メイン > 週刊東洋経済書評 『ブックレビュー』 > 2007年2月17日~24日
| 株式相場のテクニカル分析 | |
![]() | 合寳 郁太郎 小沢 文雄 日本経済新聞社 2006-12 売り上げランキング : 5143 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
株式のテクニカル分析を検証した決定版
本著は日本テクニカルアナリスト協会の第4代会長で、エリオット波動やP&Fなどテクニカル分析手法の第一人者である合寳郁太郎氏と、同協会理事で、株式会社QUICKのフェロー小沢文雄氏の力作である。1985年の初版、89年の改定版に続く第3版であるが、その中身は1年以上かけて全面的に書き直した新著に近いものである。
問題意識としては、数百にも及ぶといわれるテクニカル分析手法がどこまで実践に応用できるか、その客観的な効果を検証しようとするものである。株式相場ではまことしやかに多くのテクニカル指標をもとに売り買いの話題があふれている。昨今のインターネットの普及による個人デイトレイダーがテクニカルチャートを参考にして、短期間にして数億円を儲けたというニュースも記憶に新しい。
しかし、数多くのテクニカル分析手法のうち、どの指標がどの局面で、どのくらい有効であるかを丹念に検証した分析は少ない。その理由は、株価の推移や財務データなどの情報はコンピューターの発達により、誰でも気軽に入手できるようになったが、それをテクニカル分析に使おうとした場合には、各種のテクニカル分析手法の正確な理解と統計的熟練がないと買いシグナル、売りシグナルを正確に反映し、検証することが難しいためである。
検証対象期間の取り方も単純ではなく、相場全体の流れを読みながら偏った期間設定をしないようにする必要があるためである。その意味で、本書は、合寳郁太郎氏と小沢文雄氏という、理論と実践の双方に経験と造詣の深い著者の成果である。
本著は3部構成となっている。第1部は「チャート理論」であり、体系化された理論、トレンド分析、パターン分析、不規則時系列分析、その他のマーケット分析に分けて53のテクニカル分析手法について、定義、作成方法、活用法を論述している。数値例やグラフが多用されており、初心者にも理解しやすい。
第2部は「チャートの検証」であり、上記のうち、25の分析指標に絞って日経平均株価、東証1部出来高ならびに信用取引関連指標を20年間(1部10年間)にわたって検証している。
また、株価移動平均線分析では、通常、マーケットで最も利用されている5日と25日のクロス(交差)を用いるよりも、5日と65日のクロスのパフォーマンスが良いことが検証されており、意外であった。このように機関投資家などのプロが読んでも十分、価値ある書籍である。GOセンチメントによる日経平均株価のトレンド予測の公表も含めて今後、一層の研究を期待したい。【評者 長谷川博和 グローバルベンチャーキャピタル会長】
| スキャンダリズムの明治 | |
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面白すぎる明治の新聞から当時の社会が見えてくる
新聞記者はいまでは高学歴中の高学歴集団。あこがれの知的職業である。しかし、明治時代の新聞記者は、「羽織ごろ」と蔑まれ、借家や貸間などでも断られるあぶない存在だった。
なぜなら、当事の新聞は、いまの一部のスポーツ新聞や「俗悪」週刊誌も真っ青なほどの過激な表現をもって微に入り、細にわたるスキャンダル記事で埋まっていたからである。それゆえ、明治の新聞はおもしろい。いやおもしろすぎる。
たとえば、『万朝報』を舞台にした「名士の畜妾大公開」。
時の農相大石はこんなふうに紙面で暴露される。
―― 大石は姦通事件の露見以来「色道餓鬼」であることは、「世人のあまねく知る所」だが、そのごも「好色の癖」をあらためず、「数次車を駆って浅草茅町なる東京第一のすずめ屋に到り、美人を引見し、邸に伴ない帰れるものすでに幾人の多きに及ぶ」。このあとには、人権もなんのその、妾の名前はおろか年齢、住所から素性まで暴いている(第三章)――。
さらに、自然主義文学がなにゆえ時代の表面に躍り出たかを新聞記事から浮かびあがらせる。同時に島崎藤村の作品が脚光を浴びた秘密をも。
