メイン > 週刊エコノミスト書評 『ブックレビュー』 > 2006年1月24日~1月31日
| イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析 | |
![]() | 榊原 清則 有斐閣 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
現在多くの日本企業が、「優れた技術が高い収益に結びつかない」という現象に苦しめられている。本書は、そうした現象を深く分析し、イノベーションの収益化をどう実現していくかを論じた力作である。
全体は、イノベーションの収益化についての先行研究をレビューし、日本企業の技術経営課題を展望した第(1)部、イノベーションの収益化のベストプラクティスとしてキヤノンとインテルの事例を分析した第(2)部、そしてイノベーションの収益化をめぐる課題と克服の方途をさぐった第(3)部の三つの部分から構成されている。
全体の内容を少し詳しく紹介していこう。
まず第(1)部では、イノベーションの収益化を中心に、日本企業の技術経営課題を明らかにしているが、この部分は技術経営を全体として展望できる優れたレビューともなっている。
しかし、著者独自の分析が展開されるのは、それに続く第(2)部以降の部分である。
第(2)部のキヤノンの分析では、インクジェットプリンタを事例に、製品アーキテクチャの変更などの製品開発への取り組み方次第で、収益構造は変えられることが強調される。また、インテルのマイクロプロセッサの事例では、技術を収益に結びつける多様な戦略的要因が解明されるとともに、技術の全社的な意味づけの重要性が明らかにされている。二つの事例とも、公表されたデータに基づきながら、技術経営に依拠した収益化の方策を明快に示唆している。
続く第(3)部では、「寿命」と「統合型企業のジレンマ」をキーワードに、イノベーションの収益化をめぐる課題と克服の方途を明らかにしている。特に時計産業を事例にイノベーションのコモディティ(日用品)化の論理を分析した「統合型企業のジレンマ」の部分は、現在の日本企業の課題を適切に把握したモデルといえ、その克服の方途を含め、示唆に富む箇所が多い。
本書は本格的な研究書として出版されたものではあるが、記述は平明で結論も明快であり、多くの技術経営に関心をもつ関係者に一読を薦めたい。
提示された収益化のための諸方策は必ずしも網羅的でなく、またそのすべてが速効性のある処方箋とも言えないかもしれない。そのことは著者も十分に意識しているのではないか。むしろ本書の価値は、技術経営の各々の課題に対し、読者の側により深い思考を喚起する点にある。すべてを読み通すことは必ずしも楽ではないが、その見返りは必ずある好著である。【評者 大滝精一(東北大学大学院経済学研究科教授)】
| 絵はがきにされた少年 | |
![]() | 藤原 章生 集英社 2005-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「ライオンに追いかけられたことって、ある? 日本人って、大抵そう問いかけてくるんです。だから、わたし言ってあげるの。ええ、子どものころは、ライオンにまたがって学校に通っていたよって。その答えを聞くと、みな、嬉しそうにうなずくんだな」。2、3年前だろうか、テレビの人気者になりかかっていたアフリカ出身の男性コメディアンがバラエティー番組でそんなふうに語っていた。これがステレオタイプだなどとはいわないが、日本人にとってアフリカはかくも遠い。
ジョン・ガンサーが売れた1950年代後半からずっと、等身大のアフリカを書くことは、日本のジャーナリストにとって、挑戦しがいのある課題であった。藤原章生が放った矢は昨年秋、開高健ノンフィクション賞を射止めた(受賞時の作品名は『遠い地平』)。アフリカに光があたるのは嬉しいことだ。
「悲惨さの脇に普通の人々の日常がある。悲惨な風景の中にさえ、目を凝らせば、人の幸福を考えさせる瞬間がある」。5年半におよぶアフリカ特派員生活で、藤原はそう考えるようになる。そして、彼の感性がアフリカでつくった彼流のリアリズムに忠実であろうと努めた。当然のこと、貧困、飢餓、疾病、略奪、腐敗、不正義……ありとあらゆるマイナス要因を並べたてアフリカの民衆を救えと声をかぎりに叫ぶ人々とは現状報告のアプローチの仕方が違う。そこに本書の特色がある。
書名になった「絵はがきにされた少年」は、レソトに暮らす老教師が11歳のときに白人カメラマンに撮られたスナップ写真と約70年ぶりに対面する話だが、キューバ革命の立役者チェ・ゲバラがアフリカに渡ってからの足跡を追い、彼の挫折の思いを探りあてた物語に興味をもつ読者も多いのではないか。
