メイン > 週刊エコノミスト書評 『ブックレビュー』 > 2006年6月20日~6月27日

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本
脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本安達 誠司

藤原書店 2006-05
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歴史の教訓という使い古された言い方があるが、「第1回河上肇賞」受賞作の本書は、この言葉の持つ本当の重みを読者に伝えるに違いない。江戸末期から敗戦までの日本近代の成功と失敗を、「政策レジーム」という一貫した視線から、極めて鋭利に、そして大胆に描き切っている。

「政策レジーム」とは、政策当局者の採用する経済政策の一群のルールを指している。人々がどのように経済の行方を予想し行動するかを決めるうえで、政策レジームのあり方は重要なものとなっている。例えば戦前の昭和恐慌から日本経済がすみやかに脱出したのは、旧平価金解禁によるデフレ政策から金本位制離脱によるリフレーション政策(低いインフレを目指す通貨膨張政策)への転換が決定的であったことが本書で論証されている。この日本のデフレ不況からの脱出における政策レジームの転換への注目は、著者らいわゆる「リフレ派」の貢献であったが、本書ではさらに視野が雄大かつ複眼的なものになっている。

日本の近代の経験を、通貨制度の選択という問題に焦点を当て、経済政策だけでなく外交政策のレジームの問題も併せて考察するという政治経済学的なアプローチをとり、当時の政治状況のなかでの政策選択が社会各層の利害関係やさまざまな思想的イデオロギーの産物であったことを明瞭にしている。

本書の行った通説の破壊は衝撃的ですらある。政策レジームの観点からは、明治維新は政策の転換ではなかったこと、いわゆる「松方デフレ」がデフレーションによる構造改革の推進というよりも、むしろ通貨制度の幸運な選択が導いた円安効果による経済拡大路線の成果だったことが解明されている。

さらに高橋是清による昭和恐慌脱出は、日本をデフレ不況から救ったものの、軍備拡張主義と手を切ることができない「擬似的小日本主義レジーム」であったため、やがて日本は「大東亜共栄圏レジーム」の勝利という敗戦の道に転がり落ちたことも説得的に描かれている。

本書では通貨制度の選択が近代日本の針路に決定的な役割を持ったこと、そして政策当事者が目先の利害にとらわれ、過去の教訓をまったく活かさないことで失敗に失敗を重ねたことが明らかにされている。また今日の「東アジア共同体構想」についても、誤った通貨制度の選択であると著者は否定的である。

意欲的な主張に満ちた本書はその斬新さと奥行きの深さで、まさに思想的な事件であるといえよう。【評者 田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部助教授)】

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

核テロ―今ここにある恐怖のシナリオ
核テロ―今ここにある恐怖のシナリオグレアム アリソン Graham Allison 秋山 信将

日本経済新聞社 2006-04
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冷戦期の人類の課題は核戦争の回避であった。人類が一番核戦争に近づいたのは1962年のキューバ危機であった。この危機を扱ったグレアム・アリソンの『決定の本質』は名作として読み継がれている。本書は、そのアリソンが現代の最大の課題は核テロの阻止であるとの信念から取り組んだ研究の成果である。

まず恐ろしいエピソードから始まる。ロシアから盗み出された核兵器がテロリストによって米国に持ち込まれているとの情報が米政府にもたらされた。2001年10月、つまり同時多発テロの1カ月後のことであった。副大統領以下の多数の政府高官が秘密の場所に避難した。ワシントンで核爆発が起こり、大統領が死亡するような場合にも、米政府が生き残るための措置であった。

結局この情報は誤りであった。しかし実際に核テロが起こる可能性は高い。アリソンはこのままでは不可避とさえ主張する。核に関する知識は拡散しており、濃縮ウランなどの管理が十分でないからである。にもかかわらずブッシュ政権はイラクでの戦争に力を注ぎ、真に緊急な課題である核テロの阻止に全力で取り組んでいないとアリソンは批判する。

それでは何をなすべきか。米国は国家の優先順位を変更し、核テロの阻止を第一とすべきである。同時に、そのための国際協力を強化すべきである。まず核関連物質の管理の厳格化。濃縮ウランや技術が秘密裏に売買されたり、旧ソ連圏の核の研究者が生活苦からテロリストに協力したりするのを阻止せねばならない。次にウラン濃縮の国際管理、つまり非核保有国による濃縮の禁止。最後に核兵器の拡散の阻止である。具体的には安保理常任理事5カ国とインド、パキスタンそしてイスラエル以外には核保有は認めない、などが提案される。

