メイン > 日経新聞日曜版『読書』 > 2006年12月10日~12月17日
| 敵対的買収を生き抜く | |
![]() | 津田 倫男 文藝春秋 2006-11 売り上げランキング : 3100 おすすめ平均 ![]() 護るも攻めるも命懸けの時代が眼の前に!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
王子製紙による北越製紙の買収提案など敵対的買収も珍しくなくなってきた。本書は、二〇〇七年五月を起点として敵対的買収がいよいよ本格化すると予言。いわゆる「三角合併」解禁で外資の攻勢が強まるとみているからだ。外資に狙われそうな業界も具体的に挙げ、解説している。(文春新書・七一〇円)
| ビゴーが見た明治ニッポン | |
![]() | 清水 勲 講談社 2006-12-08 売り上げランキング : 7241 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一八八二年(明治十五年)に来日したフランス人画家ビゴーは、庶民の生活に入り込み、当時の日本人の姿をユーモアあふれる筆で描きとった。ビゴーの専門研究者である著者が、代表的な作品百点を紹介。近代化と伝統文化のはざまで揺れ動いた明治日本の社会を読み解いていく。文庫オリジナル。(講談社学術文庫・八八〇円)
| ウェブ人間論 | |
![]() | 梅田 望夫 平野 啓一郎 新潮社 2006-12-14 売り上げランキング : 76 おすすめ平均 ![]() これから起こる社会の変化を予感させられるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
作品を通じてネット時代の人間の変容を描いてきた作家の平野と、ベストセラー『ウェブ進化論』を放ったコンサルタントの梅田による対談。ネットが「ウェブ2・0」と呼ばれる形に進化をとげ、大きな時代の変わり目を迎えたという認識は共通する。個が社会にどう関与するべきかという平野と、社会の変化の中で個がどう生き抜くべきかという梅田。双方の問題意識がぶつかる丁々発止のやり取りが刺激的だ。(新潮新書・六八〇円)
| アメリカの金融政策―金融危機対応からニュー・エコノミーへ | |
![]() | 地主 敏樹 東洋経済新報社 2006-11 売り上げランキング : 7757 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米連邦準備理事会(FRB)が新しい金融政策のスタイルを打ち立てたのは、一九九〇年半ばにかけてである。インフレ・ファイターのボルカーから八七年に議長を引き継いだグリーンスパンが、自らのカラーを確立したのがこの時期だ。
本書はその過程を丹念に検証する。注目すべきは、金融政策が単にマクロ経済指標を見ていれば十分だったわけでなかったことだ。貯蓄貸付組合(S&L)の破綻に代表される、金融システム不安にどう取り組むかという、もう一つの大きな課題がFRBの双肩にのしかかっていた。
当初、FRBは戸惑いを隠せなかった。九〇年の予想外の景気後退や九一年に広まった金融危機。小刻みな金融緩和を繰り返すグリーンスパン流の漸進主義が、この場面でうまくいったとは思えない。転機はクリスマス利下げと呼ばれた、九一年十二月の一%にのぼる公定歩合の大幅引き下げだ。定例会合のわずか二日後に議長は腹をくくったのである。
九二年から九三年にかけて、FRBは名目短期金利からインフレ率を差し引いた実質金利をゼロ%にする、思い切った金融緩和を実施した。金融機関の不良債権処理を促す狙いがあった。そのメドが立つのを見極めたうえで、九四年から実質ゼロ金利の脱却を試みる。金利を自然体に戻す作業が終わった段階で、米国にはニュー・エコノミーという追い風が吹いていた――。
こんな流れをたどりつつ本書は、資産価格変動と金融政策、金融危機と自由化の関連、日本のマクロ政策、政策情報公開と市場構造変化などのテーマに分析を加えていく。時系列の記述と理論的な分析が、縦横の糸を織りなすことで、FRBの政策手法の変化を立体的に理解できる。
安倍政権の上げ潮戦略は、九〇年代の米国のIT(情報技術)革命をモデルとし、その間の金融政策面による経済の後押しを強調する。それだけに、同時期の米金融政策を実証的に分析した本書の役割は貴重である。
ポイントは、政府と二人三脚でニューエコノミーを後押ししたグリーンスパン議長が、どうやって金融市場の信任を確立していったかだ。日本版のニューエコノミーを論じる際にも、この点の目配りが大切だ。 (東洋経済新報社・三、六〇〇円)
▼ぢぬし・としき 59年兵庫県生まれ。神戸大大学院経済学研究科教授。共編著に『アメリカ経済論』、共著に『国際金融』『中央銀行の独立性』がある。
