メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) > 2005年9月5日~9月26日

エンピツは魔法の杖―物語・詩・手紙…ニューヨークの子どもたちに「書くこと」を教えた作家の奇跡のような3年間
4751520504サム スウォープ 金 利光 Sam Swope

あすなろ書房 2005-06
売り上げランキング : 12,678

おすすめ平均 star
star心温まるだけではない、限界も壁もありのままに書いた本

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■著者に聞く サム・スウォープ氏[作家] 想像力は人生を彩る

ニューヨークの小学校で、1人の作家が作文の授業を担当することになった。21の国から集まった28人の移民の子供たちは、書くことを学び成長していく。苦しい境遇を生き抜く子供たちに多くを学んだと著者は語る。

――プロの作家が小学校で作文を指導する試みは面白いですね。

実は依頼を受けた時、スランプに陥っていたのです。子供に教えるのは気分転換になるかな、と考えて引き受けたのですが、実際に21の国々から移民としてやってきた子供たちと接して、彼らの多彩な文化や宗教に魅了されました。

何より驚きだったのは、子供たちの強さです。多くは家が貧しく、両親のけんかが絶えなかったり、親が家を出ていってしまったり、恵まれているとは言い難い状況にありました。それでも宿題を仕上げて、学校に来るのです。もちろん、本当につらい日は休むこともありますが、学校に来たら私に微笑みかけて、日常生活をこなしていく。魂の強さのようなものがあるのです。

――日本では教育改革が話題になっています。教壇に立って米国の教育制度についてどう思われましたか。

ニューヨークの学校について言うと、私が教えていた当時は、例えば3年生で何を教えるという統一基準がありませんでした。たまたま私が行った学校は、創作活動に力を入れていましたが、全体としては質の高い学校もあれば、混乱状態の学校もある状況でした。

2002年にマイケル・ブルームバーグ市長に代わってから、市内の学校教育に一定の水準を持たせ、質の悪い教師であっても一定の授業をこなせるように、15分教科書を読んで、5分間質問の時間を設けて、と内容を細かく設定したのです。テストの点は上がったのですが、授業は退屈になり、意欲をそがれ、教壇を去った教師もいました。しかし現在、教員の給与を上げる方向にあります。優秀な人が集まれば教育の質も上がっていくかもしれません。

――子供たちに独創的な話を書かせようと苦心されたようですが、コンピューターゲームやテレビのキャラクターに囲まれて育った子供たちは想像力を阻害されてしまう心配はありませんか。

ないと思います。子供にとって想像するのは、息をするのと同じことです。本をよく読む子は、物語を書くために十分な材料を与えられているとは思いますが、テレビであれ映画であれ、子供はインプットされたものから、何かしら生み出すものです。シンデレラを見て、「ポケモン」を見て、そこから物語を構成してしまうのです。

生徒の両親には、毎晩少しずつでも子供に本を読んであげてほしいと話しました。本を読む親の声は、子供の中に残るのです。一緒に物語を作るのもいいでしょう。どんな登場人物がいて、どんな所に住んでいるのか、子供に聞きながら仕上げるのです。子供は親を殺す話を思いついたりもしますが、親は筋を変えたりせず、子供の考えを尊重してください。物語の世界を経験することで、様々な問題を乗り越える方法を学ぶこともあるのです。もちろん感想は自由に述べてください。

子供は先入観や偏見を持っていません。だからこそ、多くの芸術に触れさせて、自由に発想させるべきです。創造性は芸術家だけのものではありません。物事を横から見たり、裏から考えたりする突拍子のない発想や創造力は、ビジネスマンが新しいサービスを考えたり、政治家が政策を考えるのに必要な能力です。もっとも大人の場合は、想像力を養うというより、想像力を生かすことが大切。自由な発想を妨げないことが重要だと思います。

サム・スウォープ(Sam Swope)氏
1954年、米ペンシルべニア州生まれ。英オックスフォード大学などで英文学を学ぶ。著書に『The Araboolies of Liberty Street』など。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 87ページ

自分の会社をつくるということ
4478733015経沢 香保子

ダイヤモンド社 2005-06-24
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star書評が割れる本って・・・
starマスコミ巧者たれば商売繁盛!
star「女性」の立場を強調した起業論、良い時代になったと実感。