「藤村の文体は、明治末から大正期にかけて日本に進展した『大衆社会』に、ことのほか適合的だったのであり、それを用意したジャーナリズムにも、ことのほか親和的だった、のではないか」(第五章)。
藤村こそ確信犯的な元祖うけねらい作家だったのかもしれない。本書のおもしろさは、スキャンダルを生む過程や背景を前後の記事の中に、あるいは当時の政治や経済のなかに探っていることにある。かくて明治のざわざわした気配が立ち上ってくる。朝倉流透視術の仕掛けがばっちり決まっている。【評者 竹内洋 関西大学文学部教授】
| わが内なる唐木順三 | |
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「竹は竹一筋に生きて竹」孤高の哲学者の思索を追う
唐木順三。懐かしい名前である。もう40年も経つだろうか、『展望』でよく見かけたのだったが、当時の私は、外国文学の自然主義小説に傾注していたためか、唐木の熱心な読者ではなかったようである。
ところで、唐木さんの批評の対象領域が凄まじく広く深いのは、彼が西田幾多郎の門下生であり、あの敗戦直後に獄死した清冽な哲学者三木清に兄事していたことからも頷ける。哲学的な思索にとらわれた人間として文学と相対したというべきか、文学作品を通して、それを生み出した人間に向かう姿勢。これは文学において最も根本的な命題であり、これを生涯かけて追求した唐木は、それゆえに、骨太な存在感を残している。
唐木の弟子の書いた本書によると、絶えず自己破壊を繰り返しながら「中世」に分け入った彼は、そこに確乎とした様式を創造した人間を再発見し、近代はその様式を喪失し、しかも新たな様式を産み出せない。
この近代以降の「ニヒリズムの超克」こそ、焦眉の課題であると指摘する。確かに、現代において、想像力の射程の狭隘化、現実への複眼的視野の喪失、映像文化の偏りの是正としての「言語化」などが次第に人口に膾炙されてきているが、これこそ、唐木が力説していた点ではあるまいか。
さらに、本書が「現代の良心の書」として取り上げているのは、未完のまま絶筆となった『「科学者の社会的責任」についての覚え書』である。これには、湯川秀樹博士の「科学者にとってヒューマニズムは雑念に過ぎない」とする発言に、弾劾とも言うべき痛烈な批判をしている。
時代に背を向け、脱俗の世界の中で一筋に生きた野武士的な唐木の言う「竹は竹一筋に生きて竹」は、本書の著者と同様、私も好きな言葉である。【評者 川成洋 法政大学工学部教授】
| アホな二代目につけるクスリ―継承は創業より楽しい | |
![]() | 住野 公一 東洋経済新報社 2007-01 売り上げランキング : 3338 おすすめ平均 ![]() アホを演じる事ができる方は、えらいAmazonで詳しく見る by G-Tools |
パロマ、不二家と同族企業の不祥事が相次いでいる。創業家が事業を継続し、発展させていくのは容易なことではない。その中で、経営コンサル大手、タナベ経営・田辺昇一名誉会長は「一部上場企業でオートバックスセブンほど政権交代がうまくいった企業を自分は知らない」という。
著者の父は日本で初めてカー用品総合専門店という新しい業態を生み出し、全国展開させたカリスマ経営者。しかし、2代目は本人も言うように「特別な人間ではなく、カリスマとは程遠い人間」だ。
本書でオートバックスセブンの2代目社長、住野公一氏が事業継続のノウハウを披露する。「自分がカリスマになろうと思うな」「新事業は7割の否定と3割の継承を心がけよ」「ときには孫も利用しよう」など、興味深い項目が目白押し。事業継承をする立場の人に役立つのはもちろんだが、経営や組織論の書として読んでも得るものは多いはずだ。
| 姿なき占領―アメリカの「対日洗脳工作」が完了する日 | |
![]() | 本山 美彦 ビジネス社 2007-01 売り上げランキング : 5113 おすすめ平均 ![]() 精神的な死 21世紀のGHQ 前著からさらに踏み込んだ内容。医療・教育の開放を迫る洗脳国家・米国の正体Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は京都大学名誉教授で現在福井県立大学大学院教授。経済学者の立場から、構造改革という掛け声の下で進む日本の米国化(アングロサクソン化)に警鐘を鳴らす。
日本が創り上げた国民皆保険の公的医療保険制度。周知のように、米国には一部の低所得者や高齢者を除くと、公的医療保険制度は存在しない。
