週刊ダイヤモンド連載中の書評を紹介します。

メイン > 週刊ダイヤモンド『オフタイムの楽しみ』 2008年4月5日~5月3日

【科学読み物】

ライディング・ロケット(上) ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語る
ライディング・ロケット(上) ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語るマイク ミュレイン 金子 浩

化学同人 2008-02-07
売り上げランキング : 33136

おすすめ平均 star
starユーモアあふれるシャトル・ミッション回顧録
star興味深く面白い

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ライディングロケット(下) ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語る
ライディングロケット(下) ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語るマイク ミュレイン 金子 浩

化学同人 2008-02-08
売り上げランキング : 144762


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大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか
大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのかガブリエル・ウォーカー 渡会 圭子

早川書房 2008-01
売り上げランキング : 39489

おすすめ平均 star
star大気に関わる科学者の列伝
star余計な脱線が面白くない

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花粉症は環境問題である (文春新書 619)
花粉症は環境問題である (文春新書 619)奥野 修司

文藝春秋 2008-02
売り上げランキング : 70718

おすすめ平均 star
starハンディなドキュメンタリー
star沖縄の人が羨ましい!

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宇宙飛行士から花粉症まで 大気圏と、その上下の奮闘記

宇宙飛行士の土井隆雄さんが三月に国際宇宙ステーションへ行き、日本の有人宇宙実験施設「きぼう」の取り付け工事を行なった。六月には星出彰彦飛行士が設置工事の続きに出かける。

宇宙飛行士とは、どのような人びとで、何を考え、打ち上げや帰還時のスペースシャトルの機内ではどんな気持ちでいるのだろうか。『ライディング・ロケット』は、そうした興味に一〇〇%以上の満足度で応えてくれる内容だ。

著者は、三回のシャトル飛行を体験した米航空宇宙局(NASA)の元飛行士。NASAの政治的な内幕や男女の宇宙飛行士の心理までを赤裸々に描いている。率直さを通り越し、セクハラめいた記述も多いが、無類のおもしろさが無重力の世界で躍動する。読まないと損をする一冊だ。報道されていない、惨事一歩手前のトラブルも一人称の語り口で感情豊かに分析されている。

『大気の海』は、高度三万メートルの成層圏から飛び降りた米空軍大尉の降下実験をプロローグとして始まるが、全体は地球を薄く包む空気についての科学史と生命誌のノンフィクションだ。

ガリレオらが空気に重さのあることに気づき、主成分の窒素、酸素、二酸化炭素などの存在をフランス革命当時の科学者たちが明晰な頭脳で発見していく。

酸素は地球に生命を広めたが、同時に細胞を傷つける。二酸化炭素は温室効果を持っている。現代の地球環境問題の基礎は一九世紀までに知られていた。大気圏のさらに上を飛ぶ人工衛星による宇宙放射線の観測も本書のテーマである。有名、無名の科学者の活動を通じて展開していく手法が読者を飽きさせない。

日本の春の大気中には、黄色い浮遊粒子状物質が無数に漂う。スギ花粉だ。だが、『花粉症は環境問題である』によると、花粉は、環境基準で定める大気汚染物質には該当しないという。理由は粒径が三倍ほど大き過ぎるのだ。スギ花粉症は、戦後の森林政策の大失敗の結果であると著者は憤りつつもユーモアを忘れない。重い花粉症患者の奮闘記でもある。【選・評 長辻象平(ながつじ・しょうへい) 科学ジャーナリスト】

■2008/05/03, 週刊ダイヤモンド, 164ページ

【子育て・教育】

パパの極意―仕事も育児も楽しむ生き方 (生活人新書 248)
パパの極意―仕事も育児も楽しむ生き方 (生活人新書 248)安藤 哲也

日本放送出版協会 2008-03
売り上げランキング : 2437

おすすめ平均 star
star変わらなければ始まらない
star期間限定で自分限定であるパパ業、楽しまなくちゃ!
starかっこいい・・・。

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お母さん次第で男の子はぐんぐん伸びる! (マミーズブック)
お母さん次第で男の子はぐんぐん伸びる! (マミーズブック)小屋野 恵

メイツ出版 2007-06
売り上げランキング : 3462

おすすめ平均 star
starバランスがとれた育児論

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思春期をともに乗り越える母親力
思春期をともに乗り越える母親力魚住 絹代

大和出版 2007-08
売り上げランキング : 116050

おすすめ平均 star
star思春期の子供を持つ方の必読書!

