル1階にあった店舗を3階に上げました。「店は1階にないと格好悪い」などという声もありましたが、どんなに規模が小さくなっても、店を続けること、生き延びることの方が、お客様からの信用を守ることにつながるのです。その取り組みを書いたのですから、恥じることはありません。

――婦人服のオーダーメードを立ち上げて、それをPTAの仲間に自ら売り込んだエピソードなどを通じて、「行動することの大切さ」を説いています。

何かを思いついたら、やらないよりやった方がいいに決まっています。行動に移せば、どんな形であっても何らかの結果が出ますから。その結果がないと、次に進む手がかりを得ることができませんよね。

そもそも完璧な仕事ってありますか。どんなに完成度が高くても、何らかの修正をすることの方が多いはずです。うまくいったところだけを残して、悪い部分を変えればいい。ある種の「いいとこ取り」を時系列で積み重ねていくことで、最初にイメージしていた成功の姿に近づいていく。

多くの場合、「他人に良く思われたい」という自分の中にある小さなプライドが、本当はできるはずのことを邪魔しているのではないでしょうか。もったいない話です。

――東京・銀座は今や海外ブランドの直営店街に変貌しました。老舗として違和感はありませんか。

いいえ。あの現象は時代の必然です。日本人はブランド好きで、それを買える消費者が増えている以上、スーパーブランドが来ない方がおかしい。それだけ銀座という街が外部から期待されているということです。人が集まると、その街にエネルギーが生まれます。その活力を求めて、力のある企業がさらに集まってくる。

かつて、バブル崩壊後の銀座では閑古鳥が鳴いていて、それは寂しいものでした。通行人より店員の方が多かったくらいですから。今年は道を歩くのが大変なくらいの人出があります。街の活力が増すのなら、スーパーブランドにもっと来てもらってもいいくらいです。

もちろん、私たちも「老舗だから」と澄ましていていいはずがありません。他店にない商品を揃え、「見てほしい」「入ってほしい」という姿勢を訴える必要があります。それこそ、海外ブランドの台頭に対抗して、志を同じくする老舗同士の協業が起こってくれば、さらに活気が出ると思います。

鰐渕美恵子(わにぶち・みえこ)氏
1948年生まれ。甲南大学を卒業後、大阪万国博覧会の国連館VIPコンパニオンになる。銀座テーラーの2代目社長と結婚し、2000年から現職。

■2006/11/27, 日経ビジネス, 93ページ

知的資産経営―戦略・情報・侵害・評価・税務
知的資産経営―戦略・情報・侵害・評価・税務吉田 博文 坂上 信一郎 中尾 宏

同文舘出版 2006-08
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知的資産とは、企業が経済的価値を創出する源泉であり、同時に知識を基本的構成要素とする「無形の収益獲得能力」、または「リスクを軽減し、損失を抑える能力」を指す。具体的にはノウハウや教育、資格といった人的資本と、ブランドや会社名、ライセンス契約といった顧客(関係)資本、及び組織(構造)資本から成る。組織資本は特許や著作権などの知的資産と、経営理念や情報システムなどのインフラ資産から成る。一般に「知財」などと呼ばれ注目されやすいのは知的財産だが、それは本書が解説する知的資産の一部であると、この分野に精通する公認会計士らは定義する。

では、知的財産立国を戦略目標とする我が国の国策とも合致するという「知的資産経営」の神髄とは何か。著者らは知的資産の創出・保護・強化・活用を、組織的かつ体系的に実施するための「知的資産重視型戦略経営システム」への転換を企業に提唱する。

無形の資産であるからこその重要課題として、戦略管理会計システムの構築と“戦略の可視化”を挙げる。有効策の1つが「バランスト・スコアカード」である。これは現行の戦略を4つの要素(財務・顧客・内部プロセス・学習と成長)に変換するもので、業務遂行の工程が容易に可視化できると説く。

■2006/11/27, 日経ビジネス, 91ページ

顧客は追いかけるな!―48時間で顧客が集まるシンクロニシティの法則
顧客は追いかけるな!―48時間で顧客が集まるシンクロニシティの法則ジャン・ストリンガー ステーシー・ホール 牧野 真

