メイン > 週刊ダイヤモンド『目利きのお気に入り』 ( 2008年1月5日~3月29日 )
| ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 新潮文庫 | |
![]() | 塩野 七生 新潮社 2002-05 売り上げランキング : 3008 おすすめ平均 ![]() 現代に通じる歴史書 ここから始まる大レース ローマの歴史が面白いAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| モムゼン・ローマの歴史〈1〉ローマの成立 | |
![]() | モムゼン Theodor Mommsen 長谷川 博隆 名古屋大学出版会 2005-04 売り上げランキング : 216897 おすすめ平均 ![]() じっくり読むのがよい ローマ史のBIBLEです 必読Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| ローマの歴史 (中公文庫) | |
![]() | I. モンタネッリ 藤沢 道郎 中央公論社 1996-05 売り上げランキング : 21870 おすすめ平均 ![]() 呼び水としてのvirtus ローマ史の決定版 最初に読む本としてAmazonで詳しく見る by G-Tools |
驚異的ロングセラーとなった『ローマ人の物語』をもっと楽しむ
塩野七生さんの『ローマ人の物語』の文庫化が進んでいます。現在のところ三一冊目にこぎ着け、残るは底本で四巻相当分ですから文庫では八冊ぐらいの分冊になるでしょう。全一五巻のハードカバーの底本は、丸善丸の内本店ではいまだに全巻が平積みという驚異的なロングセラー。文庫本もまた、手頃な価格とあって売れ行きが途切れることがありません。
底本が完結したのが二〇〇六年一二月。そのときは、「終わってしまったかぁ」と本当にしみじみ思ったものです。ローマ帝国も鮮やかに消えたが、塩野さんも鮮やかに締めくくってくれた、と思いました。本当におもしろかった。
そして今、文庫版で再び読み直し始めると、おかしなフィルターのかかっていない塩野さんのローマへの愛情に満ちた物語は、歴史物語の金字塔であると再度、確信しました。社会システムが成熟していなかった時代を扱うがゆえに、人間と社会の本質を浮かび上がらせることができる歴史物語。これだけ根強い人気があるのは、現代に生きる自分や企業のあり方を、ローマに投影できるからなのです。
『ローマ人の物語』が、「元老院は肉体的に消滅した」という一節に象徴される作家の仕事ならば、昨年末にシリーズ四巻が完結した『モムゼン ローマの歴史』は、歴史学者の仕事とはどのようなものかを実感させてくれます。初版刊行が一八五四年の古典で、歴史事実の発掘もまだ十分ではない時代の著作ですが、一つひとつのエピソードを常にローマ帝国史という大河を想起させながら読ませてくれる楽しさがあります。用語づかいなどがちょっと難解ですが、塩野さんを読めた人ならば、本書でさらに「ローマ通」への道を歩むでしょう。
もう一冊、同名の『ローマの歴史』は、作家でも学者でもないジャーナリストによる通史。「ローマの産業は政治だった」などという一節にジャーナリスティックな感覚が満ち溢れ、おいしいところは徹底的に書いて読者を楽しませてくれます。「塩野さんを読んでみたいけれど、完走できるだろうか」と感じている方は、まずは本書から助走を。読めば、『ローマ人の物語』全巻読破は絶対にできます。そんな一冊です。【本橋一夫 丸善丸の内本店売場長】
| 効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 | |
![]() | 勝間 和代 ダイヤモンド社 2007-12-14 売り上げランキング : 22 おすすめ平均 ![]() 読者が取捨選択できればすばらしい本 良書。 人生の効率化を求めてAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 知的生産の技術 (岩波新書) | |
![]() | 梅棹 忠夫 岩波書店 1969-07 売り上げランキング : 371 おすすめ平均 ![]() 面白さの観点が、当時と今では違うかも 発想は現代的 ロングセラーには理由があるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫) | |
![]() | 外山 滋比古 筑摩書房 1986-04-24 売り上げランキング : 277 おすすめ平均 ![]() 考えるとはどういうことか、考えさせられる本 考えることとは何かを思い出させる本 つまりは「やり方」など変わらないということAmazonで詳しく見る by G-Tools |
時代を超えて読み継がれる“知的生産”本に共通する思想
昨年一二月の刊行以来、あっという間に二〇万部を売り、「週刊ダイヤモンド」誌では、その発想法について特集まで組まれた勝間和代さん。今回、いまさらに『効率が10倍アップする新・知的生産術』を取り上げるのは、この本もさることながら、『知的生産の技術』と『思考の整理学』を読んでから、『新・知的生産術』を読み直すと違う感慨があったからです。
