メイン > 週刊エコノミスト書評『ブックレビュー』(2005年) > 2005年10月18日~10月25日

ルービン回顧録
4532165156ロバート・ルービン ジェイコブ・ワイズバーグ

日本経済新聞社 2005-07-26
売り上げランキング : 339

おすすめ平均 star
starルービン氏の意思決定の回顧録
starルービンかく語れり
star財政規律の維持、国際金融危機に取り組む臨場感

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この回顧録は自らの基本哲学を語った次の文章から始まる。「私と仕事をした経験がある方々は、私が確実なものなど何もないと考えていることをよくご存じだ」

彼とはG7の会合等でよく会い、かなり頻繁に接触したが、彼と直接、一緒に仕事をしたわけではない。ただ彼の部下であったL・サマーズ(現ハーバード大学学長)や、T・ガイトナー(現ニューヨーク連銀総裁)に聞くと、この確率論的人生観や仕事のやり方は極めて徹底したものだったという。ゴールドマン・サックスで債券の裁定取引をしていたこともあるのだろうが、青年時代から身についた彼の生き方なのだろう。この哲学は彼をグッド・リスナーにし、常に難しい選択を、できるだけ慎重かつ果断にすることに大いに役立ったのである。

この回顧録は、いくつかの点で我々にとっても大変興味深いが、まず印象深いのは1995年のメキシコ危機がアメリカにとって極めて深刻であったという点である。

95年1月、日本では1ドル=80円台の円高の進行で悲鳴に近い声があがっていた。つまり、日本では円高不況・円高危機だったのだが、実は、アメリカから見るとこれはメキシコ・アメリカ危機、ドル安危機ということだったのだ。この月、ルービン財務長官の就任とともに、アメリカはその為替政策を大きく変更した。就任から辞任までの4年強、彼が呪文のように唱え続けた「ドル高はアメリカの国益であり、為替を通商政策の具にはしない」は、明らかにM・カンターが主張した貿易赤字削減のためのドル安政策からの転換であった。そしてその最大の原因はメキシコ危機であったのだ。

ルービンは自らも認めている通り、対日強硬派だった。95~96年の円高・ドル安是正の局面では、日米の利害がほぼ完全に一致していたので協同歩調をとることができたが、97~98年の東アジア危機、日本の金融危機の局面では、彼は日本に強い圧力をかけ続けた。

サマーズやガイトナーは若干、日本に同情的だったが、ルービンは日本の政治家や官僚たちが素直に状況の分析をし、本来の意味での意見交換をしないことに、ゴールドマン時代から大変不満だったようだ。特に橋本総理への不満は強かった。「何も確実なものなどない」というルービン哲学からすれば、面子にこだわる多くの日本人は、受け入れ難かったのだろう。【評者 榊原英資(慶応義塾大学教授)】

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

近代日本流通史
4490205503石井 寛治

東京堂出版 2005-10
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ダイエーの創業者中内功氏が、9月19日に83年の生涯を閉じられた。中内氏は「安売り哲学」を掲げ、メーカーによる流通支配を覆し、「消費者主権」を確立した。高度経済成長期の日本に、「流通革命」の旗手として登場したのである。

1990年代にバブル経済が崩壊すると、ダイエーの経営は急速に悪化し、産業再生機構の手を経て経営の再建が図られつつある。中内氏の死は、「流通革命」の時代の終わりを告げる象徴的な出来事で、いまや日本の流通機構も大きく変容を遂げようとしている。こうした時期に、近代日本の流通史を概説的に描いた本書が刊行された。まさに時宜を得た企画であるといえよう。

近年、日本経済史の研究領域では、比較的若い研究者の間で商品流通史の研究が活発になっているが、編者の石井寛治氏はこうした研究動向のいわば火付け役であった。本書は、その石井氏を中心に組織された研究者が執筆したもので、幕末開港期から現在までの1世紀半にわたる近代日本の国内商品流通の変遷を、流通の担い手に焦点を当てながら描いたものといえる。

とくに本書では戦後に多くのページが割かれており、本文267ページのうちの半分以上が、年数からすれば60年にすぎない戦後の流通史に費やされている。中内功氏やダイエーについてもかなりのスペースが割かれ、その成長と没落の歴史が詳細に、しかも興味深く記述されている。本書は、第1部「外圧の下での問屋主導の流通機構」(1859~1920年)、第2部「都市化の進展とメーカーの流通支配」(1920~73年)、第3部「消費の高度化と大規模小売業の台頭」(73~90年)の3部から構成されている。

