メイン > 週刊東洋経済書評 『ブックレビュー』 > 2007年3月3日~3月10日

「法令遵守」が日本を滅ぼす
「法令遵守」が日本を滅ぼす郷原 信郎

新潮社 2007-01-16
売り上げランキング : 89

おすすめ平均 star
star真のコンプライアンスを明かしてくれる本
starコンプライアンスに違和感を感じている人へ
star誰だ!「コンプライアンス」を「法令遵守」と訳したのは!

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本当の「法令遵守」は社会の要請に応えることだ

刺激的なタイトルだが、法曹現場に関する豊富な知見と冷静な分析に基づいた警告に満ちた書物である。

「法令遵守」は今や時代の要請となっているように見えるが、それが国を滅ぼすという。

それはなぜか。著者は、コンプライアンスを「法令遵守」と翻訳し、さらにその翻訳語に縛られて、本来の意味を見失っているからだという。本書の主張によれば、「社会の要請に応えること」にこそコンプライアンスという言葉の真の意味、価値がある。

それにもかかわらず、日本では法令がどのような社会的な要請に応えるために制定されているかを考えることなく、それに字義どおり従うことだと受け止められ、論議されている。

そのために、鉄道事故の際に身内の安否を問い合わせてきた電話に、個人情報保護を盾に回答しない病院の担当者が生まれる。あるいは、競争入札制度を定めた、すでに化石のようになっている会計法を墨守し、これを疑うこともなく従うことを「法令遵守」と勘違いし、この制度が現状にそぐわなくなっていることを見直そうとしない状態が続くことになる。

こうした問題点を、昨今の談合問題、証券市場をめぐるライブドア事件・村上ファンド事件、耐震強度偽装事件などを例に取り上げながら、本書はわかりやすく示している。

そして、怒濤のような「法令遵守」の大合唱を先導しているのが、マスコミの「善玉・悪玉」という単純明快な構図による報道姿勢であり、功を争うように展開される公正取引委員会や検察による「劇場型捜査」であると断じる。

法令に不備があれば、それに従うことだけでは社会の要請に応えたことにはならない。現実の経済社会は激しく変化しつつあり、制定法はそうした変化に十分には追いついていけるわけではない。

人間の認識は限定されているから、あらかじめすべての状況を予想して法令を定めるわけにはいかないし、立法の能力だけに変化への対応を求めることには無理がある。したがって、社会の個々の成員がそれぞれのおかれた立場で、本来の意味でのコンプライアンスを実行するためには、日々の主体的な判断が求められる。そこに組織が成長する道筋も見出されるという。

法に基づいて判断し、執行する主体としての司法にかかわる人々も日々判例を積み重ねることがますます重要になるが、それには、「社会的な要請を見極めた法の運用」を実現するための地道な努力が欠かせないだろう。手軽に手に取れる書物だから、ぜひとも一読を薦めたい。【評者 武田晴人 東京大学経済学部教授】

■2007/03/10, 週刊東洋経済

自由主義の二つの顔―価値多元主義と共生の政治哲学
自由主義の二つの顔―価値多元主義と共生の政治哲学ジョン グレイ John Gray 松野 弘

ミネルヴァ書房 2006-09
売り上げランキング : 15054

おすすめ平均 star
star今風の自由主義論

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市場経済原理主義は自由主義ではない

1980年代からサッチャー、レーガン政権の主導の下にハイエク、フリードマン流の新自由主義が世界的に流行し、日本も遅ればせながらその潮流に乗っている。

現在、世界的に進められているグローバリゼーションはその潮流に乗っているのだが、それは市場経済を原理とした単一の経済システムだけが絶対であり、それが正義を具現するものだという考え方に立っている。

これがはたしてリベラリズム(自由主義)といえるのだろうか。政治哲学にはロック、カント、ミル、ロールズなどのように、リベラリズムが絶対であるという考え方があると同時に、ホッブスを元祖としてヒューム、オークショット、バーリンのような別の流れがある。後者は、異質なものでありつづけるような、さまざまな価値や意見の世界の間の「暫定協定」を結ぶのがリベラリズムであるという考え方に立っている。

著者は後者の立場こそリベラリズムであるとし、今世界的に進行している新自由主義の流れを強く批判している。

「人間の発展にとってふさわしい生の形式は多様である」というのがこの「暫定協定」の立場であるとして、市場経済絶対主義を批判しているのである。

先に日本にも紹介された『グローバリズムという妄想』(日本経済新聞社)はグローバリズムに対する政治哲学者の批判として説得力をもっていたが、今回の本はさらに原理的にリベラリズムについての著者の考え方を述べたものである。

