メイン > 週刊エコノミスト書評 『ブックレビュー』 > 2007年9月18日~9月25日
| 経済再生の条件―失敗から何を学ぶか | |
![]() | 塩谷 隆英 岩波書店 2007-06 売り上げランキング : 41232 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
経済政策の現場にいた官僚が過去を振り返り心情を吐露
1980年代後半以降の日本経済は、バブルの発生とその崩壊、長期不況、不良債権、デフレなど、それまで例を見ない困難に直面し、苦悩してきた。国民がこうした苦しみを2度と味わうことのないようにするためには、この間の経済政策とその決定プロセスを多面的に検証しておくことが必要だ。
こうしたなかで、経済政策決定プロセスを詳しく考察した本が次々に登場しているのは大変喜ばしいことだ。大田弘子『経済財政諮問会議の戦い』、竹中平蔵『構造改革の真実』、清水真人『経済財政戦記』、飯島勲『小泉官邸秘録』などである。
このリストに本書が加わった。著者の塩谷氏は、旧経済企画庁で調整局長、次官などの要職を歴任し、激動の経済政策の現場に立ち会ってきた。私は、旧経企庁で何度も塩谷氏と一緒に仕事をしてきており、私自身も少しだけだが本書に登場する。そうした身内意識を割り引いても、本書は大変面白い。
著者は、本書を「意思を持った者たちの苦闘の記録」だとしている。ともすれば官僚は無機質で機械的な存在だと思われがちだが、官僚も人間である以上、感情や意思を持っている。その感情や意思は本人に聞かないと分からない。それが率直に語られている点が本書の最大の特徴である。
本書を読み進みながら私が感じたのは「時代の風」(著者は山本七平氏の言葉を引いて「その場の空気」と言っている)ということである。日本ではしばしば時代の風が強く吹く。この風が吹くと、議論は一方向に流れやすく、時として、後になって振り返った時「なぜあんなことをしたのか」という政策的誤りを犯す。
なぜバブルが崩壊した後も、あれほど厳しい金融引き締めを続けたのか。なぜ1992年夏に宮沢総理が不良債権処理のための公的資金投入を提案した時に、誰もがこぞって反対したのか。大不況の入り口であった97年当時に、なぜあれほどの緊縮財政路線を取ったのか。
こうした時代の風に翻弄されてきた著者は、正直に自らの判断の誤りを認め、また気が付いていながら政策の方向を正せなかった非を悔いている。しかし、私はいずれも個人の問題ではないと感じる。恐らく個人が時代の風を変えることはできないのだろう。議論が一方向に流れそうな時、歯止めがかかり、政策的リスクを防ぐことができるようなルールと政策プロセスを整備しておくことが必要だ。
こうして本書は、読む人に改めて経済政策のあり方を考えさせてくれる。【評者 小峰隆夫(法政大学大学院政策科学研究科教授)】
| 経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門 | |
![]() | 伊丹 敬之 東洋経済新報社 2007-06-29 売り上げランキング : 2350 おすすめ平均 ![]() 伊丹センセイから若手マネージャーへの指南書 難しいことをわかりやすく解説 目が覚めましたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
経営学の入門書としても職場人間学の書としても読める
ほんのわずかでも部下を持つビジネスマンに本書をお薦めする。著者は「働く人と会社」「企業とは何か」「リーダーのあり方」「経営の全体像」「経営を見る眼を養う」といったことをテーマに、人々が日ごろ、漠然と考えていることを明瞭な言葉にすることによって、次のステージに向かおうとする意欲ある人に考える指針を示しているのである。例えば、次のような説明がある。
「だれにでも容易に手に入る製品やサービスであれば、とくに企業が存続してその提供を業とする必要はない。その提供プロセスに何らかの困難さが伴うからこそ、その困難さを解決する努力が企業の『提供プロセス』の中核になるのである」
その「中核」とは「技術的変換」とでも呼ぶべきものである、と著者はいう。それは……。 「企業は市場からさまざまなインプットを取り入れる。そして、自らのアウトプット(製品・サービス)を市場に提供して売っている」ことを意味する。つまり企業活動の中心とはインプットからアウトプットまでの変換過程にほかならないのである。
その「変換」を実行するために、資本、人、技術、マネジメント(組織)、他者とのネットワークなどの資源が必要とされる。その資源の総体が「企業」なのだが、大切なのは人によって構成される「変換過程」を担う組織の中身である。
それゆえ職場には「誰がどんな役割と責任をもつかを決め、その役割をみんながきちんと果たそうとする意欲が湧くようなインセンティブを工夫し、そしてみんなの活動の成果の業績測定を行い、そこからフィードバックして管理する仕組み」作りが必要なのだ。
著者は経営戦略、組織づくり、資源配分、情報、マネジメントといったテーマを具体例で説明しながら、人はどのようにしてがんばるのかを語る。つまり1人1人が「変換」の担い手でなければならないからだ。
