メイン > 週刊東洋経済書評 『ブックレビュー』 > 2007年3月31日~4月7日

模倣社会 -忍び寄る模倣品犯罪の恐怖
模倣社会 -忍び寄る模倣品犯罪の恐怖パット・ チョート 橋本 碩也

税務経理協会 2006-10-23
売り上げランキング : 70230


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知的財産権攻防の歴史を圧倒的な取材と迫力で描く

本書は、アメリカ、日本、中国、ドイツ等世界中の企業が、その対応に頭を悩ませている模倣品、海賊版など知的財産侵害問題について、当代随一の政治経済学者が重厚な取材と圧倒的な筆力で語った知的財産模倣に関する大著である。

「模倣」問題は、知的財産問題における基本的で、かつ最重要な問題ではあるが、極めてやっかいな問題である。

本書においては、知的財産の本質的機能・役割、保護制度の制度設計、制度の運用・戦略等について模倣をテーマに歴史的に、また、現状と本来のあるべき姿等について、迫力満点に鋭く表現している。

「すなわち、模倣は知的財産権の侵害であり、百害の根源である。また、知的財産権は多様で、富の中心であるが、その制度設計、特にエンフォースメント(法執行)制度が適切でなければイノベーションの実効性も上がらない。という基本的スタンスに基づき、アメリカの特許制度の経験、国際的特許戦争、著作戦争等を参照しながら、模倣問題の国際的解決方法も提示する」

模倣とは何かについて我が国においては、「他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう」と定義している(不正競争防止法第2条5項)。そして、「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」を不正競争行為と規定している(同法第2条1項3号)。しかし、そのエンフォースメントについては、それほど実効性は明確ではない。

本書は、知的財産分野における各国の法的制度設計や、その運用・施策および戦略等につき、政治・経済・企業の表側、裏側から指摘している。

知的財産制度の制度設計、法的解釈・運用、そして、企業経営における戦略は、経済、文化政策であって、一国または国を取り巻く国際関係を考慮して、総合政策的に採用、決定されていくべきものであろう。

また、知的財産制度は、企業、産業、文化の持続的発展に必須のイノベーション(創新)を下支えする機能、役割を本質的に有するものであり、技術、産業、文化の進展に伴って、宿命的にそれらの後追性を持ちながら年々改革していくことが期待される。

本書は、日本の知的財産制度に対する批判的指摘も含まれているが、知的財産問題の本質、制度設計のあり方の現実的問題点、企業経営における知的財産戦略に参考となろう。【評者 石田正泰 東京理科大学専門職大学院教授】

■2007/04/07, 週刊東洋経済

実践中小企業の新規事業開発―町工場から上場企業への飛躍
実践中小企業の新規事業開発―町工場から上場企業への飛躍柳 孝一 堀井 朝運

中央経済社 2007-02
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おすすめ平均 star
star素晴しい!

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町工場を上場企業に育てた経営者の実践経営論

本書は、田舎の町工場を東証一部上場企業に飛躍させた経営者が歩んだ道を、自らケーススタディー的に解きほぐした貴重な文献である。本書では実体験に基づく極めて具体的な事例が述べられているが、そこからは普遍的な経営手法や経営哲学が感じとれる。私は本書を読んで、どこにでもいそうな、しかし非凡な日本型経営者の実践というものを垣間見た思いがした。

本書の本質を理解してもらうには、内容を逐一解説するより、堀井朝運氏の経歴を紹介する方が適切だろう。1957年大学卒業後直ちに、長男だからということで郷里に呼び戻され、長野県の片田舎にある町工場タカノに入社した。想像していた会社とはあまりにも違いすぎて、何度も辞めようと思ったが、88年には、10年後に自分の長男に譲るという条件で、創業者から二代目社長を託された。

「中継ぎ」という立場にもかかわらず大胆な企業革新に挑戦し、中堅ながら世界を相手にする優良企業に育て上げた。大学や研究機関を最大限活用して中小企業としての弱点をカバーしているところは見事だ。堀井氏に国際人としての訓練を受ける機会があったとは思えないが、アメリカの大学との産学連携に積極的に取り組み、顕著な成果を上げていることにも驚く。

堀井氏の生き方に最も興味を持ったのは、社長・会長を辞して後、経営大学院に入学し、自分の歩んだ道を体系化する努力をした点である。さらにアメリカの大学にも留学し、それらの成果の一つとして本書はまとめられた。松下幸之助氏や本田宗一郎氏のような偉大な創業者にも感銘を受けるが、堀井氏のような地味な経営者が日本経済を支えてくれたことに改めて感謝したい。「町工場から上場企業への飛躍」を志す人たちにとって極めて具体的な手引きになる。【評者 西村吉正 早稲田大学ビジネススクール教授】