米国では高額の民間医療保険に入らないと満足な医療は受けられない。
ところが、世界に冠たる日本の公的医療保険制度が、米国の圧力によって、空洞化されつつあると、著者は指摘する。この背後にはAIGやアフラックなどの米国の保険会社の圧力があるという。
医療に限らず、教育などの分野においても国民の利益にならない米国化が進んでいるという。経済の分野でも日本企業が米国の投資ファンドなどにより次々と買収されようとしている。米国による日本の新たな「占領」を著者は憂慮する。
| 中国人に絶対負けない交渉術 | |
![]() | 吉岡 健 草思社 2007-01-26 売り上げランキング : 461 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ユダヤ人と中国人との交渉は難しいと言われる。ただ、合意に至るまでは困難な交渉が続くが、「決まったこと、契約は守る」というユダヤ教の伝統があるユダヤ人との交渉のほうが、まだ楽かもしれない。
本書では、商社などで中国ビジネスに長年携わってきた著者が、中国人との付き合い方の秘訣や、ビジネスを成功に導く交渉テクニックを余すことなく披露している。
著者は、「よく話し合えばわかるはず」という日本人が抱く幻想を捨てて、日本人とはまったく気質の違う中国人と交渉する場合の心構えを説く。
そのうえで、「こちらの考えを先に言ってはいけない」「美辞麗句を聞き流す」「無理に結論を出さず逃げる」など、具体的な心得を語る。
「心に思っていること」「口で言っていること」「書いていること」が、それぞれ違うと言われるしたたかな中国人と商談する時の有効な指南書である。 草思社/1260円 技術英文 効果的に伝える10のレトリック
研究者・技術者にとっても、アイデアや研究成果を効果的に伝え、相手を納得させ、動かすコミュニケーション能力は必須である。本書は、こうした研究者や技術者にとってなじみの薄い「レトリック」(修辞法)に焦点を当て、技術英語文書を作成するに際して必要な「書くレトリック」を、10のパターンにまとめている。
そして、これらパターンの効果的な使い方を、例文を豊富に盛り込み、わかりやすく解説している。
さらに、本書は「パラグラフの展開方法」「ドラフトの修正編集方法のポイント」も、併せて説明し、初心者から専門家まで、実際に文書を作成する際に幅広く役立つ。
「練習問題」「豆知識」、さらに「テクニカル・ライティングの自習書」も、論文やレポートからEメール、スペック、マニュアル、契約書、提案書、特許明細書など、世界に通用する英文文書を作成する人には、必読の指南書。
| 技術英文 効果的に伝える10のレトリック-テクニカル・ライティング練習帳 | |
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| ヨーロッパに消えたサムライたち | |
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| スペイン内戦―政治と人間の未完のドラマ | |
![]() | 川成 洋 講談社 2003-07 売り上げランキング : 407965 おすすめ平均 ![]() 真実と空想Amazonで詳しく見る by G-Tools |
スペイン、あのはるか南国の空の下で、日本人が……
スペインと日本の関係の嚆矢といえば、1549年、キリスト教の宣教者フランシスコ・ザビエルの来日である。 また、スペインにおける日本人といえば、1613年の支倉常長慶長遣欧使節団になるが、艱難辛苦の旅を経た彼ら26人の使節のうち、6人から最大で9人がスペインに居残ったという。
スペイン南部のアンダルシアを流れるグアダルキビール河岸のセビリアから15キロメートル下がった河岸のコリア・デル・リオという町にはスペイン語で「日本」を意味する「ハポン(Japon)」という苗字の人が現在でも集中して住み着き、不思議なことに、彼らはみんな日本の侍の子孫であると言い伝えられている。
なぜ、どのようにして残ったのか。この謎を解明するために、実際に、コリアに滞在して調べ上げた太田尚樹著『ヨーロッパに消えたサムライたち』(ちくま文庫)によると、彼らが日本を出発した3カ月後、キリシタン禁制が布告され祖国に帰り難かった。農耕に適する土地と気候であった。コリアは新大陸への出港地であり、日本も含めて情報の窓口であった。これらが、「ハポン」の先祖たちをアンダルシアに住み着かせたのではないか。実に「事実は小説より奇なり」の話である。
