メイン > 週刊エコノミスト書評 『ブックレビュー』 > 2006年2月21日~2月28日

アジア自動車産業の実力―世界を制する「アジア・ビッグ4」をめぐる戦い
アジア自動車産業の実力―世界を制する「アジア・ビッグ4」をめぐる戦い土屋 勉男 井上 隆一郎 大鹿 隆

ダイヤモンド社 2006-01
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日中韓にASEAN(東南アジア諸国連合)とインドを加えたアジアの自動車市場は2010年には欧州18カ国を抜き、米国に迫る規模になると予測されている。世界のなかで最もダイナミックに成長するアジア市場を制する者が世界の自動車産業を制する。

本書は冒頭でアジア市場の意味をこのように位置づけたうえで、中国、韓国、ASEANの自動車産業と市場の状況を紹介している。内外メーカーの参入で活況を呈する中国、通貨危機後の再編で息を吹き返した韓国、輸出拠点になったタイ、停滞感の強いインドネシア・フィリピンと、アジアの自動車産業は多様だが、複雑な現状を1冊で理解できる点が本書の最大のメリットである。

ただ、本書の副題や冒頭で「アジア・ビッグ4時代」が到来すると展望しているのは、「世界の自動車産業は必然的に集約化へ向かう」という通念に無理に迎合している観がある。本書をよく読んでみると、「アジア・ビッグ4」すなわちトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、現代自動車(韓国)が中心になるとしているのは中国市場に関してであり、さらに注意深く読むと、「アジア・ビッグ4プラス欧米3(米GM、米フォード、独フォルクスワーゲン)の時代」が到来する、と慎重な予測もなされている。

だが、評者は後者さえも疑わしいと思っている。中国の乗用車市場ではここ5年の間に内外メーカーの参入が相次ぎ、市場集中度がどんどん低下した。先行者利益は存在しないようで、後発メーカーの方がかえって急成長している。なかでも新興民族系メーカーの奇瑞汽車と吉利汽車には、これまで外資系メーカーや国有メーカーで働いていた人材が集まり、急速に技術力と販売力を高めている。中国政府もこうした「自主ブランド」の台頭を後押ししようと方策を考えている。なので、地場系が2010年までに「淘汰・再編」されると見る本書は、いささか悲観的すぎるように思う。

さらに言えば、通貨危機以後成長が鈍っているASEANの自動車市場を今後活気づけるのも新規参入ではないだろうか。というのも、新規参入によって製品のバラエティーが増え、競争激化で価格が下がり、需要を喚起するからである。中国で01年以降爆発的に市場が拡大したのも新規参入によって需要が喚起されたことが一因であった。

本書に紹介されているアジアの自動車産業の現状から虚心に未来を見つめた場合に浮かび上がるのは、ビッグ4に集約されたきれいな姿ではなく、国ごとの多様性を残し、各国メーカーが入り乱れたグチャグチャとした状況ではないだろうか。【評者 丸川知雄(東京大学社会科学研究所助教授)】

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

貯蓄率ゼロ経済―円安・インフレ・高金利時代がやってくる
貯蓄率ゼロ経済―円安・インフレ・高金利時代がやってくる櫨 浩一

日本経済新聞社 2006-01
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本書は、著者が今後訪れると予測する「貯蓄率ゼロ」となる日本経済の姿を、様々な指標を用いて描写している。人口減少社会、高齢化社会を迎えて国内貯蓄が減少するとみられる我が国の今後の経済について、効率化を促して、貯蓄の減少に備えることを提唱する。

それは、安直な「スローライフ」の提案でもなく、高成長を追求する楽観的な夢物語でもない。楽して暮らせる希望に満ちた未来を示したものではないが、真面目に生きれば報われる堅実な日本経済像を示している。

日本の貯蓄率の高さは、経済学界でも世界的に重視されるほどの現象だった。ところが、貯蓄をめぐる環境は、1990年代に大きく変化した。いまや、財政は未曾有の大赤字に陥る半面、本来設備投資が仕事の民間企業が資金繰りの悪化に直面して貯蓄する側に回った。他方、家計は高齢化の進展等で貯蓄率を下げている。

こうした企業の異常な状態はやがて解消されて、今手持ちの企業の貯蓄は吐き出されよう。家計はさらに高齢化が進んで貯蓄をもっと取り崩すことになろう。また、貿易では黒字をこれまでほどには上げられなくなるかもしれない。やがては、日本経済の貯蓄がゼロに近づくことになる。そのときに生じる経済現象は、円安、インフレ、高金利であると著者は予想する。

