週刊ダイヤモンド連載中の辛口コメントを紹介します。

メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 2008年4月5日~5月3日

B型自分の説明書
B型自分の説明書Jamais Jamais

文芸社 2007-08
売り上げランキング : 12

おすすめ平均 star
star何で当たるんだ!?By B型男子
star説明書の作り方として読むこともできる。
starB型は自分がかわいい

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血液型信仰の現場

何年か前、日本論が専門のアメリカの研究者と話してて、「日本は特別に特殊な国じゃない」っていう彼が、でもこれは珍しいよねと挙げたのが、皇室と自民党と血液型への“信仰”。

前2者については省きますが、A型だからどうとかB型だからどうなんて性格判断は、ヒノエウマや北枕と同じ科学的な根拠が皆無の迷信。まぁ文化と呼んでもいいんでしょうが、真に受けてるヤツは酒場でも馬鹿に見える。

が、この本がバカ売れ中って話の肝はそんなところではなく、これが元来は初版1000部の自費出版物件だったこと。こりゃイケるかもと見込んだ山形の本屋が守り立ててみたらやっぱり売れて、それ見た版元(素人に本出させるのが事業の柱)が全国で拡販に走ったんだって。あ~あ、A型がテーマの続編まで出ちゃったよ。

いろんな意味で草の根から生まれた大ヒット商品ではありますが、儲かった側や飛びついてる読者、どっちを見ても喜べないなぁ。

■2008/05/03, 週刊ダイヤモンド, 163ページ

ゴールデンスランバー
ゴールデンスランバー伊坂 幸太郎

新潮社 2007-11-29
売り上げランキング : 36

おすすめ平均 star
starビートルズの曲に乗せて・・・
star一気読み確実
star最高ではないと思う

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文学ショー2.0

これで5作目になった「本屋大賞」受賞作。小驚きしたのはこの賞、今回TVでも大きく取り上げられてて、ずいぶんメジャーになったこと。本を売る力は芥川賞・直木賞に次ぐって評価は前から出てて、でも、ニュースバリューは紀尾井町方面を抜いたかな。

芥川にせよ直木にせよ、若い女や有名人が取らなきゃマスメディアの扱いはもう小さい。この小説、この作家にしても、今回受けたのが直木賞だったら(順当っぽいって意味も含め)、あれほど取り上げられなかったんじゃない?

書く人の選ぶのが従来の文学賞、売る人の選ぶのが本屋大賞で、今は後者のほうに勢いアリ。そういう構図ってのは、ネット利用者の側がコンテンツを組み上げるウェブ2.0ブームとも通底してそうですが、読者が選ばないとブンガクショー2.0にはならないか。

で、芥川・直木賞は受賞作に文藝春秋刊が多くて、本屋大賞は5作中3作が新潮社。新潮は勧進元じゃないから、凄いっちゃスゴい。【林 操 コラムニスト】

■2008/04/26, 週刊ダイヤモンド, 151ページ

ダーリンは外国人 with BABY
ダーリンは外国人 with BABY小栗左多里&トニー・ラズロ

メディアファクトリー 2008-03-12
売り上げランキング : 91

おすすめ平均 star
starつ、つまらん...
star面白さだけの状態からの脱却
starあの面白一家にBABYが!!

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NOVAの客が買う?

アチラ育ちのNPO主宰者♂と結婚したコチラ育ちの漫画家♀による私小説ならぬ私漫画シリーズの最新作。5年前の第1弾以来、累計で200万部出てるっていうから、エッセイ系コミックとしちゃヒットですが、個人的におもしろいと思うのは中身じゃなく、読者(どうやら大半は ♀)の受け取り方。

ネット書店のアマゾンの読者レビューには否定的な意見も結構あって、内容が薄い、著者のレベルが低いとか散々。そんなこと書いてる皆様がずいぶんと知的で濃い国際経験がおありのご様子なのも笑えるけれど、反対に、大喜びで飛びついてる層がもっとブ厚いあたりも、またおかし。

外語不通の純ドメながら、舶来の♂には興味津々。そういう国産の♀ってのは着実に増殖してて、NOVAあたりのいいお客様でもあったんだろうね。狙うのはTOEFLやTOEICのハイスコアじゃなく、文字どおりの異文化交流。