ただ、前著のように具体的な事象や事件をあげて説明するのでなく、抽象的、哲学的に述べているので、決して読みやすい本ではない。市場絶対主義が自由主義であると信じている財界人や経済学者にぜひ読んでもらいたい。【評者 奥村 宏 株式会社研究家】

■2007/03/10, 週刊東洋経済

映画監督って何だ!
映画監督って何だ!リンディホップスタジオ

愛育社 2006-11
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映画の著作権は監督にもある!

2006年秋、日本映画監督協会は創立70周年の記念に映画を作った。題して『映画監督って何だ!』。本書は映画に連動して作られたブックレットである。映画を監督することは、映画を創るということである。つまり、映画の「著作者」。だが驚いたことに、監督には著作者が持っているはずの権利「著作権」はない。映画が完成した途端に、それは監督の手を離れて映画会社のもとに移ることになっている。映画を作るには巨額の資金が必要なので、資金を出した映画会社に「著作権」があるという論理である。

それではあまりにも不当ではないかと、日本映画監督協会は長年主張してきた。そしてこのたび「著作権」の奪還を目指して、監督総出演という世にも珍しいプロパガンダ映画を作った。脚本・監督は伊藤俊也。女弁士の小泉今日子は別にして、男弁士の成田裕介以下200人近い出演者のほとんどが協会所属の監督である。

冒頭は時代劇。小栗康平演じる浪人と阪本順治扮する花魁の間に生まれた一粒種が、無慈悲な大家若松孝二に奪われるところから始まる。そして一転、衆議院文教委員会での審議のシーンに移る。追及する議員も答弁する政府役人も、もちろん監督である。小水一男はじめ、その役者ぶりはなかなか見事で迫力がある。音楽は宇崎竜童。協会員は実に多士済々である。

本書はたんなる映画の解説書ではない。エッセイありインタビューあり対談あり、監督たちが一丸となって「著作権」に真正面から立ち向かっている。

どんな作品でも表現者(著作者)が表現に関する権利を持っているべきだという監督協会の主張は、梶間俊一の「監督は映画の著作権者である」という一文に明快にまとめられている。全てはここから始まる。【評者 仲倉重郎 映画監督】

■2007/03/10, 週刊東洋経済

ヤバい情報収集術
ヤバい情報収集術小川 浩

中経出版 2007-02-14
売り上げランキング : 4849

おすすめ平均 star
starWeb2.0を利用した情報術
starこれからの時代、必携の書です

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米国のある大学の試験で学生の多くが同じ誤答をしていた。彼らはインターネット上のフリー百科事典であるウィキペディアを丸写ししていたのである。

このように、今では検索エンジン・グーグルと、それに載っている情報なくして、情報収集ができない時代になっている。

こうしたWeb2・0の時代に、ビジネスパーソンはどのように仕事に役立つ情報収集をすればいいのかを、本書では記述している。

タイトルはキワモノ的な感じを与えるが、内容は至ってまともで、内容も整理されている。

「2・0的スケジュール管理術を身につけよう」では、グーグル・カレンダーやスマートフォンの使い方を、「メールを上手に活用しよう」の項目では、他人の時間を奪わないメールの書き方を伝授する。

このほかブログの活用法など本書全体で、有益な情報収集と発信の技術を記述しており、サラリーマンの参考になる。

■2007/03/10, 週刊東洋経済

僕は八路軍の少年兵だった―中国人民解放軍での十年間
山口 盈文 (著)

不思議なことって、やはりあるものなのだ、本書を読んだ率直な感想である。

1944年、本書の著者は、予科練志望だったが、父親に反対され、満洲開拓青少年義勇軍に志願する。14歳であった。だが実際の義勇軍の生活は、同期の友人が先輩隊員の理不尽なリンチで落命するほど、「聞いて極楽、見て地獄」という悲惨な状態だった。