| 中国が月着陸に成功すると何が起こるか The Day Chinese Reach to the Moon | |
![]() | 中冨 信夫 光文社 2006-10-24 売り上げランキング : 7140 おすすめ平均 ![]() タイトルがおおげさ。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
宇宙開発を巡る主要国の動きがめまぐるしい。台風の目は新興勢力の中国だ。有人宇宙飛行を次々に成功させ、月着陸の準備も進めている。米国もアポロ計画以来の月の有人探査を計画。米国のライバルだったロシアを加えた世界の宇宙レースの勢力図は塗り替わりつつある。宇宙工学が専門で内外の動向に詳しい著者が、この新しい構図とその将来を描いてみせる。
本書の収穫は、これまで実態がいまひとつ不透明だった中国の宇宙技術への突っ込んだ分析をしていることだ。中国の宇宙技術はロシアの技術のデッドコピーであるという見方があるが、著者は、単純な模倣にとどまらないレベルにすでに達しているとみる。また、宇宙開発を担う科学者や技術者に当局から課せられるプレッシャーは相当なもので、多額の投資と相まって中国の宇宙開発での存在感を引き上げているという。
ロシアやフランス、インドがそれぞれ描く宇宙開発戦略についても要点が手際よくまとめられている。日本はH2Aロケットの打ち上げの成功を重ねるなど一見順調だが、著者の見方では、新しい宇宙レースでは蚊帳の外に置かれつつあるという。独自の有人宇宙開発の手段を持たず、新規プロジェクトをつまみ食い的に進めては行き詰まるということが多く、戦略性に欠けているという。異論もあるだろうが、日本の宇宙開発の置かれている現実を直視させる本にもなっている。(光文社・九五二円)
| 日本経済の新局面 | |
![]() | 小峰 隆夫 中央公論新社 2006-11 売り上げランキング : 4232 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
景気の拡張期間が戦後最長になり、日本経済は長い停滞から脱した。しかし先行きには米中経済の減速の恐れや人口減少などの難題が控えている。短期、長期、超長期の各視点から今が「節目」にあたるとみて、苦い経験を振り返りながら、今後の環境変化への対応策を探っている。
興味深い分析の一つは、経済を内需と外需に分けることの無意味を説いた点だ。内需と輸出の合計である総需要が景気を左右するとみれば、今回の景気拡大は従来以上に輸出依存型だという。だからこそ、輸出に影響を及ぼす米中の経済などが今後の国内景気を左右するとみている。
長期では構造改革が重要だと主張する。「改革は是か非か」の論議に触れ、企業部門での改革が先行したため雇用形態の変化などが起きているものの、肝心の公的部門の改革は遅れており、その意味で改革は進めるべしという。
公的部門の改革では、元官庁エコノミストとしての経験も踏まえ、様々な基本法をつくることの弊害や、白書を通じ各官庁が国民に多くの「義務」を押しつけるナンセンス、政策決定システムの問題などを論じており生々しい。
超長期では少子化や人口減少がマイナス要因だが、一人あたり所得水準は増加の余地があり、それを追求するため技術進歩などの全要素生産性の向上が必要と説く。全体として、根拠の薄い通説を平易な説明で覆し、新鮮な見方を示しているのが特徴だ。(中央公論新社・一、八〇〇円)
| 偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件 | |
![]() | 斉藤 光政 新人物往来社 2006-11 売り上げランキング : 1937 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
邪馬台国が勢力を伸ばしたころ、青森・津軽地方には『古事記』『日本書紀』にも登場しない古代王朝が存在したとする『東日流(つがる)外三郡誌(そとさんぐんし)』は、一九九〇年代前半、真偽論争を巻き起こした。いまでは偽書とほぼ結論づけられたこの書物がたどった顛末(てんまつ)と、巻き起こした波紋の、地元紙記者による丹念な記録が本書だ。
著者は『三郡誌』“発見者”の著書に写真を無断転載されたと主張する研究者の提訴を報じ、偽書の闇に一歩踏み出す。知れば知るほどおかしな話が出てくる。原本は行方がわからない。明治に書写されたという文書は“発見者”の筆跡と似通っている。昭和初期に出版された画集とほぼ同じ構図の絵も見つかる。
稚拙な手口ではある。だが、観光振興に役立てたい自治体が飛びつき思わぬ権威を与えてしまう。辛苦の歴史の記憶がある東北の人々に古代王朝の存在は喝采をもって迎えられる。何よりも『三郡誌』が示唆するストーリーは面白い。小説や漫画のモチーフになる。一方、専門家は黙殺。原本の鑑定もできず、灰色のまま増殖してゆく……。
