メイン > 日経新聞日曜版『読書』 ( 2008年4月27日 )
| ちがいがわかる 類語使い分け辞典 | |
![]() | 松井 栄一 小学館 2008-04-19 売り上げランキング : 2243 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
類語のニュアンスの違いをわかりやすい形で示した『ちがいがわかる類語使い分け辞典』(松井栄一編、小学館)が発売された。微妙なニュアンスのちがいがある類語群五百一を選び出し、基本の意味、ポイント、使い分けの用例などを一グループ一ページにまとめて掲載、意味のずれを表したイメージ図もそれぞれに付した。たとえば「あがる」と「のぼる」では基本は低所から高所へ移る意味だが、「のぼる」は移動そのものに重点があるなどと解説している。
| 鳥学大全―東京大学創立百三十周年記念特別展示「鳥のビオソフィア-山階コレクションへの誘い」 | |
![]() | 秋篠宮 文仁 西野 嘉章 東京大学出版会 2008-04 売り上げランキング : 15439 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
鳥に関する様々な論文や図版を収録した『鳥学(とりがく)大全』(秋篠宮文仁・西野嘉章編、東京大学出版会)が刊行された。
東京大学総合研究博物館と山階鳥類研究所が共催する特別展示「鳥のビオソフィア――山階コレクションへの誘い」(五月十八日まで)の図録として編集されたもので、展示物の図版が収録されているほか、語源・神話・伝承に始まり、文化誌、生態、保全活動などに及ぶ多様な論文を収めている。
編者の西野氏は序説で「自然と文化の両方に跨(またが)る博物誌的な立場から、鳥をめぐる研究の現状を、いまいちど包括的に吟味してみたい」と述べている。この方針の下に集められた論文は作家、荒俣宏氏の「鳥類図譜の系譜」、文字学者、白川静氏の「鳥占と古代文字」、行動生態学の長谷川寿一氏による「鳥のディスプレイ」、アホウドリの観察保護を続ける長谷川博氏のリポートなど、鳥をめぐる知的活動の幅広さを物語る内容になっている。B5判で六百ページを超える大著で、価格は九千五百円。
類語のニュアンスの違いをわかりやすい形で示した『ちがいがわかる類語使い分け辞典』(松井栄一編、小学館)が発売された。微妙なニュアンスのちがいがある類語群五百一を選び出し、基本の意味、ポイント、使い分けの用例などを一グループ一ページにまとめて掲載、意味のずれを表したイメージ図もそれぞれに付した。たとえば「あがる」と「のぼる」では基本は低所から高所へ移る意味だが、「のぼる」は移動そのものに重点があるなどと解説している。
| 軍事とロジスティクス | |
![]() | 江畑 謙介 日経BP社 2008-03-19 売り上げランキング : 617 おすすめ平均 ![]() 非常に嬉しい本なのですが、何かが足りない様な気がしてならないので?...Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「ロジスティクス」というと、日本では軍隊が後方から前線に物資を補給する「後方支援」というイメージが強く、戦前は軽視された。これに対し欧米は、軍民の別なくおよそ組織の活動を支えるために不可欠な仕組み、とより幅広い意味合いで定義。「戦いにおいて、第一にして最も重要なこと」(ソクラテス)と重視してきた。両者の認識の違いが、第二次世界大戦の勝敗を分ける大きな要因となった。そのロジスティクスの世界で近年起きつつある劇的な変化を紹介したのが本書だ。
特に興味を引くのが、膨大なコンテナの中身や現在地をリアルタイムで把握する無線タグの配備や、輸送・警戒・情報分析といった軍の任務の民間委託など、米軍が冷戦後に加速している取り組みの数々。こうした動きは欧州などの軍にも及びつつあり、イラクやインド洋など遠隔地での活動の増えた日本の自衛隊も変革を迫られている。海外情報を丹念に集め、納税者の視点に立って、効果的で無駄のない防衛力整備への提言を続けてきた著者の持ち味が引き立つ一冊だ。
米国では、民間企業と軍の間でロジスティクスを含むさまざまな分野でノウハウの共有が盛んだ。本書も流通専門誌での連載が土台になっただけに、軍事分野の解説書でありながら、広くビジネスマンへのヒントに富む内容にもなっている。
| 公務改革の突破口―政策評価と人事行政 | |
![]() | 村松 岐夫 東洋経済新報社 2008-03 売り上げランキング : 7895 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
