メイン > 週刊東洋経済書評 『ブックレビュー』 > 2006年5月27日~6月3日
| 増税が日本を破壊する | |
![]() | 菊池 英博 ダイヤモンド社 2005-11-18 売り上げランキング : 11623 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本の「粗」政府債務残高対GDP比率は、橋本内閣が1997年度の超緊縮予算を組んで日本経済をデフレのドロ沼に突き落とすまでは、ユーロ地域とあまり変わらない並みの水準であった。政府は、社会保障基金、内外投融資、外貨準備などの金融資産を多く持っているので、「純」政府債務残高対GDP比率という、より適切な尺度で見ると、橋本内閣のころは先進国中最低であった。それが長引くデフレの中で上昇し、小泉改革の結果、先進国中最高となった。
橋本氏も小泉氏も、日本は待ったなしの財政危機だから緊縮予算を組むと言ったが、実は両内閣の発足時に日本の財政はそれほど悪くはなかった。それなのに危機感をあおり、性急な緊縮財政と不良債権処理、国際的活動をしている大企業・銀行に限定すべき時価会計、減損会計、BIS規制の国内中小企業・銀行への無用の適用などで名目GDPが低下するほどの大不況を招き、それを長期化させた。このため税収は落ち込んで政府の赤字と債務は膨張し、縮小するGDPに対する比率は急上昇した。これは「財政危機」ではなくて、「政策危機」である。
その延長線上に、サラリーマン大増税計画(所得税諸控除の廃止、消費税率引き上げ、社会保障負担の一層の引き上げなど)が出ている。これを実行すれば「政策危機」は極まり、本当の「財政危機」で日本は壊れる。
以上の本書の主張は、97年度緊縮予算を審議した際、衆議院予算委員会で橋本総理を批判した私が、以後一貫して指摘して来た論点とほぼ同じラインに立っている。似た視点に立つ植草一秀氏がマスコミから姿を消した今日、著者のこの議論は貴重である。
日本は貯蓄超過国であるから、その資産を対外資産にではなく国内資産に投資すれば、もっと成長率と税収が高まり、政府債務残高対GDP比率は下がり、大増税の必要はなくなるという著者の政策判断は正しい。
その手段として、先端技術と新エネルギーの開発投資減税を大規模に実施すべきだという提案にも賛成である。しかし、それらの国内投資を推進するため、100兆円の「日本再興投資資金枠」を設け、毎年10兆円の新規国債を市場で発行し、同額の既発国債を日本銀行が市場から買い上げる、という事実上の日銀の国債引き受け構想には反対である。もっと有効で健全な国内投資促進策がある。たとえば民間の投資機会を増やす規制撤廃や民間でできる官業の廃止は、規制部門の人員と組織の廃止、官業への補助金廃止によって、財政赤字に食われていた貯蓄資金を民間投資に向かわせることになる。【評者 元衆議院議員 鈴木淑夫】
| エコロジストのための経済学 | |
![]() | 小島 寛之 東洋経済新報社 2006-01-27 売り上げランキング : 19782 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今日、多くの人が環境問題に関心をもっている。地球温暖化、大気汚染など連日のようにメディアで報道され検証が加えられている。本書は「一億総エコロジスト時代」にふさわしい経済学の立場からのエコロジー(環境学)入門といえる。
著者は環境問題が複雑なのはそれが経済問題という側面をもつからだと指摘している。たとば水俣病のケースは、チッソが海中投棄した工業廃棄物を原因とする公害であった。だが水俣市がチッソの企業城下町であったことで事実が隠蔽されてしまい、水俣病の拡大を招き、水俣市民同士の対立に発展してしまった。このような複雑なケースでは従来の経済学の適用は困難な場合が多いと指摘する。本書では性急に実践的な提案をするのではなく、経済学の教科書にあるような代表的な対策を入門レベルから説明して、複雑な事例に一歩一歩迫っていく。