で、国際結婚が実際に増えてて、国際離婚もまた同様、と。【林 操 コラムニスト】

■■2008/04/19, 週刊ダイヤモンド, 121ページ

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))城 繁幸

筑摩書房 2008-03
売り上げランキング : 29

おすすめ平均 star
star既得権益の壊し方に疑問
star昭和的価値観
star痛快無比

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柳の下のウナギ

柳の下にドジョウは2匹(いや、もっと)ってのは出版業界でも常識。ちょっと前に当たった新書2冊にも、著者たち自身による続編が出た。この本、そして『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』(光文社新書)。

2月と3月の発売でいずれも人気ながら、売れ行きランキングや紙誌ネットでの評判みてる限りじゃ、勢いがあるのはコッチ。『~大間違い』の方は上下巻予定の下が出ただけだし、上巻のタイトルを全否定するようなセンスは、会計がテーマの新書に飛びつくマジメな層には通じないでしょ。

一方、1年半前に出た『若者はなぜ3年で辞めるのか?』に続くこの1冊は、版元は変わったのであるが、題名からして興味のつなげ方が巧い。中身も、いまだに残る年功序列と終身雇用が若い連中を腐らせてると指弾した前著を受けての、ホントに辞めた皆様の実態リポート調。単体の読み物としてもイイ出来です。柳の下にはウナギもいた。【林 操 コラムニスト】

■2008/04/12, 週刊ダイヤモンド, 111ページ

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」細谷 功

東洋経済新報社 2007-12-07
売り上げランキング : 82

おすすめ平均 star
star「フェルミ推定」より内容に満足
starフェルミ測定の紹介でやめておくべきでした
starいいものは生で。「地頭力」はただのキャッチコピーです、ご注意を。

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外資と地頭にゃ勝てぬ

泣く子と同じくらい強いジトウではなく、最近よく聞くヂアタマがテーマの1冊……と思ったら、話の大半はフェルミ推定について。『地肩力を鍛える』って本がスナップの利かせ方みたいな小技満載だったら野球小僧は怒るだろうけど、会社小僧は感服しちゃうのかね。なんだかよく売れてます。

フェルミ推定ってのは「シカゴにピアノ調律師は何人いるか」「日本全国に電柱は何本あるか」なんて質問に答えるための技術で、つまるところは理系のとんち。それが人気なのは、外資だコンサルだの採用面接にこの手の問題が出るせいらしく、背景には「言われたら言い返さないと負け」っていうアッチ方面のブンカがありそ。

外資系な著者は、投げかけられた奇問に応じるワザを延々ご伝授下さいますが、答えなくていい質問を見分け、取り組むべき課題を見出す能力こそ、今のニッポンに不可欠な地頭力じゃない?

なお、フェルミってのは原爆製造にもかかわった物理学者です。【林 操 コラムニスト】

■2008/04/05, 週刊ダイヤモンド, 157ページ

メイン > 週刊ダイヤモンド『ベストセラー通りすがり』 2008年1月5日~3月29日

はじめての課長の教科書
はじめての課長の教科書酒井穣

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-02-13
売り上げランキング : 13

おすすめ平均 star
star管理職になって悩んでいる人には超お勧めの一冊!
starポイントがまとまっている
star期待はずれでした

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社内伝承は絶えたのか

「はじめての」って修飾語が「課長」にも「教科書」にもかかりそうな「美しい日本の私」(by川端康成)系タイトルながら、中身はごく散文的な実用ビジネス書。

欧米系マネジメント術では軽視(どころか排除)されがちな中間管理職の、ニッポンの組織における仕事術と処世術が的確に説かれてて、そういうポジションで苦労してる知り合いに読ませたくなる。

話の大半は、昔なら組織の階段昇ってくうちに上司や先輩から直接・間接に伝えられたようなこと。でも、終身雇用と年功序列の崩壊で上下左右全方位がライバル、伝承ラインなんか途切れちゃった今、当たり前のこと満載の本ってのが貴重なんだろね。

2月の発売後、まず火がついたのはネット方面、それもブログ。コンプライアンス重視で禁止事項と建前ばっか、そんな役立たずの社内研修に飽きて疲れた層が飛びついたのかなぁ。組織の内で生きる術を組織の外に求める――いい時代なんだか嫌な時代なんだか。【林 操 コラムニスト】

