メイン > 日経新聞日曜版『読書』 > 2007年12月2日~12月9日
| 瀬戸内海事典 | |
![]() | 北川 建次 南々社 2007-12 売り上げランキング : 116307 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
瀬戸内海の自然、文化、産業などを集大成した『瀬戸内海事典』(三千八百円)=写真=が南々社(広島市)から刊行された。和歌山県から大分県まで広がる瀬戸内圏の生活文化に重点を置いて紹介。自治体の地域振興や教育機関のふるさと学習の素材として活用できるように編集した。
通常の事典と違って五十音順の構成はとらず、「観光・レジャー」「魚食」「土木・建築」「祭り・芸能」などテーマ別にした。A5判六百八ページで、項目数は二百十五。三百二十九点の写真と百三点の図版を入れて読みやすくした。巻末には古代から現代まで分野を横断した年表を付けた。
瀬戸内海の特質を理解しやすくするため、同じ閉鎖性海域の地中海と比較し、今後の課題や指針なども示すようにした。
項目の紹介、分析にとどまらず、読み物としても楽しめる構成になっている。冒頭の第1編には「知られざる瀬戸内海」と題して、民俗学者、宮本常一が瀬戸内海を十万枚もの写真に撮っていたり、瀬戸内海に面した都市で酢を調味料に使った料理が好まれたりするといったエピソードを盛り込んだ。
| 擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典 | |
![]() | 小野 正弘 小学館 2007-10-27 売り上げランキング : 3018 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| へんな言葉の通になる―豊かな日本語、オノマトペの世界 (祥伝社新書 83) | |
![]() | 得猪 外明 祥伝社 2007-08 売り上げランキング : 124021 おすすめ平均 ![]() 日本人の生い立ちと言葉の関係Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 日本語オノマトペ語彙における形態的・音韻的体系性について | |
![]() | 角岡賢一 くろしお出版 2007-09-10 売り上げランキング : 231564 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「ヘッドホンステレオからもれるシャカシャカ音」「キャピキャピした女子大生」……。こういったオノマトペ(擬音語・擬態語)に焦点を当てた本の刊行が相次いでいる。
小野正弘編『日本語オノマトペ辞典』(小学館)は約四千五百の見出し語を収録。これまでの類書は多くても二千数百で、最大の収録数という。日本書紀、古事記に始まり、現代エッセーまで幅広い分野から用例を集めた。魚などが新鮮な様子をあらわす「きときと」(富山・石川県)など方言も盛り込んだ。
研究者の鈴木雅子氏は解説で、一九九〇年代以降、「若い世代を中心に、擬音、効果音、感嘆詞を情報伝達の手段として会話に使うのがはやってくる。くどくど説明するよりも、音で伝えるほうがピンとくるのかもしれない」と指摘。若者の感性がオノマトペを生み出してきたと分析する。
新しい用例だけでなく、今では使われない古い表現にも目を向けた。例えば「わんにり」は丸みを帯びてふくらんでいる様子。「じゃらりくらり」とは色っぽくふざけているさまだ。小学館国語辞典編集部の香川佳子氏は「近代から現代にかけてオノマトペが増えた印象が強いが、表現としてやせていった部分もある」とみる。
得猪外明著『へんな言葉の通になる』(祥伝社新書)は英語やフランス語、中国語などとの比較で、情景描写などにすぐれた日本語オノマトペの豊かさを強調した。「日本人には(中略)俳句でも盆栽でも茶室でも無駄なものはできるだけ省いて、限界のところで途方もない大きな世界を作りあげる特技がある。オノマトペも同様で、最小の音節で最大の効果を出そうとする」との見方は興味深い。
角岡賢一著『日本語オノマトペ語彙における形態的・音韻的体系性について』(くろしお出版)は研究者向け論文集。著者はオノマトペが他の言語にない日本語の大きな特徴になっていると強調する。
『日本語オノマトペ辞典』編者の小野正弘・明治大学教授は「現代は論理よりも欲望や感性が重視される。その意味で直感や肉体感覚から発生するオノマトペは今の時代を表現しやすいのでは」と指摘する。オノマトペは古くからの日本語を乱す可能性もあるが、言語空間に刺激を与え、新たな表現を生みだしていることは確かだろう。
| 量子暗号 絶対に盗聴されない暗号をつくる | |
![]() | 石井 茂 日経BP社 2007-10-25 売り上げランキング : 12813 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
暗号は今や多くの人にとって日常的な技術だ。インターネットで買い物をしたり送金をしたりする際、知らず知らずのうちに暗号のお世話になっている。もはやスパイの必需品というだけの存在ではないのだが、普通の人にはわかりにくく、なじみの薄いものであるのは今も変わらない。
