メイン > 日経新聞日曜版『読書』 > 2008年1月6日~1月13日

リーディングス戦後日本の格差と不平等 1 (1)
リーディングス戦後日本の格差と不平等 1 (1)盛山 和夫

日本図書センター 2008-01
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戦後に発表された貧困や社会的不平等に関する論文を集めたシリーズ「リーディングス 戦後日本の格差と不平等」(全三巻)の刊行が十五日、日本図書センターで始まる。七十八本の論考を時代順に収録し、階層の問題を戦後の社会変化とからめてとらえられる内容だ。

編集委員は盛山和夫・東京大学教授、原純輔・東北大学教授、白波瀬佐和子・東大准教授。第一巻『変動する階層構造』では、戦後の高度経済成長期にあたる一九四五―七〇年の論考を収める。学術論文が中心だが、農村・漁村の階層制の検証から始まり、社会移動によって発生した格差や貧困の分析などを盛り込んでいる。

二月十五日には八六―二〇〇〇年が対象の第三巻『ゆれる平等神話』が、三月十日には七一―八五年が対象の第二巻『広がる中流意識』が刊行される

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

若者を見殺しにする国―私を戦争に向かわせるものは何か
若者を見殺しにする国―私を戦争に向かわせるものは何か赤木 智弘

双風舎 2007-10-25
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おすすめ平均 star
star本の引用や要約する前に自分のこと書いてよ
star高い洞察力で的確な分析をする異色の格差論
star説得力のある「恨みごと」だが、展開がまずいところも

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日本を降りる若者たち (講談社現代新書)
日本を降りる若者たち (講談社現代新書)下川 裕治

講談社 2007-11-16
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おすすめ平均 star
star「外こもり」を批判するより対策を
star新しい、そして恐るべき価値観
star人は誰しも因子を抱えているけれど

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平成人(フラット・アダルト) (文春新書 (611))
平成人(フラット・アダルト) (文春新書 (611))酒井 信

文芸春秋 2007-12
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平成生まれと元年に未成年だった日本人は五千万人を超え、間もなく経済成長を実感したことのない世代が人口の過半となる。そんな「平成育ち」の心象を書物に探った。

一九七五年生まれの赤木智弘はフリーター。昨年、月刊誌「論座」一月号に「『丸山眞男』をひっぱたきたい」という論文を発表し「戦争待望論」を展開した。非正規雇用者の貴重な声との評価の一方、批判も浴びた赤木は『若者を見殺しにする国』(双風舎)で、論文を書いた経緯や、批判への考察をまとめた。

著者が仮想するのは、自分たちが貧困労働者層として固定された秩序をご破算にする手段としての「戦争」であり、過度の期待を抱いているわけではない。むしろ現在の「平和」な社会では生きられないほど追い詰められているという叫びが聞こえてくる。

そんな若者の一部は、下川裕治著『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)が描く海外での「外こもり」を選ぶ。アルバイトで資金をため、物価の安いタイのバンコクなどで、アパートにこもる。展望がないのは日本にいても同じだが、東南アジアの「ゆるさ」が彼らをいやしている。

平成育ちのマニフェストといえる本も出た。『平成人(フラット・アダルト)』(文春新書)の著者、酒井信は七七年生まれの批評家。表題には年功序列や終身雇用が崩壊し「平」の仕事を続ける「ヒラのせいじん」、メールなど「平」な人間関係にこもる「大人」という二重の意味を込めた。

アルバイトなど自身の経験を点描し、平成育ちの価値観を浮き彫りにする。かつての若者が大人や社会に不安をぶつけて成長してきたならば、平成育ちはバブル崩壊後、大人や社会の不安にのみ込まれないため「ゆるい」ものになったという。絶対的な価値の追求から内向きの相対的な価値観への変化でもある。

これが幅広い層に波及しつつあると著者は見る。メールでのつながりが象徴する「ともだち」感覚は、親子や夫婦関係にも広がる。「瞬間のインパクト」と「持続的な好感度」を重視するコミュニケーションもコギャル、オタクから政治家までが共有する。著者は「『平成育ち』だけでなく、同じ価値観を共有した『平成人』全体に成熟することが求められている」と説く。内向きの価値観から脱却し、未来への展望をどうつむぐか。若者たちは真摯(しんし)に問いかけている。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

時代の目撃者―資料としての視覚イメージを利用した歴史研究
時代の目撃者―資料としての視覚イメージを利用した歴史研究ピーター・バーク 諸川 春樹

中央公論美術出版 2007-10
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絵画や写真、映画は歴史研究の証拠としてどれだけ有効なのか。英国を代表する文化史・社会史研究者である著者が、様々な「視覚イメージ」を活用した成果を紹介。難解な文献資料一辺倒ではない、歴史学の親しみやすい側面に触れられる。

