メイン > 週刊エコノミスト書評 『ブックレビュー』 > 2006年1月10日~1月17日

長期波動からみた世界経済史―コンドラチエフ波動と経済システム
長期波動からみた世界経済史―コンドラチエフ波動と経済システム安宅川 佳之

ミネルヴァ書房 2005-10
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著者が重視する長期金利の動きからみて、歴史的低金利の2003年~10年間が長期波動の谷になることはほぼ確実である。その意味で、現在はコンドラチェフ長波の視点から今後の経済の上昇を占う重要な時期であろう。さきに『コンドラチエフ 波動のメカニズム』を書かれた著者は、第2弾としてこの書を世に問われた。

ところで、氏の分析体系では「思想循環」が長波分析の根幹として重視されている。一方、この思想循環は国際面では覇権国と周辺諸国間の「覇権サイクル」の形をとる。しかし、こうした強者・弱者間の対立は国家間にだけ起こる現象ではない。国内でも起こりうる。一方で市場重視の経済体制の国があるかと思えば、他方では、政府介入が強い国もある。「経営者主権」が強いシステムもあれば、「株主主権」の時代に移行した経済もある。ここに、国内でもステート・ガバナンス(国家経済の運営)、コーポレート・ガバナンス(企業統治システム)の強弱がみられる。長波のどの局面にあるかによって、これら国内経済システムの構造は大きな変容をとげる。

さらに、年金制度を中心とした社会保障制度に対しても金利の長波は大きな影響を与える。一般に長波の上昇局面では社会保障の拡充、下降局面ではその縮小の政策がとられがちだからである。その意味で、氏の思想循環という概念はきわめて包括的・複合的であり、この内容の多様性が読者の理解を困難にする場合もなしとしない。しかし、長波をいくつかの局面に区分した場合、18世紀以来、社会保障制度がどのような変容をたどったかを3ページにわたる整理表によって表示しているが、この分析は本書の圧巻である。

こうして著者は、いわゆる「思想循環は、金利循環の影響を受けつつも金利循環に先行する」という境地に到達する。本書の序章のタイトルは「市場と国家――ヒックスの歴史観」であった。本書の劈頭になぜヒックスが出てくるかについては、最初ピンとこなかったが、著者の分析は、このヒックス的見地に立ちながら、18世紀以降の「世界経済史」を描き抜きたいという意欲で貫かれている。

ただ一読したあと、多少の違和感が残るとすれば、それは「思想循環」が国際的概念と国内的概念の混合から成り立っており、両者には長波の局面いかんでは多少の食い違いが起こりうるかもしれぬという懸念にある。それにもかかわらず、本書は著者独自の分析による力作であり、高く評価したい。【評者 篠原三代平(一橋大学名誉教授)】

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

冷たいおいしさの誕生―日本冷蔵庫100年
冷たいおいしさの誕生―日本冷蔵庫100年村瀬 敬子


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「田園調布には昭和三年に購入した電気冷蔵庫を、昭和五十年になっても使用している家庭があった」と本書にはある。

昭和3(1928)年の米ゼネラル・エレクトリック社の電気冷蔵庫の価格は大型1500円、小型900円であったとのこと。購入者は宮家、銀行重役などだが、家庭用はわずか3件で、その他は肉屋、料理屋、魚商などであったという。

その少し前、大正11(1922)年にスイス製が輸入された時も1500円だった。そのころの総理大臣の月給が1000円とのこと。ずいぶんと高価なものだった。

いや戦後になってもまだ高価だった。昭和33年の『暮らしの手帖』は次のように電気冷蔵庫について記していたそうである。

「電話1本で、どんな小さなものでも、すぐ届けてくれるなどというのは、世界広しといえども、まず日本ぐらいなものでしょう。牛肉200グラムを5時にというと、大体5時にちゃんと届けてくれます……『ご用聞き』のおにいちゃんは、その意味で『動く冷蔵庫』だといえましょう」

つまり冷蔵庫は購入する必要のないものとしていたのだ。労働力が安く生産性の低かった時代である。昭和33(1958)年というと、評者は中学1年だった。海のない群馬県の山里で育ったが、魚を食べるといつもじんましんができた。魚屋に氷の冷蔵庫しかなく、家庭にはそれもなかった。だから評者は、上京して魚のおいしさをはじめて知った。

