メイン > 日経新聞日曜版『読書』 > 2007年9月16日~9月23日

建築家ガウディ全語録
建築家ガウディ全語録鳥居 徳敏

中央公論美術出版 2007-09
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中央公論美術出版はスペインの建築家アントニオ・ガウディが残した直筆の文章や公文書などを網羅した『建築家ガウディ全語録』(鳥居徳敏編訳)を刊行した。ガウディがメモにしてのこしていた当時のスペインの建築・美術写真集を調査し、歴史遺産写真資料館にある約百六十点の写真資料や図録を収録した。編訳者による二編の解題論考も掲載する。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

予定日はジミー・ペイジ
予定日はジミー・ペイジ角田 光代

白水社 2007-09-01
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語り手の「私」は夜のベランダで流れ星を見たときに「子どもができたかも」と予感する。そして実際に妊娠した「私」は、日々のあれこれを日記につづっていく。だがそこに記されるのは母になることへの期待感でもなく、体調変化のつぶさな記録でもない。世間一般の「妊婦らしい気分」が自分の中にとんと兆してこないことを不思議に思いながら暮らす、愛すべき「だめ妊婦」の日常が描かれる。

姓名判断では赤ちゃんの名前より自分の名前を調べ、病院の母親学級のノリにはついていけず、出産予定日が天才ギタリスト、ジミー・ペイジの誕生日と同じと知って無邪気に喜ぶ「私」……。

笑いに満ちた記述を読み進めるうち、読者はそこに少しずつ悲しみに似た感情がにじんでくることに気づくだろう。夫と一泊旅行に出て、これが二人だけで過ごす最後の休暇だと思う。昔の恋人と再会し、過ぎ去った時間を思ってふと涙をこぼしてしまう。子供はかけがえのないものだが、それと引きかえに失うものもまたかけがえがないと、「私」は考えているのだ。

陣痛が来たときにすぐ病院に駆け込めるよう、ボストンバッグに荷物をまとめながら「私」は思う。「私はこれをさげて旅に出るのだろう。(…)もう今いる場所へは二度と帰ってこない旅」。妊娠というテーマに仮託しつつ、青春の喪失感を描いた佳作だ。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

歴史が教えるマネーの理論
歴史が教えるマネーの理論飯田 泰之

ダイヤモンド社 2007-07-27
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おすすめ平均 star
starいい本なのだけど読者を選ぶ
star日本史に詳しい方に特にお薦めの貨幣理論入門書

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金融論は無味乾燥で取り付きにくいし、経済史は現在との関係がハッキリしない昔話に思える。そう感じるなら、本書を手にとって見るとよい。経済史に出てくる有名な出来事と理論がうまく溶け込んで、実に読みやすい。

三つの部に分かれている。物価を決めるのは貨幣の数量であるという「貨幣数量説」が、幅広い歴史的な視野からまな板に載せられる。これが第一部。続く第二部では、為替レートが取り上げられる。今日では過去のものと思われがちな、固定相場制に新鮮なメスが入れられる。

第三部は金融政策。素材となるのは江戸時代の貨幣改鋳だが、話は全く古びていない。『大君の通貨』の作者である佐藤雅美氏と著者の対談も、読者の理解を助けよう。

本書の優れたところは、著者の理論的な枠組みがきちんとしている点だ。しかも現在の理論によって過去を裁断するのではなく、かつて存在した理論が当時としてはなぜ説得力を持ったのかを内在的に分析している。人間味を感じさせるその指摘も良い。

昭和恐慌を転換させたのは「期待の転換」だという部分は、ちょっともどかしい。将来に対する「期待」の重要性は分かるが、「政策の基本姿勢(レジーム)」転換という説明だけで十分なのだろうか。この種の説明には、いささか魔法の杖(つえ)のような感じが残る。次作に期待したい。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

旅芸人のいた風景―遍歴・流浪・渡世 (文春新書 587)
旅芸人のいた風景―遍歴・流浪・渡世 (文春新書 587)沖浦 和光

文藝春秋 2007-08
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おすすめ平均 star
star去り逝く習俗への哀悼