ネット上で重要性を増す既存の暗号技術が決して安全ではない、見破られる可能性がゼロではないことが一九九〇年代にわかって、暗号技術の世界に衝撃を与えた。そのあたりから注目を集め始めたのが量子暗号だ。
絶対に不正解読されない究極の暗号。現状では、百キロ超の距離の光通信網で送受信に成功した実験的段階で、まだ普及には遠いものの、潜在能力を秘めた「新人選手」として、研究が広がりと深みを増しつつある。
本書は量子暗号の誕生前から、誕生の経緯、そして現状までをていねいに説明する。量子暗号については一般向け技術解説を目的とした類書があるが、本書の魅力は解説にとどまらない物語性だ。
技術開発には偶然の出会いや個人のこだわりがブレークスルー(技術突破)をもたらすことがよくあるが、ここでも同じ。とりわけこの分野では日本の研究者の活躍が目立っている。ただ、「偏光」など専門的な言葉も多く、読み進めるには少し忍耐も必要だ。
| 演出家の仕事 (岩波新書 新赤版 1105) | |
![]() | 栗山 民也 岩波書店 2007-11 売り上げランキング : 3560 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ユダヤ人強制居住区をテーマにした舞台で、俳優たちにピカソの「泣く女」を見せ、「目をタテにして泣け」と言った。不条理への悲しみ、怒り、絶望の表現を絵からくみ取ることを求めたのだ。
新国立劇場の演劇部門芸術監督を七年間務めた売れっ子演出家の著者が、初めて演出論について書いた。作品を自分の世界観に引き寄せて独特のスタイルで統一するタイプではなく、作品一つ一つの世界に深く入り込んで新しさとの出合いを表現していきたいとして、自分の方法をあえて固定しないと宣言する。
何が作家を動かし、この戯曲を書かせたのか。「書き手の衝動」を探す作業から戯曲を読み始める。演出現場から著者が危惧するのは俳優教育の問題で、「物言う術」よりも前に、「物聞く術」の重要性を指摘する。聞く力とは、何か起こったことの裏で支える人間の心の動きを聞くことが大事なのだという。
演出では、自分と異質な才能を持つスタッフを集めるのが大事であり、俳優同士のアンサンブルも異質なものがぶつかることで初めて成り立つと強調する。
稽古場で発見した体験に即して書いているのが具体的でいい。台本の完成が遅い井上ひさしの舞台を演出した時の苦心談、世界の演劇人との出会いなどのほか、家庭環境を含め著者が演出家になるに至った自分史も興味深い。
| ステータス症候群―社会格差という病 | |
![]() | マイケル・マーモット 日本評論社 2007-10 売り上げランキング : 13820 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
来春から職場や地域で内臓脂肪に着目した「メタボリック健診」が始まる。結果がおもわしくないと生活習慣の改善指導を受けるはめになる。予防によって脳卒中や心筋梗塞(こうそく)といった生活習慣病を減らし、医療費を抑えることが目的だ。この健診の根底にあるのは「病気になるのは個人の責任」との考え方。一見もっともだが、本当にそうなのだろうか。
本書によると、その考え方は間違いだ。個人の健康に大きな影響を及ぼしているのは経済的社会的環境という外部の力であることを豊富なデータで説明する。例えば、貧しい黒人の多いワシントンDCの下町から地下鉄に乗って裕福な白人が暮らす郊外へ向かうと、「一マイル進むごとにその地区の平均寿命は一・五年ずつ長くなっていく」という。
経済力だけでなく、どんな教育を受けてきたか、親がどういう人であったか、個人の能力が発揮しやすい社会に暮らしているか、連帯感のある社会に暮らしているかも健康状態に影響する。喫煙や飲酒などの生活習慣は原因の一部でしかないそうだ。多くの人が健康で幸せに生きるためには「個人の問題」で片づけるのではなく、社会的な対応が必要であることがわかる。
書名は社会的地位の高い者ほど健康であることを「ステータス症候群」と呼ぶところからきている。鏡森定信・橋本英樹監訳。
| MY LOST AMERICA | |
![]() | 中野 正貴 リトル・モア 2007-11-09 売り上げランキング : 86378 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ワールドトレードセンタービルが、誇らしげにマンハッタンにそびえている。今より荒れたハーレム、昔歌手のマドンナがしていたのと同じ髪形の女性。本書が収めるのは1980年代のアメリカの都市だ。冷戦後をまだ知らず「9.11」の惨事によって無垢(むく)な魂を失ってもいないアメリカ。懐かしむほど古くはない風景が切なく見えるのは、二度とこの国が取り戻せない何かを写しているからだろう。
| セルフヘルプ社会―超高齢社会のガバナンス対応 | |
![]() | 田尾 雅夫 有斐閣 2007-11 売り上げランキング : 81287 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
社会を構成する一人ひとりの暮らしを支える方法には「自助、互助、公助」がある。今後の超高齢社会では公助は期待できず「弱い個人」が互いに助け合う互助が重要になる、と集団や組織を研究対象とする著者は主張する。アルコール中毒患者の会など現在ある「セルフヘルプ集団」の概念を社会全体に広げることで、互助の仕組みを構築できないかとする問題提起の書。概念の意味と発展過程、効用と限界などを包括的に論じている。
