メイン > 週刊東洋経済書評 『ブックレビュー』 > 2008年3月8日~3月15日
| ナショナリズムとイスラム的共存 | |
![]() | 鈴木 董 千倉書房 2007-12 売り上げランキング : 187347 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
民族と宗教が共存できたオスマン帝国から国民国家を照射
西洋とイスラム世界との緊張関係を根源から解き明かしてくれる書物は、本書をおいてほかにない。混迷を深める中東情勢の背景を知るうえで貴重な貢献となろう。
著者の鈴木董氏は、オスマン帝国600年の政治史から世界を俯瞰するという独自の視角で研究を重ねてきた碩学である。
フランス革命後成立した国民国家のモデルは、20世紀を通じて、国民国家のあるべき姿と信じられてきた。
だが、冷戦が終焉を迎えた後、世界は、民族、宗教を異にする集団同士の衝突に直面した。9・11のような「非対称の戦争」を目の当たりにした。人類は、当然のものと考えられてきた国民国家のあり方を、再考する必要に迫られたのである。
著者は、オスマン帝国の統治の中に、近代国家にはない共存の知恵があったことを明晰な論理で展開する。日本人が、中東の国際紛争を理解しにくいのは、実は、明治維新後に国民国家として誕生した日本が、国民国家の前提そのものを疑ってこなかったからではないか。
オスマン帝国もまた18世紀以降、近代化を成し遂げていく西欧の圧倒的力を前に変容を余儀なくされた。領内の人々は、しだいに「民族」を掲げる集団に分裂し、それらが互いに争うようになっていく過程を、著者はわかりやすく説明している。
最初は、アラビア語やペルシャ語が共通語として使われ、トルコ語を基にしたオスマン語も、異民族によっても使われてきた。後に、ヨーロッパにナショナリズムが成立するに従い、異なる言語ごとに成立するコミュニティに「民族の絆」意識が芽生え、それが政治的権力の源泉となり、帝国はついに分裂していく。
とりわけ第7章では、現在もなお解決されていないキプロスの南北分断について、オスマン帝国から英国の支配下に入ってからのキプロスの歴史を基に詳述されている。
2004年、北部のトルコ系キプロスは、国連の再統合提案を住民投票で受け入れたのだが、南部のギリシャ系キプロスは共和国側が拒否した。そのままギリシャ系キプロスだけがEUに加盟したため、北キプロスは、地図にない「国家」として残り、トルコ以外の国とは通商もできない。
しかも、トルコのEU加盟交渉は、06年以降、このキプロス分断状態が原因で膠着している。こうした、現代の課題が、オスマン帝国の統治システムとどのようにかかわっているのかを解き明かしてくれる本書は、歴史書にとどまらず、現代国際政治の書として大いなる価値を持っている。【評者 内藤正典 一橋大学大学院教授】
| 不況のメカニズム―ケインズ「一般理論」から新たな「不況動学」へ (中公新書 1893) | |
![]() | 小野 善康 中央公論新社 2007-04 売り上げランキング : 11223 おすすめ平均 ![]() 固定為替時代の話だったなー 失われた15年唯一の果実 ケインズ経済学の限界を鋭く指摘。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
よみがえるケインズ経済学 今こそ内需拡大のとき
米国サブプライム問題に端を発して世界経済の減速感が高まる中で日本国内でも経済成長の軸足を「外需から内需」に転換すべきとの議論が出始めている。しかし、「内需をいかに振興するか」という肝心の議論が深まっていないのではないか。
本書はケインズ経済学者である著者が「70年前に不況を分析したケインズが本当は何を言いたかったのか」を再検討するために書かれた。著者は7年前にも『誤解だらけの構造改革』を世に問い、「これからの日本経済に必要なのは生活の質の向上であり、放置すればどんどん無駄になってしまう労働資源を活用することが重要なのだ」から、「今こそ政府の出番」であり、「借金をしてでも雇用の場を創出すべき」と訴えた。