本書を読むことで読者は知らずに経済学の基本的な思考方法を身につけることが可能である。そして複雑な事例には、試行錯誤を繰り返しながら一歩一歩改良を進めていく「工学的」な方法論が重要であること、また複雑な利害関係に直面した場合に、従来の経済学が前提にしたような代表的な主体の厚生を基準にして経済政策の当否を判断するのではなく、むしろ汚染量の直接の削減に目を向けるべきだとする。
さらに地球温暖化のように、二酸化炭素の排出規制が地球温暖化防止に役立つのか不確実なケースでも、本書では「備えあれば憂いなし」とでもいうべき機会損失最小化基準を提唱して、予防的な対策の必要性を主張している。本書ではケインズ経済学や新古典派経済学は損な役回りを演じているがそこを割り引いて読めば多くのものを読者は得ることができるだろう。【評者 上武大学ビジネス情報学部助教授 田中秀臣】
| 円を創った男 | |
![]() | 渡辺 房男 文藝春秋 2006-02-15 売り上げランキング : 84208 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
大隈重信について知っていることといえば、明治新政府の重鎮として権勢を振るったものの、長く不遇の時期を過ごし、晩年に2度総理大臣になったことぐらいである。しかし、彼の業績となると、よくわからない。早稲田大学の創立者として「学の独立」を唱えた反体制派的なイメージが強い。
しかし、本書を読むと、実は大隈が大変な実務家、財政家であったことがよくわかる。幕末の慶応4年(1868)から明治4年という、わずか3年余、満29歳から33歳の大隈を描いた小説なのだが、幕末から維新のこの時期は、日本という国の土台が幣制と財政面でもようやく出来上がり、欧米列強から曲がりなりにも明治新政府が認知された激動の時代。その中心にあって獅子奮迅の活躍を見せたのが大隈であったのだ。
蘭学と英学に親しんだ佐賀藩の尊皇派の一藩士に過ぎなかった29歳の大隈が、明治新政府の中枢に躍り出て、大蔵省を率いる。大隈に限らず、維新の立役者たちはそのとき西郷隆盛40歳、大久保利通37歳、木戸孝充34歳、井上馨32歳など、皆うらやましい限りの若さだ。彼らがまさに日本の土台を創ったのだったが、その面で大隈の業績はもっと評価されてよい。
新政府は旧幕府の莫大な負債を抱えて出発したばかりか、会津・箱館戦争と膨大な戦費に苦しんでいた。「太政官札」という莫大な不換紙幣を濫発せざるを得なかったし、幕末の混乱の中で偽金も横行。貨幣の信用は地に堕ちていた。しかし、大隈は「円」を単位とする新通貨を誕生させ、国際的な日本の信用獲得を成し遂げるのである。
財政危機に瀕している今日の日本を思うにつけ、若い大隈の活躍は見事なほどに壮快で、円の誕生の経済ドラマとしても出色の面白さになっている。【評者 ジャーナリスト 内藤哲】
| ドキュメント 小さな会社は「個人情報保護法」にどう立ち向かったか―ある不動産鑑定会会社におけるケーススタディ | |
![]() | 橋本 淳司 PHP研究所 2006-04 売り上げランキング : 44428 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
個人情報保護法が施行されて1年が経ったが営業マンが顧客情報の入ったパソコンを紛失したという古典的な流出事件から暴露型ウイルスによる情報流出まで漏洩事件は後を絶たない。
本書は、個人情報保護法に翻弄された社員60名の不動産鑑定会社・三友システムアプレイザルのドキュメントだ。「貴社はどのように対応していますか」「どのようにセキュリティ体制をとっていますか」とクライアントから次々に質問書が届く。「自分たちには関係ないと思っていたのに」渦中に巻き込まれた会社が社内で知恵を出し合い、セキュリティを確立していった姿を描いている。
個人情報保護対策はシステム整備、引っ越しによる社内レイアウト整備など、すべて業務改善に結びついている。社員の満足度が高まれば、法令遵守の意識が高まり、生産性が上がり、結果として会社の収益力も増加する。小さな会社こそ、やる気さえあれば、思い切った変革ができるのだ。
第一次大戦とイギリス文学―ヒロイズムの喪失
清水 一嘉 (編集), 鈴木 俊次 (編集)