もう一例。ほぼ70年前の1936年に勃発したスペイン内戦に、世界55カ国から約4万人の青年たちが義勇兵としてスペインに馳せ参じた。ヒトラーとムッソリーニが全面的に支援したファシスト軍と戦うための「国際旅団」を編成する。
それにしても、素人とプロの軍隊、これでは最初から勝負ありであった。しかし、彼らは20世紀に語り継がれる「人類史上の伝説」を残した。 川成洋著『スペイン内戦』(講談社学術文庫)によると、たった一人の日系米国人義勇兵ジャック白井も、37年7月11日、マドリード近郊の戦闘で、斃れた。彼は函館で孤児として生まれた。スペインでは「子供をかわいがる気の優しい男」だったという。【評者 阿久根利具 文芸評論家】
| 愛国者の条件―日本海軍の理想と昭和史の失敗に学ぶ | |
![]() | 半藤 一利 戸髙 一成 ダイヤモンド社 2006-12-15 売り上げランキング : 14802 おすすめ平均 ![]() ナイーブな愛国者にサヨウナラ 日本周辺に仮想敵国は存在しないというナンセンスな見解Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本はなぜ戦争をしたのか そのメカニズムを問いなおす
昭和史の語り部・半藤一利氏と、海軍の専門家である戸高一成氏の対談である。半藤氏は、歴史の分かれ目にいた人間に注目して、なぜ日本は戦争をしたのかと、歴史を問い直している。
半藤氏の発言には、愛国心が声高に叫ばれるようになった現状に対して、戦争を学んだ者の思いがこもっている。本書は、この切実な思いと、意外なエピソードに満ちている。
戦陣訓は英訳されて世界中にばら撒かれていたという(美文調の文章を英訳してどれだけ意が通じたか私には疑問があるが)。日本人は中国で非人道的行動をしているという先進国の批判に答えるためだったという。確かに、生きて虜囚の辱めを受けず、と書いてあるだけではなく、敵地の住民を愛護し、その財産を尊重せよとも書いてある。批判への回答が、事実であるかどうかの検証と再発防止ではなくて、美文の和文英訳とは相当にずれた対策だろう。
いずれにしろ、戦争はしてもよいが、非人道的行動はしてはいけないということを戦前の軍上層部は十分に認識していたわけだ。認識して、それができなかったのは自分のせいではないと戦後に言うのは無理がある。
戦前の教育は、愛国教育ではなくて軍国教育だと喝破する。確かに、そうだ。美しい日本について教えたのではなくて、死ぬ覚悟で戦えば勝てると教えていただけのようだから。
特攻隊は制度的なもので、決して自発的なものではなかったという。俺も後から行くからと約束して隊員たちを送り出した上官は、終戦時には約束を守らず、死ぬことよりも戦後の復興に尽くすことが自分の役目と言って生き抜いた。戦前の軍国教育も、愛国教育も、人間の資質を高めてはいなかった。
日清日露の戦争を通じて、戦争に勝てば、将軍たちは華族になれるというシステムができる。戦争を待ち望む感覚が軍人にあったのは間違いないと指摘する。華族様の体面を守るだけのお手当ても出たわけだから、これは当然のことだろう。
初期の海軍があまりにも立派に描かれている。本当かなと思って読み進むと、その後変質し、いかにいい加減な組織になっていったかが書いてある。日露戦争以降、戦争していないのに無敵海軍というイメージが流布していく。戦えば必ず勝って、戦争すれば華族様なのだから戦争するなというのが無理だ。
戦争は人間のすることだ。どんな人々が、どのようなインセンティブ構造にしたがって戦争をしたのかを具体的に知ることが、戦争を起さないために戦争について学ぶことになる。
平易な語り口に深い知恵が詰まっている。【評者 原田 泰 大和総研チーフエコノミスト】
profile: はんどう・かずとし
作家。近現代史、特に昭和史のノンフィクションを数多く発表。1930年生まれ。東京大学文学部卒業、文藝春秋を経て独立とだか・かずしげ
海軍史家。1948年生まれ。多摩美術大学卒。財団法人史料調査会理事などを歴任。
| あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実 | |