日本全体の「ヒト、モノ、カネ」の流れをいかにしてよくするかという視点は、グローバル経済化が進展する今こそ重要性を増している。では現下の情勢で最適な内需振興策は何か。
著者は「既存製品の代替材の開発ではほとんど無意味だから、既存の代替ではなく新たな需要を生み出すもので国民的合意が得られるもの」を定義したうえで、「ゴア前米国副大統領の『不都合な真実』や福田政権の環境政策リードの姿勢などを背景に、環境規制強化による新産業の立ち上げ」を推奨している。さらに、「重厚長大産業などは環境規制に反対するかもしれないが、環境プロジェクトを強制することによって、大きな需要が当該産業に見込めるのではないか。こうした総合的かつ産業横断的な発想が必要」と政策的意義を強調する。
評者は、日本の住環境の飛躍的向上に資する「200年住宅」もよいのではと考えている。従来の「党派的発想」を超えた「日本経済全体のビジョン」を見据えた政策が不可欠だろう。【評者 藤 和彦 内閣官房内閣参事官】
| ソニー 知られざる成長物語 先駆者を支えた男が語る<経営の原点> | |
![]() | 佐野角夫 毎日新聞社 2007-12-15 売り上げランキング : 35910 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ソニーが成功した本当の理由を当事者が証言する
ソニー本は世にあまたあるが、本書はソニー創業者・盛田昭夫氏の正真正銘の側近で、盛田氏の裏方、影として活躍した著者が、ようやく公にした一書である。
著者はソニーの元常務で、創業期のソニーに入社し、若いころから盛田氏の命を受け、「盛田さんが打ち出す理想や目標は、当時、どれもこれも前例のないものばかりだった。そのつど、盛田さんの胸のなかにある理念を、自分なりに咀嚼して実務に落とし込んだ」。
著者は盛田氏の高い志と挑戦する勇気、先見性、行動力に男惚れしている。「盛田さんはソニーという一企業の枠を超え、日本企業が、あるいは日本経済全体がどのように進んだらよいのか常に考え、実現させようとしていた」と書いている。著者は真っ正直に仕事に取り組んで、決して逃げない。実に粘り強く忍耐心も持ち合わせている。それは本書を読むと、上司・盛田氏への信頼に裏打ちされていたからだ。
これまで多くのソニー本は、技術開発、商品開発の華々しい歴史を語り、国際的なマーケティングを賞賛するものだった。
本書のユニークさは、それとは一線を画し、ソニーのあまり語られていないもう一つの挑戦に光をあてていることだ。それは経営手法の連続的な革新である。グローバルな資金調達、NY上場、米映画会社の巨額買収、国内外でのIRの本格導入、消費者のクレームへの徹底対応、環境戦略の始動など、いずれも日本初の取り組みだった。
盛田氏は熾烈な国際競争を勝ち抜くには、経営を革新し、経営の基盤となる企業法制や税制も国際基準に合致させなければならない、という強い思いを抱いていたという。本書は、当事者による日本企業史の歴史的証言にもなっている。【評者 山縣裕一郎】
| 英国機密ファイルの昭和天皇 | |
![]() | 徳本 栄一郎 新潮社 2007-05 売り上げランキング : 47193 おすすめ平均 ![]() 昭和史のもうひとつの顔 日英関係を読み解く タイトルに偽りありAmazonで詳しく見る by G-Tools |
1921年日英同盟が破棄された。その時点からイギリスは将来の対日戦争も視野に入れ、英国海外秘密情報部や外務省、国防省は日本についての情報収集を積極化させる。その中には日本の皇室の動向も含まれた。著者は英国公文書館でこうした機密文書を丹念に調べ上げて、第2次世界大戦前後の英国と皇室の関係を明らかにする。