“発見者”が九九年に亡くなったあと、著者が訪ねた部屋には、文書の古色を出すために使ったと見られるペットボトル入りの尿があった。この部屋でひとり偽書を書き続けたとすればその暗い情熱は空恐ろしいほどだが、さまざまな関係者の欲望が連鎖し、偽書の存在を巨大にする過程こそが現代の怪談である。(新人物往来社・一、八〇〇円)
| ノスタルジックな未来―時詩津男写真集 | |
![]() | 時 詩津男 海鳥社 2006-12-01 売り上げランキング : 81586 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
都市空間や港湾、廃虚をさまよいながら、「風景の中にある本質的なものを撮ろうとしてきた」と語る写真家のモノクロ作品を集める。人の乗っていないメリーゴーラウンド、ショーウインドーから道行く人を眺めるリアルな顔立ちの人形、がけにぽつんと取り残されたかのような聖母像……。非現実的な世界のように見えて、実は存在感のある風景が並んでいる。写真は「長崎・五島、1992」。(海鳥社・3,800円)
| 新リア王 上 | |
![]() | 高村 薫 新潮社 2005-10-26 売り上げランキング : 4427 おすすめ平均 ![]() 永田町の一日、永平寺の一日、そして王たる福澤榮の絶頂Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 新リア王 下 | |
![]() | 高村 薫 新潮社 2005-10-26 売り上げランキング : 5740 おすすめ平均 ![]() 合田刑事新作「太陽を曳く馬」の必読テキスト 高村薫の真骨頂 絶対を誇る王が、息子たちに反逆の芽を見出すAmazonで詳しく見る by G-Tools |
高村薫さんの『新リア王』(新潮社)が第四回親鸞賞(本願寺維持財団主催)を受賞し、七日に京都で選考委員や受賞者による公開座談会が開かれた。
『新リア王』は日本経済新聞の連載に加筆した上下二巻九百ページの長編。『マークスの山』『レディ・ジョーカー』などでミステリー界の頂点に登りつめながら阪神大震災をきっかけにミステリーを離れて書き出した新しい大河小説の第二部にあたる。
第一部『晴子情歌』は、東京から津軽にやってきた大正生まれの女性、晴子が息子の漁船員の彰之にあてた、おびただしい手紙を軸に、大正から昭和にかけての日本人の精神史や東北の原風景を重層的な構造で浮き彫りにした。
これに続く『新リア王』は彰之の実父で自民党の大物代議士福澤榮と、下船したあと永平寺で雲水となった彰之の雪の庵(いおり)での三日間の対話を濃密な文体で描く。解脱を求めて悩む求道的な彰之と血縁や地縁や利権に縛られて苦しむ「現代のリア王」榮の息づまる思念が交叉(こうさ)する。聖と俗がせめぎ合う。
この作品を強力に推した選考委員の瀬戸内寂聴さんはこう語った。「この小説は難しいけど大変面白い。薄く、短く、軽いものがいま売れているが、難しい小説を読みたいという人もいる。こんなかわいらしい人があんな恐ろしい小説を書くなんて奇蹟(きせき)。高村さんこそ紫式部の後裔(こうえい)です」
ほかの選考委員もスケールの大きさや精神性の高さを称賛。「こういうすごい小説は初めて。現代批判のリアリズム小説とも歴史の目をもつ宗教小説とも読める」(加賀乙彦氏)。「日本でいま問題になっていることが三日間に投げ込まれて描かれている」(黒井千次氏)。「ジョイスや埴谷雄高や島尾敏雄の小説を連想した。漱石以来の知性の文学を継承する大型の作家だと思う」(中西進氏)
高村さんの話が興味深かった。「阪神大震災でミステリーが書けなくなった。これからは書けることを書いていこうと思った。何で政治や仏教かと聞かれるが、政治や宗教は私も苦手。しかし目の前にあってどうしてもわからないものを描いている」。おなじみの合田雄一郎刑事が登場する第三部『太陽を曳く馬』をいま「新潮」に連載中だ。
| 漱石さんの俳句 私の好きな五十選 | |
![]() | 大高 翔 実業之日本社 2006-11-30 売り上げランキング : 9226 おすすめ平均 ![]() 俳句の好きな人 これから始める人に おすすめAmazonで詳しく見る by G-Tools |
「吾妹子(わぎもこ)を夢みる春の夜となりぬ」。これは夏目漱石がロンドン滞在中、「吾妹子」つまり妻のことを思い出して詠んだ句。本書は気鋭の女性俳人が漱石の俳句五十句を選び、その時々の漱石の状況にも触れながら、みずみずしい感性で漱石の人間像に迫った。著者によると、俳句を通して見た漱石は「おおらか」で「のびのびとしている」という。一句ごとに自作の句も添え、「時空を超えた二人句会」という趣向も面白い。(実業之日本社・一、四〇〇円)
| 現場からみた経営支援―地域密着型再生支援と今後の指針 | |
