メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) > 2005年6月6日~6月27日
| 農で起業する!―脱サラ農業のススメ | |
![]() | 杉山 経昌 築地書館 2005-02 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 農業を志すなら心して来るがよし 楽しい農業とは 農業「経営」とは何かAmazonで詳しく見る by G-Tools |
■著者に聞く 杉山経昌氏[専業農家] 素晴しい“3K”職場
外資系電機メーカーから就農した“素人”が語る農業の指南書。研究、新工場建設、営業の経験を積んだ筆者が語る成功の秘訣は時間、計画、予算の管理。農業に限らず企業経営の場でも参考になる内容だ。
――「農業は本当に3K(きつい、汚い、危険)なのか」、という問いかけから始まっています。
私は30年近くサラリーマン生活を続けました。最後に在籍した外資系メーカーでは、数字を達成できなければ降格、時には解雇されることもある職場でした。労働時間も長い。グローバルな企業でしたから、接待で遅く帰宅しても、それから海外拠点と電話会議をしたり海外の学生にリクルートの連絡をしたりと、休む間もありませんでした。睡眠時間も十分に取れないまま、早朝に出勤する日々が続きました。
就農したら、リストラの不安もなければ、疲れ切った体にムチ打ちながら満員電車に揺られて通勤する必要もありません。農作業は肉体面で「きつい」と思われますが、今はトラクターに除草機や定植機など機械化されて、力仕事などほとんどありません。「汚い」「危険」も、やり方次第できれいにも快適にもなります。
私にとって農業は「きつい、汚い、危険」よりも「快適、かっこよい、お金が儲かる」という別の3K職場です。当然、そうするには工夫が必要です。私はコンピューターで作物ごとに作付面積や収入、経費、月別労働時間などをシミュレーションしました。顧客データベースを構築し、何度も購入していただいているお得意さまには、効果的な販促もしています。
もちろん自然が相手だから計画通り進まないこともあります。就農して15年になりますが、1年目は赤字、2年目はトントンでしたが、3年目からは黒字になっています。借金をせずに、暇でも無理して余計な作物を作らなかったことが、よかったと思います。
――丼勘定的な体質批判など、行政や旧来からの農家には耳の痛い話もありますね。
日本の農業は変わらなくてはいけないという一心から指摘しました。「すべての農民は、食料自給率100%を目指して努力しなくてはならない」というのが、私の考えです。就農前から、自分たちで食べる食料を「自分たちの力だけで賄えるようにすべきだ」という信念を持っていました。外資系企業に在籍していましたから、なおさら感じるのですが、外国に生きる糧を委ねているのはリスクが大きい。国際分業化とか自由貿易とか言いますが、いざとなれば外国より自国の利益を優先します。
安全保障の確保のためにも、日本の農家は変わらなくてはなりません。日本の農政は、江戸時代からの「生かさず殺さず」の状況から本質的に変わっていません。見かけ上は化学肥料を使うなど進歩しましたが、肥料設計の基準が確立されていないため、不要な肥料まで使わされ、支出がかさむのです。これだから豊かになれないのです。
――農業の活性化には、新しい人材の参入が必要ですね。
企業勤めの人に限らず、新たに農業に就きたいという人から相談をよく受けます。今までの経験から言うと、これまでの仕事で成功した経験のある人でないと、農業でも成功することは難しいように思えます。今の仕事が嫌で逃げの姿勢で来た人は、まず失敗すると言っていいでしょう。
また、人のマネではなく「自分がやりたいのはこれだ」という具体的なプランを持っていることも必要です。どんな仕事もやらされるより、自発的にやる方が楽しい。楽しければ仕事にのめり込んでいくはずです。
杉山経昌(すぎやま・つねまさ)氏
1938年生まれ。千葉大学文理学部化学科卒業後、沖電気工業入社。旧日本モトローラなど経て90年に就農。今年著書を上梓。
| 社長の哲学 | |
![]() | 青木 定雄 鍵山 秀三郎 鳥羽 博道 矢野 博丈 致知出版社 2005-04 売り上げランキング : 12,840 おすすめ平均 ![]() 素晴らしい人選。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