生鮮食品が安くておいしく食べられるのは、冷凍と冷蔵が簡単になったからであることはいうまでもない。本書は日本の冷蔵庫の100年の歴史をたどりながら、「おいしさ」や「家庭」「食卓」「団欒」といったことを語っている。

本書で紹介されている家電製品のキャッチコピーを見ていると、いつも「幸せな家庭」がイメージされていた。家業を継ぐのではなく、会社勤めが一般化するなかで、専業主婦のいる核家族が都会で生まれた時代と重なる。人々の「幸せ」の目標がシンプルだったのである。

いまはどうだろう。冷蔵庫のない家庭はないだろうが、料理や食事はどんどん外部化されている。外食だけではない。コンビニに並んだ弁当をはじめとした各種の食べ物や飲み物を見ていると、コンビニが「冷蔵庫」なのである。食卓を中心に成り立っていた家庭が壊れはじめているのだ。

冷蔵庫を通して食を語り、食を語りながら家庭や時代をたどっている楽しい本である。【評者 中沢孝夫(兵庫県立大学教授)】

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

いま知りたい日本国憲法
いま知りたい日本国憲法東京新聞政治部

講談社 2005-11
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著者インタビュー 金井辰樹(東京新聞政治部記者)

――日本国憲法を1条ずつ掘り下げていく「逐条解説」を、東京新聞政治部として1冊の本にまとめました。中心になった金井辰樹記者に、その狙いを聞きます。

■2005年4月に衆参両院の憲法調査会が最終報告書をまとめ、「憲法元年」と言われました。04年末ごろの段階で、この政治スケジュールはすでに明らかになっていたのですが、国民があまりに憲法を知らないことに危機感を持っていました。

現在の憲法に対しては、改憲、護憲はもちろん、創憲、加憲などの視点があります。しかし、残念ながら国民の大多数は、その論争の土台になる憲法そのものに何が書かれているのか、詳しく知らない。まずは憲法を知ること、つまり「知憲」が大切だと思い、長期連載を提案しました。起承転結をつけ、エピソードを盛り込み、時にはユーモアも交えた内容になっているので、星新一さんのショートショートの感覚で読んでいただけると思います。

――なぜ「逐条」にこだわったのですか。

■マスコミの憲法報道は、九条の問題に極端に偏っています。もちろん九条は大切ですが、ほかの条文にも大切なものはたくさんあります。憲法が「国のかたち」をつくる規則だとすれば、補則を除いて99条で構成される今の憲法は、日本の中で最も大切な99の規則ということになります。それぞれを公平に掘り下げる作業はムダではないと思いました。

――何に苦労しましたか?

■私も含め十数人が執筆にあたりましたが、大学などで憲法を専攻した者はほとんどいません。恥ずかしい話でもありますが、実はそれが、この企画が成功した原因だと思っているのです。つまり従来の学説にとらわれず、まっさらな視点で憲法を読み、論じたことが、読者に新鮮に映ったと思います。「中立」も心がけました。自民党担当者は、社民党や民主党の護憲派にも取材し、改憲派の重鎮・中曽根康弘元首相のインタビューには、野党担当の記者も同席しました。客観的な事実関係を調べるため、衆院法制局や国会図書館に連日複数の記者がこもりました。法制局、図書館の職員の方には相当迷惑な存在だったと思います(笑)。

――意外な発見は?

■私たちの議論の中で生まれた素朴な疑問を、きちんと解消してくれる学説があまりないことを痛感しました。

例えば6条で「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」と規定されています。しかし、「もし天皇が、その使命を拒否したらどうなるか」という疑問をぶつけられると、答えに詰まってしまう専門家もいました。あらゆる事態に対処できなければ、憲法とはいえませんよね。

憲法には漠然とした関心があるけれど、専門書を手に取る気は起きずに今日まで来てしまったという方にはお勧めです。眠る前に「一日一条」という感じで楽しんでもらいたいと思います。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析
イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析榊原 清則

有斐閣 2005-12
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優れた新技術が、なかなか企業の収益に結びつかないのはなぜか。研究開発の効率低下など、日本企業が直面する課題を分析する。キヤノンやインテルの成功事例、世界に先駆けて画期的なイノベーションをなし遂げながら、売り上げ規模が縮小傾向にある日本の時計産業、総合型企業のジレンマの問題など豊富な事例から未来を探る。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