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女性の会社起こしを指導するセミナーなどを主宰する著者は、目指すべき目標に「競合の少ないオンリーワンビジネスによる年商1億円、社員3~4人規模の会社」を掲げる。資金は無理な借り入れを避け、自ら蓄財した300万円を目安とし、3年間は活動を継続すべきだが、それで芽が出なければ諦めよと言う。社長の年収目標は3000万円に設定せよとも助言する。何かと自分の財布からの持ち出しが多い零細規模の社長業では額面1000万円程度の年収だとやっていられないそうだ。

「結局、社長って実は社員のお世話係。もしかしたら社員の奴隷みたいなもの」という持論も明かす。3~4人の社員で運営する会社では、社長が描くルーチン作業を堅実にこなせる人材が不可欠であり、それがあって初めて社長は収益の要となる営業や広報活動に専念できると語る。著者はリクルートや楽天といった若者に人気のある企業に所属していた経験から、特にマスコミ対策の重要性を強調。取材記事の掲載による広告効果は計り知れないと言い、ウェブ上での社長日記(ブログ)やプレスリリースの利用法を指南する。「タレント型社長」の特殊な事例に見えないこともないが、竹を割ったような明確な意思表示からは、近年の働く女性の心の一端が垣間見える。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

産業進化4つの法則
4270000686アニタ・M・マクガーハン 藤堂 圭太

ランダムハウス講談社 2005-06-09
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starコア資産とコア活動に着目して産業変化のパターンを分析

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著者はマッキンゼー・アンド・カンパニー、モルガン・スタンレーに勤務後、現在はボストン大学とハーバードビジネススクールで教壇に立つ企業戦略論の専門家だ。本書は、『競争優位の戦略』で知られるマイケル・E・ポーター博士の協力の下に、世界700以上の企業を調査して書き上げたもの。企業経営を巡る環境の劇的な変化を利用して、さらなる成長を遂げる企業、一方では荒波に翻弄され撤退を余儀なくされる企業がある。両者の明暗を分けるのは「ある法則に従うか否か」と著者は論じ、産業の進化過程における4つの法則を明らかにする。

著者は経営者に対して「新しい技術によって、構造的な変化が産業に起こると分かるのはいつか?」「市場が新製品を受け入れるようになるのはいつか?」と問う。これらに対する正解は、属する産業の進化がたどるルートを把握すれば分かると言い、いかなる産業にも当てはまる、漸進型・創造型・関係型・激震型といった4パターンの軌道について、主に米国で起きた事例などを示しつつ詳しく論じていく。同時に、それらに対応するための経営戦略を示す。いかに急速かつ斬新に見えた近年の産業革新事例にも、その裏には“不変の法則”があり、予測は可能であったという説は興味深い。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

スクラップエコノミー なぜ、いつまでも経済規模に見合った豊かさを手に入れられないのだ!
482224458X石渡 正佳

日経BP出版センター 2005-06-23
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star解体工事費もGDPを押し上げる?

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千葉県庁の職員として産業廃棄物の不法投棄と戦い続けてきた著者の目に映る日本経済と社会は、どのような姿なのか。「戦後の日本は所得の豊かさだけを追求し、資源の豊かさを食いつぶしてきた。その結果が、このみじめな国土である」と語り、産廃問題とは我々の車、家電、家、都市をどうするのかという暮らしそのものの問題であると強く訴える。ともすれば、犯罪、環境問題、行政のあり方などばらばらの側面から語られがちな産廃問題を、日本社会と一体化した重大課題として捉え、現実に横たわる矛盾をあぶり出し、解決策を論じていく。

スクラップエコノミーから、ストックエコノミーへの転換こそが著者の理想である。日本企業が生産する製品の多くは、本来の寿命の何分の1にも満たないサイクルで産廃化されていく。現在、行政主導の下に叫ばれているリサイクル(循環型)社会の形成も、「高回転型社会」の前提から抜け切れない小手先の施策であると懸念をあらわにする。高回転型消費を止めることは景気後退をもたらすという定説を著者は否定し、豊かなフローから豊かなストックへの転換に発想を切り替えるべき時代が来たと主張する。特に都市と住宅の問題について、欧米の事例などを紹介しつつ掘り下げていく。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える
4822244644渡邊 奈々

