メイン > 週刊ダイヤモンド『目利きのお気に入り』 ( 2008年4月5日~5月3日 )
| サブプライム逆流する世界マネー―経済危機が投資チャンスに変わるとき | |
![]() | 中井 裕幸 実業之日本社 2008-02-01 売り上げランキング : 4240 おすすめ平均 ![]() かゆいところに手が届く解説 サブプライム問題の理解への最良の本:一般投資家だけでなく投資のプロも一読の価値ありAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| サブプライム金融危機―21世紀型経済ショックの深層 | |
![]() | みずほ総合研究所 日本経済新聞出版社 2007-12 売り上げランキング : 46384 おすすめ平均 ![]() 速報ですので・・・ ふつうの一冊 数値データはやや豊富であるが、内容は、普通Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| グリーンスパンの正体――2つのバブルを生み出した男 | |
![]() | ウィリアム・A・フレッケンシュタイン フレデリック・シーハン 北村 慶 エクスナレッジ 2008-04-02 売り上げランキング : 4626 おすすめ平均 ![]() ■グリーンスパン=バブルを生み出し、崩壊させた犯人 “神様”の本当の姿とは? 『波乱の時代』の裏側~グリーンスパン氏はバブル犯だったのか?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
意外な切り口から学べるサブプライム問題の深い闇
金融機関の決算予想が新聞に掲載されるたびに、「読み誤った」と後悔しています。サブプライムローン(米国の低所得者向け住宅ローン)問題の影響についてです。昨秋あたりの予想では、日本の金融機関への影響は軽微と伝えられていましたが、それは当の金融機関自身が、サブプライム問題の深い闇を理解していなかったからだ、と今になってわかるのです。
確信を与えてくれたのは『サブプライム 逆流する世界マネー』。これ自体は、個人投資家向けに書かれた“株本”で、漂流を始めた世界マネーは結局、日本株式に流れるというのが結論。しかしサブプライム問題の背景にあるCDO(債務担保証券)の仕組みや実態について、これほどわかりやすく解説してくれている著作はないでしょう。金融債務が証券化され、どんどん小口になっていくことで問題の本質が見えなくなっていく実態が理解できます。
『サブプライム金融危機』は、金融系シンクタンクの著作だけに解説はじつに詳細。読むというよりは、ニュースを読み解く際の辞書として机上の一冊としました。
ショックを受けたのは『グリーンスパンの正体』でした。一九年にわたって米国経済をリードした前FRB議長については、その自伝『波乱の時代』はじつによく売れました。『正体』のほうはあまり売れていません。しかし、ぜひ薦めたい一冊です。
グリーンスパンの政策にはいくつもの失策があり、そのツケがサブプライム問題に凝縮している、というのが論旨です。徹底した個人攻撃のようにも読め、米国における徹底した批判精神のあり方に驚かされるのですが、本書が良書であると確信するのは、その点ではありません。
ある状況下において採られる金融政策の狙いと効果、そのベストマッチングとは何かを、グリーンスパンの政策に沿って検証します。つまり金融政策に対する的確な評価眼を示しているのです。金融政策における「利下げ」とは、そもそもどのようなものか。バブルが発生するのは、インフレ率が高いときではなく低いときだけである、などといった指摘は、まさに目からうろこ。用語理解の域を超えた内容の深さは驚きの連続です。【本橋一夫 丸善丸の内本店売場長】
| 「キャリモテ」の時代 | |
![]() | 白河 桃子 日本経済新聞出版社 2008-02 売り上げランキング : 9709 おすすめ平均 ![]() 今は働く女性にとって過渡期! 長年の悩みが解けました。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 負け犬の遠吠え (講談社文庫) | |
![]() | 酒井 順子 講談社 2006-10-14 売り上げランキング : 67741 おすすめ平均 ![]() 楽しんで読めました 不倫をすると負け犬になるよ 楽しき負け犬Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| シャネル 最強ブランドの秘密 (朝日新書 100) | |