![]() | 荒波 辰也 中村 廉平 金融財政事情研究会 2006-10 売り上げランキング : 12906 おすすめ平均 ![]() 金融マンは一読を 再生支援に携わる方へ このタイミングでこの程度の内容ではAmazonで詳しく見る by G-Tools |
例えばデット・デット・スワップ(債務の劣後ローン化)などと呼ぶと難しそうだが、地方のすし店チェーンなど身近な企業の経営再建にも日常的に使われ始めた新しい金融手法だ。メガバンクの不良債権は過去の問題となったが、日本全体で見れば地方の中小企業の再建はいぜん大きな課題。本書は全国の中小企業の動向に詳しい商工中金の第一線担当者らが執筆、「現場」の視点から事業再生支援の具体的な方法などを平易・実用的に解説している。(金融財政事情研究会・二、八〇〇円)
マフフーズ・文学・イスラム―エジプト知性の閃き
八木 久美子 (著)
一九八八年にアラブ世界で初めてノーベル文学賞を受賞したエジプト人作家、ナギーブ・マフフーズ(一九一一―二〇〇六年)を論じた一冊。その文学を丁寧に読み解くことで、「宗教とは何か」「科学とは何か」といった問題に真剣に向き合った生涯を明らかにしている。「みずからの政治的な信念と信仰心の両方に忠実に生きる道」を選んだ作家の思考を追うことは、現在注目を集めているアラブ・イスラム世界の理解にもつながる。(第三書館・二、〇〇〇円)
| 希望の構想―分権・社会保障・財政改革のトータルプラン | |
![]() | 神野 直彦 井手 英策 岩波書店 2006-11 売り上げランキング : 5456 おすすめ平均 ![]() 希望を宿し続けるために 当然のことが斬新に聞こえる,それが日本の問題? 待望の書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
小泉政権が取り組んできた地方分権、年金・医療、税制に関する改革の道筋を批判的に検証している。比較的若い研究者らによる分担執筆。全体を貫いているのは小泉改革を財政再建を至上命題とする「つぎはぎのビジョンなき改革」と位置づけた点だ。政府が抱える債務と資産を一体的に管理する国家像を提案することで財政至上主義を乗り越えられると主張するが、改革が財政破綻を口実に民主主義を蹂躙(じゅうりん)したという終章の指摘には違和感を抱く読者も多いのではないか。(岩波書店・一、九〇〇円)
| ケータイの未来 | |
![]() | 夏野 剛 ダイヤモンド社 2006-11-17 売り上げランキング : 819 おすすめ平均 ![]() まだまだ進化が続きそう 次の展開への示唆 異端どころかど真ん中Amazonで詳しく見る by G-Tools |
番号継続制導入やソフトバンクの携帯市場参入など、携帯電話を巡る動きが再び活発となっている。本書は携帯情報サービスの先駆けであるNTTドコモの「iモード」の立役者が携帯市場の将来を展望した。携帯技術を巡る通信会社やメーカー間の攻防が描かれ、脚注の用語解説と一緒に読むと、携帯電話市場の仕組みがよくわかる。業界関係者はもちろん、一般の携帯電話ファンにとっても興味深い一冊だ。(ダイヤモンド社・一、八〇〇円)
| 仁科芳雄往復書簡集〈1〉現代物理学の開拓 コペンハーゲン時代と理化学研究所・初期1919‐1935 | |
![]() | 中根 良平 仁科 浩二郎 江沢 洋 みすず書房 2006-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 仁科芳雄往復書簡集〈2〉―現代物理学の開拓 宇宙線・小サイクロトロン・中間子1936‐1939 | |
![]() | 中根 良平 仁科 浩二郎 江沢 洋 みすず書房 2006-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日本の現代物理学の父といわれる科学者、仁科芳雄の手紙を集めた『仁科芳雄往復書簡集』(全三巻、みすず書房)の刊行が始まった。二十世紀前半、ボーア、湯川秀樹、朝永振一郎らと交わした手紙は、日本の物理学史を読み解く一次資料として貴重。原爆研究についての記述も収録されている。各巻は年代別の構成で、I・II巻が既刊。III巻は一月発行の予定。中根良平ほか編。各巻一万五千円。
中国文学者で評論家の竹内好(一九一〇―七七年)の著作選集『竹内好セレクション』(全二巻、日本経済評論社)が刊行された。日本への批判的な視点を時代順に区分けした第一巻「日本への/からのまなざし」と、アジアへの関心を思想として練り上げていく過程をたどった第二巻「アジアへの/からのまなざし」で構成している。丸川哲史・鈴木将久編。
| たべもの快楽帖(けらくちょう) | |
![]() | 宮本 徳蔵 文藝春秋 2006-10 売り上げランキング : 734 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