個人的には、前向きな自己啓発本は、自分が追い詰められてしまうようで苦手です。しかし、『新・知的生産術』は、「ここまで自分を叱咤(しった)できる人がいるのか」と人物評伝を読むようなおもしろさがありました。そのうえで、この本はロングセラーになるだろうか、否、読者がロングセラーにするだろうかと思いました。
『知的生産の技術』と『思考の整理学』では日々の思いつきを思考に変え、思考を積み重ねて知識に変えていく「姿」が紹介されています。「姿」と書いたのは、紹介されているものが単なる「方法」ではないからです。
勝間さんの魅力は、学ぶことを効率化するためにいかに考えているかという「姿」にあり、これを読者がまねしても自分のものにはならないでしょう。梅棹忠夫先生は、「知識は教えてもらうものではなく、自ら盗まないと本当の力はつかない」と、また外山滋比古先生も、「最近の学校は手を引いてやることばかりで、飛ぶことを教えない」と書いています。
「頭はよくなりたい、でも方法がわからない」とか「自分は頭はよい。ただ、それを上手に出せていないだけ」などと考えている人は多いと思います。だからといって勉強法を紹介する本をいくら読んでも自分の勉強法にはならない。「努力=成果」という幻想を乗り越えない限り、本当の意味での知的活動は始まらない。あらためて方法論の背景にある思想にたどり着く難しさを感じました。
『知的生産の技術』は七八刷、『思考の整理学』は四一刷。そして勝間さんは、あっという間に一五刷。勝間さんの本が他の二冊と同様に長く読み継がれるようになるかどうかは、読者がこの本を安直な方法論の本とせず、背後にある思想を学べるかどうかにかかっているのではないかと思います。【ブックファースト渋谷文化村通り店リーダー 平井直子】
| 株式会社の原点 | |
![]() | 久保利 英明 日経BP社 2007-12-13 売り上げランキング : 3312 おすすめ平均 ![]() 03年から07年の企業法に係る司法事件の整理に やみやすさ抜群 内容も深いAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 会社事件史 | |
![]() | 奥村 宏/佐高 信 七つ森書館 2007-06-20 売り上げランキング : 71694 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 不祥事を乗りこえる会社不祥事でつまずく会社―危機に克つPR戦略 | |
![]() | 矢島 尚 日本経済新聞出版社 2007-12 売り上げランキング : 12986 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
いかに不祥事と向き合うのか “平時”に読んでおきたい指南書
コンプライアンスの大切さに異議を挟む人はおらず、ネットによる情報の加速度的な増幅で小さな不祥事であろうと企業の存立が危うくなることもわかっているのに、企業不祥事が後を絶ちません。
そんななか、企業法務の第一人者である久保利英明氏の『株式会社の原点』が出ました。ハッとさせられたのは、「コンプライアンスとはそもそも工学用語で、加えられた力に応じて変化してたわむことであり、だからこそ企業も、変わる社会からの要求に対応して変化を受容していくべきなのだ」という指摘です。
本書は、日本企業に求められている内部統制のレベルや株主総会の変化、買収防衛策などについて具体的なケースを挙げて検証していきます。そのうえで、単なる法令遵守ではなく、予防領域に踏み込んだ取り組みを求め、その具体的な方法を提示していきます。
第一人者だけあって内容は詳細かつ明快。法律知識もいりません。株式会社の原点を、コンプライアンスを軸に考えるというアプローチも斬新であるように思います。
バブル以前と以降の企業不祥事を総括的に振り返り、不祥事が発生する構造的な要因を探ったのが、会社研究の大御所である奥村宏氏と評論家の佐高信氏の対談集『会社事件史』。お二人とも辛口で、本書も個人名を出してずばずばと切っていきます。しかも対談ですから文章とは違うリアリティがあり、辛らつ度はいやがうえにも増します。「おもしろい」と言う人と、「おもしろくない」と言う人のどちらかしかいない、そんな本です。
『不祥事を乗りこえる会社 不祥事でつまずく会社』は、PR会社社長による不祥事対応の分析と指南の一冊。たとえば、事態を悪化させてしまった記者会見を分析して、どのような仕組みが不足していたのかを明らかにします。
不祥事を引き起こしてしまったとしても被害を最小限に食い止めるには、やはり「報・連・相」に象徴されるコミュニケーションや風通しのよい企業風土が必要であることを、ケーススタディを通しながら訴えます。
「うちの会社は少々の不祥事では……」と思っていたら大間違い。背中にはいつも冷たい風が吹いているのです。【金子剛士 ブックファースト神田駅前店リーダー】
| 市場を創る―バザールからネット取引まで | |
![]() | ジョン・マクミラン 瀧澤 弘和 木村 友二 エヌティティ出版 2007-03 売り上げランキング : 20376 おすすめ平均 ![]() 市場は如何にして創られるのか 実態に基づく経済学 経済学にとって重要なことは何だろうか、それがわかった。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 世界最高額の切手「ブルー・モーリシャス」を探せ! コレクターが追い求める「幻の切手」の数奇な運命 | |
