メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年4月3日~4月17日

上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔
上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔岡本 聡子

アルク 2005-10-18
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おすすめ平均 star
star中国の若きエリートたちの素顔
star中国だけでなく、海外留学を考えている全ての人にお勧めの本
star中国人とこれだけ本気で議論した人は少ないと思う。

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著者に聞く-パーソナルライフ-岡本聡子氏[メーリングリスト主宰者] 人から始まる関係改善-『上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔』

日中いずれかで起業という夢のため上海のビジネススクールにMBA(経営学修士)留学。競争倍率20倍を突破したエリート同級生と寝食を共にし、中国の若者の実態を知った。その経験から、中国を“普通の国”に変えるカギは人への投資と語る。

――留学したCEIBS(中欧国際工商学院)には、胡錦濤国家主席の娘さんも在籍していたそうですね。

高級官僚の子弟、外資系企業に勤めていた人、会社を経営していた人など、中国の若きエリートが集まっていました。厳しい入試を突破できる知力と、年間2万5000ドル(約297万5000円)の授業料を払える資金力を兼ね備えた人たちです。

EU(欧州連合)企業が幹部候補生を育てるために設けた学校なので、卒業後は中国現地法人の幹部として採用されます。彼らの平均月収は2万5000元(約32万5000円)ほどで、普通の上海人の約10倍。私はこの学校で初の日本人留学生でした。

留学先として中国を選んだのは、いつの日か中国で起業したいという夢があるからです。中国は世界のどこよりも急速に発展している。そのダイナミックさに、以前から興味を持っていました。実際に将来、13億人をリードしていくであろう彼らがどの科目にも熱心に取り組む様を見て、驚異的な成長の原動力が人にあることを改めて感じました。

――その同級生たちが「ビジネス倫理」という科目にはまるで無関心だったというのは、面白い話です。

著名なスイス人客員教授が教える必修科目でしたが、授業が始まると中国人同級生の多くが「この科目は必要ない」と主張し始めた。正直、面食らいましたね。

優秀な彼らですから、欧米でビジネス倫理が重視されていることは十分に理解しています。米エンロン事件など、不祥事が起きた背景もこちらが想像する以上によく知っている。ただ、彼らは学生といっても社会人経験を積んだ人が大半です。中国で倫理を振りかざすことの無意味さを肌で感じているのでしょう。「倫理的に振る舞っても損をするだけだ」。そうはっきり口にする人が少なくなかったのです。

自分にとって得か損か。それが彼らの判断基準です。自分たちが一般の人よりどれほど恵まれたポジションにいるか。それをよく理解しており、今の生活を失うことを非常に恐れるのです。「1分1秒でも、ポジションアップにつながらない時間の無駄遣いはしたくない」。多くの人がそう考えているのです。

文革(文化大革命)で伝統的な価値観や倫理観が破壊されてしまい、いまだにそれに代わる価値基準を持ち得ていないことも大きいのでしょう。これは工場に勤務するワーカーであれ、彼らのようなエリート層であれ同じなのです。

――若手エリートの意識が「損得ずくめ」なら、将来も中国が国際社会で“普通の国”になるのは難しいということですか。

時間はかかるでしょうが、不可能ではない。学生が不満を表明しようが、学校側はビジネス倫理の授業を必修科目から外すことを頑として拒みました。「中国を対等なビジネスパートナーに育てる。それには彼らのような若者の意識を変えることが欠かせない」という設立の理念があるからです。

日本も中国の大学に寄付講座を設けていますが、実務的な内容のものが大半です。中国の現状を批判するのは簡単ですが、ならばその中国を変えるために何ができるのか。迂遠に見えても“人財”に投資していくことが、一番の近道ではないでしょうか。日中関係が最悪な今だからこそ、そんな議論をすべき時だと感じています。

岡本聡子(おかもと・さとこ)氏
1976年生まれ。早稲田大学卒。外資系コンサルティング会社を経て中国でMBA取得。中国人エリートの素顔を伝えるメーリングリストを主宰する。