バルザックや谷崎潤一郎に心酔し、相撲、歌舞伎、浮世絵、落語、映画、花街を愛する享楽主義者。自らの食いしん坊人生を振り返り、古今東西の美味を食べ歩き、レヴィ=ストロースのように「食べる意味」を掘り下げたユニークな食味エッセーだ。
「モンゴル出身力士の活躍を『力士漂泊』で予言したりしたこともあって、編集者からあんな風の食のエッセーを書けないかと勧められたのがきっかけ。僕の書くものはアルコールの入ったおしゃべりと同じで、どこで脱線するかわからない。それでもよいといわれて書いたのがこの本。特別に取材に行ったこともないし、調べたこともない」
すき焼き、ステーキ、鮑(あわび)、伊勢エビ、牡蠣(かき)、江戸前の大トロなど、よだれが出そうな美味が次々と登場。著者の高校の先輩の小津安二郎監督が好んだ松阪牛の話から、東大仏文科の学生時代に通った東京・銀座の「牛めしの店」、同郷のマラソンランナー、野口みずきのエネルギー源だったマグロの赤身のことと行きつ戻りつ、話が進んでいく。
「東大の恩師だった寺田透先生から、おまえは雑学だといわれましたが、いまから思えばその雑学を吐き出したといえますね」
好き嫌いがないのはフランスのグルメと似ている。辛党に見えるが、もち菓子やケーキを愛する甘党でもある。「アルコールには強い方だが、深酒をやったあとは無性に甘いものが食べたくなる。さんざん飲んだあとで汁粉屋ののれんをくぐったりする」
『日本書紀』や折口信夫がたたえた海の幸、谷崎の『細雪』の鯛(たい)、先代桂文楽の名人芸『鰻(うなぎ)の幇間(たいこ)』の鰻、プルーストの『失われた時を求めて』のプチット・マドレーヌも登場。「みなが飢えていた戦争中に少年期を送ったせいでしょうか。食べている時こそ平和だという思いがありますね」。(文芸春秋・一、五二四円)
(みやもと・とくぞう)1930年伊勢市生まれ。東大卒。作家。『浮游』で新潮新人賞。『力士漂泊』で読売文学賞。『虎砲記』で柴田錬三郎賞。他に『銀狐抄』など。
| 小津安二郎文壇交遊録 | |
![]() | 貴田 庄 中央公論新社 2006-10 売り上げランキング : 55070 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
川端康成、志賀直哉……。映画監督、小津安二郎は一流作家と幅広いつきあいがあった。小津の研究家である著者は、日記や雑誌記事などを渉猟、交遊の詳細を明らかにし、映画への影響を推し量る。「東京物語」のロケハン直前に永井荷風『断腸亭日乗』を読みふけるくだりなど、興味深い指摘が多い。
| 熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗 | |
![]() | 遠藤 ケイ 筑摩書房 2006-11 売り上げランキング : 73454 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
表題はマタギの言い伝えから。クマの血で汚れた山を清めるため、神が雨を降らせるという。だがマタギは、雨の前は動物が食いだめをしようと出歩くため猟のチャンスだという裏の意味も知っている。山の自然と折り合いをつけて生きるマタギの知恵を、イラストを交え解説した一冊。
| 千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン | |
![]() | 野村 進 角川書店 2006-11 売り上げランキング : 1002 おすすめ平均 ![]() 想像以上! 実取材によって裏打ちされた文明論Amazonで詳しく見る by G-Tools |
振動機能用モーターについたブラシ、水晶発振器、電磁波を遮断する合金。携帯電話で使うこれらの部品を作っているのは、すべて創業百年超の日本の老舗企業だという。廃棄された携帯電話の山から金や銀を取り出す技術を開発した老舗企業もある。本書は、そうした日本の技術を支える老舗製造業二十社を丹念に取材した。時代に柔軟に対応することが老舗たる条件であることを教えてくれる。
| アジア、幻境の旅―日野啓三と楼蘭美女 | |
![]() | 鈴村 和成 集英社 2006-11 売り上げランキング : 343137 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
読書とは作品世界で書き手の思索をたどる試みといえるだろう。もっとも、「旅する詩人」である著者は、そこにとどまらない。作品を丹念に読み解きながら、現実世界においても書き手の足跡をたどるのだ。今回の対象は作家の日野啓三(一九二九―二〇〇二年)。それはあとがきにもあるように「ささやかな追悼のいとなみ」でもある。