![]() | ヘレン・モーガン 藤井 留美 光文社 2007-12-14 売り上げランキング : 32431 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
市場の現実を通じて経済を学び“置いてきぼり”から脱却目指す
市場主義経済の功罪論議がかまびすしくなっても、経済学を学んでいない人は論議の要点すらわからず、ますます置いてきぼりです。しかし、スタンフォード大学教授のJ・マクミランの『市場を創る』は光明です。一年前の刊行ですが、常に補充されている一冊でした。
「見えざる神の手」以来、「市場」は経済学の最重要テーマですが、需要・供給曲線の解説にはとてもついていけない。本書には、そんな解説も、数学もいっさいありません。さまざまな市場がいかに誕生して、どのような機能を備えてきたかをわかりやすく紹介しながら、「市場経済の市場とは何か」を理解させてくれます。
第二次世界大戦中にドイツにあった捕虜収容所で、赤十字の配給品が「商品」になり、タバコを「通貨」として取引市場が出来上がり、揚げ句は配給品を備蓄して供給の平準化を図った話など、興味深い事例ばかりです。そして自然発生的な市場は、適切に規制されることで機能を高めていくと結論づけます。
かつてコラムニストの山本夏彦が、「他人を出し抜こうと考えたサービスが、より社会のためになる」と書いていたのを思い出しながら読みました。私には、気に入った個所があるとページを折る癖があるのですが、この本は折る個所が多過ぎて困りました。
考えてみれば、経済とは常に現実との格闘を通じて理論化されるものであり、その意味では高橋亀吉の『私の実践経済学』も勇気をもらえる一冊です。ドラッカーがあれだけ読まれるのであれば、高橋亀吉はもっと読まれてよい。
『世界最高額の切手「ブルー・モーリシャス」を探せ!』は、英領モーリシャスで発行されて数億円の値が付く切手を素材に、「切手市場」が誕生した過程を描いています。第一次世界大戦に敗れたドイツの賠償金の一部が、個人コレクターの切手で賄われた事実など、市場の持つ機能の大きさに愕然とすると同時に、市場ができるとコレクターのあいだにあった不気味さが解消されていくのも納得。一度は、「月に雁」や「見返り美人」に憧れた方にはお薦め。最近の光文社は、ユニークでわかりやすい経済書を連発していて目が離せなくなってきました。【本橋一夫 丸善丸の内本店売場長】
| 誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか | |
![]() | ジョージ・エインズリー 山形 浩生 NTT出版 2006-08-30 売り上げランキング : 429 おすすめ平均 ![]() 双曲割引をめぐるやや雑然とした長いエッセイ ある程度どんな人が読んでも面白く読める科学の本 双曲割引一本槍の怪書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 戦争の経済学 | |
![]() | ポール・ポースト 山形浩生 バジリコ 2007-10-30 売り上げランキング : 267 おすすめ平均 ![]() 頭の体操(だけでは終わらない) 今や戦争が不経済となったことを証明 戦争って儲からない…Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| その数学が戦略を決める | |
![]() | イアン・エアーズ 山形 浩生 文藝春秋 2007-11-29 売り上げランキング : 49 おすすめ平均 ![]() 社会科学の分野でも予測が可能という内容は興味深い。 題名がもったいない!! コンピュータの世界Amazonで詳しく見る by G-Tools |
正しいもの、よいものに懐疑を抱き続ける翻訳者のたくらみ
思いつくままおもしろいと思った本を選んでいるだけなのに、ふと、意識したこともない私自身の「興味」に気づかされる瞬間があります。つまり、気がつかないうちに「ある種の本」に引きつけられているのです。それは本の著者だけでなく、普段なら気にもとめない、「翻訳者」という存在から仕掛けられていることもあります。こういう確信犯的な翻訳者には、よきにつけあしきにつけ要注意。
まず『誘惑される意志』。酒をやめなければいけないと理解し、決意したはずなのに、「これぐらいならば」と勝手に解釈して自滅的な行動に走る。愚か、という言葉だけでは説明し切れない人間の意志の秘密を、「双曲割引」という理論が解明していきます。
『戦争の経済学』は、思想による善悪を抜きにして、戦争の経済効果に注目します。たとえば、戦争に直面した国民の恐怖はコストと換算され、戦争は恐怖に見合う利益を生み出しているのか、といった命題を検証します。
『その数学が戦略を決める』は、統計学の回帰分析がどのように現実をとらえているかを示します。ワインの価値は目利きが決めるといいますが、ブドウができた年の雨量や日照量などのデータを回帰分析すれば、プレミアムになるワインはおのずとわかってしまう。「長年の勘」を根拠とする専門家の存在意義を脅かすテーマです。