1914年、「栄光ある孤立」を維持していたイギリスがドイツに宣戦布告し、第一次大戦に参戦した。この年のクリスマスには最前線のイギリス兵は無事帰還するだろうといった極めて楽天的な参戦だった。しかし、現実は、最前線でクリスマスを4回も迎える長期戦であった。挙国一致内閣の下の総力戦で、動員数800万人、死傷者200万人を数えた。当然の結果としての家庭崩壊、婚姻外出生の増大、道徳の紊乱など、古き良き「ヴィクトリア精神」の完全な崩壊を招いた。
こうした前代未聞の戦争に文学者はどう対応したであろうか。
反戦、非戦、好戦、兵役拒否、女性の社会進出、戦争報道の隆盛、前線と銃後の意識の乖離、戦場での男同士の友愛そして同性愛、銃後における非戦闘員の戦争被害、などを新しいテーマとする文学作品が生み出され、次世代の新しい「モダニズム」文学の萌芽となったのである。
| 「1行」でわかるトヨタ流 | |
![]() | 若松 義人 あさ出版 2006-04-20 売り上げランキング : 87923 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
たとえば、「沈鬱遅鈍」の章。「いったん決まると全員が動き出す」「準備が早ければ決断を急ぐ必要はない」などの小見出しから、周到に事前準備する経営姿勢が理解でき、中国進出では他社よりも出遅れ感があった同社が、04年頃から一気に現地強化策を打ち出したことも納得できる。
「なぜを5回繰り返せ」「資料はA4一枚にまとめろ」など有名な言葉が並ぶ一方で、「設備は多めに持て」「自分を凌駕する部下を育てよ」など、意外に知られていないフレーズもある。解説で歴代経営者の哲学が垣間見えるのも嬉しい。優れた若手社会人や、管理職の啓発本である。
| 私のパリ 私のフランス | |
![]() | 岸 恵子 講談社 2005-12-19 売り上げランキング : 62438 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は、女優・岸惠子さんが42年間も生活の拠点としているパリ、フランスを題材にした「フォト・エッセイ集」である。なかなか骨太の内容である。「人生なんていうものは、予想もつかず、プランも立て得ないオツでドラマティックな出来ごとが、あるとき、突然、沸き起こったりする。(中略)かなりの覚悟をもって、その非日常をキャッチする人には、それなりの危険や波乱はあっても、思いもかけない別の人生が拓けてくる。私は後者を選んだ」――冒頭部のメッセージである。
たとえば、彼女が語る「凱旋門」は、第二次大戦のドイツのパリ占領、若き日の夫が戦ったレジスタンス、パリ解放、5月革命、そして氷雨の降る中の救国の将軍ド・ゴールの葬列など、あの激動の時代を鮮やかに彷彿させてくれる。
「無為より無謀の方がどれほど身に合っていることか」を行動規範としている彼女ならではの人生を活写した本である。
| 環境問題のウソ | |
![]() | 池田 清彦 筑摩書房 2006-02 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ジュースの紙パックを洗うたびに不思議に思っていた。分別収集のためだというが、洗えば水を使う、水も汚れる。環境負荷がかかるに違いない。本当に、これは環境のためになるのか、と。著者は、世間で正しいと思われている環境論議の多くは間違いだという。
まず、地球温暖化は事実ではないという。確かに都市は温まっているが、それ以外のところが温まっているという証拠はないという。そうすると二酸化炭素が地球を温暖化するから削減するというのは無駄だということになる。
地球シミュレータの予測は、あてにならない。そもそも過去のデータすら追跡できないという。たいていの計量経済モデルは、過去のデータは追跡できるが、将来のデータはあまり予測できないので批判されているのだが、地球シミュレータが過去のデータも追跡できないとは初めて知った。
息をしても火を燃やしても必ず排出してしまう二酸化炭素を削減するのは難しすぎる。酸性雨を減らすとか、都市の河川をきれいにするとか、森林を保護して砂漠化を少しでも食い止めるとか、必ずできて、気持ちよくなることを先にした方が良いのではないかと私は思った。