まず向かったのはトルコのカッパドキア。キリスト教徒が異教徒から身を守るため、岩に穴を掘って住んだと伝わる場所である。ここをモチーフにして「果ての谷」「地下都市」「幻影と記号」といった日野の小説が生まれた。現地を訪れた著者は思う。「この既視感は何だろう、この誰のものとも知れぬ悲傷の感情は」と。それは作品世界と現実世界が重なる瞬間だったのかもしれない。
日野がベトナム戦争のさなかに新聞社の特派員として滞在したサイゴン(現ホーチミン)などをめぐる旅では、フランス植民地だった時代の同国で生まれた作家マルグリット・デュラスがメーンターゲットとなる。二人の作家は子供のころに流浪の経験を持つ「ストレンジャー」である点が似ていると実感するのだ。
そこかしこに姿を見せるのは、生前から「『どこでもないどこか』にあこがれ出てゆく人」だった日野の「ゴースト」である。このロマネスク紀行は、著者にとって懐かしさを感じさせるゴーストとの二人旅だったようだ。
| M&Aと株価 | |
![]() | 井上 光太郎 加藤 英明 東洋経済新報社 2006-10 売り上げランキング : 5693 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
M&A(企業の合併・買収)が日本でも活発になっている。ところが、M&Aが実際に株主に富をもたらしているのかどうかの実証研究はあまりなかった。その点で本書は先駆的な試みだ。一九九〇年から二〇〇六年までの日本のM&Aと株式市場の関係を統計的に浮き彫りにする。
興味深い発見の一つは、買収する側にある企業の株価がプラスとなっていることだ。これは「M&A先進国」といわれる米国では見られない。買収する側は買収プレミアムというコストを負担するため買収後に株価低迷に見舞われるケースが多い。対照的に日本では十分なプレミアムが払われることが少なく、結果的に買収する側の株主が得する格好になっているという。
著者によれば、プレミアムが十分でない背景には、いわゆる「対等合併」を重視する企業風土のほか、特定の企業を巡って複数の買収者が競う「コンテスト性」の低さがある。最近でこそ敵対的買収も珍しくなくなり、プレミアムが重視される傾向が出てきたが、これまでは買収される側の株主がプレミアムをちゃんともらっていなかった可能性があるわけだ。
統計データに加え数式なども使っており、一般のビジネスマンがスラスラと読めるような内容にはなっていない。だが、王子製紙が北越製紙に対して仕掛けた敵対的買収について別個コラムを掲載するなど、読みやすくするための工夫も見受けられる。
| 地方分権と財政調整制度―改革の国際的潮流 | |
![]() | 持田 信樹 東京大学出版会 2006-09 売り上げランキング : 212830 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
五輪に備えて毎年一千億円の積み立てをするという東京都のような自治体があるかと思えば、破綻した北海道夕張市は極端としても、財政難にあえぐ自治体も多い。自治体の経済力の差を反映した財政力の格差をどのように調整すべきかを本書は海外の豊富な事例をもとに考察する。
各国とも試行錯誤の連続であることがわかる。州の自治権の大きい米国でも一九七二年、連邦の歳入を州などに分ける「一般歳入分与制度」を導入したが、連邦政府の負担が膨らみ、レーガン政権下の八六年には廃止、以後、財政調整制度なき国家となる。
スウェーデンは八六年に世界で最初の水平的財政調整制度を導入した。日本の地方交付税のようにいったん国税として国が徴収した税の一定割合を地方に配分する垂直的調整ではなく、裕福な自治体から、貧しい自治体へ水平的に配分、「ロビンフッド税」とも呼ばれる。九三年にいったん廃止、九六年には復活する。負担する側のストックホルム市は水平調整を絶えず批判、二〇〇五年には垂直的調整に近い制度に改正される。
地域経済の不均衡を反映した財政力格差の是正は各国共通の課題でもある。国の財政危機で絶えず削減圧力が働くが、福祉、教育、治安など自治体が遂行すべき最低限の仕事もある。日本の交付税は複雑過ぎるとの批判もあり、簡素化も模索されているが、動揺を繰り返す海外の事例も参考になりそうだ。
| THE ROLLING STONES | |
![]() | 中江 昌彦 小学館 2006-11-18 売り上げランキング : 83570 おすすめ平均 ![]() たしかに、切ないAmazonで詳しく見る by G-Tools |
不世出のロックンロールバンドの初期、1965年から66年にかけて、オンステージから私生活まで密着した。当時の彼らは成功を手にしつつあったが、まだスーパースターではなかった。ときに無邪気な表情を見せる若きメンバーたちの輝きはまぶしいほどだが、スターダムにのし上がるのと並行してドラッグがメンバーの亀裂を生み出していく。記録されたのは青春の「終わりの始まり」だ。中江昌彦訳。