■2007/04/07, 週刊東洋経済

ガルシア=マルケスに葬られた女
ガルシア=マルケスに葬られた女藤原 章生

集英社 2007-01
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おすすめ平均 star
starノーベル賞作家の不実をせめる

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ひとりの女性を犠牲にして名声を得たノーベル賞作家

1951年、中米・コロンビアのある田舎町で起きた花嫁の処女性をめぐる殺人事件。遠い昔の話なのに現在でも若者たちはその渦中の「元小学校教師」だった女性の名前をフルネームで覚えている。『百年の孤独』でコロンビア人として初めてノーベル文学賞を受けたガルシア=マルケスが、この忌まわしい事件をテーマとする『予告された殺人の記録』を81年に発表したためであろう。登場人物名は変えていたが、容易に人物の特定可能な、センセーショナルな「モデル小説」である。

この小説の語り手は、ガルシア=マルケス自身であり、しかも彼女とは幼なじみのいとこの関係であった。この作品の強烈さ、あるいは不自然さに動かされた「私」は、この事件の真相を究明するために彼女自身、そして彼女の親戚の人や知人、彼女を取材したためにカトリックの神父になった元新聞記者、作家の実弟などを取材し、その都度「私」が抱いた印象を彼女にしたためた12編の私信、これが本書である。

「事実に勝る小説はない」と豪語する作家は、絶版を求める彼女の哀願にも応じようとしない。彼の言葉を裏づけるかのごとく、この事件は独り歩きする。

そして、死の床に横たわる彼女に差し出した「私」の最後の手紙は、「身近な者たちの触れたくない面や出来事を紙に綴って売り歩く物書きは、そんなに誉められた仕事ではないのです。(中略)ただ、彼は、あなたの人生を台無しにし、あなたを傷つけ、そして無視し続けた。これは紛れもない事実です。そんな彼をあなたを許そうとした」と結んでいる。

本書は、ガルシア=マルケスに葬られた女性の復活と、文学の持ついわば命がけの使命を蔑ろにした作家の末路を暗示しているようである。【評者 川成洋 法政大学工学部教授】

■2007/04/07, 週刊東洋経済

全予測2030年のニッポン―世界、経済、技術はこう変わる
全予測2030年のニッポン―世界、経済、技術はこう変わる三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部

日本経済新聞出版社 2007-02
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おすすめ平均 star
starタイムリーな本である

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景気回復とともに将来への不安感が薄れている。しかし、本来は景気回復しつつある今こそ、長期的な視野から将来への布石を打つべきだ。その意味で、時宜を得た刊行といっていい。

変化の速い現代、という枕詞が多用される現代、20年後の予測などできるわけはない、と見る向きも多いだろう。確かに地政学的な観点からはそういう面もあるが、技術開発のスピードは、実はそれほど大きく予測をはずれることはない。 

1990年ころ、10~20年後には、と語られていたデジタルテレビの普及や音楽メディアの配信システムは、ちょうどいま開花期を迎えている。20年後には超電導の実用化が進み、量子コンピュータも実用化の段階に入る。こういった技術的な専門知識や技術開発ロードマップ、さらに世界人口増加の減速や資源埋蔵量などマクロデータをベースに、身近な例を挙げながら網羅的に解説してあり、幅広い視点から「20年後」を俯瞰するのに役立つ。

■2007/04/07, 週刊東洋経済

格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族
格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族山田 昌弘 伊藤 守

大和書房 2007-03-08
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『希望格差社会』などの著者山田昌弘氏とコーチングの第一人者伊藤守氏が新たな格差問題を分析する注目の書である。

本書の構成は、
 第1章 新たな格差の出現とその理由、
 第2章 格差スパイラルに関わる社会問題、
 第3章 負のコミュニケーションと若年層労働者
 第4章 “実感”できぬ格差を生き抜くために、
となっている。