そして、ソ連軍の侵攻と関東軍の敵前逃亡。日本に帰国するために朝鮮を目指して逃避行を開始するが、八路軍に捕まる。結局、帰国の見込みもなく、「公光哲同志」として、八路軍の兵士となる。16歳だったために、戦友たちから「小公」と呼ばれた。衛生兵、寒中のゲリラ戦、遊撃戦、人民裁判で死刑となった被告の処刑、戦場で行方不明となり脱走兵の嫌疑と軍法裁判、模範兵士として表彰、朝鮮戦争に中国義勇軍兵士として参戦する。56年8月、興安丸で祖国に帰還。実に10年間の艱難辛苦な体験であった。

■2007/03/10, 週刊東洋経済

脱格差社会と雇用法制―法と経済学で考える
脱格差社会と雇用法制―法と経済学で考える福井 秀夫 大竹 文雄

日本評論社 2006-12
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おすすめ平均 star
star労働ビックバンのためのバイブル?

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政策的主張は強いが実証的根拠が弱い

本書の主張は、雇用に関する規制を撤廃し、労使間の自発的な契約や交渉を尊重すべきだという点に集約される。しかし、法と経済学の目的の一つは、市場取引や自発的な当事者間交渉が困難な環境において、望ましいルールを考えることにある。実際、近年の経済学の専門教育は、市場が円滑に作用しない環境での分析が大半を占める。

それにもかかわらず、本書の多くの章では、単に自由で自発的な取引の重要性を繰り返すばかりである。また、労働法の専門家が執筆者に参加しておらず、実際の解雇事件や労働現場の実態に関する記述もない。

評者は解雇規制の有効性に関する論文を書いているものの、規制に否定的な主張にも一定の根拠があると考えている。しかし、それは最近の学術的な成果を踏まえたうえで議論すべきであって、編者の福井氏に見られるように、これまでの研究成果を無視し、自らの信念に合う成果だけを紹介するのでは、専門家から疑問が出るだろう。

興味深いのは、データ分析を行った第7章大竹・奥平論文である。「判例体系CD-ROM」から整理解雇の事件を50年以上にわたり取り出し、裁判所が労働者寄りの判決を下す傾向がある都道府県は経済が停滞する(失業率が高く、就業率が低い)ことを示したと主張するが、評者は必ずしも同意しない。

著者らとは逆に、就業率が低いような環境では、労働者寄りの判決が出やすいという逆の因果関係もありうるためだ。データ分析の苦労を推し量りつつも、単なる相関関係以上の因果関係を主張するには、より十分な統計処理をする余地がある。

また、著者らの分析の前提としては、米国のように州ごとに独立した法律の運用が必要であるが、日本では、統一的な法律の運用がされ、しかも裁判官は3年ほどで転勤を重ねている。

裁判官が赴任先ごとにがらりと法運用を変えるのでもなければ、分析の前提が成立しない。都道府県別にみた労働者寄りの傾向を、解雇規制の厳しさとみるのは、どのように裁判官の判断が形成されるかなど、他の議論が必要であり、単に前提とするには無理がある。むしろ、地域間のばらつきから、裁判所の判断が経済環境に影響されている可能性をも示している。

それに、著者らも認識しているものの、サンプルの偏りは否定できない問題である。評者が他の研究者と行った調査データからみても、「判例体系」の偏ったデータだけで分析するのは不十分である。新しい試みとして評価できるものの、強い政策的主張を導くだけの実証的根拠を示しているとはいえず、今後の研究の蓄積が必要である。【評者 江口匡太 筑波大学助教授】

■2007/03/03, 週刊東洋経済

産業再生機構 事業再生の実践〈第1巻〉デューデリジェンスと事業再生計画の立案
産業再生機構 事業再生の実践〈第1巻〉デューデリジェンスと事業再生計画の立案産業再生機構

商事法務 2006-10
売り上げランキング : 6414

おすすめ平均 star
starたしかにアツイ
star「実務的」とはこういう本のこと

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産業再生機構 事業再生の実践〈第2巻〉債権者調整と債権買取手続
産業再生機構 事業再生の実践〈第2巻〉債権者調整と債権買取手続産業再生機構

商事法務 2006-10
売り上げランキング : 7122

おすすめ平均 star
star「やはり出た!」と言うべき価値ある本

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産業再生機構 事業再生の実践〈第3巻〉事業再生計画の実行
産業再生機構 事業再生の実践〈第3巻〉事業再生計画の実行産業再生機構

