特集週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済が選んだ2007年度の経済・経営書ベストセラーを紹介します。

メイン > 2007年年間ベストセラー 週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだベスト経済書」(1~3位)

週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだ『ベスト経済書』」
2007年12月22日号, 週刊ダイヤモンド, 114~121ページ

今年の最も優れた経済・経営書はどれか? 経済学者、経営学者、エコノミストの投票によって選定される『ベスト経済書』。10年目を迎えた2007年は「高いレベルの地道な研究書」「グローバリゼーションの本質を見極める書」「通説に異を唱える書」が上位に登場した。

【1位】

法と企業行動の経済分析
法と企業行動の経済分析柳川 範之

日本経済新聞社 2006-11
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著者が語る 第1位 法と企業行動の経済分析

柳川範之(やながわ・のりゆき)/東京大学大学院経済学研究科准教授。1963年生まれ。慶應義塾大学専任講師を経て現職。他の著書に『契約と組織の経済学』など

第一位に選んでいただき、大変光栄です。

本書は、タイトルどおり法と企業の行動を研究したものです。法と経済学の境目の問題ですね。

経済学にとってこうした学際的な研究が重要であるだけでなく、この境目で現実にライブドア、村上ファンド問題などさまざまな問題が起きていた。

こうした問題に対して、どんな法制度がよいか。本書にはその“即効薬”が盛り込まれているわけではありません。が、きちんとした処方箋を出すための基礎固めをしないといけない、という思いでまとめ上げました。

目下、耳目を集めているサブプライムローン問題の関連としては、第八章で「証券化の役割と課題」について考察しています。

いまやうさんくさいものとして語られる証券化ですが、リスクシェアリングなどメリットもある。必要な仕組みであるのは確かです。ただし、売り手と買い手のあいだの「情報の非対称性」など重要な問題を孕んでいる。証券化はすべてダメではなく、うまくその機能を使いこなす道を考えるべきでしょう。

ある先生の言葉ですが、「飛行機は危ないから飛ばすな、ではなく、安全対策を立てて飛ばすことを考えるべき」なのです。

本書は専門家向けの書です。用語もとっつきにくいと感じられるでしょう。ビジネスマンの皆さんには、まず第四章の雪印乳業の事業再編ケーススタディから目を通していただけたらと思います。

雪印グループの破綻から事業整理、再建に至るプロセスは、荒療治を迫られてはいない普通の会社においても、十分参考になるケースだと思います。部門売却などで企業価値を高めるアプローチは、もっと注目されてしかるべきです。

次作としては「コンテンツビジネスの今後のあり方」「ここ一〇年の金融市場激変が日本企業、日本経済にどんな影響を与えたか」に関心を持って取り組んでいます。


【2位】

不都合な真実
不都合な真実アル・ゴア 枝廣 淳子

ランダムハウス講談社 2007-01-06
売り上げランキング : 265

おすすめ平均 star
star啓発的な書
star明日から出来ること
star環境問題への入門書として

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著者が語る 第2位 不都合な真実 切迫する地球温暖化、そして私たちにできること

アル・ゴア/前米国副大統領。他の著書に『地球の掟』など

時代の転換点となった京都議定書のホスト国を務めたことなど、私は日本のリーダーシップに敬意を抱いています。ただ、さらに大きな努力を求められていることは確かです。

地球温暖化という危機に対して、世界の人びとは必ず行動を起こすでしょう。私は楽観的な見通しを持っています。まだ時間はあります。でも、仕事は今すぐに始めなければなりません。

訳者が語る 枝廣淳子

豊富な図や写真を用い、温暖化の原因や影響、取るべき対応を冷静にわかりやすく伝える書です。温暖化は経済の問題でもあり、その本来の目的のために経済をどう再構築すべきかも考えさせてくれます。本書のメッセージは「希望」。私たちは温暖化の悪化を防げるのです――すぐに行動すれば!


【3位】

人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか
人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか水野 和夫

日本経済新聞出版社 2007-03
売り上げランキング : 8623

おすすめ平均 star
starもっと早く読んでおけば……
starかなりの読み応え
star値段が高いだけの価値はありました

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著者が語る 第3位 人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか

水野和夫著(みずの・かずお)/三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト

このところ景気は回復してきた。なのに、長期金利はずっと二%を下回っている。本来ならばありえないことです。そこに込められた債券市場のメッセージとは何かを解読したい、というのが本書を書くそもそものきっかけでした。

景気回復しても人件費は上がらず、物価も下がるといったように、今まで考えられなかったことが一九九五年以降、起こっている。それは、資本主義が大きく変わろうとしている表れだと、私は考えます。「インフレがすべてを解決する」といった既成概念は通用しなくなっている。

現在のサブプライムローン問題というのは、資産の交換で利潤を上げる「金融の肥大化」に米国の低所得者層が巻き込まれた、その反動と考えます。その「肥大化」はもはや極限まできた。今後はどこへ行くのかを次のテーマとして考えています。


メイン > 2007年年間ベストセラー 週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだベスト経済書」(4~6位)

週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだ『ベスト経済書』」
2007年12月22日号, 週刊ダイヤモンド, 114~121ページ