問題は何か。まず北朝鮮の核武装の解除である。それはアメとムチの併用によって実現するとしている。イランのウラン濃縮を停止させるためにも、同様な政策を提案する。しかしながら、いずれの場合もアメが失敗した場合は制裁の強化や戦争を意味する。またウラン濃縮の国際管理に日本などが応じるだろうか。また、応じるべきだろうか。

問題の分析には説得力があるものの、こうした治療の処方箋は激論を呼び起こすだろう。国際社会全体で議論していけばよいのだが。さて、そのために必要な時間が人類に残されているだろうか。マンハッタンにキノコ雲が上がるまでに。アリソンの問い掛けである。【評者 高橋和夫(放送大学助教授)】

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

反社会勢力からの企業防衛 経営者のための法務対応マニュアル
反社会勢力からの企業防衛  経営者のための法務対応マニュアル民暴実務研究会

日経BP社 2006-05-11
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著者インタビュー 猪狩俊郎(弁護士・一番町綜合法律事務所)

――本書の編著者は第一東京弁護士会有志でつくった民暴実務研究会。猪狩さんはその会長で、民事介入暴力への対策を長年専門としてきた弁護士さんですね。書名の「反社会勢力」とは要するに暴力団のことでしょうか。

■いわゆる暴力団がコアであることは間違いありませんが、平成4(1992)年の暴力団対策法施行を機に、彼らと彼らの周辺部分の多くは偽装しています。代紋をひけらかしたヤクザの格好ではなく、普通のビジネスマンや政治活動家などを装って現れる。それらをひっくるめて反社会勢力と呼んでいます。

彼らは今、日本に10万人弱いると言われます。意外に少ないと思われるかもしれませんが、たとえば30万都市には200~300人いることになる。依然、社会にとって、そして企業にとって十分な脅威となっています。

――ちょうど株主総会のラッシュ時ですが、最近は総会屋が大暴れという話はあまり聞きませんね。その代わり本書では、M&Aなどで反社会勢力が資本マーケットに大胆に介入してくる例を警告し、新会社法の適用による対応を提案している。

■ヤミ金融の利益などで巨額化した軍資金を携えて、匿名性の高い資本マーケットが狙われやすくなりました。昔のように少し株を買って因縁をつけるのではなく、大量の株式取得によって企業そのものを乗っ取る方向です。

我々が本書で提案した一つは、新会社法で経営陣による定款変更が容易になったことを使い、定款に反社会勢力排除事項を盛り込んでおくことです。彼らの株式取得そのものは現在、制限できません。しかし、彼らが議決権などの株主権を主張してくる場面では定款で彼らを排除できるのです。

――本書は主に経営者に向けたマニュアルですが、私のような普通のサラリーマンが仕事のなかで彼らに出会ってしまう場合もありえますね。

■もちろん資本取引だけではなく、一般の商取引でも彼らは企業に入り込もうとします。知らずに彼らと契約してしまった場合、後で解除できるように、契約書にあらかじめ反社会勢力排除条項を入れておくことをお勧めします。

まあ、実際に火の粉がふりかかってこなければ、企業はなかなか対策に本気になれないものですが、入り口で彼らを排除するこうした平時の準備こそが大事です。本書にはそのための法的ツールを詰め込んだつもりです。

――話がこじれて彼らと直接に対峙しなければならなくなった場合の心得を教えてもらえますか。

■重要なことは三つ。第一に、一歩も引かない気合が必要。第二に、彼らと会う前に十分な事実調査をしておくこと。第三に、こちら側の法的な主張をきちんと用意してきっぱり伝えることです。

いずれにせよ、コソコソと片をつけようとした時代は終わりました。堂々と策を練り、最終的には法廷で決着をつける時代になっていることを企業人には自覚してほしいですね。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

殿様の通信簿
殿様の通信簿磯田 道史

朝日新聞社 2006-06
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徳川幕府の隠密が密かに調べ上げた大名の醜聞をまとめた極秘資料『土芥冦讎記』をもとに、「殿様」の品定めをする。黄門様こと徳川光圀の遊郭通いを暴露したり、「生まれつきバカ」と酷評された岡山藩2代目藩主の池田綱政、織田信長に「犬」と呼び捨てにされた前田利家など、大名たちの人間くさい生活ぶりが浮き彫りにされる。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

