メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) > 2005年4月4日~4月25日

けなす技術
4797330775山本 一郎

ソフトバンククリエイティブ 2005-03-23
売り上げランキング : 65,521

おすすめ平均 star
starけなされる技術
star流行のブログの書き方というよりは
star部分的に価値あり

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■著者に聞く 山本一郎氏 イレギュラーズアンドパートナーズ社長 僕はまず、けなします

個人サイト“ブログ”の流行からネット社会の行方まで、ネットの今を描く。ネット界では「切込隊長」として有名な著者の体験談を幅広く展開。ネットによる社会の変革を的確、かつ冷静に説く。

――インターネットで「俺様キングダム」というブログ(日記風の簡易型ホームページ)が大人気ですね。

何か知らない間に読者が増えました。多い時で1日14万人からのアクセスがあります。ブログは、自分の情報整理ツールとして使い始めたのがきっかけです。以前、匿名掲示板「2ちゃんねる」の運営に参加していた時に、匿名であるが故の歯がゆさみたいなものを感じていて、書き手の顔が見えるブログが出てきた時に、ちょっと面白いなと思って、試してみたというのもあります。

私は、いわゆる個人投資家というか、米国株、日本株をメーンにした投資業務を行っています。投資対象がIT(情報技術)やインターネットの領域なので、そのための技術調査や業界分析を兼ねたコンサルティングのような仕事を企業から請け負うこともあります。加えて、協業先を探している外資系企業を三菱商事さんやNTTさんにご紹介して、一緒に出資させていただくといったことも多いですね。

もともとコンテンツに興味があり、吉本興業のインターネット事業やゲームソフト会社の企画など、エンターテインメント関連の仕事をお手伝いすることもあります。

――常に幅広く情報収集・整理するためのツールとしてブログを始めたと。

そうです。今何が起きていて、何が流行るかをきっちり見ていないといけないですから。インターネットというものをコミュニケーションツールとしか捉えないと、もったいないんですよね。例えばニュースを読んだ時に何を感じたかを書き連ねることによって、何に関心があり、自分がどう変わってきたのかを見比べることができる。

それだけだと日記と変わりませんが、ブログはインターネットで公開されているので、同じ話題のブログからリンクされたりコメントがついたりして、情報の集まり方が段違いに多くなるんですね。他人の考えが交ざって、物事が立体的に見えてきます。

その際、「けなす」という対人コミュニケーションにおける持論を、ブログでも実践しています。私は、まずけなします。真剣に考えている人ほど、問題点を指摘してくれる人を重宝がるはずなんですよ。そこで感情的になるような人とは、けなさなくとも、いずれ亀裂が生じる。その人の能力の高さを判断するのに役に立つのです。

あと、けなすって最大のリスク回避手段なんですよ。けなす内容は問題の芽でもある。いずれ火を噴くんだから小さいうちに指摘して、改善してからおつき合いした方が建設的ですよね。本書は短編集みたいなもので、これも1つの話題。書店さんの受けが良かったのでタイトルにしたようです。

――ブログ以外にもネット界の様々な動向に触れていますが、口コミマーケティングの話が面白かった。

個人的な趣味として、ネットでいかに人を煽れるかというのがあって、煽りの波及の仕方を検証していました。その話にメーカーさんやテレビ局さんが興味を持ち、じゃあやりますかと。

例えば、昨年の年末商戦の時に、某有名メーカーの依頼を受けて、バイトにそのメーカーのデジカメの話題を、掲示板やブログなんかにばんばん書き込ませたんですよ。あえて人気薄の機種を選んだのですが、3カ月も売り上げが持続する効果を得ました。

そういうノウハウなども多少書いていますので、マーケティング担当者さんも、面白く読めると思います。

山本 一郎(やまもと・いちろう)氏
1973年生まれ。96年慶応義塾大学法学部卒、2001年、IT関連のコンサルティングを手がけるイレギュラーズアンドパートナーズを設立。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 99ページ