ピュリツァー賞に輝いた報道写真「ハゲワシと少女」を写したカメラマンが受賞3カ月後に自殺する話も淡々とつづられる。100万人もの犠牲者を出したルワンダ虐殺についても詳細な報告がある。しかし、著者は決して激して語ることはしない。
だが、それでいて、饒舌ではある。律儀に細かく記述しようとするせいか、修飾、説明てんこ盛りの文になる。「ベルギー国王のレオポルド二世が新聞記者兼冒険家のスタンレーに資金援助し、国の政策というよりも国王の個人的な趣味で『ベルギー領』にされたコンゴは、ベルギーの『ドル箱』、『金を生む木』に成長していた」。こういう記述が多い。いささか疲れる。【者 為田英一郎(桜美林大学教授)】
| 日本郵政 解き放たれた「巨人」 | |
![]() | 町田 徹 日本経済新聞社 2005-11 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() 改革だったはずでは?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■著者インタビュー 町田徹(ジャーナリスト)
――昨年9月の総選挙で圧勝した小泉政権は、郵政民営化法案を可決させましたが、本書は郵政民営化に強烈な危機感を持って書かれています。
■民営化にあたって政府が当然とるべき措置が、すっぽり抜け落ちているからです。国会や総務大臣による国営事業の監視という規制を解き放ったのですから、今度は市場が「日本郵政株式会社」の行動を律し、公正な競争ができる環境を整備しなければならないはずですが、それらがまったく欠如していています。その弊害の大きさに私自身が驚き、最初の約100ページ分を削って冒頭の2章に日本郵政がいかにとんでもない「巨大独占企業グループ」かを書き込みました。安くて便利なサービスが必ずしも実現しないリスクを、国民に知らせなければとの一念からです。
――NTTやJR各社の民営化とはまったく違う?
■決定的な違いは地域分割をしなかったことです。はがきや信書便(郵便)事業も独占したまま。郵便貯金や簡易保険でも巨大な市場支配力を維持しています。こんな状態でなりふりかまわず「強い会社」を目指せば、民間企業はとても太刀打ちできないでしょう。
実は、その兆候は表れています。ローソンやサークルK、サンクスなどコンビニ各社で「宅急便」を「ゆうパック」に切り替えさせるのに成功しています。郵便小包の牙城を切り崩したヤマト運輸に反撃を開始している。駅前の一等地に店舗を持つなど、国営時代の有形無形の資産は膨大です。有力企業が次々に中堅幹部を日本郵政公社に出向させているのも、「勝ち馬に乗ろう」という防衛本能からでしょう。
――強硬な民営化の陰には小泉首相の「怨」があると指摘しています。
■小泉さんは衆院選初出馬は僅差で落選していますが、その原因が地元の全国特定郵便局長会の造反だった。地元で関係者を取材し、郵政民営化への執念の原点はこれだと確信しました。極論すれば、小泉さんは郵政職員の公務員資格さえ剥奪すればよかったのでは。だから、不採算地域の整理もせず市場規律が働かないようにする一方、官僚の抵抗を抑えるため、地域分割をせず利権構造を温存させてしまった。郵政族議員の利権構造を構築したのは田中角栄元首相ですが、それを壊した小泉さんやチルドレン議員が新たな郵政族となる可能性も否定できません。
――郵政民営化は国会や経済財政諮問会議でも多くの時間を割いて議論されたはずですが。
■問題を知りながら何もしなかった竹中平蔵総務相や経済財政諮問会議メンバーにも当然、責任があると思います。初代社長に内定した西川善文前三井住友銀行頭取についても、諮問会議民間議員の奥田碩・トヨタ自動車会長は金融界からトップを迎えるのはよくないとしていたが、報道を見る限り無批判に受け入れた。郵政民営化に限らず、小泉さんを正面から批判できる人物がいま、見当たらない。この大政翼賛会的な状況を、私はとても怖く感じています。
| アスベスト禍―国家的不作為のツケ | |
![]() | 粟野 仁雄 集英社 2006-01 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アスベスト(石綿)を扱う仕事もしていないのに、悪性中皮腫に……。最近になってアスベストが人体や環境に及ぼす害が取りざたされている。実際には1970年代からアスベストの危険性は指摘されていたというのに、企業や行政はなにゆえ、手をこまねいてきたのか。数十年の経緯をたどり、怠惰と看過の問題点を浮き彫りにする。