BRICs 新興する大国と日本
BRICs 新興する大国と日本門倉 貴史

平凡社 2006-06-10
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原油高騰のなか、中国やインドの資源消費拡大、ロシアの油田、天然ガスなど、資源をめぐるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と先進国のせめぎあいが続いている。本書では、注目されるBRICsの高成長のメカニズムや台頭する中産階級の消費実態、資源獲得競争と国際関係、日本との関係、さらにはポストBRICsとして注目される国々を分析する。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

ある広告人の告白[新版]
ある広告人の告白[新版]デイヴィッド・オグルヴィ 山内 あゆ子

海と月社 2006-06-15
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「家族に見せたくないような広告は書くな」「真実を述べよ」「市場でのポジションを決めるのは商品のささいな差ではなく、全体としてのブランドの個性なのだ」……。国際的な大手広告会社、オグルヴィ&メイザーを創設した伝説の広告マンによる回想録。全編にあふれる「名言」には40年以上前に書かれたとは思えない斬新さがある。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く
日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く佐藤 優

小学館 2006-04-22
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真珠湾攻撃の直後、日本政府はその開戦理由をNHKラジオを通じて国民に説明していた。全12回にわたる放送は、思想家・運動家の大川周明氏によって行われ、翌年、講演録『米英東亜侵略史』として刊行されている。本書はその全文を紹介し、かつて〓外務省のラスプーチン〓と呼ばれた異能の外交官、佐藤優氏がこれを解説する。日本が対米英戦争に踏み切った理由が、豊富なデータとともに、冷静に分析されている。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

国境・誰がこの線を引いたのか―日本とユーラシア
国境・誰がこの線を引いたのか―日本とユーラシア岩下 明裕

北海道大学出版会 2006-06
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日本との国境をめぐって中国や韓国との摩擦が取りざたされているが、本書は日本を取り巻く三つの国境問題、尖閣・竹島・北方領土を中心に、世界の国境問題を取り上げる。第2次大戦後のヨーロッパ、ロシアと中東地域にはさまれたコーカサス、中央アジア、カシミール地方をめぐるインドとパキスタン、中国とインドなどの国境問題を、歴史的、地政学的視点を踏まえて考察し、広範な視野から日本の課題を考える。

■2006/06/27, 毎日エコノミスト

私たちにとって本当に必要な「小さな政府」とはどんなものか?
私たちにとって本当に必要な「小さな政府」とはどんなものか?跡田 直澄

集英社インターナショナル 2006-05
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2005年度決算では、国税収入が予算を4兆円余り上回る48兆円と予測されている。昨今の経済状況の回復を反映していることはまちがいない。ただし、05年度末で一般会計だけでも国債累積額は570兆円を超えており、これに特別会計、自治体の債務累積額を合算するならば、800兆円を超えていよう。さらに特殊法人、独立法人にも巨額の債務を積み上げているところが少なくない。

政府債務の累積は次の世代が支払う税の先食いであり、彼らに重い負担となってのしかかる。こうした状況であればこそ、中央・地方にわたる行政改革というよりはむしろ政府構造の改革が、政治によって真剣に追求されねばならない。

このような政治課題に応えるとして、このところ「小さい政府」への転換や「官から民へ」の声が一段と強まっている。実際にも指定管理者制度や市場化テストが実施に移されている。行政改革推進法の制定を受けて、中央・自治体の職員数の削減や給与の抑制が、これまで以上に推し進められようとしている。しかし、こうした「改革」に対する評価は一様でない。

著者はもちろん「小さい政府」の推進論者だ。1980年代に試みられた中曽根政権による「小さい政府」への改革は、イギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権の「物まね」にすぎなかったとしたうえで、「本当の意味」での「小さい政府」を日本も必要とするという。では「本物の小さい政府」とは何か。それは歳出から徹底してムダを省き、その延長線上に政府の仕事を民間に移転することと、緩やかなインフレを起こすことだとする。