日経BP社 2005-08-04
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star救われる思い!
starわかりやすい
star社会に積極的につながっていくためのもうひとつの方法

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■著者に聞く 渡邊奈々氏[写真家] 米国発の生き方革命

日本では馴染みの薄い言葉だが、米国は新たなエリート像の1つとして認知されつつある。気鋭の写真家が世界で活躍する18人を選び、その生き様を紹介する。

――写真家の渡邊奈々さんが、本を書こうと思い立ったきっかけは何ですか。

写真家というのは、普通の人が見過ごすような細かいところに気づく癖があります。ちょっとした仕草とか表情とか。私は大学時代からずっと米国に住み、外から日本を見てきたのですが、1990年代に入ってから日本人がおかしくなったと感じていました。すごく忙しそうなのに満たされていない。それでも状況を変えようとはせず、あきらめてしまっている。

そんな日本を変えるために「自分に何かできないか」と考え、思いついたのが、ロールモデル(模範になる人物)を示すことでした。自分が得意な写真と英語を使って、時代の最先端を行く人たちを紹介する。「それなら自分にもできる」と思いました。

ちょうどその頃、米国ではソーシャル・アントレプレナーが注目され始めました。ソーシャル・ベンチャーと言われることもあります。政府の援助や寄付だけに頼らず、自力で収益を上げながら持続可能な社会活動を展開する人たちです。

「これだ!」と思って、人づてに何人かを紹介してもらい、インタビューを始めたのです。

――日本にもNPO(非営利組織)や社会福祉団体はありますが、最先端というイメージではありませんね。

米国でも5年前まで、NPOや福祉にかかわる若者は「バッド・ブレス(ダサい奴)」と呼ばれていた。エリートは投資銀行に入り、弁護士になってお金を稼ぐのがカッコよかった。

しかし今は、望めば政府の高官でも起業家でも、何にでもなれるエリート中のエリートが、競って社会起業家を目指しています。知り合いの若者はコロンビア大学を出て、イタリア語とフランス語を完璧に操る秀才ですが、初任給12万ドル(約1320万円)の法律事務所を辞めて、年収4万5000ドル(約495万円)のNPOに移りました。

投資銀行に就職する若者は「しばらく働いてお金をためてからNPOをやるんだ」と言い訳しています。2001年の米同時テロで、こうした風潮が決定的になったと思います。

――「他人のために働く」のは確かにカッコいいけれど、それで生活は成り立つのでしょうか。

私が会った人たちは、すごく貧乏でした。企業からNPOに移ると平均で年収が3割下がる、と言われます。実際にはもっと低いかもしれない。みんなお金がなくて大変そうだったけど、すごく生き生きしていましたよ。

大抵の日本人は何にも増して安全を優先する。健康にすごく気を使い、長生きすることが人生の目的みたいでしょ。社会貢献なんてあんまり考えませんよね。

NPOで働く米国の若者は「元気なうちに正しいことをやっておきたい」と言います。テロで刹那的になっているわけではないと思います。彼らがやっている活動は自己満足でお涙頂戴の昔ながらのチャリティーとは一味違います。最先端のビジネスの手法を取り込んで企業顔負けの収益力を身につけ、持続可能な事業を展開している。彼らは本気で「世の中を変えられる」と思っているんです。

日本にいると世界にコンパッション(共感)を感じにくい。島国根性というか、世界の危機を身近に感じられない。「日本が平和ならそれでいい」という時代ではないと思うのですが。

渡邊 奈々(わたなべ・なな)氏
東京都生まれ。慶応義塾大学、米シートンホール大学卒業。1980年ニューヨークで写真家として独立。87年アメリカン・フォトグラファー誌年度賞受賞。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 91ページ

女性に選ばれるマーケティングの法則
4478502390リサ・ジョンソン アンドレア・ラーニド 飯岡 美紀

ダイヤモンド社 2005-07-08
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star女性向けビジネスの考え方が良くわかります

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米国では消費活動の約80%を女性が担っているという。多くの家庭で消費の決定権を女性が握っているほか、企業でも、女性の購買担当者が増えている。企業にとって、女性は顧客の大部分を占める存在であり、その嗜好に焦点を合わせることは収益・シェア拡大に重要な要素であると主張する。