【4位】

不況のメカニズム―ケインズ「一般理論」から新たな「不況動学」へ (中公新書 1893)
不況のメカニズム―ケインズ「一般理論」から新たな「不況動学」へ (中公新書 1893)小野 善康

中央公論新社 2007-04
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おすすめ平均 star
star失われた15年唯一の果実
starケインズ経済学の限界を鋭く指摘。
starマジックワード「乗数効果」の否定

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●著者のケインズ経済学解釈の集大成ともいえる本。現状批判よりも、ケインズ経済学の再構築を目指している側面のほうが印象深かった(齊藤誠・一橋大学教授)

●ケインズ経済学の有効性と限界を明確にし、現在の日本の経済政策をその議論の延長線上に示した(杉浦勝章・下関市立大学准教授)

●著者独自の小野理論をわかりやすく、かつ現実の日本経済との関連で説明する。知的刺激に溢れている(井堀利宏・東京大学教授)

●不況対策としてのケインズ経済学は、多くの批判にもかかわらずいまだに有効。ケインズが十分に検証しなかった不況のメカニズムを明らかにし、新たな不況動学論を提示(水谷重秋・南山大学教授)

●著者の独創的研究の集大成。迫力十分である。おなじみのケインズ理論を換骨奪胎して小野・ケインズ理論を再構築する。一九九〇年代不況から現在に至るまで、現実をうまく説明できる点で、小野・ケインズ理論の射程は広い(熊野英生・第一生命経済研究所主席エコノミスト)


【5位】

市場を創る―バザールからネット取引まで
市場を創る―バザールからネット取引までジョン・マクミラン 瀧澤 弘和 木村 友二

エヌティティ出版 2007-03
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おすすめ平均 star
star市場は如何にして創られるのか
star実態に基づく経済学
star不完全なメカニズムとしてのマーケット

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●市場を機能させるプラットフォームを明解にし、歴史をたどりながら競争の意味を問う(小見志郎・県立広島大学教授)

●市場を機能させるには、自由放任主義に従えばよいわけではなく、適切な制度設計が必要であることを説く。紹介事例に卓越した洞察力と幅広い知識が垣間見られる(樋口美雄・慶應義塾大学教授)

●市場は放っておいても勝手に機能するものではなく、社会的・制度的にうまく設計されることこそが重要であると教える(山本昌弘・明治大学教授)

●今年ノーベル賞の対象となった「メカニズムデザイン」の考え方をやさしく説明し、行政が市場に直接介入するのではなく、ルールをつくることによって望ましい状態を実現することを説く(池田信夫・上武大学大学院教授)

●市場機能が働くための条件と、その費用および便益を説得的に示した好著。残念ながら、著者の遺作となってしまった(北村行伸・一橋大学経済研究所教授)


【6位】

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌竹中 平蔵

日本経済新聞社 2006-12-21
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おすすめ平均 star
starハラハラ、ドキドキ
star今、そこにある危機
star詭弁にしかすぎない

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●小泉構造改革の経済政策担当者による経済理論と実際の政策への適用についての論争の書。政治家たちの抗争についての話もおもしろい(鈴木正俊・拓殖大学教授)

●学者が政治にかかわり、政策運営に携わった。その体験談が生々しい(阿部誠・東京大学教授)

●構造改革と郵政改革の司令官による貴重な記録。郵政民営化などを解説する類書はあるが、改革の現場にいた人物の日誌は興味深い。政策プロセスの変化と金融改革における不良債権処理(特にりそな)も、郵政民営化と同レベルの大きな転換点だったと思う(名越洋子・明治大学教授)

●「官僚の無謬性」の呪縛と「抵抗勢力」の圧力のなかで構造改革を進めていった五年半の記録。「戦略は細部に宿る」との言葉が印象的(中里透・上智大学准教授)


【6位】

新時代の中小企業金融―貸出手法の再構築に向けて
新時代の中小企業金融―貸出手法の再構築に向けて小野 有人

東洋経済新報社 2007-06
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おすすめ平均 star
star現代の中小企業金融を理解するために

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●現在、中小企業金融について問題になっている論点のほとんどを明快に説明し、重要な事実を示してくれる。必読の文献となった(伊藤修・埼玉大学教授)

●感覚的な議論でなく、アンケートデータに基づいた有益な議論を展開(家森信善・名古屋大学教授)

●中小企業金融を理論的枠組みと実証的手法で明らかにしようという新しいアプローチの代表(今喜典・青森公立大学教授)

●トランザクション・バンキングの諸形態、その可能性と問題点について深く検討し、今後を展望する(斉藤美彦・獨協大学教授)


【6位】

H. ミンツバーグ経営論
H. ミンツバーグ経営論ヘンリー・ミンツバーグ DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部

ダイヤモンド社 2007-01-13
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おすすめ平均 star
starミンツバーグ教授に初めて触れる人へ
starマネジメントや戦略に対する新たな視点
star論文集だからか

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●マネジメントとマネジャーの役割を理論的にわかりやすく著したものであり実践的。第一線で働くマネジャーたちにとっても必要な一冊といえる(森隆行・流通科学大学教授)

