メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) > 2005年12月12日~12月26日
| 日本の「覚悟」 | |
![]() | 中西 輝政 文藝春秋 2005-10-25 売り上げランキング : 201,471 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は保守本流の立ち位置から、我が国の内政・外交に見え隠れする曖昧さを厳しく糾弾している国際政治学者である。本書では小泉政権の“罪”の部分を論じ、対中国及び対北朝鮮の弱腰外交に活を入れる。また、国際情勢の急激な変化は日本国民に核武装の「覚悟」を迫っていると主張する。
「もっぱら大衆人気に依拠して、実は自らを支えている古い政治の基盤を自虐的に攻撃してみせる『小泉型指導者』は、西欧政治の各時代に存在する」と指摘し、19世紀英国の政治家、パーマストンと比べて論じる点は興味深い。石原慎太郎・東京都知事や安倍晋三・衆院議員との対談では、日本の“内なる敵”として一部のメディアや論者の実名を挙げ、反論を加える。真の国益とは何かを問い直す書。
| 大学力 早稲田の杜から「変える力」を考える | |
![]() | 白井 克彦 枝廣 淳子 主婦の友社 2005-09-30 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 大学にもう一度行きたくなりました-大学改革の現場がわかる! 大学力というより人間力 考えてみると考えてなかった、と言わせないために。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く-パーソナルライフ-大学力-白井克彦 氏[早稲田大学総長] 早稲田の森の大学改革-『大学力』
学部の枠を超えた講義など早稲田大学が改革に取り組んだ。 社会の変化に対応、学生の学びへの興味を刺激する。 生まれ変わった大学で学びたい気を起こさせる。
――かつては、大学に入ったら勉強しなくなるという“常識”がまかり通っていましたが、早稲田大学では学生の意識が変化しているようですね。
学生に活気が戻ってきましたし、昔に比べて勉強するようになったのは事実です。改革に当たっては様々な仕掛けを用意しました。例えば、学部や学科に関係なく受講が可能なオープン科目の制度を取り入れ、今では2000講座の中から、自分の興味のある科目を選ぶことができます。同様に学部にとらわれないテーマカレッジという制度も始め、テーマごとに教授と学生が集まって研究を手がけています。
新しい語学教育も学生に好評です。学生4人に対し、ネーティブか、その水準に相当する日本人講師が週に2回、スピーキング中心の授業をするのですが、半期に5000人が受講します。
小中学生と違って、体力のある大学生は、寝る間を惜しんで勉強することが可能です。さらに学生同士が、高校時代までには出会わなかった人間と、想像もしなかった意見を交わす、その学ぶ楽しさやサプライズが、大学に通う満足度につながると思うのです。
――いわゆる授業の選択制度など、器を変えることはできても、教授の質を変えるのは難しいと思います。どうして改革が成功したのでしょう。
確かに大学教授は定年まで辞めません(笑)。ただし、結果から言えば、学生が選択するのです。2000講座の中には、それこそ受講希望者が集まりすぎるものから、学生数が集まらず、オープン科目から外れる講座まであります。
また語学の講師は、研究者としての雇用では給与が高額になってしまうので、トレーナーとして確保しました。半期に5000人の学生を教えるには、1200人の講師が必要ですが、すべて授業はモニタリングして質を保つ努力をしています。
改革の根底にあったのは、社会の変化に対応しなければならないという使命感です。一方には、早稲田には多くの学生が集まるのだから、新しい改革をするより、既存の学部を充実させろという意見もありました。それも間違いとは言えません。けれども大学卒業後の進路も、かつてのように企業や官庁への就職ばかりでなく、起業や留学など、多様化しています。だからこそ、学生の生きる力、学ぶ力を育てる必要があります。企業も自前で人材を育てるより、大学で何を学んだか、注目するようになっています。