社会保険庁のでたらめぶりなどを持ち出すまでもなく、政治にとって公務員改革は「勧善懲悪」のドラマにも似て庶民の喝采を引き寄せる道具立てなのかもしれない。指導力不足や支持率低下にあえぐ福田康夫政権も例外ではない。人事管理の一元化などを打ち出し、「改革姿勢」をアピールすることに余念がないようにも見える。
この本はそうした時代の空気を反映しつつも、「公務員改革」ではなく、「公務改革」を真正面から取り上げているという意味で、安っぽいドラマとは明らかに異なる範ちゅうに入る。編著者は行政学で著名な村松岐夫学習院大教授。彼らはNPM(New Public Management、新公共経営)という概念を軸としつつ公共部門、公務員のあり方と政策評価をどう結びつけるべきかを記述している。
「公務」に単に市場メカニズムを導入するだけではうまくいかない。そこにどうマネジメント、経営の視点を持ち込むのか。結局、目指すところは財政再建に資するぐらい効率的であり、かつ国民のニーズに出来るだけこたえられる「小さくも賢い政府」を作ることだろう。
編著者たちはこの目標に概念的ながらも解答を与えようとしている。日本の行政システムをどう変えるべきかといった具体論まで提示しているわけではなく、この点では物足りなくもある。
| 幕末不戦派軍記 | |
![]() | 野口 武彦 講談社 2008-03-01 売り上げランキング : 29 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
幕末、戊辰戦争を舞台にしたまったく締まらない軍記である。主人公は幕府の武具奉行同心仲間の四人組。江戸文化の爛熟(らんじゅく)にどっぷりつかって生きてきたこの四人にかかると、血煙と政略に明け暮れた幕末の様相が一変する。
なにしろ長州征伐に従軍し滞在した大坂では、武具調達の権限を背景に商家との飲食・宴会を繰り返し、奈良見物や花見、女遊びにうつつを抜かす。芸州口の戦場に赴き散々な目にあってもなお、軽口のたたき合いがやむことはない。戦火の現実は目の前で次々繰り広げられるのだが、背筋が伸びるでもなく太平日常の気分から逃れることがまるでできないのだ。
著者はこの四人組を史料の中からフィクションに連れ出し、彰義隊の上野、次の防衛戦候補地だった日光、奥羽越列藩同盟の成立した東北、箱館戦争下の箱館と、戊辰の戦場へと連れ回す。四人組はどこへいっても見事なまでに戦争の現実に応接できない。
読みながらぼんやり浮かんでくるのは、自分が幕末にタイムスリップしたような感覚だ。史書や多くの歴史小説で読む幕末に比べて、この四人のとぼけたさまの方がよほど身近に感じられてくる。
著者は『幕末気分』以来、幕末の人々がすでに宿していた現代人的心性を描いてきた。フィクションとして試みた今回は、タガが外れた平和気分により磨きがかかっている。
| オデッセイ―鈴木龍一郎写真集 | |
![]() | 鈴木 龍一郎 平凡社 2007-12 売り上げランキング : 146990 おすすめ平均 ![]() 嫌味のない、押し付けのないB&WAmazonで詳しく見る by G-Tools |
ドルックとはブータン語で「龍」の意味。著者はアジアの混沌(こんとん)とした雑踏や路地裏をさまよいながら、ときに寺院の片隅や空と海の間に「龍」の気配を感じ、シャッターを切るという。本書には上海、台湾、シンガポールの風景を収める。むき出しの生活のにおい、中世と近未来が同居する都市景観、多様な人種と宗教。それらが濃密に混じり合い、魔法を生み出す空間に龍は眠っているようだ。
| 日米関係史 (有斐閣ブックス 103) | |
![]() | 五百旗頭 真 有斐閣 2008-03-31 売り上げランキング : 7771 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日米関係については、これまでもおびただしい数の本が出版されてきた。ただ、通史は比較的少なく、あっても日本外交やアメリカ外交のどちらか一方に視点が偏るなど、不十分なものが少なくなかった。本書はそうした弊を取り除こうと、現在の日本の学会を代表する政治学者が一堂に結集、数年間にもわたる共同研究と討論をベースにまとめられた。百五十年以上にも及ぶ日米関係を振り返る上で得難いテキストになっている。
| サザエさんの東京物語 | |
![]() | 長谷川洋子 朝日出版社 2008-03-22 売り上げランキング : 1205 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