時代の画期は第1次世界大戦と石油危機に置かれ、戦前と戦後の連続面が強調されている。これは、それぞれの時期において、支配的な流通の担い手が誰なのかという観点からの時期区分で、流通機構の主導者が問屋からメーカー、そして大規模小売業へと変遷してきたとされている。戦後に急増する輸入商品の流通や物流機能の発達に関する記述が薄いことなど、いくつかの不満もあるが全体としてはよくまとまった近代日本の流通史である。

とりわけ、戦後日本の「大衆消費社会」については、かなり立ち入った叙述がなされている。近代日本の流通史に関心を持つ研究者はもちろん、流通の現場で働く方々にもぜひ一読を薦めたい。【評者 老川慶喜(立教大学経済学部教授)】

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

福田和也と“魔の思想”―日本呪詛(ポスト・モダン)のテロル文藝
4860291271中川 八洋

清流出版 2005-09
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おすすめ平均 star
star凄い作品です。目からウロコが・・・
star大笑いの書
starぜひ読んでください

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■著者インタビュー 中川 八洋(筑波大学歴史人類学系教授)

――本書は、文芸批評家の福田和也氏や日本浪漫派の故・保田與重郎などを俎上に載せ、日本におけるポストモダニズムを批判した本、ということになるでしょうか。中川さんがこういう分野のものをお書きになるのがまず意外でした。中川さんといえば右派の政治評論家で、1980年代に対ソ連強硬論を盛んに主張した「筋金入りの反共主義者」というイメージが強い。

■そのイメージは正しいと思います。79年のソ連によるアフガニスタン侵攻にさいし、私は「ソ連の次の標的は日本だ」と考えましたから。実際、反ソ主義のレーガン米大統領の登場と、核トマホークなどによる反転攻勢がなければ危なかった、と今でも思っています。

その後、91年のソ連崩壊により、私の関心は、日本に生き残り増殖する左翼思想との戦いに移りました。ここ10年ほどは英米系保守主義の哲学者、コーク、バーク、ハミルトンなどの研究を世に問うてきましたが、左翼系の現代思想――フェミニズムやポストコロニアリズム等――への批判テキストも不可欠だと思い、その手始めにポストモダニズムを総括的に論じたのがこの本です。

――とはいえ、主な標的は、書名にある通り福田和也氏ですね。中川さんが、同じ保守陣営であるはずの福田氏を批判しているのも意外です。

■ポストモダンの思想や手法を縦横に駆使する文学者として、彼は現在、日本随一の存在です。天才的といっていい。彼を無視してポストモダン思想は語れませんし、彼の仕事にこの思想の核心があると考えました。

――福田氏が保守主義者を標榜しているのは偽装で、実は左翼だということですね。本書の主張のなかで最も論議を呼びそうなところですが……。

■ ポストモダニズム自体が左翼思想ですから、それを吸飲した彼は当然左翼です。フーコー、デリダ、ドゥルーズ、リオタールなどに代表されるポストモダン思想は、普通の人が読んでもチンプンカンプンでしょうが、「反人間」「反知」「反国家」「反歴史」などを内容にしている。マルクス・レーニン主義よりはるかに「左」であるのは明白で、だからこそソ連崩壊にも影響されず生き延びたのです。日本では「一般教養」のように偽装しているから、保守派の多くもその危険に気付いていない。

――現実の暴力や全体主義に結びつかない限り、思想上の左派も右派もいていいと思いますが。

■それは立場の違いで、私のような筋金入りの反・左翼思想主義者から見れば(笑)、日本社会を現実に蝕む悪魔の思想としか思えません。本書で論じたように、福田氏の仕事に私が感じるのは、日本人への底なしのルサンチマンとテロル(殺意)なのです。

――当の福田氏からは何か応答がありましたか?