| 抜本的税制改革と消費税―経済成長を支える税制へ | |
![]() | 森信 茂樹 大蔵財務協会 2007-10 売り上げランキング : 17623 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は旧大蔵省主税局で主要課長を歴任後、学界に転身した。本書は増税論一本やりではなく、経済活性化の視点や国際的な税制の潮流にも触れて税制改革の行方を探った。消費税の利点と問題点を丹念に解説しており、最終章では社会保障財源としての消費税増税、税や給付での低所得者対策、法人実効税率の引き下げなど五本柱の改革私案を示した。消費税の上げ幅に短絡しがちな問題を複眼的に考える材料を提供している。
| エリゼ宮物語 | |
![]() | 山口 昌子 扶桑社 2007-11-06 売り上げランキング : 68742 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今年五月、仏のサルコジ新大統領の就任式が開かれたのがエリゼ宮(大統領府)だ。本書は王政時代から約三百年にわたるこの宮殿の歴史を楽しく紹介するエッセー。平民の出身でありながら国王の寵愛(ちょうあい)を得たポンパドゥール夫人、戦勝を重ねてまさに生涯の絶頂期に入居したナポレオン、愛人との密会用に地下道を造らせたとの伝説の残るナポレオン三世……歴代住人の様々なエピソードは仏政治の裏面史のおもむきだ。
| 民が立つ―地域の未来をひらくために | |
![]() | 信濃毎日新聞社編集局 信濃毎日新聞社出版局 2007-10 売り上げランキング : 5804 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
長野県を舞台に、住民や行政の関係者が地域社会づくりに奮闘する姿を丹念に描いた。田中康夫前知事の「脱ダム宣言」後の治水のあり方を模索したり、財政難から行政が打ち切った山村留学事業を引き継ごうとしたりする住民たちがぶつかる壁。その克服に向け、「話し合う」「知る」「つながる」「学ぶ」の四つのキーワードを提示する。信濃毎日新聞に長期連載され、二〇〇七年度の新聞協会賞を受賞した企画記事を再構成した。
| トロツキー入門 | |
![]() | 対馬 忠行 こぶし書房 2007-10 売り上げランキング : 149976 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
スターリン主義批判をいち早く展開した理論家、対馬忠行の未発表原稿。四十数年前の出版企画が頓挫し、当時編集担当だった映画評論家、松田政男の手元に残っていた論稿が日の目を見た。ロシア革命後、指導部を追放され、亡命先で暗殺された永続革命の唱道者トロツキーの思想的全体像に迫る。「スターリンの政策がヒトラーの政策そのものよりもヒトラーの勝利に貢献した」など的確な引用で、ソ連の共産主義が最終的に失敗に至る原因を先取りしている。
| 普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓 | |
![]() | 岩村 暢子 新潮社 2007-10 売り上げランキング : 225 おすすめ平均 ![]() これでは夫婦共働き家庭やシングルの立つ瀬がない・・ 「フツーの家族」、という言い方・・・ 本当に怖い。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
いつの時代も本当に怖いことは、じゃらじゃらと鈴を鳴らしてやってきたりはしない。ひたひたと押し寄せ、私たちが自覚もしないうちに社会のすみずみに根を張っていくのだろう。本書は広告会社で食と家族の変化を追ってきた調査のプロが、クリスマスと正月の食卓に的を絞り、現代の家族を浮き彫りにした。読み進むうちに背筋がスーッと寒くなる。
圧倒されるのは本文に挿入された七十六枚の写真と主婦たちの生の声だ。調査は一九九九年十二月―二〇〇〇年一月と〇四年十二月―〇五年一月の二回行い、合計二百二十三世帯の主婦にクリスマスと正月をどう過ごしたか、何を食べたかを日記形式で書いてもらい記録写真の提出を求めた。各回、四、五人ずつ七組のグループインタビューも実施している。この入念さが説得力を増している。
いまや家族の一大イベントとなったクリスマス。親たちは家をイルミネーションやツリーで飾り、枕元にプレゼントを用意する。だが、食卓に並ぶのはファストフード店で買った箱入りのチキンや冷凍食品。正月は行事への熱意はぐっと下がり、元旦から家族がばらばらにカップラーメンやパンを食べる家庭も珍しくない。
著者によれば主婦たちに顕著なのは「好きなことをする」「無理はしない」「楽しければいい」という私中心主義だ。自分が楽しめるケーキは作っても、正月から早起きして雑煮を用意したりはしない。四十歳を超えても実家の親が作ったお節を食べ、上げ膳(ぜん)据え膳を当然と思う。食卓が暗くなるのは嫌だから子どもに厳しく食事のマナーを教えることもない。