戦後、日本は米国を中心とする連合国に占領される。イギリスは現地の文化、制度を温存する植民地政策をとってきた。それに対して米国は自分たちの都合がよいように日本を改造しようとする。イギリスはその動きに対抗しようとする。
国際赤十字に基金援助した皇室資産の英国政府への返還要求。また天皇のローマ教皇への親書を嗅ぎ付けた在バチカン英国公使館発の天皇のカトリック改宗説。天皇の退位計画。皇太子の家庭教師派遣問題など、占領下の7年間、連合国内部陣営で熾烈な外交戦が繰り広げられた。
| アメリカのビジネスマンが読む日本 WHAT AMERICA READS ABOUT JAPAN | |
![]() | ランダムハウス講談社 編 辰野尚司 竹林卓 ランダムハウス講談社 2007-11-30 売り上げランキング : 9407 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本人ほど外国人からどう思われているかを気にする国民はいないといわれている。
しかし、これは決してネガティブにとらえるべきではない。かりに過剰反応と揶揄されようと、いや、こうした気質こそが今日の繁栄の原動力となった。
本書は、アメリカの新聞や雑誌に掲載された日本に関する記事をアメリカのベテラン・ジャーナリストが厳選したものである。
取り上げている時期は、2006年から07年8月まで。つまり安倍晋三政権誕生から、参院選での自民党の歴史的敗北までである。
章立ては、「社会」「スポーツ」「政治」「経済」の順となっている。本書は、いわば「アメリカのビジネスマンの頭の中を映す鏡」でもあり、しかも「対訳」である。
ビジネスだけではなく、日本人の最も苦手とするパーティの話題としても活用できる、サラリーマンにとって、ビジネスなどでの即戦力が上がる本である。
| 汗出せ、知恵出せ、もっと働け!―講演録ベストセレクション | |
![]() | 丹羽 宇一郎 文芸春秋 2007-11 売り上げランキング : 4282 おすすめ平均 ![]() 広い層に参考になる内容 人の強さというものAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は伊藤忠商事会長にして地方分権改革推進委員会委員長。瀕死の伊藤忠商事を再生させた経営者である。著者の話を聞くと、深い教養と気骨ある精神に誰でも感銘を受けるだろう。
本書はその著者の講演を集めて編纂された。全編に国の前途を憂う丹羽節を聞くことができる。著者のメッセージは力強く、わかりやすい。
日本は資源がなく、人材と技術で成功した国である。だが、人材のタガが緩み始めており、かつての高潔さを持ち、かつハングリー精神に満ちた人材がいなくなった。どこか満足した、弛緩した人材ばかりになっている。これでは、中国、インドなどの迫力ある人材に勝つことはできない。
「格差社会」が喧伝されており、こうしたことを憂うことも必要だが、まずそれぞれの個人が限界まで能力を引き出し、働くことがたいせつだと訴える。著者の批判は甘えに慣れきり、すぐ泣き言をいう、日本人に向けられている。
| 戦争と美術―1937-1945 | |
![]() | 椹木 野依 蔵谷 美香 河田 明久 国書刊行会 2008-01 売り上げランキング : 102788 おすすめ平均 ![]() この表紙は懐かしいなAmazonで詳しく見る by G-Tools |
芸術家の「戦争協力」と「戦争画」の意外な迫力
2006年、藤田嗣治の大回顧展が開かれ話題を呼んだ。国際的な画家であり、その華麗な私生活は伝説化していたが、日本での本格的な展覧会は実現しなかった。祖国を追われた男。晩年レオナール・フジタと改名した、この画家は日本画壇と軋轢を起こし、太平洋戦争での戦意昂揚のための創作では「戦犯画家」の汚名を着せられた。
今回遺族の了承のもとにその全貌が観られたもの。展示された藤田の名作『アッツ島の玉砕』を含む他作家との153点の「戦争画」が東京国立近代美術館に保管されている。終戦時に米軍が押収して、1970年に「無期限貸与」という扱いで返還された。