東大法学部
東大法学部水木 楊

新潮社 2005-12-15
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明治政府による官僚養成機関としてスタートした東大法学部。官僚だけでなく政治家やビジネスエリートを輩出し続けてきた東大法学部に、大きな異変が起きている。官僚コースに見向きもしない者が増えているというのだ。東大法学部にいま、何が起きているのか。明治以来の歴史をたどり、国家と人材、真のエリート教育とは何かを考える。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

映画一日一本―DVDで楽しむ見逃し映画365
映画一日一本―DVDで楽しむ見逃し映画365芝山 幹郎

朝日新聞社 2005-12
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「続・夕陽のガンマン」から「ミリオンダラー・ベイビー」まで、新作、旧作、洋画に邦画、名作傑作、怪作珍品などなど、あらゆるジャンルの映画が365本。本誌「エコノミストCINEMA館」でおなじみの著者による、ちょっと気になる映画への招待状。映画を〓読む〓楽しみに加えて、DVDで見ることができるのもうれしい。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

シニアが利益を創造する
シニアが利益を創造するダイヤモンド社

ダイヤモンド社 2005-10-15
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おすすめ平均 star
starNTT西日本の成功物語?

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「51歳で退職、子会社に再雇用、給与最大3割ダウン」という制度を採用したNTT西日本。この本は、定年前に「オジ捨て」されて子会社に移った中高年職員たちの奮闘記といえる。電電公社時代から電話架設関係の仕事を続けてきた彼らは、この逆境にも負けず、先端技術を学び、資格を取得していく。とうもろこしで作った生分解プラスチックの「環境商品」で東京進出を果たしたNTTネオメイト北陸の社員など約15の実例を紹介している。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

ホテル戦争―「外資VS老舗」業界再編の勢力地図
ホテル戦争―「外資VS老舗」業界再編の勢力地図桐山 秀樹

角川書店 2005-12
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2005年12月に誕生した「マンダリン オリエンタル 東京」をはじめ、07年開業予定の「ザ・リッツ・カールトン東京」「ザ ペニンシュラ東京」など、東京都心に外資系の超高級ホテルが続々と進出を果たそうとしている。一方、国内老舗ホテルもサービスを含めた大幅リニューアルでこれに対抗。業界再編をかけたホテル戦争の行方はどうなるのか。「外資vs老舗」それぞれの戦略を分析し、戦国時代を生き抜くホテルの条件を探る。

■2006/01/17, 毎日エコノミスト

戦後日本の公務員制度史 「キャリア」システムの成立と展開
戦後日本の公務員制度史 「キャリア」システムの成立と展開川手 摂

岩波書店 2005-11-09
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小泉純一郎政権は、2001年12月に「公務員制度改革大綱」を閣議決定している。だが、公務員制度改革はまったく進んでいない。その一方で政権は、公務員定数の5%を削減するという。公務員定数を分野別に精緻に検討し適正規模を定めることに、社会的異論は少ないだろう。だが、公務員制度改革がなおざりにされてはなるまい。

公務員制度の改革課題は、すでに議論が出尽くしている。ごく少数の幹部候補生が入り口で選別され、彼らが官僚機構を支配している。それが省益追求至上主義を生み出している。各省は外郭団体を張り巡らし、一部のエリート官僚がこれら団体の中枢に天下っている。こうして1年生職員からOBに至る支配が完成している。政権はこの改革にこそ取り組むべきである。

ところで、「幹部候補生」「エリート官僚」といわれ、「キャリア組」官僚ともいわれる一群の官僚制度の実態や人事管理の実際は、「キャリア」「ノンキャリア」といった言葉が頻繁に使われる割には、明らかになっていない。少壮気鋭の行政学研究者による本書は、「キャリア」「ノンキャリア」なる言葉の出自に始まって、戦後公務員制度の特質を描き出したものである。

戦前期の高等文官を筆頭とする官吏制度のもとでは、特定の入り口選別された官僚の「特権的」地位には制度保障があった。だが、戦後公務員制度のもとでは、職員は法的に平等である。本来「経歴」を意味する「キャリア」が、一群の官僚集団を指して一般に使われるようになるのは、1970年代に入ってからのようだが、一部の公務員に特権的地位を認めている「キャリア」システムは、インフォーマルなシステムでしかない。

にもかかわらず、それが成立した事情は、著者が丹念に描いてみせたように、国家公務員法と職階制が予定していた資格判定型試験の失敗、その後の給与等級型試験の導入に由来する。いい方を換えれば、戦後官庁において中核をなしていた高等文官試験合格組の「反抗」の結果であった。そして、1章を割いて実証されているように、今日なお「キャリア」組は、人事院規則における級別資格基準を無視して昇格している。