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露天商の香具師(やし)、テキヤといえば、多くの日本人は「フーテンの寅さん」を思い出す。歯切れのいい喧嘩(けんか)口調でまくしたてる「啖呵(たんか)売」でバナナや雑貨をたたき売る。しかしかつてはおろおろ声で涙ぐみながら切々と口上を述べる「泣き売」もあった。

たとえばネンマン(万年筆)売り。泥だらけの万年筆を並べ、勤め先の万年筆工場が火事で倒産し、焼け跡から使える万年筆を掘り出してきた経緯や今は食にも事欠く窮状を訴える。客の同情を買いモノを売る。むろん万年筆は粗悪品ですぐ使えなくなる。

角帽に詰め襟服の姿で駅の一隅でしくしく泣く。人が心配して声をかけると「ハハキトク」の電報を見せ「親不孝者」とまた泣く。こうして「切符を買うゼニ」をせしめるニセ学生もいた。「騙(だま)し」「騙される」のは織り込み済み。悪質きわまりない今のオレオレ詐欺とは違う。

著者は大阪の各所で実見した多種多様な旅芸人を生き生きと描き、父母の思い出にも触れる。歌舞伎好きの父は地方巡業の座の上演にも足しげく通った。六人の子のうち二人を幼いころに亡くした母は、供養の歌祭文を歌ってもらうため門付けの巡礼にいつも快く喜捨し、飢えた女巡礼とその子供たちにはご飯を食べさせ古着まで与えた。著者の社会の底辺に生きる人々への限りない愛情はこの父母の子であるからこそと納得した。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

夕暮れ東京
夕暮れ東京鷹野 晃

淡交社 2007-09
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おすすめ平均 star
star懐かしき東京の面影
star未来の泰斗

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宵闇が近づく夕暮れ時は、なぜか懐かしい思いや人恋しい気持ちを呼び起こす。眠らない大都市、東京でさえ、夕焼けに染まるほんのひとときだけはほっと息をつき、優しい表情を見せるようだ。六本木ヒルズ展望台、隅田川にかかる吾妻橋、佃島など著者が探した「夕暮れ狩り」の名所から撮った写真集。昼のビジネスの顔とも夜のネオンの風情とも違う、生活の気配が都市の風景から漂ってくる。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

インターネットは誰のものか 崩れ始めたネット世界の秩序
インターネットは誰のものか 崩れ始めたネット世界の秩序谷脇 康彦

日経BP社 2007-07-12
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おすすめ平均 star
star手堅いが・・・。
starデジタルに限らずメディアに関心ある人には必読書
star知っておくべきこととは思うが

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動画共有サイトのユーチューブなどインターネット上で大量の情報をやり取りする情報サイトの登場で、通信インフラにかかる負担が大きくなっている。米国では肥大化する情報サイトに対し通信会社が不満を表明するなど、「ネットワークの中立性」を巡る議論が沸騰している。本書は中立性に関する研究会を日本で立ち上げた総務省の責任者が問題の本質を平易な表現で解説した。通信事業者にはもちろん、一般の利用者にとっても興味深い一冊だ。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

惑星の思考―〈9・11〉以後を生きる
惑星の思考―〈9・11〉以後を生きる宮内 勝典

岩波書店 2007-09
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『焼身』などで知られる作家の論考集。二〇〇一年の米同時テロ以降、自身のホームページ「海亀通信」につづってきた内容に基づき、新たに断章形式で書き下ろしたものだ。自爆テロとそれへの復讐(ふくしゅう)という暴力の連鎖に「いったいなんという世界だろう、こんな小さな惑星で」と嘆きつつも、「9・11以降の世界を追い越していこう。まだ書かねばならぬことが山ほど残っている」と語る。言葉の力の回復を願う気持ちは一貫している。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

江戸っ子気質と鯰絵 (角川学芸ブックス)
江戸っ子気質と鯰絵 (角川学芸ブックス)若水 俊

角川学芸出版 2007-08
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安政二年(一八五五年)十月に江戸を襲った大地震。その直後「鯰絵(なまずえ)」と呼ばれる錦絵が売り出され、庶民の間で爆発的な人気を博した。ナマズそのものや擬人化したナマズにこっけい味のある文章を添えた絵が大流行した背景を、江戸っ子の気質に焦点を当てて解き明かす。鯰絵の作者は被害者の側に立ち、地震で金もうけをした職人や商人、金融業者らを風刺して描いた。著者はそこに庶民の批判精神の発露を見ている。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