ティツィアーノやブリューゲル、ドラクロワの名画に始まり、スペイン内戦をとらえたロバート・キャパの写真作品、ベルトルッチの映画「1900年」まで。著者が強調するのは、こうした視覚イメージは大概「証拠となることを目的として作られたものではなかった」ことだ。

多くの視覚イメージには、ある時代の特定の情景と同時に、画家や撮影者本人、注文主の理想や意図も映り込む。著者はイメージを純粋な客観的証拠ととらえるのではなく、「権力と抗議」「物質文化」「他者のステレオタイプ」といった視角から、作品の背景にある時代と社会の思想、心性を探る手がかりとして活用を試みる。

カギとなるのは「細部」へのまなざしだ。アウグストゥスからナポレオン、スターリンに至る様々な肖像画に表れた権力の実相を服装や調度品などの小物に注目しながら読み解いていくなど、探偵小説にも似た面白さがある。現代世界にあふれる様々な視覚情報に隠された意図を見抜く、練習材料ともなるだろう。諸川春樹訳。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

ケインズの思想―不確実性の倫理と貨幣・資本政策
ケインズの思想―不確実性の倫理と貨幣・資本政策小畑 二郎

慶應義塾大学出版会 2007-10
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おすすめ平均 star
star及第点です

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ケインズに関する研究書は汗牛充棟つまりべらぼうな量にのぼる。本書は経済学を自然科学ではなく、「道徳科学」であるととらえたケインズの一面に光を当てた。

ケインズの師マーシャルの経済学を論じた第一部、ケインズ経済学について取り上げる第二部、そしてケインズ初期の倫理学的研究を再評価した補論。本書はこの三つの部分から成る。功利主義を批判した哲学者ムーアとの関係を論じ、ケインズの著書『確率論』を読み解くことで、約八十ページを費やすなど、補論に込めた力は相当のものである。

主著『一般理論』において、需要不足を投資で補う有効需要の管理政策を提唱したエコノミスト。こんなケインズ像に対して、本書は不確実性を理論の中心に据えた経済学者ケインズを描き出す。

個々人は将来にわたり確実な功利計算をできるものではなく、絶えず不安と驚愕(きょうがく)、不信と気まぐれな期待に翻弄(ほんろう)される不確実な存在でしかない。将来の不確実性を思い知らされたとき、人々は蓋然(がいぜん)的な信念に頼る。その意味で倫理が大切な意味を持つ。

昨年夏、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻化して以来、こうした指摘が身に染みた人も多いことだろう。際物ではない著作がかえって世の中を見る上で役立つこともあるのではないか。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

畏るべき昭和天皇
畏るべき昭和天皇松本 健一

毎日新聞社 2007-12-14
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一九七〇年に陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で「天皇陛下万歳!」と叫んで自決した三島由紀夫は生前、昭和天皇が四六年の元日に出した「人間宣言」の詔書に批判的だった。「神」としての天皇を信じた二・二六事件の青年将校と太平洋戦争中の特攻隊員に対して昭和天皇は「神」である義務があったというのである。

これに対し、昭和天皇は三島の死から七年後の記者会見で、詔書は「人間宣言」を第一の目的としたものではなかった、との趣旨の発言をする。著者はこれを「(三島の)呪詛(じゅそ)を拒絶する意思表明」と受け止め、そこから形づくられる昭和天皇の人物像のイメージを「畏(おそ)るべき」という形容詞で表現してみせる。

七五年の英エリザベス女王来日の際に昭和天皇の通訳官を務めたのは、二・二六事件で反乱ほう助の疑いがもたれた陸軍大将の息子だった。そうした人物をあえて起用することが、国内の権力闘争を超えた天皇制というシステムの永続につながると「畏るべき」昭和天皇は考えたのではないか、と著者は推測する。

戦後の日本人がひたすら「私」の生活や財産を守ろうとするなか、ひとり昭和天皇だけが国民すべてのことを考え、いつくしむ役を果たそうとした。そして、それ以外に天皇制が生き延びる方法はないことを身をもって示したのが昭和天皇だった、という著者の主張が鮮やかに伝わる。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

MAGNUM MAGNUM マグナムマグナム(日本語版)
MAGNUM MAGNUM マグナムマグナム(日本語版)小林美香 テームズ アンド ハドソン マグナム・フォト