人前に出ることが苦手なため時に似ても似つかぬ人物像が紹介されてきた長谷川町子の素顔を、長く町子作品の出版にも携わってきた実妹が描いた「初めてで最後の本」だ。「串だんご」といわれるほど一体だった姉妹の関係や、福岡に疎開した戦争体験など家族の物語に加え、作品制作の裏側や、『サザエさん』でほのぼのとした家族を描く町子が家庭では『いじわるばあさん』のように振る舞うなど、エピソード豊かに描き出す。
| 町人学者 産学連携の祖 浅田常三郎評伝 | |
![]() | 増田 美香子/編 板倉 哲郎 更田 豊治郎 毎日新聞社 2008-04-19 売り上げランキング : 44273 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
淺田常三郎という物理学者がいた。被爆直後の広島を調査し、戦後はすぐさま科学の復興に立ち上がる。発明品は枚挙にいとまがない。ソニーの危機を救い、創業者盛田昭夫が生涯の師と仰いだ。気さくで腰は低いが、権力にはこびない。口癖は「なんでだんねん?」。生涯探究心を失わなかった。本書は淺田の生涯を、門下生たちの証言をまじえてつづった評伝。ユニークな研究者の生き方を通じて産学連携の系譜を跡づける。
| 江戸の捨て子たち―その肖像 (歴史文化ライブラリー 255) | |
![]() | 沢山 美果子 吉川弘文館 2008-04 売り上げランキング : 33098 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
親が育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」と同様の構想が江戸時代にもあった。本書で、近世の女性史や家族史を専門とする著者は「捨て子」の具体像に迫った。悪法として知られる「生類憐みの令」は捨て子の養い親を捜すことを命じ、共同体による捨て子救済システムを生み出した。親の事情や、拾われた子供を取り巻く環境とその後も現代とは大きく異なっていた。捨て子の実像を通して、当時の社会の在り方も透けてみえてくる。
| もの言う株主―ヘッジファンドが会社にやってきた! | |
![]() | ヴェルナー G.ザイフェルト ハンス・ヨハヒム・フォート 北村 園子 講談社 2008-03 売り上げランキング : 10812 おすすめ平均 ![]() ロスチャイルドにやられた元ドイツ証券取引所CEOの手記Amazonで詳しく見る by G-Tools |
Jパワー(電源開発)株の買い増しを求めた英ファンドの代表ホーン氏。本書は「行動する株主」である同氏から攻撃され、ドイツ証券取引所のトップからの辞任に追い込まれた人物の回想録だ。「イナゴの侵略」という原題が物語る通り「権利を強引に行使する投資家は会社にとって悪」との構図を貫く。生々しく読み応えはあるが、感情的な書き方に終始しており、その分公平感や説得力に乏しい印象も強まった。北村園子訳。
| コーラン (名著誕生 5) | |
![]() | ブルース・ローレンス 池内 恵 ポプラ社 2008-03 売り上げランキング : 476 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
イスラム教の聖典コーランは声を出して読むものであり、もともとは口頭で継承された書だ。その内容は七世紀に預言者ムハンマドに伝えられた「神の言葉」として受け継がれ、今もイスラム教徒の日々の実践の礎になっている。
米国のイスラム学者が著した本書はコーランの粋ともいえるいくつかの章句を紹介してその成り立ちの背景を説き、さらに時代の変化の中でどのような新たな解釈がなされてきたかの例も示す。
訓詁(くんこ)学的なコーラン注釈書ではないし、包括的なイスラム思想史でもない。訳者の言葉を借りれば、リベラルなキリスト教徒がキリスト教徒向けに書いた本だ。コーランには旧約・新約聖書でおなじみのアブラハムやマリア、イエスなどの物語が別の様相で登場する。だが、唯一神を意味するアッラーは大文字で始まる英語のゴッドであり、一般に「慈愛あまねく」と訳す神の修飾語を「情け深い」と言い換えることも可能だろうと、イスラムへの“読まず嫌い”の偏見をできるだけ抑える工夫が本書の随所に見える。
八世紀のシーア派知識人はコーランの中の明快な章句とあいまいな章句の読み分けをした。十九世紀にインドの知識人は近代科学と整合性のとれるコーランの合理的解釈を試みた。二十世紀の米国でコーランは人種平等への導きの書とも位置付けられ、黒人イスラム教徒指導者の一人はアラビア語で世界と知識という二つの言葉が同根なので「世界とは知の諸体系である」との解釈を示した……。