虫食む人々の暮らし (NHKブックス (1091))
虫食む人々の暮らし (NHKブックス (1091))野中 健一

日本放送出版協会 2007-08
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イナゴやハチの子など日本でも昆虫を食べる習慣はあるが、海外ではカメムシやシロアリも食べられている。生態人類学者である著者は、昆虫食をテーマに、世界各地を訪ねてきた。本書では採集現場に立ち会い、虫の味をかみしめてきた経験を活写。人間と自然のつきあい方の多様さが浮かび上がる。昆虫も自然も世の中も同じ目線で眺める虫食(は)む人々の視線は、自然との関係がゆがんでしまった現代の日本人にとって示唆に富む。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書 (1905))
日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書 (1905))飯尾 潤

中央公論新社 2007-07
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おすすめ平均 star
star政治談義に格好のサブテキスト!!!

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本書はいわゆる政官関係を憲法次元で捉(とら)えることによって戦後日本の「統治」の全体を説明しようとする野心的な作品である。戦後日本の政治は「官僚内閣制」でスタートし、現在も依然重要な役割を演じている。政治主導などといわれてはいるが、日本の政治において「何故これだけ官僚制の役割が大きいのか」が本書を貫くテーマである。

ここで「官僚内閣制」とは、大臣に任命された政治家が首相・内閣と連帯責任関係にあるにもかかわらず、むしろ官僚と一緒になって省庁の意見と利益を代表する存在になってしまうような政府構造をいう。英国の議院内閣制において、首相は議会多数派のトップであると同時に、行政府の長としてリーダーシップを発揮してきた。それに対して、日本では「行政権」を事実上担う官僚集団が、政策を主導することをむしろ奨励していたのである。しかし、政権党として権力を長期に維持した自民党は、その影響力を徐々に高める。

著者はこの点の説明に次第に傾斜していくが、現実の複雑な政官関係については、いくつかの違和感をもって観察しているようである。その一つは「政治主導」がその本部組織を政府機構の外で充実させることによって得た影響力であるという点である。政権党は非公式に「行政」の諸段階に統制・介入するようになり、そこに族議員が生まれることにもなった。また著者は、政権党と官僚の関係に触れ、日本で政治と行政を論じようとするなら、行政権の中で「政治」と「行政」を論じなければならないと指摘するが、これも著者の感じる違和感の一つかもしれない。一番大きな違和感は、日本において議会多数派政党のトップが行政府を制することができなかったという点である。

評者の理解では、この「三権分立」と「議院内閣制」の対立から来る政治の停滞は、首相のリーダーシップによって打破された面がある。二〇〇五年郵政総選挙では自民党組織にも変革のインパクトが感じられた。しかし、面白いのは、著者はそれらのことを強調しないことである。安倍内閣の経緯と結末を見た我々は、このあたりに著者のカンの鋭さを感じることになる。

いいお・じゅん 62年生まれ。政策研究大学院大学教授。著書に『民営化の政治過程』。学習院大学教授村松 岐夫 

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

メキシコの青い空―実況席のサッカー20年
メキシコの青い空―実況席のサッカー20年山本 浩

新潮社 2007-08
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おすすめ平均 star
star山本浩の「ことば」とともに20年を過ごせた幸運

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二十五年にわたり、NHKでサッカーの実況を担当してきた。日本代表がワールドカップ(W杯)本大会への初出場を果たす前後、歓喜と絶望が交錯した時代の実況には「名言」とされる発言も多い。その言葉と共に自身の放送体験からサッカー史を振り返った。

執筆にあたり、初めて自身の実況VTRを見直した。欠点も目に付き「舌打ちしながら見た」というが、「ポロポロと思い出がよみがえった。みんな頑張っていたなあ、と」。一九八六年のメキシコW杯はテレビ中継が世界的に増え始めたころ。しかし開催国の受け入れ態勢が不十分で、受話器をマイクを持つように逆さに持ち、国際電話で実況したこともあった。

