メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 > 2006年4月24日~5月8日

ニッポンを解剖する―養老孟司対談集
ニッポンを解剖する―養老孟司対談集養老 孟司

講談社 2006-03
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解剖学者として人間の体と脳、さらには心の“仕組み”を解き明かさんと試みる著者が、各界の識者や研究者との対談を通じて「日本人とは何か」に迫る。オウム事件裁判を傍聴し続けた作家の佐木隆三氏、昆虫の神秘に魅せられた仏文学者の奥本大三郎氏、作家の瀬戸内寂聴氏ら14人が登場する。

西洋出身者では初の日本文学作家であるリービ英雄氏との対談では、『万葉集』の英訳版をテーマに据えつつ、日本語だけが有する特異な性質を明らかにしていく。著者は、漢字と仮名では読む時に脳の働く位置が違うのだと言い、日本語の「書き言葉」に際立つ稀な特徴を強調する。リービ氏はそれに応じて日本の歴史的名著や名文に宿る「言霊(ことだま)」=「言葉の力」についての持論を展開している。

■2006/05/08, 日経ビジネス, 73ページ

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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著者に聞く-パーソナルライフ-梅田望夫 氏[ミューズ・アソシエイツ社長] ネット住民との共存を-『ウェブ進化論』

――「お互いに理解し合うことのない2つの別世界」が生まれつつあることへの危機感が本書を執筆した動機とか。

ネットの世界の最先端で起きている変化というのは目に見えません。トヨタ自動車のすごさなら想像できても、グーグルのようなネットの「あちら側」に構築されつつある仕組みは見えないがゆえにまるで想像がつかないのです。それこそ、「ネットの世界に住む」というくらいどっぷりネットに依存した生活をしてようやくそのすごさが理解できるようになるわけです。

ネットの世界に住むようにして生活する若者世代にすれば、ネットのネガティブな側面ばかりを強調する大人たちは「もう何を言っても無駄」という感覚でしょう。一方、大人たちはネットに依存する若者を「何を考えているのか分からん」と遠ざける。それが親と子の間、上司と部下の間に起こっているというのがネットの世界を巡る現在の状況だと思います。

――弊誌読者の多くはネット社会に警戒感を抱きがちな「大人」世代です。

僕の若い友人が『ウェブ進化論』を何冊も買って、上司に配って回ってくれたそうです。そうしたら上司が「おまえたちが言っていることがようやく分かった」と。それに続けて「おまえたちの説明が悪いから、これまで分からなかったんだ」と言われたそうです。

「日経ビジネス」の読者には、この上司のようなタイプが多いのではないでしょうか。日本のエスタブリッシュメント社会の中心でものすごく忙しく働いている人たちだけに、ネットの世界に住むようにしてその中に分け入っていく時間的余裕はありません。でも、ネットの世界で起きている変化を漠然とは感じ取っていて、それを理解したいという知的好奇心はある。きちんと説明しさえすれば、新しい事象を理解し、その意味を自分の頭で考えるだけの高い知性もあります。だから2つの世界は反目し合うのではなく、併存できると思っています。

――企業組織の中の「大人」たちは今後、若者世代とどうつき合うべきだと考えますか。

若い人たちと連携しろと言いたいですね。僕は1日のうち8~9時間はネットの世界に入り込んでいます。ブログ(日記風のウェブサイト)のブーム以来、僕がウオッチしなければならない人物や勉強しなければならない内容はすべてネットの世界を渉猟すれば済んでしまう。

おかげでここ数年、僕は米国の国内線の飛行機には一度も乗っていないし、車の走行距離も半分以下になりました。それくらいネットの恩恵を受けているし、ネット世界にリアルさを感じています。そんな僕でも、1970年生まれ以降の人たちの感覚にはついていけません。60年生まれの僕は彼らのメンター(支援者・助言者)に回るしかないと思っています。