ダイオキシン削減のために焼却炉にコストをかけるのも無駄だという。ダイオキシンの毒性は微量であれば問題にならず、すでに農薬によって、焼却炉から出る量に比べれば大量に(と言ってもまだまだ微量で安全に問題はない)排出されている。いくらコストをかけても、すでにあるダイオキシン摂取量はほとんど減少しないという。
外来種悪玉論も切って捨てる。日本固有主の絶滅は環境変化によるもので、外来種による絶滅の事例はないという。タイワンザルとニホンザルの混血ザルを殺すのはナチズムの思想と同じだという。
昆虫の絶滅は開発のせいで、昆虫採集を禁ずるのは偽善だという。確かに、昆虫の産む卵の数を考えれば、人間の取れる個体数などたかがしれているだろう。利用料を取って里山の生態系を守る提案は、エコノミストには極めて納得のいく意見だ。
根拠の薄弱な環境保護策が打ち出されるのは、利権に結びついているからだという。確かに、排出権取引は、これまで膨大に環境を汚染していた国の利益となった。ダイオキシン規制は、高価な「安全」ゴミ焼却炉の製造会社や1兆分の1グラム水準の測定ができる会社の利益にもなっただろう。環境論議を怪しんでいるが、教養のない人間だと思われたくない方々にぜひお勧めしたい。難しくなさそうな参考文献も付いている。【評者 原田泰 大和総研チーフエコノミスト】
| 戦略マップ バランスト・スコアカードの新・戦略実行フレームワーク | |
![]() | ロバート・S・キャプラン デビッド・P・ノートン 櫻井 通晴 ランダムハウス講談社 2005-12-16 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は、バランスト・スコアカード(BSC)でおなじみのキャプランとノートンによる名著『バランス・スコアカード』、『戦略バランスト・スコアカード』に続く3作目だ。1作目は、あくまで業績評価システムとしてのBSCに焦点を当てた理論書にすぎなかった。2作目は、多くの企業への導入経験をもとに、BSCを戦略実行のためのマネジメントシステムへと進化させており、ケーススタディを豊富に盛り込んだ実践書だ。
そして3作目は、BSCを補強する新しいフレームワークとしての「戦略マップ」にフォーカスしており、2作目以上にケーススタディの充実した実践書だ。「戦略マップ」とは、BSCの財務、顧客、内部プロセス、学習と成長という四つの視点における企業の戦略目標を統合するための可視的なフレームワークのことだ。
本書では、BSCの四つの視点の中でも、戦略実行上重要な内部プロセスの視点と、学習と成長の視点について主に議論を展開している。特に内部プロセスは、企業価値創造プロセスとして極めて重要であり、その中の業務管理、顧客管理、イノベーション、規制と社会という四つのプロセスについての詳細な分析は、具体的で実践的な内容だ。
しかし本書の特徴はなんといっても、学習と成長の視点における無形資産に焦点を当てている点だろう。最近日本でも無形資産に対する評価が高まっているだけに、人的資本、情報資本、組織資本といった無形資産を、企業価値創造のためにどのように戦略へと方向づけるかについての議論は、非常に興味深く、かつ役に立つ内容だ。
本書は500ページを超える大著だが、本書を通じて、真の意味で自社の「企業価値」を高められる経営者が増えることをぜひ期待したい。【評者 黒田康史 ベンチャーキャピタリスト】
| 家族のゆくえ | |
![]() | 吉本 隆明 光文社 2006-02-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
青春期のはじめ、太宰治の「家庭の幸福は諸悪のもと」という言葉に感銘をうけたと、著者はいう。同時に異和感も抱いた。それが何だったのかということから始まる。本書は「心身ともに老年期」になった著者の「実感的な考察」である。
家族は、一対一の男女の性的関係(対幻想)を根幹としており、そこから親子関係が生まれる。家族問題は、個人に関する問題と社会や国家に関係する問題、の二つがある。その両方に目配りする必要があるという。そこでまず、個人を考える。個人の「発達と移行期」を、生まれる前の胎児期・乳児期・幼児期・少年少女期・前思春期・青春期・成人期・老年期の八つに区分する。乳児期と少年少女期は、母親の親和力がなにより大事であり、「この期間における両親、とりわけ母親との接触の仕方がその人の生涯の性格や人間性を決定する」という。