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1枚のTシャツから世界の貿易を知る
グローバリゼーションを賛成派も反対派も過度に単純化してとらえるために、非常な誤解を生んでいるのではないか。
むしろ地球規模でとらえると、完全自由市場が機能しているのはまれだし、逆に完全に規制された取引だけで事が済むものではない。ひとつの商品・Tシャツについてあたかも世界1周をするかのように、しかも歴史的に遡ってどのようなメカニズムが働いているかを観察したのが本書である。
綿製品はかつて英国がその産業革命時から世界制覇していたのが、米国がいつのまにか世界最大生産国になった。しかも米国内でも生産方式は最南部の奴隷による集約労働方式から、テキサスやオクラホマの機械化大規模農業方式への移行によってその地位を長く確保してきた。
米国の綿作人口が2・5万人なのに、米国政府が支出している綿関連の補助金総額は40億ドルに上る。西アフリカの綿作人口は1800万人で、世界最貧の綿産国数カ国の国民総生産は米国綿関連補助金をはるかに下回る。
さらに国際的には1974年以来40年も続いた暫定措置といわれた多角的繊維協定(MFA)を自由貿易主義のはずの米国などが、保護主義のきわめつきの形で死守してきた。それも2000年代までに中国などの猛追のために崩壊したが、米国の貿易赤字の爆発的な上昇のために、その後は再び保護主義的な諸措置がとられている。
しかし、そのような規制は市場の新たな展開を生んでいる。
WTOのドーハ自由化交渉は現在頓挫しているが、その頓挫の原因は農業自由化についての意見の違いである。その違いを支えるのは政治である。著者は魅力的な書き方で貿易がどのように展開しているかをTシャツを例に見事に示してくれた。【評者 猪口 孝 中央大学法学部教授】
profile: Pietra Rivoli
ジョージタウン大学マクドナウ・ビジネススクール教授。『あなたのTシャツはどこから来たのか?』は全米出版社協会から2005年の最優秀学術書(金融・経済部門)に選ばれる。
| 早稲田はいかに人を育てるか 「5万人の個性」に火をつけろ | |
![]() | 白井 克彦 PHP研究所 2007-01-16 売り上げランキング : 27617 おすすめ平均 ![]() 足りません… 早稲田を懐かしみ、いまの早稲田を思うAmazonで詳しく見る by G-Tools |
勉強し、教育する早稲田へ もう昔の早稲田ではない
早稲田に異変が起きている。西早稲田キャンパスの構内や周辺の歩道が定期試験期でもないのに学生であふれているのだ。
もともと5万人規模の大学としては狭い敷地が、社会科学・法・商という順繰りの学部校舎建て替え工事で占拠されていることや、アジア太平洋、国際情報通信、日本語教育、公共経営、法務という大学院や、国際教養学部などの相次ぐ新設を割り引いて考えても、今どきの早大生が熱心に学校へ顔を出しているのは事実のようだ。
しかも雰囲気が往時と異なる。「今からテーマカレッジなんだ」との言葉を友人に残し教室へいそいそ向かう姿や、留学生と英語で談笑する姿も目にする。総じて活気があるのだ。
本書の著者には、個別取材の際から公式行事のスピーチに至るまで、聞き手が驚くほど率直な発言が多い。ことに総長就任前から教務部門改革を担ってきたこともあり、旧来の教育・研究の惨状には批判的だ。1994年から総長を2期8年間務めた奥島孝康・法学部教授の改革路線を継承する形ながら、取り組み姿勢や人柄は対照的。それは本書でも随所に表れ、試行錯誤や現実的なご都合主義も盛り込んで推進されてきた改革の裏表の経緯がよく読み取れる。
改革から生まれた知的好奇心を喚起する「仕掛け」の代表例は、全学から学部不問で集まった新入生が学際的テーマを定員20人のゼミ形式で議論するテーマカレッジで、1~2年生の約4割が参加している。また、4人1組がブースで英会話レッスンを受ける「チュートリアル・イングリッシュ」は受講者が年1万2000人に達するという。
久々に来訪した卒業生は現在の授業風景を見て驚き、そして往時のお粗末さを想起し、過去に自分が払った授業料を「返してくれ」と言い出すそうだ。
| 十七歳の硫黄島 | |