■2006/04/17, 日経ビジネス, 85ページ

娘に語るお父さんの歴史
娘に語るお父さんの歴史重松 清

筑摩書房 2006-02
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1963年生まれ、“普通のおじさん”であるカズアキが、自分が生きてきた昭和の時代を娘に語る。戦争を体験した前の世代のような強烈さはないものの、確かな歴史が感じられる。

テレビや漫画があり、食べ物もたっぷりあった。自分の勉強部屋があった。病気で死んでしまう友達や経済的な事情で高校に進めない友達はめったにおらず、高望みさえしなければ将来の夢を邪魔するものはなかった。

敗戦から間もない時期だが、日本は「東洋一」を目指し「世界」に目を向けていた。交通事故の犠牲者が急増し、公害患者が出るなど負の面も大きかったが、カズアキは「幸せな時代だった」と振り返る。一人ひとりの、ニッポンの、世界の未来を「信頼」し、全力疾走できることこそ幸せだったと結ぶ。

■2006/04/17, 日経ビジネス, 81ページ

上流顧客を満足させるプロフェッショナル・サービス
上流顧客を満足させるプロフェッショナル・サービス酒井 光雄

日本能率協会マネジメントセンター 2006-02
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階層化が進み、人口が減少している日本市場では、商品を安く作り、多くの顧客に販売するマスマーケティングはもはや限界がある。著者は、カスタマイズされた“おもてなし”を、対価を払ってもらえる顧客に提供し、サービスからも収益を上げるビジネスを実現することが必要と説く。ザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズホテル、トヨタ自動車のレクサスなどの事例を紹介しつつ、ハイエンドサービスの本質と具体的な実践方法を示す。

ザ・リッツ・カールトン大阪は「ゲストヒストリー」を活用している。顧客が宿泊・飲食を利用した際、その履歴をこまめに記録し、次回の利用時、データを参考にサービスを提供する。主たる利用者である法人契約の経営者や上得意顧客には顔写真を提供してもらい、すべてのスタッフが顔と名前を覚える。毎日、各部門で開くミーティングの際、その日に利用するVIP情報を共有し合い、誰がどこで対応しても、顧客の嗜好や社会的な立場を踏まえた接客ができるよう努めている。

高度なサービスを受けると、顧客は感動し、リピーターとなってその企業の経営基盤を支える存在になる。日本企業が縛られてきた、「誰にも均一に」とは異なる、ハイエンドサービスの具体像を理解するのに役立つ。

■2006/04/17, 日経ビジネス, 83ページ

バリュー消費―「欲ばりな消費集団」の行動原理
バリュー消費―「欲ばりな消費集団」の行動原理田村 正紀

日本経済新聞社 2006-01
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この十数年、消費者行動には劇的な変化が生じた。消費者個人にとっての価値を追求する「バリュー消費」が台頭してきたのである。現代の消費者は製品・サービスにどのような価値を求めているのか。過去数年にわたる消費者調査から得られたデータを基に解説していく。

消費者の消費行動を、ある製品カテゴリーの中で、どのような製品、ブランドを選択するかという問題と、消費支出をどのような製品カテゴリーに振り向けるかという問題とに分けて説明する。前者では、バリュー消費は品質志向と価格志向を同時に追求する“価値ハンター”として表れる。後者では、生活の質追求に関連する分野へ、重点的に消費支出を振り向ける“傾斜消費”として表れる。

価値ハンターに対しては、従来のように製品のブランド化を究極の目標とするようなマーケティングは通用しない。価値ハンターは、差別化された製品でも定価で買おうとしないからだ。価値ハンターを顧客として獲得し、市場のリーダーとなるには、競争者を超える顧客価値を創造するようなマーケティング手法を確立することが必要である。本書は顧客価値とはどのようなものかを説明しながら、基本戦略を構築するための視点を示す。