青幻舎 2007-12-20
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第二次世界大戦後の米国で誕生し、今日も最強の写真家集団として活躍するマグナム・フォト。その設立60周年を記念して刊行された写真集だ。キャパ、カルティエ=ブレッソンといった草創期のメンバーから、エリオット・アーウィット、マーティン・パーら現役組、日本人唯一の正会員久保田博二まで69人による413枚。写真はカルティエ=ブレッソンが1948年にインドで撮ったイスラムの女性。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

「エミール」談論
「エミール」談論戸部 松実

国書刊行会 2008-01
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十八世紀仏の思想家ルソーの教育論『エミール』。読書会での議論を元にこの本の読みどころを検討した本だ。参加者による討議の形式でつづっており、気軽に読み進めながらルソーの思想のエッセンスに触れることができる。「『エミール』とは、何よりも先ず、読んで元気が出る本」と著者。啓蒙(けいもう)主義の古典を見る目が変わるだろう。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

日本語を書く作法・読む作法
日本語を書く作法・読む作法阿刀田 高

時事通信出版局 2007-12
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現代の文壇きっての短編の名手が二〇〇四年以降、新聞や雑誌などに発表した日本語に関するエッセーをまとめた。「書く作法」の部では「短く書く」「書き終えたら、その日は読み直さない。一晩は眠りを挟んでから読み直す」と自身の書き方を披露。「読む作法」では芥川龍之介の短編小説を「天才的にうまい」と評し、「日本の名作を新たに読み始めたいという方」に勧める。全編を通して短編小説への愛着が伝わってくる。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

音楽が聞える―詩人たちの楽興のとき
音楽が聞える―詩人たちの楽興のとき高橋 英夫

筑摩書房 2007-11
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萩原朔太郎、北原白秋、宮沢賢治ら、十人の詩人や作家と音楽との関係を、やはり音楽に造詣が深い文芸評論家が読み解く。ギターやマンドリンでは舞台で演奏するほどの腕前で、「病的に近いほどの音楽好き」と随筆に書き残した朔太郎。多くの歌曲に詩を提供した白秋。今でいうクラシック音楽のレコードを集め、童話によく音楽家を登場させた賢治。既に指摘されていることに加え、独自の視点を、作家それぞれの作品群から聞こえる声にじっと耳を傾けながら、導き出す。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

地球環境問題の比較政治学―日本・ドイツ・アメリカ
地球環境問題の比較政治学―日本・ドイツ・アメリカミランダ・A.シュラーズ 長尾 伸一 長岡 延孝

岩波書店 2007-11
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地球環境問題に対する日本、米国、ドイツの取り組みの違いを、米国人政治学者が各国の政治文化、行政機構、社会運動の比較を通じて浮き彫りにする。インタビューを柱とする「ルポルタージュ的」な方法によって、当事者間の駆け引きなどを新聞や雑誌の記事のように描く。日本に比べてNGOが力を持つドイツの様子などが特に興味深い。原著が刊行された二〇〇二年以降の動きをまとめた「日本語版への補遺」を巻末に付けた。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

中国のエネルギー構造と課題―石炭に依存する経済成長 (九大アジア叢書 9)
中国のエネルギー構造と課題―石炭に依存する経済成長 (九大アジア叢書 9)楊 慶敏 三輪 宗弘

九州大学出版会 2007-10
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経済成長著しい中国が必要とするエネルギーの七〇%をまかなっているのは石炭。それを支える石炭産業の実態と展望をまとめたのが本書である。中国では毎年、採炭に携わる多くの人が事故で亡くなる。設備が整わない零細炭鉱が多数にのぼることと無関係ではない。また石炭だけではまかない切れないエネルギー需要のため、石油輸入に力を入れているが、これとて不安定な国際政治情勢を巧みに利用してきた面があり、今後は日本をはじめアジアの国々との協調が必要と説く。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

お家さん 上巻 (1)
お家さん 上巻 (1)玉岡 かおる

新潮社 2007-11
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おすすめ平均 star
star早くドラマ化を
star朝ドラか大河ドラマ希望

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お家さん 下巻 (3)
お家さん 下巻 (3)玉岡 かおる

新潮社 2007-11
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明治から昭和初期にかけて活躍した実業家、松方幸次郎をモデルにした『天涯の船』など、大河ロマンを得意とする作家。本書では戦前の巨大商社、鈴木商店のトップだった鈴木よねに光を当てた。

「『天涯の船』を書いていたとき、ヨーロッパで絵を買い付ける松方が『鈴木に言え』と言って資金を工面していたと資料にある。この鈴木って何だろうと思ったのが、鈴木商店に興味をもつきっかけ。しかもその頂点に立っていたのが、女性だと知ってぜひ書いてみたいと思いました」