頭ごなしに否定するのではなく、若い人たちの話を真剣に聞いてあげてほしい。彼らの支援者になってほしい。例えば、今の若者たちがどのようにモノを買う決心をしているかを知らなければ、彼らに向けた商品開発などできないはずです。これはほんの卑近な例にすぎません。社会のいろんな側面で、若い世代のプレゼンスは今後どんどん高まっていきます。ネットの世界に住むようにして生きる人たちを理解しなければ、企業は新しい価値を創造できなくなると思いますね。

梅田望夫(うめだ・もちお)氏
1960年生まれ。米シリコンバレー在住。コンサルタントとして日本企業のアドバイザーを務める。2005年3月ネットベンチャー、はてな取締役に就任。

■2006/05/08, 日経ビジネス, 76ページ

日本経済の構造変動―日本型システムはどこに行くのか
日本経済の構造変動―日本型システムはどこに行くのか小峰 隆夫

岩波書店 2006-03
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「構造変動」とは耳慣れない言葉だが、著者はこれを次のように定義する。「経済の変化には景気変動に伴う『短期的・循環的な変化』と、社会意識の変化や技術革新などに伴う『長期的・構造変化』がある。後者の『構造変化』と、それを推し進めたり制度や慣例を政策的に変えていく『構造改革』を一括して『構造変動』と呼ぶことにする」。

経済企画庁調査局長、国土交通省国土計画局長などを歴任後、現在は法政大学教授に就く著者は、構造改革の是非を問う議論が、案件ごとの黒字化や短期的景気回復ばかりに偏りがちであることに警鐘を鳴らす。結論から言えば、我が国における「構造変動」は力強く段階的に、いわば“ドミノ倒し”的に進んでいると言い、雇用、企業経営、産業構造、公的部門など分野ごとにその様子を解説していく。

企業経営については、経営環境のグローバル化に伴って従来型の下請け関係や長期かつ固定的な取引関係の見直しは必然だと言う。また、「経営の手本のない時代」に入りつつあると見る。改革に対して消極的に見える姿勢に批判が集中している公的部門については「構造変動の最終ランナー」と表現する。民間の“ドミノ”が倒れた後に大きく動き出すであろう規制改革などについて詳しく解説を加える。

■2006/05/08, 日経ビジネス, 74ページ

属人思考の心理学―組織風土改善の社会技術 組織の社会技術
岡本 浩一 (著), 鎌田 晶子 (著)

社会心理学者として企業における組織論を研究する著者らは、昨今企業の不祥事が相次ぐ原因を究明する中で「属人思考」という“病”の存在に行き着いた。「属人思考」を社内から払拭しない限り、改善策としていかなるきれいごとを表明しようとも根本的な解決には至らず、不祥事は繰り返されるであろうと憂える。

「属人思考」とは、提案や発言の持つ価値の重さを純粋に内容によって判断せず、発言者の地位や権威によって決めつけてしまう考え方である。「属人風土」が強い組織や職場ほど組織的違反が多く行われ、また看過されていることを、著者らは実証研究によって見いだしたと言い、数年にわたる調査の内容を示す。調査では「反対意見を言われると、相手に嫌われているのではないかと思う」といった質問によって、社員一人ひとりの潜在意識に根づく属人気質を顕在化させる手法を用いた。本書の「チェックリスト」で自身及び部下の傾向を試すのもいいだろう。

属人風土を一掃できるか否かはトップの力量によるところが大きいとも指摘する。組織の隅々にまで自らの目が届かないトップには、「現場が取り繕おうとするきれい事」を瞬時に見抜く力や、集めた情報から綻びを読み取る力などが必要だと助言する。