何が彼女たちをここまで“解き放った”のか。親世代の甘さか、家庭の伝承を無力化する情報社会か、消費者を女王様と持ち上げる企業の罪か。考え込んでしまう。だが正月に現金のつかみ取りに興じたり、子どもの嫌がることを封印する家族に不安を感じるのは著者だけではあるまい。食や住宅だけでなく、家族も「偽装」が横行していると警鐘を鳴らす。年末を前に、家族について思いを巡らす材料をふんだんに提供してくれる。
| 「二十四の瞳」からのメッセージ | |
![]() | 澤宮 優 洋泉社 2007-11 売り上げランキング : 219355 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一九五四年公開の木下恵介監督の映画「二十四の瞳」は、近づく戦争を背景に、運命に翻弄(ほんろう)される子供たちを主役に、生命の尊さを描いた作品だ。黒澤明監督「七人の侍」を上回り同年の「キネマ旬報」一位に輝くなど、当時の評価は高かった。しかし、前者は今、後世に多大な影響を与えた後者ほど顧みられることはない。
本書は、この忘れられた名作に焦点をあてたノンフィクション。子役やスタッフへの丹念な取材を通じて、物語の展開とともに制作現場の情景を再構成。同時に、映画がヒットしても芸能界などには進まず、映画を誇りに生きた子役たちの「その後」を追う。
執筆のきっかけは二〇〇四年四月、子役たちが映画公開五十年を機に、小豆島に集まることを報じた新聞記事。シナリオ作家を目指していた十数年前、木下作品を繰り返し見て感嘆した記憶がよみがえった。
「今こそこの映画が見直されるべきだ」と取材を始めた。「一家離散や生活苦で学校に行けなくなる子もいるが、弱者への温かいまなざしが映画を貫いている。これこそ経済成長の中で日本人が失ってきたものだ」との思いからだ。子役たちがいまも役名で呼び合い、家族にいえないことも打ち明ける濃密な人間関係も同様だろう。
高峰秀子演じる「大石先生」はよく泣く。生徒の境遇に同情して、ただ泣くのだ。消極的な姿勢にも見える。だが、著者は「共感を得られている実感があれば子供たちは安心できる。これがあれば子供の殺伐とした事件も起きないのではないか」とみる。
主にスポーツ分野で執筆してきたが、日の当たらない存在に目を向ける角度は初めて映画を扱った本作も変わらない。「僕自身劣等生だったから、人間の弱さやもろさに関心が向く」。大石先生同様、つきることない共感が原動力だ。
| ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687) | |
![]() | 梅田 望夫 筑摩書房 2007-11-06 売り上げランキング : 23 おすすめ平均 ![]() 「お金が一番」という価値観に疑問を持つすべての人に薦めます! インターネットを活用して生きるコツ 気が重くなったAmazonで詳しく見る by G-Tools |
高速道路を疾走するように物事を学習できるウェブを手に入れたことで、私たちはどんな働き方、生活ができるのか。前例が通用しない時代を生き抜くヒントが楽観主義に貫かれた視線から語られる。平易な語り口は頭に入りやすく、一歩前に出る勇気を与えてくれる。ベストセラー『ウェブ進化論』の続編。
| 誰か (文春文庫 み 17-6) | |
![]() | 宮部 みゆき 文藝春秋 2007-12-06 売り上げランキング : 628 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
財閥系企業の広報室に勤務する主人公は義父でもある会長から、会長付きだった運転手の娘たちの相談相手を頼まれる。運転手は自転車事故で亡くなっていて、主人公はその死の謎を追ううち、運転手の波乱に満ちた生涯を知る。同じ主人公の続編(『名もなき毒』)も刊行されている、切なくも心温まるミステリー。
| 地方を殺すな!―ファスト風土化から”まち”を守れ! (洋泉社MOOK) | |
![]() | 洋泉社 2007-10 売り上げランキング : 344 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 中心市街地の成功方程式―新しい公共の視点で考える“まちづくり” | |
![]() | 細野 助博 時事通信出版局 2007-09 売り上げランキング : 391 おすすめ平均 ![]() 街づくり関係者にとって必読の書 「自分の頭で考える人」のための羅針盤Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 「村」が地域ブランドになる時代―個性を生かした10か村の取り組みから | |
![]() | 関 満博 足利 亮太郎 新評論 2007-11 売り上げランキング : 773 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生 | |
![]() | 横石 知二 ソフトバンククリエイティブ 2007-08-23 売り上げランキング : 515 おすすめ平均 ![]() 30年以上に渡って過疎の町を再生させることに奮闘した物語 人の絆 ~ ひたむきな現場主義 仕組み作りの戦術と現場主義のバランスAmazonで詳しく見る by G-Tools |