――一方で、研究の水準など、大学自体の競争力も問われています。
世界の大学と伍していくためには、優れた研究をしなくてはなりません。理工系を強化するためにも、教員を増やしたいのですが、いかんせん資金が足りません。実は、日本の私立大学が国際的に高い評価を受けない大きな理由は、教員の少なさにあります。
日本の私立大学の授業料は、理系・文系を平均して年間100万円程度、米国の有名私立は寮費なども含めてですが300万~400万円程度はかかるでしょう。ならば授業料を上げろという声もありますが、国立大学では医学部でも授業料は年間50万円程度です。
国立大学の運営交付金は約1兆2000億円ですが、私大への助成は約3300億円です。学生数で見ると75%が私立、25%が国公立で学んでいるのに、差が大きすぎないでしょうか。
多くの人材を育成する私立大学の教育力を強化するには、国の教育行政も見直す必要があります。
白井克彦(しらい・かつひこ)氏
1939年生まれ。早稲田大学理工学部電気工学科、同大学院理工学研究科修士・博士課程を経て、73年に工学博士取得。2002年から現職。
日本を変えるプランB
村尾 信尚
経済成長ありきのこれまでの政策体系を「プランA」とするならば、「プランB」とは生産者から消費者へ、税金を使う側から納税者へ、官から民へ、物の豊かさから心の豊かさへなど、視座を反転した位置から見える政策だ。大蔵省(現・財務省)勤務を経て大学教授に転身、現在草の根の行政改革運動を指導する村尾信尚氏は、イラクなどで人道支援を行う特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン統括責任者、大西健丞氏らとともに「もうひとつの日本を考える会」を結成した。本書は同会が描く政策を世に問うもの。
日本社会に起きつつある変化と起こすべき変化を区別しながら、プランBの必要性を訴える。まずは裁判員制度の実施が迫る司法改革を取り上げる。古くからの「お上意識」を払拭し、西欧的な統治主体意識を我々は持ち得るのかと問い、この意識改革こそがプランB全体を推進する試金石と訴える。また、「市場化」というキーワードを示し、金融の市場化などと同様に、雇用が完全に市場化する社会の到来を恐れずに順応せよと言う。そこでは自己責任が今より増し、個人のリスクは高まるが、公平感のある仕組みを作ることでバランスは保てると語る。そのためには「情報」の開示と平等かつ迅速な伝達が不可欠だと論じる。
| 日本郵政 解き放たれた「巨人」 | |
![]() | 町田 徹 日本経済新聞社 2005-11 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 改革だったはずでは?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2007年、「日本郵政株式会社」が正式に誕生する。先の衆議院選挙で民営化推進派が圧勝し、議論は沈静化したかに見えるがその実はどうか。気鋭のジャーナリストが民営化問題の核心に斬り込み、危うい実態をえぐり出す。著者は「今回の民営化の枠組では、電電公社や国鉄の民営化のような恩恵が実現すると期待しないほうがよい」と断言する。NTTやJRが民営化に際して支払った「独占分野の解放」や「地域分割」という代償が、今回は全く見当たらないと指摘。利権が温存され、市場に律せられることがない日本最大の企業体の暴走が、改革どころかこの国に取り返しのつかない弊害をもたらす可能性があると憂える。
旧郵政族を頂点とし、「集票マシン」とまで揶揄された既得権益構造を解体することも、民営化がもたらす恩恵のはずだった。しかし今回の民営化には、新たな勢力に巧妙に特権を与え、これまで以上に巨大な利権構造の構築を目論む新たな権力の影が見え隠れしていると指摘する。例として、郵便貯金残高200兆円の “甘い汁”に群がる金融各社の実態を示す。旧・田中角栄派郵政族の解体に端を発するこのシナリオは、「小泉・新郵政族」の悲願であると言い、国民がその暴走を食い止めなければならないと訴える。
| 円、元、消滅! | |