■2006/05/08, 日経ビジネス, 74ページ

株価操縦
株価操縦相場 英雄

ダイヤモンド社 2006-03-10
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空前の株式投資ブームに沸く日本。しかし、巨額のマネーが瞬時に飛び交う世界は、闇の勢力にとっても格好の餌場である。本書は株価操縦を利用したマネー犯罪と暗躍するブローカーの実態を経済ジャーナリストが描き出した小説だ。ライブドア事件をはじめ、昨今世間を騒がせている実際の金融事件を巧みに織り交ぜつつ、誰もが明日にでも巻き込まれるかもしれない巧妙な詐欺事件の舞台裏に迫る。

主人公・菊田美奈子は新聞社に入社するが、自らの希望に反して経済部に配属され東京証券取引所の記者クラブに詰めている。ある日、老舗中華料理レストランチェーン「西大后」に対するTOB(株式公開買い付け)を名乗り出た男が、記者クラブの慣例を巧みに利用しながら美奈子に接近して偽の情報を流す。それに基づく報道を受けて「西大后」の株価は乱高下するが、すべてが違法な仕手戦によって巨万の富を得ようとする金融ブローカーの罠であった。事件は、美奈子の幼なじみであるプロレスラーの本条潤一郎が所属するプロレス団体、「UEW」の上場準備に関わる人間たちと絡み合いながら、思わぬ方向に発展していく…。

サスペンス小説として楽しみつつ、株の入門書が教えない“危うさ”の側面を実感できる書でもある。

■2006/05/08, 日経ビジネス, 74ページ

スピードに生きる
スピードに生きる本田 宗一郎

実業之日本社 2006-03
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今年、生誕100年を迎えた本田宗一郎氏。本書は、宗一郎氏が1961年に初めて書いた自伝の復刊である。社内報の文章などもまとめ、そこに流れる著者の哲学を浮き彫りにする。

「個性の入らない技術は価値の低い乏しいものである」「わが社に新しさがあるとすれば、時間を超えて常に新しい理論を尊重するからである」「わが社においては、完成品はもちろん、部品にいたるまで120パーセントの良品をめざして努力している」など、経営の根幹に関わる思想が随所に出てくる。いずれも、今、読んでも全く古さを感じない。

著者の型破りなエピソードも数多く披露されている。野性的なバイタリティーにあふれた宗一郎氏の人間的魅力を改めて確認できる1冊である。

■2006/05/01, 日経ビジネス, 81ページ

江戸に学ぶ企業倫理―日本におけるCSRの源流
江戸に学ぶ企業倫理―日本におけるCSRの源流日本取締役協会

生産性出版 2006-03
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欧米の企業倫理はキリスト教をバックボーンとしている。では、日本企業の倫理的なアイデンティティーはどこに見いだすべきか。本書は日本人が培ってきた倫理観の原点は江戸時代にあると指摘。武士道精神を概念的な基礎とした江戸の商人道を学び、進化させ、現代のCSR(企業の社会的責任)を確立しようと訴える。

江戸の商人道を示す例として、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」を理念とした近江商人を取り上げる。郷里を離れた異国で商売を成功させるには、信頼の構築が不可欠だった。制度上、身分制の底辺に位置していた商人は、自らの存続を維持し、営利追求の正当性を根拠づけるため、社会とともに生きることを念頭に置く必要もあった。あくどい商売をせず、勤勉、倹約、正直、堅実で陰徳善事(陰での善行)を大切にする価値観は、今日にも通用する。「サスティナブル」という概念の原点だと指摘する。

弦間明・資生堂相談役、藤居寛・帝国ホテル会長らによる座談会も収録。今日の企業は、理念的な責任、経済的な責任、法律的な責任、倫理的な責任、社会的な責任、文化的な責任を負っており、江戸時代の「三方よし」を「六方よし」に発展させながら、企業価値を高める必要があると説く。

■2006/05/01, 日経ビジネス, 82ページ

エコノミストたちの歪んだ水晶玉―経済学は役立たずか
エコノミストたちの歪んだ水晶玉―経済学は役立たずか野口 旭

東洋経済新報社 2006-03
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デフレ不況下の日本の経済政策、政策論議を回顧し、総括する1冊。後半には、2002年11月から2004年11月まで、経済政策・政策論議をリアルタイムに評価・批判する目的でウェブマガジン「ホットワイアード・ジャパン」に連載していたコラム「ケイザイを斬る!」を再録する。