本書はこのコレクションを核にして彫刻作品にまで広げ編纂されたものだ。
表紙の『神兵パレンバンに降下す』(鶴田吾郎作)にまず驚かされる。戦中派には感慨深く、戦後生まれにはプラモデルの箱絵やサブカルアートの香りがする会田誠の作品を連想させるかもしれない。
それにしても「戦争画」の表現力には目を見張るものがある。戦場や銃後の風景が、渾身の筆遣いで西と東の多彩な美術様式で描かれる。宮本三郎、小磯良平、川端龍子、石井柏亭、向井潤吉、猪熊玄一郎などの名を冠して。多くの画家は従軍画家として意気揚々と戦地へ向かったという。「大東亜戦争」の大義と美術家としての欲望。戦後、あの戦争は悪とされた空気の中で彼らの仕事は封印された。
本書には21世紀の視点から説き明かした解説が付き、これまでの議論に風穴をあけるものだろう。本土空襲下にも「聖戦美術展」に人々が押しかけた事実には暗澹とした気分になる。美術と戦時日本人を問う画期的な本である。【評者 写真家 中川道夫】
会社四季報編集部が作った株式投資実戦ドリル
会社四季報編集部 (編さん)
会社四季報で脳トレ
株式投資の情報源『会社四季報』。『会社四季報』には業績、財務のデータをはじめ企業情報がぎっしり詰まっている。だが、それらを読みこなすのはたやすいことではない。その難題を解決する本が出た。
『会社四季報編集部が作った 株式投資実戦ドリル』(3月10日発売)である。
本書は『会社四季報』編集部が、その読み方をやさしく解説したもの。さまざまなデータの読み方はもちろんだが、独自の文章表現から注目銘柄を見つける方法なども披露している。
たとえば「会社(の計画)営業益○○億円は上振れ余地」などという表現は、記者が取材した結果、会社発表の当初計画より利益が伸びると判断していることを示す。このような会社を見つけることができれば、投資の効果が上がるだろう。
本書のもう一つの売り物は50題の「実戦ドリル」だ。「PBR1倍割れは迷わず『買い』と言えるか? 」「株式分割で実質的に株価は上昇するか? 」――改めて聞かれるとちょっと悩んでしまう問題が並び、脳トレにも役立ちそうだ。
株式評論家、主婦A子さん、会社員B夫君の3人が、会話形式で株式投資の基本を楽しく教えてくれる。
| マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統 | |
![]() | J.G.A.ポーコック 田中 秀夫 名古屋大学出版会 2008-01 売り上げランキング : 5265 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
英国、米国の政治思想はマキァヴェッリに起源がある
本書は、西洋における古典的共和主義の伝統を大胆に剔出した、名著の誉れ高い政治思想史の大作である。
本書のシナリオは、ルネサンス期フィレンツェにおいてマキァヴェッリによって復興された古典的共和主義の伝統が、市民革命期イギリスの思想家ハリントンに受け継がれ、スコットランド啓蒙思想と政治経済学の形成に寄与する一方、さらに大西洋を越えて革命期、および建国期アメリカの政治思想へと継承されるまでを描く、壮大なる「言語の政治史」である。
近年「共和主義」をテーマとする書物がようやく巷間をにぎわせるようになったが、本書はそうした流れを決定づけた現代の記念碑的労作である。
共和主義とは、個人的自由主義を価値規範とする近代政治学の伝統とは異なる、古典古代に起源を持つ政治思想である。そこで強調されるのは、市民の政治参加を含意する積極的で能動的な自由である。特に、著者が「市民的人文主義」と命名する「共和主義」の特長は、共和国の維持に必要な政治的徳を、多数派市民からなる民兵制と不可分のものと理解する点にある。
しかし、著者は、マキャヴェッリによって再発見されたこうした「市民的人文主義」の伝統が、近代において支配的な思想になるという「進歩史観」の開陳を意図しているわけではない。むしろ逆である。