ジョイ・オブ・ワーク~組織再生のマネジメント
吉田 耕作

日経BP社 2005-04-07
売り上げランキング : 1,566

おすすめ平均
ジョイ・オブ・ワーク

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デミング博士は、我が国では“品質管理の開祖”として名高い。一方米国では、勢いを失った米国企業が1990年代に復活を遂げる礎となった実践的経営哲学の提唱者として、今日も高く評価されていると著者は説く。著者は博士の数少ない直弟子の1人であり、競争力が低下しつつある今日の日本企業には、デミング理論を基盤とした新たな経営理論が必要だと論じる。

かつて日本の製造業を世界のトップに押し上げるのに貢献した「QC(品質管理)サークル活動」も、今日ではほとんど機能していないと著者は見る。従業員は「やらされ感」を抱き、勤労意欲は下がるばかりだと言う。それに取って代わる実践的な施策が「CDGM(クリエーティブ・ダイナミック・グループ・メソッド」である。

キーワードは働く喜びを実現せよという「Joy of Work」。デミング博士が構築した「TQM(総合的品質管理)理論」をベースに、従業員の欠点ではなく良い点に着目せよ、成長を続けるグループを作れ、トップダウンよりもボトムアップを重視せよ、順位をつけず敗者を作るななどと提唱。QCサークルとの根本的な違いや優位性を具体的に示していく。CDGM導入によって成果を上げた企業の実例も詳しく報告されている。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

品質求道 食産業の現場から
竹田 正興

東洋経済新報社 2005-01-21
売り上げランキング : 194,121


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題の『品質求道』は、著者が勤めていた日本レストランエンタプライズ(NRE、旧日本食堂)が掲げた経営理念である。著者は1963年に当時の日本国有鉄道に入社、要職を経て、87年に日本食堂に入社した。その後96年にはNREの社長に就任する。一昨年に同社を退職した後も、一貫して“日本人の食の安全性”に思いを巡らし、様々な提言を行ってきた。

本書は、著者が実践してきた品質追求の足跡を振り返りつつ、今日の食の危険性や起こり得る食糧危機などを論じる一方、消費者の無防備さに対して警鐘を鳴らすものだ。安全な食を確保するには農業の立て直しはもちろん、国民一人ひとりの意識の改革が必要であることを痛感する1冊である。

著者は早くから食産業の危険性を見抜き、有機野菜栽培の実験農場の設立などに取り組んできた。2001年には世界初となる有機野菜使用の冷凍弁当を開発して商品化にも成功している。消費者には「自分で食べるものは自分で手当てしなければならないと覚悟する時代がきた」と呼びかける。消費者は“安く安全な食品”を求めるだけではなく、自らの努力で生産者とつながりを持てと言う。そうした取り組みには相応のコストが生じる。そうした痛みの必要性を認識せよと諭す。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

新たなる「挑戦」―夢をカタチにする時
渡邉 美樹

ソフトバンクパブリッシング 2005-03-26
売り上げランキング : 2,913

おすすめ平均
できないことは何もない。
もうちょっと「大盛り」にしてください。
こっちの方がいいや

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ワタミ(旧ワタミフードサービス)グループを率いる著者が、新たな企業戦略とともに、「ビジネスとは」「社会とは」いかにあるべきかを論じた書。居酒屋と定食屋の中間業態として成功した「和民」は、現在全国に約350店舗を展開、中国・香港へも出店している。2000年には東証1部上場を果たすなど拡大を続ける一方で、著者のビジネス的な視線は教育、農業、環境、介護などの分野にも向けられている。

学校経営は、グループ事業とは別のもう1つの夢だと著者は言う。しかし、一昨年に学校法人郁文館学園の理事長に就任して行った財務改革や提言によって、教育界においても経営者たる著者の手腕が嘱望されている事実を証明してみせた。 農業ではどうか。ワタミグループは2002年から有機農産物の生産に取り組んでいる。毎日約7万人の顧客の食の安全を守りたいという思いからだ。15年後には自社農場を拡大し、農業関連の売り上げだけで1000億円を目指すと熱く語る。

また、一昨年度環境対策に4億円を費やしたと解説。先進的な試みを通じて得たノウハウを事業化して、やはり15年後には売上高1000億円を目指すと言う。こうした試みは、若い世代に失われた働く意欲を喚起する目的もあるのだとも語る。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