夏の参院選での自民惨敗で地方の活性化が重要な政治課題として浮上し、政府は地方再生戦略を打ち出した。都市と地方で景況感に格差があるのは事実だが、より本質的な危機は地方都市の個性喪失にある。
地方の幹線道路を車で走ると郊外型大型店が並ぶ似たような風景に出くわす。一方で中心市街地はにぎわいをなくし、街は「へそ」を失った。無味乾燥な景観はその地域固有の歴史や文化の破壊を伴い、住民のきずなまで弱めている。
●危うい大型店依存
まるでファストフードのように画一的な地方都市の姿を、『下流社会』の著者でマーケティングアナリストの三浦展氏は「ファスト風土」と名付けた。『地方を殺すな!』(洋泉社MOOK、二〇〇七年)はファスト風土化がもたらした地域の姿を多角的にリポートし、郊外型大型店に依存する危うさと犯罪が急増している現状に警鐘を鳴らしている。
ファスト風土化は先進国に共通する現象という。本書では米国やドイツなど海外の事例も紹介し、住民合意に時間をかける「スロー風土」な街づくりを提案している。
郊外型の大型ショッピングセンターは地方に雇用と税収をもたらしたが、一部の地域ではすでに過当競争を引き起こしている。大型店が撤退したら街はその後どうなるのか。
細野助博著『中心市街地の成功方程式』(時事通信社、二〇〇七年)は「メガモール」時代はいずれ終わると指摘したうえで、車を利用できない高齢者の利便性を高め、環境配慮型の生活様式に転換するために中心市街地の公共性を再認識する必要があると主張している。
そのうえで、各地の事例を参考に人づくりや情報化、大学との連携など再生への条件を提示する。細野氏は「まちづくりこそ地方分権の出発点であり、到達点でもある」と述べる。まさに至言であろう。
規制緩和が郊外開発と市街地空洞化を加速したのは事実だろうが、農地転用に寛容な行政や土地の売却益を狙う地権者の存在抜きに現在の地方都市の惨状はあり得ない。中心商店街の衰退の一義的な責任も意欲に欠ける商店主自身にある。
政府はまちづくり三法を改正し、従来の政策を軌道修正した。ただし、地域住民がそれぞれの利害を超えて街の将来像を共有しない限り、にぎわいを回復することは難しいだろう。
地方都市が個性を失う一方で、山間部などの過疎地はまさに存続の危機に直面している。高齢者の割合が半数を超し、相互扶助機能が低下する「限界集落」も年々増加している。
そうした集落を多数抱え込んでいるのが村だ。「平成の大合併」以前に約五百七十あった村は今では百九十五と三分の一に減った。村がひとつもない県も十三ある。しかし、村の減少は反対にその希少性を高めたともいえる。
●地域資源を生かす
関満博、足利亮太郎編『「村」が地域ブランドになる時代』(新評論、二〇〇七年)は自ら自立を選んだ村を幾つかに分類したうえ、北海道中札内村や岡山県新庄村など十地域の取り組みを紹介している。
地域そのものがブランドになるためには明確なビジョンとリーダーの存在、村民が一体となった取り組みが必要だと指摘する。そうした村でも人口減は止まらないが、都会からの移住者が増えてきた地域もある。
地域資源を生かした成功例として各メディアに頻繁に登場しているのが、様々な葉を料亭などで使う妻物として販売する徳島県上勝町である。その商売の発案者である横石知二氏が書いた『そうだ、葉っぱを売ろう!』(ソフトバンククリエイティブ、二〇〇七年)は農協職員になって以降二十八年に及ぶ横石氏と住民の奮闘記である。本書を読むと他人に期待するだけだった住民がなぜ変わり、町がよみがえったのかがよくわかる。
横石氏は全国の過疎地で進む「気の空洞化」(住民がやる気そのものを失うこと)を嘆く。地域再生に関心がある人に勧めたい一冊である。
| 20世紀この10年 1950S [フォトアート・ライブラリ] (フォトアート・ライブラリ) | |
![]() | ニック ヤップ(文) ランダムハウス講談社 2007-11-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 20世紀この10年 1970S [フォトアート・ライブラリ] | |
![]() | ニック ヤップ ランダムハウス講談社 2007-12-20 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 20世紀この10年 1960S [フォトアート・ライブラリ] (フォトアート・ライブラリ) | |
![]() | ニック ヤップ(文) ランダムハウス講談社 2007-11-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ランダムハウス講談社は、二十世紀を十年ごとに区切って様々なジャンルごとに時代を象徴する写真を収めるシリーズ「20世紀この10年」の刊行を始めた。政治、経済、紛争や芸術、ファッション、エンターテインメント、スポーツ、若者の流行などを伝える写真で構成する。
既刊は一九五〇年代を対象とした『1950s(フィフティーズ)』(二千円、写真)と、六〇年代を扱う『1960s(シクスティーズ)』(二千二百円)の二点。いずれも英国出身のライター、ニック・ヤップ氏による当時の世相を伝える解説文(三角和代訳)と、武田徹・恵泉女学園大教授による序文を掲載している。