●「HBR」誌に掲載された一〇編の論文を収めたアンソロジー。その領域は、経営者、戦略形成、組織設計に及ぶ。「日本企業に戦略はほとんどない」と言ったM・ポーターを、「日本企業から戦略を学べ」と論破したように、ミンツバーグの理論には、もてはやされる理論や常識を超える理論展開のおもしろさがある(森本博行・首都大学東京教授)

●ミンツバーグ経営学の全体系を知りうる一冊。右脳と左脳または戦略計画と創発戦略のバランスなど、安易な合理性追求に警鐘を鳴らしつつも、有効な経営理論を追求し続ける著者の姿勢に感銘を受ける(山本昌弘・明治大学教授)


メイン > 2007年年間ベストセラー 週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだベスト経済書」(9~15位)

週刊ダイヤモンド「経済学者・経営学者・エコノミスト163人が選んだ『ベスト経済書』」
2007年12月22日号, 週刊ダイヤモンド, 114~121ページ

【9位】

あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実
あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実ピエトラ リボリ Pietra Rivoli 雨宮 寛

東洋経済新報社 2006-12
売り上げランキング : 16174

おすすめ平均 star
star世界を平和に近づけるための経済書
star搾取工場の善悪について考えさせられる。
star先進国発展の歴史を知る一冊

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●現実のなかでグローバリズムがいかに展開しているか、政治と経済がいかに絡み合っているかが鮮やかに描き出されている(江間彰夫・拓殖大学教授)

●国際経済の実態、それが先進国と途上国の人びとの生活にどう影響しているかを、身近なものを題材にわかりやすくおもしろく描く(小畑徳彦・流通科学大学教授)

●安価なTシャツは自由貿易の象徴のように見なされるが、現実を見ればそうではない。しかし、古着となったTシャツはアフリカへと輸出され、自由な市場で売られる。そこで、人びとは市場で生きる才覚を磨き、経済発展のための準備をしている。Tシャツを主人公にして、これほどスリルとサスペンスに満ちた経済書を書いた著者の力量に脱帽する(原田泰・大和総研チーフエコノミスト)


【10位】

組織の〈重さ〉―日本的企業組織の再点検
組織の〈重さ〉―日本的企業組織の再点検沼上 幹

日本経済新聞出版社 2007-08
売り上げランキング : 22056

おすすめ平均 star
star組織の通信簿

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●日本企業の組織が抱える諸問題を綿密な実態調査によって解明しようとした本格的な学術書(佐々木恒男・青森公立大学教授)

●こうしたすごい研究が続けば日本の組織研究は飛躍的に向上する(竹村正明・明治大学准教授)

●日本企業が陥っている閉塞状況を、組織の〈重さ〉という概念を導入し、実証的に明らかにする。実務家にとっても新鮮かつ納得感のある示唆が多い(歌代豊・明治大学准教授)


【11位】

市場の真実―「見えざる手」の謎を解く
市場の真実―「見えざる手」の謎を解くジョン・ケイ 佐和 隆光

中央経済社 2007-02
売り上げランキング : 267438

おすすめ平均 star
star興味深い内容だが、浅い

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●市場経済は自由放任ではなく、多様な取引参加者に対して、情報とインセンティブにより規律が与えられる。その市場経済はインターネットの登場などで変質を迫られている(渡部亮・法政大学教授)

●経済学についてもう少しステップアップしたい人にお薦めの書。経済の教科書に出てくる内容を具体的に理解するには非常に有用(綱辰幸・長崎県立大学准教授)

●市場経済全盛の今、あらためて「市場」の本質を見つめ直すための良書。とかく感情的な議論となりがちな市場主義の是非の議論を、歴史的かつ広範な視点で冷静に切り分けている。邦訳もすばらしい(益田安良・東洋大学教授)


【11位】

「小さな政府」の落とし穴―痛みなき財政再建路線は危険だ
「小さな政府」の落とし穴―痛みなき財政再建路線は危険だ井堀 利宏

日本経済新聞出版社 2007-08
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●財政運営のあり方のいわば“王道”を示した本。中規模な給付と負担のための処方箋が豊富に示される(加藤久和・明治大学教授) ●財政にかかわる問題の全体について、よく配慮が行き届いた議論がなされている(山田雅俊・大阪大学教授)


【11位】

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す
世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正すジョセフ・E. スティグリッツ Joseph E. Stiglitz 楡井 浩一

徳間書店 2006-11
売り上げランキング : 9304

おすすめ平均 star
star世界最高の経済学者が信じる「こうすれはグローバリズムはよくなる」
star提言の現実性にやや疑問
star グローバリズムがもたらした弊害への警鐘と、これからの処方箋

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●ここまでわかりやすくグローバリゼーションの光と影について描かれた本は今までなかった。格差の原因として、現在の世界経済の運営を批判するだけでなく改善策も説く(永濱利廣・第一生命経済研究所主任エコノミスト)


【11位】

日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く
日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く伊東 光晴

岩波書店 2006-12
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おすすめ平均 star
star真っ当に日本経済を論じるとこの本に行き着く