![]() | 一橋総合研究所 通貨戦略部会 ダイヤモンド社 2005-11-11 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 通貨による大東亜共栄圏の確率Amazonで詳しく見る by G-Tools |
国家百年の計の策定を目的に集った一橋総合研究所の志士たちが、アジアの基軸通貨となる「アジア圓(“ゥイァン”と発音する)」創設の有効性を世に問う書。我が国民には円を捨てる決意を促し、政府には隣国中国に対して人民元の消滅を要請すべしと訴える。
通貨・金融政策の優劣が国家の趨勢を左右する傾向はこの先ますます強まるであろう。同研究所では、専任研究員や金融業など民間企業の最前線で活動するメンバーから成る「通貨戦略部会」を設置。一見荒唐無稽にも見える基軸通貨創設のアイデアだが、政治的、経済的裏づけはもとより、アジア及び西欧諸国の歴史的背景を踏まえた論拠を持って、その正当性を論じていく。
まずは膨張する中国経済を恐れる結果生じる“嫌中感情”を排し、ともに勝つモデルを見つけるべきと訴える。中国国内には既に「人民元基軸通貨論」が存在しており、手をこまぬいていればドルやユーロに比肩するパワーを持つ可能性も否定できない。その時「円」はどうなってしまうのかと問い、中国を巻き込んだ「円、元、消滅政策」は待ったなしだと論じる。また、我が国の通貨史を幕末から今日まで丹念にひもといた結果、「その場しのぎの歴史」であったがゆえに欧米諸国につけ入る隙を与えていると総括する。
| 村が消えた―平成大合併とは何だったのか | |
![]() | 菅沼 栄一郎 祥伝社 2005-10 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 市町村の合併騒動、洗いざらい調べました!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「合併特例債と地方交付税の減額」という「アメとムチ」で進んだ平成の大合併。「国から地方へ」というかけ声の下で起きる“合併狂騒”に迫る。
合併による混乱は全国で起きている。その1つが地名。例えば、山梨県は甲斐市、甲府市、山梨市、甲州市と、時代を超えて山梨県が4つ並んだような格好となっている。人口規模がほぼ同じ4町が合併した三重県いなべ市は、合併をすんなり進めるために、あえて本庁舎を1つに決めず、4つに分散する「分庁舎方式」を採用。市長は軽自動車で4庁舎を駆け回る日々だ。
「合併しない宣言」を最初に打ち出した福島県矢祭町の改革、合併の推進役・野中広務自民党元幹事長らへのインタビューなども紹介しながら、健全な地方自治のあり方を探る。
| ジョーからの贈りもの―若きサムライとの日々 | |
![]() | ジョー トーリ 広岡 勲 Joe Torre アイビーシーパブリッシング 2005-10 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 様々な角度から読める本Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■パーソナルライフ-広岡勲 氏[ニューヨーク・ヤンキース広報] 日本的感覚を持つ指導者
松井秀喜選手の後見役として知られる名将が野球人生で得た哲学を語る。指揮官の心情を知れば大リーグが一層面白い。
――ビジネス書としても、十分、示唆に富んだ内容です。
ジョー・トーリ監督は、大企業の社長を目指しても、すごいボスになっていたと思います。松井秀喜選手がそう言います。上司は、わがままな性格で知られるオーナーのジョージ・スタインブレナー氏。部下は高給取りで、プライドの高い個性派集団。しかも、毎年メンバーが入れ替わる。地球上で、ニューヨーク・ヤンキースほど操縦が難しい組織はないでしょう。にもかかわらず、選手やコーチはワールドチャンピオンという目標に向け、一丸となっている。トーリ監督が、選手をその気にさせる技術を持っているからです。
この本を出したのは、トーリ監督から2005年春のキャンプで、声をかけられたのがきっかけでした。その時から単なる野球本でなく、監督のリーダーシップ論に焦点を当てたいと考えていました。特に人間関係に悩んでいるビジネスマンや、個性的な部下をうまく操縦できないという悩みを抱えている管理職には、読んでもらいたいですね。