本書は貯蓄が減少してもなおその弊害を軽減できる道があることを教えてくれる。そのキーワードは「効率化」である。要するに、今後我が国の社会経済構造の変化で貯蓄減少が不可避なら、その使い方を工夫することで対処しようというものだ。

その具体策についても、設備投資やインフラ整備など明確に書かれている。それだけでなく、貯蓄が急減しないように、社会保障制度改革や雇用環境整備など、新たな視点での提言も盛り込まれている。

今までは、国内に潤沢な貯蓄があるのだからと、その使い道には甘えが大いにあった。政府が無駄な公共事業をするために借金したり、民間企業が多少収益率が悪くとも目をつむって投資をしたりし、それを大目に見た家計があった。 

今後、国内貯蓄が稀少になるとわかったならば、そうした貯蓄の使い方を改めることの重要性を本書では説いている。次は、この本に共感した読者が具体的に行動に移す番だ。【評者 土居丈朗(慶応義塾大学経済学部助教授)】

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

官邸主導―小泉純一郎の革命
官邸主導―小泉純一郎の革命清水 真人

日本経済新聞社 2005-12
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著者インタビュー 清水真人(日本経済新聞経済解説部編集委員)

――年金改革や消費税率引き上げなど国民生活に大きな影響を及ぼす政策がどのように決定されるか、小選挙区制など政治制度改革が実施されたこの10年でそれがどう変化していったかを、時の首相や自民党幹部、官僚を通して具体的に描いています。

■有権者が総理大臣を選ぶことを強く意識して投票する小選挙区制が導入されたにもかかわらず、官邸主導の政策決定メカニズムの確立は遅れました。政府と自民党が分立し、権力と責任の所在が不透明になっている日本独特の「双頭の鷲」型のメカニズムが長く続いたからです。自民党が時の首相と対立し、首相降ろしを画策するようなことが何度も起きました。小泉政権でそれが初めて変わり、官邸主導が実現したと私は理解しています。小泉さんは政策実現のため、内閣総理大臣に与えられている衆院解散権と閣僚の人事権を極限まで行使したのです。

――郵政民営化が争点となった昨年9月の総選挙も、異例な形で解散権を行使しました。

■亀井静香さんは郵政民営化法案が参議院で否決されても解散は絶対にないと高をくくっていましたが、否決されれば小泉さんは解散・総選挙に打って出ると、私は確信していました。小泉さんは就任当初から、党内問題で退陣するという考えを持っていなかったからです。金脈問題追及で退陣に追い込まれた田中内閣後を託された三木内閣、また自身も厚相として入閣した橋本内閣など、解散権や閣僚の人事権を使いきれずに党内事情で退陣を余儀なくされた首相を何人もみています。自分が首相になった時には、断固それを行使する「強い宰相」たらんと、相当前からひそかに決意していたんです。

――解散権、閣僚人事権を徹底して使ったのが小泉さんだ、と。

■閣僚人事で派閥推薦を受けず、独断で決定することで、閣僚に「小泉首相から抜擢された」という忠誠心を芽生えさせ、派閥が閣僚の引き揚げを示唆して政権運営に支障を来すような悪しき慣習を排除しました。政策決定に、派閥や族議員が関与する余地は弱まり、経済財政諮問会議を通じた官邸主導型へとつながりました。抵抗勢力が小泉独裁と批判しても、憲法どおりの政権運営とも言えるわけで、止めるすべがありません。

――官邸主導は根付きますか。

■小泉さんの面白いところは、自分が実現にこぎつけた官邸主導のメカニズムを、制度として確立させようという意識が乏しいことです。政府と自民党の政策を一致させるために制度を変えるのではなく、前政調会長の与謝野馨さんを昨年10月の内閣改造で金融・経済財政担当相に据え、後任には、それまで国会対策委員長として小泉さんを支えた中川秀直さんを抜擢しました。これは、人事で政府・与党一元化を目指しているようにみえます。小泉流官邸主導が白紙に戻る可能性は低いのですが、ポスト小泉政権でも根付くかどうか、今ひとつ不透明なところもあります。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

アメリカ文化の日本経験―人権・宗教・文明と形成期米日関係
アメリカ文化の日本経験―人権・宗教・文明と形成期米日関係ジョセフ・M. ヘニング Joseph M. Henning 空井 護