貿易商「鈴木商店」を経営していた夫が亡くなり、廃業の危機に追いこまれるが、よねは金子直吉、柳田富士松という両番頭に委任する形で事業を継続する。やがて樟脳(しょうのう)などの取引で成功を収め、一九一〇年代には日本を代表する商社へと成長した。しかし、第一次世界大戦後の不況で清算に追いこまれる。

「これまで鈴木商店というと、金子さんに光が当たることが多かったが、よねさんは単なる飾りものではなかった。旗頭に値する女性だから、金子さんたちも彼女のために必死に働いたのでしょう」

よねの魅力は「自分の身の処し方が分かっていた点」という。「地味なつむぎ姿の写真が残っており、暮らしぶりはつましかったようです」。執筆に三年要するなど苦労した作品で、途中でやめたいと思ったこともある。しかし、「よねさんの存在の大きさが最後まで引っ張ってくれました」と振り返る。

執筆のかたわら、テレビのコメンテーターや美術館の企画委員も務める。「明治というのは西洋文明とぶつかって格闘した時代。今を生きる我々が、そうした時代の日本人から学ぶことは多いと思います」。小説執筆による過去の人物との「対話」を通じて、現代の問題に目を向けている。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫 あ 8-5)
夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫 あ 8-5)阿久 悠

文藝春秋 2007-12-06
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おすすめ平均 star
star阿久悠ならではの当事者ドキュメント

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一九七〇年代の歌謡曲黄金期をけん引し、昨年死去した作詞家が当時を振り返ったドキュメント。テレビ番組「スター誕生」で、審査員だった著者が注視したのは歌唱力というよりも「テレビ時代のタレント性」だった。花の中三トリオ、ピンク・レディーらが生まれた舞台裏を時代背景を交えて活写している。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

酔眼のまち-ゴールデン街 1968~98年 (朝日新書 79)
酔眼のまち-ゴールデン街 1968~98年 (朝日新書 79)たむら まさき/青山 真治

朝日新聞社 2007-11-13
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おすすめ平均 star
star名カメラマンによるゴールデン街映画人列伝。
star漂うように

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映画「竜馬暗殺」「さらば愛しき大地」などのキャメラマン、たむらまさきが自らの映画人生と重ねて語る新宿ゴールデン街史。映画、演劇、文学などの新宿人脈が興味深いが、何よりの魅力はバーにいるときと同じ、たむらのひょうひょうとした語り口。

■2008/01/13, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

外交―多文明時代の対話と交渉 (有斐閣Insight)
外交―多文明時代の対話と交渉 (有斐閣Insight)細谷 雄一

有斐閣 2007-12-27
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有斐閣は大学教育の教科書としてだけでなく、一般読者が教養書としても読むことのできる人文・社会科学書の新シリーズ「Insight」の刊行を始めた。このほど第一巻に当たる『外交』(細谷雄一・慶応大学准教授著、千五百円)=写真=を発売。今後、三カ月に二―三冊のペースで新刊を出し、最終的には全三十巻で完結する予定だ。

新シリーズは国際政治学、政治学、社会福祉、社会学、心理学の五分野で各六冊を刊行する。第一線の研究者が比較的広範な学問領域にわたるテーマに沿って書き下ろす。一冊当たり平均二百ページで、価格は千五百円程度。

一般読者が読みやすいよう、平易な表現に加えて、著者が自説を展開するだけでなく、その学説が学問的にどのような位置づけにあるかを示すようにした。テーマを分析するに当たっては既存の切り口ではなく、現代情勢に即した新しい切り口を提示した。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

食べてはいけない! [地球のカタチ] (地球のカタチ)
食べてはいけない! [地球のカタチ] (地球のカタチ)森枝 卓士

白水社 2007-11-14
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世界の地図を旅しよう [地球のカタチ] (地球のカタチ)
世界の地図を旅しよう [地球のカタチ] (地球のカタチ)今尾 恵介

白水社 2007-11-14
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おすすめ平均 star
starなぜ日本の地形図は美しくないのか

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にぎやかな外国語の世界 [地球のカタチ] (地球のカタチ)
にぎやかな外国語の世界 [地球のカタチ] (地球のカタチ)黒田 龍之助

白水社 2007-11-14
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おすすめ平均 star
starコンセプトは良いのですが・・
star簡単すぎる?
star中高生にぜひ!