女性の需要を得ようとする場合、パステルカラーや花模様を採用したり、通常の製品のライトバージョンを生産しがちだが、著者はこうしたステレオタイプな仕様を「ピンクの発想」と否定する。女性の購買意欲をかき立てるには、巧妙で洗練されたアプローチが必要。言葉やイメージで女性向けと分かる「目に見えるアプローチ」、女性のニーズに合わせて工夫しつつ、製品・サービスにはあえて女性向けのレッテルを張らない「透明なアプローチ」を検討すべきとする。ジレットの安全カミソリ「ヴィーナス」、ホーム・デポの店舗などの例を挙げ、それぞれのアプローチを詳しく解説する。

世代別、ライフステージ別の女性の購買の特徴やオンライン上での女性顧客とのつき合い方も紹介。ゆくゆくは女性顧客をパートナーとして囲い込み、女性「向け」ではなく、女性「との」マーケティングへと転換することが必要と説く。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

ニッポンテクノロジー―NEDOプロジェクト開拓者たちの100の挑戦
4621076035赤池 学

丸善 2005-06
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star資料が役立つ
star研究者のみならず経営者にも 絶対お勧め!

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は過去25年、産業技術関連の国家プロジェクトをコーディネートしてきた。本書はNEDOの成果事例を基に、日本の産業を支える基盤的技術のテーマ探索、プロジェクト・マネジメントのあり方などを探る。

第2次石油ショック直後に創設されたNEDOは、新エネルギーの開発・実用化事業を積極的に進めた。現在、日本の太陽電池は生産、導入量とも世界のトップ。その背景には、商用電力系統と連系して太陽光発電を利用する「系統連系型システム」の採用がある。このシステムの普及は、NEDOの委託で関西電力などが行った「系統連系制御技術の実証研究開発」によるところが大きい。太陽電池の要素技術開発は、カラー液晶ディスプレー、ナノスケールの新規材料など、異分野にも生かされた。NEDOの事業は様々な形で社会に還元されている。

著者は、これから求められるMOT(技術経営)は「ビジネス・マーケティング・オブ・サイエンス&テクノロジー(B・MOST)」、社会や未来の子供たちのための「パブリック・マネジメント・オブ・サイエンス&テクノロジー(P・MOST)」だと指摘。NEDOはB・MOSTとP・MOSTを実践する戦略組織として発展すべきと結ぶ。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

「ビジネスブログ」で儲かる会社になる
4492555366岡林 秀明

東洋経済新報社 2005-05-27
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おすすめ平均 star
starお勉強用の1冊
star広告・宣伝・マーケティング部門の人にはオススメ!
starタイムリーな本

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2005年に入って、ビジネス用途のブログが急増している。開設・更新が簡単で、情報が連鎖的に広まるブログは、うまく活用すれば、企業にとってまたとない広報宣伝・プロモーションツールとなり得る。本書は、ビジネスブログのメリットとして「応援団を作ることができる」「鮮度のいい情報を届けることができる」「ユーザーと企業、トップと社員、社員と社員の間にある“壁”をぶち壊すことができる」という3点を挙げ、具体例を示す。

ギャガ・コミュニケーションズは映画「オペラ座の怪人」の公開に当たって、集客ツールの1つとしてブログを採用した。「感動したシーン」「好きになったキャスト」などの「お題」を出したところ、トラックバックは合計770件に上り、「ブロガーたちを“口コミリーダー”にしたい」という目的を果たした。三越は、オンラインの会員制コミュニティーサロンでブログサービスを開始。流行のブーツの写真をブログに載せたところ、その日のうちに3人の顧客が「ブーツをよく見せてほしい」と来店したという。今日流した情報の反応が今日返ってくるというブログの即時性が発揮された好例だ。

「ストーリーを作る」「雑学的な知識を挟む」など、ブログ成功の10の秘訣も簡潔にまとめている。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

投資される女消費される女
4860631110酒井 光雄

あさ出版 2005-07-15
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おすすめ平均 star
star物足りない
starGood
star蝶々さんが推薦されていたので