――トーリ監督の人格を形成した2つの原体験の話が印象的です。
トーリ監督は沈着冷静な監督として知られています。どんな時でも声を荒らげることがない。これは幼い時の父親の姿が反面教師になっています。
父親はニューヨーク市警の刑事でしたが、怒り出したらとどまるところを知らない性格だったようです。幼い頃から、母親が殴られている姿や兄や姉が罵詈雑言を浴びる姿を見てきました。だから、トーリ監督は、選手を人前では絶対に叱りません。注意する時は、人がいないところにそっと呼びます。
もう1つは1999年に前立腺ガンを患ったことです。病気を通じて、運命には逆らえないことを悟ったそうです。病気になった時、自分ができるのは、医者を選び、健康的な食事を取ることくらい。最善を尽くして、結果を待つしかない。
野球も同じです。どんなに追い込まれた状況でも、うろたえることがない。常に自分たちがやれる最善策を考え、それを実行することに集中しています。選手に言う口癖は、「頑張り過ぎて120%の力を出そうとするな。100%の力を出し切ろう」です。
――監督のリーダーシップの要諦を1つだけ挙げるとすれば、何ですか。
どんな時も、部下を守ろうとする姿勢ですね。ヤンキースの選手やコーチは、激情家のオーナーやマスコミからしばしば叩かれます。そんな時、トーリ監督は必ず防波堤になろうとします。
例えば、今シーズンのヤンキースは投手陣が不調だったため、オーナーが投手コーチを批判しました。そのたびに、トーリ監督はコーチをかばい、ある時はオーナーの発言に不快感を表しました。周囲はそんなトーリ監督の姿勢を見ているのでしょう。だから、みんなトーリ監督についていく。
それでいて、オーナーとも、ギリギリのところで、うまくつき合っている。給与をもらっている以上、ボスに忠誠を尽くすのは当たり前。自分の意見は言うが、いったんボスが方針を決めたら、それに従う。従わないのなら、自分が辞めるしかないというのが、トーリ監督の基本的な考えです。
その意味では極めて日本的な感覚を持ったリーダーと言えるかもしれません。日本人にもファンが多いのは、そこに共感するからでしょう。
広岡勲(ひろおか・いさお)氏
1966年東京都生まれ。報知新聞で7年間巨人担当記者を務めた後、2003年に松井秀喜選手に請われて、ニューヨーク・ヤンキース広報に転身。
パチンコ産業30兆円の闇―政財官癒着の全構図 怒れ!3000万ファン
坂口 義弘
パチンコ産業の市場規模は30兆円とされる。ギャンブルとして見ても、ゲームとして見ても、他に類のないガリバー産業である。本書は、パチンコ市場に流れる巨額のカネがホールや台メーカーなど関連業者を潤し、不良外国人や暴力団組員の資金源となり、警察の利権と化している実態を追ったノンフィクション。「週刊ポスト」での連載に加筆修正した。 <_/p>
パチンコは現実的にはギャンブルだが、法律上は風俗営業適性化法下の風俗産業に位置づけられる。パチンコ業界では風適法をくぐり抜けるため、ホール、景品交換所、景品問屋の間で景品を回し、換金する“3店方式”が定着している。風適法の下、パチンコ店を管理下に置く警察は、パチンコ店の営業許可、パチンコ機の違法性審査、換金許可など、何から何までコントロールし、生殺与奪の権を握る。業界との癒着は甚だしく、著者は「警察はパチンコを食い物にしてきた」と指摘する。
著者は、一刻も早くパチンコをギャンブルと認め、「パチンコ特別法」を作るべきだと主張する。パチンコ産業に流れるカネの入りと出をクリアにし、業者の経営と利益を保証すると同時に、利益の一部を公益目的に支出して、国民の利益にかなう存在にすべきだと強調している。
| 見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み | |
![]() | 遠藤 功 東洋経済新報社 2005-10-07 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 気軽に読めて直ぐに役立つ 大事なテーマを取り扱っている 現場力を鍛える第二弾Amazonで詳しく見る by G-Tools |