■2008/03/29, 週刊ダイヤモンド, 89ページ

虚像の砦 (講談社文庫 ま 54-5)
虚像の砦 (講談社文庫 ま 54-5)真山 仁

講談社 2007-12
売り上げランキング : 4706

おすすめ平均 star
starプロレス上がりのアナウンサーのバカっぷり
star登場人物よりも「仕組み」
starハゲタカ好きにはお勧め

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ドラマ化絶対不能

TVと本ってのは相性が悪いようで、人気番組の企画やネタを紙に起こした場合は別にすると、TVについての論やリポートやコラムは売れないし(ナンシー関は奇跡でした)、TVを舞台にした物語にも面白いものは少ない。

ところがこの小説、去年の暮れに文庫で出たら3ヵ月足らずで5万部突破。実は巻末の解説、ワタシが書いてるんですが、正直、ここまで売れるとは思わなんだ。

著者はあの『ハゲタカ』シリーズの真山仁ゆえ、ファンが飛びつくのはわかる。でも、テーマがガラッと違う第2作も読者を増やしてるのはなぜか。

売りは小説としての面白さ、そして、TVの力と危うさがよくわかること。報道からお笑いまでの番組、その裏にある経営や免許。取材対象や政治・行政とのかかわりがリアルに描き込まれてる。

『ハゲタカ』のヒットの背景に金融・経済への不安があったとするなら、この本の人気を下支えしてるのはTVへの不信じゃない?【林 操 コラムニスト】

■2008/03/22, 週刊ダイヤモンド, 75ページ,

オフレコ!Vol.5 (AC MOOK)
オフレコ!Vol.5 (AC MOOK)田原 総一朗

アスコム 2007-11-28
売り上げランキング : 13742


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買うなら今しかない?

あのアスキーの一般向け出版部門が独立したアスコムが民事再生だとか。ワタシもこの会社で仕掛かりの仕事があるんですが、さぁアナタもやや急げ。

先日の草思社みたいにヨソが経営支援に乗り出す話がまとまったみたいだとはいえ、手に入れといて損はないアレやコレが今後は遠のく可能性はまだ消えてません。

『警察の闇 愛知県警の罪』から松山千春責任編集の「月刊松山」まで玉石混淆の出版目録より今回ここでお薦めするのは、不定期刊行のムック「オフレコ!」。2005年の夏に登場した第1号以来、別冊込みで計7冊が出てますが、毎回テーマはニッポンのタブー。その濃さ際どさ新しさは凡百の週刊誌月刊誌単行本を上回り、いずれの号もよく売れてた。

最新(そして最終?)号は去年の暮れ発売の宗教特集で、創価学会の副会長まで登場。うんざりな現実のうんざりな裏側に興味寄せられる余裕のある方は、ぜひ。

■2008/03/15, 週刊ダイヤモンド, 91ページ

脳を活かす勉強法
脳を活かす勉強法茂木 健一郎

PHP研究所 2007-12-04
売り上げランキング : 82

おすすめ平均 star
starこんな内容を書く人が専門家面しちゃダメ
star読みやすい!
star期待はずれでした

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脳バブルの墓標

某ベストセラー・ランキングにこの本と一緒に入ってたのが『余命1ヶ月の花嫁』。あちらがあまりに深刻かつ感動系ってこともあり、以下のような連想はますます不謹慎ってことになるんでしょうが――茂木サンも余命、そんなに長くないのかしらん。

そもそもTVに出ずっぱりなのに、輪をかけて本も出し放題。45歳といや、働き盛りではありますが、この本の発売された去年12月ひと月だけで上梓した著書は都合5冊。脳ブーム、脳バブルとかいうレベルを超えて、本人が生き急いでるようにさえ思えちゃうのよ。

それでモーツァルトみたいに中身が濃けりゃ心配すれども文句なし、なんだけれど、コレなんて極薄。発泡酒どころか第3のビール、それをさらにソーダじゃなく水で割ってるみたいにアメリカン。

独自の体験を独自の理論で裏づけられたところで、ファン以外は困るか怒るか呆れるか。科学者としての余命、仲よしの江原クンに霊視してもらったほうがいい。【林 操 コラムニスト】

■2008/03/08, 週刊ダイヤモンド, 121ページ

思考の整理学 (ちくま文庫)
思考の整理学 (ちくま文庫)外山 滋比古

筑摩書房 1986-04
売り上げランキング : 302

おすすめ平均 star
star考えるとはどういうことか、考えさせられる本
star考えることとは何かを思い出させる本
starつまりは「やり方」など変わらないということ

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ウェブ時代への大予言

単行本の出たのが1983年、この文庫版の初版が86年。そういう“昭和レトロ”な1冊が、今またキてます。大手の書店じゃ平積みになり、文庫売り上げランキングでも急上昇中。定番系ロングセラーに、いったい何が起こったか?