『1950s(フィフティーズ)』はキューバのカストロ大統領とニクソン米副大統領が握手している場面や、マイルス・デイビスとジャンヌ・モローが並んだ場面、世界初のジェット旅客機などの写真を収録。『1960s(シクスティーズ)』はケネディ米大統領暗殺、中国の文化大革命、ベトナム戦争などの写真で構成している。
一九七〇年代を対象とする続刊は十二月下旬の刊行予定。
| 〈はかる〉科学―計・測・量・謀…はかるをめぐる12話 (中公新書 1918) | |
![]() | 阪上 孝 後藤 武 中央公論新社 2007-10 売り上げランキング : 9044 おすすめ平均 ![]() さまざまな「はかる」を科学するAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| きちんとわかる計量標準 (産総研ブックス 2) | |
![]() | 産業技術総合研究所 白日社 2007-08 売り上げランキング : 226690 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 読んで納得!図解で理解!「ものをはかる」しくみ | |
![]() | 瀧澤 美奈子 新星出版社 2007-07 売り上げランキング : 624083 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
時計で時間を計り、寒暖計で気温を測り、体重計で体重を量る。ビジネスでは商談相手との間合いを計り、上司の真意を測りかねながらも意図を推し量って行動する。私たちの日常を振り返ると、実に多種多様な「はかる」行為が繰り返されている。そんなことに目を向けさせてくれる著作がこのところ目につく。
阪上孝・後藤武編著『〈はかる〉科学』(中公新書)は中部大学中部高等学術研究所の共同研究をもとに、「はかる」行為の歴史や意味を様々な角度から考察した好著。十三人にのぼる執筆者の研究領域は社会思想史、生態心理学、音楽人類学、科学史、機械工学など多岐にわたる。
十八世紀のフランスでメートル法が成立した経緯を追う章で、阪上氏は現代につながる度量衡の統一が「地方的慣行の支配する生活世界を解体し、均質な(、、、)市民からなる国民国家の形成を目指すものだった」と指摘する。当時のフランスには地域ごとに八百ほどの異なる度量衡の単位があり、メートル法が社会に浸透したのは成立から約五十年後の一八四〇年以降だった。
別の章では、福岡県久山町で住民の八割以上の健康状態を九州大学の研究室が四十年以上にわたり追跡調査している事例が紹介される。蓄積した膨大なデータをもとに食生活や生活習慣の変化と生活習慣病、遺伝的要因との関連を解析する研究で、世界的にも注目されているという。
「はかる」行為には道具の「ものさし」が必要。その日本国内での基準となる装置を管理する独立行政法人・産業技術総合研究所による『きちんとわかる計量標準』(白日社)は、計量をめぐる最先端の動きを伝える。セシウムの原子を使った「一秒」の定義の説明から、超音波や振動、電気量、環境中の汚染物質まで。「はかる」行為がいかに社会の基盤をつくっているかを認識させてくれる。
関根慶太郎監著・瀧澤美奈子著『「ものをはかる」しくみ』(新星出版社)。マラソンコースの距離は、メーターの付いた自転車に計測員が乗りコースを走って計測する、といった何気ない疑問への答えを示す。いわば「雑学事典」だが、「はかる」行為の多様性がわかって面白い。
社会的制度のあり方から精密な科学技術、日常のありふれた営みまで、「はかる」というキーワードで考察していくと思わぬ広がりがありそうだ。
現代中国産業経済論
佐々木 信彰 (編さん)
中国経済をめぐっては、年率一〇%を超える成長や、人民元の為替相場を不当に安く抑えていることに起因する巨額の貿易黒字、それに伴う外貨準備高の急速な積み上がりと国内での過剰流動性の発生、それがもたらす株式・不動産バブルや投資過熱といったマクロの問題が焦点になりがちだ。その産業経済の姿も「世界の工場」という言葉で総括される。
しかしそのようなざっくりした分析だけでは、等身大の中国をとらえづらい時代になってきた。中国は一九七八年末に経済の改革・開放に踏み出し、その総仕上げとして二〇〇一年十二月に世界貿易機関(WTO)に加盟したが、果たしてそれは中国の農業や自動車産業、金融業にどんな影響を与えているのか。投資過熱で爆発的な膨張を続ける鉄鋼業の実態はどうなっているのか。バブルが懸念されている不動産や株式市場の実情は ――。そういった業種別の内情や構造にまで踏み込まなければ、産業経済の全体像は結びにくい。
本書は農業、ビール、繊維、家電・電子、住宅、小売り、保険などの業種を取り上げ、各業界に精通した日中の研究者らが、業界の生い立ちや外資の進出状況、問題点をコンパクトに解説している。マクロからセミマクロにまで視線を下げて眺めることで、中国の強さと弱さがいっそう明快に見えてくる。
| 「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方 | |
![]() | 駒崎弘樹 英治出版 2007-11-06 売り上げランキング : 159 おすすめ平均 ![]() なかなか面白い 子どもが大きくなったら読ませたい 言葉が認識を生んで、認識がアクションを生む。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