![]() | 山田 登世子 朝日新聞社 2008-03-13 売り上げランキング : 3281 おすすめ平均 ![]() ブランド論ではなく、シャネル論 ストリート生まれのシャネルAmazonで詳しく見る by G-Tools |
“負け犬”妹世代の女性たちはしたたかに結婚を実現させる
未婚、子どもなし。それを「負け犬」と呼ぶなら呼べ。たとえ独居老人になっても、仕事のない人生なんて。「結婚できなかった」一九六〇年代生まれの女性たちの、そんな自嘲と誇りの交ざった「負け犬」という生き様。その妹たちに当たる、七〇年代生まれの女性たちは、負け犬の矜持を受け継ぎながらも、もっと欲張りに「就活」ならぬ「婚活」が必要な時代を生き抜きます。
『「キャリモテ」の時代』は、結婚したい、子どもも欲しいが、仕事は捨てられない女性たちが、いっそ、キャリアを突き詰めてしまおう、という本です。自分の年収が増えることで、「すごくいい人なんだけど、収入が不安な男で」というよくある問題も解消できる。「キャリア」が「モテ」の要素となりうるという新しい現実を、データや取材を通じて紹介しています。彼女たちのターゲットは、「バリアフリー物件」。「子育ては女の仕事」「妻の年収は自分より少なく」などとは決して思わず、パートナーとして共同事業への参加を厭わない男たちです。
この生き方は、政治家が声高に叫ぶ「ワークライフバランス」より、よっぽど実際的なはず。渋谷では、もともと「女性のため」と称される「かわいらしい」ビジネス本は売れにくい。題目だけのワークライフバランス本も売れない。「キャリモテ」は売れる。軽いタイトルから受ける印象に反して、新しい人生のかたちをしっかり報告しているからです。
ここまでで、わずかでも興味を持っていただけた男性の読者には、やはり、キャリモテの“親本”に当たる『負け犬の遠吠え』から読んでいただきたい。働く女性が何を覚悟しているかわかるはず。
一方、それでもやっぱり結婚できないかも、と思う女性には『シャネル 最強ブランドの秘密』がお薦め。「シャネル」は皇室御用達といった他の高級ブランドと違い、「ココ・シャネル」という個人名だけで世界ブランドを維持してきました。その背景には、八七歳で亡くなるまで現役でいたシャネルの強烈な生き様があります。「働く女」の先達であるシャネルは、未婚、子なしのまさに「負け犬」。でも彼女を「負け犬」と言える人は決していない。【平井直子 ブックファースト渋谷文化村通り店リーダー】
| 未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ] | |
![]() | スチュアート・L・ハート 石原薫 英治出版 2008-03-18 売り上げランキング : 9028 おすすめ平均 ![]() BOPをサブプライムにしそうな・・・Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 新たなる資本主義の正体 ニューキャピタリストが社会を変える (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) | |
![]() | デイビッド ピット‐ワトソン スティーブン デイビス ジョン ルコムニク ランダムハウス講談社 2008-02-28 売り上げランキング : 11451 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫) | |
![]() | マックス ヴェーバー 大塚 久雄 岩波書店 1989-01 売り上げランキング : 3794 おすすめ平均 ![]() 最後の人間、同時代への驚愕から生まれた研究 資本主義はどこから来たのか?資本主義とは何ものか?資本主義はどこへ行くのか? 社会学とは何ぞやAmazonで詳しく見る by G-Tools |
資本主義は変化しているのか 新たな潮流から未来を考える
9・11からエンロン・ワールドコム破綻、サブプライムローン問題まで、それぞれについての解説書は多いのですが、「資本主義」の変化そのものを見る著作が今春、相次いで刊行されました。『未来をつくる資本主義』と『新たなる資本主義の正体』です。大上段なタイトルの本が、現代の読者に受け入れられるか興味深かったのですが、コンスタントに売れています。