現場力を強化するには、現場が能動的に高次元の問題を解決する問題解決能力を磨くことが必要である。そのためには、問題を発見すること、つまり「見える化」が重要。本書は「見える化」の考え方を整理し、体系化してまとめた。
「見える」ようにするためには、「見せる」意思と行動が必要だ。真の「見える化」の実現は、「見せる化」を推進することであり、「見せよう」とする人づくりがカギになると説く。「見える化」の落とし穴の1つがIT(情報技術)への偏重。「見てくれるはず」という期待を前提にした仕組みを作った結果、見る意思のない人間にとって「見ない化」「見えない化」になってしまう失敗例もある。
本書は「見える化」を「問題の見える化」「状況の見える化」「顧客の見える化」「知恵の見える化」「経営の見える化」という5つのカテゴリーに分け、それぞれ、事例を紹介する。トヨタ自動車は新型「カローラ」の開発に当たって、機密扱いだった部品単価を開発担当者すべてにオープンにする手法を取った。部品単価の明細まで「見える化」し、コスト上の無駄や改善の余地がどこにあるかを探るためだ。30を超える事例から、地道に現場力を磨く企業の工夫や努力がうかがえる。
| CEO 最高経営責任者 | |
![]() | トーマス・J・ネフ ジェームス・M・シトリン 村井 章子 アスペクト 2005-09-22 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() リーダーの為のバイブル リーダーの姿が現実の経験から学べる良書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
CEO(最高経営責任者)に就任したら、「最初の100日」が極めて重要である。この間は誰もが新CEOの一挙手一投足に注目している。新CEOのメッセージ次第で社員は忠誠心を抱き協力的になりもすれば、しらけて非協力的になりもする。ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルト氏、IBMのルイス・ガースナー氏、ギャップのポール・プレスラー氏ら名経営者たちの行動から「最初の100日」に何をし何を語るべきかを明らかにする。
新CEOが取るべき行動を「着任前から準備する」「現実と期待のギャップを埋める」「チームを編成する」「戦略アジェンダを練る」「企業文化に働きかける」「取締役会・上司と建設的な関係を築く」「コミュニケーションを取る」「危険な罠を避ける」という8つのステップに分けて詳しく解説する。
様々な事例を基に、「完全にできあがった計画を用意して着任するには及ばない」「自分は何も知らない部外者だと考える」「『小さな約束、大きな成果』を心がける」など、心得や言動のヒントを示す。
これらのルールは、CEOに限らず、新しく管理職になったビジネスマンにも応用できる。キャリアの中で何度も経験する「最初の100日」に適切に対処することが成功につながると説く。
| 何のために生きるのか | |
![]() | 五木 寛之 稲盛 和夫 致知出版社 2005-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
昭和7(1932)年生まれのベストセラー作家と京セラ創業者が、人間、宗教、日本人について語り尽くした書。戦争体験は、2人の心に決定的な教訓を植えつけた。一瞬にして目の前のものが崩れ落ちる喪失感や、人々が喘ぐ地獄絵図は、心の奥底に確固たる信仰心を育むことの大切さを痛感させたと言う。
五木寛之氏は「日本の美しき風習」の復興を願う。かつての日本人が持ち合わせていた他者との共生を良しとするしなやかな信仰を忘れた現代社会は、うわべの豊かさとは裏腹に、枯れた大地に等しいと苦言を呈する。稲盛和夫氏は、生き馬の目を抜くビジネス社会にあっても、他者を思いやる「こころ」が放つ光が勝者の道を照らすのだと諭し、自らの体験を例に語る。
| 驚異の大地アフリカ―空から眺めた地球の素顔 | |
