メイン > 週刊東洋経済書評『ブックレビュー』(2005年) > 2005年2月19日~3月26日
| TOEFLテスト・リーディング技法―11の解法でらくらく突破213点 | |
![]() | 法政大学情報技術(IT)研究センター 丸善 2004-12 売り上げランキング : 257,737 おすすめ平均 ![]() 人それぞれですが、個人的に… うーむ。。。 とても実用的Amazonで詳しく見る by G-Tools |
TOEFLのスコアは、主に北米の大学で講義を受け、その内容を理解し、受講生として講義に参加する能力を持っているかを数字で表したものである。具体的には213点の突破だ。本書はその指南書だが、三つの柱を立てている。
〔1〕解法の11のストラテジー。設問文はすべて論説文であり、そのツボの把握。
〔2〕リーディングの強化。一度読んだ文を何回も繰り返して音読することで、語彙力や読解力の養成。
〔3〕背景知識の強化。設問の論説文は、自然科学関連の文章を除けば、ほとんどのトピックがアメリカ合衆国に関連するものであるから、歴史、政治制度、神話、伝説、有名な芸術家、作家、政治家、実業家などに関する「アメリカの教養」の習得。実戦問題テキストは、「科学・技術」「社会科学」「伝記」のようにジャンル別に分類され、各々のパッセージが「単語」「全訳」「解答・設問訳・解説」付きである。
| 「顧客知」経営革命―ワン・トゥ・ワン顧客戦略の実践ビジネスモデル | |
![]() | ゲーリー ホーキンス Gary Hawkins 青木 輝夫 町田 守弘 コンピュータエージ社 2004-10 売り上げランキング : 81,072 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「すべての顧客に均一な価格」の小売り哲学はもはや通用しない――。本書の内容はショッキングだ。
世界的な店舗網と商品調達ネットワークを築き上げた米ウォルマート・ストアーズ。「エブリデイ・ロープライス」を掲げる同社に価格競争で太刀打ちできる企業はない。価格競争を真っ向から挑んだKマートは、倒産に追い込まれ、多くのスーパーが廃業を余儀なくされた。
こうした最強企業による攻勢をはねのけるには、顧客情報を徹底活用し、常連客をがっちりつかむしかない。そしてこの最重要顧客を徹底的に優遇することで、WIN‐WINの関係を構築すべし。本書を要約するとこうなる。そのための、顧客情報の活用法を余すところなく詳述している。
ポイントカードを導入したものの、単なる値引き販売の域を出ない――。こんなレベルの企業は少なくない。そこから一歩抜け出し、確実に勝ち残るための戦略を本書は提示している。
| 台湾企業に学ぶものが中国を制す―中国市場を狙う日本企業の新たな戦略 | |
![]() | 朱 炎 東洋経済新報社 2005-02 売り上げランキング : 17,293 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
中国と台湾の関係ほど微妙なものはない。政治的に激しく対立しながら、経済交流は盛ん。中国に投資する企業の中で台湾企業ほど成功している企業はないだろう。なぜ、台湾企業は成功できるのか。日本に滞在する中国アナリストの代表格である筆者がその謎解きに挑戦した。
再投資に有利な投資形態、委託加工を積極的に利用する。委託加工業者は法人税の納税義務がなく、政府との交渉も軽減できる。労働集約型が多いのも台湾企業の特徴。台湾と中国の賃金格差は10分の1という。経営幹部の地元採用にも積極的だ。台湾企業間で産業連関が成されているのも特徴の一つ。各地で「台湾城下町」が形成されている。最近では特にIT企業で分散していた傘下企業を1カ所に集める動きが顕著だという。今や、本社機能のみを台湾に置く企業が出てきている。
日本企業の中国進出が盛んな今、台湾企業に学ぶことは数多い。
| 問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい? | |
![]() | 北原 保雄 大修館書店 2004-12 売り上げランキング : 94 おすすめ平均 ![]() 問題がいっぱい。 マニュアル本ではありません もの足りないAmazonで詳しく見る by G-Tools |
「コーヒーのほうをお持ちしました」「ピラフと紅茶でよろしかったでしょうか」。これらは、ファストフード店やファミリーレストランなどで最近よく聞かれる言い回しだが、おかしな言い方としてたびたび指摘されているものだ。
こうした昨今の奇妙な言い回しに対し、単に“正しい”表現を対置して批判するだけでなく、なぜこうした言い方が生まれたのか、使われるのかを、話し手の心理までを視野に入れて考察したのが本書である。といっても専門家向けの本ではなく、そうした言葉を使う若い人たちにも読みやすいように書かれている。