この大会でテレビ時代最初のスターとなったのがマラドーナ。「彼がドリブラーだったことも大きいでしょうね。テレビが撮る余裕があった」。彼の名を五回連呼したゴールシーンの実況はこの大会で生まれた。

日本代表を巡る思い出も数多い。最も印象深い一言は、惜しいところでW杯出場を逃す悲劇を幾度も実況した末に生まれた。ようやくフランス大会出場を決めた試合で、ピッチで円陣を組んだ日本代表に対して「これは、『私達』そのものです」。自然にほとばしり出た。「たくさんの人の土台の上に代表がいる。彼らを『私達』と呼ぶことに躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした」

もとは放送記者志望で、アナウンサーになったのはジャンケンに負けたから。ある種の偶然だった。サッカーの仕事が増えたのも、志望者が少なかったからだという。だが今は「野球には日本的なものが詰まっているが、サッカーにはさらにいろいろなものが詰まっている」と感じ、その経験を後輩や視聴者に伝えている。これからも、さまざまなスポーツを取材しながらサッカーの本質を見極めていくつもりだ。

(やまもと・ひろし)1953年島根県生まれ。東京外国語大卒。NHK解説主幹、エグゼクティブ・アナウンサー。スポーツ実況を数多く手がけてきた。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書)
下流社会 第2章  なぜ男は女に“負けた三浦 展

光文社 2007-09-14
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おすすめ平均 star
star煽るだけ煽り、終了。
star自分の「ストーリー」に合うように、適当に事実を切り貼りしている
star週刊誌の隅にありそうな記事の羅列

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二〇〇五年九月に刊行され、タイトルが格差社会論のキーワードになったベストセラーの続編。男性一万人を対象に実施した調査の結果などをもとに、人々の意識を年齢、年収、雇用形態などで分けて探る。「三十代前半で年収の低い男性は妻に自分より年収の高い女性を求める」といった傾向を明らかにする。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

宮大工と歩く千年の古寺―ここだけは見ておきたい古建築の美と技 (祥伝社黄金文庫 ま 4-3)
宮大工と歩く千年の古寺―ここだけは見ておきたい古建築の美と技 (祥伝社黄金文庫 ま 4-3)松浦 昭次

祥伝社 2007-09-01
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国宝や重要文化財の保存修理に長年かかわった宮大工が、奈良、京都、瀬戸内の寺社建築の見どころを紹介。日本の伝統建築の美しさは屋根と軒の反り。平等院鳳凰堂は、鳳凰(ほうおう)の翼の羽にあたる円形、四角形の二種類の垂木が優美さを生んでいるという。建物見学の楽しみを伝える。

■2007/09/23, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

国際社会の秩序 シリーズ国際関係論1
篠田 英朗 (著)

グローバル時代の国際関係を考える双書「シリーズ国際関係論」(全五巻)が二十日、東京大学出版会から刊行される。国際関係をめぐる主要なテーマについて、第一線の研究者が書き下ろす。平易な記述で論点を理解しやすくした。

初回は二巻を刊行。篠田英朗著『国際社会の秩序』は国際社会とは何かという定義から出発し、国際秩序の歴史的展開を分析する。鈴木基史著『平和と安全保障』ではブッシュ政権の外交戦略やテロ、内戦といった具体的なテーマを取り上げ、現代における平和の条件を探る。

担当編集者の奥田修一氏は「各巻とも理論的なバックボーンにもとづき、現代的な国際問題を細かく分析する内容。一般読者にもわかりやすく、大学のテキストにも使ってもらえるだろう」と話している。

続刊は飯田敬輔著『国際政治経済』、須藤季夫著『国家の対外行動』、猪口孝著『国際関係論の系譜』で、十月以降、毎月配本する。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

団塊世代の同時代史 (歴史文化ライブラリー 238)
団塊世代の同時代史 (歴史文化ライブラリー 238)天沼 香

吉川弘文館 2007-08
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ビートたけしと「団塊」アナキズム (集英社新書 402B)
ビートたけしと「団塊」アナキズム (集英社新書 402B)神辺 四郎

集英社 2007-07
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おすすめ平均 star
star団塊の世代=ビートたけしではない。