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ぼくの家は「世界遺産」 [地球のカタチ] (地球のカタチ)
ぼくの家は「世界遺産」 [地球のカタチ] (地球のカタチ)小松 義夫

白水社 2007-11-14
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身近な疑問から世界の成り立ちを考えるシリーズ「地球のカタチ」が白水社から刊行された。やさしい文章で、青少年でも理解できる内容だ。森枝卓士著『食べてはいけない!』は海外経験豊富なフリー・ジャーナリストの視点から、宗教や慣習による食文化の違いを浮き彫りに。捕虜にゴボウを食べさせたことが「木の根を食べさせた」と受け取られ、処刑されたBC級戦犯の話なども交え、その奥深さを考える。このほか家、地図、外国語をめぐって小松義夫、今尾恵介、黒田龍之助が解説。四点(各千五百円)のあと、国や星にまつわる続刊を予定。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

広辞苑 第六版 (普通版)
広辞苑 第六版 (普通版)新村 出

岩波書店 2008-01-11
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岩波書店は十一日、十年ぶりに改訂した広辞苑第六版を刊行する。改訂版では常に「うざい」「いけ面」などの新語が注目されがちだが、今回は失われつつある古い言葉も新たに盛り込んだのが特徴だ。現代用語事典の不振と照らし合わせて考えると、辞典に求められる役割の変化も感じられる。

青バット、赤バット、真知子巻――。三つとも耳なじみがある人はおそらく五十代以上だろう。いずれも第六版で新たに収録された項目だ。新収録の一万語は「さくっと」などの現代語、「クレーマー」などのカタカナ語、「敵対的企業買収」などの経済用語が中心だが、昭和四十年代までの時代相を表す文物・事項が異彩を放つ。同社では「今回の改訂作業で、それらは昭和枠と呼んだ」(田中正明編集局副部長)という。

「愛国行進曲」「おしん」「YS―11」なども“昭和枠”で選ばれた。ドイツ人教師プラーゲが昭和初期に音楽公演の主催者らから著作権使用料の徴収を始めて、大きな波紋を呼んだ「プラーゲ旋風」となると年配者でも、意味がわからないかもしれない。

なぜ、今これらを収録しようと考えたのか。田中副部長は「このままでは忘れ去られてしまう可能性が高い言葉を選んだ。文学作品などを読む際、意味を知っておく必要があると判断した」と語る。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などの影響で、昭和ブーム、レトロブームが盛んなことも背景にあるようだ。

同じ趣旨は、各地の方言や民俗語彙(ごい)を充実させたことにもうかがえる。久しぶりという意味の「やっとかめ」(愛知・岐阜県)など、現代でも使われている言葉が中心とはいえ、若い人が方言を使う機会は減っており、世代間での継承には不安もある。

辞典は新語や流行語、時事用語の収録数の多さを競ってきたところがある。「国語辞典」より「百科事典」の要素が重視されてきたといえる。しかし、インターネット上の百科事典「ウィキペディア」の普及などで、時事性を売り物にした「イミダス」や「知恵蔵」といった現代用語事典は部数が低迷。相次いで休刊などを余儀なくされた。

日々新しく生まれる日本語を的確にとらえることと同様に、古い言葉をどうすくい上げ、表現などを守り続けていけるか。これからは、辞典の重心が移っていくかもしれない。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 19ページ

その数学が戦略を決める
その数学が戦略を決めるイアン・エアーズ 山形 浩生

文藝春秋 2007-11-29
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おすすめ平均 star
star標準的な回帰分析のテキストを読んでから、本書の内容を咀嚼しよう。
star「絶対計算の台頭」を期待したい
star数学は無味乾燥じゃないよね

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仕込んだばかりのワインのおいしさを試飲しなくてもお天気から予測する。映画があたるかどうかを脚本段階で判定できる。クレジットカードの利用歴から保有者が離婚する可能性がわかる。

大量のデータを統計処理し傾向を読み取る「データマイニング」が注目されたのは一九九〇年代。「スーパーで紙おむつと缶ビールの売り上げに相関がある」などと言われたころは牧歌的だった。

いまやワイン評論家や映画プロデューサーといった直感と経験が頼りの専門家は駆逐するぞと言わんばかりの勢いらしい。本書はデータマイニングが「その道の専門家」と呼ばれる人たちの鼻を明かす驚きの実例を次々と示してくれる。

消費者も油断大敵。ネットで買い物を続けると知らないうちに購入履歴を分析され、ほかの人とは違う価格やサービスを提示される恐れがあることを指摘する。データ依存の落とし穴はあちこちにある。最終的に著者が主張するのはデータと直感の併用だ。