近代国家の成立は「商業」の発展と職業の専門化を促し、そこで生活する市民には富裕と安全がもたらされた。しかし、市民が経済活動に専念することは、政治への直接的参加を実行不可能とするとともに、民兵制に代わる常備軍の設置を要請する。その帰結は、市民の政治的徳の喪失(腐敗)である。
それはまた、本来「普遍的な善」の実現を目的とする統治制度を、特殊利益の「調整」機関へと変質(腐敗)させ、共和国そのものを崩壊に導くというのである。著者の意図は、「共和主義」の伝統を、こうした「徳」と「腐敗」の対立の歴史として描くことにあるが、ここで提起された問題が、個人的自由を絶対的な価値規範とする現代社会の隘路を、鋭くえぐり出していることは明らかであろう。
原書は、刊行から30年以上経過していることを少しも感じさせぬほど、学識豊かで濃密な作品である。翻訳が容易でないばかりか、著者自身も認める「悪名高い難解な文体」で書かれている。訳者は、そうした原文のニュアンスをできるだけ忠実に伝えようと最大限の努力をしているが、そのため難解な箇所も散見される。しかし、専門家ならずとも、必読に値する一冊である。【評者 渡辺恵一 京都学園大学経済学部教授】
| 医療改革―危機から希望へ | |
![]() | 二木 立 勁草書房 2007-11-08 売り上げランキング : 92643 おすすめ平均 ![]() 医療改革―絶望から行動へAmazonで詳しく見る by G-Tools |
小泉・安倍の改革を分析 政策転換の必要性を実証
著者が1994年に著した『「世界一」の医療費抑制政策を見直すべき時期』(勁草書房)は、近年ようやく国民の間で共通認識に達しつつある医療荒廃の必然性を十数年前に見抜き、医療費拡大への政策転換の必要性をいち早く唱えた点で、先見性にあふれた名著であった。今読み直してみると、医療現場が疲弊していく必然性が、実証的な分析に基づく記述から手に取るようにわかる。
その著者が、小泉・安倍政権での7年にわたる医療改革を独自の視点で検証したのが本書である。二つの書籍を併せて読んでみて、長年にわたる一貫した視点、医療政策の本質を見抜く透視力に改めて驚嘆した。
本書では、小泉政権下での徹底した医療費抑制政策の結果、「主要先進国(G7)中で医療費水準は最低だが、患者負担割合は最高という大変ゆがんだ医療制度を持つ国になってしまった」「国民皆保険制度は周辺から崩れつつあり、まだ数は少ないものの事実上の無保険者も生まれている」と指摘。「これらは1980年代以降、四半世紀も継続された世界一厳しい医療費抑制政策と医師養成抑制政策が小泉政権の『最後の一撃』により臨界点を超えたために生じた」と評している。
まさに現実は、十数年前の予言が的中した格好である。
本書が特筆されるのは、危機をあおる論評と一線を画し、「安倍政権になって、小泉政権下で行きすぎた医療費抑制政策をごく部分的であれ、見直さざるを得なくなった」と冷静に見抜いている点だ。そして「よりよい医療制度をめざして」「あえて希望を語る」、しかし「絶望しすぎず、希望を持ちすぎず」というスタンスは、リアリストを自認する著者の面目躍如であると同時に、われわれジャーナリストも学ぶべき姿勢である。【評者 岡田広行】
| 学校は誰のものか──学習者主権をめざして (講談社現代新書) | |
![]() | 戸田 忠雄 講談社 2007-09-19 売り上げランキング : 14633 おすすめ平均 ![]() 学校は、そこで生きている人々「社会」のものじゃないのかな? 摘出された、学校内の二つの秩序 学校教育の限界Amazonで詳しく見る by G-Tools |
親であれば、誰でも、子どもにとって「よい教師」がいる「よい学校」を選んで学ばせたいと思っている。しかし、現実はどうか。
教員の採用権を持つ地方教育委員会自体が問題ではないか。新規採用に関して不愉快な信じがたい話を仄聞する。校長の子弟が採用された、市会議員が採用に関与したなどである。真偽のほどは確かめがたいが、生徒にとって、迷惑な話である。このようなシステムの変更は可能か。