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●経済理論は抽象的な推論だけでなく、実態経済を常に見つめながら磨かれていくものである。ケインズ研究の第一人者である伊東名誉教授による本書は、理論と実証の両方を視野に収めており、老大家の作品としてふさわしい(須永隆・亜細亜大学教授)

●日本経済の動向に警鐘を鳴らし続けてきた碩学が、渾身の力を込めて「誤った理論は誤った政策を導く」ことを明らかにすべく執筆した本書は、巷に跋扈する現場を知らない教科書育ちの経済学「学者」に対する銀の銃弾である(加藤和暢・釧路公立大学教授)


【15位】

資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略野口 悠紀雄

ダイヤモンド社 2007-06-01
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おすすめ平均 star
star欧米の真似をすれば幸せになれるのでしょうか?
star年金問題
star星はなんとなく

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●国際経済学の論理をもって、巷に溢れる間違った常識を正す書。これだけ長い間「開国」が叫ばれながら、いまだに鎖国状態にある日本に対する深い憂いが記されている(益田安良・東洋大学教授)


メイン > 2007年年間ベストセラー 週刊東洋経済「年末・年始にぜひ読みたい経済・経営書ベスト100」(1~3位)

週刊東洋経済「この経済本がすごい!-年末・年始にぜひ読みたい2007年決定版-経済・経営書ベスト100」
2007年12月29日号, 週刊東洋経済, 172~191ページ

2007年経済・経営書ベスト100は、日本とアメリカの金融政策や経済構造、グローバル経済の変貌をテーマにした本が上位に入った。1位は『財投改革の経済学』。「政府の金融活動」である財政投融資を経済学的に分析している。財投改革や郵政民営化の理論的根拠を提供した。

【1位】

財投改革の経済学
財投改革の経済学高橋 洋一

東洋経済新報社 2007-10
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財投改革、郵政民営化の理論的根拠を提供する

高橋洋一(たかはし・よういち)/1955年東京都生まれ。内閣参事官。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒業。80年大蔵省入省、2006年より現職。

財政投融資は「政府の金融」あるいは「第二の予算」とも呼ばれて、戦後の日本経済に大きな役割を果たしました。その財政投融資を経済学的視点から分析しています。

財投改革や郵政民営化について初めて経済学的視点から分析しています。私は大蔵省で働いていましたが、1990年代の大蔵省時代の約半分は財投改革の仕事をしたので、それが財政投融資の研究をする契機でした。財政投融資は入り口の郵便貯金、厚生年金などの資金を、大蔵省資金運用部に集中し、出口の住宅金融公庫、道路公団、日本開発銀行(いずれも名称は当時)などの財投機関に配分する仕組みでした。

大蔵省理財局には、財政投融資が「政府の金融活動」であるという認識は薄く、「第二の予算」として、なるべく多く資金を集めて配分するという発想が濃厚でした。「金融」という認識が薄く、単年度で使う予算という意識だったために、そこには、金利を同様にするか、長短のミスマッチで発生する金利リスクをどうコントロールするかという発想(資産負債総合管理)がありませんでした。 財投機関は、いざとなれば政府から税金が投入され、救済されるので、融資が不良債権になるという信用リスクもゼロでした。

ところが、入り口と出口の長短のミスマッチ、すなわち見えない巨大な金利リスクがありました。

また、郵便貯金にも問題がありました。70~80年代に郵便貯金に預貯金が移動する「郵貯シフト」が顕著になりました。銀行は、郵貯の定額貯金について、流動性と定期性を持つ極めて有利な、経済合理性のない商品だと批判しました。

だが、私はちょっと待てよと思い、大学で数学を専攻し金融工学もかじっていたので、その視点から分析を始めました。定額貯金の期間は10年ですが、預け入れから6カ月後には自由に解約することができます。すなわち定額貯金は10年貯金にプットオプションが付いたものです。

プットオプションとは、将来にある価格で金融商品を売れる権利のことです。問題は金利の付け方、つまりプットオプションの計算を経済原理にのっとって行うことでした。

そこで、90年代初頭に定額貯金の金利設定ルールができました。つまり、適正なプットオプション価格を算定して、順イールドのときは銀行の3年定期に近い金利、逆イールドのときは、10年国債に近い合理的な金利にしたら、郵貯シフトが消えました。

郵政民営化で有効だった経済学的アプローチ

――郵政民営化では、高橋さんが小泉純一郎首相や竹中平蔵総務相(当時)を支える知恵袋になったとうわさされましたが……。

郵政民営化準備室参事官としてお手伝いさせていただきました。郵便貯金や財政投融資は経済学的視点から分析すると、政治的アプローチとは別の姿が見えてきます。経済合理性からいえば、郵便貯金の資金運用部への預託義務廃止(2001年)や郵貯の民営化(07年)は必然の出来事です。以前の制度のままなら、資金運用部や郵便貯金は、今頃は膨大な金利リスクを抱えて、いずれ破綻することは必至でしたから。