たとえば、よく聞く「こちら、和風セットになります」の「~になります」。「和風セットです」と言えばいいのに、なぜこう言うのか。本書は、「お客様はご不満かもしれませんが、これが弊店の和風セットなんです」という謙虚さを示すことによって、客への畏敬の念を込めている、という分析をしている。
| 内なる敵に克つ 経済復活のメカニズムをつくる | |
![]() | 田中 直毅 東洋経済新報社 2004-12-03 売り上げランキング : 216,178 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は、日本の代表的な知性であり、これまでも、日本の経済社会が転機を迎えるたびに洞察力に富んだ問題提起と提言を行ってきた。その著者が現状をどう分析し、またどんな処方箋を打ち出そうとしているのか。小泉純一郎首相の、「民間ができることは民間に」という言葉に、首相のブレーンと目される氏が、具体的内容をどう付与しているのか。本書は、そうした関心にも応える、いわば小泉改革の実践理論書である。
著者の基本的立場は、「経済的決定要因における一国主義の説明の著しい後退」に直面した現在、「内側における自己統治」のあり方を追い、「内なる敵との対抗」という視座で新しい考え方を練り上げることが必要、というものだ。
本書は7章立てで「試金石となる郵政民営化」「金融不況からの脱出」「新たな領域に向かう日本経済」「米国経済の実力」「中国経済の深層」などからなる。第1章に郵政民営化を据えたことは、本書のメッセージを明確にした。著者は、社会福祉支出の増大が避けられない高齢化社会では、年金基金が低リスクで、十分な収益率を生み出す投資先に回るか否かが重要であると述べて、政府保証の廃止を説く。不良債権問題にメドが立ち、金融システム不安が過去のものとなる中で、効率的で厚みのある資本市場の形成に向けて残された重要問題が、郵政民営化なのだという。
そして著者は、将来の経済の流れを考えるうえで、今後は「政府部門の収支尻」こそが重要だと説く。評者のように短期の景気循環を専門とする者には、ドルの安定から中国経済の調整に至るまで、一つひとつに「統治の仕組み」を問う著者の本質論的思考は耳が痛いが、日本経済の将来に関心を持つ多くの人々にお薦めしたい書である。【評者 嶋中雄二 UFJ総合研究所投資調査部長】
| 鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く!」-セブンーイレブン流「脱常識の仕事術」 | |
![]() | 勝見 明 プレジデント社 2005-01-21 売り上げランキング : 165 おすすめ平均 ![]() 常識とは?と考えさせられる現代のビジネス心理学本 素晴らしい!のひとこと 人間の勉強になるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
副題は「セブン‐イレブン式脱常識の仕事術」。2年前に話題を呼んだ『鈴木敏文の「統計心理学」』の著者による“続編”だ。
著者によれば「統計心理学」では鈴木流経営学の基本的な骨格を明らかにしたが、本書はその応用を扱っているという。ただし、本質的でストレートな鈴木語録をベースにした構成であるから、応用であるか基本であるかは、さして重要ではない。読者は、ただその発言に触れ、真意を著者の解説を通して知り、目からウロコが落ちる思いに驚くのみである。
顧客志向の経営を徹底したのがセブン‐イレブンかと思いきや、鈴木流では「顧客のために」という言葉を社員に禁じる。安売りとは「ものまね」のこと。そして、鈴木流経営の根幹を成す“仮説”は「勉強」からは生まれない、と断じる。
巻末に「鈴木敏文氏が語る75の真実」という索引を兼ねた語録集があり、これをガイドに気になる部分から読み進めるのもいい。
| 経済論戦の読み方 | |
![]() | 田中 秀臣 講談社 2004-12-18 売り上げランキング : 8,919 おすすめ平均 ![]() 経済論戦とは無縁と思っている人にこそ かなりの辛口!! 「ダヴィンチコード」並みに面白かった!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