著者は「性弱説(人は性善なれど弱し)」を唱える。まったく賛成だ。人は甘えや欲望をもっている。しかし「それでも人を信じ、仕事を任せることから経営ははじまる」という。
そして、その「経営とは他人を通して事をなすこと」であるという。なるほど。であるなら1人でも部下を持てば「経営を見る眼」が必要となろう。
日々の仕事の意味を、さまざまな角度から洗い直している本書は、経営(学)入門の書であると同時に職場の人間学の書ともいえよう。【評者 中沢孝夫(兵庫県立大学環境人間学部教授)】
| 漆黒の鳥 (Hayakawa Novels) | |
![]() | ジョエル・ローズ 早川書房 2007-08 売り上げランキング : 172244 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| ヒンデンブルク号の殺人 (扶桑社ミステリー コ 1-3) | |
![]() | マックス・アラン・コリンズ 阿部 里美 扶桑社 2007-07 売り上げランキング : 278500 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
史実と虚構のたわむれに歴史の愉しみ方を発見
歴史ミステリのネタは尽きずをあらためてアピールする2作。作者の世代でいえば、ベビー・ブーマーによるリベンジ。本年度のキーワード「○塊・第2の人生」にふさわしい。
ジョエル・ローズ『漆黒の鳥』(早川書房、2415円)は、初紹介作家。ミステリの父エドガー・ポーが探偵役になるところは、きわめて正統的だが、さほど珍しい趣向ではない。ポー創出による原型ミステリの1つ「マリー・ロジェの謎」(犯罪ノンフィクションのはしりでもある)が書かれた真の理由。それについての新解釈が目玉。表向きは作家の満々たる野心、しかしてその裏には何があったのか……。
とはいえ、憂愁と夢想の詩人ポーは、小説の主人公としてあまり颯爽としていない。むしろ有力容疑者とみなされる設定が多くを占め、こちらのほうがぴったりきている。その分、警察組織とギャングの抗争する活劇のパーツが救いだ。
マックス・アラン・コリンズ『ヒンデンブルク号の殺人』(扶桑社ミステリー文庫、880円)は、練達のベテラン作家によるシリーズ第2弾。この作者には以前に、史実とからめた私立探偵小説シリーズがあり、個人的にはそちらのノスタルジックな味わいのほうが好みだが、こちらのほうが読みやすく大衆的か。
前作はタイタニック、今回は飛行船ヒンデンブルク号。共通するのは、実在の探偵作家が巨大事故と謎の殺人の組み合わせに挑む、というコンセプトだ。今回は、セイント・シリーズで売ったチャータリスが伊達男役。といっても、往年のミステリ・ファンにしか馴染みのない名前で、それもまた歴史ものの古色「陶然」たる通の味かと。
どちらも、史実と虚構のたわむれにこそ歴史本来の愉しみ方があると示す。リサーチの苦心の跡を追えば、1冊で2度おいしいお徳用ミステリだ。【野崎六助 (作家・評論家)】
| 豊潤なる企業―内部統制の真実 | |
![]() | 鳥飼 重和 清文社 2007-08 売り上げランキング : 13145 おすすめ平均 ![]() 求めていたものですAmazonで詳しく見る by G-Tools |
著者インタビュー 鳥飼重和(鳥飼総合法律事務所代表弁護士)
「訴訟社会」だからこそ「理想の経営」を訴える
──内部統制の勉強をしようと思い、変わったタイトルの本書が目にとまりました。ご専門の会社法などに関する法律論のほか、あるべき企業を論じる経営論が置かれている構成がユニークです。
■基本的なことから言うと、内部統制を義務化した法律は2つあって、1つは2006年施行の会社法、もう1つが金融商品取引法に組み込まれたもので08年から本格稼働します。
この2つが合体して、日本の経営者と、ひいては一般のサラリーマンの環境を大きく変えることは間違いありません。ひとことで言えば、企業と経営者の法的責任が非常に厳しく問われる社会になります。
──会社法の領域では、取締役の責任の厳格化が1つのポイントですね。
■そもそもこれまでが甘すぎた。国策的にとくに上場企業とその役員を守ってきたのが戦後の日本でしたが、そういう時代が終わったということです。
談合などの法律違反を役員が犯しても、私腹をこやしたのでなければ、「会社のためにやったんだから」と甘く見る見方がかつて社会にもあったと思う。しかし、会社のために社会に迷惑をかけることは許されない、と社会の見方が厳しく変わってきた。内部統制をめぐる法の整備は、この社会の意識変化を反映したものだと思います。
──法律の改正、また弁護士の増加などで、投資家や消費者が企業を訴えて「勝てる」条件が整ってきた、ということも本書で述べられています。いわゆる訴訟社会の到来ですが、最近の鳩山法相の発言のように、それは日本社会にそぐわないという意見もある。
■時代錯誤の意見だと思います。これまで企業に甘すぎたため、たとえば日本の中小企業は特別背任の巣窟になっていませんか。会社を自分の私物のように思い、会社に損害を与えている経営者がたくさんいる。伝統的価値観を否定するわけではありませんが、こと企業においては法の無視があまりにひどかった実態がある。