■私の方にはまだありません。嵐の前の静けさでしょうか。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

大解説 中国経済―巨大経済の全容と未来
4532351685日本経済研究センター

日本経済新聞社 2005-09
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変貌する中国巨大市場に、日本企業はどのような戦略で臨めばよいのか。WTO加盟後の「中間決算」、エネルギー問題の行方、金融システム、人民元国際化のシナリオ、行財政改革、これからの新成長分野など、中国が抱える政治課題、経済・産業の諸問題のチャンスとリスクを、16人の専門家がそれぞれに徹底解説する。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

続・台湾新世代―現実主義と楽観主義
4773630027近藤 伸二

凱風社 2005-10
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ハイテク産業で活性化する台湾の経済事情、台湾野党との交流を深め、台湾独立を警戒する中国との関係、2004年の総統選挙で市民を巻き込むまでに対立が激化した台湾政治。こうした新しい台湾の動きを描いている。台湾総統選挙の年であり、北京五輪の年である08年が台中関係の節目になると著者は見る。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

ガツンと事業をつくれ!―花王で学んだ研究開発精神
今村 哲也

著者は前花王執行役員。エンジニアとして入社し、38年に及んだ花王人生では、フロッピーディスク事業をゼロから起こし、世界トップシェアまで持っていくが、過当競争に巻き込まれて撤退した経験を持つ。後にその経験を生かし、「エコナ食用油」「ヘルシア緑茶」を成功させた。体験から学んだ研究開発精神を語る。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

それでも私はあきらめない―元・カリスマ主婦社長の転落から復活まで
4591089169笠松 ゆみ

ポプラ社 2005-10
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おすすめ平均 star
star人間だから、人間として

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専業主婦から起業、SOHOの草分けともてはやされた。その後、離婚、社内のゴタゴタ、詐欺被害、倒産、病気と次々と苦難に襲われて自殺まで考える。今は見事に立ち直り、パソコンを駆使したSOHOのコンサルタントとして活躍する著者の自伝的エッセイ。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

見果てぬ夢―平安京を生きた巨人たち 在原業平・平清盛・後白河院・後鳥羽院
4900594865JR東海生涯学習財団

ウェッジ 2005-09
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『古今集』の編纂から今年で1100年目。当時を代表する在原業平、平清盛、後白河院、後鳥羽院の4人を選び、彼らの華麗な足跡を追った。名所旧跡のカラー写真や絵巻物資料などを豊富に入れており、視覚的にも楽しい。同財団主催の歴史講演会をまとめたもの。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

ゼロから学ぶリスク論
4535554463田辺 和俊

日本評論社 2005-10
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事故や災害、テロ、企業の不祥事など、膨大なリスクにさらされる現代にあって、リスク管理をどのように考えていけばよいのか。最近の重大事件や事故を取り上げ、リスクの基本概念から分かりやすく解説する。

■2005/10/25, 毎日エコノミスト

ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル
4104329053野口 悠紀雄

新潮社 2005-09-21
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サム・ブラナンという商人が1848年2月にアメリカ西海岸で金発見のニュースを知った。彼は「西海岸にあるすべてのシャベルと斧と金桶、それにテントやその他の生活必需品を買いあさった。買い占めが完了したところで、サンフランシスコの通りを走り回った。『金だ。金だ。金が発見された』と叫びながら」。

20セントで仕入れた金桶を15ドルで売ったりして、9週間で巨万の富を手に入れた。彼は自分で金を掘るのではなく、「情報」を積極的に公開し、人々が必要とするであろうと予測して、道具を売ることによって儲けた。

次に登場するのが、ジーンズのリーバイス創業の物語。あるいは大陸を横断する駅馬車を経営して大金を稼いだ話(これは現在のウェルズ・ファーゴ銀行につながっている)。さらにはドイツからの移民の子孫であるスチュードベーカーが馬車の製造業者として成功する物語(もっとも、後にこの企業は自動車産業に参入して失敗することになるのだが)。

もちろんそのあとには、大陸横断鉄道の物語が続く。1869年5月10日、ユタ州ソルトレークの近くで東西両端から建設されてきた鉄道がつながり、リーランド・スタンフォードが最後のレールを留める金の犬釘を打つセレモニーに臨んだ。どういうわけか最初の一振りは空振りだったそうである。

アメリカ中が待ちに待った鉄道建設を成し遂げて億万長者になったスタンフォード夫妻の一人息子が死に、その悲しみからスタンフォード大学が設立されたことはかなり知られた物語である。しかし、本書に書かれているようなディテールは日本のほとんどの人は知らないだろう。

本書はIT長者を含め、さまざまな「成功物語」を紹介しながら、時代背景を生き生きと描いている。現代につながる荒っぽいアメリカ、精神的なアメリカ、ビジネスモデルをつくり続ける直近のアメリカを実に見事に読者に伝えている。