教育の諸悪の根源を排除するために「学校の競争原理の導入」を主張する本書は、「究極の処方箋」として、〔1〕学校の選択制の実施、〔2〕学習者による教員評価制の導入、〔3〕教育バウチャー(学校利用券)制の導入、を挙げている。
私的なことであるが、すでに十数年前、イギリスの市立の小学校では、まず3校の中からの選択、学年持ち上がりの場合に教師への拒否権の行使、など極めて機能的に運用されていた。
| ブランケット・キャッツ | |
![]() | 重松 清 朝日新聞社 2008-02-07 売り上げランキング : 4154 おすすめ平均 ![]() 猫でなくても… 猫から見た人の人生 著者らしいほんかわ作品です。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
借りてきた猫はおとなしいと相場が決まっているが、貸し出し専用の猫というものがリアルな世界で果たして存在しうるのかどうか、はなはだ疑問だ。しかも、生まれたときからなじんだ毛布が一枚あれば、どこででも眠れ、どんな飼い主にも、表面的にはなついてみせる……。猫の習性を知る者には、やや無理のある設定とも映る。
だが、現代人の心のすき間にするりと入り込み、理性の裏に潜む澱(おり)を掘り起こす小道具として、2泊3日のレンタル猫という筋立ては、なかなか秀逸だ。
収録されている7つの短編では、現代人が持つ心の鬱屈に、レンタル猫の存在を通して光を当てていく。
社会のひずみに沈みかけた自らをつなぎ留めようともがく大人、家庭的な問題を抱えながらも自己の存在を肯定し確立しようとする子ども。表面的には見えない小さな傷でも意外に根深い痛みをもたらす。共感とともに苦い味を残す秀作だ。
| わが安売り哲学 新装版 (中内攻シリーズ 第 1巻) | |
![]() | 中内 功 千倉書房 2007-10 売り上げランキング : 278417 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ダイエー創業者にして流通科学大学創設者中内B氏は、2005年に亡くなったが、長く時代の寵児であり続けた。
中内氏とダイエーは日本の流通革命をリードした。 最後は土地本位制に依存した資金調達とキャッシュフローを生まないやみくもな多角化により、ダイエーの経営は破綻するが、中内氏とダイエーの軌跡は良い面も悪い面も、ともに長く語り継がれるだろう。
本書は1969年に刊行された著書の新装版。本書を読むと、中内氏の消費者主権に懸けたパトスとロゴスが伝わってきて、現在でも価値を見いだせる内容がある。論理の展開と文体からは、毛沢東の革命論を想起させる生硬さがある。
その当時、流通革命は始まったばかりだったのだ。
生産者の流通支配力が強い日本で、価格を下げるためには、流通の力を強めなければならない。そのためには多店舗展開で流通が大きくならなければならない。中内氏の結論だった。
| これでダメなら投資信託はもうやめなさい―5年後に宝の山をつくる必勝クワドラント | |
![]() | 山口 哲生 徳間書店 2007-12 売り上げランキング : 59121 おすすめ平均 ![]() 投資信託の入門書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
タイトルは刺激的だが、地に足のついた投資の指南書である。普通の人が「手間をかけずに、無理なく、人並み以上にお金を殖やす方法」を紹介する。
成功する投資のメカニズムを、資産の性格を知る、資産を組み合わせる、長く続ける、という3つの要素に分解。そのうえで著者は、生命保険の営業マンとしての経験から、長期にわたる生命保険という商品の中で投資信託を活用することを提唱する。