この「日本型小さい政府」への処方箋として、規制緩和の徹底による経済の活性化、公共投資という名の無駄使いの排除、キャリア公務員制度の廃止を軸とした公務員制度改革、公務員給与の抑制、補助金の削減、政策金融のあり方、さらには地方交付税制度の改革などが、比較的平易な文体で提起されている。

とはいえ、これらの処方箋は著者が意気込むほど目新しいとはいえない。小泉政権の登場とともに勢いを増した新自由主義者たちの言説と共通する。補助金の廃止や公務員給与の抑制、地方交付税改革といったアジェンダ(議題)レベルで共通しつつも、政府構造の改革を自治・分権の観点からなすのか、あるいは市場至上主義からなすのかが岐路である。その意味で、本書は時代を反映した論争を期待しているとみておきたい。【評者 新藤宗幸(千葉大学法経学部教授)】

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

脱税許すまじ
脱税許すまじ渡辺 房男

日本放送出版協会 2006-05
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タイトルを見ると、現代の物語かと思う。財政再建が課題の今、脱税を厳しく摘発する税務当局の奮闘話かと。しかしまったく違う。時は明治20 (1887)年、しかも小説である。

遠景には日本に所得税を導入した大蔵卿(後に首相)、松方正義がいる。松方は新興国家日本が歩むべき富国強兵への道を見ている。

近景には品川宿と周辺の農村地帯を抱える東京府荏原郡の郡役所で新しい税の徴収に取り組む武田信義がいる。

信義の父は農民で、松方緊縮財政の下の米価の大幅な下落に苦しんだ。米価は下がっても、地租と地租に基づく村税、府税は下がらない。税を払うために借金し、借金の返済延期を求める嘆願行動に参加して投獄される。起訴は免れたが、拷問に近い取り調べがもとで、釈放後、急逝した。病弱の母を支え、信義は郡役所の仕事を唯一の支えとして勤務に励む。

信義にとって所得税は、農民にのみ過大な負担を強いる地租に代わる万民に平等な税である。信義は新興の会社や会社員、昔からの旅館、商業、高利貸しにも税を平等に負担させる社会への道を見ている。

中国では、「三農問題」の解決が課題になっている。農村の貧窮、農民の苦難、農業の衰退だ。三農問題の根底にも、負担が農業に偏りすぎた税制がある。その中国は最近、ようやく農業税を廃止した。信義の税の物語は、中国の現在に重なる。

5尺(約150センチ)足らずの身長、幼さの抜けない顔つき、大きな度の強い眼鏡。どうみても信義は魅力的な男ではない。しかし、物語の進行につれ、どんどん魅力的になってくる。勤勉で聡明で勇敢で、背景の明治という時代に似合っている。

父を死に追いやった高利貸し・小坂善五郎が不動産売買の仲介で得た所得を隠していることを突き止め、追徴課税に追い込む。「脱税許すまじ」。

しかし、松方と武田信義がまみえることはない。それどころか信義は、尊敬する老地主が戦争の度に繰り返される増税に憤り、財政を監視する議会実現には普通選挙が必要だ、との主張に圧倒される。

老地主は逮捕され、信義は警官を殴って職を失い、幸徳秋水の『平民新聞』編集に身を投じる。所得税発足の当時は税制改革の同士だった松方と信義は、日露戦争を前に敵対する勢力に属するようになっていた。

マクロ、ミクロの税制を使って富国強兵政策下の庶民を描き、国の行方を描くという著者のリスキーな設定は、結果として成功を収めている。【評者 北村龍行(毎日新聞論説委員)】

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

資源インフレ―日本を襲う経済リスクの正体
資源インフレ―日本を襲う経済リスクの正体柴田 明夫

日本経済新聞社 2006-04
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著者インタビュー 柴田明夫(丸紅経済研究所所長)

――原油価格は1970年代に2度起きたオイルショック以来の高騰を見せています。ほかの一次産品も軒並み価格が急騰する、まさに「資源インフレ」を感じさせるタイミングでの出版になりました。この状況を予想していたのですか。

■実は以前、資源価格が上昇するタイミングの予想を外したことがあります。90年代前半、中国が故〓小平氏の指導下で改革開放路線をとり、急激な経済成長を実現しました。そこで、中国が原油や銅、穀物を大量に消費する巨大市場に成長することで、長く低迷を続けた資源価格は90年代後半に反転すると予想したのです。ところが、97年にアジア危機が勃発し、予想が狂いました。