八つの時期ごとに家族のもつ問題を論じているが、最大の特色は、最終章の「老いの考察」ではなかろうか。
何年ぐらい前からか、自覚をもって「老齢」ということを考えるようになったという著者は、ボーボワールもイェイツもヴォルテールも、老齢期の悩みは自分と同じではないかと、実感する。老人というのは身体も頭も衰えてきているという世間の常識を、老齢者のひとりとしての「実感の切実さ」から否定する。頭の働きが衰えるのではなく、「考えていること」と「じっさいの運動」との距離が非常に大きくなってしまうのだという。日本の専門家は老人を侮っているように見える、という思いを、老齢者(身障者)に接触する医師、看護師、介護者は、しっかりと受け止めるべきだろう。 老齢者は真面目だ、という著者の言葉は、切実なのである。【評者 仲倉重郎 映画監督】
| 愚直に実行せよ! 人と組織を動かすリーダー論 | |
![]() | 中谷 巌 PHP研究所 2006-04-19 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
タイトルだけから見ると従来の経営者ど根性ものかと思う。だがこれは、経済学者で経営の現場で活躍する著者が練り上げた、コンセプトの結論である。
日本企業は「現場は強いが、本部(トップ)が弱い」とよく言われるが、昨今は強い現場力だけでは勝負できなくなってきている。経営者の役割がますます重要になっているのだ。
リーダーには次の四つの資質が必要という。〔1〕「志」があること、〔2〕ビジョンと説明能力があること、〔3〕愚直な実行力があること、〔4〕「身をもって示す」姿勢があること、である。
日本企業の強みは世界に類を見ない当事者意識の高い現場にある。経営者の役割は、この強い現場にいかに火をつけるかにかかる。自ら信念を持って愚直に突き進めば、現場は必ず奮起するのである。
一方、グローバルな場で自国の文化さえ語れない日本人経営者の、「資格」の欠如ぶりには手厳しいリーダーシップ論である。
勝者の保険リスクマネジメント入門
北出 公英 (著), 佐藤 龍司 (著), 田中 鉄 (著)
著者に名を連ねるのは、三菱商事のリスクマネジャーと世界最大の保険ブローカー会社であるマーシュ ブローカー ジャパンのプロフェッショナル。「三菱商事の保険リスクマネジメント改革」に取り組んできた主要メンバーである。
保険を利用する経験豊富な実務者として、また最先端のリスクマネジメントの現場から「リスクマネジメントの基礎的素養」を伝授する本書では、リスクに取り組むための3原則を整理している。まずは主体性を持つこと、次にリスクから逃げないこと、そして他を知り己を知ること。どれも保険リスクマネジメント最前線の現場経験に裏打ちされた原則だ。
保険やリスクマネジメントの考え方をわかりやすく解説するコンセプト編、ストーリー展開で保険プログラム構築の過程を学ぶ実践編、業界編では著者メンバーによる座談会構成とするなど、実務者の視点と問題意識を外さない内容となっている。
| 龍馬の金策日記―維新の資金をいかにつくったか | |
![]() | 竹下 倫一 祥伝社 2006-04 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
薩長同盟を演出し、明治維新の大転回をやり遂げた坂本龍馬は、革命運動の資金をどのように調達し、費消したのか。こうした観点から、歴史研究家の著者が龍馬の半生を描く。
戦争でも革命運動でも先立つものはカネである。金策の観点から、歴史に照明を当てた興味深い本になっている。
龍馬は28歳のときに土佐藩を脱藩する。そのときは親戚縁者などから借金してしのぐ。実家からも仕送りを受ける。その後は薩摩藩の居候になったり、幕府の海軍塾に入ったりするが、しだいに武器や船舶の売買などビジネスの世界で自立を図るようになる。