そして、この三冊に共通するのが、山形浩生という翻訳者です。インターネットの創成期、「ワイアード」など先進的な論壇で意見を表明していた方で、おもしろいけれど、簡単にうなずくのは怖いな、と思っていた方でした。
そのくせまんまと三冊も読んでしまっていたのは、山形さんの問題意識に引きつけられてしまったから。「意志」や「正義」「直感」という、正しいもの、あるいは人間らしくよいものとされている概念に対する皮肉で懐疑的な視線と、疑うだけでなく、それを真正直に理解しようとする数学的な試み。それは「訳がわからずあやふやな世界の先を、それでも読み解こうとする切実さ」に思えるのです。山形さんの翻訳本を読み続けていた私もまた、あやふやな世界の先を知りたいのだと、気づかされてしまったのです。【平井直子 ブックファースト渋谷文化村通り店リーダー】
| 雇用、利子および貨幣の一般理論 上 (1) (岩波文庫 白 145-1) | |
![]() | ケインズ 間宮 陽介 岩波書店 2008-01-16 売り上げランキング : 3310 おすすめ平均 ![]() やっと出た新訳 先行訳にも敬意を!!! 間宮訳の一般理論Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 最強の経済学者ミルトン・フリードマン | |
![]() | ラニー・エーベンシュタイン 大野 一 日経BP社 2008-01-17 売り上げランキング : 3277 おすすめ平均 ![]() 20世紀を代表する思想家の1人 ちょっと美化しすぎではあるけどAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 物語 現代経済学―多様な経済思想の世界へ (中公新書) | |
![]() | 根井 雅弘 中央公論新社 2006-07 売り上げランキング : 182572 おすすめ平均 ![]() まじめに経済学の将来を憂う 多様な経済思想の復権のために! 読者に「経済思想の多様性」を示してみせる、エッセイ風の読み物Amazonで詳しく見る by G-Tools |
役割を終えたはずのケインズ 新訳書が破格の売れ行き
新自由主義が経済政策の主軸の思想となり、「ケインズ学派の役割は終えた」とさえいわれているのに、「ケインズ」とタイトルの付く本は根強く読まれ続けています。経済環境や政策の不透明感が深まるなかで、あらためて古典に学び、新自由主義を検証してみたいという思いがお客様の底流にあるような気がしてなりません。それを確信したのが、京都大学の間宮陽介教授の新訳による『雇用、利子および貨幣の一般理論』の売れ行きです。
一月中旬に新刊として刊行されたのですが、丸善丸の内本店だけで二週間で一〇一冊も売れました。学術系の文庫本としては破格の売れ行きです。競合店も同様で、なかには品切れの店もありました。
『一般理論』は、東洋経済新報社から塩野谷哲訳が出ていますが、間宮訳は、素人にもわかりやすく取っつきやすい訳になっています。今年は『一般理論』の刊行七〇周年に当たり、間宮訳の刊行は記念碑的な事業といえるでしょう。
訳者は序文で、「新自由主義の人たちは、ケインズ理論を分析理論ではなくイデオロギーにしてしまうことで敵とした」と書いていますが、この新鮮な指摘が一気に読ませる原動力となっています。
「岩波がケインズならば、うちは新自由主義の巨頭の伝記でいく」と言わんばかりに出たのが、『最強の経済学者 ミルトン・フリードマン』です。日経BP社は岩波文庫の新訳刊行を知っていたのではないかと疑ってしまいました。原著の刊行が一年前で、翻訳作業を考えれば刊行時期が重なったのは偶然で、私の推測はまさに邪推なのですが、それにしてもタイミングがよ過ぎます。
サッチャー革命から始まり現在に至る新自由主義経済の流れがフリードマンの人生と重ねて描かれ、抜群におもしろく、これほど新自由主義の神髄を学べる一冊はないのではないかとさえ思いました。
ケインズやフリードマンをもう少し客観的に理解したいな、と思って手にしたのが『物語 現代経済学』です。著者の根井雅弘先生(京大大学院教授)は、経済思想を流れを追ってわかりやすく説明してくれるということで根強いファンがいます。今週は三冊セットで、お薦めです。【宮野源太郎 丸善丸の内本店 一般書売場売場長補佐】
| セイラー教授の行動経済学入門 | |
![]() | リチャード・セイラー 篠原 勝 ダイヤモンド社 2007-10-27 売り上げランキング : 8007 おすすめ平均 ![]() かなり難解だが一読の価値はある 行動経済学分野の貴重な書籍Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント | |
![]() | 石田 淳 ダイヤモンド社 2007-09-29 売り上げランキング : 43 おすすめ平均 ![]() 人間も動物。パブロフの犬と同じ? 適用範囲を間違えなければ有効だと思う 成果主義の次のマネジメント理論Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 影響力の武器[第二版] | |