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団塊の世代が定年を迎えることによって発生するとされる「二〇〇七年問題」。企業による再雇用などもあって離職する人は予想されたほど多くはなさそうだが、一つの時代の節目にあるのは確かだろう。そんな社会の気分を反映してか、彼らが歩んできた道のりを近い世代が同時代史としてとらえ、総括しようとする著作が相次いでいる。

一九四五年生まれのノンフィクション作家、橋本克彦氏の『団塊の肖像 われらの戦後精神史』(NHK出版)。三角ベースと駄菓子屋に象徴される幼少時の原風景に始まり、「月光仮面」「集団就職」「全共闘」「ビートルズ」「終身雇用・年功賃金制」といったキーワードをちりばめながら世相の変化をたどる。

著者はこれまでに取材した団塊の世代の人々の声を随所に織り交ぜ、その時々の彼らの目に映っていた風景や意識を浮かび上がらせる。自分自身の回想も盛り込みながら、少し年下の彼らの心情に寄り添うように筆を進める。

『団塊世代の同時代史』(吉川弘文館)の著者で東海学院大教授の天沼香氏は五〇年の早生まれ。「同世代最末期」の立場で、団塊の世代が生きてきた時代背景をつづる。他の世代からの評価や、彼ら自身が自分たちをどうとらえているかを問うたアンケートの結果もまとめている。

二つの著作に共通するのは、彼らを「団塊」とひとくくりに論じても意味はない、との主張だ。「いまの初老の男たちは、それぞれにたったひとつの人生の軌跡を、これからも生きるほかの連中とおなじヒトにすぎない」と橋本氏は書き、天沼氏は「言葉が一人歩きをして、その世代に関して、誤ったイメージを他の世代の人々に植え付けてしまっている」と述べる。同世代や近い世代としてイメージではなく彼らの実像を伝えたい、との思いが読み取れる。

一方、四六年生まれのフリーライター、神辺四郎氏の『ビートたけしと「団塊」アナキズム』(集英社新書)は、四七年生まれのたけしを団塊の世代の象徴としてとらえて論じた書。「対象を突き放して見る」「反国家・反権力」といった「特性」がはぐくまれた過程を同時代史と関係づけながら追っている。

世代論にどれほどの意味があるのかという議論はあるにしても、団塊の世代を手掛かりに戦後日本の歩みをたどり直すのも一つの方法といえそうだ。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 21ページ

東の太陽、西の新月―日本・トルコ友好秘話「エルトゥールル号」事件
東の太陽、西の新月―日本・トルコ友好秘話「エルトゥールル号」事件山田 邦紀 坂本 俊夫

現代書館 2007-09
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二〇〇二年のサッカーW杯でトルコが勝ち進むのと同時に、インターネットの掲示板などを通じて広まったのが「エルトゥールル号事件」だ。一八九〇年(明治二十三年)九月十六日、和歌山県串本町沖合でトルコの軍艦が遭難し、地元の人たちが生存者を救護。トルコが日本と友好を深める原点になった。今年、船の引き揚げ作業が始まっており、本書はこの史実に改めて光を当てた。

乗員五百八十七人が死亡または行方不明になった大惨事だった。トルコでは教科書に載っているほど。六十九人の生存者を地元住民が衣類や食糧を供出して看護し、日本政府は軍艦二隻を出して、神戸からイスタンブールまで送り届けた。

事件をきっかけに、交流を深めた民間人もいた。生存者を送った軍艦に同乗した時事新報記者、野田正太郎はイスタンブールにとどまり、日本人初のムスリムになった。茶人の山田寅次郎は義援金を集めてトルコにわたり現地で十八年間を過ごした。

同船がシンガポールなどを経由して来日した背景には、軍事的衰退の目立つオスマン帝国が、東南アジアのムスリムからの支持を得て英国などに対抗する狙いがあったという。列強の覇権争いが激しさを増す時代、日本がその中でどうふるまったか。明治期の外交戦略の一端が見えてくるのが興味深い。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

世界エネルギー市場―石油・天然ガス・電気・原子力・新エネルギー・地球環境をめぐる21世紀の経済戦争
世界エネルギー市場―石油・天然ガス・電気・原子力・新エネルギー・地球環境をめぐる21世紀の経済戦争ジャン・マリー・シュヴァリエ 林 昌宏