原題は「スーパー・クランチャー」。クランチャーとはバリバリと数値を処理する計算機の意味だ。この題名を決めるにあたり、データマイニングの手法で「売れる書名」を選んだという。さて邦題はどうだろう。またスーパー・クランチャーを「絶対計算者」と訳出したのは正解だったろうか。山形浩生訳。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実
核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実ゴードン・コレーラ 鈴木 南日子

ビジネス社 2007-11-13
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一九七〇年代から始まったパキスタン核開発の父と呼ばれたアブドゥル・カディール・カーン博士。核不拡散体制の網をくぐり、ウラン型の核爆弾開発を成功させ、世界にまたがる「核の闇市場」も築いた同博士の四半世紀を追うノンフィクションである。

その間、パキスタンは「核開発は平和目的である」と主張し、米情報当局は何度も「具体的な」傍証をつかみながら、パキスタンの隣国アフガニスタンに絡む旧ソ連との攻防を背景に外交上の利害を優先、パキスタン支援を継続して核兵器製造を許した。米政府は議会に選別した情報を示し「パキスタンの核は民生用だ」と言い続けた……。

BBCニュースの防衛問題担当記者だった著者はパキスタンの核が、カーン博士によって構築された核部品調達ネットワークを逆利用する形で北朝鮮、イラン、リビアへと拡散していった過程も解明する。米政府内部から中東の武器商人に至るとみられる広範な取材でつづる精緻な歴史は臨場感に富み、読む者は「なぜ阻止できなかったか」の歯がゆさを覚えるほどだ。

その北朝鮮が核実験を成功させ、イランの核開発疑惑が国際社会の懸案の一つとなる中、米政府は昨年十二月三日「イランが二〇〇三年に核兵器開発を停止した」との分析を発表した。まさに「今そこにある危機」を感じさせる。鈴木南日子訳。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

世界を創った男 チンギス・ハン 1
世界を創った男 チンギス・ハン 1堺屋 太一

日本経済新聞社出版局 2007-07-31
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おすすめ平均 star
starはっきり言ってウザッタイ。
star朝青龍のルーツが分かる!?
starグローバルとは

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世界を創った男 チンギス・ハン 2
世界を創った男 チンギス・ハン 2堺屋 太一

日本経済新聞社出版局 2007-07-31
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おすすめ平均 star
star「テムジン」から「チンギス・ハン」へ

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世界を創った男 チンギス・ハン 3
世界を創った男 チンギス・ハン 3堺屋 太一

日本経済新聞社出版局 2007-09-26
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おすすめ平均 star
star「グローバリズム」と「ナショナリズム」の対話

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世界を創った男 チンギス・ハン 4
世界を創った男 チンギス・ハン 4堺屋 太一

日本経済新聞社出版局 2007-11-17
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十三世紀初め、ユーラシア大陸にまたがる大帝国を築いたチンギス・ハン。本書はその少年期から死までを描く。一昨年二月から昨年八月まで日本経済新聞に連載。ここ十数年の間に得られた最新の研究成果を盛り込み、従来にないチンギス像を描いた。

モンゴル部族キヤト族の氏族長の子として育ったチンギス・ハンは少年時代、テムジンと呼ばれた。十一歳の時、別の氏族長の子ジャムカを知り、盟友となる。その後、父イェスゲイの死を契機に一族は離反、辛酸を味わった。

遊牧民にとって戦闘は経済行為だと本書は説く。戦闘で得られるものが少なければ勝利でも何でもない。様々な試練を乗り越え、成長を続けたチンギスはやがて、集団を率いて北辺の地を目指す。それはジャムカとの決別をも意味した。ジャムカは機略に富み、雄弁だったが、氏族や身分、宗教など既成の枠を壊し実力優先の組織を目指したチンギスと基本的なところで相いれなかったためだ。

チンギスは「人間(じんかん)に差別なし、地上に境界なし」を唱え、歴史上初めて「世界」の概念を発想したが、決して天才ではなかった。絶体絶命の危機に四度も直面し、命からがら逃げ回った。チンギスたるゆえんは、その危機を耐え抜き、利用できることはすべて確実かつ徹底的に実行したことにあった。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

僕のアルバム
僕のアルバム植田 正治

求龍堂 2007-11
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おすすめ平均 star
star写真家の妻の本として傑作

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著者が2000年に没した後、多くの未整理のネガが見つかった。その中から妻・紀枝を撮影した作品を中心に69点を収めた。19歳で嫁いできたころの初々しい表情、日だまりの庭、遊ぶ子どもたち。親しい人だけが見ることを許されたアルバムをめくるようだ。若い夫妻の親密で幸福なまなざしの行き来が伝わってくる。紀枝がモデルをつとめた代表作「砂丘シリーズ」の未発表写真もファンには見逃せない。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 20ページ