ダイヤモンド社 2006-09-15
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おすすめ平均 star
star情熱と使命感がビジネスを成功へ導く
star儲かっている人はもうすでにこの内容を体感している

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不特定多数の“見えない客”を追い続けるだけの新規顧客獲得戦略は、費用対効果が悪いだけでなく、多くの現場で通用しなくなっていると訴える書。商売の長期的繁栄に必要なのは、価値観が売り手とピタリと重なっている消費者、すなわち「完璧な顧客」だけだと言う。米国で実績を残してきた経営コンサルタントとマーケティング戦略の専門家が、完璧な顧客はどこにいるのか、そうした顧客に焦点を絞った戦略が会社を成功に導くのはなぜか、いかに獲得すればよいのかなどについて分かりやすく解説する。

著者らは「引力の法則」を強調する。完璧な顧客とは、膨大な時間や人員、資金を費やして追い求めるものではなく、むしろ商売本来の理念やミッション(使命)を見直しつつ真摯な姿勢で表明したり、身近な利害関係者との「絆」を構築することで自然に引き寄せられてくるのだと説く。裏を返せば自分の商売にどうしても自信や誠意を抱けない者には、本書を読み進める意味はなくなるということだ。

ミッションが明確になった読者には、「顧客誘引プログラム」の作成法を指南する。そのうえで、「完璧な顧客を『感謝のランチ』に誘う」などのユニークな行動を詰め込んだ「21日間の実践プログラム」を提案する。

■2006/11/27, 日経ビジネス, 91ページ

憲法は、政府に対する命令である。
憲法は、政府に対する命令である。ダグラス・ラミス

平凡社 2006-08-10
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おすすめ平均 star
star9条と安保
star類書に漏れず
star至極真っ当な本です

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安倍晋三政権の誕生によって憲法改正への動きにますます拍車がかかり、改憲論者の声も熱を帯びてきた。しかし、日本国民のどれくらいが「憲法とは何か」という問いに正しく答えられるのだろうか。著者は基本的に護憲の立場を取るが、その主張は第9条の正当性をヒステリックに叫ぶだけのものではない。本書は国際的かつ歴史的視点から憲法を解説し、日本国憲法が為政者と国民に何をもたらし、また何を抑制してきたかを整理するもの。

まずは「国の最高法規」である憲法が政府の施策のみならず、国民個人の政治的アイデンティティーを規定し、その国の文化にまで深い影響を与えていることを種々の学説や西欧の実例で示す。結果、日本国憲法の条文は主権在民の原則に立つ我が国の政府に対する「命令」であり、命令を下された側が足かせと感じるのは当然のことだと言う。「この憲法は米国から押しつけられたもので国民の総意ではない」という改憲派の常套句については、戦勝国の米国自身ですら制御できない権限を日本国民に与えたことを、米国が最も悔やんでいると反論する。

こうした立ち位置から第9条と安全保障条約、言論の自由、人権条項、政教分離の原則などをテーマに、現憲法の価値について考察を加えていく。

■2006/11/27, 日経ビジネス, 91ページ

超求人成功法 ~あなたの会社に人が集まる51の知恵~
超求人成功法 ~あなたの会社に人が集まる51の知恵~岡野 弘文

インデックス・コミュニケーションズ 2006-09-07
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star超な方法は何も書かれていません
star求人の心構えの本である。
star結局・・・

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設立から約4年で年商10億円規模の企業グループを育て上げた著者が、自らも苦しみ続けてきた求人・採用について、成功へのヒントを示す。

人が集まる会社にするには、「会社の魅力×それを表現する力」で示される“求人力”をつけることが必要と指摘する。求職者は社員を見ている。まず近くにいる人から手厚く取り立てることが重要だ。社長はお金による報酬だけでなく、社員を幸せにする言動を取るよう心がける。表現力向上には、情報量を増やすことが必要。限られた求人広告枠で最大限にアピールするための具体的な方法を示す。

「目標を共有しまとめ上げる」「他人に貢献する」など、求人にとどまらず、「良い会社作り」の指針としても活用できる内容となっている。

■2006/11/20, 日経ビジネス, 135ページ

格差社会―何が問題なのか
格差社会―何が問題なのか橘木 俊詔

岩波書店 2006-09
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star商業主義に侵された格差問題
star広く浅く
star現状を考える上でも