■2006/04/17, 日経ビジネス, 83ページ

サッカーで燃える国 野球で儲ける国―スポーツ文化の経済史
サッカーで燃える国 野球で儲ける国―スポーツ文化の経済史ステファン シマンスキー アンドリュー ジンバリスト Stefan Szymanski

ダイヤモンド社 2006-02
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経済学者の著者がサッカー、野球という2つのスポーツの起源、発展、軌跡を振り返り、文化的・経済的に分析を試みたユニークな1冊。両スポーツが、それぞれの社会の文化や歴史を反映していることを明らかにする。

サッカーは世界中に普及しているのに、なぜ野球は米国と中米諸国、極東のスポーツにとどまっているのか。サッカーは当初、英国人の海外在住者によって、その後は地元のビジネスエリート層によって普及していった。サッカーでの交流は、単にスポーツ面での利益を超えて、商売の円滑な遂行を後押しした。サッカーの普及は、英国の膨大な貿易や投資を通じた結びつきや、それに伴って英国文化を諸外国に広めるという価値観の延長線上にあったのである。

一方、野球はナショナルリーグが構築した組織体制の拡大という形で普及した。閉鎖的に、商業的な成功を目指して発展してきたため、国際的には広がらなかった。その代わり、野球は規制のない独占市場で運営されていることで、儲かる体質となっている。

野球にはファン層の維持・拡大という大きな課題があり、サッカーには切迫した財政危機がある。最終章ではサッカーが野球から、野球がサッカーからそれぞれ学ぶべき教訓を整理する。

■2006/04/17, 日経ビジネス, 83ページ

起業家の条件
起業家の条件黒崎 誠

平凡社 2006-03-11
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成功するベンチャー企業に不可欠なものとは何か。時事通信社の経済記者として企業の誕生、成長、挫折の現場を目の当たりにしてきた著者が、「これぞ起業家だ」と呼べる社長を厳選して、勝因をあぶり出す。著者は、今は大学講師を務めるが、本書のために50人近いベンチャー起業家へのインタビューを敢行したという。

1代にして年商1000億円の住宅建築・販売会社を築いたポラスグループの中内俊三氏は、バナナの行商がビジネスの始まりだったと振り返る。また、イー・アクセスや「ぐるなび」など、時代の潮流に乗って成長を続けるIT系企業の“先見の明”や、痔の新薬で注目されるレキオファーマなど、女性起業家が率いるユニークな事業を紹介している。

■2006/04/10, 日経ビジネス, 97ページ

デザインのたくらみ
デザインのたくらみ坂井 直樹

トランスワールドジャパン 2005-12
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著者に聞く-パーソナルライフ-坂井直樹氏[ウォーターグループ代表] レクサスは挑戦的企み-『デザインのたくらみ』

1980年代後半に日産自動車の「Be-1」を世に送り出したデザイナー。その著者が、様々なデザインが生まれた背景を独自の言葉でまとめた。「見えないものを言葉で語るのがデザイン」と言う。

――著書では、車から出入国スタンプ、そしてようじと、様々な「もの」や「こと」について、デザインされた背景などを表現されています。

この本はある雑誌の連載をまとめたものです。連載して面白かったのは、車やテレビなど皆が興味あるような“立派な”ものよりも、ようじや駅弁といった普段はあまり意識して語られないようなものやことを取り上げた方が、読者の反響が高かった。

日頃何気なく使っているものでも、意外と知らないことが多い。ようじで言えば、日本は木製で使い捨てが当たり前ですが、西洋では青銅や金、べっ甲などの再利用の可能な素材が一般的です。また日本の木製ようじは、キシリトール成分を含んだ白樺が使われていたりします。身近なものほど新しい発見があり、それを知ると驚きも大きいのでしょう。

――書名を『デザインのたくらみ』としたのはなぜですか。

デザインを日本語に訳すと、企みなのです。ですからこの題名は「たくらみのたくらみ」または「デザインのデザイン」と重箱的な物言いになっています。命名したのは私ではありませんが、この言い回しは私のデザインに対する考え方に通じています。