どうやら、梅田“ウェブ2.0”望夫が去年の11月に上梓した『ウェブ時代をゆく』(同じ筑摩書房からの新書)で取り上げたのがきっかけで、ネットや書店の店頭で評判が広がってる様子。

著者は23年生まれ、長らくお茶の水女子大の教授を務めた英文・言語学者で、エッセイストとしても御大。入試の国語、長文問題に頻出することで有名だったけれど、小林秀チャンや加藤周クンのようにムダに難解じゃないのは、この本も同じ。

ネットもないバブル期前から、今のニッポンの抱える問題の根を指摘して、個人向けの処方箋まで書いてるのがスゴい。あ、その全部を20年以上も放置してたニッポンがヒド過ぎるだけか。

■2008/03/01, 週刊ダイヤモンド, 91ページ

夢をかなえるゾウ
夢をかなえるゾウ水野敬也

飛鳥新社 2007-08-11
売り上げランキング : 3

おすすめ平均 star
star笑いをもらいました
starやってみようと思わせます!
star最高の一冊

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「成功」の薄利多売

このタイトルが「夢をかなえるゾ!」って決意表明に引っかけた駄洒落だと気づいたアナタはオヤジギャグの被害者か加害者。

中身にガネーシャ(インドの象の神様です)登場と知って、「修行をするゾ!」って掛け声まで連想したワタシはオウム世代(ガネーシャ帽かぶった連中が唄い踊る真理党の街宣、ナマで見ました)。

ってわけでコレ、小説仕立ての自己啓発本。去年の8月に出て半年で20万部超、最近なぜだか売れ行きに勢いがついてる。

ちょと目新しげなのは、お笑いのフレーバー(中島らも先生があの世で悪酔いしそうなヌルさ)で間口を拡げ、自己改造に成功する法じゃなく失敗しない法を説くことで敷居を低くしてること。

間口拡大&敷居引き下げはマックからドンキまで薄利多売商売の鉄則ですが、この本が売ってる成功習慣なる代物の場合、みんなが体得しちゃったら、世の中いったいどうなるんだろ。トヨタは消えてレクサスが溢れるのか?【林 操 コラムニスト】

■2008/02/23, 週刊ダイヤモンド, 105ページ

大人の見識 (新潮新書 237)
大人の見識 (新潮新書 237)阿川 弘之

新潮社 2007-11
売り上げランキング : 168

おすすめ平均 star
star「日本人」を見つめ直す
star一戦争体験者の言葉
star若輩者にはまだまだ見識が足りない

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見識を説く資格

類書の後追いが頻発した『バカの壁』『国家の品格』に続く、新潮新書『xのy』シリーズ(?)最新作。これまた名のある大物による新書ですが、書き手は養老藤原と続いた教授筋じゃなく、文壇の大御所にして元海軍中尉(ついでに阿川佐和子の父)87歳で、話の大所高所感、にもかかわらずの読みやすさ、いずれも当社比倍。

海軍びいき昭和天皇びいきを聞き流せる「大人」の読者には楽しいお説教で、己への厳しさと周りへの優しさ、それゆえのツラさキツさを和らげる手段としてのユーモアを説かれるのは気持ちイイ。

去年の11月に出て早くも32万部とのことゆえ、今後またエセ「見識」本が続くんでしょうが、役人崩れによる『女性の品格』で儲けたPHP新書にはぜひ出してほしいな、『官僚の見識』。

著者は元大蔵醜聞官僚のJT会長。己への優しさと客への厳しさ、コンプライアンス委員長まで兼任するブラックユーモア感覚の持ち主ゆえ、きっと見識もお見事かと。【林 操 コラムニスト】

■2008/02/16, 週刊ダイヤモンド, 91ページ

甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯
甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯門田 隆将