──内部統制の話に戻せば、新しい法律が要求する社内情報の文書化などには多大なコストがかかる。モデルとなった米国のSOX法にも企業に厳しすぎるという批判がありました。日本でも同様の声が上がり得ますね。
■大手の監査法人が法令違反で崩壊した影響により、監査のリスクを減らすために、広めの文書化を企業に求めている点はあります。
それとともに、内部統制をめぐる議論が、経営者に対する「規制強化」という側面に偏っているのが問題です。内部統制は悪質な企業にとって厳しい規制ですが、優良企業は確実にクリアできるはずの基準です。それは社会から見て当たり前の最低基準であり、経営者には「もっと上」を目指してほしい。
本書に私なりの経営論を加え『豊潤なる企業』というタイトルにしたのは、社会から尊敬される理想の企業をこの機会に追求するよう、経営者を励ましたかったからにほかなりません。
| マネーと常識 投資信託で勝ち残る道 | |
![]() | ジョン・C・ボーグル 林 康史 石川 由美子 日経BP社 2007-08-09 売り上げランキング : 1736 おすすめ平均 ![]() 投信を買う前に一読を。 読みやすい構成。インデックスファンドを知らない人に。 投資における「コスト」の重要性を説くAmazonで詳しく見る by G-Tools |
例えば東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価などのインデックスを、長期にわたって上回り続ける投資信託はない。また、投資信託では株式の入れ替えの度に手数料と税が発生する。インデックス・ファンドを複利で回せば、手数料と税は最少ですむ。インデックス・ファンドの創設者がインデックス・ファンドを推奨する。
| 熱湯経営―「大組織病」に勝つ (文春新書 586) | |
![]() | 樋口 武男 文藝春秋 2007-08 売り上げランキング : 17026 おすすめ平均 ![]() 真に人に優しい企業とはAmazonで詳しく見る by G-Tools |
大変革の時代といっても、グループ会社に出て、戻って本社の社長になるケースはまれ。それを成し遂げた著者。しかも、出た先を立て直し、本社も大きくした。「熱湯経営」。著者自身に「熱い」ものがあったからこそ、ぬるま湯ではない「熱湯」を実践できたのだろう。その一部始終をまとめている。基本は、創業者の座右の銘であり、自身も好きな「志在千里」。志は千里のかなたにある、という熱い思いだ。
| 裁判員制度の正体 (講談社現代新書) | |
![]() | 西野 喜一 講談社 2007-08-17 売り上げランキング : 113 おすすめ平均 ![]() 現代版「徴兵免役の心得」 読んでいる途中でゾッとさせられた。 知っていると知らないでは大違い!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2009年春にも始まる裁判員制度は憲法違反で、市民から選ばれる裁判員に耐え難い負担を強いるだけでなく、被告、検察にも欠陥だらけの制度、と舌鋒鋭く批判する。審議会で学者が激論、場をおさめる妥協案として出された案なのに、そのまま法律になったもので、何の必然性もないというから驚く。元裁判官の批判派教授ならではの説得力あふれる概説書だ。
| 超大国アメリカの素顔 (ウェッジ選書 29 地球学シリーズ) | |
![]() | 久保 文明 ウェッジ 2007-07 売り上げランキング : 32840 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アメリカに関しては十分知っていると思いがちだ。しかし、南部、中西部の農村で熱心に教会に通って聖書の世界に生きる人たちを日本人はあまり知らない。ブッシュ当選の原動力となった宗教右派だ。宗教が社会システムの一部として機能し、政治動向に大きく作用している。格差拡大で分裂しそうな国論を「建国の理念」が統合している。専門家の講演中心の好著だ。
| 安藤昌益の世界―独創的思想はいかに生れたか | |
![]() | 石渡 博明 草思社 2007-07-24 売り上げランキング : 210325 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
歴史教科書でもその名を知られながら、いまなお謎に満ちた安藤昌益に関する最新の研究成果を踏まえ、その生涯、ドラマチックな復活の歴史を紹介したうえで、根本哲学と医論、社会思想をかみくだいて解説している。2007年は、歴史に埋もれてしまった昌益を明治の碩学・狩野享吉が初めて世に紹介してから、ちょうど100年に当たる。平和で平等な社会を希求した昌益の独創的思想を学ぶ格好の入門書。
| ネオ共産主義論 (光文社新書) | |
![]() | 的場 昭弘 光文社 2006-04-14 売り上げランキング : 109284 おすすめ平均 ![]() 共産主義思想の多様性と現代的可能性を模索した好著! 論理だけでは納得できないかも? 改めて考えて見ましょうAmazonで詳しく見る by G-Tools |
共産主義は死んだのか?