子どもが減って何が悪いか!
4480062114赤川 学

筑摩書房 2004-12
売り上げランキング : 10,466

おすすめ平均 star
starタイトルは小谷野敦風。内容は学術書。
star啓発的で痛快です
star科学的な正論を求めて

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■著者に聞く 赤川学氏[信州大学人文学部助教授] 少子化対策はいらない

人口減少時代が近づき、政府や学者は少子化対策を相次ぎ打ち出している。これに対し、著者はデータの使い方に問題があるとかみついた。少子化対策そのものが不要だと言い切る。

――本の前半では、統計の恣意的な利用や結論の導き方に注文をつけています。

表題と中身が合っていないとよく言われます。この本は学生向けに書きました。リサーチリテラシーと言いますが、社会学ではまず、世論調査とか社会調査にだまされないための教育をします。調査を読み解く能力を磨くわけです。

その素材として、少子化統計を取り上げました。「女性の労働力率が上がると出生率が高まる」という説は本当だろうか、と思ったのがきっかけです。少子化が問題になり始めた1990年頃は、逆に女性が高学歴化して社会進出すると、結婚が遅れて少子化すると言われていました。卒業論文で少子化を研究したいという学生がいたので、資料を集めさせたところ、おかしいことに気づいたのです。

「男女共同参画社会が実現すれば、少子化は防げる」と主張した高名な学者の根拠は、たった13カ国のデータでした。経済開発協力機構(OECD)のデータを30カ国で取り直したら、男女共同参画と少子化にはほとんど関係がないことが分かりました。

最近だと、労働分配率について竹中平蔵経済財政担当相あたりは「高い」と言っているのに、連合は「下がっている」と反対の主張をしています。どちらが正しいのか、社会学の観点からは格好の題材です。

――出生率と男女共同参画に相関があるという主張は、結論ありきだと。

そうです。男女共同参画はそれ自体必要ですが、出生率と結びつけたことに怒りを感じました。もし、男女共同参画を実現できても出生率が上がらなかったらどうするのか。反論する資格がなくなります。官僚は世論を誘導するためにデータをゆがめて使いますが、学者まで同じことをしては学生にウソを教えることになります。

本当に出生率を上げる必要があるなら、私はいいとは思わないが、避妊や中絶を禁止するとか、強制的に結婚させるとか子供を産んだ人にたくさんお金をあげる方が効果はあるはずです。もちろん、費用対効果の問題は見逃せません。出生率を上げるには、莫大なカネがかかるはずです。その意味で、少子化対策は必要ないと思います。

――人口が減るとマイナス成長になる可能性が高まり、今のシステムは行き詰まります。北欧型は解決策に見えますが。

北欧とは消費税率をはじめ国民負担率が全然違います。今、政府が進めている市場の効率性を取り入れた小さな政府路線とは、正反対の議論だと思います。子供を減らすことは「家族計画」などで簡単にできますが、増やすことは戦時中でもそれほどうまくいっていません。少子化で大学をはじめとした子供向けの産業は壊滅的な打撃を受けるでしょうが、子供を産む、産まないの選択が、個別の産業への配慮で左右されてはいけないと思います。

もちろん、スウェーデンやノルウェーがいいという意見はそれでいい。でも、統計的に正しいと言われると、社会学の観点からやめていただきたい、と言いたくなります。

それに、多少出生率が上がっても人口減少は食い止められません。高齢化も進むのに、そもそも2%の経済成長を維持するのが現実的な目標なのかどうか。外国人労働者を受け入れても、年金問題は解決しません。年金問題で公平を達成し、低成長の痛みを分かち合う仕組みを作る方が大事です。もし、子育て支援の効果があるなら、既に増えていてもおかしくない。少なくとも下げ止まっているはずです。

赤川  学(あかがわ・まなぶ)氏
1967年生まれ。99年東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。岡山大学助教授を経て2002年から現職。専攻は社会的文化的性差など。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 79ページ

マッキンゼー ITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する
横浜 信一 萩平 和巳 金平 直人 大隈 健史