本書の副題は、「コミュニケーションで二極化する仕事、家族」とあるように、これからの社会を生き抜く必須コミュニケーション能力の大切さを強調する。

子供の学力やコミュニケーション能力は、家庭の知的環境に左右されるところが大きいことが経験上知られている。

家庭の知的環境やコミュニケーション能力が高い子供は「上」へ進み、そうでない子供は「下」に向かうスパイラルの怖さを指摘する。まず、家庭の再構築が求められている。

■2007/04/07, 週刊東洋経済

秘密結社フリーメイソンリー
秘密結社フリーメイソンリー湯浅 慎一

太陽出版 2006-12
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フリーメーソンの起源は、その性質上、諸説がある。有力説としては、11~13世紀のヨーロッパに広まったロマネスク建築と関係がある。それまでの木造の教会が白い石造りの教会に生まれ変わった。そのため建設の専門家「フリー(一人前の)メーソン(石工)」の団体が、各地で教会建設に関与して移動した。彼らは自らの技能の秘密保持のために「石工ギルド」を結成し、いつの間にか、各地で見聞した「社会的なもの」も伝達するようになったと思われる。

フリーメーソンは、議会制、共和制、立憲君主制、政教分離、信仰の自由、思想の自由などを標榜したために、かつては「陰謀団体」のように断罪されたが、本書はこうした烙印を払拭し、いかに人類史において貢献したか、具体的には、カトリック教会との関係、ドイツ啓蒙主義との関係、ヨーロッパ各国の王朝との政治的な関係、アメリカ革命などで果たした独自の役割を詳らかにする。

■2007/04/07, 週刊東洋経済

絵解きヨーロッパ中世の夢
絵解きヨーロッパ中世の夢ジャック・ル・ゴフ 橘 明美

原書房 2007-02
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ヨーロッパの中世といえば、われわれの教科書では、「暗黒」「闇」という烙印が押されている。この中世のイメージは、18世紀の啓蒙思想時代の産物であり、19世紀のロマン派が、この中世の世界、とりわけ想像世界を再確認し、さらに甦らせたのである。それは、もちろん歴史と伝説、現実と想像が混ぜこぜになった世界である。

本書はこうした中世の想像世界を、「中世の夢」として紹介している。それは、まさに中世の人びとの目を見開かせ、その精神を呼び覚ました、幾分漠然とした「大衆文化」といわれるものであろう。例えば、歴史上の人物、半ば伝説上の人物、あるいは伝説上の人物、大聖堂、城塞、修道院、コカーニュの国(桃源郷)、ジョングール(大道芸人)、一角獣、メリュジーヌ(下半身に翼のある蛇の姿の女性)、マリーン(善・悪の両面を持つ預言者)、エルカンの一党(猛り狂う幽霊集団)など、実にユニークな世界である。

■2007/04/07, 週刊東洋経済

日米通貨交渉―20年目の真実
日米通貨交渉―20年目の真実滝田 洋一 鹿島平和研究所

日本経済新聞社 2006-12
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おすすめ平均 star
star改めて考える「国益とは何か」
star高い評価はつけられない

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日本は通貨交渉でなぜ米国に敗れたか

プラザ合意(1985年)による急激な円高は、日本経済に極めて大きな衝撃を与えた。その後のバブルの発生・崩壊の原因であり、またアジアへの生産拠点のシフトや中国経済台頭の背景でもある。これらは「失われた10年」につながっている。

私の講義ではこの時期の分析が一つの売り物なのだが、あるとき学生から「先生はずいぶん昔の話をしますね」と言われて愕然とした。そう言われてみると、あのプラザ合意からすでに20年余りが経ってしまった。彼らはまだ生まれていなかったのだ。

本書は「歴史には輝いている時代がある。日本経済に関していえば、それは一九八〇年代から九〇年にかけてだろう」との書き出しで始まる。

今の若い人たちはあの上り詰めた時代の肌触りを知らない。「第二次世界大戦で敗れた日本は、国民が勤勉に働き官民が緊密に協力する『日本株式会社』となり、世界第二の経済パワーとして復活した」。

だが、この事実は、日本の庇護者をもって任じていた米国にとって面白いはずがない。当時の日米交渉は、経済大国として台頭する日本をいかにして制御するのかという、米国側のさまざまな試みだった。

本書はそのような日米金融・通貨交渉をめぐるドキュメンタリーである。交渉責任者の応接録や回想が素材になっている。

政治任用の米国側担当者の自分の将来をかけたしつような攻撃と、組織の和と根回しが不可欠の日本側担当者の防御が火花を散らす。日本側が反撃に出ることもあるが、米国に安全保障の首根っこを押さえられているからしょせん限界がある。

しかしあのころは上質な政治家と官僚はかなりうまく連係プレーをしていた。トップダウン方式も結構機能している。

プラザ合意に際して、「敗戦以来雲の上の存在だったアメリカから、助けて欲しいと頭を下げて頼まれたのは感慨無量だった」という竹下登蔵相(当時)の述懐は私も直接伺ったことがある。