社会的課題を、運動ではなくビジネス手法によって解決する社会起業家が日本でもブームだ。保育園では預かってくれない病気の子。いわゆる病児保育という新たなマーケットに挑戦している著者は、ニューズウィーク誌の「世界を変える社会起業家100人」にも選ばれた元ITベンチャーの学生社長である。
団地住まいの幼少時、母親が仕事を持っていたので、団地内の「松永のおばちゃん」によく預けられた。そんな自身の体験をヒントに、非営利組織(NPO)、フローレンスを立ち上げた。保育専門家の女性に怒鳴られ、NPO嫌いの区長にプランをつぶされ、厚生労働省にはアイデアをまねられた。それでも、「社会を変えたい」との一念から、七転び八起きで、何とかフローレンスを軌道に乗せる。
その奮闘ぶりに、思わず「負けるな。ガンバレ」と声をかけたくなるが、新しいことを始めようとすると、何かと足を引っ張る日本の“ダメ出し社会”ぶりには読んでいてため息が出る。
救いは、フローレンスが窮地に陥るたびに、弁護士やコンサルタント、大企業の人事専門家といったプロフェッショナルが次々に「何か役に立ちたい」とボランティアを申し出ること。日本も捨てたものじゃない。そんな思いにさせてくれる一冊。若い人はもちろん、行政マンや企業関係者にも読んでもらいたい。
| アジアのなかの日本 (日本の〈現代〉 2) | |
![]() | 田中 明彦 エヌティティ出版 2007-10 売り上げランキング : 20043 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
中国が急速に台頭するなど東アジアはこの三十年間、劇的に変化してきた。多様性が持ち味だったアジア地域でも「東アジア共同体」構想に象徴される経済統合の兆しが出始めている。半面、北朝鮮の核問題など不安定要素も依然として存在するのが現実だ。
本書は日本の東南アジア政策の指針となった福田ドクトリン(一九七七年八月、当時の福田赳夫首相がマニラで演説)から安倍晋三前首相までのアジア外交を詳しく分析している。これと並行して東アジアの国際政治・経済三十年史を要領よくまとめている。
二十世紀後半の冷戦終結、グローバル化、民主化の三つの構造的変動が東アジアにも大きな影響を与えた。著者はその命題として(1)地域化や統合を推進する(2)他方さまざまな危機も生み出す可能性をもつ(3)地域化の進展と危機の連鎖は地域的な制度形成の誘因となる――の三点を挙げた。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の誕生にオーストラリアだけでなく日本の通産省も絡んでいた経緯を詳述しているのも興味深い。
東アジア首脳会議(サミット)が定例化するまでになった現状を踏まえた著者の結論は「アジアは一つになりつつあるという感触」である。
物語性もある記述で読みやすい。引用文献を明示するなど史料的価値もあるだけに、日中共同声明の時期など数カ所の誤記があるのが残念だ。
| 首都高山手トンネル | |
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都心の渋滞解消を目指し、今月22日に開通する首都高速中央環状線山手トンネル。全長11キロのうちほとんどが地下を走るという、従来にない高速道路の建設風景を、地下工業施設の魅力を追う著者が2年にわたり撮影した。なだらかな曲面を描くコンクリート壁、闇を照らす白色電灯、月面を行くロボットにも似た工事用車両。未来都市を思わせる地底世界の美がとらえられている。写真は「代々木シールド」。
| 景観にかける―国立マンション訴訟を闘って | |
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高島屋の常務だった著者は、自分の住む東京・国立市で、高層マンション建設計画の反対運動に立ち上がり、地域の人たちと裁判闘争を繰り広げた。そのいきさつを克明に描く。最高裁では、上層階の撤去を求めた訴えは棄却されるものの、景観利益の保護を認める判決を引き出す。一連の記録は、法や、東京都などの行政が景観問題に対応できていない実態を浮き彫りにする。景観をめぐる住民運動の参考書としても読める。
| アラビア太郎と日の丸原油 | |
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アラビア石油がサウジアラビアの権益を失ったのは二〇〇〇年二月。原油は安く、市場で簡単に買えると思われた時期だった。その後、原油は高騰し、資源確保は再び重要命題になる。本書はアラ石で資源開発に従事した著者が同社の歩みや自身の体験を振り返り、日本にとっての教訓を引き出そうとした本だ。戦時の緊張も含めて開発現場の苦闘と使命感が伝わり、産油国との関係についても多くのことを考えさせる。
| 「反社会勢力」があなたの会社を食いつぶす! | |
![]() | 猪狩 俊郎 日本経済新聞出版社 2007-11 売り上げランキング : 1355 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