しかし、2003年には商品価格の代表的な指数であるCRB先物指数がアジア危機直前の高値261ポイントを抜く水準に達し、資源高騰時代を確信しました。

――資源価格の高騰は一過性のものではないと指摘しています。

■資源・エネルギー、穀物など1次産品価格は過去二十数年にわたって低迷を続けました。資源を保有、生産する国は貧しく政治力もないために、それを利用する先進国に価格を安く据え置かれたのです。先進国は安い資源を輸入し、それを加工・販売することで巨額の利益を手にしてきました。

しかし状況は変わりました。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に代表される新興国が急激な経済成長を遂げ、生活水準を確実に向上させています。これらの資源保有国自らがそれを消費する立場になり変わりつつあります。

70年代の2度のオイルショック時と構造は似ています。当時は、供給面では中東政情不安や東西冷戦、需要面では急成長する日本と旧西ドイツが要因となり、原油をはじめ一次産品の価格を高騰させました。今は冷戦構造はなくなったものの、供給面では中東情勢などの地政学リスクに変わりはなく、BRICsやそれに続く新興国の台頭は70年代よりもはるかにスケールの大きなものです。

需給関係からみて、もう「安い資源時代」への逆戻りは考えられません。いまは、歴史的なパラダイムシフトの時期にあるのだと思います。各資源の均衡価格を探る局面です。

――資源高時代の到来は、無資源国の日本にとってマイナスにはなりませんか。

■私はむしろ、追い風と考えています。日本の高い省エネ・環境技術は、中国やインドなど経済成長の道を進みはじめた国に自信をもって輸出できるものです。世界の環境問題、限りある資源の有効活用の観点からも重要です。

そのためには日本の経営者が、高い資源価格を前提にした経営マインドに、早急に転換する必要があります。先進国でいち早く少子高齢化を迎えながらも、繁栄を続けることのできる国として、世界のモデルになる可能性を日本は秘めていると思います。

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

バブル再来
バブル再来ハリー・S・デント・ジュニア 神田 昌典 飯岡 美紀

ダイヤモンド社 2006-05-12
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日本のバブル崩壊、アメリカITバブルを予測・的中させた著者が、2009年までにNYダウは3万5000~4万ドルに達すると予測、今世紀最大にして最後のバブル景気が訪れると宣言。21世紀初頭のネットバブル崩壊は調整であり、アメリカはなおバブル景気の途中だという。さらに日本は人口動態が有利に働くため、08年から20年に至るまで好況になると予測する。

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

知っておきたい日本経済70の勘どころ
知っておきたい日本経済70の勘どころ住友信託銀行調査部

日本放送出版協会 2006-06
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日本経済復活は本物か、アメリカの住宅ブームが終わると景気は悪くなるのか、EUの今後は? BRICsはどうなるのか、といった大局的な問題から、デジタル家電、マンションブーム、SRI(社会的責任投資)、株価、団塊世代、構造改革などまで、気になる経済キーワード70を暮らしへの影響という視点から分かりやすく解説。

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

開発主義の暴走と保身 金融システムと平成経済
開発主義の暴走と保身 金融システムと平成経済池尾 和人

NTT出版 2006-05-25
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高度成長期以降の日本経済の「失敗物語」を、金融という視点から分析する。政府が企業の行動に介入し、経済発展を促進しようとする開発主義のエンジンとなってきたのが、戦後日本の金融システムであったと著者は位置づける。この開発主義金融をタイミングよくフェイドアウトさせることに失敗したことが、経済の長期低迷とデフレを招いたとする。市場型間接金融の拡大が当面の課題であり、「高質の市場」への努力が不可欠だと主張する。

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

ニッポンの暴言
ニッポンの暴言横山 渉

三才ブックス 2006-06-02
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「この程度の約束を守らなかったというのは大したことではない」(小泉純一郎首相)、「(重度の障害者について)ああいう人ってのは人格あるのかね」(石原慎太郎東京都知事)、「(BSEについて)原因解明は酪農家のみなさんにとってそんなに大きな問題だろうか」(武部勤農水相=当時)1950年代から、政治家たちの暴言、失言、放言を丹念に集めた。世の中が忘れてしまったものも多いだろう。記録として残す意味も大きいし、面白い。

■2006/06/20, 毎日エコノミスト

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