| グレート・ギャツビー | |
![]() | スコット フィッツジェラルド Francis Scott Fitzgerald 村上 春樹 中央公論新社 2006-11 売り上げランキング : 42 おすすめ平均 ![]() はかなく美しい喪失の物語 ラストの素晴らしさ 登場人物たちの性格、心情の表現の素晴らしさAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 愛蔵版 グレート・ギャツビー | |
![]() | フランシス・スコット フィッツジェラルド Francis Scott Fitzgerald 村上 春樹 中央公論新社 2006-11 売り上げランキング : 579 おすすめ平均 ![]() 前評判ほどでは このかたちだAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| グレート・ギャツビー | |
![]() | フィツジェラルド 新潮社 1989-05 売り上げランキング : 15932 おすすめ平均 ![]() GreatというIrony ニック・キャラウェイの存在感 心にしみわわたる作品Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米国の作家、スコット・フィッツジェラルドの代表作『グレート・ギャツビー』(中央公論新社)が、最近のベストセラーリストに顔を出している。その原因は翻訳者によるところが大きい。人気作家の村上春樹氏が「僕にとってきわめて重要な作品」と位置づける長編小説を新たに訳したものだからである。
『グレート・ギャツビー』は一九二〇年代のニューヨークを舞台に、貧しい境遇から盛大なパーティーを開けるまでに成り上がったジェイ・ギャツビーと、豊かな家庭に生まれて裕福な男と結婚したディジーとの悲しい恋を描いている。
村上氏は「翻訳者として、小説家として」と題した訳者あとがきの中で、「翻訳の基本方針」として「『現代の物語』にすること」と「独特の素晴らしいリズム」をできるだけ生かすことを心がけたと述べる。そのために「小説家であることのメリットを可能な限り活用してみようと、最初から心を決めていた。(略)要所要所で、小説家としての想像力を活用して翻訳をおこなった」という。
実際に比べてみよう。野崎孝訳(新潮文庫)では「『ぼくは神秘主義は嫌いでしてね』そうぼくは答えた『どうして率直に用件を直接ぼくに打ち明けないんです?(略)』」という部分が、村上訳では「『謎かけは好きじゃない』と僕は答えた。『よくわからないんだけど、もし何か僕にしてほしいことがあるのなら、まっすぐ君の口から言えばいいじゃないか。(略)』」となっている。好みはあるが、村上訳の方が現代の感覚に近いだろう。
メールでのインタビューで「うまく訳せたという一文はありますか」との質問に、村上氏は「翻訳というのは、やればやるほど奥の深い世界で、『これはよくできた』というよりは、『このあたりは心残り』というものごとの方がずっとたくさんあります。(略)表面的な功名心みたいなものをできるだけ消すことが翻訳の第一義だというのが、僕の翻訳観です」と答えた。そこには翻訳者としての強い自負が表れている。
レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』の翻訳もほぼ完成しているとのこと。村上氏にとって翻訳は、まさに創作と並ぶ両輪なのだろう。
| グローバル人材マネジメント論―日本企業の国際化と人材活用 | |
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経済のグローバル化が進んだ今日、日本企業の人材戦略も国内だけでは完結しない。世界各国からいかに優秀な人材を集めて育成し、経営幹部に登用するかが長期的な競争力を左右する。だが出身国と勤務国が異なる場合など適正な評価や報酬を決めるのは容易ではない。日、米、アジアで人事コンサルティングに携わった著者は様々なヒントや実例を挙げながら「自社としてのグローバル・スタンダード」を持てと提唱する。
| インテルの戦略―企業変貌を実現した戦略形成プロセス | |
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栄枯盛衰の激しいIT(情報技術)業界にあって大成功を収め、今なお君臨し続けるインテル。本書は同社が生き残りを賭け自ら企業変貌(へんぼう)を遂げていった過程と、それを支える戦略がどうやって生まれたのかを克明に分析した。同社を十二年間にわたってフィールド調査してきた研究者の手になる書だけに一言一言に重みがある。石橋善一郎、宇田理監訳。
| アマゾン、森の精霊からの声 | |