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著者に聞く-パーソナルライフ-橘木 俊詔 氏[京都大学大学院経済学研究科教授]
中学生も考える「格差」-『格差社会  何が問題なのか』

1990年代末から日本の格差問題を研究してきた第一人者。小泉純一郎前首相の「格差は悪くない」との発言に対し反論を挑む。フリーター対策などで企業も利益を還元すべき時が来ていると説く。

――1998年に『日本の経済格差』(岩波新書)を出版し、この問題に先鞭をつけてきました。今、再びこのテーマを追究したのはなぜですか。

今年、日本の格差議論は、新たな段階に入ったと思っています。きっかけは2月の小泉純一郎前首相による「格差が出ることは悪いこととは思わない」という発言でした。これまでは「格差は広がっていない」との立場だったのですが、それが格差を明らかに認める方向に転じました。

一国の首相としては勇気ある発言だったかもしれません。どこの国の首相も民衆の反発を考えて、こんなことは口にしませんから。この発言を知った国民に広く格差問題について考えてほしいと思い、この本を書きました。日本は大きく変化してしまったのです。

――その変化というのは。

今年、OECD(経済協力開発機構)は、日本の相対的な貧困率が加盟国の中で米国に次いで2位になったことを発表しました。つまり中流が崩れ、貧しい層が増えてしまったのです。小泉前首相は、格差が広がっても、国全体で経済的な効率が上がればそちらのメリットの方が大きいと考えているようです。

格差を全面的に否定するわけではありません。努力した人は報われるべきですから。しかし、公平性を担保しながら経済的な効率性を両立させる方法があるはずです。経済学者としては、それを追求していきたい。

格差には2つの側面があります。富裕層と貧困層の差がどのぐらい開いているか。現状ではこの格差が大きくなりすぎて、弊害が目立っている。次に、貧困層がどのくらい増えて、どんな暮らしを強いられているか。個人的には、こちらの問題を深刻に捉えています。

――東京の繁華街やオフィス街の賑わいを見ると、貧困と言われても実感がわかない人も多いのではないですか。

日本の貧困層は表に出てこない。高齢の単身者や、母子家庭、若年で正社員になれないフリーターなどが水面下に隠れています。家族が崩壊し、セーフティーネット(安全網)が崩れ、生活の苦しい高齢者や母子家庭を支援する仕組みが壊れてしまいました。

正社員として就職できないまま、20代後半から30代になってしまった若者も多い。フリーターとして年を取ってしまった彼らを、新人として採用しようとする企業は稀です。政府が訓練などの支援をしなければ、彼らは正社員としては就職できないでしょう。

企業は正社員を減らして人件費を抑制し、不景気を乗り越えてきました。景気が回復し、業績も戻ったのですが、企業は正社員を増やさないままの経営スタイルを貫こうとしています。今「いざなぎ景気」を超える好景気を迎えているわけですが、それを実感している国民は非常に少ない。そろそろ企業も労働者に還元すべきです。

この本で、「格差問題」に興味を持つ方の裾野が広がったようです。最初の本は研究者や報道関係の方から問い合わせをいただいたものの、いわば玄人向けでした。しかし、今回は一般の方にも随分読んでもらっています。先日は東京の中学生から「京都に修学旅行に行くので、インタビューさせてほしい」との依頼がありました。残念ながら、日程が合わなかったので実現しませんでしたが、中学生が興味を持ってくれるようなら、この本を出した目的は達成できたと信じています。

橘木俊詔(たちばなき・としあき)氏
1943年生まれ。大阪大学大学院で修士、米ジョンズ・ホプキンス大学で博士を修了後、日米欧の大学や機関で研究職などを務め、2003年から現職。

■2006/11/20, 日経ビジネス, 139ページ

顧客を知り尽くし顧客を満足させる法
顧客を知り尽くし顧客を満足させる法DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部

ダイヤモンド社 2006-08-04
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顧客戦略について、「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載した各種の論文を収録する。