逆風の時代に成長を遂げてきた企業のトップ4人が、自ら語った「経営哲学」をまとめたもの。4人の共通点は創業社長であること、そして幾多の大きな試練を乗り越えてきたことである。タクシー事業を中心に展開するエムケイ(MK)グループの現オーナーである青木定雄氏は、「常識的なことを50年間継続してきただけです」と言う。それは、例えば毎朝無線室に出向き、自らの声で車を運転しているMK社員全員に心構えを呼びかけるような地道な努力である。正しい掃除習慣が社員を育てると説くのは、カー用品店を全国展開するイエローハットの現相談役、鍵山秀三郎氏だ。釈迦の教えを引用しつつ清掃の功徳を諭し、自らが率先して取り組んでいる国際規模での清掃活動の意義について語る。
ドトールコーヒー現社長の鳥羽博道氏は、「喫茶業とは、1杯のおいしいコーヒーを通じて人々に安らぎと活力を与え、お客様を建設的な方向へ向かわせるものでなくてはならない」をはじめとする「社長としての7つの座標軸」を示す。「100円SHOPダイソー」で成功を収めた大創産業現社長の矢野博丈氏は、かつて背負った借金や遭遇した数多の危機が、揺るぎない経営哲学を育ててくれたのだと言い、興味深いエピソードを明かす。
| 人事破壊―その後10年そして今から | |
![]() | 日下 公人 ビジネス社 2005-04 売り上げランキング : 9,812 おすすめ平均 ![]() 会社はもうアテに出来ないAmazonで詳しく見る by G-Tools |
日本の会社の人事風土には世界に誇るべき利点や美学が山ほどある。なのに崩壊の危機に瀕している訳は、古い制度にすがりつく者、うわべだけの中途半端な改革で済まそうとする者が多いからだ。時代が確実に変わったことを認め、しがらみを排し、ゼロから人事制度を構築し直せば道は開ける。著者の主張はそう要約できる。
例えば、「アメリカ型経営」を叫びながら老いてもトップに居座り続ける経営者の矛盾を指摘する。「老害よ、さようなら」と言い、会社に良い人事を定着させたいのなら、まず年功序列だけで昇進した幹部連中を大掃除し、その後に自分も辞めよと呼びかける。もう1つのカギは「正社員」だ。雇用の流動化や専門職種化が叫ばれて久しいが、正社員は会社にとって必要不可欠な存在であることに変わりはないと言う。問題はそのあり方にある。まずは数が多過ぎるため、本来あるべき仲間意識や団結が有名無実化してしまったと指摘。正社員の採用は毎年20人くらいに絞るべきで、そうでなければ「仲間意識などなくても仕事が進むような会社」を徹底的に作れと決断を求める。背景には「デフレ時代の逆転の発想」がある。被雇用者には「安定大企業は『不安定分解寸前企業』だと180度転換して見よ」と訴える。
| 平凡な私が月300万円稼ぐ7つの理由 | |
![]() | 右近 勝吉 東洋経済新報社 2005-03 売り上げランキング : 1,029 おすすめ平均 ![]() 詐欺師は読むな 心の便利屋 相手を受け入れると成功するAmazonで詳しく見る by G-Tools |
「便利屋として成功しているのは、例外なく凡庸な人ばかりです。月に100万円以上売り上げるような便利屋になっているのは、何の才能もなく、不器用で気の利かない人間だけなのです」。そう言い切るのは、引っ越しからドブさらいまで何でも請け負う便利屋稼業の「元祖」、右近勝吉氏である。彼の成功談を聞きつけて、弟子入りしたいと門を叩く人は後を絶たないそうだ。本書では、才人には決して思いが及ばないという商売の工夫やコツ、凡人だからこそ可能な「運」を呼び込む習慣などについて持論を披露する。
自分が凡人であることを認めた瞬間こそが最大のチャンスだと言う。「平凡なサラリーマンが成功するためには『社内の便利屋』になることです」と言い、届かないであろう才能や評価を追い求めたり、「こんなはずじゃない」などと虚勢を張っているうちは、富を呼び込む「凡人力」が宿らないと諭す。凡人だからお金に執着しない、凡人だから頼まれたことは何でも笑顔で引き受ける。無欲無心を極めた時、右近氏の月の稼ぎは最高で4600万円に達していたという。他人の話を聞く才についても触れる。依頼主の話の腰を折る余計な相槌や質問はご法度、4時間に及ぶ相談であっても気持ちよく応じられれば合格だと言う。
| 企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神 | |