![]() | ロバート・B. ハース Robert B. Haas 日経ナショナル ジオグラフィック社 2005-08 売り上げランキング : 3,641 おすすめ平均 ![]() 空撮による美しい映像Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■パーソナルライフ-ロバート・B・ハース氏[写真家] 大陸の美と威厳を撮る
ヘリコプターに乗って上空から撮影、斬新な視点でアフリカを捉えた。貧困や病気、動物といったありきたりなイメージと構図を超えるのが狙い。日本から遠い大陸が、ぐっと身近に魅力的に見えてくる。
――ピンクのフラミンゴの大群や、オレンジが山盛りになった青空市場など上空から見たアフリカの表情は美しさに溢れています(ページ数は合計207)。
撮影に当たっては2つのテーマが心にありました。1つは果物市場をはじめとする具体的な対象を写すこと。もう1つは砂漠や空といった抽象的なテーマを追うことです。そうやって幅広いイメージを捉えると、いろいろなアフリカが伝えられると考えたのです。
空から撮ることは挑戦でした。人は歩けても空は飛べません。空から動物や住宅、火山、海などを捉えたら新しい風景が見えると思ったのです。実際に空に昇ってみると、予期しなかった素晴らしい風景が溢れていて、威厳もありました。予想以上にいい写真が多く撮れました。
アフリカと言えば、貧困や病気、あるいは自然といったありきたりのイメージから脱しきれません。私はそのステレオタイプ(画一的な印象)を超えたかった。日本について外国人が「東京と高層ビル」と言うのはよくある話です。しかし日本には違う表情がたくさんある。私はそれをアフリカで表現したかったのです。
――米国人のハースさんが、アフリカを訪問するのは時間に限りがある。しかも揺れるヘリコプターや軽飛行機の中で、シャッターチャンスを得るのは準備と集中を要しますね。
いい写真を撮るにはまず心のあり方を変えなくてはなりません。ヘリが揺れたり、プロペラの音で集中力が切れたりして、いい風景を見逃すのは残念なことです。しかも目の前には様々な風景が広がっています。何より集中をして、レンズの先に映る孤独な牛や目の前の太陽といった自分の心に響くものを選んで撮るのが大切です。
もう1つ、撮影の準備も念入りにしなくてはなりません。私は今回、タンザニアやナミビア、ケニアなどを訪れましたが、どこも事前に撮影計画を説明して、きちんと航空撮影許可を得なくてはなりません。
しかし、2001年9月11日の米テロ事件の後は、許可を取るのが難しくなっているのです。残念ながら許可を得られない国もあります。念入りに準備をするのですが、それでも天気が悪ければ中止になります。完成には何度も旅をしなくてはなりません。
――もともとは写真家ではなくて、投資会社で企業買収と再生支援を手がけています。
投資ファンドは今ではとても巨大で有名な存在ですが、私は20年前にその事業を始めた先駆けです。
セブンアップやドクタペッパーという飲料水会社の買収と再建を手がけました。企業再建の仕事にとって大切なのは、投資先の株の売却についての計画をきちんと練ることです。投資から何年後に誰に売るか、または上場させるのかなどを考えておくのです。
そんな仕事を続けるうちに、お金とは関係のない芸術性のある職業に引かれて写真家になりました。まず自分の中でバランスがうまく取れます。米国とアフリカの双方に関わることで、世界の奥深さを伝えていきたいです。
――次の撮影も始めていますね。
中南米への旅を繰り返しています。既にブラジルやペルーなどに足を運びました。ペルーのマチュピチュ遺跡は素晴らしいものでした。中南米の多様性を描きたいです。素晴らしい写真で、人々の想像力を高めることは、心を豊かにすると信じていますので。
ロバート・B・ハース(Robert B. Haas)氏
1969年にエール大学卒業。72年にハーバード大学法律大学院で博士号を取得。企業投資会社(米テキサス州)の共同創業者でもある。
| 雇用破壊 非正社員という生き方 | |
![]() | 鹿嶋 敬 岩波書店 2005-11-03 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は、日本経済新聞社の編集局生活家庭部長、編集局編集委員などを歴任後、現在は実践女子大学人間社会学部の教授として教壇に立つ。その間、現代家族が内包する問題や男女共同参画社会のあり方について、様々な提言を行ってきた。本書では、今最も重大な雇用問題に発展している「非正社員問題」について論じる。雇用労働者約5000万人のうち1500万人以上が非正社員であるという現実と、そこに生じるいびつな処遇格差が、この国の社会基盤を蝕んでいると警鐘を鳴らす。