商事法務 2006-10
売り上げランキング : 7138

おすすめ平均 star
star久しぶりに出た再生の良書

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事業再生の経験とノウハウが学べる好著

産業再生機構は、2003年に業務を開始してから41の企業の再生支援を行ってきた。その中には、カネボウ、大京、ダイエー、ミサワホーム、鬼怒川温泉の老舗ホテル・旅館などを含んでいる。

再生機構には、発足当時、民業圧迫ではないかという議論もあった。しかし、これまで企業を処理し、再生させるというビジネスが日本には根付いておらず、しかも不良債権の処理が急務であったことから、公的な組織として発足した。

産業の再生と不良債権の処理のため、貸付け、債務保証、出資などを行い、要管理先債権を買い取る。買い取った債権は売却し、不採算事業を整理するなど事業の再構築を実行する。

機構は、産業再生ビジネスが根付いた以上は、みずから解散すべきであるとして、07年3月に解散される。一度作られた官僚機構が消えることがないのが日本の常識であった中で、見事な最後というべきだろう。

本書は、産業再生機構が、その活動を記録し、産業再生のための論点、ノウハウを整理したものである。これは発足当初から、機構の目的が、わが国事業再生マーケットの育成、という目的を含んでいたことからなされたことであるという。

再生機構には、41企業の多様な再生問題を処理したことから、広範で、包括的な多大なノウハウの蓄積がある。執筆者は、財務、会計、税務、不動産、法務、証券などの専門家である。 守秘義務に制約されてではあるが、生々しい記述も垣間見える。ただし、再生機構の事業再生の途中に会社法が改正されたことから、必ずしも現在の法律を前提としていない部分がある。多くの貴重な経験がここにある。事業再生の実務に携わる方には貴重なノウハウを伝えるものだろう。【評者 原田泰 大和総研チーフエコノミスト】

■2007/03/03, 週刊東洋経済

アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか―超大国に力を振るうユダヤ・ロビー
アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか―超大国に力を振るうユダヤ・ロビー佐藤 唯行

ダイヤモンド社 2006-12-01
売り上げランキング : 49087

おすすめ平均 star
starこの本はタブーに挑戦した

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米国ユダヤ人の卓越した政治的影響力の源泉を探る

米国の人口に占めるユダヤ人の比率は年々低下している。ユダヤ人の非ユダヤ人との婚姻の増加と、ユダヤ人の出生率の低さが原因である。現在、米国のユダヤ人は約560万人、米国の推定人口約3億人の2%弱である。だが、ユダヤ人の政治的影響力は、年々高まり、ユダヤ人人脈に取り囲まれていたクリントン大統領の時代に頂点に達し、現在のブッシュ政権でもイラク戦争開始などで政策を左右する位置にある。

2006年11月の中間選挙後のユダヤ人議員は、上院13人(定数の13%)、下院26人(定数の6%)とそれぞれ人口に比して、突出した数を誇る。米国の大統領や議員は、国内のユダヤ人が支持するイスラエルを「偏愛」しなければ、その政治的地位を維持できない状況にある。

米国ユダヤ人の政治的影響力が高まっている理由は、その政治的結束力と資金力に加え、人口7000万人と言われるキリスト教右派との同盟が成立しているためである。

本来、民主党支持者が大半で、政治的、文化的にもリベラル派が多いユダヤ人が、宗教的理由でイスラエルを支持するキリスト教右派と「同床異夢」の同盟を余儀なくされた理由などを、本書では分析している。

日本に脅威を与える北朝鮮の核問題は、「今そこにある危機」なのに、米国はこの解決を中国に丸投げし、さらに北朝鮮に対して融和的な政策を採用している。

片や、イランの核開発はまだ萌芽の段階なのに、軍事的圧力を加えてまで、核開発を阻止しようとしている。米国のイスラエルへの偏愛は明らかだろう。本書では歴代大統領とユダヤ人ロビーの関係などが記述されており、興味深い。ユダヤ人の政治的影響力を知らずに、米国政治を理解することはできない。【評者 内田通夫 本誌】

■2007/03/03, 週刊東洋経済

諜報機関に騙されるな!
諜報機関に騙されるな!野田 敬生

筑摩書房 2007-01-10
売り上げランキング : 5915

おすすめ平均 star
star一筋縄・一朝一夕ではいかない世界
starインテリジェンスは水晶玉占いにもなりうる

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スパイは、旧約聖書の言葉を借りるまでもなく、人間にとって最も古い職業の一つだ。