![]() | 平田 雅彦 PHP研究所 2005-04-16 売り上げランキング : 26,035 おすすめ平均 ![]() 企業の社会的責任Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■著者に聞く 平田雅彦氏[元・松下電器産業副社長] 日本的なCSR構築を
東西の冷戦終了が、資本主義をいびつな形に発展させ企業の不祥事を頻発させた。その猛反省に立って生まれたのがCSR(企業の社会的責任)の考え方だと言う。ただ、それは既に江戸時代の学者、石田梅岩の教えの中にあった。
――最近、日本に限らず企業の不祥事が増えているのは、資本主義の論理と倫理のバランスが崩れてきたことが原因だと指摘されていますね。
東西の冷戦が終わるまで、資本主義は何やかんや言っても、その論理と倫理はバランスしていたと思います。企業の短期的な利益追求が強くなり過ぎ、社会への貢献が後回しにされるような状態が起きても、ある時点で反省する機運が高まり、バランスを取り戻してきました。
しかし、冷戦が終わって資本主義が勝ったことで、資本主義の論理が急激に勢いを増してきました。ファンドキャピタリズムとでも言うか、短期的な株価にとらわれた経営が跋扈し始めたのです。これは人間の欲望につながっており、勢いづくと止めたり減速させたりするのは難しくなる。米国のエンロン、ワールドコムなどで起きた不祥事は、そうした環境で起こるべくして起こった事件と言えるでしょう。
さらに悪かったのが、頻発する不祥事を抑えるために米証券取引委員会(SEC)による規制強化に頼り過ぎたことです。多くの企業で、取締役会メンバーはいつの間にか経営をチェックする社外の人たちばかりになり、企業の経営をできる人が少なくなってしまいました。
――CSR(企業の社会的責任)は、そうした歴史の反省から生まれたようですが、コンプライアンス(法令順守)との違いは何でしょう。
コンプライアンスは、リスクマネジメントの一環で、企業の防衛を目的とする、いわば消極的な手法です。しかし、CSRは企業が自発的に社会的な責任を果たそうというものです。それぞれの活動で得られる結果は似てくる場合もあるでしょう。しかし、考え方が全く異なるのです。
この点が重要で、CSRの考え方を取り入れると、企業は株主価値を最優先するだけの経営を続けられなくなります。地球環境問題への取り組みなどを企業のブランドにまで発展させようというわけですから、従業員や関連会社を巻き込んだ活動が必要になり、株主以外のステークホルダー(利害関係者)も重視した経営が不可欠です。
経営者だけでなく従業員一人ひとりの高い倫理観が求められる、今までとは違う経営が必要になります。
――日本ではCSRの考え方は今に始まったわけではなく、江戸時代から商家に浸透していたそうですね。
日本人は勉強好きなせいか、外国の新しい手法を見ると、すぐに導入しようとするんですね。それはそれでいいのですが、CSRの考え方は江戸時代から商売を成功させ長続きさせる手法として定着していたことが意外に忘れられています。
江戸時代の学者に石田梅岩という人がいます。当時、34藩108塾で講義していた超人気の学者でした。彼の教えを詳しく調べたら、現在のCSRの精神そのものなんですね。日本人は自分たちの先輩が生み出した教えや知恵をもっと大切にして活用すべきではないか。そう思ったのがこの本の執筆の動機でした。私は松下幸之助翁から様々なことを直接教わりましたが、今考えると、石田梅岩の教えに通じるものがたくさんありました。
日本人は西洋の人たちとは発想が根底でどこか違います。外国生まれの素晴らしい経営手法を活用することは重要ですが、真に役立たせるには日本に合うように仕立て直しが必要です。その意味で、日本の先達の優れた知恵をもっと勉強すべきだと思います。
平田雅彦(ひらた・まさひこ)氏
1931年生まれ。54年一橋大学卒業、松下電器産業入社。副社長を経て97年退任、産能大学客員教授。現在は複数の企業で社外取締役を務める。
| レピュテーション・マネジメント | |
![]() | ロナルド・J・オルソップ 日本実業出版社 2005-04-19 売り上げランキング : 1,879 おすすめ平均 ![]() 企業のトップや現場はレピュテーションをもっと意識すべきである。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
企業にとって、自社の「評判」は重要な無形資産。評判への意識を高め、積極的に管理する「レピュテーションマネジメント」は、今や必須の経営課題と言える。良い評判を築き、良い評判を保ち、傷ついた評判を修復するためにはどうすればいいのか。「ウォールストリート・ジャーナル」のコラムニスト兼編集者が、米国企業の具体例を挙げながら、18の法則を示す。