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ママと子どもが幸せになれるかどうかはパパ次第!

「子どもとの楽しい時間をたくさん持ちたいけど、仕事もバリバリやりたい」。そう考えているパパさんにお薦めなのがファザーリング・ジャパン代表理事、安藤哲也氏の『パパの極意 仕事も育児も楽しむ生き方』だ。

この本を読むと、子育てを義務と感じたり「仕事か、家庭か」の二者択一で悩んだりするのがいかに狭い考えかがわかる。

よく「仕事ができる人ほど遊びもできる」といわれるが、本書の主張は「仕事ができる人ほど子育てもできる」ということだ。

本書には、そのための発想の転換法や具体的な工夫がたくさん示されている。しかも、すべて著者が身をもって実践していることなので、非常に説得力がある。

子育て中のパパさんの重要な役割として、ママさんへのサポートもある。いろいろなサポートの仕方があると思うが、ママさんの悩みを一発解決する本をプレゼントするのも一つの方法だ。

たとえば、男の子の扱い方がわからなくて悩んでいるママさんは結構多い。そこでお薦めなのが、子育てアドバイザー、小屋野恵氏の『お母さん次第で男の子はぐんぐん伸びる!』である。

落ち着きがなくてウロチョロする、だらしがない、学校からのお便りを渡さない、忘れ物をする、判読不可能の字を書く、下品なことが好き、などの男の子の特性をどう理解し対応していけばいいのかが非常に具体的に書かれている。

また、思春期の子どもへの対応で悩んでいるママさんにお薦めなのが、元少年院の法務教官にして現在は訪問指導アドバイザーである魚住絹代氏の『思春期をともに乗り越える母親力』だ。

突然の不登校、いじめ被害といじめ加害、女の子同士のトラブル、子どもが部屋に閉じこもった、子どもの言うことが信じられない、などの思春期にありがちな問題への対応方法がこれまた非常に具体的に書かれている。

はっきりいって、あまり書店に立ち寄らないママさんも多いので、パパさんからプレゼントして問題意識を共有するのがいいと思う。【選・評 親野智可等 教育評論家】

■2008/04/26, 週刊ダイヤモンド, 152ページ

【医療・健康】

地域医療を守れ―「わかしおネットワーク」からの提案
地域医療を守れ―「わかしおネットワーク」からの提案平井 愛山 秋山 美紀

岩波書店 2008-01
売り上げランキング : 9367

おすすめ平均 star
star医療を守るのは地域の人々全員で
star勇気ある実践の記録

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死因不明社会 (ブルーバックス 1578)
死因不明社会 (ブルーバックス 1578)海堂 尊

講談社 2007-11-21
売り上げランキング : 1901

おすすめ平均 star
star「Ai=医師の本懐」~厚労省への挑戦状
star作者の熱意はわかるが・・江澤先生
star無知は罪

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医者のしごと [15歳からの「仕事」の教科書] (15歳からの「仕事」の教科書 1) (15歳からの「仕事」の教科書 1)
医者のしごと [15歳からの「仕事」の教科書] (15歳からの「仕事」の教科書 1) (15歳からの「仕事」の教科書 1)福井 次矢

丸善 2008-01-29
売り上げランキング : 7556

おすすめ平均 star
star無菌的知識の羅列

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ますます進む医療の崩壊 患者はいかに自らを守るか

前回の書評でも触れたが、「医療崩壊」の話題は増えることがあっても、減ることはない。そのような暗い話題が多いなか、具体的に地域医療を守るドキュメンタリーとしての書籍が出版された。『地域医療を守れ』である。