見えるものを形に表現するよりも、目には見えない意図や創意工夫を表現することがデザインなのです。よくデザイナーですと言うと、すぐに絵を描くような人に思われがちなのですが、私はデザインをしていく過程で自分では絵を描きません。20代までは自分の手を動かしていましたが、今は頭の中に思い浮かんだことを言葉で考えて、絵は別の人に描いてもらいます。

デザインというよりはコンセプト作り、ないしはブランディングやマーケティングをしていると言った方がふさわしいかもしれません。

――ブランディングの話で言うと、トヨタ自動車の高級車「レクサス」や米アップルコンピュータの「iPod」の取り組みが注目されています。

レクサスは、例えて言えば「ユニクロ」に「ルィ・ヴィトン」を加えるようなものです。通常、ブランド展開は、高級ブランドに低価格のディフュージョンブランドを追加するのがセオリーです。「メルセデス・ベンツ」も高級車がまずあって、それに低価格の小型車を加えていますよね。

レクサスはこれとは逆です。この挑戦的な取り組みで成否のカギを握るのは、技術革新です。恐らく今年中にも、街を走るレクサスの半分はハイブリッド車になるでしょう。先端の技術を用い、そして現代の時代にマッチした環境に優しいという要素は、高級車のイメージを変えていく可能性があります。

もう1つのカギは「和」です。現在、世界的に高級感を醸し出す要素として注目されているのが日本=和です。iPodのデザインも、私から見れば和の雰囲気が出ている。もっと言うと、「無印良品」の商品のようなデザインを感じます。

iPodが大ヒットしたのには、ハードだけでなくネットで音楽を供給するビジネスモデルが大きい。しかし、デザインの影響も見逃せません。新しいテクノロジーと和、それにエコロジーの要素が調和した工業製品は、今後ますますグローバルに受け入れられていくでしょう。

坂井直樹(さかい・なおき)氏
1947年生まれ。京都市立芸術大学デザイン科に入学後、渡米し起業。73年に日本でウォータースタジオ設立、現在に至る。

■2006/04/10, 日経ビジネス, 97ページ

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しいM・グラッドウェル 沢田 博 阿部 尚美

光文社 2006-02-23
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副題は「『最初の2秒』の『なんとなく』が正しい」。あれやこれやと悩んだ末に下した判断が間違えていた、という経験は誰にでもあるだろう。米国のジャーナリストであり、ヒット商品や購買者心理の研究などで知られる著者は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、人は物事の本質を見抜いていることが多いのではないかという疑問を抱いた。調査を進めると、それを裏づける数多くの事例や学術的根拠が存在することが分かったと言う。

芸術作品を一目見ただけで「贋作だ」と判断する人々がいる。そのように理屈ではなく一気に結論に達する脳の働きを「適応性無意識」と呼び、身体が持つ五感の延長線上にある「第六感」とは区別して解説する。夫婦の何気ない15分の会話を記録したビデオから、15年後の関係をほぼ予測し得るという心理学者がいる。「勘」や「経験」など曖昧な論拠ではなく、夫婦の1秒ごとの表情やしぐさを徹底的に分析した結果を示すのだと言う。

それとほぼ同様の作業を、我々の脳が瞬時に行っているとしたらどうか。日常生活やビジネスなどから様々な事例を示しつつ、「数秒の中にある一生を左右する判断の力」を理解し磨く方法を指南する。

■2006/04/10, 日経ビジネス, 95ページ

愛されるサービス
愛されるサービス新川 義弘

かんき出版 2006-03-07
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和食の「権八」、無国籍料理の「モンスーンカフェ」など、若者に人気の高いレストランを展開する外食企業、グローバルダイニング。著者は同社のスタッフとして、それら人気店を仕掛けた人物の1人だ。現在は独立し、自らレストランを経営する傍ら、フードビジネス界で活躍する人材の育成に力を注いでいる。