適切なレピュテーションマネジメントには、まず「己を知る」ことが重要。かつて軍需品の販売で莫大な利益を上げ、「死の商人」とのレッテルを張られた米デュポンは、負の遺産を解消するため、レピュテーションリサーチを何十年も継続している。ステークホルダー(利害関係者)が会社や業界に抱くイメージを定期的にチェックすることで、素早く適切な対応策を講じることができるという。
商品落下による死傷事故が頻発した米ホーム・デポは、「問題点を知る」行動を取った。顧客の苦情に真摯に耳を傾け、サービスと安全の改善策を講じた。社内態勢が整った後は、積極的なイメージキャンペーンを展開し、徐々に信頼と評判を回復していった。
企業は問題発生時だけでなく、普段から「攻めの姿勢」を持って自社の評判管理に注力すべきと解説する。
| 虚構の景気回復 - 「統合と分断」の時代をいかに生きるか | |
![]() | 水野 和夫 中央公論新社 2005-05-11 売り上げランキング : 3,655 おすすめ平均 ![]() グローバル経済分析の視点が分かるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
世界市場は「統合」し、国内経済は「分断」しているという視点で現状を読み解く1冊。
IT(情報技術)革命とグローバリゼーションによって、世界市場は「統合」した。IT産業、自動車、鉄鋼などの産業は米国、中国市場と一体化し、「近代化経済圏」を形成している。一方、国境を容易に越えられない「ポスト近代経済圏」と呼ぶべきサービス産業はグローバル化から取り残され、長期停滞に陥っている。国内経済は近代化経済圏とポスト近代経済圏とに「分断」された。昨今の景気回復は、近代化経済圏の結果であって、政府の構造改革の成果ではない。米国や中国の動き次第で頓挫しかねない「虚構の景気回復」だと指摘する。
過去、ポスト近代経済圏を救済するため、過剰な金融緩和が行われてきたが、そのマネーは近代化経済圏に流入し、1次産品価格の急騰や素材インフレを引き起こした。ポスト近代経済圏では、今後、サービス価格がさらに下落してデフレが定着すると予想。日本経済は2極化が進み、分配が重要な経済政策になると指摘する。
経済の性格・構造が根本的に変わった今、1つの国家を均質的なものと見る従来の経済理論では、政策・景気観測を誤ると主張している。
| 東工大COE教育改革 | |
![]() | 丸山 正明 日経BP 2005-03-31 売り上げランキング : 840 おすすめ平均 ![]() 東工大COE教育改革雑感 本書を読むのは、このような人たちAmazonで詳しく見る by G-Tools |
東京工業大学大学院の材料系4専攻は文部科学省の21世紀COEプログラム「産業化を目指すナノ材料開拓と人材育成」によって、「スーパードクター」を育成する新コースを設けた。スーパードクターとは、研究開発プロジェクトを率いるリーダーシップなどを身につけた有能な博士。本書は「強い者をより強く」「伸びる学生を徹底して伸ばす」といった方針の下、東工大が取り組む教育改革をリポートする。
新博士コースは、「企業経営者と議論ができる研究開発者の育成」が目標。ベンチャーキャピタル、商社などの第一線で働く実務者5人を客員教授として招き、貸借対照表や事業プラン作成などの経営実務を教え込む。学生には研究成果発表の場もふんだんに与え、優れた研究成果を上げる動機づけとしている。博士課程の若い学生に海外で研究経験を積ませる「海外インターンシップ」もプログラムに組み込む。
こうして鍛えられた博士課程の学生たちは、教員たちの研究成果にも厳しい目を向けるようになった。教員と学生が切磋琢磨する中、教員にもいい緊張感が生まれ、東工大からは独創的な研究開発成果が出始めている。本書はモノ作りの基盤技術であり、日本産業競争力をも左右する材料分野での新たな成果も詳しく紹介している。
| 世界がもし全部アメリカになったら | |
![]() | 勝谷 誠彦 藤波 俊彦 アスコム 2005-05 売り上げランキング : 13,298 おすすめ平均 ![]() 映画じゃ映らないアメリカ アメリカ万歳! 藤波俊彦ワールド全開じゃんAmazonで詳しく見る by G-Tools |
■著者に聞く 勝谷誠彦氏[コラムニスト] 米国が地球を滅ぼす?