預託金利は市場金利より高かったのです。財投機関への税金投入が、郵便貯金と財投機関への「ミルク」に化けていたのです。

95年ごろから、私は大蔵省の事務方として財投改革に携わりましたが、郵便貯金の預託義務を廃止し財投債で市場から調達するということになりました。そのほうが資金運用部の金利リスクをうまく管理できるからです。これを郵便貯金から見れば、市場で資金を運用することになります。また、資金運用部から財投機関への貸付金利も市場金利とし、財投機関も市場金利で調達することにしました。これで、入り口、出口とも人為的な金利ではなく、市場が決めた金利で運用し、調達することになります。入口の郵便貯金は市場で自主運用し、中間の資金運用部は資産負債総合管理を行い、出口の財投機関には政策コスト分析を適用し、税金投入を減らしていく。

このような改革を進めていくと、郵便貯金は、自主運用になりますが、公的性格からリスクをとれないので、運用対象は基本的には国債しか考えられません。一方、郵便貯金の調達コストは国債と同じです。となると、郵便貯金は国債で資金を調達し、国債で資金を運用する機関ということで、経費を賄うことができないので、必ず潰れる構造にあります。これを回避するには民営化しかありません。

財投改革は出口の財投機関が税金をのみ込んでいて国民の負担になっている、という政治的なアプローチから俎上に上がりましたが、こうした政治的アプローチでは、部分の現象面しか見えません。財投全体のシステムの解明はできず、改革はうまくできなかったでしょう。改革する際の経済学的アプローチの有効性をこの本は語っていると思います。と同時に、政策は情報等に制約がある中で総合的アプローチも必要です。

ベスト100アンケート回答者のコメント

●通常、政策立案の実務担当者は、あまりそのプロセスや依拠した理論について多くは語ってくれない。後世の経済史家、経済学史家はさまざまな断片的資料からそれを再構築していく。しかし、本書はそうした後世の歴史家の負担を低減してくれそうだ。財投改革、郵政民営化、特殊法人改革、政策金融改革、と小泉内閣の下で実行された政策の基礎となった経済分析をまとめた本書は、間違いなく後世の歴史家にとって重要な文献として参照される。(中村宗悦)

●小泉政権の後を継いだ安倍政権があえなく崩壊した2007年最大の収穫。小泉改革の時代の論理がわかる。著者は、一連の改革を公的金融機能の市場化に始まる連鎖反応と喝破。財政投融資から始まり政策金融改革に至る公的金融改革のみならず、道路公団民営化から金融政策と財政再建の関連などマクロ的な話題に至るまで、豊富な知見と洞察に満ちている。実際に政策を立案した人物の論理をうかがわせる貴重な歴史的証言としても興味深い。(若田部昌澄)

●政府の実務者として財投改革、および郵政民営化に携わった著者が、満を持して世に問うた財投改革論の決定版。郵政民営化後のマネーフロー、公的金融の歴史的裏付け、国際比較、将来展望、金融政策や財政政策を含む他の経済政策への影響、ありうべきポリシーミックスなど、公的金融システム改革のついてのトピックスを網羅している。特筆すべきは、最適金融政策のニューケインジアンモデルにおける厳密な数式化、ソフトな予算制約といった最新の金融・経済理論を駆使しての高度な分析を極めて平易・簡潔に記していることである。(安達誠司)


【2位】

人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか
人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか水野 和夫

日本経済新聞出版社 2007-03
売り上げランキング : 546

おすすめ平均 star
starもっと早く読んでおけば……
starかなりの読み応え
star値段が高いだけの価値はありました

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帝国化、金融化を軸に新しい経済学を提示

●「グローバリゼーション」はやや使い古されたテーマではある。しかし、著者は豊富な統計データを駆使し、説得力のある論理展開を繰り広げている。現在の世界経済の状況などさまざまな確認に役立つ好著。2007年上期の首位という評価にも納得する。(佐野一彦)

●「1995年を境に戦後経済の常識の多くが通用しなくなった」。筆者は背景にグローバリゼーションがあると指摘する。そして、その本質は「労働者の黄金時代」に終止符を打つ「資本の反革命」ととらえる。  つまり三つの構造変化が起きているとする。〔1〕国民国家の退場と金融帝国化した帝国の台頭(帝国化)、〔2〕金融経済の実物経済に対する圧倒的優位性(金融化)、〔3〕均質性の消滅と拡大する格差(二極化)の三つである。新しい経済学を提示している。(霧島和孝)

●「資本の反革命」と「帝国化」をキーワードに、世界経済の構造変化を読み解く試み。景気回復が続き、需給がタイト化する中にあっても賃金の低下がみられ、物価が上昇しにくいのはなぜなのか、経済の二極化が進展しつつある現状をどのように理解したらよいのかといった点について、独自の視点から興味深い分析がなされている。  足元あるいは目先の短期的な経済の動向を、近代世界経済システムの変遷という歴史的なパースペクティブの中に位置づけて考えるスタンスは、水野氏ならではのものである。(中里 透)

●膨大なデータを活用した、内容の濃い経済書である。経済評論の常識に対し異論を表明しつつ、グローバル経済の推移と今後をわかりやすく論じている。特に、過去の長期時系列データに裏打ちされた筆者の実証的アプローチには感服する。筆者の歴史的知識と洞察力の賜物であろう。(大槻奈那)