ダイヤモンド社 2005-03-04
売り上げランキング : 2,871

おすすめ平均
同シリーズの中では比較的具体的で臨場感がある
IT投資の効果を最大化するためには
CIOやIT部門が生き残るための近未来像

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マッキンゼー・アンド・カンパニーの季刊論文集「マッキンゼー・クォータリー」を再編集した「マッキンゼー・アンソロジー・シリーズ」の5作目。IT(情報技術)を活用して企業の生産性・効率性を高め、収益を拡大する方法を提示する。8つの論文と2つのインタビュー記事を収録する。

1990年代後半のITブームで、日本企業はこぞってIT投資に走ったが、その後も課題が解決されずに残ったケースは多い。IT導入は経営のイノベーションにつながってこそ、成果が出る。米国の小売業、金融機関の事例から、最も効果的に競合と差別化できる生産性向上の「レバー」を探ること、適切な順序とタイミングを見極めることがIT投資の大原則と指摘する。

IT投資の成果に失望したためか、多くの企業がIT支出に大なたを振るっている。不要不急のプロジェクトを凍結することが多いが、それだけでは不十分。過去の投資で複雑に絡み合った情報システムやITプロジェクトを抜本的に見直すことが重要と説く。

ファーストリテイリングの堂前宣夫副社長へのインタビューからは、ビジネスコンセプトや業務改革とITとの関係、CIO(最高情報責任者)が果たすべき役割、ベンダーとのつき合い方などが示される。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 77ページ

羊のリーダーで終わるかライオンリーダーになるか―組織は上に立つ者で決まる
皆木 和義 市川 周

中経出版 2005-02
売り上げランキング : 841

おすすめ平均
企業勉強会必修の本
これこそ新しいリーダー像
部門戦略構築に役立つ実践本

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「1頭のライオンに率いられた100匹の羊の群れは、1匹の羊に率いられた100頭のライオンの群れに優る」ということわざがある。しかしながら、こういう組織は先頭のライオンがいなくなると、急に元気がなくなってしまう。本書は、「1頭のライオンが100頭のライオンを率いる集団」こそが最強の組織と考え、ライオンリーダー、つまり最強のリーダーへの道を指南する。

第1部ではライオンリーダーになるための5つの関門を挙げ、それぞれの関門を突破するため必要な合計19の鉄則を列記する。例えば、「戦いに情熱を燃やせるか」という関門では「『敵意』を忘れるな」「自分のベクトルを貫け」「潮時は自分で決めろ」という鉄則を掲げる。

トヨタ自動車やゼネラル・エレクトリックなど多くの企業事例を交えながら、そのほかの「知の渦を巻き起こせるか」「行動の渦に巻き込めるか」「『勝てる場所』に立ち続けられるか」「進化を持続させられるか」という関門と、クリアすべき鉄則を解説する。  第2部では、「ライオン道」を邁進するリーダーとして大橋洋治・全日本空輸会長、熊谷正寿GMO会長兼社長、渡邉美樹ワタミ社長、塚本勲・加賀電子社長の4人を取り上げる。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 77ページ

経営者、15歳に仕事を教える
4621074903北城 恪太郎

丸善 2004-12-11
売り上げランキング : 34,108

おすすめ平均 star
star気分のいい本でした
star分かりやすい本です。
star企業こそが変わらないと

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■著者に聞く 北城恪太郎氏[日本IBM会長] このままでは国が滅ぶ

企業はこの10年で大きく変わった。年功序列、終身雇用は崩れて実力主義に。しかし、子供を社会に送り出す学校は偏差値重視の古き価値観のまま。このままでは国が衰退する。そんな危機感が筆を執らせた。

――読者対象は中学生や高校生ですが、日本の教育制度、教師、親たちに警鐘を鳴らしていますね。

1999年に、経済同友会で教育委員会の委員長を担当しました。その時に、企業の経営者が日本の教育にどんな貢献ができるかと考えて現場に伺ったんです。主に公立の中学校で授業に参加したり、講演したりしました。

いろいろなことをやっているうちに気づいたんです。こういう人たちに社会に出てきてほしいという企業経営者からの期待と、こうやって子供たちを育てないと社会に受け入れられないんじゃないかという学校や親の側の意識に、あまりにも大きなギャップがあるんです。

お母さん方と話すと、子供の偏差値を上げて有名な高校や大学に入れ、そこで一生懸命勉強して良い成績を取ると、一生安泰な会社に入れるというイメージなんですね。そういう時代もありました。かつて企業はそういう人材を求めたことがあった。でも、状況は一変しています。