『未来をつくる資本主義』は、所得や国家間格差の理由を、二〇世紀の工業化戦略を軸とする資本主義の行き詰まりに求めます。そのうえで持続可能なグローバル経済を構築するには、民族や宗教、自然など「多様性」を確保できる資本主義のあり方が必要だと唱え、バングラデシュの「グラミン銀行」の挑戦などを検証します。
貨幣を持たず、完全な循環社会を形成していたヒマラヤの古代民族・ラダック族が、観光開発によって急激に資本主義化したことで男たちのあいだに強烈な劣等感が芽生え、共同体が崩れていくケースの紹介は非常に興味深いものでした。それでも著者は、資本主義に代わる新たな主義を主張するわけではありません(ちなみに英治出版は、賛否両論はあるにしても、これまで興味深い本と著者を発掘しています)。
『新たなる資本主義の正体』は、原題が『ザ・ニューキャピタリスト』。内部統制やコーポレートガバナンスへの監視力を強める一般投資家を「新しい資本家」と定義し、彼らの活動がより強固になることで市場経済化した資本主義は、市民経済化すると予測します。しかし、この議論もやはり資本主義という枠の中にとどまります。
二冊の訴えはよくわかるのですが、個人的にはすっきりしない。それで資本主義がよくなるという実感がわかないのです。となると、どうしてもいまなお売れ続ける『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に手が伸びます。
システムとしての資本主義と、精神としての資本主義。システムや制度は共有できても、精神は違うので定石どおりには進まない資本主義化。資本主義は精神の多様性をどう受容し、尊重すべきなのか。古典はすごい。ヴェーバーは、きちんと現状を見抜いた警告信号を出しています。【宮野源太郎 丸善丸の内本店 一般書売場売場長補佐】
| まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか | |
![]() | ナシーム・ニコラス・タレブ 望月 衛 ダイヤモンド社 2008-02-01 売り上げランキング : 1613 おすすめ平均 ![]() 厳密にすればするほど、「運」・「偶然」に気づく 言葉がわかりにくいが独自の視点は興味深い この人おもしろいAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進 | |
![]() | エマニュエル ダーマン Emanuel Derman 森谷 博之 東洋経済新報社 2005-12 売り上げランキング : 5345 おすすめ平均 ![]() 緩慢に夢が破れていく過程。 翻訳がいいかげんなのが残念 研究者の人生Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 物語(エピソード)で読み解くデリバティブ入門 | |
![]() | 森平 爽一郎 日本経済新聞出版社 2007-03 売り上げランキング : 31402 おすすめ平均 ![]() 数学で金融工学を学んだ人に是非Amazonで詳しく見る by G-Tools |
避けて通れなくなった金融理論をやさしく楽しく
行きつけのコーヒーショップでもコーヒーが値上がりして、原油高騰やらコモディティへの資金流入やら円高やらを実感するようになりました。世界中の金融商品や取引が、どのようにかかわり合いながら私たちの生活に影響を与えているのかを知ろうとすれば、キーテクノロジーであるデリバティブやオプション手法について学ばざるをえないのですが、それはそれでしんどいな、と思っていたところに出たのが『まぐれ』でした。
著者は、オプション取引のトレーダーですが、「儲かっている人というのは、たまたま運があったに過ぎない」と、ほぼ全編を投資の失敗例の解析に充てます。キーワードは「不確実性」。哲学、数学、脳科学、進化論などへの造詣を背景に、金融市場でいかに「まぐれ」が大きな役割を果たしているのかを明らかにします。それは人間の思考と感情の知られざる格闘であり、本書は読み物としても抜群におもしろい。
実務書でも統計学的な解説でもないが、読者を金融論の世界へと誘ってくれる好著で、最高レベルの知的興奮を味わえます。
『物理学者、ウォール街を往く。』は、ヘッジファンドの収益源である計量的投資手法やデリバティブ取引の収益・リスクモデルをつくり出している物理学者の物語です。理論物理学から金融世界に転じ、ゴールドマン・サックスの計量戦略グループを率いたダーマンは、ウォール街という舞台の鍵を握る人物。なぜ金融の世界に転進したのかから始まり、ウォール街の人間関係、商品開発の裏側、宇宙理論との関係など著者の「自伝的記述」を楽しんでいくうちに最先端の金融世界を学んでいます。文章も翻訳もじつにていねいで、ぜひ著者に会ってみたいと感じました。