経済学には二つの大きな領域がある。一つは希少な経済資源をいかに有効利用するかという「経済効率性の問題」で、もう一つは遊休化した経済資源をいかに減らすかという「完全雇用の問題」である。それぞれの問題への「政策割り当て」に関する経済学的な回答が存在し、前者のミクロの問題は「レッセフェール(市場主義)」、後者のマクロの問題は「金融政策を中心とするマクロ安定化政策」で対応する。これが教科書流の処方箋である。「教科書」というと否定的なニュアンスが込められることも少なくない。しかし、経済学の「教科書的」常識は、経済学の共有された知識が論理的、経験的検証を繰り返しパスし積み重ねられてきたものである。その知見をもっと大事にせよというのが本書の主張である。評者もまったく同意見だ。
米国では、教科書通りの政策が実践されている。すなわちミクロについて徹底的な市場主義の政策がとられる一方、不況になるとグリーンスパン議長率いるFRBが金融緩和を行っている。ところが日本では、経済学の知見を無視した経済政策論議がまかり通っていると本書はいう。確かに不適切な財政政策が実施されてきたうえに、金融政策の相次ぐ失敗によって、マクロ安定化政策は無力かつ有害だと考える人が増えている。
それでは2003年後半以降、デフレ予想が後退してきたのはなぜか。いくつかの幸運もあったが、政府・日銀が広義の金融政策を大転換させ、教科書に沿った経済政策に回帰したことのおかげではないだろうか。
本書は、非常に辛口であるが、主要な経済論争をわかりやすく解説している。また、現実のマクロ経済の動きを読み解くために必要なコアの教科書の考え方を、一般の読者が理解しやすいようにまとめている。【評者 河野龍太郎 BNPパリバ証券チーフエコノミスト】
| 企業コンプライアンス態勢のすべて―決定版 | |
![]() | 大塚 和成 滝川 宜信 藤田 和久 金融財政事情研究会 2004-12 売り上げランキング : 5,665 おすすめ平均 ![]() 実務に配慮した内容! 類をみない内容! 待望の一冊!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一橋大学大学院の松本恒雄教授は、冒頭に寄せた文章にこう書いた。「『コンプライアンス』をテーマとした書籍はあまた出版されたが、(中略)本書は類をみない内容となっている」。
確かにこれほど“使える”書籍にはなかなかお目にかかれない。一般論になりがちな「総論編」からして個別企業の具体例を挙げる。編著者が働き盛りの現役弁護士なだけに、法的な意味づけや訴訟の実例など、この手の書籍には珍しい生々しさがある。さらに圧巻は「実践編」。コンプライアンス態勢を構築するための工程表やチェックリスト、文書作成用のダミー文書まで掲載、続く「資料編」も充実している。もし自分が、上司からコンプライアンス態勢の提案、構築を指示された企業人だとしたら、この本との出合いに心から感謝することになるだろう。
ちなみに、用語として「体制」でなく「態勢」を使っているのは、社風や社員教育など形に見えないものまで含めた意味だという。
| 日本の数字―データが語るこの国のゆたかさ | |
![]() | 松尾 義之 白日社 2004-10 売り上げランキング : 151,157 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
副題は「データが語るこの国のゆたかさ」。GDPなど経済データから、交通事故や新刊図書発行数まで、約80のトピックスについての詳細なデータが詰め込まれている。著者は、500兆円のGDPを維持しながら不況が叫ばれ続けてきた日本に疑問を持ち、統計データから掛け値なしの実像を浮かび上がらせようとした。日本経済新聞社出身の科学ジャーナリストだけに、エコノミストとは違った切り口が新鮮。といっても、お堅い本ではない。右ページが三択クイズ形式、左ページがグラフという設えは、誰にでも楽しめる工夫がこらしてある。
著者はあとがきに「宇宙船地球号」の提唱者フラーの原著が『宇宙船地球号の操縦マニュアル』だったことを紹介、地球には必要なものはすべてそろっているのに「きちんと運転操作するマニュアル」だけがないと書く。それは、本書から浮かび上がる「豊かな日本」も同じだ。さて、操縦マニュアルをどうつくるか。
| これからはこの仕事!―時代を先取る24の新市場 | |
![]() | 三神 万里子 幻冬舎 2004-11 売り上げランキング : 74,675 おすすめ平均 ![]() かなり怪しげな本 実に濃い本 カタカナ商売は素敵!? Amazonで詳しく見る by G-Tools |
昨年、村上龍氏の『13歳のハローワーク』がベストセラーになった。子供のうちから職業観を身につけさせようという、ある種健全な考え方が世の中に広まりつつある証しか。
本書は新しい職業を紹介した画期的な書。ウォーターサプライヤー、エネルギーマーケター、アートディーラーなどビジネスマンでもよく知らない職業がコンパクトに解説されている。子供が読みやすいようにギャグ漫画を加えているが、侮ってはいけない。病院経営コンサルタントの結論。「規制緩和待ちの着火準備状態。ビジネス感覚ゼロなお医者のお尻叩き屋さん」。知財コンサルタントの結論。「理系研究者と文系商売人を通訳する、技術のデビューお助け屋さん」。読んでいて思わずにやりとさせられる。