本書は人気店を裏で支えるサービスとは何かについて、著者の哲学と現場での実例を示したもの。2002年、東京・西麻布の「権八」を、小泉純一郎首相と来日中のジョージ・ブッシュ米大統領が訪れた。店が連絡を受けたのは2週間前だったという。接客スタッフらは、あくまでも「普段通り」を貫いた。「サービスをする人間とされる人間は、フィフティ・フィフティの関係にある」というのが著者の哲学だ。ブッシュ大統領や駐日大使らも、その例外ではないと考えた。大統領らはそのサービス精神を大いに評価して、賛辞を述べたというエピソードを紹介する。

「順番を待たせている顧客にはどのように接するか」「英語が苦手なスタッフでも覚えられる『7大用語』」など、すぐに応用できる具体的なノウハウを詳しく解説。さらには、若者の中から有能な人材を発掘して一流のサービスマンに育て上げるコツなどを示す。

■2006/04/10, 日経ビジネス, 95ページ

金融大統合時代のIT戦略
金融大統合時代のIT戦略田沢 務

NTT出版 2006-02
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米国野村総合研究所副社長などを歴任する間、25年以上にわたって金融業界のIT(情報技術)戦略に携わってきた田沢務氏。現在は、コンサルティング会社代表を務めるほか、複数のIT企業やシステム会社で社外取締役などを兼任している。本書は、今や銀行など金融事業の「基盤」と呼ばれるまでになったITを、経営者がどのように捉え、具体的な投資策に踏み切ればよいかについて論じたもの。

銀行のIT戦略といえば、2002年のみずほフィナンシャルグループにおけるシステム統合の失敗が記憶に新しい。著者もまずこの事件に着目し、原因を分析し直すことから様々な教訓を導き出す。管理体制の問題点もさることながら、著者は原因の1つに「経営陣のリスク感応度の低さ」を挙げる。

みずほの例に限らず、銀行トップの認識は少なからず、「多額の費用を毎年使いながら、なんら効率化にも収益にも貢献しない、金食い虫のIT」という程度だと指摘する。しかし、生き残りを懸けた改革を余儀なくされている地方銀行の中には、IT化を改革の核として捉え、危機意識と緻密な戦略を持って取り組んだ好例も見られる。広島銀行、百五銀行、静岡銀行の事例を基に、「経営トップがIT投資を成功させる条件」を列挙していく。

■2006/04/10, 日経ビジネス, 95ページ

巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは
巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは野村 克也

角川書店 2006-02-10
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巨人軍への対抗心をバネに野球人生を送った著者が、かつての巨人軍の強さ、現在の低迷の理由を分析する。

V9を達成した川上哲治元監督は、ONを中心に適材適所のオーダーを作り上げた。スイッチヒッターやリリーフなど、新しいスタイルの導入にも積極的だった。何より、V9の源は選手の人間教育にあったと著者は解説する。野球を通じて人格を形成し、確固たる人生観を持たなくては、満足な仕事はできない。現在の巨人の凋落は人間教育の欠如が大きいと指摘する。

野村野球の根幹には、こうした「強い巨人軍」から学んだ思想が根づいているという。今季、楽天の指揮を執る著者は、巨人が再び模範たる存在としてよみがえるのなら、日本シリーズで対決し、倒したいと闘志を燃やす。

■2006/04/03, 日経ビジネス, 111ページ

貯蓄率ゼロ経済―円安・インフレ・高金利時代がやってくる
貯蓄率ゼロ経済―円安・インフレ・高金利時代がやってくる櫨 浩一

日本経済新聞社 2006-01
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日本経済を特徴づけてきた家計部門の高貯蓄率。だが近年、社会構造の変化に伴い、貯蓄率は大きく低下している。今後、高齢化の進行で貯蓄率はさらに下がり、いずれはゼロとなるだろう。本書は「貯蓄率ゼロ」が日本経済にもたらす変化を考察する。