作品社 2007-08
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エネルギー問題を幅広く分析した本だが、網羅的なものにありがちな底の浅さはまったくない。各章で深い見識に裏打ちされた分析が読める。例えば石油の埋蔵量に関して著者は「技術や価格に左右される弾力的なコンセプト」と埋蔵量が状況次第で大きく上積みされる可能性を指摘。そのうえで話題の「ピークオイル論(石油資源がまもなく尽き、生産が減少に転ずるとの見方)」について、資源の枯渇ではなく、代替エネルギー開発や環境制約で石油消費が先に減退すると断ずる。

専門家が納得する議論を一般の読者にもわかりやすく、伝えている点が本書の特徴といえる。各章は「天然ガス、交渉という戦い」といった形で、「戦い」をキーワードに展開されている。資源国、企業、政府がより大きな利益のパイを求めて戦っているのがエネルギーと著者が考えているからだ。最近はやりの石油覇権といった薄っぺらな地政学ではなく、開発、生産から輸送、小売りまで各段階が利潤の分割競争を展開しているとの説明には納得がいく。

エネルギーを利用した結果としての環境問題の深刻化への目線も高い。環境保全に向けた二十一世紀の戦いは金銭欲より倫理観、生産より生活の質に対する意志に動機づけられている、と著者は言う。エネルギー問題を考え直すのに最適な本だろう。増田達夫監訳、林昌宏訳。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

ジョルジオ アルマーニ 帝王の美学
ジョルジオ アルマーニ 帝王の美学レナータ モルホ 目時 能理子/関口 英子

日本経済新聞社出版局 2007-07-21
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ここ数年、世界の高級ファッションブランドを業界再編の大波が襲っている。ルイ・ヴィトンを核とするLVMHグループなどが資本力を武器に、有名ブランドを次々に傘下におさめつつあるのだ。人気が失速したブランドは時にディレクターやデザイナーの首を大胆にすげ替え、従来と異なる顧客層を狙って再生させたりもする。消費者の目には独立した存在に見える有名ブランドも、内実は総合企業の事業部門に近い。

他方で、こうした流れにあらがい、独立を保つブランドもまだ健在だ。従業員四千九百人、十三の工場を持ち、売上高十四億ユーロを超すイタリアのアルマーニはその代表例だろう。創業者で現役トップのジョルジオ・アルマーニ氏の強烈な個性が企業の核。彼の波乱に満ちた半生を描いた初の本格的評伝が本書だ。

自身の若いころや昔の作品など「秘蔵写真」二百二十点も収録しており、ファンやファッション関係者には貴重な一冊。ただし門外漢にも普遍的な「ビジネス戦記」として得るものは多い。「強烈な個性」とビジネスがなぜ両立できたのか。パリに比べやぼったい製品の産地と見られていたミラノが、なぜ今のようなデザイン先端都市の地位を手に入れられたのか。ソフト面での発信力の強化をめざす日本企業は、本書からヒントを得られよう。目時能理子・関口英子訳。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

田島隆夫の「日々帖」 (前期)
田島隆夫の「日々帖」 (前期)田島 隆夫

清流出版 2007-08
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著者は白洲正子も称賛した着物の織師だが、余技と称する絵と書にもファンが多かった。1982年から70歳で他界するまでの15年間、毎日欠かさず書いたのが絵日記「日々帖」だ。本書は86年までの前期分から115点を収める。「呼吸をするように」描くことを理想とした著者。季節の野菜、果物、花など身近な素材と折々の心象を短くスケッチした中に、日々を丁寧に生きた人のたたずまいが感じられる。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 22ページ

社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立する
社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立するフィリップ・コトラー ナンシー・リー 早稲田大学大学院恩藏研究室

東洋経済新報社 2007-08
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企業の社会的責任(CSR)への関心が急速に高まっている。それにもかかわらず、CSRに関する本といえば、旧態依然の解説書や啓蒙(けいもう)書がほとんどだった。本書は経営学者として著名な著者が、マーケティングの視点から、CSRのマネジメントの在り方を分析的に論じた。実務家に役立つ数多くのヒントが盛り込まれている。恩藏直人監訳。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