マイケル・ムーア監督の新作映画「シッコ」を観た。医者の立場からすると、確かにアメリカの医学のレベル、特に先進医療のレベルは高い。これは世界で一番医療費の高い国での市場原理の賜物といえる。しかし一方で、保険に入っていないために医療にかかれない人が人口の15%に達し、保険に入っている人でも保険会社の支払い拒否でまともな医療が受けられない現実が浮き彫りにされていた。
7月の参議院選挙でも、民主党が大勝したが、基本的な方向性は、アメリカ型の市場原理社会、規制緩和であり、ムーアが理想としたヨーロッパ型ではない。
日本にヨーロッパ型を標榜する政党があるとすれば、社会民主党と共産党ということになる。しかし、その2つは完全に国民にそっぽを向かれている。私自身は、学生時代の経験から、共産党系の民青も新左翼も独善的な体質は許し難いが、共産党の調査能力は一定評価している。石原都知事の公私混同問題も拉致問題も、最初に暴いたのは共産党だ。1割くらいは議席を持たせていい気がする。
それ以上に興味があるのは、資本主義と共産主義の戦いで本当に共産党は死んだのかという問題だ。現実に市場原理を取り入れながら中国は世界一の国家になろうとしているし、南米は共産主義国家が増えている。ムーアの映画でもキューバの医療体制の良さに驚かされて終わる。
博学のマルクス経済学者・的場昭弘の『ネオ共産主義論』(光文社新書、777円)は、そういう時代に共産主義を知るうえでの名著だ。欲望の制限や財産の共有により知性が支配する社会という共産主義の起源は、旧約聖書の創世記にさかのぼることができることや、プラトン的ユートピア論や千年王国論の影響が大きいという歴史的展望は、大いに考えさせられるものがある。
著者が歴史的に俯瞰するように、国民が悲惨な状況になると、次のような考え方が台頭してくる。資本主義も共産主義も豊かな社会を目指すのだが、資本主義が個人の利己心を追求するため、その裏面として共産主義思想が強まるのだと。
資本主義社会が一方で選挙民主主義社会である以上、1人の勝ち組と99人の負け組の状況が続くわけはない。資本主義の暴走を止める方法論を持たないと、小選挙区制でいつ共産主義が復活するか分からないというのは肝に銘じたい。【和田英樹 精神科医】
| 理性ある人びと力ある言葉―大内兵衛グループの思想と行動 | |
![]() | ローラ・ハイン 大島 かおり 岩波書店 2007-07 売り上げランキング : 36064 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544) | |
![]() | 佐藤 卓己 筑摩書房 2005-07-06 売り上げランキング : 46668 おすすめ平均 ![]() 記憶と忘却の相互作用 オススメです。 8月15日の神話を解き明かすAmazonで詳しく見る by G-Tools |
戦後の復興計画に加わった経済学者たち
日本経済の「戦後レジーム」は占領下の財閥解体、労働改革、農地改革に始まる。そこで傾斜生産方式やドッジラインによる復興計画に参画した一群の経済学者がいた。ローラ・ハイン『理性ある人びと 力ある言葉』(大島かおり訳/岩波書店、5985円)は、その中核をズームアップして、経済学と経済政策の関係史を描く。
著者が「大内グループ」と呼ぶ大内兵衛、有沢広巳、脇村義太郎、高橋正雄、美濃部亮吉、それに日米戦争前に没した大森義太郎の考えは、各章のタイトルで要約される。曰く「世の中に影響を及ぼす」「平和のための仕事」「資本主義の矛盾を和らげる」「消費と民主的家庭」「グローバルに考えローカルに行動する」。
彼らは戦前マルクス経済学の労農派から出発、軍部と右翼に睨まれ東大経済学部を追放・蟄居、積極的戦争協力は拒み統計調査に専念、戦後はGHQニューディーラーや都留重人らも巻き込み「平和経済」再建と「合理化」に尽力、吉田茂から池田勇人に至る政権と経済官庁にアイデアを提供し、社会党・労働組合・市民運動へも影響力を行使。時代を先取りした思考は美濃部革新都政の自治、福祉、女性、環境政策に結実した。