いくつかの例示で著者が訴えるのは、コーランは幅の広い柔軟な解釈を可能とすることだ。アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンはその対極にあり、イスラムを攻撃する者への自衛の聖戦(ジハード)という主張に都合のいい章句だけ全体の文脈から切り離して使っていると著者は指摘する。
巻末対談で塩野七生氏が語っているように、西欧では「コーランとは何か」という真剣な問いの歴史もあったが、日本にはその土壌がない。唯一神信仰をどこまで理解できるのかという疑問もある。そのうえで、イスラムの考え方を、たとえ一部分でも感覚的につかみたいなら、本書は有益な本である。
| 人生生涯小僧のこころ―大峯千日回峰行者が超人的修行の末につかんだ世界 | |
![]() | 塩沼 亮潤 致知出版社 2008-03 売り上げランキング : 44 おすすめ平均 ![]() 生きるヒントが詰まっている! 読んでみてください 凄い衝撃が走りました!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一九九九年、奈良・吉野の金峯山寺で大峰千日回峰行を満行した。千三百年に及ぶ大峰修験道の歴史で二人目の偉業で、三十一歳にしてきわめて徳の高い僧侶「大阿闍梨(あじゃり)」になった。
悟り切ったお坊さんかと思っていたら、会ってみるとさわやかな青年僧の印象だ。四十歳。未曽有の荒行を成し遂げた後も煩悩が去らなかったが、「何とか克服して修行のことを書く気持ちが固まった」。
人間関係の悩みだった。「どうしても相いれなかった人とこだわりなく接することができるようになった。心の垢(あか)がやっと取れました」と言う。そんな経緯を経て書いたこの本は凄絶(せいぜつ)な修行への挑戦の記録だ。
往復四十八キロ、高低差千三百メートルの難路を十六時間かけて歩く。山を歩けるのは山開きする五月三日から「戸締め式」前日の九月二十二日まで。だから満行まで足かけ九年かかる。
「やらされているのではなく、自分の定めだと思って積極的に取り組んだ。後悔したくなかったから」。入念に計画を立て、周到に準備して、長い行に冷静、果敢に立ち向かった。
熱が出たり、腹をこわしたり。過労で足腰が始終痛む。嵐、がけ崩れ、雷に襲われ、マムシにもクマにも遭遇。生死の境をさまよう体験も何度もしたが、「追い込まれたら即断即決」をモットーに乗り切った。
やがて「すべてのものは大自然の中でつながっているんだ。自分はほんとうにちっぽけな存在なんだ」と気付く。二〇〇〇年に九日間、食と水を絶ち、不眠・不臥(ふが)で行う「四無行」を達成。山で学んだ謙虚、素直、感謝の気持ちが大きな力になった。
「ふるさとの仙台の寺で地域の人たちとふれあって、ようやく煩悩が消えた。修行の場は結局、日々の暮らしの中にあるんです」。最後にやっと、お坊さんらしい話になった。
| 震度0 (朝日文庫 よ 15-1) (朝日文庫 よ 15-1) | |
![]() | 横山 秀夫 朝日新聞出版 2008-04-04 売り上げランキング : 746 おすすめ平均 ![]() “横山秀夫の小説“と考えてしまうと物足りないような気が・・・ 事件は会議室で起こっていた 期待外れですね。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
阪神大震災の朝、別の県で県警本部の警務課長が姿を消した。失踪(しっそう)の理由はつかめない。大惨事への対応にも追われ、右往左往する幹部たち。彼らも一枚岩ではなく、キャリア組、準キャリア組、たたき上げ組の思惑が交錯する。警察内部の権力闘争を描いた長編サスペンス。組織と個人の関係を問う力作だ。
| シェイクスピアのたくらみ (岩波新書 新赤版 1116) | |
![]() | 喜志 哲雄 岩波書店 2008-02 売り上げランキング : 8500 おすすめ平均 ![]() 便利な一冊だが。 謀られたかっ!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
『ロミオとジュリエット』の冒頭では恋人たちの物語が悲劇に終わることがあらかじめ知らされる。が、結末の予告という一見興ざめな作劇法にこそ、芝居を見る者をとりこにする仕掛けがあると著者。観客の反応を意のままに操るシェイクスピアの創作の秘密が丁寧に解き明かされる。

















“横山秀夫の小説“と考えてしまうと物足りないような気が・・・
期待外れですね。