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■著者に聞く 酒井光雄氏[ブレインゲイトCEO(最高経営責任者)] 企業にも“色気”が必要

「人に投資する」という言葉をマーケティングのプロが男女の恋愛関係に置き換え、解説した。恋愛指南書である一方、ビジネスにも通用する「現代版・気配りのすすめ」の性格も持つ。社会が成熟し、日本にも「大人のカップル文化」が根づき始めたと言う。

――相手を思いやる気持ちを持った男女が一緒に時間を過ごすことの有意義さを説いていますね。そのような男女が増えてきたのですか。

未婚、既婚に関係なく、カップルで行動する30~50代が増えています。レストランの景色はここ4~5年で様変わりしました。男女2人でテーブルを囲む風景が日常的に見られるようになっています。会話も弾んでいて、周囲が見ても楽しそうにしている。以前なら考えられなかったことです。

その男性の中には、かつては「休日は上司や同僚とゴルフ三昧」という生活だった人も大勢います。それが、異性と一緒に行動することで体験できる世界の存在に気づき始めたのです。

例えば、若い時は飲食店に「安くてボリュームがあること」を求めていた人が、「量より質」に変わり始めた時に、女性とレストランに行く。すると、「気の利いた空間で快適なサービスを受けながら食事をする」楽しさを知る。旅行や観劇にしても同じです。

比較的豊かな時代を送ってきた彼らは、ブランド物の魅力も知っています。ただ、ブランド物で所有欲は満たせるけれど、心はときめかない。そうなると、「誰とどういう時間を過ごすか」が大事になってくる。それに気づく人が増えて、「大人のカップル文化」が日本に根づき始めたのです。社会が成熟化してきたのだと思います。

――ただ、そのような境地の男女はまだ少数です。仕事中心の生活で、異性づき合いには不器用な男性もいます。

最近、未婚の女性を揶揄する風潮がありますが、実は30代、40代の未婚率は男性の方が高い。結婚の是非とは別に、「身近に素敵な男性がいない」と嘆く女性が大勢いるのは事実です。でも、同性から見て魅力的な男性は多い。女性をエスコートするような経験が少なく、場数を踏んでいない男性が多いために、こうしたギャップが起きるのだと思います。

この事情を女性に理解してもらい、相手が「投資する」男性に変わる手助けをしながら、自らも「投資される」女性になってほしい〓〓。こんな思いで本書を執筆しました。

では、恋愛における投資とは何か。いとおしい人に時間とお金と知恵、工夫を投じることだと思います。高価なプレゼントを買うだけではなく、記念日には心のこもった手紙を添えるといったことです。恋愛の情報に翻弄される人たちに、「こんな考え方もある」と伝えたかったのです。

――日本の経済的な存在感は低下しています。恋愛に価値を置く社会の成熟化を素直に喜んでよいのでしょうか。

個人がプライベートの充実を図るのは、仕事からの逃避とは違います。あくまでバランスの問題です。

「人に投資する」という言葉があるように、恋愛における「投資」の中身は、ビジネス界でも同じです。顧客が「ここまで時間と手間とお金をかけてくれたのか」と感激してくれる気配りができる人は、プライベートを犠牲にしていないし、自分以外の人に対して「生きたカネ」を使うことができます。

そういう人が多くいる組織は、業績も順調です。社内の危機意識は高いのだけれど、悲壮感のようなものがない。逆に、軟派とは違う一種の「色気」のようなものが社内に漂っています。今後、魅力的な会社を評価する価値軸として、「色気のある会社」というキーワードが出てくるかもしれません。

酒井 光雄(さかい・みつお)氏
1953年5月生まれ。学習院大学法学部卒業。88年にマーケティングおよびコンサルティング会社のブレインシーエスディー(現ブレインゲイト)を設立。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 125ページ

レクサス~完璧主義者たちがつくったプレミアムブランド
4492555404チェスター・ドーソン 鬼澤 忍

東洋経済新報社 2005-06-17
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starファクトを積み上げて冷静に成功を読み解く
star北米での凄さは判ったけど
starレクサスユーザーの証言