講談社 2005-06-29
売り上げランキング : 17

おすすめ平均 star
star生き残りをかけ多種多様に対応する
starプロ野球ファンには楽しめる本
star野球は楽しいぞ。

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見て読め、読んで見よ

立派な人を立派に描いた立派な本。しかもスポーツ&教育系。個人的には見事に苦手方面な物件であるはずなのに、これがいい。

「いいほど売れない」法則ゆえか、この本も2年前の夏に出て以降しばらくは好きな人だけが好きっていう存在……だったのが、今年に入って書店じゃ品切れ、図書館じゃ予約待ち、まだ在庫のあるアマゾンじゃベストセラー入り。

火をつけたのはTVで、NHKが土曜夜の連ドラに仕立てたわけですが、その「フルスイング」の出来がまたいい。プロ7球団で打撃コーチ続け、イチローとかの強打者を育てたオッサンが58歳で高校の社会の教員に転身。そういう実話を、冴えないのが売りのオッサン役者(高橋克実)主演でマジメに映像化できるのは、よくも悪くも国営放送くらいでしょう。

なんてフマジメな原稿がなぜ毎回「週刊ダイヤモンド」に載っとるのか。そうお嘆きの立派な貴兄には特に、原作・ドラマのいずれにも、ぜひ触れていただきたく。【林 操 コラムニスト】

■2008/02/09, 週刊ダイヤモンド, 93ページ

ザ・シークレット
ザ・シークレットロンダ・バーン 山川 紘矢 山川 亜希子

角川書店 2007-10-30
売り上げランキング : 11

おすすめ平均 star
star引き寄せの法則の入り口として
star読みにくいなあ
star引き寄せの法則に確信があります。

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船井幸雄アメリカン

「最後の指先一本でガッと持ってくるやつが勝つ 柳本晶一」。黒地に白字でそう大書されたTシャツをスポーツ用品の店で見かけ、ビミョーな気持ちになりました。

柳本って御仁、ちィとも勝てない全日本女子バレーの監督ゆえ、そもそも御利益なさげなのに、そんな人のそんな言葉を商品にプリントするメーカー(ミズノです)がいて、それを買う人までいる。

これとよく似た構図を感じさせてくれるのが、この本。装丁だけ眺めてると新手の翻訳サスペンスあたりに見えるけれど、全米大ヒットなのはともかく、中身は思い込み勝負の啓発本でさ。分厚い中身をグッと煮詰めりゃ、“強く願えば実現する”んだって。

そう、言ってることは船井幸雄センセあたりと似てて、パラパラめくってるだけでも、思い込まされたい人ってのが世界中に山ほどいることは再確認できる。

で、これが日本でもベストセラー。最後にガッと持ってくりゃ勝ち、ってことですかね。【林 操 コラムニスト】

■2008/02/02, 週刊ダイヤモンド, 91ページ

もやしもん 5―TALES OF AGRICULTURE (5) (イブニングKC)
もやしもん 5―TALES OF AGRICULTURE (5) (イブニングKC)石川 雅之

講談社 2007-06-22
売り上げランキング :

おすすめ平均 star
starオリゼー念願の世界進出
star長谷川さんが
star一番笑った!

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マンガ商売のカガミ

連載されてるのは隔週刊の青年誌「イブニング」、物語の舞台は農業大学、フジテレビ系でアニメ化されたとはいえ放送は深夜。

なんだかえらく地味げなマンガなんですが、そのアニメ版の視聴率が夜中枠としちゃ見事な5%超え。原作も1~5巻の累計で175万部に到達だって。TVのチカラってすごい、ってだけの話ではもちろんなく、マンガとしても商品としても、なかなか強力なんだわコレが。

農大なる知られざる世界で若い連中がバカやるって枠組みは『のだめカンタービレ』あたり髣髴だわ、菌と発酵がテーマゆえ酒だの食だの健康だの多方面にウンチク満載だわ、当の菌たちがかわいいキャラとして登場するわ、当たる要素がテンコ盛り。予約好調らしい2月発売の第6巻には、その菌キャラ人形のオマケが付く。

商売上手なのは、どうやら作者ではない様子で、つまるところは「またやりおったな講談社」ってオチなんですが。【林 操 コラムニスト】

■2008/01/26, 週刊ダイヤモンド, 85ページ

チャレンジ ミッケ! 1 おもちゃばこ
チャレンジ ミッケ! 1 おもちゃばこウォルター・ウィック 糸井 重里

小学館 2005-12-21
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おすすめ平均 star
starおもちゃ屋さんを探検するようなワクワク感! 大人も童心に帰る面白さ
star楽しいです。親子で遊べます。
star娘がハマってます!