戦争の経済学
戦争の経済学ポール・ポースト 山形浩生

バジリコ 2007-10-30
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戦争は本当に経済を活性化するのだろうか。徴兵制と志願兵制ではどちらがコストパフォーマンスが高いのだろうか。本書は戦争とそれにまつわる多種多様なトピックスを題材に、マクロ経済学、ミクロ経済学の分析手法を使い分けながら経済的な観点から戦争の再評価を試みた興味深い一冊である。テーマは戦争だが、実際の社会問題に経済学を応用するにはどんなアプローチが効果的なのかを知るうえでも示唆に富んでいる。山形浩生訳。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

日本の地方政治―二元代表制政府の政策選択
日本の地方政治―二元代表制政府の政策選択曽我 謙悟 待鳥 聡史

名古屋大学出版会 2007-12
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地方自治は有権者が首長と地方議員それぞれを直接選ぶ二元代表制といわれるが、首長ばかりに焦点が当たり、地方議会の役割は一般に軽視されがちだ。これまでの自治を巡る議論をみても、国と地方の関係論や行政論に偏っている。本書は戦後の自治体の政策決定に地方議会の動向が大きく影響を及ぼしてきた点を計量データ分析をもとに証明している。分権時代の地方政治を考えるうえで新たな視点を提示している。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

先端で、さすわさされるわそらええわ
先端で、さすわさされるわそらええわ川上 未映子

青土社 2007-12
売り上げランキング : 31139


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歌手、詩人としても活躍する新進作家の短編集。表題作は女性のエロチックな身体感覚を大阪弁ふうの一人語りの文体で描く。「一日は憂鬱でありやくそく、叱責でありときどき逢瀬であり……」といった独特な言葉づかいと奔放な文章のリズムは音楽的。少女達が髪の毛と手首をめぐって哲学的な対話を繰り広げる「ちょっきん、なー」など書き下ろし作品も新鮮だ。意味を取るよりも、声に出して言葉の響きを楽しみたくなる。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

背中の背中―ずいひつ
河竹 登志夫 (著)

雑誌「演劇界」に連載した七十二編と、曽祖父・黙阿弥にちなんだ小文を加えた一冊。表題は、著者の「手紙の返事をすぐ書く癖」は父・繁俊譲りで、父の恩師・坪内逍遙もまたそうであったという、「“逍遙の背中の背中”の名残かもしれない」と記す一文による。子(ね)年であった黙阿弥は鏡開きに棚のお供えに集まるネズミを目を細めて見ていたという。ユーモアに富んだ八十余年の自分史であり、時代を映す記録としても貴重。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

日本料理の歴史 (歴史文化ライブラリー 245)
日本料理の歴史 (歴史文化ライブラリー 245)熊倉 功夫

吉川弘文館 2007-11
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世界各地で人気の高い日本料理だが、その定義となるとあいまいだ。国立民族学博物館名誉教授の著者は、江戸時代末までに成立した料理を狭義の日本料理とした上で、古代からの歴史をたどる。平安時代後期の絵巻物から庶民の食事風景を再現し、一汁三菜の食卓が千年以上続く日本料理の基本形と指摘。精進料理や本膳料理の成立、料理屋の登場、菓子と茶の湯、京料理の誕生と筆を進める。史料をもとに昔の食卓を再現した図版を多数収めており、日本料理の移り変わりがよくわかる。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

最前線のリーダーシップ
最前線のリーダーシップマーティ・リンスキー ロナルド・A・ハイフェッツ 竹中 平蔵

ファーストプレス 2007-11-08
売り上げランキング : 9

おすすめ平均 star
star組織を動かすための業(わざ)と心を伝える素晴らしい本
starリーダーシップとは人を問題と向き合わせること。
starChange Management に悩む次世代リーダーのための本

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リーダーシップを論じた本の多くが指導者としての心得を説いているが、本書の内容は改革を推進している人に向けた“護身術”と言えそうだ。政党や企業のトップだけでなく、職場や家庭、地域社会など様々な場で何かを変革しようとする人たちに役立つヒントが詰め込まれている。

著者は冒頭部で「リーダーシップを発揮するということは、危険な生き方をするということである」と言い切る。リーダーとして組織の価値観や制度、慣行を変えようとすれば、現状を維持したい人たちから攻撃を受けるからだ。三部構成になっており、第一部でリスクを分析し、第二部でそのリスクを軽減する“技術” を説明。第三部でリーダーの内面的な問題や生きがいを論じている。