同友会の会員の方々の企業にアンケートを取ると、大学の名前とか成績を重視しているなんていう企業は皆無ですよ。あくまで人物本位です。本人がどういう経験をしてきたのか、ほかの人と違うどんな能力を持っているのか、自分で課題を見つけて挑戦してきたか、新しいアイデアを生む発想力があるか、行動力はあるか、チームワークで仕事ができるか、というところを面接などを通して見るのです。大学名や学校の成績だけでは、激しさを増す国際競争を勝ち抜けないことが分かっているからです。

――根っこには、日本の将来に対する強烈な危機感がありますね。

企業の勝ち負けだけでなく、社会の発展を支えるのは詰まるところ人材です。意欲に満ちた若い人たちが減ってしまったら活力のない社会になってしまいます。仕事柄、いろいろな国の人材育成を見ていますが、米国やアジア、特に中国とかインドの人たちはそれはもう必死に努力していますよ。

日本は教育現場の基準がいまだに偏差値に偏っています。一方で、社会全体が豊かになった結果、無理をしなくても、努力しなくても十分生活していけるという意識がどこかにある。これから先、日本という国が今の生活水準を維持していけるのか心配です。

企業の人材に対する価値観は、既に大きく変わっていることを、学校の先生や親たちに伝えるために、毎年100人を超える経営者が学校を訪れて出張授業をやっています。この本は、より多くの子供たちに「働く」ということを考えてもらうために書きました。

――日本の教育現場は変われますか。

生徒さんはともかく、現場に立って教える先生方が変わる必要があると思います。既に意識を切り替えて頑張っている先生もいますが、変えなくて済んでしまっている先生もたくさんいる。校長先生の中にも、現場の教師や親たちとぎくしゃくしないで数年間の任期を大過なく過ごしたいという方もいらっしゃる。学校の最高責任者である校長自身に予算と人事の権限がないのですからおのずと限界がある。

結局、国が細かく制度設計して末端まで指示する「上から下へ」の制度がうまく機能しなくなっているのです。企業で言えば、経営トップは大きな方針と目標を示して、権限は現場に委譲すべきです。この本は、国と現場の先生にこそ読んでもらいたいですね。

北城恪太郎(きたしろ・かくたろう)氏
1944年生まれ。67年、慶応義塾大学工学部卒、72年、米カリフォルニア大学大学院(バークレー校)修了。2003年から経済同友会代表幹事。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 89ページ

「愚直」論 私はこうして社長になった
樋口 泰行

ダイヤモンド社 2005-03-04
売り上げランキング : 504

おすすめ平均
がんばってみたくなります
「ハードワーク」の勧め
一気に読破♪

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本書の副題は「私はこうして社長になった」。45歳の若さで日本ヒューレット・パッカードの代表取締役社長に就任した著者が、自らが歩んだ異色のキャリアを通じて培ってきた仕事の哲学を、率直に綴った書だ。

松下電器産業の技術者であった著者は、学ぶべきものもあったが不満も多かったと松下時代を振り返る。そうした日々にあって、あるプロジェクトで仕事を共にした米国IBMのスタッフたちから、強烈なカルチャーショックを受けたと言う。米国流の価値観やマネジメントに触発された著者は、「MBA(経営学修士)留学」を渇望するようになる。猛勉強を始め、ついには社内制度を使って米ハーバード大学への入学を果たすが、帰国後に松下を去る。その後、外資系経営コンサルティング会社を経て、コンピューター業界でキャリアを積んでいく。

その間に味わった無力感や挫折感を、著者は隠すことなく述べていく。それらの幾つかは、トップに立つ者にふさわしい武勇伝とはほど遠く、むしろ不平不満や弱音に近い。しかし、それらはビジネスパーソンであれば誰もがぶつかる現実の問題である。数々の壁を意志と努力で乗り越えた著者の体験談は、どのような職に就く者にとっても参考になるだろう。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 87ページ