【3位】

波乱の時代(上)
波乱の時代(上)アラン グリーンスパン 山岡 洋一/高遠 裕子

日本経済新聞出版社 2007-11-13
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おすすめ平均 star
starやはり一読はしておいた方がいい本だと思います
star米国の前司令塔が語る20年間の世界経済
star最終学歴ジュリアード音楽院で世界の経済を動かした男

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波乱の時代(下)
波乱の時代(下)アラン グリーンスパン 山岡 洋一/高遠 裕子

日本経済新聞出版社 2007-11-13
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おすすめ平均 star
star思っていたよりは...
star下巻は"ご託宣"みたいなのがく、開発途上国の指導者たちに説く啓蒙書みたいな感じ
star続・功罪

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単なる回顧録ではない2030年の世界も預言

●グリーンスパン前FRB議長の回顧録(上巻)と独自の資本主義観を述べたもの(下巻)をコンバインした待望の書。

上巻は、著者が、ニューヨークの子供時代を野球選手や電信技士を夢見たりして過ごし、プロのバンド奏者として働いた後、経済学を志し、民間の経済コンサルティング会社から、CEA(大統領経済諮問委員会)委員長、そして87年にFRB議長にまで上りつめ、06年に退任するまでの生涯を描いている。

第8章の「根拠なき熱狂」では、この有名なアイデアが、本人が大好きなバスタブの湯につかっているときに浮かんだという話や、夫人との新婚旅行秘話が明かされるなど、エピソードは尽きない。(嶋中雄二)

●グリーンスパンは、サブプライムローン問題の深刻化で落ちた偶像と化してしまった感がある。しかし、世界的なディスインフレ、低金利を「謎」と呼んだが、その実現に金融政策が果たした役割の評価は極めて謙虚で、未来への洞察に学ぶべき点は多い。(櫨 浩一)

●下巻では資本主義や金利についてのグリーンスパン独自の考え方が述べられており、「経常収支と債務」などグローバル経済の重要テーマを取り上げて論じている。現在現実の起きているサブプライムローン問題の本質を理解し、さらに市場と国家の「これから」や資本主義の行方を考えるうえでも、必読の書といえるだろう。(水野和夫)

●FRB議長として決断した政策の背景、苦悩、時の政権への批判、自らの誤り、それに人間味あふれるエピソードなどが、議長時代には考えられない率直さで語られている。下巻では、氏のいくつかの結論が紹介されている。対外不均衡、エネルギー、高齢化、所得格差など、今後のグローバル経済を考えるうえでの主要な論点が網羅されている。2030年の米国および世界経済の予測で締めくくっている本書は、単なる回顧録にとどまらない。(森山昌俊)


メイン > 2007年年間ベストセラー 週刊東洋経済「年末・年始にぜひ読みたい経済・経営書ベスト100」(4~6位)

週刊東洋経済「この経済本がすごい!-年末・年始にぜひ読みたい2007年決定版-経済・経営書ベスト100」
2007年12月29日号, 週刊東洋経済, 172~191ページ

【4位】

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)
1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)竹森 俊平

朝日新聞社 2007-10-12
売り上げランキング : 11957

おすすめ平均 star
star1997年の金融危機についてわかりやすく解説している一冊。
star不確実性への対応
star必読。ただし、危機は常に予想もしない形でやって来る。

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アジア通貨危機が米国のバブルを生んだ

竹森俊平(たけもり・しゅんぺい)/慶應義塾大学経済学部教授。1956年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。著書に『経済論戦は蘇る』(第4回読売・吉野作造賞)、『世界デフレは三度来る』など。

今日の深刻化する米国サブプライム危機の起源が、1997年のアジア通貨危機にあると指摘しています。

10年前の97年は世界経済にとって非常に重要な年でした。中でもアジア通貨危機は大きなインパクトがありました。世界の成長セクターであるアジアで通貨危機が起こり、それを最後のドルの貸し手である国際通貨基金(IMF)が流動性を供給して救済することをしなかったため、アジア諸国は、その苦い教訓から資金の借り手であることをやめて、かつての日本のように自己の貯蓄の範囲で投資をするようになり、さらには逆に貯蓄を海外に出すことになりました。そのことが、世界的な過剰貯蓄を生み出します。それが米国に集まり、ITバブルを起こすことになります。

ITバブルが2001年ころに崩壊すると、世界的な過剰貯蓄の受け皿がなくなり、デフレを伴う深刻な不況が襲う危険が生まれました。

これに対応するためには、ITバブルに代わる投資対象を発見し、それを金融緩和で刺激するしかない。グリーンスパン前FRB議長が強力な金利引き下げを行ったとき、それに敏感に反応した投資対象が何かといえば米国の不動産でした。

その後、新興国を含めたおカネが米国に流れ、長期金利を下げる段階で不動産投資は一層刺激される。その傾向はしばらく続き、04年に連銀が金融引き締めに転じてからも長期金利がしばらく上昇しなかった事態を指して、グリーンスパン前議長は「謎(コナンドラム)」と呼んだ。