しかし円は糸の切れた凧のように上昇する。後任の宮澤喜一蔵相(当時)は「どこまで円高にするかということまでしっかりと決めないでやったことが失敗だったのではないですか」と眉をひそめる。

しかも米国側が「結局、円高や金融自由化は通商摩擦と直接関係なかったね」と言わんばかりなのには苦笑する。

プラザ合意などをめぐってはすでに多くの名著があるが、あれから20年、本書であの時代をもう一度噛み締めてみたい。生まれる前だった若者にも是非読んで欲しい。【評者 西村吉正 早稲田大学ビジネススクール教授】

■2007/03/31, 週刊東洋経済

女学校と女学生―教養・たしなみ・モダン文化
女学校と女学生―教養・たしなみ・モダン文化稲垣 恭子

中央公論新社 2007-02
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女学生文化を再現する見事な筆力に脱帽

高等女学校(戦前女子の実質的最高学府)生に代表される女学生が社会のなかで一定の厚みを持ち始める明治末あたりから、女学生ネタが新聞や雑誌をにぎわせ続けた。

女学校進学のために上京したが、虚栄にそまり、お金ほしさに富豪の妾となった女学生。誘惑され、身ごもり、捨てられる女学生などの「堕落女学生」論。女学生の読書好きも芸術への憧れも浅くて軽薄な代物だと非難する。

しかし、この種の女学生論は、おじさんがおじさんのために論じたものである。だから語り、消費するものたちの欲望と不安を表出しているにすぎない、と著者は喝破する。当の女学生のほうは、おじさん的女学生論をすりぬけ、ときにはそれを利用しながら、独自の世界を作り続けてきた。

本書は、そうした、したたかでもあり、無垢でもある女学生文化を彼女たちの手紙や日記、エス(女同士の友愛)などを通じて、拾い上げ、生き生きと再現する。彼女たちの間に独特のサブカルチャーが形成されていたからこそ、卒業後もお互いをファーストネームで呼び合う仲となり、女学校という「思い出共同体」がいつまでも続いたのだ、という。

女学生によるニックネームや隠語などにも触れていて思わず笑ってしまう。「ナフタリン」は「虫の好かない教師」という按配である。しかし、おじさんたちは女学生文化ののぞき見を楽しんでばかりもいられない。

学問と読書に偏った男の教養が実は狭く田舎臭いものであることなど、男インテリへの鋭い棘が要所におかれている。「軽薄でもよくってよ」とでもいいたげな、お茶目でちょっぴりコケットリーな女学生像をよみがえらせ、ほろ甘さとほろ苦さを仕掛ける筆力がみごとである。【評者 竹内洋 関西大学文学部教授】

■2007/03/31, 週刊東洋経済

外国人研修生殺人事件
外国人研修生殺人事件安田 浩一

七ツ森書館 2007-02
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現代の奴隷労働、人身売買の驚くべき実態を解明する

2006年8月18日、千葉県木更津市の養豚場で殺人事件が起きた。犯人は中国人の研修生で、被害者は中国人研修生を農家に斡旋していた農業協会の役員だった。中国人研修生が養豚場の給料があまりにも安いことに抗議したことから事件が起こったのだが、開発途上国に対する技術、技能を通じた国際社会への貢献を目的とした外国人研修制度が、実は現代の奴隷労働と人身売買の制度になってしまっている、という驚くべき事実を伝えている。  

著者は犯人の家族を中国東北地方のチチハルにまで訪ね、さらに中国の研修生送り出し機関で取材し、また日本の受け入れ機関を訪問して、その実態を詳しく記述している。

研修生になるためには中国の送り出し機関に対して、保証金や手数料として日本円にして120万円も払わなければならない。そこで犯人の親は家と土地の使用権を売り、さらに親戚や友人から借金をした。もし研修生が途中で帰国させられると、保証金が没収されることになっているが、それを恐れて犯人が事件を起こしたのである。

さらに中国の送り出し機関が日本への研修生派遣をビジネスとして、ピンハネをしている実態に迫るとともに、日本側の受け入れ機関についても、そのいかがわしさを詳しく取材している。また岐阜や福井、青森などの縫製工場での外国人研修生の実態について取材し、かつての革新派の労働運動家や政治家が、日中友好事業としてこの研修生派遣事業に関係していることも報告している。