現実世界のデータを使って、すべてが米国になった地球を大胆に“試算”。戦争と犯罪が日常化し、肥満者と自動車があふれかえる世の中になる。「米国化」が進行する日本の生き方も考えさせられる。
――米国って一体、何なんだというのが読み終わった直後の感想でした。
旅行や仕事で100カ国以上を訪れていますが、海外へ行くと気づくことがあります。どんな国でも米国資本のホテルは同じサービス水準だし、ベッドも同じ型で同じ大きさ。米国の食べ物がふんだんに出てきて、夜はスポーツジムで自転車を漕いでいる。どうして米国人の客は、違う国に来てまで米国の生活をしているのだろうと不思議に思うわけです。それほど、自分たちの生活が素晴らしいのかと。それならば、いっそのことすべてが米国になった世界を考えてみようというわけです。
もう1つのきっかけは、イラク戦争をこの目で見たことです。対テロ、民主主義を掲げていますが、結局、彼らは、米国とブッシュ大統領の価値観を広めようとしているだけでしょう。グローバリゼーションという名の押しつけに過ぎません。しかも、それを善意だと信じ込んでいる。本の中では、米国民1人当たりの年間寄付額は実に6万8391円(日本人は915円)に上ることを紹介しています。何しろ米国人はそれほど「いい人」なんです。
――文化や思想を世界中に行き渡らせる帝国主義みたいなものだと。
ファストフードを1カ月間、毎食、食べ続けたらどうなるかという実験を自ら行った「スーパーサイズ・ミー」というドキュメンタリー映画が話題を呼びました。米マクドナルドのハンバーガーという食文化についていえば、世界全部が米国と同じになった、米国はそれを実現してしまったことになります。
一方で、政治家が隣国メキシコの大統領の名前も言えないなんてことがよくある。外国に行ったことがない人も数多くいる。自分の国以外のことに興味を持たない。田舎者と言ってもいいかもしれない。そのくせお節介。そうした自画像が見えていないにもかかわらず、自分たちが変だなどとは、これっぽっちも思っていない。だからこそ問題は深刻なんですよ。
ドイツの精神科医ホルスト・ガイヤー博士は「勤勉な馬鹿ほど、はた迷惑なものはない」との格言を残していますが、私に言わせれば、地球上でこれだけ熱心に武力行使に励んでいる米国は、それに「粗暴」という形容詞がつくのではないでしょうか。
――数字のマジックなのかもしれませんが、こういう手法で見せられると改めて米国のすごさに衝撃を受けます。
イラク戦争といえば石油。米国のようにジャブジャブ石油を使ったらどうなるか試算してみました。消費量と埋蔵量を比べた場合、普通に使えば44年持ちますが、全世界が米国になるとわずか7年で枯渇する。これは、えらいことだと思いました。
米国の現状を遠く離れた日本から眺めているだけでは、事の深刻さはなかなか見えてきませんが、数字を使って考えると恐ろしさがよく分かる。逆の発想もできます。私が住んでいる長野県は日本で唯一、県債(借金)残高の削減に成功しました。日本が全部、長野県になれば、火の車の日本の財政も少しは改善する計算になります。
昨年暮れ、「スーパーサイズ・ミー」のモーガン・スパーロック監督と対談する機会がありました。彼も「世界が全部米国になるかもしれないという予感がある」そうです。この本の映画化を考えたいとも言っていました。冗談か本気か分かりませんが、この本が英訳されて、米国の人々に読んでもらいたいという思いはありますね。
勝谷誠彦(かつや・まさひこ)氏
1960年兵庫県生まれ。カメラマン、編集者、テレビタレントなどとして幅広く活動。『にっぽん蔵々紀行』『イラク生残記』など著書多数。
| とことんやれば必ずできる | |
![]() | 原田 永幸 かんき出版 2005-04-23 売り上げランキング : 6,883 おすすめ平均 ![]() 日本有数のプロフェッショナルマネージャーAmazonで詳しく見る by G-Tools |
昨年2月にある人物のヘッドハンティングが話題を呼んだ。コンピューター関連業界一筋に歩み、1997年にはアップルコンピュータ日本法人の社長兼米国本社副社長にまで上り詰めた原田永幸氏が、全くの畑違いに思われるマクドナルド(日本マクドナルドホールディングス)の社長兼CEO(最高経営責任者)に身を転じたのである。
外食市場の伸び悩みやBSE(牛海綿状脳症)問題による逆風の最中にあったマクドナルドブランドだが、原田氏の大胆かつスピーディーな改革によって、今日ではV字回復を果たそうとしている。本書は「結果こそすべて」と言い切る原田氏が自らの働き方や仕事の哲学を公開したもの。経営者に限らずすべてのビジネスパーソンに向けて成長と成功を勝ち取るヒントを示す。