著者は、バブル崩壊以降の日本経済の長期不況は、「構造問題」や「不良債権」などが原因ではなく、デフレという深刻な経済状況をもたらしたマクロ経済政策、とりわけ金融政策運営が問題だったと主張する。経済学者やエコノミストらは専門的知見に基づいて政策を正しい方向に導いていくべきだったが、できなかった。占師が水晶玉を駆使するように、経済学者やエコノミストは思考的枠組みを駆使して経済の現実を認識し、将来の経済を予見する。ところが、その水晶玉は歪んでいた。誤った診断と処方箋が、日本経済をさらに混迷させたと指摘する。

さらに、日本経済を真に正常化するための「あるべき政策手順」を示す。デフレ脱却を最優先する第1段階、金融政策の正常化を図る第2段階、財政再建に着手する第3段階とステップを踏むべきと主張。刊行直前、量的緩和解除が決定したが、本書はデフレ脱却前の解除は危険と強調している。

■2006/05/01, 日経ビジネス, 82ページ

聯想 中国最強企業集団の内幕 上
聯想 中国最強企業集団の内幕 上凌志軍(人民日報高級編集者) 漆嶋 稔

日経BP社 2006-02-09
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聯想 中国最強企業集団の内幕 下
聯想 中国最強企業集団の内幕 下凌志軍(人民日報高級編集者) 漆嶋 稔

日経BP社 2006-02-09
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IBMのパソコン事業を買収した中国企業として一躍、世界中の注目の的となったレノボ・グループ。本書は、創業者の柳伝志氏を中心に、同社の軌跡をたどったノンフィクションである。

1984年、大型コンピューターの仕事が減り、リストラの危機に直面した柳氏ら中国科学院計算技術研究所の中年技術者は、パソコン事業を手がける新会社・聯想を設立した。同社は効率的に漢字を入力できる「漢字システム」の導入などで、急成長を遂げる。90年代には、大幅な値下げを断行。外資系メーカーとの競合に打ち勝ち、中国国内でシェアトップを獲得した。

2000年にはポータル(玄関)サイトを立ち上げ、インターネット事業に参入する。しかし、無理な多角経営で業績は悪化。人員整理を余儀なくされる。パソコン事業に経営資源を集中すると発表し、2006年冬季五輪、2008年夏季五輪のスポンサーとなることなどで、市場の信頼を回復していく。

著者は、本書を書くために新旧経営陣、プロジェクトリーダー、現場の営業マン、労働者など多数の関係者に取材し、設立以来の会社の資料を洗いざらい調べ上げたという。柳氏と「漢字システム」を開発した幹部社員との対立など、権力抗争の内幕にも触れており、興味深い読み物となっている。

■2006/05/01, 日経ビジネス, 82ページ

なぜ買わないのか なぜ買うのか
なぜ買わないのか なぜ買うのか鈴木 敏文

講談社 2006-03-28
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売上高・経常利益ともに日本一の流通グループを率いる鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO(最高経営責任者)が、各界の有識者との対談を通じて“売る極意”を指南する。「昨日まで売れていたものが、一夜にして売れなくなる現状」を受け入れることから始めよと説く。

余った品物を安くして並べるようなディスカウント商法は、本当の消費者ニーズではないと言う。米国型のディカウントストアについても、風土や物流コストなどの違いから日本には根づきにくいと論じる。顧客の変化に合わせたマーチャンダイジング(商品政策)の追求が重要であり、売り切れで品不足となるような商品を見極め、安定供給する経営に注力せよと訴える。

■2006/04/24, 日経ビジネス, 103ページ

ウルトラ・ダラー
ウルトラ・ダラー手嶋 龍一

新潮社 2006-02-28
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著者に聞く-パーソナルライフ-手嶋龍一 氏[外交ジャーナリスト] 経済テロの見えざる脅威-『ウルトラ・ダラー』

――NHKワシントン支局長だったことで、ノンフィクションに強いという印象が広まっています。今回、フィクションを執筆した狙いは?