人材は単なるコストか――経営者に向けての、著者の一貫した問いかけである。「企業は不況脱出の過程で、人材の受け止め方に混乱が生じてしまったのではないか」と今の状況を憂える。非正社員問題は、雇う側と雇われる側双方に課題があることを、種々の統計や現場でのケースを基にして明らかにしていく。著者は非正社員を「若年フリーター」「中高年男性フリーター」「女性非正社員」に分類。それぞれ非正社員となった背景や将来直面するであろう問題が異なると分析する。一刻も早く着手すべきは、被雇用者に対する均等・公正な処遇への改革だと言う。社会全体が「男性・正社員・世帯主」という既成概念を捨て、制度設計をし直す時が来ていると訴える。
| 「超テク」誕生 ニッポンの現場 | |
![]() | 日経産業新聞 日本経済新聞社 2005-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本の製造業再生の糸口となる有望技術は数多くある。それらの中には既存の産業構造や社会生活を一変させる可能性を持つものさえある――。本書の基となった日経産業新聞紙上の連載企画「創造主義宣言――超テク国への道」(2004年3月から2005年3月)を担当した記者らの実感である。「超テク」創造のキーワードである「独創・連携・異才育成」を実現している様々な企業と研究開発の現場を訪ね歩き、その成果を明らかにしていく。
かつては接点のなかった生物学、システム工学、情報技術が連携して生まれようとしているのが、人間の身体機能を兼ね備えたロボットだ。危険を伴う現場での遠隔作業はもちろんだが、京都府には体の不自由な人が手軽にウエアとして「着るロボット」を開発している企業がある。音の方向性や遠近感を自在にコントロールする技術が注目されている企業、「食感」という曖昧な感覚の数値化に目をつけた企業などの試みも紹介する。一見無駄とも思える分野に突き進む異才たちが道を開く例も多い。老化を止める法やナノテクを超えた「ピコテク」の開発に挑む研究者とその現場を紹介する。日本経済新聞社と三菱総合研究所がまとめた「2010年の世界の新技術・市場調査」の資料も併せて掲載している。
| スティーブ・ジョブズ-偶像復活 | |
![]() | ジェフリー・S・ヤング ウィリアム・L・サイモン 井口 耕二 東洋経済新報社 2005-11-05 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 勉強になります。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米マイクロソフトを率いるビル・ゲイツ氏のサクセスストーリーは、今やIT(情報技術)業界の伝説である。しかし、それにも増して劇的で謎めいた“伝説” の主人公がいる。米アップルコンピュータを世に送り出した天才、その会社を追い出された敗者、そして一時は存亡の危機に瀕した同社を再び常勝軍団に作り変えた救世主、スティーブ・ジョブズ氏その人である。
本書は米国のITジャーナリストが、ジョブズ氏の半生と転機となった様々な出来事を当事者らのインタビューなどから描き出そうと試みたもの。天才にのみ宿るセンスとカリスマ性に敬意を表しながらも、その気まぐれで自分本位な性格やそれゆえに失ったものを客観的な視点で綴っていく。
アップルを追われた彼が復活ののろしを上げたのは、同分野のネクスト・コンピューターの創業ではなく、全くの異分野であるショービジネスへの投資だった。CG(コンピューターグラフィックス)を駆使したアニメーション映画を製作するピクサー・アニメーション・スタジオは世界的ヒット作を連発。彼がコンピューター分野の“一発屋”ではないことを証明してみせた。このほか「iPod」の大ヒットなど様々な転機を舞台裏から取材しつつ、カリスマ経営者の実像に迫る。










大事なテーマを取り扱っている