スピードこそ命であり、1年かけてやっていたことを3カ月で終わらせよと言う。そのためには「自分のための時間」を何が何でも確保する必要がある。時間管理のコツを自らの予定帳を示して指南する。また「理論を学ぶ前にまず実践経験を」と強調し、MBA(経営学修士)取得にはやる若者らに注意を促す。計画的に5年程度の現場経験を経て理論を学んでこそ意味があると言い、明確な人生設計がもたらすメリットを自らの経験を踏まえ説く。
| リーダーになる極意 | |
![]() | 古野 庸一 リクルート ワークス研究所 PHP研究所 2005-04-19 売り上げランキング : 859 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
次世代リーダーの育成を優先課題に据えている企業への提言集。リクルートワークス研究所の主幹研究員である古野庸一氏が、リーダーたる人間に不可欠な要素として研究を進めているテーマは「一皮むけた体験」である。
「一皮むけた体験」とは、卓越したリーダーとなる途上で遭遇した“修羅場”のことだ。米国の大学で実際に行われた研究をベースに、現役トップなら誰でも思い当たるであろう「リーダーシップを育てた困難や脱線の経験」を集め、科学的な分析を施していく。
第1部ではカルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏、セコム最高顧問の飯田亮氏、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏ら現役トップへのインタビューを通してリーダーの条件を探り出していく。そこではトップたちの「一皮むけた体験」も明らかになる。第2部では同研究所の成果として導き出されたリーダーの条件を示す。「アイデンティティーを塗り替えながら成長する」「学生時代に学んだことを生かす」「『高潔さ』を大切にする」など、現役トップから共通して読み取れる「7つの発見」について解説する。
そのうえで具体的なリーダー育成法を示す。先天的に持つ資質と後から育成可能な資質に分けて育て方を考える手法などユニークな提案が多い。
| 銀行とノンバンクの融合―上限金利規制統一法の設計 | |
![]() | 石川 和男 野尻 明裕 金融財政事情研究会 2005-05 売り上げランキング : 18,822 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
融業界再編の焦点が、大手都市銀行と大手消費者金融会社の融合に移ってきた。メガバンクとメガノンバンクの一体化による消費者サービスの向上を歓迎する声もあるが、両者の間にある溝、すなわち上限金利規制に根本的な相違点を残したままでの融合には問題が多いという指摘もある。
そうした不安に経済産業省の現役官僚と元財務省・金融庁官僚が応えたのが本書である。まずは、銀行に課せられた「利息制限法」及び上限金利規制(元本額の一定区分ごとに年15~20%)について、またノンバンクに課せられた「出資法」及び上限金利(元本額に関係なく年29.2%)について明らかにする。次いで両者の上限規制の差異によって生じる弊害や、今日の事情にそぐわなくなった運用面での問題点を考察。結論として、「与信業に係わる上限金利規制統一法に関する具体的な試案」を提言する。
法人と個人の区分や元本額の区分はあるが、おおむね30~45%の上限金利を定めることを前提として、「債務者の保護と便益確保の促進」を実現し得る試案だと言う。補足資料では新旧の「利息制限法」「出資法」「貸金業規制法」などの全文を掲載し、その制定理由を分かりやすく解説しているので、初心者はガイドブックとしても活用できる。
| 2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる! | |
![]() | 吉越 浩一郎 かんき出版 2005-04 売り上げランキング : 668 おすすめ平均 ![]() 主張が明確で説得力があります マネジメントの理想形 ◆「早朝会議」の主に学ぶAmazonで詳しく見る by G-Tools |
18期連続で増収増益を続けるトリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長が説くスピード経営論。