フィクションとノンフィクションの違いにこだわりを持っていません。この作品を書いていた2005年夏の時点で、「少し先のことを書きたい」と思い、フィクションの形を選びました。

とはいえ、会話の1つのフレーズに至るまで、裏打ちなく書いたものはありません。とすると、ノンフィクションでは各場面の情報源が特定されやすい。今回は取材源を秘匿するためにもフィクションにしました。

脱稿後に、不正取引の温床となっていたマカオの銀行と、米銀との取引が事実上停止されるなど、この小説に登場させたような出来事が起こりました。そういう意味では、いつかはフィクションからノンフィクションに分類が変わるかもしれませんね(笑)。

――物語は北朝鮮の偽ドル札問題を中心に展開してきます。

現在、北朝鮮が製造しているとされる偽札は、第3世代に入りつつあると言われています。

第1世代は1989年にフィリピンで発見された100ドル札で、「スーパーダラー」と呼ばれました。当初は、米政府が歯牙にもかけない程度の出来栄えでしたが、そのうちに精巧なものが出始めるようになりました。

それに耐えかねた米政府は、96年に紙幣を改刷しました。様々な技術を盛り込み、当時、400億円程度の費用をかけました。ところが、数年するとこれにまで対応した第2世代の偽札が出てきた。

そして、2007年に再度紙幣を改刷せざるを得ないところまで追い込まれました。その準備のために2005年春から米政府は新紙幣のスペックを示し、それに対応する技術を持つ企業に声をかけて開発を進めています。ICタグなどで、日本企業も参加しようとしているわけです。

ところが、米政府が示したスペックなどの情報を基にして、まだ発行されていない新札に対する偽札が既に出始めている。これが第3世代の「ウルトラ・ダラー」なのです。この偽札により、経済的な混乱を引き起こすなどの新たなテロリズムも懸念されています。

――北朝鮮問題を主題に、日、米、英、中の4カ国がしのぎを削るわけですが。

ここで描きたかったのは、北朝鮮問題の背後にある米国と中国の対立です。日本の読者の関心が高い北朝鮮の動向を入り口に、国際情勢を解き明かそうと考えました。朝鮮半島問題では米中の直接対立は起こり得ません。だが、台湾海峡を挟んだ中台間で衝突が起きれば、米中対立が顕在化します。

そこで、こうした各国の動きを冷静に解き明かす役回りで、日本を舞台に活躍する英情報機関の諜報員を主人公に選びました。

――これからの活動は。

この話の続編を書くかどうかはまだ決めていません。しかし、もし書くのであれば、今度は中台関係の方に焦点を移していきたいですね。

また、将来は歴史上の巨人、つまり有名な政治家がどんな行動をしてきたかを描きたい。例えば、2001年9月11日の小泉純一郎氏、拉致事件前夜の金大中氏などに焦点を当てていきます。フィクションかノンフィクションかは、状況によって使い分けながら。

手嶋龍一(てしま・りゅういち)氏
1949年北海道生まれ。慶応義塾大学からNHKに入り、米国、ドイツで特派員や支局長を務めた。2005年6月に退社し独立、米国を拠点に活動中。

■2006/04/24, 日経ビジネス, 107ページ

バーナンキのFRB
バーナンキのFRB加藤 出 山広 恒夫

ダイヤモンド社 2006-03-03
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「ワシントンで大統領に次ぐ影響力を持つ人間」と言われるのが、米連邦準備理事会(FRB)議長である。今年2月、約19年間にわたって第13代議長を務めたアラン・グリーンスパン氏が退任、ベン・バーナンキ氏が第14代議長に就任した。グリーンスパン時代に世界が学んだ教訓は、議長個人の主義や哲学、ひいては人格が米国の金融政策を左右しかねないというものだ。