ソ連・東欧諸国の崩壊で、東西で相対した情報機関は、開店休業になり、後はスパイ小説の中だけの存在と言われていたが、「9・11」の「対テロ戦争」をめぐる情報大国アメリカのCIA、情報先進国イギリスのMI6の失敗、ロンドンでのロシアFSBの元職員の暗殺など、もう一度、世界の諜報機関の不気味な動きに注視せざるを得ない状況となっている。

それでは、各国の謀報機関はどうなっているのだろうか。本書は、「アルカイダ――“対テロ戦争”の実態」「中国・ロシア――スパイ技術の精髄」「朝鮮半島―― “極東の火薬庫”で繰り広げられる情報戦」「監察――情報機関の暴走は抑えられるか?」の5章からなり、いずれも、新書版には珍しく、きちんとした後注が付けられ、腰を据えてじっくり読ませる内容である。

■2007/03/03, 週刊東洋経済

地域再生の条件
地域再生の条件本間 義人

岩波書店 2007-01
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おすすめ平均 star
star見聞事例をもっと出した方がよかった。

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地域の衰退、疲弊がメディアで毎日のように報道されている。地域の衰退の原因は何か。どうすれば地域は再生できるのか。

都市・住宅政策、国土地域政策を専門とする著者が分析していく。

国土の均衡ある発展を目指して、1962年から98年に策定された第5次計画まで、半世紀近く展開された全国総合開発計画の失敗に、著者はその原因を求める。

この結果、自然と社会資源が破壊され、地域の国へのぶら下がり体質と、土木国家的体質を植え付けてしまった。また、農業、林業など第1次産業の政策失敗も地域を疲弊させることになった。

こうした日本の悲惨な地域の現状を直視して、自然と環境、人権、弱者保護の観点から、地域の再生を図る活動を、著者は多方面から紹介する。ただ、「住民が街を造る」という視点は重要だが、大きな影響力を持つ行政の最新の動きを記述してほしかった。

■2007/03/03, 週刊東洋経済

イエズス会の世界戦略
イエズス会の世界戦略高橋 裕史

講談社 2006-10-11
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人類が生んだ現存する最大・最強の組織はカトリック教会だろう。その前衛組織として16世紀に生まれ、プロテスタント勢力の宗教改革が全欧州に広がることを阻止し、同時に中南米、アジア、アフリカなどで世界布教を推進したのが、イエズス会だ。

日本の近世への門戸を開いたのもイエズス会の宣教師たちだ。フランシスコ・ザビエルや織田信長の近くにいて、『日本史』を書いたフロイスなど、イエズス会の宣教師が活躍した。

本書は日本を中心に、中国、インドなどアジアでのイエズス会の活動を記述している。現在の日本のキリスト教徒は新旧合わせて人口の1%足らずだが、17世紀のキリシタン弾圧前は、人口の5%程度(推定)となり、イエズス会は人、モノ、カネの経営資源を日本に重点的に投入している。長崎はイエズス会の「領地」になったほどだ。徳川幕府の禁教により、布教は最期を迎えるが、日本における活動の軌跡は興味深い。

■2007/03/03, 週刊東洋経済

スポーツの百科事典
スポーツの百科事典小田 伸午 田口 貞善

丸善 2007-01-17
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われわれは日ごろ、さまざまなスポーツを自ら体験したり、観戦したり、結構、身近なものとして、楽しんでいる。一方、スポーツ競技で世界のトップを目指すには、フィジカルトレーニング、メンタルトレーニングからスポーツ工学といわれる分野までの、幅広い総合的な研究が必要となってきている。

本書では、16分野が設けられ、そのおのおのは「みる・きく・よむ」「おしえる」「いきる」「まもる」などと続き「きたえる」、そして最後は「ジェンダー」となっている。

さらに、アスリート経験者の解説、現場の指導者の体験談、現役アスリートの写真や図版など、実に臨場感のある面白い内容になっている。たとえば、ハンマー投げの室伏重信の息子の広治を例に挙げながらの解説、ミュンヘンオリンピックの金メダリストの田口信教の解説、北島康介のサメ肌・低抵抗水着の開発者、松崎健の解説など、枚挙にいとまなしである。

■2007/03/03, 週刊東洋経済

沸騰時代の肖像 PORTRAITS OF THE 60s
沸騰時代の肖像 PORTRAITS OF THE 60s石黒 健治

文遊社 2006-11-30
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ペルソナを脱いだ寵児たちの熱き素顔