ただ、若干の異論がある。「もの作りという価値のないビジネス」「自動車産業はアメリカでは不要になった産業なのだ」「(製造業という)ハードからソフトへ」などという。そうだろうか。アメリカに進出した日本の自動車メーカーがなぜ快進撃を続けているのか。日本の高精度鋼板や造船の技術がなぜ中国や韓国にないのか。

日本のものづくりのソフトは進化し続けており「古いもの」にはならないだろう。ともあれ、「アメリカ論」として本書は面白い。この秋の中沢ゼミはこれで決まり。【評者 中沢孝夫(兵庫県立大学教授)】

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

利益が上がる!NPOの経済学
4797671289跡田 直澄

集英社インターナショナル 2005-09
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「利益が上がる」「儲けなくてどうする」といった文字が躍る表紙や帯は、奇をてらっているようにみえるが、読んでみると案外まじめな啓蒙書である。

昨今NPO(非営利組織)の解説本は巷にあふれているが、本書はNPOが行政や企業と対等に競争できるだけの組織力をつけるにはどうすべきか分かりやすく説いた指南書として出色であろう。

本書の主張は単純明快で、NPO=ボランティアという幻想を捨て、きちんとサービスの対価をとり、スタッフに世間並みの給料を払えるNPOを目指せということに尽きる。無償奉仕の過大評価こそNPOの組織力強化の最大の障害になっているというのは評者もつとに主張してきた点であり、強力な賛同者の出現に意を強くしたところである。

本書の最大の付加価値は、単に利益を上げよというスローガンを掲げるだけでなく、具体的なNPO経営のヒントが満載されていることだろう。NPOへのプロジェクトファイナンス、社会的責任投資専門の特定目的会社による資金調達、NPOによるコンサルティングビジネス、地域通貨を使った寄付市場創造など、NPOと営利企業を機能的に使い分けるビジネスモデルは、実現性はともかく、面白いアイデアであることは間違いない。

一方で、理論的根拠が薄い、あるいは説明不足と思われる主張もある。たとえば、NPOの理想的な財源構成として、営業収入、補助金・助成金、寄付がそれぞれ3分の1ずつであるのが望ましいとして、「3分の1ルール」なるものを随所で主張しているが、なぜそのような構成が望ましいのか、どこにも根拠が示されていない。

また、著者は、NPOが営利企業より同じ質のサービスを安価に提供できると主張するが、本当にそうだろうか。経営センスを身に着けたNPOの方が、社会性に目覚めた営利企業より望ましいと考える理由は何か。このあたり、本書の説明は歯切れがいいとはいえない。

本書で紹介されている興味深い事例は、営利と非営利の境目、あるいは企業とNPOの区別が紙一重であるということ、また、NPOはさまざまな社会問題に対応するために利用可能な組織形態の一つにすぎないということを教えてくれる。

目的と手段を取り違え、NPOを育てること自体が社会目標だと錯覚している「NPO至上主義者」は少なからず存在するが、そういう人たちにこそ本書を読んでもらいたい。【評者 山内直人(大阪大学教授)】

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

■著者インタビュー 鬼島紘一(元大林組課長)

「談合業務課」 現場から見た官民癒着
4334974864鬼島 紘一

光文社 2005-08-24
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star出版物としては、ここまでが限界か

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――大手ゼネコンの課長として見聞きした不正取引、談合の事実を、実名入りで告発しています。特に、汐留、品川といった旧国鉄用地の払い下げをめぐる攻防。えらくリアルですね。退職したから書けたのでしょうが、会社から何も言ってこないですか?

■何もありません。会社にしてみれば、早く書店から消えてくれることを願っているんじゃないですか。昔の同僚からは、「本、読んだよ」との連絡はありましたが、その程度ですね。

――談合問題というより、天下りの実態本として面白く読ませてもらいました。会社のワンフロアに天下りOBたちのいる部屋があるそうですね。

■僕らはたこ部屋、と呼んでいました。100坪足らずの部屋に、100人近い天下りOBや社員がすし詰め状態で蠢いていた。そこは、建設省、運輸省、道路公団、住都公団、JR、国鉄清算事業団、営団地下鉄、東京都、神奈川県など官庁、自治体、公的企業などから天下ったOBの巣窟でした。

――車付き、秘書付きの待遇ではないんですか?