その間の6人の結集と離反、協働と分業を追い、そのエリート主義には距離をおく。マルクス主義とケインズ主義が幸福に結ばれた高度経済成長期の矛盾は「民主主義対効率」と描かれる。著者が意識したか否かは別として、日本における「第3の道」の早熟的形成の記録とも読める。米国人女性学者ならではの男性経済学批判も随所に。
だが戦後の出発点は本当に1945年8月15日だったのか。こう問いかけた『八月十五日の神話』の続編、佐藤卓己・孫安石編『東アジアの終戦記念日』(ちくま新書、777円)が面白い。
8月15日を敗戦・解放と一対で記念するのは日本と韓国だけ。台湾・中国・旧ソ連・英米でそれぞれ第2次世界大戦の終期は異なる。日付の違いは意味づけの違いで、国内でも北海道・沖縄の「終戦」は異なる。「国民国家の記憶」とは、公教育とメディアの合作なのだと改めて得心。【加藤 哲郎 一橋大学大学院社会学研究科教授】
地方債改革の経済学
土居 丈朗 (著)
地方債制度の問題点を指摘し経済学的分析で解決策を導く
わが国の政府債務は、国のみならず地方自治体においても未曾有の規模に達する。諸外国の地方政府は独自の税収で返済できない過剰な債務を抱えることはない。本書は、日本の地方自治体の債務がここまで膨張したメカニズムを経済学的に分析し、地方債制度の何が問題で、どのように改革すべきかを、具体的かつ平易に論じている。
地方債は、地方税、地方交付税、国庫支出金と並ぶ、総務省による地方財源配分の統制手段の一つである。起債の許可・管理のみならず、引受先まで総務省が管理する。この制度の下、財政力がなく市場から資金調達の難しい自治体に、民間資金よりも長期かつ低利である公的資金が優先的に配分されている。1990年代に国が策定した景気対策と整合的な公共事業を行うために、総務省が起債許可を与え、財政力のない自治体が債務を急増させていった。
しかし、自治体は単に国の政策に付き合わされて地方債発行を増やしたのかというと、そうでもない。著者は、地方自治体に債務を増やす強いインセンティブがあったと論じる。国が将来の元利金の支払いを地方交付税で補填する制度になっているため、自治体に借り手意識がない。その結果、必要以上の公共工事を行い、経済全体の資源配分に大きなゆがみをもたらした。
さらに、自治体が債務返済に困っても、国が救済する制度がある。財政再建団体になると、歳出削減や歳入増加の努力は課せられるが、住民に対する増税を強制されるわけではない。債務の返済は、結局、地方交付税などを通じた国税の負担によって行われる。現在の財政再建制度は放漫財政を是認する装置となっており、破綻法制としては不十分で持続不可能だと論じている。
では、どのような制度が望ましいのか。著者は、市場原理の導入を強調する。例えば、諸外国では、自治体の債務について国の保証がないため、自治体間で資金調達コストに差が生じている。この信用力に応じた金利差こそが、財政運営の規律付けの源泉となりうる。金利を通じた価格メカニズムが全く作用していない現在の仕組みを改め、自治体にコスト意識を持たせることで、地方財政の基本である受益者負担の原則を徹底することが可能となる。評者も全面的に賛成だ。
制度改革にはさまざまなステークホルダーの個別利害を超えた議論が必要だが、本書は経済学的分析が解決策を導くのに有用であることを教えてくれる。【評者 河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査部長)】
| ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 | |
![]() | 安冨 歩 本條 晴一郎 光文社 2007-04-17 売り上げランキング : 3506 おすすめ平均 ![]() 非現実的な決め付けこそ、ハラスメント 衝撃作 コミュニケーション論としてはよい素材Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コミュニケーションに潜む人を不幸にするものとは?