龍馬が設立した海運会社兼商社である「海援隊」は、その後岩崎弥太郎が吸収したことから、三菱財閥の源流の一つになるが、龍馬の時代は貧乏会社にすぎず、土佐藩などにカネを無心していたことなどが描かれている。大きくカネを稼ぐことはなかったが、大きくカネを使った龍馬であった。
海賊事典 「知」のビジュアル百科
リチャード プラット (著)
不思議な話だが、あらゆるアウトローの中で海賊だけが、浮世離れしたロマンに彩られている。そのうえ、オウム、黒い眼帯、木の脚、髑髏旗が加わると、あの懐かしい少年冒険物語のヒーローと化してしまうのだ。
それにしても、現実の海賊は、古代から「人類一般の敵」と蛇蝎のごとく嫌われてきた。海賊王国(?)イギリスでも、中世以降、海賊の処罰は苛酷をきわめ、絞首刑が通り相場とされ、本書によると、ウィリアム・キッドのような大海賊は、ロンドン港を使うすべての船乗りが見える所に見せしめとして吊るされた。
その後、新世界を舞台に暗躍していた「プライベーティア」と称する海賊は、いわば彼らの国家戦略に基づいていたわけで、「イギリスの海の犬」と呼ばれた3人の大海賊は後にエリザベス女王から爵位を授けられた。このように、海賊は、時には歴史の大きな転換期に重大な役割を果たすこともあった。
会社はムダの塊だっ!―まだまだやったもの勝ちのコスト激減策100事例
佐伯 弘文 (著)
著者に聞く 『会社はムダの塊だっ!』を書いた 神鋼電機社長 佐伯弘文
――この本では神鋼電機が実施した100のコスト激減策が書かれています。たとえば22項目目の「私(佐伯社長)が掃除する! 本社の清掃費年間1200万円をパートさんを使うことで年間200万円に削減した」など興味深いコスト削減策が紹介されています。
大企業はムダの塊です。私は経費を潤沢に使う高炉メーカーにいたからよくわかっています。若いころから、上司に引き連れられて銀座に行ったりしました。
それはさておき、私が神鋼電機の社長になったころ、会社は大赤字。倒産寸前の状況でした。そこで、委員会をつくり、工場改革運動とムダ撲滅運動を展開しました。その項目は1万4000件になりますが、そのうち100件をこの本で紹介しました。
企業の再生にはビジネスモデルの転換や、事業構造の改革などがメインの施策になりますが、そのテーマはさておいて、この本ではどの企業でもできる現場の経費の削減策を紹介しました。
たとえば、携帯電話を1社に統一して、特別割引を受けたら、年間1550万円の削減になりました。どの企業でも明日からできる削減策を並べました。こうした経費削減の累積効果は5年間で約30億円になります。
現在、神鋼電機は受注が増えて業績も大幅赤字から劇的に浮上していますが、経費削減の効果も大きいのです。
法律で義務づけられている各社法定検査は外部の業者に委託することが当たり前だと思われていましたが、当社では社員に資格をとらせ、水質法定検査、消火器法定検査などを自社で行っています。これにより年間400万円のコスト削減になりました。
工場では設計者が機械ごとに専用の部品を要求していましたが、これも統一しました。低級品から高級品まで多数の部品を用意するより、性能の高い部品で統一したほうがコストも安く済みます。
当社に限らず、大企業の総務・人事系の社員のコスト意識は低いと思います。これまでの慣習や購買方法をだらだら続けているケースが多いようです。こうしたあしき慣行を変えるだけで、大きな経費削減ができます。
世の中には将来につながる意味のあるムダとドブにおカネを捨てるような意味のないムダがあります。私は後者のムダは徹底的になくさなければいけないと感じています。
経費だけでなく、組織や仕事の非効率も見直して、社員が残業や休日出勤でへとへとになっている状態から解放しなければ、と思いました。
――本の出来は。
最初は本らしくない横書きでイラスト入りの本の出来に失望しました。出版社の幻冬舎は、官能小説も出していることも知りませんでした。少し恥ずかしく思いました。でも、できてみるとこれでよかったと思います。本も売れて反響も大きい。講演の依頼も舞い込んでいます。
本を出して初めて、出版界の独自の流通機構を知り、驚きました。本当に前近代的ですね。メーカーが配本をコントロールできないとは。こんなことでいいのでしょうか。