![]() | ロバート・B・チャルディーニ 社会行動研究会 誠信書房 2007-09-14 売り上げランキング : 240 おすすめ平均 ![]() 思わずどきっとしました 名著「影響力の武器」の邦訳第2版。さらに内容が充実しており、一読をお薦めします。 マインドコントロール関係の必読書。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
合理的で理不尽な人間の行動を理解してマネジメントに生かす
業績はバブル期を上回るほどなのに、働いている人たちは楽しそうでない。上司が怒る理由はわかるが素直に「はい」と言えない。上司は部下が何を考えているのかわからない。だから組織に一体感が乏しい。最近の日本企業には、働く人たちの本音や本質に迫ってくるマネジメントが乏しいように感じるのは私だけでしょうか。
そんな疑問を考える一つの糸口になってくれるのが行動科学です。合理的で、それでいて理不尽なことを平気でやってしまう人間の行動を分析し、それを科学的なマネジメントとして活用する。
『セイラー教授の行動経済学入門』は、人間の行動を経済学に当てはめるとどのようなことが起きるかを株価や競馬、為替の動きなどを例にマクロの視点から考えます。行動経済学の入門書はピンキリであるのですが、本書は読みやすく、大枠を理解するには最適な書と感じました。
行動科学を心理学ではなく経営論に落とし込み、具体的なマネジメント手法を解説した実践指南の一冊が『短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント』。「人は、ある行動から六〇秒以内にほめられると、その行動を繰り返す」「禁煙ができないのは意志の弱さが原因ではない」等々、わかりやすい事例で行動分析と組織運営への生かし方が紹介されています。
できる人や中間層を伸ばすのではなく、できない人を伸ばすために書かれた本であり、「伸び悩んでいる」「部下をうまく育てられていない」と自覚している部下も上司も必読の一冊でしょう。
そして、私が最近読んだ本のなかで「久しぶりにやられてしまった」と完敗宣言をしたのが『影響力の武器[第二版] なぜ、人は動かされるのか』でした。徹底した人間行動の分析と実験から、人はなぜ説得され、承諾するのかという根本を明らかにします。スーツ姿の人が赤信号で道路を渡ろうとするのと、だらしない格好の人が渡ろうとするのでは、それについていく人の数が、驚くほど違うのはなぜなのか。理不尽な行動にもちゃんと理由があったのです。
棚前平積みで、一週間に一冊程度の売れ行きではありますが、棚に戻せず、絶対に欠品できない一冊です。【金子剛士 ブックファースト神田駅前店リーダー】
| プレミアム戦略 | |
![]() | 遠藤 功 東洋経済新報社 2007-12-07 売り上げランキング : 352 おすすめ平均 ![]() 日本の企業に対する「提言」 こんなもんかな・・・ちょっとがっかり やっとまともな本に出会えたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み | |
![]() | 遠藤 功 東洋経済新報社 2005-10-07 売り上げランキング : 1454 おすすめ平均 ![]() うーん?? よく整理できています 「見える化」のさわりを紹介する本Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件 | |
![]() | 遠藤 功 東洋経済新報社 2004-02-13 売り上げランキング : 5585 おすすめ平均 ![]() 方法論へのアプローチがあれば完璧なのだが・・・ 読みやすく分かりやすい 頷いてみたり、傾げてみたりAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| ブラインドテストNo.1―プラズマTV「KURO」はなぜ支持されたのか? | |
![]() | 金谷 年展 赤池 学 ダイヤモンド社 2007-12-14 売り上げランキング : 62267 おすすめ平均 ![]() パイオニアという会社を知ることはできるが...Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| ソーシャルイノベーションデザイン―日立デザインの挑戦 | |
![]() | 紺野 登 日本経済新聞出版社 2007-12 売り上げランキング : 109263 おすすめ平均 ![]() 「デザイン」の深さを感じられる一冊 ものづくり企業における「デザイン」Amazonで詳しく見る by G-Tools |
大量消費モデルが崩壊した今 プレミアムの意味を再考する
日本の経済成長は、大量生産・大量消費モデルの構築によってもたらされました。しかし一方で、製品の均質化が進み、「この逸品でなければ」というプレミアム製品がどんどんなくなりました。
屏風絵や各種の生活用具に見られたように、日本人は非常に優れたプレミアムな道具を大切に使う「欲望の質が高い」人たちでした。その気質は、工業化の進展で薄れてしまうのですが、バブル経済は皮肉にも、この気質を呼び覚まし、成熟した消費志向を生み出します。
『プレミアム戦略』は、ブランドに象徴されるプレミアムな価値を持つ商品が、なぜ日本で育たなくなったのかを分析すると同時に、トヨタ自動車のレクサスやサントリーのザ・プレミアム・モルツなど新たな価値創造への挑戦を検証します。ブランドをマーケティング分野だけではなく、企業総体の価値を高める問題ととらえ直すことで新たな地平が見えてきます。