「わかるということは、自分が変わること」と述べたのは、中世ヨーロッパ史の碩学で一橋大学学長を務めた阿部謹也氏だ。氏は、師匠である上原専禄氏にそう諭されたという。
「わかる」ことにもいろいろあるが、最高のわかり方はそれによって自分自身が変わることだ。つまり、地平が開ける、そこが果てだと思っていたそのさらに先にも世界があることがわかる、これまで自分が「これしかない」と考えていたことが相対化できる。
「わかる」ことは、人生における大いなる喜びだ。こうした経験は、ほとんどの人が友人、先輩、家族とのコミュニケーションのなかで持ったことだろう。そう、人と人との間の健全なコミュニケーションとは、「自分が変わり、相手も変わる」というコミュニケーションにある。逆に言うと、「自分は変わらず、相手だけが変わる」というコミュニケーションが行われているとしたら、それは不健全だということになる。
論文審査や採用面接は、不健全なコミュニケーションになりやすい典型だ。審査や試験を受ける人は自分を変える。日ごろ着ることもないスーツを着たり、自分の主張を抑えて相手の要求に合わせたり……。しかし、審査官や面接官は自分を変えない。彼らが言う「相手を導く」「相手を客観的に評価する」という美しい言葉のうちに、すでに不健全さが宿る。要するに、どちらかの側に反省や学習を伴わないコミュニケーションは、不健全なコミュニケーションなのだ。それを、著者たちはハラスメントと呼ぶ。
ハラスメントが怖いのは、健全そのものに見える家庭のしつけや学校の教育、夫婦や恋愛関係において、当人たちも気がつかない間に起こっていることだ。当然、会社のなかにも、さらには企業と消費者との間にも生じる。もう一つ怖いのは、ハラスメントがハラスメントを呼び、家庭や組織の社会における関係のゆがみがさらにゆがみを呼ぶことだ。
本書を読み終わった時、自分がどれだけハラスメントの当事者になってきたかがわかる。これまで見えなかった(あるいは隠してきた)真実の自分の姿が見えてくる。
本書の最後に、ハラスメントに対抗するための一つの手がかりとして、ドラッカー氏のマネジメント概念が取り上げられるのだが、それゆえにこそ経営に携わる人にぜひ読んでいただきたい。【評者 石井淳蔵(神戸大学大学院経営学研究科教授)】
| レイニー・パークの音 | |
![]() | 早瀬 乱 講談社 2007-07-31 売り上げランキング : 196092 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 完四郎広目手控文明怪化 | |
![]() | 高橋 克彦 集英社 2007-08 売り上げランキング : 12930 おすすめ平均 ![]() 赤レンガ、汽車、横浜‥。新聞錦絵が、明治初頭の日本を映し出す。 完四郎復活、「新聞」を説くAmazonで詳しく見る by G-Tools |
明治の新名所、メディアを舞台に謎解きが冴える
早瀬乱『レイニー・パークの音』は、昨年刊行の『三年坂 火の夢』と同じく、明治を舞台にした探偵譚である。
明治36年、元屋夏雄のもとへ、10年前の澤田夫妻の失踪事件を審議する「公園裁判」を日比谷公園で開くので出席するようにという謎の手紙が届く。それを読んだ夏雄は失踪、残された妻のセツは夏雄の過去を調べ始める。
完成したばかりの日比谷公園は、景観を守るため、身なりの悪い労働者やホームレスの入園を禁止していたという。物語の鍵となる日比谷公園の知られざる歴史や、立身出世主義の導入によって厳しい競争社会で戦うことを迫られた明治青年の苦悩を謎解きにからめることで、現代まで続く格差社会の原点に迫ったところは秀逸だ。
明治期は、新思想を信奉する革新派と伝統回帰を主張する保守派が対立していた。混迷のなかで進むべき道を模索する若者の葛藤は、やはり価値観が揺らぐ時代を生きる現代人にも共感できるのではないだろうか。
高橋克彦『完四郎広目手控文明怪化』(集英社、1785円)は人気シリーズの第4弾。明治7年を舞台に米国帰りの完四郎が難事件に挑むのだが、架空の事件ではなく、実際に刊行された新聞錦絵を取り上げ、そこに描かれた記事や挿絵の矛盾から、隠された真相を解明していくアイデアが面白い。それだけに急激な変化に飲み込まれた庶民の戸惑いが伝わってくる。
数々の事件を解決した完四郎は、三面記事中心の新聞錦絵ではなく、権力を監視する新聞の必要性を痛感する。ここには現代のジャーナリズムが、本来の役割を果たすことへの期待が込められているように思えてならない。【末國善己 文芸評論家】
| 日中戦争下の日本 (講談社選書メチエ) | |
![]() | 井上 寿一 講談社 2007-07-11 売り上げランキング : 3455 おすすめ平均 ![]() なぜ民衆は戦争を支持したのか?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者インタビュー 井上寿一
日中戦争の責任を踏まえ自前の歴史観を持つべき
――日中戦争から70年、日中国交正常化から35年の今年に日中戦争を問う意味は何ですか。
■日中戦争の場合、両国間で認識のギャップが一向に埋まりません。その原因は、日本の中国侵略の責任について、日中が国交正常化時に一部の「軍国主義者」に押し付け、「日中人民は『日本軍国主義』の犠牲者」と規定した歴史観を共有したことによります。この歴史観から少しでも逸脱すれば、日中関係は悪化します。35年前の歴史観は政治的な知恵ではあったが、この歴史観にとどまる限り、摩擦は解消されません。日中関係の発展に向け、節目の年に日中戦争を考え直すのは、政治的にも意義深いことです。
――日中戦争下の日本の世相をリアルに描いていますが、新たな発見は?