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「(米国では)今ではレクサスという言葉を誰もが知っている。これが辞書に載るのも時間の問題だろう。人類がつくり出した最も完全に近い自動車という定義で」(本文から)。トヨタ自動車が世界に誇る高級車ブランド「レクサス」。1989年、多くの日本人が知らぬ間に米国で産声を上げ、驚異的な速度で成長を遂げたこのブランドが、今年から正式に日本上陸を果たす。

本書は、米国「ビジネスウィーク」誌のニューヨーク本社編集者であり、過去には日本で10年間特派員を務めた著者が、レクサス誕生秘話と成功の理由を、関係者らへのインタビューから解き明かそうと試みたもの。「トヨタは極めて保守的でリスクを嫌う会社という評判を得ている」という認識から、著者の取材は始まる。しかし、プロジェクトに関わった技術者や米国トヨタのリーダーたちの胸の内には、熱く、極めて高い目標に向けての大志が燃え盛っていた。

設計の基本となるエンジンの選択に関して、生産直前まで社内で論争が繰り広げられた事実などを明らかにし、彼らが掲げる「完全への飽くなき追求」とは何かを米国人の視点から解説する。日本のジャーナリストによる著書『レクサス  トヨタの挑戦』(日本経済新聞社刊)と併せて読み解くのもよいだろう。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

リーダーシップ・コミュニケーション
4478360723ロバート・メイ アラン・エイカーソン 徳岡 晃一郎

ダイヤモンド社 2005-07-01
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おすすめ平均 star
star一読の価値あり

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組織のリーダーは自動的に「チーフ・コミュニケーション・オフィサー(CCO=最高コミュニケーション責任者)」となる。従業員から信頼され、変革の重要性を常に組織全体に意識させることができる人物こそが、優れたリーダーになり得る。多くのグローバル企業を顧客に持つコミュニケーションコンサルタントとして活動する著者らはそう語り、組織内でリーダーが行うコミュニケーションに不可欠な戦略や方法論を示していく。

まずは3つのテーマを課題に据える。「コミュニティーの開拓者」「組織のナビゲーター」「組織変革の仕掛け人」である。さらに各テーマを具体的な施策に落とし込んだ10のキーワードを示す。「意義構築者」「ストーリーテラー」「批評者」「学習推進者」などである。自社の従業員に対しては、既にほとんどの項目で示唆を与えていると反論するリーダーも多いだろう。

しかし、優先順位や周到な備え、あるいは“伝える技術”を駆使した戦略がそこにあるかと問われると、イエスと答え難い現状もあろう。著者らは従業員の本音やリーダーが犯しがちなミスの事例を子細に分析したうえで、ともすれば行き当たりばったりになりがちなコミュニケーションのあり方を「マニュアル」にして提示する。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

中国で「勝ち組」になる100の秘訣
4532312248卓 子旋

日本経済新聞社 2005-06
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おすすめ平均 star
star単なる中国進出のためのノウハウ本ではない。経営者にとっての指南書であり教科書であると

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中国ビジネスに関わる調査やコンサルティングで実績があり、現在野村総合研究所の上級コンサルタントを務めている著者は、今こそ対中事業戦略を再構築するタイミングだと言う。本書では、必勝の秘訣を「準備」「経営管理」「立地」「人材活用」に加え、対日感情の悪化に伴う「カントリーリスク」などの10のテーマに分類したうえで、合計100項目について具体的な施策を提示している。

「準備」の項目では、もはやブームや横並び意識で中国に進出する時代は去ったと言い、及び腰の投資ではなく、企業トップの積極的かつ哲学のある「コミットメント(目標達成の確約)」が不可欠だと指摘する。コミットメントを明確に示している欧米企業は、対市場、対政府といった局面で優位性を確立できていると言い、市場調査、事業調査、自己PRの方法などを事前に徹底研究せよとアドバイスする。

「人材活用」の項目では、主に労働力を求め現地採用を進めてきた日本企業は、販売や研究開発などでも現地登用を進めている欧米企業に比べて、ハンディを背負っていると指摘。元から日本語が話せる人材を探すといった偏重を改善し、現地採用者に対する教育研修制度の整備など、目に見える形で内外に貢献度を示せと訴える。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

会社成長の原理
4478374953髙畑 省一郎

ダイヤモンド社 2005-07-01
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star経営者必読の一冊