著者は、『見える化』や『現場力を鍛える』などの著作がある大学教授ですが、この遠藤功さんの本は本当によく売れます。手っ取り早い方策ではなく、考えるための材料を提供してくれるからで、自ら考え、試行するタイプの読者には、著者の姿勢にたまらない魅力を感じるのでしょう。
同じ問題意識の流れにあるのが『ブラインドテストNo.1』。プラズマテレビの色調が安定しないのは黒色の発色に限界があったからなのですが、パイオニアの「KURO」は克服します。本書は、メーカー名を隠したモニター調査で六割の支持を得たKUROの開発物語です。日本で初めてダイナミックスピーカーを開発したオーディオメーカーとしてのDNAが、KUROの新技術開発につながっていくくだりは、プレミアムとは何かに啓示を与えます。
『ソーシャル イノベーション デザイン』は、日立製作所のデザイン研究所の五〇年記念本で、これまでの活動をまとめたものです。しかし、これが読み物として抜群におもしろい。なぜエレベーターの天井には大きな鏡が付いているのか。なぜ野菜室が真ん中にある冷蔵庫が売れたのか。社会をつくるデザインの力と、その力によって生み出されるプレミアムな信頼の姿を実感できます。【本橋一夫 丸善丸の内本店売場長】
| 監査難民 (講談社BIZ) | |
![]() | 種村 大基 講談社 2007-09-26 売り上げランキング : 1503 おすすめ平均 ![]() 詳細な分析 旧中央青山の解散までを描く 企業人は、他山の石として必読書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 公認会計士vs特捜検察 | |
![]() | 細野 祐二 日経BP社 2007-11-15 売り上げランキング : 345 おすすめ平均 ![]() この本の価値 絶対勝利してください 公認会計士VS特捜検察に対する書簡Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| りそなの会計士はなぜ死んだのか | |
![]() | 山口 敦雄 毎日新聞社 2003-07 売り上げランキング : 69759 おすすめ平均 ![]() あらためて読み返してみて ノンフィクションとしては力不足 リサーチが浅すぎるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
時代に翻弄される公認会計士の小説よりもおもしろい“現実”
報酬は監査する法人からもらう「ねじれ」、捜査権限はないのに責任は無限の「ひずみ」、厳格な監査と経営破綻の引き金をひく恐れで揺れる「倫理矛盾」等々。新自由主義の経済運営による市場変革に最も翻弄(ほんろう)されたのが公認会計士たちでした。
さまざまな出来事があったからか、公認会計士と会計制度をめぐる本を手にするお客様が増えています。問題意識の高まりだけでなく、この種の本が下手な小説よりも抜群におもしろいからです。提示される事実は、身震いするほど恐ろしい。しかし、それが読み継がれる理由でもあります。
日本の監査業界最大手であった旧中央青山監査法人の解体(崩壊)の全過程を追ったのが『監査難民』。内部情報を手に入れた共同通信社記者は、一貫して経営トップの側から崩壊過程を描いていきます。組織の維持に全力を注ぎながらも崩壊を止められない現実。監査難民とは、監査を引き受けてもらえなかったり監査法人が決まらない企業のことですが、じつは漂流しているのは監査法人自身ではないのかと感じます。
『監査難民』と鏡の表裏をなすのが、『公認会計士vs特捜検察』です。キャッツの粉飾決算事件で逮捕された著者が、会計士個人として冤罪を訴え、検察とのやりとりを明かします。先週、丸善の宮野源太郎さんも、この欄で推薦していましたが、それでもあえて取り上げさせていただきます。自分の仕事の正当性を信じて闘う姿は、人の生き方として共感できるし、そこにこそ漂流する監査法人と会計士の明日に向けた手立てがあるように思うのです。
ちょっと古いですが、『りそなの会計士はなぜ死んだのか』もいまだに売れています。
りそな銀行が国有化される直前に自殺した担当会計士の死の謎を、他殺説や謀殺説なども含めて検証し、国と企業と監査法人の綱引きの犠牲者と位置づけます。この本を読み、冒頭に書いた、会計士が抱える構造的な問題を言葉にすることができました。自殺した会計士が所属していたのは、特捜との闘いを書いた細野氏が所属していたのと同じ監査法人であったことにも、まだ晴れない闇を見るようです。【平井直子 ブックファースト渋谷文化村通り店リーダー】
| 市場と法 いま何が起きているのか | |
![]() | 三宅 伸吾 日経BP社 2007-10-25 売り上げランキング : 3064 おすすめ平均 ![]() 企業法務の行く末に関心のある人、読むべし 読み物としては難しいが、快著 市場関係者に対する警告書Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 公認会計士vs特捜検察 | |