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この『ミッケ!』あるいは『バムとケロ』あたりにピンとくるアナタは、たぶん子育て真っ最中。そうでなければ子ども好きか幼児マニアか、あるいは育児やってる身内や知り合いからプレゼントとしておねだりされたか。

というわけで、売れる本と売れない本の格差が一般書以上にデカい児童書の世界で、長く激しく売れ続けてるのがこのシリーズ。これまでに出た全12冊の累計が300万部突破!……だそうで、なぜか翻訳担当してる糸井重里、こんなとこでもまた儲かってまんな。

写真の中に隠されたアレコレを「ミッケ」なさいって中身は、あの『ウォーリーをさがせ!』のいわば実写版。ただ、バブル期に証券会社のCMになった『ウォーリー』と違って、コッチの第1作の日本上陸はバブル崩壊後の1992年。

平成元年生まれが3歳の頃と考えりゃこのシリーズ、平成キッズと一緒に育ってきたわけで、今後「ミッケ世代」なんて言葉も出てくるかもしれません。【林 操 コラムニスト】

■2008/01/19, 週刊ダイヤモンド, 87ページ

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)勝間 和代

光文社 2007-11-16
売り上げランキング : 2

おすすめ平均 star
star10年前に読みたかった!、でも、まだ遅くないかも?
starあまり「金融」に携っていない方に一読して欲しいです
star地に足の着いた投資の指南書

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じゃ、馬鹿はどうする?

食い逃げされてもバイトは雇うな、金融広告を読め――命令口調のタイトルの多いのが光文社新書の経済・金融モノですが、どれもなんだかエラそうなだけじゃなく、中身も結構立派。この本も例外ではなく、ついでに売れ行きまでご立派で、11月下旬に出て12月にはもう10万部突破だそうな。

「賢くない人から賢い人へお金が流れる仕組み」が資本主義ゆえ、おベンキョして、騙されるのはやめましょ。そういう趣旨の下、開陳される精神や技術は、賢い(はずの)本誌読者には耳新しくないかもしれませんが、なかなかにまっとう。著者は金融ウーマンながら、モノ売りたげなところがない。19歳で会計士の試験に受かり、21歳で出産してるって傑物だけのことはある。

ただ、ちょと想像たくましくして読んでくと気分は落ち込む――おベンキョしても賢くなれない層は、今後さらにムシられる一方。そういう話の裏返しに思えてきちゃう1冊でもあるのでねぇ。【林 操 コラムニスト】

■2008/01/12, 週刊ダイヤモンド, 73ページ

新潮日本語漢字辞典
新潮日本語漢字辞典新潮社

新潮社 2007-09
売り上げランキング : 84595

おすすめ平均 star
star漢和辞典ではない漢字の辞典

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「変換馬鹿」からの脱出

9月に出た初版一刷1万部はアッという間にハけ、以後は入手困難。版元じゃ社員の購入予約分まで市販に回し、古書市場じゃ高値が付く。『広辞苑』第6版の発売(新年1月)決定に『イミダス』『知恵蔵』の廃刊と、辞書事典がらみの話題が多かった2007年、隠れたベストセラーも出てたワケです。

暮れになってやっと増刷分が出回り始めたけれど、発売以来3ヵ月もかかったのは、用紙から特製でモノづくりに時間が要ったせい。増産も持ち運びも簡単なデジタル版、いや、オンライン版も出してよ! と苦情に力が入るのは、字引としてのデキがいいから。

そもそもは漢文解読用にある漢和辞典の使いにくさ、皆様よくご存じでしょうが、この辞典の場合、熟語の読みから検索できたり、「おとなしい」だけで6通りも漢字表記が紹介されてたりで、読めない字、書けない字が探しやすい。

引くたび痛感するのは、パソコンやケータイの漢字変換に頼りきりの自分が馬鹿になってること。【林 操 コラムニスト】

■2008/01/05, 週刊ダイヤモンド, 151ページ
 
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