懐かしい顔が並んでいる。 60年安保から70年代にかけて日本の文化シーンを賑わせた人びと。東京オリンピックをはさみ、高度経済成長の熱気とそれにアンチを唱える反体制の空気。それはやがて来る、70年代初頭の石油ショックと浅間山荘事件に象徴される閉塞とシラケの前の混沌とした時代だった。

吉永小百合、ピーター、山崎努、美輪明宏、瑳峨三智子、石橋蓮司+緑魔子、水原弘、奥村チヨ、荒木一郎、浅川マキ、麻丘めぐみ、日野皓正、寺山修司、唐十郎、土方巽、五木寛之、安部公房、深沢七郎、植草甚一、澁澤龍f、針生一郎、若松孝二+足立正生、大島渚、つげ義春、ジョージ秋山、横尾忠則、釜本邦茂。

物故者もいる。若い読者のために各人の肩書きを記してほしかった。彼らの表情は時と同調した生き生きとしたものだが、一方で、明日をも知れない茫漠感も漂っている。

石黒作品のユニークさはふだん観ることがないこれらの人の素顔のようでいて、また異次元の虚像を写していること。一連の仕事は『アサヒグラフ』や『婦人公論』などの依頼を受けたもので、当時『アサヒグラフ』は先駆的な手法の森山大道、中平卓馬などにも写真を撮らせていた。

著者石黒は60年代、アメリカで産声をあげた〈コンテンポラリーフォト〉という静的な日常を捉えた新しい写真潮流に影響された。写真集『広島 HIROSIMA NOW』では原爆痕は直接出ず、淡々とした戦後の広島の風景を描写する。石黒は今村昌平作品『人間蒸発』の映画カメラも担当した。写真家へのオマージュか、トリの頁にベトナム報道で第二のロバート・キャパと呼ばれた故岡村昭彦が収められている。【評者 写真家 中川道夫】

■2007/03/03, 週刊東洋経済

【東洋経済新報社からの近刊本】

若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか
若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか渡邉 正裕

東洋経済新報社 2007-02-23
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脱フリーター社会―大人たちにできること
脱フリーター社会―大人たちにできること橘木 俊詔

東洋経済新報社 2004-11
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おすすめ平均 star
star中身のない軽薄な本
star単著にするのはきわめて不誠実なうえ、中身もまったく不十分。

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会社を選ぶ技術を身につけるには

厳しい「就職氷河期」が去り、就職・転職は売り手市場となった。が、会社選びを間違えると、「下流社会」に陥りかねない昨今。そんな中、会社選びの技術を記した本が出版された。

『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』(渡邉正裕著)がそうだ。著者は『これが働きたい会社だ』『企業ミシュラン』などの著作を持つ気鋭のジャーナリスト。

若者は、一般的なイメージで会社を選びがちで、そこに採る側と勤める側のミスマッチが多発する。

本書は独自のルートで広報部を通さず多くの企業の現役社員を取材しているのが特徴だ。賃金水準から評価制度、社風まで、会社説明会では聞くことができないネタを明かしている(しかも企業の実名入り)。

就職・転職を希望する若者だけでなく、その年齢の子どもを持つ親御さんもご一読いただきたい。

関連図書として『脱フリーター社会』(橘木俊詔著)もおすすめしたい。若者の5人に1人がフリーターという時代に、教師、親、国が何をすべきかを提言している好著である。

■2007/03/03, 週刊東洋経済

■1月22日発売

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戦略的ビジネスプランで実現する株式公開大崎 慎一 増田 孝夫

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Think! No.20(2007 WINTER) (20)
Think! No.20(2007 WINTER) (20)
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■1月29日発売

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続80対20の法則を覆す ロングテール戦略菅谷 義博

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star初心者から中級者までいけます
star続編だけに

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不動産保有の意味を問う―オフバランスによる企業価値の創出三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部 小沢 善哉

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反経営学の経営常盤 文克

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おすすめ平均 star
starまたしても同じことの繰り返しだった。

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計量経済学大全蓑谷 千凰彦

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寺島実郎の発言 2 (2)
寺島実郎の発言 2 (2)寺島 実郎

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内部監査実践ガイド箱田 順哉

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新聞の時代錯誤―朽ちる第四権力大塚 将司

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star衝撃の問題作、関係者必読の一冊

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■2007/03/03, 週刊東洋経済

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