米国の住宅バブルが進行すると、ホームエクイティが増え、米国の個人消費が伸びる。米国の個人消費は世界のGDPの20%を占めているので、世界経済も拡大します。

ところが、その後、長期金利にようやく金融引き締めの効果が表れだし、住宅バブルが崩壊します。07年のサブプライムローンの不払いの増加の原因はこれです。サブプライムの中でも、不払いは金融政策の転換を受けて金利がハネ上がった変動金利ものに集中している。この結果、世界経済は97年より深刻な金融危機に直面しつつあります。

サブプライムローンは通常のプライムローンとは異なり、与信の審査さえ十分にはしていません。プライムローンの個別リスクは与信審査でチェックされ、危ないものは落とされているので、プライムローンの危険とは、景気循環によるシステマチックなリスクです。ところが、与信審査が不十分なサブプライムでは個別リスクがこれに混合している。しかもサブプライムのデータは少ないので統計的にもリスクが満足に計れない。なにしろサブプライムローンの残高は93年にはほぼゼロで、03年でもまだ7~8%程度。それが急成長して20%にまで増えた。過去のデータは不十分です。シカゴ学派の経済学者ナイトが指摘した計測できない危険、「不確実性」がその結果、サブプライムのローンには混入します。しかも、そのような「不確実性」が証券化によって全世界の投資家にばらまかれていた。

投資家にひとたび「不確実性」の危険が認識されると、「質への逃避」が起こる。国債のような安全で流動的な資産か、現金、預金かに資産のシフトが起こるわけです。だから「流動性への逃避」といってもよい。そのため信用収縮が起こり、ひどい場合にはデフレになります。

――「質への逃避」は、97年の東南アジアや日本の金融危機で経験済みですね。

97年に日本でも北海道拓殖銀行、三洋証券が破綻して金融危機が始まります。97年には初めてインターバンクの市場の無担保コールローンの債務不履行が起こり、現金以外のものは信用できないという心理が広がり、信用収縮が加速しました。

北拓は債務超過ではなかったと思いますが、インターバンク市場での資金調達ができなくなった。これを日銀も見捨てた。日銀は「最後の貸し手」という中央銀行本来の役割さえ果たせなかったのです。

サブプライム問題では、主要国中央銀行は相当な無理をしてでも、金融システムへの打撃につながる銀行の経営破綻を避けようとしている。なぜ、あのとき、日銀にそうした踏み込んだ行動が取れなかったのか。

サブプライムも当初はまさに「流動性の危機」を思わせたのですが、07年7月に発生してから5カ月経っても沈静化しないのは、この問題が単なる「流動性の危機」ではないからだという見方が最近は強くなりつつあります。こんなに危険な「不確実性」を世界中にばらまいた現代の英米の金融業界のあり方そのものへの不信が、問題の根本にある。 サブプライム危機を生んだグリーンスパンの金融政策

――もし、グリーンスパンが97年の金融危機後、金利を下げなかったら、世界的な不況が起きていたという指摘ですね。

アジア通貨危機後、アジア各国が取った慎重な行動は、この地域での危機の再発を防ぐことには有効だった。一方で、ほかの地域に危機の種を移植することになったのは皮肉です。世界的な貯蓄過剰傾向が生まれ、不況圧力が高まったところに、折あしく米国でITバブルが崩壊する。世界景気が総崩れする危機に、連銀は住宅バブルまで起こして、金融緩和で世界景気を立て直したのです。そこまではよかった。ところが今度は、住宅バブルがサブプライムの膨張を生んで、その変調で世界的な規模の金融危機が進行中です。当然、01年からのグリーンスパンの金融政策が正しかったのか議論が起こる。

――これからの世界経済は……。

サブプライムの実体経済への影響が顕在化するのはこれからです。米国の住宅投資と住宅価格が下がり、それが消費の下落を招くという展開が予想されます。もちろん金融システムも打撃を受ける。サブプライム関連の損失が信用収縮につながり、住宅価格の下落、消費の減退を生むスパイラルも懸念されます。

――これを防ぐにはさらなる金融緩和しかない……。

金融緩和は必要です。問題は資源価格が上がり、生産性が低下しているのでインフレ懸念があることです。通貨の信用喪失のシグナルはインフレです。米国の金融緩和がドルに対する信用喪失を招くことにもなりかねない。それゆえ金融緩和にも限度があるかもしれない。これからの金融政策は非常に困難です。

ベスト100アンケート回答者のコメント

●1997年のアジア通貨危機を中心にして、「ナイトの不確実性」という新しい角度から金融危機を見たもの。リスクを完全にヘッジしたように見えた金融技術が、逆に確率を計算できない不確実性を生み出している。今回のサブプライムローン問題でも、10年前と同じ「流動性への逃避」が起きている。(池田信夫)

●「ナイトの不確実性」をテーマに据え、これがいかに金融危機を増幅させるかを極めて平易に説明している。97年の金融危機にとどまらず、住専問題から直近のサブプライム問題に至るまで、その危機発生の経路を分析している。数式をまったく使わず、リスクと不確実性の比較を実験等も使って説明し、これを過去の事例に当てはめている。極めてわかりやすく、内容も変化に富んだ良書である。(大槻奈那)