企業としての経済取引に見せかけたり、政治結社をつくって政治活動を装ったりと、暴力団による資金獲得活動は組織の実態を隠した巧妙なものになってきている。そうした「反社会勢力」から企業を守るための心構えや方法を、民事介入暴力に詳しい弁護士が詳しく解説する。契約書などへの暴力団排除条項の導入、企業による暴力団情報の積極的な収集などを提言。実際にあった事例や判例を数多く盛り込んでいる。
| 老春も愉し―続・晴美と寂聴のすべて | |
![]() | 瀬戸内 寂聴 集英社 2007-10 売り上げランキング : 92163 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一九九七年(七十五歳)から、二〇〇七年(八十五歳)まで、年代記ふうに構成したエッセー集。著者はこの間、「源氏物語」現代語訳を完結させたほか、新作能や歌舞伎台本、オペラなど新分野に次々取り組み、驚異的な仕事量をこなしている。年を追うごとに親しい作家への追悼的な文章が増えていくのは寂しいが、その分、今を生きる著者のスピード感が際だってくる。タイトル通り、読む者を元気づける一冊である。
| RUN | |
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二十二歳以下のサッカー日本代表に選ばれたこともある福田健二選手が、Jリーグを出てスペインやパラグアイで孤軍奮闘する姿をつづったノンフィクション。二年前、スポーツ誌で語られた少年期の貧困体験と母の自殺は、彼を良く知らないサッカーファンにも衝撃を与えた。本書はその原稿「遺書」を冒頭に、海外挑戦にかける情熱の源泉を描く。二部リーグなど地味な舞台ながら挫折を乗り越え、地元サポーターの支持をつかんでいく様子が爽快(そうかい)だ。
| アキバをプロデュース 再開発プロジェクト5年間の軌跡 (アスキー新書 35) | |
![]() | 妹尾 堅一郎 アスキー 2007-11-12 売り上げランキング : 3016 おすすめ平均 ![]() 秋葉原は理系の心の故郷 テクノタウンとしての秋葉原再開発の構想と実践Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本一の電気街にして、オタク文化の聖地でもある東京・秋葉原。その再開発に携わる産学連携の専門家による街づくりの記録だ。電気部品専門店など比類なき街の特長を生かしたプロジェクトを実践し、「大都市の街は“とんがる”べきだ」と訴える。陥りがちな産学連携の失敗パターンも興味深い。
| 遊古疑考 (河出文庫 ま 8-2) | |
![]() | 松本 清張 河出書房新社 2007-10 売り上げランキング : 7700 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
古代史研究でも旺盛な筆力を発揮した著者が考古学を中心に論考した。前方後円墳や三角縁神獣鏡といったテーマに、入念な情報収集と鋭い洞察力で迫る手法は小説と同様、読者を引き付ける。原著は三十四年前の刊行で、この間に修正された史実は多いが、定説や常識の疑問点をつく筆致は色あせない。初の文庫化。
| 侍の翼 | |
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剣道経験のある作家は少なくない。だが一流の剣道指導者で小説を手がけたのは、著者が初めてだろう。フランスで三十年以上、剣道の普及と指導に携わり、現代剣道の最高峰である八段の資格をもつ。デビュー作の本書で選んだ題材は、剣道家らしく「侍」だ。
舞台は十七世紀半ばの江戸。主人公、宍倉六左衛門はかつて唐津寺沢藩に仕えていた。祖父も父も戦で命を落とした武勲の家柄で、自らも槍(やり)の使い手として鳴らした。島原の乱に出陣の際、戦の中で息子を失い、やがて主君の寺沢家は断絶。今は日雇い仕事で病気の妻を養っていた。
だが、最愛の妻は看病の甲斐(かい)なく世を去る。還暦を迎え、せめて祖父や父、息子のように侍らしく死にたいと考えはじめた折、軍学者、由比(由井)正雪による幕府転覆の企てを知る。
東大剣道部で練習に明け暮れていたある日「フランス語を学んでいたというだけの理由で」フランスへ剣道指導に行くことに。一年のつもりが、現地に居ついてしまった。指導のかたわら古い剣術の理論書を読みこむうち「そこから得たものを自分なりに表したいと思うようになった」。
フランスでは資料が手に入りにくいため、帰国のたびに古書店街や図書館を巡った。島原の乱の記述は詳細を極めるが、これも資料渉猟の成果。「実はまだ現地を見たことがない」と苦笑しながら明かす。
六左衛門には、還暦を控えた自分自身が投影されている。「侍の本質とは信念だと思う。主人公は平凡な男で、時代にもてあそばれ続けたが、最後は迷いなき平安の境地に達する。自らもそうありたいという思いをこめた」と語る。
次は一刀流の祖とされる伊東一刀斎を書きたいという。「離れることで見えてきた日本の良さ、剣道の良さがある。それを表現し続けていきたい」(
















これでは夫婦共働き家庭やシングルの立つ瀬がない・・
「フツーの家族」、という言い方・・・
本当に怖い。







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