理論的なことを学べるのが、『物語(エピソード)で読み解く デリバティブ入門』です。オプション取引やデリバティブの成り立ち、ブラック・ショールズモデルなどについて、大阪・堂島の米会所の歴史、コメの先物取引を見抜いた遠山の金さんなど、日本人に親しみのある題材を通して解説しています。
三冊とも、なぜこれまで金融理論に腰が引けていたのだろうと感じるほどのおもしろさ。さわやかな読後感は請け合いです。【金子剛士 ブックファースト神田駅前店リーダー】
| 美学vs.実利 「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史 (講談社BIZ) | |
![]() | 西田 宗千佳 講談社 2008-02-22 売り上げランキング : 3009 おすすめ平均 ![]() 任天堂の記述は少ない「久夛良木健」史なれど、その業績は「もう一つのソニー」と評価できると思います プレステの歴史がこの1冊にAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 知識デザイン企業―ART COMPANY | |
![]() | 紺野 登 日本経済新聞出版社 2008-02 売り上げランキング : 21942 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 日本溶解論―ジェネレーションZ研究 この国の若者たち | |
![]() | 三浦 展 スタンダード通信社 プレジデント社 2008-03 売り上げランキング : 9819 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ソニーのブランドはなぜ負けた 新しい時代の商品開発論
ソニーの「ラジカセ」が夢で、その後もウォークマン、CDウォークマンと、ソニーは私の世代にとって“家電”ではなく、“ファッションブランド”でした。ソニーは、私たちのライフスタイルを提案するファッションリーダーでした。しかし正直なところ、昨今のソニーへの思いは自分の中で少し色あせていました。なぜなのか。そんな思いもあり、この『美学vs.実利』を興味深く読みました。
「『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」と副題にありますが、プレイステーションvsニンテンドーDSではなく、元ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)社長の久夛良木健氏と彼のチームによるプレステ開発の記述が中心。最も感銘を受けたのは、彼らが作ろうとしていたのは「ゲーム機」の枠を超えた日本発のコンピュータシステムだったことです。ソニーには、トランジスタ・半導体技術を究めようとするDNAがあったのです。
しかし市場は、プレステをあくまで“ゲーム機”と位置づけます。さらに市場がゲーム機に「飽き」始めるや、SCEは市場からもソニー本体からも方向の転換を迫られます。タイトルの“美学”とは生活に密着したコンピュータシステムの実現を目指したチーム久夛良木の夢であり、“実利”とは夢を許さなかった環境の保守性を意味しています。
これに関連して『知識デザイン企業』は、知識経営の大家が、日本メーカーはなぜiPodのような独創的な商品は生み出せなかったかを検討します。個別技術やサービスをまとめ上げる「知の統合作業」が、ソニーをしても失われている実態があります。
また『日本溶解論』では「格差」「下流」を見抜いた三浦展氏が、バブル崩壊後に思春期を過ごした世代に注目します。まさにプレステで育った世代。バブル崩壊で自由や平等という価値観の矛盾があらわになり、価値観の溶解が始まります。ジェンダーフリー教育の世代でもあり、女子の男子化、スピリチュアルにはまる若者といった現象が出現します。そして溶解した価値観は思わぬところで「凝固」します。日本の将来を憂うか、彼らに従来のマーケットを打破する力を予感するか……。【宮野源太郎 丸善丸の内本店 一般書売場売場長補佐】




速報ですので・・・
ふつうの一冊




![未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/31JaFxizN2L.jpg)