| ヨーロピアン・ドリーム | |
![]() | ジェレミー リフキン Jeremy Rifkin 柴田 裕之 日本放送出版協会 2006-01 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アメリカの著名な文明評論家である著者が、行き詰まりを見せるアメリカ社会と、ヨーロピアン・ドリームを体現するEUを俎上に載せる。物質主義から人間を解放し、国境を超えて自然を守ろうとするEUの試み、持続可能な社会への移行などを論じる。また、移民問題のジレンマなど、EUが抱える問題点にも言及し、人間にとって、あるべき未来とは何かを探る。
ヒット商品連発にみるプロダクト・イノベーション―キリン「ファイア」「生茶」「聞茶」「アミノサプリ」ブランド・マネジャーの言葉に学ぶ
長沢 伸也 (著), 榎 新二 (著)
企業にとって、ヒット商品を1発出しても第2、第3とヒットを続けるのは至難の業。本書はキリンビバレッジ社の缶コーヒー「ファイア」など、同社の具体的な商品を取り上げ、ヒット商品を連続させる「プロダクト・イノベーション」の仕組みを取材、分析した。単なる成功物語でなく、動機やプロセスなどが分かって楽しめる。
| 電波利権 | |
![]() | 池田 信夫 新潮社 2006-01 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ライブドアや楽天による企業買収の動きもあって、インターネットと放送の融合が話題になっているが、実は日本のテレビ業界は1953年に放送が開始されて以来、倒産も買収・合併も事実上一つもないという。電波という利権を手中にしたテレビ業界は、日本最大の「既得権益集団」だと著者は告発する。電波利権を守るためにはインターネットにあまり先に行かれては困るのだと。電波ビジネスの内側を描き、通信と放送の未来を模索する。
信用リスクで読むM&A・企業再生
上野 孝司 (著), ブルームバーグニュース (著)
急増するM&Aで企業の再編が進んでいるが、大規模な敵対的買収の動きも拡大するなかで、企業の信用リスクの問題が重要なテーマとなってきている。著者はM&Aと信用リスク、さらには企業の再生に焦点をしぼり、「信用リスクとは何か」から分かりやすく解き明かす。PART2、3の実践編では、実際の企業の経営統合、持ち株会社、企業買収などの実例を挙げ、信用リスクとの関係を分析、企業の倒産と再生を論じる。
| 人口減少社会は怖くない | |
![]() | 原田 泰 鈴木 準 日本評論社 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
かつて日本人は人口の増大を恐れた。「過剰人口」への恐怖は、隣国を侵略してまで植民地を確保しなければならないという強迫観念に結びつき、国を誤らせた。
その同じ日本人が人口の減少を恐れるようになっている。歴史が教えるように、誤った危機感は国の進路を誤ることにつながりかねない。本書は、このともすれば熱くなりやすい問題に冷静な対応を迫る。
怖くないといっても、何もしなくてもよいわけではない。それどころか、人口減少世界が明るく楽しく豊かな社会になるかどうかは、私たちの対応にかかっていると著者たちはいう。
というと少子化対策を進めよ、という主張かと読者は思うかもしれない。そうではない。本書が豊富なデータを挙げて論じているように、対費用効果において優れた有効な少子化対策というのはあまりないからだ。本書の主張は人口減少を前提としたうえでも豊かな生活をおくることができるということだ。
しかし、そんなことが可能だろうか? ここで著者たちが注目するのは、1人当たりの豊かさである。考えてみれば、欧州では、大国といわれる国でも日本の半分くらいの人口であり、1人当たりでは日本よりも豊かな国も珍しくない。
1人当たりの豊かさを維持し、さらに向上させるのに必要なのは、人口減少を前提として改革を進めることである。たとえば著者らが論じるように、日本の年金給付額は世界的に見ても高い。年金改革がうまく進めば、消費税を十何%に上げるといったことは必要でなくなる。
最終的に豊かさの鍵を握っているのは、働ける人が全員働くことと、1人当たりの生産性の向上である。そのためには女性が就業し、失業者を減らし、そして規制緩和と研究開発投資を進めなければならない。
これらは必ずしも容易ではないだろう。しかし、人口減少の圧力は、そうした改革にとって追い風になるという。