同社が毎朝8時半から開く早朝会議は、1時間で40~50の項目を処理する。1つの議題にかける時間は最長で2分。即断即決できる根底には、「川があるなら飛び込め」という精神がある。向こう岸に渡れば成功を手にできるのなら、橋を探したり、どうしようかと考えるのではなく、とにかく飛び込むという考え方だ。複雑に絡み合った問題も分解して細かく小さくしてから判断することも重要。会議で決定した仕事は、必ず締め切りを設定する。仕事のスピードを上げるには、「いつでもできる」という状況を意図的になくす必要があると著者は指摘する。
会議の議事録は、30分後には全社員のパソコンと携帯電話に送信する。同じ情報を深く知れば知るほど、人は同じ判断をし、同じ結論に達するようになるからだ。毎日12時半からの2時間は「がんばるタイム」。私語や電話を禁じ、机に張りついて仕事するよう促す。
同社は18年間で、社員数はほぼ同じながら売上高は5倍に増えた。原則として残業禁止の同社には、業務を素早く、効率的に仕上げるノウハウが確立されており、参考になる点が多い。
| ジェネレーションY―日本を変える新たな世代 | |
![]() | 日本経済新聞社 日本経済新聞社 2005-04 売り上げランキング : 5,759 おすすめ平均 ![]() 同世代の感想。 面白い!と思う。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
新入社員や新入生たちを迎え、社内や街が華やぐ昨今、その言動に度肝を抜かれることも多い。だが「今時の若い者は…」という常套句で片づけてはいけない。彼らの真の姿や秘めた実力を見落としてしまう、と本書は説く。
ジェネレーションYとは、いわゆるX世代(1960~74年生まれ)に続く、75年以降に生まれた世代の総称だ。中核の16~25歳では、10人に1人が就職や通学の意思のない「ニート」か、フリーター。将来の日本を担うY世代の評判は芳しくない。ところが、実態はイメージと違い、じっくり向き合えば、本当の顔が浮かび上がるという。
すぐ辞める新入社員が増えているため、「働く意欲に欠け、堪え性がない」と見られがちだが、ステップアップを目指した退社も多い。活字離れの指摘も目立つが、ケータイ小説など新たな分野を切り開くのはY世代の若者だ。
小さい頃からデジタル環境に囲まれ国際経験も豊富。海外に出て物怖じすることが少なく、ツボを的確に押しさえすればすごい力を発揮する。本書は、Y世代を徹底分析し、隠れた素顔を浮き彫りにするとともに、秘めた力を引き出す処方箋を描き出している。
充実した調査データは企業のマーケティングに役立ち、Y語辞典は楽しく読める仕掛けだ。
| 人はみな「ビジネスの天才」として生まれる | |
![]() | アラン・グレジャーマン 福澤 善文 福澤 良美 小学館 2005-05-10 売り上げランキング : 3,634 おすすめ平均 ![]() 子供から学ぼう 簡単にシンプルに 特に40歳以上の人に読んでもらいたいAmazonで詳しく見る by G-Tools |
企業が既成概念から離れた革新的なアイデアを生み出し、突出した競争力を得るにはどうすればいいか。著者は既成の枠に入ったことのない「子供」から、ビジネスで成功する術を学ぶべきだというコンセプトを立てる。
誰もが子供の頃には特別な才能を持っていた。それは遊ぶ力、熱中する力、焦点をしぼる力、急がせる力、リーダーシップをとる力、驚嘆する力、好奇心を抱く力、質問する力、挑戦する力、創造する力、参加する力、居心地良くする力、やり遂げる力である。本書はビジネスマンがこの13の才能を思い出し、実際のビジネスに応用することで大きな成果を得られると解説する。
子供の世界では遊びが仕事。子供たちは遊びから学び、すべてを組み立てる。ビジネスの世界でも自分のしていることを楽しんでこそ、最良の仕事ができる。物事をうまく行うために、遊ぶこと、笑うことは重要だ。子供の頃は好奇心いっぱいに世界を見ていた。会社に入ってからも、いかに物事が動くのか、なぜそうなるのか、どうしたらうまくやれるのかについて、もっと好奇心を持つべきだ。
本書は子供時代を再訪し、自分の潜在的な才能、可能性の再確認を促す。付録として子供力を試す「CQ(Children Quotient)」テストを収録する。


農業を志すなら心して来るがよし
農業「経営」とは何か













面白い!と思う。