みすず書房 2005-12
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アメリカ人にとって日本とはいかなる存在であったのか。明治日本を訪れたアメリカの外交官、宣教師、学者、芸術家といった人々の視線から、形成期の米日関係と人種・宗教・文明を考える。非白人で異教徒(非キリスト教徒)であり、哀れむべき存在にして救済の対象だったはずの日本が、近代化の過程で突き付けてきた問題とは。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

<このくらいは知っておきたい> 図解でわかる投資ファンド
<このくらいは知っておきたい> 図解でわかる投資ファンド今田 栄司

日本実業出版社 2006-01-19
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投資ファンドとは何かという基本からわかりやすく解説する。最近、M&Aで名前が上がっている投資ファンドは、実は不動産投資やゴルフ場経営、映画の資金調達など日常の生活やビジネスの場面で幅広く活躍している。本書では、投資ファンドの種類や戦略の実際、外資系の日本上陸、金融機関との関係などが図解とともにコンパクトにまとめられている。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

The Panasonic Way 松下電器「再生」の論理
The Panasonic Way  松下電器「再生」の論理長田 貴仁

プレジデント社 2006-01-28
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松下電器産業は、中村改革によってなぜよみがえることができたのか。著者は関係者へのインタビューを重ね、業績不振に陥った原因と復活の理由を検証する。いまや世界一に登り詰めようとしているトヨタ自動車こそ松下に学ぶべきだと提言する。組織論、経営者論など様々な視点から、日本の製造業について考察できる1冊。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

「まっとうな会社」とは何か
「まっとうな会社」とは何か奥村 宏

太田出版 2006-02-16
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「会社とは何か」――この古くて新しい問題はどのように論じられてきたのか。40年以上にわたる株式会社の研究で知られる著者が、会社をめぐる様々な問題について書かれた本を俎上に載せ、持続可能な会社の条件を問う。株式会社の歴史からコーポレート・ガバナンス、株主資本主義、日本的経営、バブル、日本の金融危機、エンロン、ワールドコム事件、フリーター問題などを取り上げ、巨大株式会社が陥っている現在の混迷を浮き彫りにする。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

技術立国日本の中小企業
技術立国日本の中小企業中沢 孝夫

角川学芸出版 2006-02
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中小企業を「弱いもの」「衰退しつつあるもの」として理解すると本質を見誤ると警告する。なにしろ日本をはじめ世界の先進国でも、企業の99%以上は中小企業なのだ。大切なのはどのような個性によって中小企業が成り立っているのかだとして、著者は個別企業の現場を訪れ、成長の経過や技術の蓄積、経営コンセプトなどの事例を追っていく。強固な日本の製造業という「石垣」は、無数の小さな石の存在抜きには成り立たないと語る。

■2006/02/28, 毎日エコノミスト

バリュー消費―「欲ばりな消費集団」の行動原理
バリュー消費―「欲ばりな消費集団」の行動原理田村 正紀

日本経済新聞社 2006-01
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本書は消費者調査を多変量解析した結果をベースに、現代の消費者動向を描き出し、小売業やメーカーの対消費者戦略を解き明かそうとするものである。著者のファンにはこたえられない1冊であろう。

著者は、これまで『現代の流通システムと消費者行動』や『現代の市場戦略』を刊行し、「コンシューマリズム」や「ムービング・ターゲット」といった概念の下、新しい消費者像を描き出してきた。今回は「価値ハンター」という消費者像を描き出す。価値ハンターとは、「製品に対して高い価値を求める一方で、価格にも敏感」という、副題にもあるとおりいささか欲ばりな志向をもった消費者集団を指す。その集団が、高い品質だけを求める品質志向の消費者や、価格にだけ敏感な価格志向の消費者と対比される。プロフィールだけでなく、消費や購買局面における違いが示され、この集団こそが現代において支配的となる消費者集団であることが提唱される。

ビジネスパーソン向けに書かれたとは言うものの、寝ころびながら読んでわかるという類の書物ではない。生活の質と合理化、ブランド物語、顧客価値、知覚品質、参照価格、店舗フォーマット、マグネット売り場、小売りミックス、傾斜消費、体験消費といった現代の消費社会を分析し新しい戦略を構想するうえで必要となる概念が提唱される。慎重に読めばそれらの関連をたどることができるのだが、ぼんやり読んでいると、前に戻ってもう一度確認しないといけない、ということにもなりかねない。