著者たちの議論は常に基礎的な経済学の理論とデータに裏付けられていて、安心感がある。もちろん、こうした議論は予測を含むから著者たちの議論が外れることもあるだろう。しかし、たとえそうだとしても、根拠がきちんと示されているのだから、誤りを正していくことができる。大事なのは、地に足の着いた議論に基づくならば、過剰な悲観論も根拠なき楽観論も否定できるということだ。
日本の明るく楽しく豊かな未来の可能性を描き出した好著である。【評者 若田部昌澄(早稲田大学政治経済学術院教授)】
| ザ・サーチ グーグルが世界を変えた | |
![]() | ジョン・バッテル 中谷 和男 日経BP社 2005-11-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者はハイテク畑で活躍してきたジャーナリストだが、インターネット関連の雑誌『ワイアード』を共同で創刊するなど、メディアビジネスにも携わってきた。ジャーナリストとして観察・評論する立場と、ビジネスを実践する側との両方を兼ねている人物である。
急成長する検索エンジンサイト、グーグルの2人の創業者、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン、そして途中からスカウトされたCEO、エリック・シュミット、周辺の幾多の人々。著者は同業者としての洞察と、多角的に証言を積み重ねて真相に迫るジャーナリストの方法論を生かし、10年間の彼らの動きを臨場感をもって描き、その歴史的意義を解き明かす。
私事になるが、1996年に評者は知人から、当時最速、カバー範囲最大の検索エンジン、アルタビスタの存在を知らされた。98年、現在のNTTコミュニケーションズの検索エンジン、gooとの付き合いの中で、検索語連動のバナー広告という発想を知った。それに刺激されて評者は、結局特許出願しなかったが、メーリングリストで行き交う内容に連動してメール5行広告を付けることを思いついた。2000年には、早稲田大学での教え子がgoogleを教えてくれた。満足できるウェブサイトが検索結果上位数件の中にほぼ確実に入っていた。以後5年間、これ以外の検索エンジンを使うのは1000回に数回だ。本書を読むと、評者の右往左往はグーグル誕生前夜の業界動向と同期していたことがよく分かる。
現在のインターネット広告の標準になっている検索連動型広告のシステムを打ち出したのはゴートゥー(後のオーバーチュア)だった。検索語を指定して広告費を払うと、他の検索結果に混じって広告主のウェブサイトが上位に表示されるというものだった。
ゴートゥーは、検索ページのコンテンツではなく検索語の中にこそメッセージ(利用者の意志)があると気づきかけたが、有効なサービス体系には仕立て切れなかった。グーグルとの差はほんの紙一重である。
観察と共感の両方が可能な著者には、グーグルの対抗馬の経営者、投資家たちの判断基準と心の揺らぎが見え、決断の合理性が見えてしまう。そのためもあり本書は、企業盛衰の分水嶺となる原理をあぶり出す経営指南書にはなっていない。経営者、管理職、技術者から学生まで含めて、一企業の隆盛の姿の中から情報通信社会のトレンドを読むのに適したルポルタージュである。【評者 中野 潔(大阪市立大学大学院教授)】
| 新しき日本のかたち | |
![]() | 加藤 紘一 ダイヤモンド社 2005-11-18 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者インタビュー 加藤紘一(自民党元幹事長)
――「日本人はなぜ幸せな顔をしていないのか」という問いかけで、この本は始まります。
■日本は世界のなかで文句のつけようがないほど豊かな社会になりましたが、どこかアレンジを間違えたんですね。巨大スーパーの郊外進出などで地域社会が壊れはじめて悲鳴が上がっていますが、グローバル化にかき回されすぎたということは、みんなうすうすと感じているわけです。
しかもやっかいなことにこの問題は、明治維新にまでさかのぼる。当時の薩長土肥の指導者たちは、日本人が培ってきた独自の自然観を後退させて「欧米に追いつけ型」の近代化を急いだ。それはやむを得なかった選択でしたが、賞味期限はすでに切れている。
政治家は今、明治の指導者たちと精神的にも対決しなくてはいけない時代にいるのに、「小さな政府」とか「新自由主義」と言っているだけです。これでは、日本社会の足元や政治の奥深いところを見はじめた国民はついてきません。
――この本は「国のかたち」で、平成の時代から明治の指導者たちへの回答ということですね。「地域社会の復活」がキーワードになっています。
■耐震強度を偽造したり、子供が子供を殺すというようなことはかつてはありませんでした。地域社会が命の大切さを自然に教えてきたからですが、その機能が会社中心の社会になったことで弱まってしまった。