隠微な「キャリア」システムを解体し、著者のいうように透明度の高い幹部候補選抜・育成システムの構築こそが、問われていよう。公務員制度改革が定数削減に堕している状況のなかで、本来の制度改革とは何かを考えさせる、刺激的な好著であるといってよい。【評者 新藤宗幸(千葉大学法経学部教授)】

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する
ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する植田 和男

日本経済新聞社 2005-12
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意欲的な副題に恥じない好著である。前日銀政策委員会審議委員である著者が、在任中の日銀の金融政策について、単なる回顧録としてではなく、最近の量的緩和解除論に関する自説を含めて、かなり踏み込んで解説・分析している。この点、極めて生々しいものを感じた。

過去20年間の日本の経済・金融情勢には、どういう特徴があったのか。金利がゼロ近傍に張りついた時の一段の金融緩和政策手段には、いかなるものがありうるのか。「時間軸政策」導入の効果は、実証的にはどう総括されるのか。これらの点について本書では、平易かつ的確に解説している。

著者の在任中、日銀は「時間軸政策」等、学問的にも未整理な手段も含めて様々な政策を駆使した。しかし、これらの政策がデフレの早期終結という効果をもたらさなかったのはなぜか。

その大きな理由として著者は、金融システムの資金仲介能力の低下、あるいは、その原因である民間銀行の資本制約問題への政府の対応の不十分さを挙げている。

その結果、日銀の金融政策は、通常の意味での金融緩和策という側面と、金融システム問題への対処策としての側面の両面を担わされた。しかし、短期の流動性供給を別とすれば、日銀は後者の問題に十分対処しうるツールを、もともと具備していない……。こうした点を論じた部分に、政策責任者としての良心と苦悩を垣間見ることができる。

ところで、「量的緩和」の解除問題はどうなるのか。「時間軸政策」は本来、将来の金融緩和政策の「前借り」である。問題は「どこまでの部分を前借りするか」である。日銀はこれを「デフレ懸念払拭が展望できるまで」というかなり曖昧な形で表現した。この曖昧さは、量的緩和政策の下でも基本的に大きな変化はない。その結果、論者の立場の違いにより、この表現は自己に都合の良いように解釈されている。

著者は量的緩和解除時期について、本書のあとがきの部分で「もう少し辛抱しても良いのではないか」と主張している。しかし、かつてバブル期に政策変更のタイミングを誤った苦い経験を持つ福井俊彦現総裁は、「同じ轍は踏みたくない」というのが本音だろう。

自らの考えを政府等にどこまで納得させることができるか。日銀が本当の意味で実力を試されるのは、これからが本番と言えよう。【評者 渡辺孝(文教大学教授)】

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

国際政治事典
国際政治事典猪口 孝 田中 明彦 恒川 惠一

弘文堂 2005-12-01
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著者インタビュー 田中明彦(東京大学東洋文化研究所教授)

――これまで「外交」や「国際法」などの辞書・事典はありましたが、『国際政治事典』はありそうでなかったものですね。編集委員の田中さんに、まず基本的な狙いを聞きましょう。

■こういう事典が必要だと提案したのは猪口孝さん(中央大学教授・東京大学名誉教授)です。私を含めて編集委員は5人ですが、猪口さんを中心に、5年をかけて作りました。「国際社会の状況を現在の視点で、日本の立場を念頭に置いて分かりやすく」というのが基本方針ですね。

――一見して、執筆者の多様なこと、そして項目の多岐にわたることが目を引きます。

■実際、この事典の目的は非常に野心的です。現在の世界を丸ごと、この1冊でだいたい理解してもらおう、ということですから。今、世界で起こっていることはそれぞれ歴史をひきずっている。だから、世界史が全部入ってなきゃいけない。過去の話だけでなく、今は21世紀なのだから、今世紀に起こりそうな問題も全部入ってなきゃいけない……。

――そうすると、人間に関すること全て、と言うに等しくなりますね。

■その通りですよ。例えば、世界史上の重要事件はみんなここに入っています。この部分は山内昌之さん(東京大学大学院教授)の担当。今の日本で、世界全体に目配りして歴史を語れる第一人者でしょう。

一方、地域研究の第一人者である恒川惠市さん(東京大学大学院教授)のおかげで、この事典は各国事典としても使える。現在のほぼ全ての国の概要が紹介されています。

そして薬師寺泰蔵さん(総合科学技術会議常勤議員・慶応義塾大学教授)の担当した政策分野では、環境問題や知的財産権問題、ITから新型インフルエンザまで、現在とこれからの重要課題を幅広く網羅している。