ある論文はカスタマー・エクイティーという尺度を使って、顧客価値を定量的に把握することの重要性を指摘する。カスタマー・エクイティーとは、全顧客がユーザーである期間に得られる利益の正味現在価値。企業は、このカスタマー・エクイティーが最大になるよう顧客戦略を講じる必要がある。投資コストを考えた時、闇雲に新規顧客を増やしたり、既存顧客を囲い込んだりするのがよいわけではないことが分かる。

別の論文ではCRM(顧客情報管理)を成功に導く条件を分析する。成功した企業に共通するのは、対象範囲を狭め、あまり高くない目標を掲げてそこに集中することだという。企業の顧客リレーションシッププロセスを注意深く検証すると、全体的なパフォーマンスに影響を及ぼしている問題が幾つかの分野で見つかる。決定的なプロセスであるこの「痛点」に絞って小規模なプロジェクトを実行し、早期に成功させて他のプロセスへと横展開するのがよいと解説する。

各論文を時系列で収録しているため、時代とともに変化してきたCRMの有り様を再確認できる。

■2006/11/20, 日経ビジネス, 137ページ

顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」
顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」フレッド・ライクヘルド 鈴木 泰雄 堀 新太郎

ランダムハウス講談社 2006-09-27
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企業の真の成長とは、顧客がその企業との取引をとても気に入り、友人や同僚に称賛の声を伝えることから生まれる成長だと著者は指摘する。真の成長を実現しなければ、成長は持続できない。企業は顧客を食い物にする「悪しき利益」ではなく、顧客の熱心な協力による「良き利益」を得られるよう、努力すべきだと説く。

良き利益と悪しき利益を識別する究極の質問は「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか」だという。この答えを基に得られる指標が「推奨者の正味比率(NPS)」。企業の顧客はロイヤルティーが高く、友人にも顧客になるよう薦める「推奨者」、満足はしているが、競合他社からの働きかけになびきやすい「中立者」、劣悪な関係を強いられた不満客である「批判者」の3つに分類できる。「推奨者-批判者」で算出されるのがNPS。本書は米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米デルなどの企業事例を基に、NPSと収益、市場シェアとの相関性を証明する。

また、既存の顧客満足度調査は、誤った顧客を調査対象としたり、真意を汲み取れない質問を並べ立てたりと問題が多く、「役に立たない」と指摘。NPSを活用した顧客ロイヤルティーの有効な測定方法のルールを示す。

■2006/11/20, 日経ビジネス, 137ページ

mixiと第二世代ネット革命―無料モデルの新潮流
mixiと第二世代ネット革命―無料モデルの新潮流早稲田大学IT戦略研究所 根来 龍之

東洋経済新報社 2006-08
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おすすめ平均 star
starリアルとバーチャルの社会学
star上司や知り合いに”mixiやSNSの可能性や現状を説明したい”人にお勧め
starmixiのことを軽視してきたが、この本を読んで凄いかもと思った。

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インターネット世界で「第2世代」が台頭してきている。第1世代では、バーチャルワールドはリアルワールドと分離したものとして発展したが、第2世代はバーチャルなサイト同士が自動化技術で結びつく「バーチャル×バーチャル」の世界、リアルな人間関係にバーチャルな人間関係が加わる「リアル×バーチャル」の世界が実現することが特徴。本書は「mixi」を主な題材として、「リアル×バーチャル」の特性やビジネスモデルを論じる。

実際に知っている人たちとの関係を基盤として、会ったことがない人ともバーチャルなコミュニケーションでつながる「バーチャリアラー」は第2世代のネットコミュニティー特有の存在である。本書は、このバーチャリアラーが、mixiに代表されるソーシャル・ネットワーキング・サービス発展に重要な役割を果たしていることを指摘する。mixi参加者の関係は「実際に知っている人」「実際には知らない人」「友達の友達」という具合に階層性を持っており、それが情報への信頼度や消費行動に影響することを明らかにする。

第2部では、mixiのような第2世代のサービスが無料で提供されていることを踏まえ、サービス開始からビジネスの自立に至る過程が、有料モデルとどのように異なるかを考察する。

■2006/11/20, 日経ビジネス, 137ページ

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