評者が特に興味を持ったのは、価値ハンターの一つの特性として「個性志向の消費」があるという点だ。個性志向という言葉自体は言い古されているが、実のところ現在でもメーカーはこの種の商品を提供するのに苦労する。万人向け商品の開発にはある種、定式化されたやり方がある。お金をかけて消費者ニーズを調査分析すれば、最大公約数的なニーズは把握でき、だいたいの人が満足する商品を開発することができる。しかし、それが個々の消費者の愛着を引きつけることはできない。個性志向の消費に対応するというのは古くて新しい課題だ。

最後に評者は、マーケティング研究の第一人者である著者と現代消費社会を先鋭的に論じている現代思想家との理論的格闘を見たい。それには、そもそも価値ハンターがいかにして現代社会に誕生してきたのかという現代社会の動態についての洞察が必要になる。その夢がいつか叶えられることを願っている。【評者 石井淳蔵(神戸大学大学院経営学研究科教授)】

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

国際テロネットワーク―アルカイダに狙われた東南アジア
国際テロネットワーク―アルカイダに狙われた東南アジア竹田 いさみ

講談社 2006-01
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例えば外国の日本政治研究者がいたとしよう。彼が日本にやって来て、自民党だとか民主党だとか公明党だとかの綱領を読み込んだとする。あるいは総評だとか経団連だとかの会議録や声明をいっぱい集めたとする。

でも、それでいったい何がわかるの? ということは、たいていの日本人なら知っているはずだ。そういう「資料」には出ていない人脈だとかウラの金脈といったものを読み解かないと、現実の日本の政治はわからない。

では、インドネシアにはなぜアルカイダ系のテロ組織があって、バリ島で自爆テロをやったりしているのだろう?

じつは、インドネシアにこれほどアルカイダのネットワークが浸透していたことは、世界のテロ研究者のなかでも、ここ数年前頃まであまり知られていないことだった。少なくとも9・11テロ時点ではまったくノーマークだったといっていい。なぜか?

アルカイダのそもそもは、アフガニスタンで対ソ戦に参戦した義勇兵から発展したものであることは、今ではよく知られているが、だいたい「ヒゲ面でいかついアフガン人やアラブ人に混じって小柄で明らかに異質な風貌の東南アジア人がいた」などということには、誰も注意を払わなかった。

同じイスラムとはいっても、中東や中央アジアの文化圏と東南アジアの文化圏は「分断」されているとの思い込みがあったからだが、なぜそう思い込んだかといえば、それが現実でもあったからだ。

要するに、インドネシアにアルカイダが浸透したのは、アルカイダの思想にインドネシアの人々が共鳴し、現地から自然発生的に支援ネットワークが形成されたのではなく、たまたまアフガニスタンに渡った変わり者のインドネシア人グループがいて、そこで個人的なコネができたからにほかならない。

こうした「事実」を現地取材で丹念に掘り起こし、その知られざる人脈と金脈を解明しようとしたのが本書である。

著者自身、国際政治を専攻する大学教授でありながら、自らを「伝統的な書斎派タイプではなく、明らかに現場主義の研究者」と評しているが、このきわめて具体的でスリリングですらある本書は、学者の論文というよりは、明らかに「優れたジャーナリズム」そのものといっていい。

本書によって私たちは、断片的な事件報道や退屈な学術論文からはわからない、テロ組織のナマの姿を知ることができるだろう。【評者 黒井文太郎(『軍事研究』アナリスト)】

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

巨人という幻想―そして、崩壊するプロ野球とその未来
宮崎 満教 (著)

著者インタビュー 宮崎満教(出版プロデューサー)

―― 宮崎さんは夕刊紙『内外タイムス』の記者として、その後は出版人として読売巨人軍の醜聞を追いかけた。本書は、巨人のいわば「天敵」による臨場感あふれる巨人裏面史ですね。

■記者になってすぐに江川事件に遭遇し、私は心底巨人が嫌いになりました。当時の巨人の「取材させてやっている」という傲慢な態度にも腹が立ってね。「このヤロウ」と思い、それから一筋に巨人の裏側を暴きつづけました。

―― 現役記者として取材した第1期の長嶋監督時代、次の藤田監督、王監督時代の話が本書の一つの中心ですね。特に、1980年の長嶋監督電撃解任事件の内幕が印象に残ります。

■あの一件については今なお複数の見方があると思いますが、私の知る事実はすべて本書に書きました。現場はあと1年長嶋さんにやらせるつもりだったのが最後にひっくり返った。あれは巨人の強権的な悪い部分が出た象徴的事件だし、巨人の凋落の始まりでもありましたね。何といっても巨人の人気はONがつくったのに、そのイメージに自ら泥を塗ってしまった。