では、地域コミュニティーを回復させるにはどうしたらいいのか。まとまりのある学校区を使えばいい。学校区単位で住民が教育やお祭りなど地域のことを自ら考えて企画し、実行するようにする。地域社会を豊かにするには中間仲卸のような都道府県の権限を市町村に下ろすことも必要で、そうした基盤作りを行うのが政治なのです。
――内政や外交の具体的課題でも「小泉政治」のあり方を淡々と批判している。新自由主義でもなく、社民主義でもない「加藤流の第三の道」を示そうとしているとも読めます。
■「市場原理」といえども地域のまとまりを壊すことは許さないと、多くの人々が求めはじめていることを、この本で書きたかった。地域社会の根っこにある日本人の自然観や人との触れあいの復権が求められているという意味で、(小泉さんとは)かなり鋭い理念の対決になっていると思います。
地域社会に背を向けて六本木ヒルズに住み、お受験の結果、子供を有名幼稚園や小学校にベンツで通わせるような生活をした場合は、子供に何ものかを失わせるということを覚悟した方がいい。私はそこは冷たいのです。そういう子供がエリート大学に入って中央官庁や政治、メディアの中枢を占めたら、この国はどこかおかしくなりますよ。
――「ポスト小泉」で名前の挙がっている政治家は、みな都会育ちの2世議員で、そんなタイプですね。
■問題はそこにあるんだ、ということをこの本から読みとってほしいのです。
| 「失われた10年」を超えて〈1〉経済危機の教訓 | |
![]() | 東京大学社会科学研究所 東大社会科学研究所= 東京大学出版会 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1990年代以降の日本で、現実には何が変わり、何が変わらなかったのか。「失われた10年」を総合的に分析するシリーズ全2巻の第1巻。副題は「経済危機の教訓」。日本が直面した経済危機の本質を、経済・企業システムを軸にして解明を試みる。金融システムの脆弱化、産業空洞化、雇用システムの変化、変革するアジア経済と国際分業体制などに光が当てられる。
| 銀行の機能と法制度の研究―日米の金融制度の形成と将来 | |
![]() | 木下 信行 東洋経済新報社 2005-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
経済社会において、銀行の果たす機能の本質と法制度の役割を、狭義の金融制度だけでなく、幅広い視点から分析する。倒産制度という金融取引の事後処理からスタートし、企業と銀行のコミュニケーション、金融制度と金融システム、グローバリゼーションや情報通信技術の革新が銀行に与える影響などについて検討する。
| 日本のコンテンツビジネス―ネット時代にどう変わる | |
![]() | 猪熊 建夫 新風舎 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ライブドアや楽天のテレビ進出問題などで「ネットと放送の融合」が現実味を帯びてきた。しかし、それが日本のコンテンツビジネスに与える影響はまだ霧の中だ。本書は映画、新聞、雑誌なども含む幅広いコンテンツ産業の可能性を論じた。新聞記者出身だけに、模索を続ける新聞の将来性に対する厳しい見通しには説得力がある。
| グローバル化と日本の課題 | |
![]() | 高橋 伸彰 岩波書店 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
バブル崩壊以降の日本経済をめぐる議論に対し、著者は経済成長の回復に重点を置く「成長の思想」に疑問を投げかける。成長を求め続けることで日本が失ったものは何か。著者はあえて分配政策の世界に足を踏み入れ、公平性の観点から日本の制度のありようを見つめ直す。グローバル化の下で進む格差拡大、強者の論理としての構造改革などにメスを入れ、真にゆたかな社会を実現するために日本が超えなければならない課題を示す。
団塊の世代だから定年後も出番がある
布施 克彦 (著)
団塊の世代の定年退職が始まる「2007年問題」を前に、05年に早くも日本の人口減少が始まった。日本はジジババだらけの衰退国家になるのか。団塊世代の1人として、著者は「社会を下支えする仕事を続けよう」と同世代に呼びかける。その「社会を下支えする仕事」には、少子高齢化だけでなく、IT社会、勝ち組・負け組社会のすき間を埋める〓潤滑油〓のような活動をイメージしている。読んで元気の出る1冊だ。