著者はフリーのジャーナリストだが、自腹を切って中国にまで出かけて取材し、この事業に関係する機関にしつこく取材している。いまどきこのような志のあるジャーナリストがいるとは、感動的な話である。【評者 奥村宏 株式会社研究家】

■2007/03/31, 週刊東洋経済

それでも脳は学習する
それでも脳は学習する山田 規畝子

講談社 2007-02-27
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「高次脳機能障害」とは、交通事故や脳血管疾患により脳を損傷した人が、言語、記憶、思考などの認知能力に障害が生じることをいう。外見は障害者に見えない場合が多く、同障害の患者はさまざまな困難を抱えている。著者は東京女子医科大学在学中に脳出血を起こす。卒業後に整形外科医となるが、その後2回の脳出血があり、同障害者になった。現在は同障害に関する原稿執筆や講演活動を行っている。

同障害と向き合う経緯を綴った「壊れた脳 生存する知」は各メディアに取り上げられて大きな反響を呼んだ。2冊目となる本書はその後のエッセイを集めたもの。社会での認知度の低い同障害を多くの人に知ってもらうために、日常をさらけ出している。本書は患者と医師の両方の立場から書かれており、同障害の第一人者、昭和大学医学部の河村満教授は「医療や介護に関わる人達の実践に役立つし、一般の人には著者の姿が感動を与える」という。

■2007/03/31, 週刊東洋経済

スキミング―知らないうちに預金が抜き盗られる
スキミング―知らないうちに預金が抜き盗られる松村 喜秀

扶桑社 2007-02
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おすすめ平均 star
star安全とは言えない

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本書は2007年2月に創刊された扶桑社新書の2冊目。副題は「知らないうちに預金が抜き盗られる」。

著者は電子技術者で、あの北朝鮮製の偽100ドル紙幣「スーパーK」の発見者である。

 構成は、第1章「カード情報はこうして盗まれる」。
 第2章「次世代カード神話の落とし穴」。
 第3章「盗まれた情報は、こうして使われる」。
 第4章「スキミング犯罪 その現状と対策」。
 第5章「日本のセキュリティは大丈夫か?」。

旧来型の磁気方式のATMカードがスキミングが容易なことからICカードへの転換が進んでいるが、ICカードでもスキミングが十分に可能という。

「スイカ」「パスモ」など非接触式のICカードが普及しているが、非接触式のICカードもスキミングされると著者は語る。

知らない間にカードを盗まれ、銀行口座から毎月自動引き落としされるケースも紹介する。

■2007/03/31, 週刊東洋経済

食材魚貝大百科 別巻1 (5)
食材魚貝大百科 別巻1 (5)河野 博 茂木 正人 中村 庸夫

平凡社 2007-02
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日本人の中に「いつかマグロが食べられなくなるの?」という漠然とした不安感が漂っている。だからこそ、マグロの実態を広く知って、消費者として賢い選択をしようというのが本書の狙い。

日本人とマグロの歴史、クロマグロ、ミナミマグロの漁獲枠削減問題、流通と市場の概要、料理法。とにかくマグロに関するありとあらゆることが解説されている。写真と図表もふんだんで、まさに「すべて」というボリューム感である。

イタリアのシチリア島ではギリシャ・ローマ時代からマグロ漁が盛んで、日本人と同じように生で食べる習慣もあるという。

イタリア映画界の巨匠、ロベルト・ロッセリーニは『ストロンボリ』で、シチリアのマグロ漁を描く。イングリッド・バーグマンとの恋愛騒動でも知られる作品だ。

これくらいマグロの知識を詰め込めば、おそらくすし屋でのトロの味もどこか違ってくるだろう。

■2007/03/31, 週刊東洋経済

タウトが撮ったニッポン
タウトが撮ったニッポン酒井 道夫 沢 良子

武蔵野美術大学出版局 2007-02
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おすすめ平均 star
star意外なタウト!