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玉砕、激戦という言葉をどれほど並べようが、それは「硫黄島の戦い」の上澄みだけをすくいとった形容にしかならないのだろう。
本書は奇跡的に生還した著者が、青年通信兵として見た戦場の事実を精緻な描写で描いたものだ。
自身に群がった蛆や虱までをも食らう飢えとの戦い、重症を負った兵士の修羅場。「おっかさん」「バカヤロー」、そう叫んで自決した兵士も少なくなかったという。故郷への哀愁と戦争への理不尽な思いを抱えたまま散った兵士が多かったことを、痛感させられる。
戦死した戦友への言葉には、より感情がこめられているように思う。「どうすれば死んだものに報いることができるのか」との一念で、著者は本書を仕上げたのだろう。紙背に「戦争とは何なのか」という「怒り」が横たわっていることも感じずにはいられない。79歳になる著者が力を振り絞ってまとめた「遺書」を、我々は重く受け止めなければならない。
| インド世界を読む | |
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インド経済への関心が高まっている。「21世紀の経済大国」「世界有数のIT技術者」「計算能力では世界一」など高く評価されている。かつては、「永遠にテイクオフ(離陸)できない国」と言われていたのがうそのようだ。
書店でも「インド本」があふれている。こうした際物的なインド本の中で、本書は光る。政治、経済、外交、教育を中心にしたインドの歴史をわかりやすく、かつ丁寧に分析している。
扱う期間は、ムガール帝国からイギリス支配、独立後から現在までだが、特に日本人の知らない独立後の国民会議派時代の政治的葛藤や社会の変化が興味深い。独立後、インド経済が停滞したのは、世界の貿易市場の中心から意図的に離れ、「鎖国」したからだろう。インドがグローバル経済に身を投じて、現在の経済発展が始まる。ただ、インド経済の教育、インフラなどに課題は多く、流布している手放しの楽観論には与していない。
| 美しい日本を創る―異分野12名のトップリーダーによる連携行動宣言 | |
![]() | 美しい景観を創る会 彰国社 2006-12 売り上げランキング : 23747 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
江戸時代の終わり、日本に来たイギリス人やオランダ人は日本の景観を見て、その美しさに感嘆した。
ところが、今の日本は世界でも景観が美しくない国の上位に入るだろう。日本人は美しい国・イギリスやオランダに観光に行く。
日本の本来の自然は美しい。だが、景観が美しくないのは、人間が手を加えて景観を損なっているからだ。こうした問題意識から土木、建築など12人の専門家が、「美しい日本」を取り戻すためにはどうすればいいのかを語る。
本書の中で石井弓夫氏は、「景観を壊す建築」の章で、「建築は芸術」と主張する建築家の独り善がりが、全体の景観と調和しない、しかも30年余りで建て替えられる日本の美しくない建築をはびこらせていると厳しく指摘する。
こうした厳しい指摘が、本書にはちりばめられており、景観復活のための参考になる。ただ、「主犯」である行政の責任をもっと指摘すべきではないか。
| このままでいいのか!日本の石油備蓄 | |
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1978年に始まった原油の国家備蓄は、日本の石油需要の91日分を確保している。だが、毎年2000億円、これまでに5兆円を下らない税金を投入されて行われている原油の国家備蓄は、本当に非常時に役に立ち、かつ経済的か。
こうした疑問を三菱石油に在籍していたエンジニアが投げかける。
現在の「石油危機」は、原油の不足でなく、石油製品の不足によってもたらされている。このことは、米国における石油製品の不足感(精製能力の不足)が、石油製品の価格を押し上げ、それが原油価格の上昇をもたらした(特に2006年前半まで)ことで証明されている。
そこで、著者は国家備蓄を原油から脱硫ナフサ、改質ガソリンなど白油半製品に切り替えることを提案する。原油備蓄では需要の少ない重油分に容量の40%が充てられるため、白油半製品の備蓄に変えることで、維持・管理費用も節約できる、という。















日本周辺に仮想敵国は存在しないというナンセンスな見解