■労働者、農民、女性たちが戦争の一方的な被害者ではなく、自発的な意思で積極的に戦争に協力していた実態が分かりました。なぜ協力したかといえば、戦争は、資本家に対する労働者の、地主に対する農民の、男性に対する女性の、地位向上をもたらすチャンスだったからです。でも、この人たちの侵略性とかを弁護する気はさらさらありませんが。
――戦前の大政翼賛会は「ファシズム」でなく、「デモクラシー」の発展の結果だと指摘しました。
■1930年代は政治的なリベラル勢力が根付かなかった分、軍部や右翼、国家主義者が社会民主主義的な改革に取り組みました。大政翼賛会は戦前デモクラシーのなかから生まれ、国民も腐敗した政党内閣より挙国一致内閣を歓迎したわけです。しかし、これは侵略と民主化を同時に進めようとした社会システムの不調でもありました。
――格差問題が深刻な現在でも、フリーターから不平等が続く平和な社会に疑問の声が上がっています。
■若者たちが不平等感の是正を求め、「保守化」「右傾化」しています。戦争という手段に訴えてでも、平準化を望むフリーターもいます。先日、女子学生が「若者の保守化、右傾化はいけないことですか」と質問してきましたが、戦後世代の私は若者の保守化、右傾化を危惧しています。70年前の反省から、政治的なリベラル層が改革の担い手になるべきだと答えました。
――日中の歴史問題の根本的な解決には何をすべきですか。
■責任意識に裏付けられた自前の歴史観を持つことです。日中戦争に対しては日本人である限り、程度の差はあれ責任があるというのが私の立場。この戦争をもとにして戦後の日本があって、戦後世代もその恩恵を受けています。責任の取り方はさまざまで、中国の留学生を自分の家にホームステイさせるとか、中国に留学し将来の日中関係を勉強するのもいい。中国との戦争を体験された方々が証言してもいい。この本は「右翼的、保守的で戦争を正当化している」と思われかねないところもありますが、その逆で、新たな歴史観を確立し、戦争責任を取ろうと訴えています。
| 日本のM&A―企業統治・組織効率・企業価値へのインパクト | |
![]() | 宮島 英昭 東洋経済新報社 2007-06 売り上げランキング : 26389 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
強い社会的関心を集めながら、実証研究が少なかった「日本におけるM&A」を包括的に分析している。その発生原因や機能を実証的に検証した第1部と、通信や自動車産業などの事例研究を集めた第2部で構成。急増したM&Aは、日本経済の構造調整に寄与している一方で、ターゲット企業の過大評価や従業員の処遇悪化など負の側面は、今のところ顕在化していないとする結論を導き出している。
| 喪失とノスタルジア - 近代日本の余白へ | |
![]() | 磯前 順一 みすず書房 2007-08-18 売り上げランキング : 362250 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
靖国参拝問題は戦死者を祀るという個人の心の問題と共同体ナショナリズム、その頂点にある天皇制の問題までが複雑に絡み合う。著者は真の問題解決のためには原理原則に戻って徹底的に考え抜く必要がある、として近代日本が持つ矛盾の闇に深く踏み込む。現代に生きる意味を歴史・文化・宗教を手がかりに言説論を駆使して日常とは別の角度から考えさせてくれる。
| 地図で読む世界情勢 第2部 これから世界はどうなるか | |
![]() | ジャン-クリストフ ヴィクトル/ヴィルジニー レッソン/フランク テタール 鳥取 絹子 草思社 2007-08-16 売り上げランキング : 196 おすすめ平均 ![]() 欧州の視点も必要 地政学の面白さと怖さAmazonで詳しく見る by G-Tools |
面白い項目があった。「北西航路」。温暖化により北極海の氷が解け出したことで注目されているのが、カナダ北部の北極圏での資源開発とともに、貨物船の新航路だという。北極を真上から見れば、アジア・欧州間の船旅がどれだけ短縮されるか、このトピックの重要度がよく分かる。同じ著者の『第1部 なぜ現在の世界はこうなったか』(1680円)も刊行されている。
| よくわかる慰安婦問題 | |
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米下院で慰安婦対日謝罪要求決議が採択された。日本軍が朝鮮半島などの女性を強制連行、性奴隷にしたことを謝罪せよ、との内容。国連人権委クマラスワミ報告と同趣旨だ。著者は英語の慰安婦「とんでも本」が欧米で広く流布し、誤った国際世論を形成した結果だと説く。立場や結論は別にして河野談話の分析や論点整理はこの問題を考える基礎資料になりそうだ。
| 「沖縄」に生きる思想―岡本恵徳批評集 | |