流通・サービス業「人件費革命」―ムリなくムダなく成功させる「勤務シフト」の改善法
木谷 裕 三浦 孝広

日経BP企画 2005-03
売り上げランキング : 5,518


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IT(情報技術)の進歩によって、多くの企業が業務体系の効率化やスリム化を実現できたというが、流通・サービス業はどうか。コンサルティング会社を経営する著者らは、「出勤・退勤の時間が異なる多数の従業員を要する企業」は、そうした恩恵を十分に得られていないと指摘する。例えばデパートやコンビニエンスストアなどの流通関連企業、ホテルやコールセンター、その他カウンター業務を必須とするサービス業だ。そうした現場に染みついてしまった非効率をなくすカギは、「勤務シフト表」、すなわち「出勤・業務予定表」にあると言い、大手術を施すことなく「10%の人件費削減」を実現する法を提案する。

流通・サービス業では、総労働量の計算と配分が複雑なため必要人員を策定できず、人件費予算が“どんぶり勘定”になりがちである。著者らは、「業務の整理と理解」「業務に要する時間」「人員の能力」の3つを記録して整理しないから、必要人員計算ができないのだと厳しく指摘。そのためには勤務シフト表を最大限に活用せよと言い、その効果的な作成法と、検証の仕方を具体例とともに示していく。一つひとつの小さな業務工程を「売上げに連動する業務」としない業務に分類して分析する手法が興味深い。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 87ページ

インサイト
桶谷 功

ダイヤモンド社 2005-02-17
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おすすめ平均
考え方のヒント。

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インサイトとは本音のこと。消費者の気持ちを揺り動かし、行動を起こさせる「心のホットボタン」と呼ぶべきものだ。本書はインサイトを見つけ出し、マーケティング活動に活用する方法を解説する。

人は論理的に頭で考えて商品を買うのではなく、直感や感情に従って買う。消費者分析を徹底し、客観的なデータで裏づけた商品を開発しても、それが売れるとは限らない。むしろ、数字では表せないような奥底にある気持ちや感情を探り出すことが必要。感受性と直感を研ぎ澄まし、ゲーム感覚でインサイトを見つけ出すべきと説明する。

インサイトをとらえた成功例も紹介する。あるスキーリゾートでは、冬の間中、「クリスマス」を演出することにより、ロマンチックな気分を楽しみたいカップル客の人気を集めている。最近、繁盛している居酒屋は、部屋を細かく区切って個室化した店が多い。大人数で宴会をするより、少人数の仲間とゆっくり話がしたいという若者のインサイトに対応したものだ。

ケーススタディーでは高級アイスクリーム市場を作り上げたハーゲンダッツ、替え刃式カミソリで60%のシェアを握るシックを取り上げる。両社が発見したインサイトと、それに基づいたマーケティング戦略の概要を示す。

■2005/04/04, 日経ビジネス, 97ページ

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
マーク・ブキャナン 阪本 芳久

草思社 2005-02-25
売り上げランキング : 366

おすすめ平均
ちょっと余分な話が多い気もしますが、面白く読めました
ネットワーク科学は面白い!
前著「歴史の方程式」と共に読んでみましょう

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著者は科学ジャーナリスト。ネットワーク科学の視点に立つと、人間社会で起きる様々な現象に、規則性と意味あるパターンを発見できることを指摘する。例えば、60億人いる人間は、知り合いをたどれば、誰もがわずか6段階でつながるという。脳の中にある数十の機能部位は、ニューロンをたどればほぼ3段階でつながる。インターネット、生態系、経済活動など、いずれも“つながり”で結ばれた同じような「スモールワールド・ネットワーク」の構造になっている。

著者は、ネットワークにはすべての要素がほぼ同数のリンクを持つ「平等主義的ネットワーク」と、リンク数に大きな差がある「貴族的ネットワーク」があると分析。後者には、多数のつながりを持つコネクターが存在していることも明らかにする。このように、ネットワークを研究することで、素早く影響が伝わるネットワークの特質そのものをコントロールする可能性が見えてくる。エイズを止めるにはどうすればいいか、効率的な組織を作るにはどうすればいいかといった問題に、ヒントが得られるという。

ネットワーク科学は単純な構成要素に分解して分析する「還元主義」では説明できない複雑な構造を解明する手がかりになると結んでいる。

■2005/04/04, 日経ビジネス, 97ページ

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