外交と国益―包括的安全保障とは何か (NHKブックス 1089)
外交と国益―包括的安全保障とは何か (NHKブックス 1089)大江 博

日本放送出版協会 2007-07
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おすすめ平均 star
star各論も充実でお奨め。
star内在的論理を理解するために
star国益への視点

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大量破壊兵器やテロ、感染症、地球温暖化などの脅威が増した現在の国際社会においては、従来の安全保障の概念では国民の安全を守れないと外務省参事官の著者はいう。米国との関係をどうすべきか、北朝鮮問題や中国脅威論をどうとらえるか、といった日本が直面する課題を実務者の立場から整理。「人間の安全保障」という考え方を軸に、安全保障を包括的にとらえる必要性を指摘する。東京大学での講義録をもとにまとめた。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

峠の歴史学 古道をたずねて [朝日選書830] (朝日選書 (830))
峠の歴史学 古道をたずねて [朝日選書830] (朝日選書 (830))服部 英雄

朝日新聞社 2007-09-07
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古来、人々は山の向こうに別世界を見ていた。日本中世史が専門の著者は、全国各地の古道を歩いてきた経験から、山を越える道「峠」に注目。本書では古代から近代までの歴史的な峠道をたどることで、歴史の追体験を試みる。例えば、中山道の信州・和田峠では徳川将軍家にこし入れするため峠を越えた皇女和宮に思いをはせる。ほかにも鎌倉時代に整備された鎌倉街道の峠道や、修験者がたどった山道などを紹介。峠を越えた人々の息遣いに耳を傾けている。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

朝鮮近代文学とナショナリズム――「抵抗のナショナリズム」批判
朝鮮近代文学とナショナリズム――「抵抗のナショナリズム」批判李 建志

作品社 2007-08-30
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在日朝鮮人らによる文学作品を取り上げ、国家と文学の問題を考察する。梁石日の小説をもとに、「在日朝鮮人文学」の定義のしにくさを指摘。在日作家の言説が日本社会の差別構造を反省するための装置として機能してきたと説く。「マイノリティの立場を切り取り、説明・解説してしまう」態度からは、現実を正しく見ることはできないと著者。在日朝鮮人の比較文化研究者が書いたナショナリズム論の野心作。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

世界がキューバ医療を手本にするわけ
世界がキューバ医療を手本にするわけ吉田 太郎

築地書館 2007-08-10
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star米国至上主義の方へ

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マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」に、米国の患者をキューバの病院に連れていき、治療を受けさせる場面がある。キューバではがん治療から心臓移植まで医療費は無料だからだ。そんなキューバの「医療大国」ぶりをリポートしたのが本書。低い乳幼児死亡率や先進国並みの平均寿命の背景には、過疎山村までを網羅した地域予防医療や、地域資源を利用したユニークな医薬品の開発があるという。曲がり角を迎えた日本の医療制度を考える上でも参考になる。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

地方分権改革 (行政学叢書 5)
地方分権改革 (行政学叢書 5)西尾 勝

東京大学出版会 2007-07-20
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地方分権推進委員会や地方制度調査会での経験をもとに、地方分権改革の分析的な説明と当事者としての回想、今後の改革の方向性と手順への具体的な提言が織り交ぜられた「異色の書」である。

本書の行間からは、地方分権への情熱、現実の政治への失望、しかし、さらなる改革のための政治への期待などの著者の心の揺れが垣間見える。推進委員会で著者らは大蔵省(当時)の抵抗を押し切って税源移譲を「最後の意地」で最終勧告に盛り込んだ。それが後の三位一体改革における基幹税の税源移譲の起爆剤となり、首相以下の政治主導で実現していった。当事者として政策実現にかかわった著者の興奮が伝わってくる。

また、推進委員会では首相に勧告尊重義務を課したため、各省庁の合意する範囲の改革しか実現できなかった。義務のない現在の推進委員会はかえって改革案の提示作業だけに専心できる枠組みとなっている。著者はそのことに大きな期待感をにじませている。

半面、地方自治体が任された事務作業に伴う法令解釈権が、各自治体に賦与(ふよ)されたにもかかわらず、相変わらず自治体側の意識が変わっていないことに著者は強い失望感を示している。