リスクを軽減する方法として、「ダンスフロアから一歩出てバルコニー席に上がる」という表現が出てくる。リーダーは果敢に行動するだけでは不十分であり、全体像を眺め、把握する必要があるという意味だ。例としてシンガポールの指導者だったリー・クアンユー氏を挙げている。同氏は海外を旅して回り、反植民地主義と反資本主義を結びつけたために経済発展が遅れた国々を見てきた。この経験が後に生かされたという。

「バルコニーに上がる」というのは、ダンスをしている自分自身を客観視することでもある。評者は東芝の西田厚聡社長が「自分を見つめている、もう一人の自分がいる感覚」と語るのを聞いたが、共通するものがあるのだろう。

エピソードには米国の大統領だったルーズベルト氏、クリントン氏、カーター氏といった著名人の成功談、失敗談が出てくるほか、企業の事例も多く取り上げられている。読みやすいし、普通のサラリーマンでも思い当たりそうな事例が盛り込まれている。

仕事に夢中になって家庭を犠牲にしていた著者自身の体験談も出てくる。リーダーが慢心したり、性的な誘惑に負けたりする危険性にも言及している。改革が思うように進まず、悩んでいる人にとっては心の羅針盤になりそうだ。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

源氏物語と東アジア世界 (NHKブックス 1098)
源氏物語と東アジア世界 (NHKブックス 1098)河添 房江

日本放送出版協会 2007-11
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おすすめ平均 star
star源氏物語と東アジアの深い関係

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源氏物語研究の最前線で模索を続けてきた。一九九六年から十年にわたり、同世代の仲間と研究誌「源氏研究」を共同で編集・刊行。海外にも知己は多い。

本書のテーマは「東アジア世界からのモノ・ヒト・情報を媒介として、源氏物語がいかに構築されているのか」。中でも、光源氏や女性たちの周辺にちりばめられた「唐物(からもの)」、つまり舶来品に注目した。

瑠璃(るり)壺(つぼ)、黒豹(ふるき)の皮衣(かわぎぬ)、秘(ひ)色(そく)青磁、沈香(じんこう)……。こうした唐物は、源氏物語の中でもステータスシンボルだった。本書では源氏物語に代表される「国風文化」が国際色豊かだったと強調。「遣唐使が廃止されたからといって、海外のものが完全にシャットアウトされたわけではない。国風文化は唐物を消費する洗練された都市文化だった」と力説する。

唐物には以前から注目していたが、先行研究は乏しかった。九〇年代半ばごろから、歴史学の世界で平安時代の対外関係史の研究が進み、弾みがついた。「交易史に特化した形で源氏物語をとらえ直したい」との思いは、二〇〇五年に刊行した学術論文集『源氏物語時空論』(東京大学出版会)に結実。一般向けに書き直したのが本書だ。

少女時代から歴史小説が好きで、「交易史の資料を読みあさっている時は、歴史学者を夢見た時代を取り戻したかのように楽しかった」。春には『光源氏が愛した舶来ブランド品』(仮題)という本も出す。平安文学に登場する唐物をブランド論の見地から取り上げた本で、ここでも交易史の知見が役に立った。

理科系の大学教授だった父親から言われた言葉を胸に刻んできた。「三十年間、自分の研究領域が安泰だと思ってはいけない」「地道に努力すれば認めてくれる人は必ずいる」。古典研究の危機が叫ばれる時代だけに、この言葉は「ありがたい指針」だという。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

戦後10年東京の下町 (文春新書 600)
戦後10年東京の下町 (文春新書 600)京須 偕充

文藝春秋 2007-10
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おすすめ平均 star
star昭和20年代の神田にはまだ”戦前”が生きていた

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材木商の父が東京・神田の焼け跡に平屋の店を再開してから、二階が載るまでの十年をつづった生活記。円生や志ん朝のレコード・CD制作者の著者が初めて寄席に行ったのは一九四八年、五歳の時。その神田立花がなくなったのは、通っていた小学校にテレビが来た五四年。戦後の町と人の変容が見てとれる。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

回転ドアは、順番に (ちくま文庫 ほ 20-1)
回転ドアは、順番に (ちくま文庫 ほ 20-1)穂村 弘 東 直子

筑摩書房 2007-11
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現実生活では友人同士の歌人二人が文字の世界で恋人となり、相思の歌を贈りあった。春の日の出会いから、突然の別れまで。自転車、郵便局、サンダルと、二人を結びつける様々なものや出来事を読み込みながら恋愛問答歌は続く。原著は二〇〇三年刊。文庫化に当たり、自作解説をつけた。

■2008/01/06, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

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