●著者は97年を一見正常な経済の背後に潜む危険が明らかになった年と位置づけるが、2007年もリスクが顕在化した年として記憶されることは間違いない。(奥田壮一)

●ITバブル崩壊後の景気後退からの脱出策として功あった金融緩和策のツケが、サブプライムローン問題として表面化してきており、その広がりはまさにリスクを計れない不確実性の世界にある。歴史的な視点に立脚しつつ、経済理論的な解説を交えながらダイナミックに自説を展開していく筆致は圧巻。(門多 治)

●歴史から学ぶ場合、ある問題をさまざまなスケールで切り取ってみることが非常に重要である。またリスクに関する経済学史上の知られざる(忘れられた)重要なエピソードも浮かび上がらせており読者を知的興奮に誘ってくれる。(中村宗悦)


【4位】

資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略野口 悠紀雄

ダイヤモンド社 2007-06-01
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没落する日本、経済構造を変えるしかない

●常識に疑いを持ち、本質を見抜く著者の姿勢が遺憾なく発揮されている。評者も、2000年に「金融開国」という書を著した。主張は野口氏と共通する部分も多い。それから7年が経ったが、いまだに同じような「開国論」を唱えねばならないのはなぜか。国際化は、規制緩和だけでは測れないことの証左であろう。(益田安良)

●私は野口ファンで日本経済に関する政策提言では氏を最も高く評価してきた。そしていつも私が直感的に考えていた事柄を氏の書は論理的に正しいことを裏付けてくれてきた。

日本は今大きな岐路にある。1人当たりGDPは93年の世界第1位からもう16位になり、もはや世界の中で豊かな国ではないともいえる。産業構造を脱工業化社会のものへと転換していかなければ、日本の将来は暗いものとなろう。著者はさまざまな経済理論をわかり易く説明しながら、統計データを駆使し、日本の現状を冷徹に分析し、進むべき道を提言している。(北尾吉孝)

●日本経済の構造問題がどこにあるのかをわからせてくれる良書。冷静沈着な分析力で日本経済を一刀両断している。世界第2位の経済大国と思っているが、1人当たりGDPではアイルランドやイギリスに追い抜かれている。日本の産業構造の転換が遅れていることが原因だと指摘されているが、まさにそのとおりだと言わざるをえない。(中野雅至)

●成長率が落ちた日本経済を活性化するには、資本市場を開放して、外資による買収などの対内直接投資で古い産業構造を変えるべきだとする。経済学者にとっては常識的な議論だが、財界が「三角合併」に反対するなど、開国への道のりは遠い。(池田信夫)

●製造業依存からの脱却、外資導入が必要という著者の結論に異を唱える向きもいるだろう。しかし、現在の日本経済の問題点を的確にとらえ、進むべき方向性を明確に示している。内容も平易である。(佐野一彦)


【6位】

超長期予測老いるアジア―変貌する世界人口・経済地図
超長期予測老いるアジア―変貌する世界人口・経済地図小峰 隆夫 日本経済研究センター

日本経済新聞出版社 2007-10
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starアジアに長期投資する人が知っておくべきこと

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東アジアが成長センターでなくなる日がやがて来る

●日経センターが07年3月に発表した長期予測がベースになっている。2050年までの世界経済の長期予測を、人口・アジアを軸に展開したもの。人口構成が成長にプラスに働く「人口ボーナス」と、逆に働く「人口オーナス」という概念を分析に使っている。アジアが世界の成長センターになったのは、「人口ボーナス」がもたらしたもので、「人口ボーナス」の時代がまもなく終わりを告げるという。(宅森昭吉)

●今後、アジア諸国が順次、人口に占める勤労者層の割合が低下して経済が停滞しやすくなる「人口オーナス」の時代へと移行していくことが、本書の分析のカギとなる。「気を引き締めて政策対応を行わないと、人口の激変がアジアの時代を終わらせるだろう」との警告が杞憂に終わることを祈りたい。(嶋中雄二)

●少子高齢化に関する書物にはやや食傷ぎみの感があるが、本書は日本の将来と密接な関係を持つアジアの人口問題に焦点を当てた実に興味深い分析を提示している。従来抱いていた次のような常識を覆されてショックを受ける人もいるだろう。〔1〕日本は少子高齢化の影響を最も強く受ける、〔2〕アジアは世界の成長センターだ、〔3〕日本は世界第2の経済大国だ。「アジアの世紀」と呼ばれる21世紀が、実は「アジアの危機」であることが具体的な数値を掲げて示されている。われわれは日本の斜陽化を意識するあまり中国の脅威などに神経質になりすぎていたが、ここに示されている将来像を踏まえると、東アジア諸国は一致協力すべきことが理解できる。(西村吉正)

●世界の相当数の国々、特にアジア諸国の多くで、場合によっては、日本以上に急速な勢いで少子高齢化、そして人口減少が進行しそうであり、それによって経済や社会にマイナスの圧力が加わる可能性があると指摘している。(野神隆之)


 
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