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昨年8月、71歳で死去した沖縄文学者、岡本恵徳の1956年から2006年までの批評のエッセンスを書籍化したもの。渡嘉敷島集団自決事件の意味するもの、11・10ゼネスト、琉球処分と「同化」と「異化」、戦争の記憶、座間味島集団自決の真実、日本国家の相対化など、今も先鋭的意味を持ち続ける論考が満載。右傾化する日本を冷静に考える時の「座右の銘」だ。
| 少数精鋭の組織論 | |
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フレンチの名料理人が語る人生論
斉須政雄著『少数精鋭の組織論』(幻冬舎新書、756円)は、タイトルはいかめしいが、フレンチレストラン、コート・ドールのオーナーシェフである著者の、料理を通じての人生論、経営論である。
レストランの料理はシェフが作るものと簡単に考えている人たちが少なくないが、実は、一つ一つの料理は厨房のチームプレーのなかから出来上がってくるものなのである。
体験に裏打ちされた人生論だけに、珠玉の文章や言葉が各所にちりばめられている。 「想像力が料理を作りあげます。想像力の奥行きは『ひとりの時間にものを思う分量』にあるとぼくは感じています。若い人がいいのは『ひとりの時間にものを思う分量』の多さを、生活に丸抱えしているところなのです」
忙しさのなかで「ものを思う」ことを忘れているサラリーマンたちにぜひ味わってもらいたい言葉である。大きな組織にいると「ひとりの時間」の大切さを忘れてしまうことがしばしばある。
斉須のベルナール・パコーとの交流の話も大変面白い。ベルナール・パコーは斉須とともにパリのヴォーヌ広場に3つ星レストラン、ランブロワジーを立ち上げたシェフ。評者も何度か行ったことのあるレストランだが、赤ピーマンのムースや、キュー・ド・ブフの味は今でも忘れられない。
ベルナールとの友情を大切にする斉須は、次のようにも述べている。 「……友人の少ないのもすばらしいことです。大事なものは多くありませんから」 「多店舗展開の潮流がはびこる三星レストランの中でも『ランブロワジー』は本拠地だけで潔くやっている。フランス料理のあるべき姿を抱えて立ちつくしているわけです。料理の世界で長く生き続けるには、小賢しさは要りません。うまくやる能力は凡庸でいい」 「『うまいことやっていけるか』よりも、『日々、自分に挑んで生きているか?』の方が、ずっと大きいのではないでしょうか」
これは決して料理の世界だけの話ではない。うまいことやっていくことばかりを考えている人は、どんな分野でも長続きしない。【榊原英資 早稲田大学教授】
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象徴に現実を重ねる中世欧州人のまなざし
本欄で茶の本は幾度か取り上げたが、酒の本はあまり扱わなかった。評者が根っからの下戸で、酒の味を論ずる資格もないという遠慮からであったが、日本文化に酒は欠かせぬ要素であり、今回はあえて話題にしよう。
何しろ『魏志倭人伝』に、日本人のことは「人性、酒を嗜む」と記されており、早くから酒好きの民族であったらしいが、いわゆるモンゴロイドは、体内で酒精を分解する酵素が不足しているといわれ、下戸の比率も高いようだ。日本の酒のアルコール濃度が少ないことはこれによるともいわれ、中世以前の酒は水っぽいものだったらしい。
酒は早くから寺院内で醸造された。奈良朝の昔から、寺では酒を製して住民に貸し付け、利をむさぼっていた。官営工房の造酒司が一応あるにはあったが、その技術は民間、ことに寺社に流出し、銘酒といえば、大和の菩提山寺、河内の天野山金剛寺が有名で、官営の酒は形骸化していた。近世に入って、「灘の生一本」と称される摂津酒が出てきた一因は、うるち米が摂津一帯に産するからで、寺社勢力の衰えとともに、酒造は全く民間に移った。西欧でも良質の葡萄酒は修道院の産に限られることはよく知られている。
坂口謹一郎著『日本の酒』(岩波文庫、693円)は、醸造・発酵学の専門家が、清酒や焼酎の製造、沿革について縦横にうんちくを傾けた名著の再刊。日本酒の歴史に関してはまず参照すべき必読書である。それでも日本酒というのは奥が深く、最先端の微生物学などによっても解析できない部分が多いという。それはあたかも日本刀の鍛造技術が、現代の冶金工学をもってしても分析不可能であるのと似ている。
ともかく、私は以前同僚の教授から「人生の楽しみの半分はご存じないわけですな」とからかわれたほどで、酒を語るのは烏滸がましい。実は本書の編集に当たられた岩波の田村義也氏(著名な装丁家でもある、故人)が主宰する「酒文化研究」なる雑誌に、田村氏から頼まれて「酒と権力」というエッセーとも論文ともつかぬものを連載したことがあり、日本酒の発展史については多少調べたことがある。まあそれに免じてお許しいただこう。【本村凌二 東京大学教授】











知っていると知らないでは大違い!





非現実的な決め付けこそ、ハラスメント