貯蓄率ゼロによる最大の変化は、設備投資ができなくなり、結果として日本経済の量的な拡大が止まることである。また、家計が可処分所得のすべてを消費に使ってしまうため、現在に比べて消費の割合が大幅に増加する。これまで投資や純輸出に使われていた分も消費に回されることで、貿易・サービス収支は赤字化し、円高のトレンドは終わって円安傾向になるという。

貯蓄率ゼロ経済は「人口減少経済」でもあり、経済は需要不足になるとの意見があるが、著者はそれは間違いだと指摘する。むしろ、貯蓄率低下と労働力人口の減少による供給力の伸びの低下の方が、需要の伸びの低下よりも大きいため、国内では従来の供給過剰から需要過多へと変わっていく。デフレから転じ、今度はインフレが起こりやすくなると分析する。

日本経済は貯蓄の余剰に慣れてきたため、貯蓄の無駄な使い方も目立つ。公的部門も民間企業も、様々な効率化で貯蓄減少に対応すべきと主張する。

■2006/04/03, 日経ビジネス, 113ページ

マーケティングは「嘘」を語れ!―顧客の心をつかむストーリーテリングの極意
マーケティングは「嘘」を語れ!―顧客の心をつかむストーリーテリングの極意セス ゴーディン Seth Godin 沢崎 冬日

ダイヤモンド社 2006-02
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マーケティングとは、マーケッターが消費者に物語を語ることだと著者は指摘する。消費者は「必要なもの(ニーズ)」ではなく、「欲しいもの(ウオンツ)」を買う。何を売るのであれ、収益性の高い成長を目指すなら、ニーズではなく、ウオンツを満たすことを考えるのがよい。ニーズは現実的で客観的だが、ウオンツは不合理で主観的なもの。ウオンツを売るためには、提供する商品に関する事実ばかりを伝えるのではなく、人々が信じるものに注目し、その世界観を広げるような物語を語ることが重要だと説明する。

成功するマーケティングとして、「消費者の世界観と枠組みをとらえる」「消費者は目新しいものにだけ気付く」「物語は第一印象から始まる」「『信じられる物語』を語る」「『ホンモノ』を持っている」という5つの原則に沿ったノウハウを紹介する。

ただし、マーケッターがいくら物語を語っても、その物語を語るうえでの信頼を獲得していなければ成功はできない。逆説的だが、物語を信じてもらう唯一の方法は、「真実を語ること」。成功しているマーケッターは自分の語る物語の中で生き、呼吸している。すべての成功の秘訣は、自分の物語にとことん傾倒し、それを信奉することだと結論づける。

■2006/04/03, 日経ビジネス, 113ページ

「理系」の転職
「理系」の転職辻 信之 縄文アソシエイツ

大和書房 2006-02-16
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ヘッドハンターとして、数千人の転職相談に乗ってきた著者が、理系・技術系のビジネスパーソンの転職について考察する。

概して、理系のビジネスパーソンは担当職務に対するこだわりや思い入れが強い。時として、それが他分野への関心の低さや視野の狭さなどにつながってしまう。理系のビジネスパーソンは数字に強く、論理性、中長期的なスパンでの思考力が高く、優れた経営者になる素養を備えている場合が多い。著者はそのポテンシャルを生かし、事業全体、または企業全体を率いるような方向に進むことを考えよと説く。

「経営の分かる技術者」のニーズは高い。経営の分かる技術者になるためには、35歳までの過ごし方が重要。入社して最初の5年間はその会社で技術の基礎を身につけ、人間関係の築き方を覚える。次の5年間は、技術者として核になる部分を掘り下げていく。一方で、半径3mの狭い世界に埋没せず、事業関係や市場動向に目を配り、経営的な視点を持つよう心がける。35歳を過ぎたら、目の前の仕事に集中しつつ、時には世の中の動向に目を向けて自分の活躍の場、成長の場、チャレンジの場がないかと意識すべきだとする。理系のキャリア形成の具体的なノウハウや心得を示す。

■2006/04/03, 日経ビジネス, 113ページ

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