医師不足の解消に、高額な給与といった金銭で釣るのではなく、育成によって医師を集め教育する。地道な努力こそが、回り道のように見えても、地域医療を守るいちばんの方策ではないだろうか。

「千葉」の話? と言われる方もおられるかもしれない。「東北」や「北海道」のほうが医療過疎が深刻ではないの? という視点からだろう。しかし、必ずしもそういったエリアだけの問題ではない。「千葉」や「大阪」「静岡」でも医療崩壊は起きているのだ。

医療崩壊を助長している要因の一つに、医療訴訟の増加がある。すでにベストセラーになっているが、海堂尊の『死因不明社会』は、死亡事案に対する診断が軽視される社会である日本では、犯罪行為や治療効果判定もままならないと説く。

やや専門的だが、じつは医療機関から事故報告を受け、調査を行ない、診療行為に問題がなかったかを判定する機関である「医療事故調査会」の設立が検討されており、この議論にも関連する内容となっている。

さて、もう一冊お薦めしたいのは『医者のしごと』である。この本は、有名病院である聖路加国際病院院長の福井次矢氏による、医師の仕事のすばらしさや特徴を説いた、いわば医師になるための本である。しかし、私はあえてこの本を推薦したい。なぜならこの本には、患者が医師とコミュニケーションをする場合に、知っておいたほうがいいと思える内容が満載されているからだ。

いわく、「医師と患者のパートナーシップが、病気の治りを早める」「医師は経験を積みながら学習を続ける」「多くの医師は、解剖実習で医師になることを実感する」など。多くの臨床経験、病院での体験に裏づけられた内容は、読者の皆さんにとってもいずれ必ずプラスになると信じる。【選・評 真野俊樹 多摩大学教授】

■2008/04/19, 週刊ダイヤモンド, 122ページ

【旅行・乗り物】

女子鉄 (マーブルブックス)
女子鉄 (マーブルブックス)女子鉄制作委員会

マーブルトロン 2007-12
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おすすめ平均 star
star鉄道好きの女性だけでなく、男子鉄にも

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女子と鉄道
女子と鉄道酒井 順子

光文社 2006-11-21
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おすすめ平均 star
star茶道,華道,鉄道
star鉄道に関する「微妙な感情」を言葉に
star女性による鉄道ものエッセー

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ローカル線ガールズ
ローカル線ガールズ嶋田郁美

メディアファクトリー 2008-01-16
売り上げランキング : 16193

おすすめ平均 star
star優しい文章
star電車に新しい付加価値を与える
star越前

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「鉄子」ブームの真因は女性の自立と社会進出にあり

今は「鉄子」がブームだという。かつては男性だけの趣味といわれた「鉄道」の世界に魅せられた女性の総称だとか。でも、なぜ鉄子は登場したのか? その謎を解くために三冊の本を探索してみた。

まずは、ズバリ『女子鉄』と題された一冊である。内容は「鉄道オタク」の人気ライター氏と会社員や主婦などの鉄子六人による座談会や小旅行記で、読んだ限りでは「マニアのうんちく」と「女性の井戸端会議」の連結本。ややもの足りなさは否めないが、収穫は随所に出てくる二つのキーワードを見つけたことだ。

一つは「お一人さま」である。昨今の働く女性が欲しいのは、誰にも束縛されない自分だけの時間と空間。鉄道は、それにぴったりの世界というわけだ。もう一つは「社会進出」である。かつて女性の一人旅は冒険でもあったが、現代では「仕事をバリバリこなし」たり「何でも自分でできる女性」が増えてきた証しだろうか。

そんな女性たちの鉄道一人旅に勇気を与えてくれたのが、帯に「茶道、華道、鉄道! 女子にも乗れる鉄道入門」という惹句を記した『女子と鉄道』だろう。

著者は高校時代から「『いい日旅立ち』的な旅をするなら、絶対に一人でなければならない」と思っていたが、友人に言うと「変人扱い」されるので沈黙。異性にモテるためにも「男の子の前では、口が裂けても鉄道好きであることを告白してはならぬ」と誓っていたという。そうした因習の呪縛から解放してくれたのは、やはり今という時代の自由な空気だろうか。