■役員になればそうでしょうけど、大半は大部屋です。役所時代は部長級、局長級で天下っているから、机ばかりはやたらと大きい。その大きな机に何をするでもなく座って、時折り情報を求めにくる幹部社員に情報を切り売りしている。ただ、後ろめたい気持ちがあるんでしょうね。声は小さいし、部屋の空気はひどくよどんでいるんです。

――それだけのOBがいて、人件費の元は取れるんですか?

■大きな官庁では100億円を超す発注も珍しいことではない。利益10%以上は十分見込めますから、十分元が取れたことになります。まあ、そのOBのいることが受注できた理由のすべてとはいいませんが、より確実に仕事が取れる。筋のいい仕事が来る。もちろん、なかには官庁側の都合で、OBの顔を立てるために赤字受注することもある。しかし、それは必ず別のおいしい工事の受注で、埋め合わせしてくれるんです。

――なぜ告発する気になったんですか?

■私自身、ある意味では共犯だから、正義の味方のような顔をするつもりはありません。ただ、善良なる社員がそうであるように、それを拒否することができなかった。今回実名入りの本にしたのは、在職中に勇気ある行動を取れなかったことに対する自責の念もある。遅ればせながら自らの責任を果たそうとも考えました。

――公益通報者保護法という法律もできましたね。

■この法律によると、企業がコンプライアンス部のような通報窓口を準備していれば、そこを通じないで外部に告発すると不利になる。むしろ、企業が違法行為が外に漏れないように、通報者をあらかじめ捕捉し、葬り去るための法律であるといってもいい。一種の罠のように見えますね。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

サムスンCEO
4492501452洪 夏祥

東洋経済新報社 2005-09
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傘下に64の企業を擁し、世界39位の企業となったサムスングループ。グループのCEOたちはサムスンマンと呼ばれ、韓国企業の模範として評価されているという。何が彼らをここまで成長させたのか。本書ではサムスン電子をはじめ16人のグループCEOを取り上げ、サムスン独自の経営哲学、企業文化を徹底分析する。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

吉田茂諷刺漫画集
4120036642清水 崑

吉田茂国際基金 2005-09
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政治漫画に一時代を築いた清水崑が時の宰相・吉田茂を題材にした風刺漫画集。1948~52年に『朝日新聞』に掲載されたもので、時期的には第2次~第4次吉田内閣に当たる。51年のサンフランシスコ講和条約を経て日本が占領時代から独立を回復するまでの時期でもあり、保守合同前夜の駆け引き、世相が、吉田の強烈な個性と清水の絶妙な画風で描き出される。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

もの作り ひと作り-立体造形物界の「湯婆婆」の発想力
4062130998中村 園

講談社 2005-09-22
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著者の中村園は造形作家である。ナウシカやトトロ、カオナシ、ハウルの動く城など、宮崎駿監督のジブリ映画でおなじみのキャラクターたちを、手で触れることのできる3次元の立体造形に生まれ変わらせてきた「魔術師」として知られる。その中村が、もの作りを通した「ひと作り」、そして「人生作り」を語る。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

行動ファイナンスの実践 投資家心理が動かす金融市場を読む
4478210586ジェームス・モンティア 真壁 昭夫 栗田 昌孝

ダイヤモンド社 2005-09-29
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市場には合理的な論理も存在するが、決して合理的とは言えない「人間の行動」によっても動かされる。行動ファイナンスとは、市場参加者が行動を決定する際の心理的特徴を分析し、市場の複雑な動きを読もうとするものだ。本書はイギリスの投資銀行ストラテジストである著者が行動ファイナンス理論の実践活用法をまとめたもの。投資スタイルやポートフォリオ構築、リスク管理、資産配分、コーポレート・ファイナンスなどに理論をどう応用すべきか、最新の実証研究から考察する。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

人口減少時代の社会保障改革―現役層が無理なく支えられる仕組みづくり
4532351677小塩 隆士

日本経済新聞社 2005-09
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少子化でただでさえ数が少なくなっている若者層は、フリーターのような単純労働・低所得に甘んじる比率が高まっている。そうした「若年・将来世代にこれ以上期待すると、こちらの老後のほうが危なくなる」と著者は危機感をつのらせる。世代間格差の是正だけでなく、高齢層の世代内格差、つまり高齢層の一律支援ではなく、真に支援を必要としている人々に集中する仕組みに改めることが必要だと説く。

■2005/10/18, 毎日エコノミスト

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