それもそのはず。著者は『メガバンク決算』等のハードな著書がある、日本唯一のギャグ漫画も描ける硬派ジャーナリストなのだから。
| キャッシュカードがあぶない | |
![]() | 柳田 邦男 文芸春秋 2004-12 売り上げランキング : 34,509 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
財布の中にはきちんとキャッシュカードが入っている。暗証番号を盗み取られた気配もない。しかし、何者かがあなたの銀行口座から預金をすべて引き出してしまったとしたら……。
本書はこの現代の恐怖をものの見事にルポタージュした傑作である。年金や退職金などの老後の蓄えが一瞬で奪い去られてしまい、救済を訴えた銀行や警察はまったく事件そのものを取り上げようともしない。盗まれたのは預金者の財産であるのに、法的には現金を引き出された銀行が被害者となってしまう。そして銀行は被害届を自主的に出そうとしないために、事件は被害者の泣き寝入りになるという。銀行側は一切、被害者の被害を弁償することはない。
「自己責任」という虚名を振りかざして弱者に沈黙を強いる非情なやり口であり、まさに深刻な法の欠陥である。金融システムの「セーフティネット」論が政府や銀行系エコノミストたちからこの10年あまり積極的に喧伝されてきたが、なぜかキャッシュカード犯罪の蔓延に対する対策は一向に進んでいない。
このような倫理にもとる銀行の顧客への姿勢を本書は糾弾してやまない。「金融ビッグバン」などといわれてきたが、実はあいかわらず銀行への護送船団方式は継続しており、銀行には真剣に預金者保護のためのコストを払おうという自主的な意欲はないのだろう。リテールバンキングを目指すといいながら、肝心な預金者の財産保護さえもできない銀行こそ、まさに清算されるべき第一のものではないだろうか?
倫理なき経済システムがどのような問題をもたらし、また消費者主権の観点からどう改革するのか。本書の突きつけた課題は重い。国民の財産の保護さえも満足にできない政府に明日はないだろう。【評者 田中秀臣 上武大学ビジネス情報学部助教授】
| メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場 | |
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万華鏡のような面白さ。短期資本市場の第一人者が博覧強記のインテリジェンスを駆使し、41編のエッセイで金融界の「複雑怪奇」を解き明かしてくれる。
例えば「スターバックス指数で考える中国人民元の適正レート」。上海でカフェラテは22元、円換算で293円。これなら、元は大して切り上げなくてもいいが、マック平価では、元は57%も過小評価、となる。
と思えば、水戸黄門は「インフレターゲットに反対」し、日銀総裁は「量的緩和策の“美しき誤解”を利用」している。為替市場介入のアカウンタビリティでは「ゴルゴ13」も登場する。トドメは表題にもある「だだちゃ豆」だ。筆者の故郷、鶴岡市特産の枝豆だが、お盆の時期には価格が急騰する。それを見越し、バイヤーが農家に一括買い占めを打診するのだが――。このエッセイの結語は「需要と供給で価格が決定されることだけが正義ではない」。市場に生きる筆者の心のつぶやきである。
| プロ論。 | |
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リクルートが発行する転職情報誌で連載され、好評だった「巻頭インタビュー 21世紀を働く」に加筆、修正したのが本書。タイトルの「プロ論。」からして時代感覚が秀逸。今、社会構造の変化と価値観の揺らぎの中で、いわゆる“プロ”の存在は必然的に希薄化している。だから逆に、現時点で“プロ”と呼ばれる一部の仕事人に集中的にスポットライトが当たるといえる。
登場するのはカルロス・ゴーンから和田アキ子(人選理由は不明だが面白い)まで各界の著名人50人。その個性的な談話を七つのカテゴリーに分類してあるのだが、「会社で頭ひとつ出たいとき」「働くことがいやになったとき」など、そのカテゴリー分けのストレートな物言いもこの読み物においては効果的だ。
編集者が抜き出したキャッチーな言葉が視覚に飛び込むつくり。ただ、読者は本文の中に埋もれた言葉を自分でじっくり探したほうがいい。本書はそういう読み方にちゃんと耐えうる。


人それぞれですが、個人的に…
とても実用的



もの足りない