さらに、鉄道で“旅をする”だけでなく、鉄路で“仕事をする”女性たちも増えてきた。廃線から蘇った「えちぜん鉄道」で、乗客もてなしサービスの開発と実践に取り組む女性アテンダントたちを追った『ローカル線ガールズ』は、読ませる。同社の広報を兼ねる著者は、取材に訪れた記者の「なぜわざわざ仕事を増やすのか」という質問に「自分たちが居る意味を増やしたいから」と答えたという。職場で手抜きやサボることしか考えない輩にとっては耳が痛いかも。

「鉄子、侮るべからず」である。【選・評 野村正樹 作家】

■2008/04/12, 週刊ダイヤモンド, 112ページ

【絵本】

カフカ田舎医者
カフカ田舎医者山村 浩二 フランツ・カフカ

プチグラパブリッシング 2007-11
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おすすめ平均 star
starなんともカフカらしい

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夜の絵本―ルオーの贈り物
夜の絵本―ルオーの贈り物蜂飼 耳 ジョルジュ・ルオー

PHPエディターズ・グループ 2008-01
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ヘッセの夜カミュの朝
ヘッセの夜カミュの朝ささめや ゆき

集英社 2008-03
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絵本本来の美質を兼ね備え噛めば噛むほど滋味が増す

期せずして耳目に親しい作家や画家の名を書名に含んだビジュアルブックが、立て続けに刊行された。三冊、いずれ劣らぬ佳品揃い。噛めば噛むほどに滋味が増していく。ゆっくり、じっくり、繰り返しいつまでも付き合ってゆける、そう、まさに絵本本来の美質を備えた作品たちである。

『カフカ 田舎医者』。「頭山」などで知られる世界的なアニメーション作家・山村浩二が、同作を二一分のアニメーション作品として製作、その後に動画の原画を再構成して絵本にした。あのカフカ独特の奇妙な味、それが見事に絵本化された。しかも見開き二ページに複数の絵を配置する際の工夫や、動感溢れる絵のフォルムなど、動画作家ならではの魅力が横溢。受け入れがたい奇妙さに常につきまとわれた田舎医者の困惑。根源的不安。その一部始終をぜひ。

顔の力。絵の力。〈描かれた顔〉には、顔自体の力と絵の発する力が溶け合う。ジョルジュ・ルオーの描く顔からはその溶け合う力がかなり直接的に伝わってくる。この人は普段どんな生活をしているのか。何が好みか。何が嫌いか。あるいは好き嫌いはさほどないか。そういう見る人なりの想像。幸せなことに『夜の絵本 ルオーの贈り物』には、そこに清澄でちくちくする蜂飼耳の言葉が浸透していく。するとその顔の人の別の面を知る。その顔の人がより立体的に近しくなる。それはひとえにルオーの画力と、中原中也賞受賞の今最も先鋭的な作品を作り続けている詩人・蜂飼耳の言葉の力との溶け合いの賜。

ここにもう一人、類稀な、唯一無二の絵を描く絵描きがいる。彼はArtist’s Artist 絵描きが惚れる絵を描く画家である。そして絵本の著名な賞を受賞した絵本作家である。さらにエッセイ集を持つ名文章家でもある。ささめやゆき著『ヘッセの夜 カミュの朝』は、そういう作家が文芸誌の表紙絵として古今東西の文学・映画・演劇・芝居にまつわる絵を八年間、毎月描き続け、その各々(おのおの)に短文を添えて出した本である。これは画集ではない。小さな絵本が六〇冊集(つど)った、まぎれもなく豊饒な絵本だ。【選・評 小野 明 絵本編集・装丁家】

■2008/04/05, 週刊ダイヤモンド, 159ページ
 
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