実際、現場で見ていて、あれから長嶋さんの人柄は暗くなった。球場で取り巻き連中とヒソヒソ話をする姿を見せるようになる。それまでは本当に天真爛漫な人だったのにね。ご承知のとおり、王さんに対しても同じようなことが繰り返されました。

―― 本書には、「巨人憎し」ばかりではなく、「悪役」巨人の没落を嘆くトーンもありますね。たしかに最近の巨人は人気低下の話題ばかりです。

■かつての「権力者」の無残な姿を見るのはつらい。それに、交流戦が人気だとか言っても、巨人の存在がプロ野球全体を支えている構造は変わっていないんです。各球団が平等の独自性で、などというのは青臭い意見。いくら巨人が嫌いでも、その凋落とともに球界の将来がしぼんでいるのは認めざるをえない。

だから、小さくなったパイの中で取り分を維持するナベツネさんの1リーグ10球団構想は、現状では現実的です。ストをやった古田氏の選手会は世の賞讃を浴びたけれど、高い年俸と12球団制にしがみつく彼らの方が、私に言わせれば時代錯誤だ。

――ところで、宮崎さんは出版社社長として、中牧昭二氏の『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』や、元巨人軍広報室長・若林敏夫氏の『巨人軍の最高機密』などの有名な暴露本をヒットさせています。巨人とは関係ないけれど菅野美穂のヌード写真集を出したのもあなたで、出版界の「やり手」としても知られていた。

■スキャンダラスな出版人というイメージが、不本意ながらついてしまいました。でも、その後に病気になってしまい、実は今も闘病中です。この本は、今のうちに自分の著書を1冊残しておきたいと思って書きました。そのために、ちょっと「私」が出すぎて、売れない本になったかもしれません。私自身は、本を書き上げて少し元気になりましたが。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

水車・風車・機関車―機械文明発生の歴史
水車・風車・機関車―機械文明発生の歴史坂井 洲二

法政大学出版局 2006-02
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東洋人は米を主食とし、西洋人は麦を主食としてきたことが、実は大変な文化の分かれ目だった――と著者は語る。麦をひく水車や風車の発達が、複雑な木の歯車などの木の機械文化をはぐくみ、やがては工業化へとつながっていったという。製粉水車にはじまるヨーロッパの機械文明発生の歴史を、豊富な図版とともにたどる。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

ゼミナール日本の雇用戦略―人口減少下の労働問題
高梨 昌, 連合総研

日本は政府予測より2年も早く人口減社会に突入。景気は好調だが「雇用回復感」を伴っていない。本書はこうした認識に立って「労働を中心とした福祉型社会」への転換を探る。雇用政策の仕組みと流れ、若年者の高失業とフリーター・ニート問題、人生80年時代の高齢者の雇用と能力活用、雇用形態の多様化と新しい働き方など、全体を7章に分けてわかりやすく解説した。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援
グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援坪井 ひろみ

東洋経済新報社 2006-02
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「マイクロクレジット」と呼ばれる融資システムがある。女性や貧困に苦しむ人々を対象に無担保で少額の資金を融資するもので、バングラデシュのグラミン銀行(NGO)がその生みの親である。著者はバングラデシュの農村を訪ね歩き、マイクロクレジットを利用して自立の道を模索する女性たちの姿を追った。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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これからのインターネット社会を読むポイントは、不特定多数無限大の人々とのつながりを持つためのコストが劇的に低下したことだと著者は言う。可能性と危険性の巨大な混沌の中にあるネット社会だが、不特定多数の意見の集積が一部の専門家の意見を超えるとしたら――。「世界中の情報を整理し尽くす」というグーグルの構想や、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、これから起きようとしている大変化の本質に迫る。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

消費者金融市場の研究―競争市場下での参入と撤退に関する考察
堂下 浩 (著)

客観的な実証研究で、消費者金融市場を正面から取り上げる。少数の大手銀行ばかりが発達してきた日本の銀行事情と消費者金融業の参入・撤退の歴史、アメリカのサブプライム層(信用力のやや劣る顧客層)への融資市場との比較、近年活発化している外資や銀行の参入などの状況を分析し、消費者金融市場のメカニズムを金利(リスク)という視点から検証する。また、発展する市場に追いついていない法制度の不備に警鐘を鳴らす。

■2006/02/21, 毎日エコノミスト

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