著者の奮闘ぶり、熱意とは対照的に、地方分権に対して省庁や自治体の現業部局、住民は冷ややかである。地方の自律性をさらに向上させるべきだという理念的立場と、改革の成果を活用して自治を定着させるべきだという現実的立場との対立について、本書にもっと語ってほしかった。

また、研究と提言の融合についていえば、現実への強い関心を抱きつつも一度それを切り離して冷静に考えるという現在の社会科学のあり方からすれば、提言との融合を目指す研究姿勢は若い研究者世代の共感を得にくいだろう。

とはいえ、本書は教訓を交えた実務家へのメッセージにとどまらず、竹中平蔵氏の『構造改革の真実』に続く、実務経験を学問の世界へフィードバックする本格的な試みである。本書の知見をもとに地方分権改革に関する体系的な知識を蓄積していくのが評者たちの世代に投げかけられた課題である。【大阪市立大学准教授北村 亘】

にしお・まさる 38年生まれ。東大教授などを経て財団法人東京市政調査会理事長。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

白洲次郎の青春
白洲次郎の青春白洲 信哉

幻冬舎 2007-08
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終戦後の占領期、吉田茂首相の懐刀としてGHQとの交渉に当たった白洲次郎(一九〇二―八五年)。彼は英国留学中の二五年から二六年にかけ、親友のロビンとともにイベリア半島最南端のジブラルタルまで、愛車ベントレーで「卒業旅行」をしている。孫である著者が、その足跡をたどったのが本書だ。

「(白洲次郎は)僕が物心ついた時には仕事をやめていて、何をしているのか分からない人だった。初孫に当たる僕にとっては、たくさん小遣いをくれるいいおじいさん。その意味ではえらい先生というイメージのあった(母方の祖父で文芸評論家の)小林秀雄とは違う。若いころのことを知ったのは、青柳恵介さんの『風の男 白洲次郎』を通じてだった」

ジブラルタルには祖父と同じく自動車で向かった。「僕の場合は新型のベントレーを借り、季節の良いときの旅だったが、それでも容易ではなかった。冬にオープンカーを走らせ続けた祖父の『卒業旅行』はとても過酷だったと思う。若いから考えられたことだと思うが、とにかく型破りな人だと感じた」と話す。

白洲次郎は七十歳過ぎまでポルシェを自ら運転。最晩年に他人にハンドルを任せても、助手席に座ってあれこれ指示を出していたという。「今ではめっきり少なくなった『うるさいじいさん』。生きていたら今のように世間にもてはやされることはなかったのではないか」と笑う。

「オイリーボーイ」と呼ばれた祖父同様、著者も車好き。「知らないところにはとりあえず行ってみたくなる」と、愛車アルファ・ロメオを駆って各地を旅する。近く祖母白洲正子ゆかりの神社仏閣などを訪ねた本も出版する。日本文化を紹介するエッセーや展覧会・書籍の監修を手がけつつ、祖父母たちを追体験する旅はこれからも続くようだ。

(しらす・しんや)1965年東京生まれ。プロデューサー、エッセイスト。細川護熙元首相の公設秘書を経て、執筆活動に入る。著書に『天才青山二郎の眼力』など。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

戦後少女マンガ史 (ちくま文庫 よ 19-1)
戦後少女マンガ史 (ちくま文庫 よ 19-1)米沢 嘉博

筑摩書房 2007-08
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star待望の復刊

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一九八〇年に出版され、その後絶版となった書籍の再版。著者は「コミックマーケット」をスタートさせ、昨年急逝した漫画評論家だ。少女漫画が少女たちのどんな願望をとらえてきたのか、社会変化にも目配りしつつ大正期の少女小説から読み解いていく。個別の作家に対する言及も綿密で、数少ないこの分野の通史として貴重だ。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)
甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)落合 淳思

講談社 2007-08-17
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star「解読」の気分を味わえる?

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三千年以上前の中国・殷王朝で使われていた甲骨文字を読める日本人は、中国史の専門家でも少ないという。殷代史の研究者である著者が甲骨文字の解読法や当時の文法をわかりやすく解説する。一見とっつきにくい文字だが、現在使われている漢字と構造は同じであることがわかり、漢字への理解も深まる。

■2007/09/16, 日本経済新聞 朝刊, 23ページ

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