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桂離宮を発見したドイツ人が見た「美しい国」

日本の清楚な建築美といえば誰もが桂離宮を思い浮かべる。庭園と書院・茶室等で一体化したこの空間は、東洋的な幽玄さと合理的な機能美を感じさせてモダニズム建築にも通底するといわれた。だが、この桂離宮は、いちドイツ人建築家の言説があるまでは〈すごいもの〉だという認識は一般の日本人にはなかったという。

「泣きたくなるほど美しい」と桂を讃えたのはブルーノ・タウト。コルビュジェ、グロピウスらとともに欧州を代表的する建築家として知られていたが、ナチスドイツから追われるようにして日本にやってきた。  ただ、日本では『日本美の再発見』など著述では大成功しつつ、建築は僅かな作品しか残せず、自ら「建築家の休暇」というほど恵まれたものではなかった。彼の滞在は1933年から3年半。憧れだった日本各地を見て歩いた。

本書はその彼の旅の写真アルバムを著作化したものだ。

タウトの写真はピントが甘く妙にボケ、ブレている。使用されたのはコダック社製の日本ではヴェス単と呼ばれた蛇腹の折畳み式小型カメラだ。廉価だが通常の撮影法でも鮮明な映像ができるはず。彼はレンズフードを外し、入光線の乱反射を生じさせてソフトフォーカスにしたのか。

また手ぶれなど気にもせず好奇心のままシャッターを押している。建築物ばかりでない。有名景勝地、農村、スラム、祭りや葬儀、職人、少女のおんぶ姿、亡き主人を待つ忠犬ハチ公など。タウトは子どものような無垢な目線でその情景をながめ、市井の人びとの生の息吹が伝わってくる。タウトのいっときの閑暇な日々が瑞々しい日本を記録した。【評者 写真家 中川道夫】

■2007/03/31, 週刊東洋経済

【東洋経済新報社からの近刊本】

大金持ちをランチに誘え! 世界的グルが教える「大量行動の原則」
大金持ちをランチに誘え! 世界的グルが教える「大量行動の原則」ダン・ケネディ 枝廣 淳子

東洋経済新報社 2007-03-30
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究極のマーケティングプラン シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブル
究極のマーケティングプラン シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブルダン・ケネディ 神田 昌典 齋藤 慎子

東洋経済新報社 2007-03-30
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成功者の法則とは?

全米一のコンサルタント、ダン・ケネディの翻訳書が出版されたので紹介しよう。まず『大金持ちをランチに誘え!』(枝廣淳子訳)。成功する人としない人の違いは、やるか、やらないか。成功する人は行動し、しかも同時にたくさん行動する、と著者は言う。

例えば、資金繰りに苦しむ経営者は、大抵一つ、二つの可能性を追っただけで諦めてしまう。ところが著者は融資に関する16項目を同時に行うことを提案。実践した経営者は、見事長期融資を獲得するのだ。

これが著者の説く「大量行動の原則」。多くの成功者は、この原則を実践していたという。成功の原則は「行動あるのみ」というのが、シンプルでわかりやすい。

次は『究極のマーケティングプラン』(神田正典監訳)。ダイレクトマーケティングで即効性のある手法を実例とともに解説している。本書を読めば売る力が湧いてくること間違いなし。

『大金持ち』は著者の主催する高額セミナーのテキスト、『究極の』は91年に刊行された名著。ともに待望の翻訳出版である。

■2007/03/31, 週刊東洋経済

■3月12日発売

株で成功するための「会社四季報」徹底活用法
株で成功するための「会社四季報」徹底活用法会社四季報編集部

東洋経済新報社 2007-03
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旧暦美人のすすめ―四季折々にきれいになる
旧暦美人のすすめ―四季折々にきれいになる加藤 マカロン

東洋経済新報社 2007-03
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パフォーマンスマネジメント―戦略をすべての人の仕事に落とし込む
パフォーマンスマネジメント―戦略をすべての人の仕事に落とし込むゲーリー M.コーキンス SAS Institute Japan

東洋経済新報社 2007-03
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組織進化論―企業のライフサイクルを探るハワード E.オルドリッチ 若林 直樹

東洋経済新報社 2007-03
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日本経済の実証分析―失われた10年を乗り越えて
日本経済の実証分析―失われた10年を乗り越えて橘木 俊詔

東洋経済新報社 2007-03
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日本経済のリスク・プレミアム―「見えざるリターン」を長期データから読み解く
日本経済のリスク・プレミアム―「見えざるリターン」を長期データから読み解く山口 勝業

東洋経済新報社 2007-03
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日本の音楽産業はどう変わるのか―ポストiPod時代の新展開
日本の音楽産業はどう変わるのか―ポストiPod時代の新展開八木 良太

東洋経済新報社 2007-03
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東洋経済新報社 2007-03
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なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方枝廣 淳子 小田 理一郎

東洋経済新報社 2007-03
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■3月26日発売

はじめて学ぶ経済学・経営学
関東学院大学経済学部 (編さん)

バーゼル2と銀行監督―新しい自己資本比率規制
佐藤 隆文 (編さん)

■2007/03/31, 週刊東洋経済

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