![]() | 細野 祐二 日経BP社 2007-11-15 売り上げランキング : 201 おすすめ平均 ![]() "驚愕"の書 公認会計士必読の本。監査に対する良識を忘れるとこうなる。 上告棄却であろう 郷に入らば郷に従え(弁護過誤?)Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 日本人の法意識 | |
![]() | 川島 武宜 岩波書店 1967-05 売り上げランキング : 30542 おすすめ平均 ![]() 付言 黒白をつけたがらない日本人の法精神 裁判員制度の導入前にぜひ呼んで欲しい一冊Amazonで詳しく見る by G-Tools |
社会のルールが大きく変わる今 市場と法律の関係を俯瞰する
二〇〇五年に新会社法が成立して以来、M&A、三角合併、コーポレートガバナンス、内部統制などのキーワードが相次いで登場し、解説書や実務書で棚が足りなくなる事態が出現しました。丸の内は、この種の本がよく売れ、にぎやかになった棚を眺めながらも問い合わせに走り回る日々が続きました。
そうしたなかで、各課題の根底にある市場と法律の関係について俯瞰できる本がないのに気がつき寂しさを感じていたのですが、昨年秋、期待に応えてくれる二冊の本が出ました。お客様も同じように思われていたのか、三ヵ月を過ぎても棚前平積みでよく売れます。
まず『市場と法』。堅い法律本のようなタイトルですが、じつは大違い。著者は日本経済新聞社法務報道部(そういう部署があるんですね)の編集委員。昨年、相次いで判決が出たホリエモン事件や村上ファンド事件の判決文を援用しながら、市場経済化の進行に法がどのように対応しているのかを報告します。また刑事司法による国策捜査などにも言及し、一種の法律・裁判ルポルタージュになっており、スリリングな気分を味わいながら読める一冊です。
市場経済化に対して司法当局は、監視型・厳罰化で臨もうとしているようで、それは国家権力の威信を示さなければならないことへの焦りにも見えます。『公認会計士vs特捜検察』は、それを見事にあぶり出します。横浜のシロアリ駆除会社キャッツの顧問会計士であった著者は、容疑を否認しながら裁判闘争を続けています。企業会計の原則をめぐる検察との論争からは、市場経済化で変革を迫られつつも旧弊から脱皮できない検察の姿が浮かび上がってきます。
二冊を読んでふと、日本人は法をどのように考えてきたのかと疑問を覚えました。棚を見ると着実に売れ、決して欠品してはならない一冊があります。法社会学の泰斗で、丸山眞男とともに戦後民主主義を象徴する論者である川島武宜の『日本人の法意識』です。法律の条文で示される文字次元の近代性と、「丸く収める」に象徴される行動次元での前近代性。裁判員制度も始まる今、私たちは法とどう向き合えばよいのか。一九六七年の初版ながら内容はいまだに新鮮さを失っていません。【宮野源太郎 丸善丸の内本店 一般書売場売場長補佐】
| スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く | |
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| フェアトレードの冒険 草の根グローバリズムが世界を変える | |
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サラリーマンの街に変化の兆し 売れ始めた“世界を知る本”
当店のある神田は“おじさんサラリーマンの街”で、売れる経済書は実務書や自己啓発本など実用書が主流です。しかし最近、売れ筋に微妙な変化が起きています。それは、一方でグローバリズムへの疑問を抱えながら、自分の仕事を、世界や時代という大きな流れのなかでとらえ直そうとしているかのように見えます。
始まりは『スティグリッツ教授の経済教室』でした。ノーベル経済学賞を受賞した著者が、世界のさまざまな問題に経済学的な解説を試みた書き下ろし論文集。「週刊ダイヤモンド」に連載されていた当時から話題になっていましたが、「今の世界の全体像」をつかまえられる好著です。
今まではあまり売れなかったタイプの本が、一日数冊ペースで売れます。昨年一〇月の刊行ですが、必ず半年は平積みでいけます。ただし、この本が一年後に今と同じ輝きを持っているかどうかは疑問です。読むなら今、今読むから意味がある一冊です。
次に火がついたのが、『フェアトレードの冒険』。極貧にあえぐメキシコのコーヒー農家の生活向上を目指してフェアトレード団体を設立したオランダ人神父とボランティア青年の奮闘記です。一日一ドルの賃金で働いている人たちが十分な賃金を得るために、高くても買ってもらえるビジネスモデルを探り、それを社会モデルとして確立していく。地味な本ですが、奮闘記であるがゆえに、自分の仕事と重ね合わせて読めることが人気の秘密なのだと思います。
『「社会を変える」を仕事にする』も、受け入れられた一冊です。これも元IT企業の経営者であった若者が、東京の下町で「病児保育サービス」を始めて社会起業家になっていく奮闘記です。この本は、話し言葉で、しかも強調部分を大きな文字にしたりして本づくりとしては冒険的、ひと口でいえば稚拙です。でも、それが、社会起業での役所との折衝の苦労などを生々しく伝え、生の感動を呼びます。グローバリズムのなかの日本の今を考える一冊でもあります。
当初は学生を読者に想定していたようでしたが、反応したのはおじさんたち。売り場から、「なんとかしなければ」というおじさんたちの思いが伝わってきます。【金子剛士 ブックファースト神田駅前店リーダー】