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著者は一九八九年、ブラジルのアマゾンの先住民を支援する団体を設立。以来、同国のインディオ居住地を行き来し、植林や学校建設に奔走してきた体験をつづった。日本人の暮らしとアマゾンは密接なかかわりあいを持つと指摘する。いま森林に次々と火が放たれるのは、石油代替燃料と期待されるエタノールの原料、サトウキビや大豆の畑に変えるためという。大河の一滴に等しい活動を続ける著者のエネルギーに圧倒される。
| 鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町 | |
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「宿場がさびれる」「蒸気機関車から出る火の粉で火災が起こる」「村の若者が町にしばしば遊びに行くようになって堕落する」――。住民が鉄道建設に反対する明治期の「鉄道忌避伝説」に疑問を感じた著者は当時の史料を調べる。ところが忌避の証拠は見つからず、出て来るのは誘致に関することばかりだった。作られた「伝説」流布に一役買ったのは、一九二〇年代以降編集された地方史誌や小学校の副読本だった可能性を著者は指摘。今も続く伝説流布に警鐘を鳴らす。
| 間違いだらけの公務員制度改革―なぜ成果主義が貫けないのか | |
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公務員制度を巡っては長年にわたり様々な改革案が議論されてきた。それにもかかわらず抜本的な改革案が示されたことは一度もなく、せいぜい一時的な「対症療法」どまりだった。本書はかつて厚生労働省で国際労働機関(ILO)担当の課長補佐として制度改革にかかわった経験を持つ著者が改革の問題点を明らかにするとともに、どうしたら官を活性化できるのか、任用・評価・マネジメントなどの分野ごとに具体的な改革案を提言した。行間から制度改革に期待する著者の強い思いが伝わってくる。
| 牡蠣礼讃 | |
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カキ養殖業を営むかたわら、三陸のリアス式海岸から含蓄に富むエッセーを多数発信してきた著者だが、本職を真正面から書いた本は初めて。「いつでも書ける」との思いもあったが、「逃げていた節もある」。それだけに本書は三年間かけてじっくり取り組んだ。
本書を貫く柱はカキ養殖史だ。「子供や孫に伝えようにも適当な本がなかった」。軸となるのは沖縄県出身の宮城新昌一族と、岩手県出身の水上助三郎。こうした先達を直接知る人も少なくなってきており、「今書かなければ記録を残せない」と重い腰を上げた。
宮城は米国でカキ養殖業を起こし、日本のカキ種苗を米国に輸出する道を開いた。一方の水上は日本での水産業の成功者。ともに現在の基盤技術である垂下式養殖の基礎を築いた人物だ。「この技術がなければ今のカキ養殖産業はなかった」
二人の足跡を追い、ゆかりの人物に話を聞く。沖縄の古書店では貴重な資料を探し当てる。この二人ばかりではない。世界各地のカキ養殖地も訪ね、関係者にその来歴を尋ねる。人との出会いが養殖史を肉付けしていく様子は、一編のロードムービーの趣がある。
世界の産地を旅して、ふるさとの気仙沼湾が、カキ養殖にいかに適しているかに改めて気づいた。米国西海岸で出合ったオリンピア種は自らも栽培を始めた。川が運ぶ栄養分がカキの餌となるプランクトンを育て、海をきれいにするとの発想で始めた「森は海の恋人」として知られる植樹活動の効果も実感した。
「思いのたけをつづるエッセーとは違い、本当に疲れた。カキ養殖の肉体労働の方がよっぽど楽」と苦笑するが、次作の構想も芽生えた。二酸化炭素(CO2)吸収機能も果たすプランクトンの増殖に効果があるとされる鉄の役割を軸に、環境問題を体験的に描く予定だ。(文春新書・八〇〇円)
(はたけやま・しげあつ)1943年生まれ。カキ・ホタテ養殖業、京大フィールド研社会連携教授。著書に『日本〈汽水〉紀行』(日本エッセイスト・クラブ賞)など
| 現代倫理学事典 | |
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いじめや臓器移植など倫理やモラルに関連する社会現象が増えているなか、実践的な哲学として倫理学をとらえ直した『現代倫理学事典』(弘文堂)が刊行された。「マクロ」「ミクロ」などに大別し、千三百四十七項目で解説。生命や医療、環境、ビジネスなどを扱う応用倫理学にも目配りをした。本項目以外に「人生論の名著」を解説したコラムや、文献リストなども収録。編集代表は大庭健。















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