まあ、入ってないものを挙げるとすれば、音楽や美術などの人文分野ですかね。だけど、例えば宗教についてはかなり入っている。結局、「政治」を扱う限りは、人間に関すること全て、にならざるをえないのです。

――国際政治学のトレンドはどのように反映されているのでしょう。

■現在の国際政治学の全体像は、猪口さんが担当した「理論」の部分がカバーしています。アイデンティティー論のような最近の重要な学問傾向まで的確にまとめられています。

ただ、本書は国際政治「学」事典ではない。学問の現状の紹介よりも、全体としては一般の利用者にとっての実用性を優先させています。

――そして、日本外交は田中さんの担当ですね。

■ここでも、日本の外交に関すること全て、という方針で編集しました。試しに「日本外交」の項目を読んでいただきたい。その部分だけでも高水準な日本外交通史です。

21世紀の世界が分かる事典として、外交官、研究者からジャーナリスト、学生まで、座右に置いて役立つと自負しています。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

ソニーとSONY
ソニーとSONY日本経済新聞社

日本経済新聞社 2005-11-25
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「SONY」ブランドで世界を魅了してきたソニーに異変が起きている。2005年春の出井伸之氏以下の経営陣総入れ替え、ストリンガー会長兼CEOの就任という劇的トップ交代。音楽や映画、金融にまで基盤を広げ、デジタル時代の覇者と目されてきた企業に何があったのか。出井時代の10年に焦点を当て、内部の相克と葛藤を描く。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

人民元改革と中国経済の近未来
人民元改革と中国経済の近未来榊原 英資

角川書店 2005-12
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よほどのことがない限り大幅な人民元切り上げはないだろうと著者は分析する。生産ネットワークが国境を越えて世界に広がる状況下では、人民元切り上げの貿易収支調整効果は薄く、アメリカの貿易赤字はあまり減少しないという。誤解だらけの人民元論争の解析に始まり、中国の政策決定メカニズム、中国経済の着地点から日中関係の未来までを分かりやすく解きほぐす。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

金融機関のオペレーショナルリスク・マネジメント―リーディング・プラクティスに学ぶ導入から定着までの手順
金融機関のオペレーショナルリスク・マネジメント―リーディング・プラクティスに学ぶ導入から定着までの手順松下 芳生 乗田 浩隆 有友 圭一

ファーストプレス 2005-11
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starリスクマネージャー必読の書

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みずほ証券の誤発注事件ではネット時代の脅威を改めて認識させられたが、今やグローバル化、ネットワーク化時代のリスク管理能力はビジネスの最重要課題ともなっている。本書は金融機関に焦点を当て、企業スキャンダルやテロなどの事例に学びながら、オペレーショナルリスク・マネジメントの導入から定着までを解説する。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

地域の雇用戦略―七カ国の経験に学ぶ“地方の取り組み”
地域の雇用戦略―七カ国の経験に学ぶ“地方の取り組み”樋口 美雄 シルヴァン ジゲール 労働政策研究研修機構

日本経済新聞社 2005-10
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地方分権が言われ、地域主導型の雇用創出への転換が急務となっている。本書では、いち早く地域主導型への転換に取り組んできたヨーロッパやアメリカ、カナダの成功・失敗を含めた事例を取り上げ、経済の活性化や雇用開発と地域ガバナンスのあり方を探る。EUという多様なフィールドでの雇用戦略と地域の役割、中央集権の長い伝統を持つフランスでの取り組み、小さな政府の国アメリカなど特徴的な事例が取り上げられ、日本の地域雇用政策の変遷と現状が分析される。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

代替品の戦略―攻撃と防衛の定石
代替品の戦略―攻撃と防衛の定石根来 龍之

東洋経済新報社 2005-12
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レコードがCDに、ワープロがパソコンに取って代わられたように、技術の進化は市場構造を大きく変化させる。既存の製品を守る企業、それに代わる製品で攻める企業、それぞれの戦略はどうあるべきか。戦略立案のヒントを探る。CDとレコード、パソコンとワープロ、長距離トラックと貨物鉄道、紙おむつと布おむつの既存の具体事例に加え、進行中の事例としてICタグとバーコードを取り上げる。

■2006/01/10, 毎日エコノミスト

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