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企業が存続するには成長を続けることが必要であり、それには「成功の連続」が求められる。本書は企業経営に必要とされる成功の原理原則、すなわち経営技術の体系とセオリーを、実際の経営数字に基づいて解説する。

100年という時間を生き残れる会社組織は実に少ない。本書は、生き残った会社から成功のポイントを検証。企業の成長は、利益(Income)、財政の安定度(Balance)、キャッシュフロー(Cash-Flow)、シェア(Share)または特別な付加価値(Special added value)という4つの成長指標(IBCS)によって測られるべきだとする。米ゼネラル・エレクトリック(GE)、東レなど、長く存続する企業をIBCSの観点から分析し、これらの水準がどの程度であるべきかを考察する。

会社成長のための戦術、戦略も解説する。戦術としては、組織に内在する機会費用を削減する具体的な経営管理手法を提示。究極の手法として、仮想で民事再生法を申請し、あらゆる機会費用をあぶり出す方法を紹介する。戦略に関しては、本来的な利益をもたらす事業構造の構築が必要と指摘。具体的に、著者が21世紀前半に採用すべきと考える事業活動のキーワードを挙げ、どのような新事業に進出すべきかという着眼点を示す。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

日本力 アジアを引っぱる経済・欧米が憧れる文化
4062129825伊藤 洋一

講談社 2005-06-25
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starアジアに「名誉ある地位を占める」新しいパラダイムを示す書
star共感しました!
star悲観スパイラルの「修正」。

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バブル崩壊以後、国内には日本の経済・産業に対する悲観論が蔓延した。だが、ハイブリッド車をはじめとするエコカーでは日本車が世界のトップを走る。アニメなどのポップカルチャーも世界に普及している。日本企業の競争力・収益力は回復しており、世界の格付け機関による格付けも上昇傾向だ。日本を脅かす存在として、しばしば中国、韓国、インドの台頭が取り上げられる。だが、これらの国々を何度も訪問してきた著者は、その状況を冷静に分析すれば、日本や日本企業の強さは当面揺るがないと主張する。

例えば、中国は賃金の安さこそ大きな武器だが、法律や制度など市場経済の基本的体制はまだ整っていない。中国の輸出の大部分を担っているのが実は中国に進出した外国企業である。韓国経済ではサムスン電子の存在感ばかりが異常に大きい。全労働者に占める製造業労働者の割合は急減し、もはや製造業の国とは言えないほどだ。依然として階級制度が残るインドは貧困が蔓延し、一般国民の教育水準が低い。

著者は、客観的・相対的に立ち位置を評価した時、「日本力」は大きいことを認識すべきだと指摘。歴史、文化、現実の経済力に対して、過度な悲観論を抱き、本来あるべき成長の道を踏み誤ってはならないと呼びかける。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

落ちこぼれタケダを変える
4532312302武田 国男

日本経済新聞社 2005-06
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star武田における「くすりの哲学:規」に感銘
star落ちこぼれ?本当に?
star笑っている場合か、タケダ。

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武田薬品工業会長の半生記。日本経済新聞で2004年11月に連載した「私の履歴書」を単行本化した。

著者は創業家の3人兄弟の三男坊。長男がすべて、という古い家柄で「どうせ期待されていない」というひがみ根性がしみついたという。学校では全く勉強しない落ちこぼれ。武田薬品に入社後も食品事業部など傍流をたらい回しにされる“窓際人生”だったと振り返る。だが、1980年に副社長の長兄が急逝し運命が大きく変わった。

93年6月、社長に就任。スリムで強靭な会社に生まれ変わるための構造改革を進めた。本業の医薬品事業に回帰し、人員削減を進め、実力主義の人事制度を導入した。社員やOBからは批判が相次ぎ、自宅には匿名の手紙が何通も届いた。社内では「独裁者」と呼ばれ、雑誌には「バカ殿ご乱心」と書かれたが、信念は曲げなかった。

ガン闘病なども克服し、2003年に最年少取締役だった長谷川閑史氏に社長をバトンタッチするまで、10年間にわたって改革を推進。この間、武田薬品は1兆円企業に仲間入りし、海外での売り上げが4割に達するグローバル企業に変身した。

巻末には「武田國男語録」を収録。世襲、ガバナンス、人材育成などについての著者の考えを紹介している。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

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