本書は米国の経済・金融政策を追うエコノミストらが、新たなトップの横顔について論じるもの。併せて、FRBの歴史や影響力、意思決定の舞台裏について詳しく解説を加える。

バーナンキ氏は過去の自説に固執する頑固なタイプではなく、柔軟な“変容”を遂げてきており、時々の状況に応じて実利的な対応を取るであろうと分析する。基本的にはグリーンスパン時代の金融政策手法を継承するとも予測するが、米国の市場関係者からは「危機管理の手腕は未知数」と見られている点も強調している。

また、現在の米国が抱える「資産バブル」のリスクについても解説する。グリーンスパン氏は、かつてこれに似た状況下に「根拠なき熱狂」と発言して株価を急落させた“前科”がある。そうした事実を子細に積み重ねながら、今後のFRBの動向を読む。

■2006/04/24, 日経ビジネス, 105ページ

成果主義の真実
成果主義の真実中村 圭介

東洋経済新報社 2006-03
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独自の現場取材などを通じて日本企業の人事管理のあり方を研究する中村圭介・東京大学社会科学研究所教授。本書では賛否両論が渦巻く「成果主義」に関して1つの答えを提示する。一言で言えば、「盲目的な賛否の議論には意味はない。成果主義の効果を様々な角度から見極め、冷静に運用すべし」という結論だ。賃金制度の改革ばかりに目がいく風潮を改め、人員の配置、教育訓練、昇給など、人事管理全般に及ぼす影響を踏まえよと説く。

実際に成果主義を導入した企業の調査やアンケートを読む限り、「それほど悪いものではないと判断できる」と言う。成果主義に対する根強い反感が集中しているのは、著者が分類するところの「素朴な成果主義」、すなわち労働者の売り上げや利益などの数値実績を直接報酬に結びつけるやり方への反発だと述べる。成果主義にはほかに、目標に向かう業務過程を重く見る「プロセス重視成果主義」や、最終的な目標達成度と評価を分けて考える「分離型成果主義」があると論じて、それぞれの成功事例を示して解説する。

また、成果主義が経営の成功を保証するほどのインパクトを持たないことや、導入を検討するに当たっては日常業務の管理法や能力開発制度の改革が必要となることを強調している。

■2006/04/24, 日経ビジネス, 105ページ

<このくらいは知っておきたい> 図解でわかる投資ファンド
<このくらいは知っておきたい> 図解でわかる投資ファンド今田 栄司

日本実業出版社 2006-01-19
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報道などを通じて我が国でも言葉としては定着した感のある「投資ファンド」。だが、その種類や数、具体的な活動状況、規模、経営者の横顔などについてはまだあまり知られていないのが現状だ。本書は国内外の投資事情に明るい著者が、それらについて初心者向けに分かりやすくまとめたもの。

まずは機関投資家と呼ばれる顧客のニーズに応えて、世界の企業や株式、債券、不動産などに積極的な投資を行う会社の全体像を解説する。米国のリップルウッド・ホールディングス(現RHJインターナショナル)やJPモルガン・パートナーズなど、日本市場に参入した外資系が有名だが、国内の独立系、銀行系、証券系なども、近年は著しい躍進を遂げていることを明らかにする。また、投資事業の醍醐味を知る手立ての1つとして、年収が200億~1000億円にも達する世界のファンドマネジャーをランキング形式で紹介している。さらに国内投資ファンド代表者の経歴を一覧表にして示す。

ベンチャー企業投資や企業買収で収益を狙うプライベート・エクイティ・ファンド、世界の株式及び債券市場に影響力を持つヘッジファンド、不動産投資ファンドなど、投資対象の違いによる特徴や、投資ファンドが対象案件をいかに評価するかについて解説する。

■2006/04/24, 日経ビジネス, 105ページ

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