「孝行息子」と「金の卵」を組み合わせる投資術や、最初は慎重に始め、時間をかけて徐々に投資のスピードを速める「雪だるま効果」など、実際の投資に役立つ実践本となっている。
類書に見られるような商品選びが中心ではなく、本書は投資の「正しい考え方」を伝授する。専門用語が少なく、投資初心者にもわかりやすい。「大きく儲けたいなら、儲けようと思ってはいけない」「哲学のある投資先を選ぶ」といった指摘には納得できる。
| 一生太らない体のつくり方―成長ホルモンが脂肪を燃やす! | |
![]() | 石井 直方 エクスナレッジ 2008-01 売り上げランキング : 847 おすすめ平均 ![]() ボディビルダー東大教授、筋トレのすすめAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者に聞く 東京大学大学院総合文化研究科教授 石井直方
筋肉をつけて太りにくい体にする
――太らない体をつくるには、食事制限や有酸素運動が必要ですが、まずウエートトレーニングをして体に筋肉をつけなければならないことを強調しています。
人間は加齢とともに筋肉の量が落ちてきます。筋肉は体の中でエネルギーを多く使う組織です。筋肉の量が落ちると安静時の代謝量が減ります。摂取するエネルギーの量はそれに見合って減らないので、体脂肪が増えて、体重も増えます。その結果、中高年の男性だと、体重が若いときの2倍になった、という人も珍しくありません。
若い女性ですと、手っ取り早く食事制限で体重を減らそうとします。人間の体は、飢餓に直面すると、エネルギーを多く消費し、生存を脅かす筋肉を減らして、生存に必要な脂肪をため込もうとします。食事制限で体重を減らすと、筋肉がより多く減ります。 その結果、安静時の代謝量も減り、食事制限をやめると体重が戻ります。筋肉が減っているので前より太りやすくなります。これを繰り返すと、30歳過ぎには取り返しがつかないところまで太ります。
同じ体重でも、ダイエットしていない体重のほうがよい状態なのです。体に筋肉をつけることが、体重を減らす必要条件になります。実験データによると、筋肉が1キログラム増えると、安静時の代謝は約50キロカロリー増えます。
――わずか50キロカロリーですか……。
2キログラム筋肉が増えて、約100キロカロリー。清涼飲料水1杯分くらいです。わずかといえばわずかですが、この100キロカロリーが極めて重要になります。
筋肉をまず2キログラム増やして、1日100キロカロリーを消費します。1日45分歩いて、100キロカロリー。それから食事で1日100キロカロリー。合計300キロカロリーを消費できれば、1年で体脂肪を約7キログラムも減らすことができるのです。
ダイエットは短期決戦ではなく、1年、2年の期間で行うことで効果が出ます。
――効果的な筋肉のつけ方のコツを教えてください。
通常フィットネスクラブでは、脂肪を燃やす有酸素運動を行い、それからマシントレーニングで筋肉をつける運動というメニューを勧めますが、まず、週2、3回マシントレーニングで筋肉をつける運動をして、それから残った時間を有酸素運動に充てるほうが効果があります。
それから、マシントレーニングをしてあまり時間の経たないうちにプロテインや牛乳、ヨーグルトなどタンパク質を多く含んだものを摂取すべきです。
マシンを使用する加圧トレーニングですと、最大負荷の80%くらいの重さで、8回程度のトレーニングを3回ほど行い、筋肉をつけます。 加圧トレーニングが大変という方には、スロートレーニングも有効です。
これはマシンより軽い負荷をダンベルや自分の体重などでかけますが、筋肉をゆっくり動かすことで、より大きな負荷をかけることになり、筋肉をつける方法です。
――市販されている体脂肪計は正確ですか。
目安と考えるべきです。時間、湿度など条件が違えば、その数値は信用できません。



固定為替時代の話だったなー
ケインズ経済学の限界を鋭く指摘。

タイトルに偽りあり





学校は、そこで生きている人々「社会」のものじゃないのかな?