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出版相次いだイスラム金融本で知る宗教とマネーの深い関係
【本橋一夫 丸善丸の内本店売場長】
二〇年後には人口の三分の一を占めると予測されるイスラム世界。もはやイスラム諸国を抜きに世界は語れません。これまで宗教や政治体制について紹介した本はありましたが、イスラムの経済、特に金融システムについて紹介した本はありませんでした。しかし二〇〇七年は、イスラム金融に関する本が相次いで出版され、エポックメーキングな一年となりました。
原油高によるイスラムマネーの膨張と政府系ファンドの活躍が伝えられ、グローバル化した世界経済の「意外な現状」への驚きや、「知っているようで知らない異文化」への知的関心の高まりなどが背景にあるのでしょう。
『イスラム金融入門』と『世界を席巻するイスラム金融』は共に、初学者にも、ある程度の知識を持つ方にもお薦めです。厳格にコーランの教えを守って暮らすイスラム社会。金融活動ではコーランの「リバー(利子)を取ってはいけない」の一節により、西側世界とはまったく異なる金融システムをつくり上げました。二冊は、その全容を紹介しています。
強いていえば、『イスラム金融入門』は、著者が元日本銀行のエコノミストで、「入門」と打ちながらも説明やデータが詳細です。一方、『世界を席巻するイスラム金融』の著者は国際通貨研究所の研究員で、かんき出版の本らしく、非常にわかりやすくビジネスパーソンのための基礎知識というつくりになっています。
関連してもう一冊、『メディチ・マネー』を平積みにしました。イスラムなのになぜルネサンス期の銀行資本、メディチ家なのか。この本の副題は、「ルネサンス芸術を生んだ金融ビジネス」で、メディチ家が建築家のミケロッツオや哲学者のピコ・デラ・ミランドーラ、画家のボッティチェッリなどを支援して芸術変革をリードした事実を紹介します。
そのうえで、当時のキリスト教は現在のイスラム教と同じく「利子を取る商売」を禁じていた事実が明らかにされます。利子を取る銀行ビジネスは、罪を犯すものでした。芸術支援や教会への多額の寄付は、彼らの贖罪にほかならなかった。二つの宗教の相関と変遷は、イスラム金融を理解するための一助になると思います。
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| ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか? | |
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富士山をどうやって動かすか フェルミ推定で判定される“脳力”
「シカゴにピアノ調律師は何人いるか」「富士山をどう動かしますか」――。こんな質問を、自分の人生を決める就職の面接試験の場でぶつけられたら、あなたならどう答えますか。技術が日進月歩で変わるIT業界や金融業界では、よく投げかけられる質問です。
じつは質問には「正解」はなく、面接担当者は解答者がいかに論理的に問題を把握して解決策を探ろうとしているのかを見ているのです。シカゴの調律師ならば、世帯数はどれぐらいで、ピアノを持てる富裕層はどれぐらいいて、何年に一度の割合で調律がなされるかうんぬん。一連の問題解決手法を「フェルミ推定」といいます。
フェルミ推定による問題解決能力を探る試みは、トランジスタを発明したウイリアム・ショックレーが創業したショックレー・セミコンダクター社の入社試験で初めて行なわれました。「一二七選手が登録するテニスの試合で、優勝者が決定するまでに何試合が必要か」。一二六選手でまず六三試合等々と試算していくのも間違いではないのですが、一二六人が負ければ優勝者が決定するのだから「一二六試合」と論理的かつ直感的に解答を見つけることもできます。新時代のものづくりには、そういう能力が求められるのでしょう。
思考ツールとしてのフェルミ推定を本格的に解説した初めての本が『地頭力(じあたまりょく)を鍛える』。一二月に棚に並べるや、当店では一日五~六冊のペースで売れています。意地の悪い論理パズルにプライドをくすぐられる読者が多いのです。
IT業界を目指す人たちのあいだでは、フェルミ推定による質問は以前から知られていて、マイクロソフト社の面接試験の質問については専門サイトが作られているほど。そこで人事採用者と面接を受ける人の両方の立場から活用の狙いを紹介しているのが『ビル・ゲイツの面接試験』。もっと割り切って質問と解答だけをまとめたのが『外資系企業がほしがる脳ミソ』。「外資系」というのがキャッチーですが、要は問題集。
思考法というのはさまざまで、正解なんてありません。でも考える糸口を知らなければいたずらに悩むだけ。それが悔しいと感じる読者は、この三冊を無視できないはずです。【平井直子 ブックファースト渋谷文化村通り店リーダー】


現代に通じる歴史書
必読


面白さの観点が、当時と今では違うかも













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こんなもんかな・・・ちょっとがっかり
うーん??
















