日経ビジネス掲載の書評『新刊の森』(2005年掲載分)の紹介です。

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年12月12日~12月26日

日本の「覚悟」
日本の「覚悟」中西 輝政

文藝春秋 2005-10-25
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著者は保守本流の立ち位置から、我が国の内政・外交に見え隠れする曖昧さを厳しく糾弾している国際政治学者である。本書では小泉政権の“罪”の部分を論じ、対中国及び対北朝鮮の弱腰外交に活を入れる。また、国際情勢の急激な変化は日本国民に核武装の「覚悟」を迫っていると主張する。

「もっぱら大衆人気に依拠して、実は自らを支えている古い政治の基盤を自虐的に攻撃してみせる『小泉型指導者』は、西欧政治の各時代に存在する」と指摘し、19世紀英国の政治家、パーマストンと比べて論じる点は興味深い。石原慎太郎・東京都知事や安倍晋三・衆院議員との対談では、日本の“内なる敵”として一部のメディアや論者の実名を挙げ、反論を加える。真の国益とは何かを問い直す書。

■22005/12/26, 日経ビジネス, 133ページ

大学力 早稲田の杜から「変える力」を考える
大学力 早稲田の杜から「変える力」を考える白井 克彦 枝廣 淳子

主婦の友社 2005-09-30
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star大学にもう一度行きたくなりました-大学改革の現場がわかる!
star大学力というより人間力
star考えてみると考えてなかった、と言わせないために。

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著者に聞く-パーソナルライフ-大学力-白井克彦 氏[早稲田大学総長] 早稲田の森の大学改革-『大学力』

学部の枠を超えた講義など早稲田大学が改革に取り組んだ。 社会の変化に対応、学生の学びへの興味を刺激する。 生まれ変わった大学で学びたい気を起こさせる。

――かつては、大学に入ったら勉強しなくなるという“常識”がまかり通っていましたが、早稲田大学では学生の意識が変化しているようですね。

学生に活気が戻ってきましたし、昔に比べて勉強するようになったのは事実です。改革に当たっては様々な仕掛けを用意しました。例えば、学部や学科に関係なく受講が可能なオープン科目の制度を取り入れ、今では2000講座の中から、自分の興味のある科目を選ぶことができます。同様に学部にとらわれないテーマカレッジという制度も始め、テーマごとに教授と学生が集まって研究を手がけています。

新しい語学教育も学生に好評です。学生4人に対し、ネーティブか、その水準に相当する日本人講師が週に2回、スピーキング中心の授業をするのですが、半期に5000人が受講します。

小中学生と違って、体力のある大学生は、寝る間を惜しんで勉強することが可能です。さらに学生同士が、高校時代までには出会わなかった人間と、想像もしなかった意見を交わす、その学ぶ楽しさやサプライズが、大学に通う満足度につながると思うのです。

――いわゆる授業の選択制度など、器を変えることはできても、教授の質を変えるのは難しいと思います。どうして改革が成功したのでしょう。

確かに大学教授は定年まで辞めません(笑)。ただし、結果から言えば、学生が選択するのです。2000講座の中には、それこそ受講希望者が集まりすぎるものから、学生数が集まらず、オープン科目から外れる講座まであります。

また語学の講師は、研究者としての雇用では給与が高額になってしまうので、トレーナーとして確保しました。半期に5000人の学生を教えるには、1200人の講師が必要ですが、すべて授業はモニタリングして質を保つ努力をしています。

改革の根底にあったのは、社会の変化に対応しなければならないという使命感です。一方には、早稲田には多くの学生が集まるのだから、新しい改革をするより、既存の学部を充実させろという意見もありました。それも間違いとは言えません。けれども大学卒業後の進路も、かつてのように企業や官庁への就職ばかりでなく、起業や留学など、多様化しています。だからこそ、学生の生きる力、学ぶ力を育てる必要があります。企業も自前で人材を育てるより、大学で何を学んだか、注目するようになっています。

――一方で、研究の水準など、大学自体の競争力も問われています。

世界の大学と伍していくためには、優れた研究をしなくてはなりません。理工系を強化するためにも、教員を増やしたいのですが、いかんせん資金が足りません。実は、日本の私立大学が国際的に高い評価を受けない大きな理由は、教員の少なさにあります。

日本の私立大学の授業料は、理系・文系を平均して年間100万円程度、米国の有名私立は寮費なども含めてですが300万~400万円程度はかかるでしょう。ならば授業料を上げろという声もありますが、国立大学では医学部でも授業料は年間50万円程度です。

国立大学の運営交付金は約1兆2000億円ですが、私大への助成は約3300億円です。学生数で見ると75%が私立、25%が国公立で学んでいるのに、差が大きすぎないでしょうか。

多くの人材を育成する私立大学の教育力を強化するには、国の教育行政も見直す必要があります。

白井克彦(しらい・かつひこ)氏
1939年生まれ。早稲田大学理工学部電気工学科、同大学院理工学研究科修士・博士課程を経て、73年に工学博士取得。2002年から現職。

■2005/12/26, 日経ビジネス, 135ページ

日本を変えるプランB
村尾 信尚

経済成長ありきのこれまでの政策体系を「プランA」とするならば、「プランB」とは生産者から消費者へ、税金を使う側から納税者へ、官から民へ、物の豊かさから心の豊かさへなど、視座を反転した位置から見える政策だ。大蔵省(現・財務省)勤務を経て大学教授に転身、現在草の根の行政改革運動を指導する村尾信尚氏は、イラクなどで人道支援を行う特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン統括責任者、大西健丞氏らとともに「もうひとつの日本を考える会」を結成した。本書は同会が描く政策を世に問うもの。

日本社会に起きつつある変化と起こすべき変化を区別しながら、プランBの必要性を訴える。まずは裁判員制度の実施が迫る司法改革を取り上げる。古くからの「お上意識」を払拭し、西欧的な統治主体意識を我々は持ち得るのかと問い、この意識改革こそがプランB全体を推進する試金石と訴える。また、「市場化」というキーワードを示し、金融の市場化などと同様に、雇用が完全に市場化する社会の到来を恐れずに順応せよと言う。そこでは自己責任が今より増し、個人のリスクは高まるが、公平感のある仕組みを作ることでバランスは保てると語る。そのためには「情報」の開示と平等かつ迅速な伝達が不可欠だと論じる。

■22005/12/26, 日経ビジネス, 135ページ

日本郵政 解き放たれた「巨人」
日本郵政 解き放たれた「巨人」町田 徹

日本経済新聞社 2005-11
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star改革だったはずでは?

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2007年、「日本郵政株式会社」が正式に誕生する。先の衆議院選挙で民営化推進派が圧勝し、議論は沈静化したかに見えるがその実はどうか。気鋭のジャーナリストが民営化問題の核心に斬り込み、危うい実態をえぐり出す。著者は「今回の民営化の枠組では、電電公社や国鉄の民営化のような恩恵が実現すると期待しないほうがよい」と断言する。NTTやJRが民営化に際して支払った「独占分野の解放」や「地域分割」という代償が、今回は全く見当たらないと指摘。利権が温存され、市場に律せられることがない日本最大の企業体の暴走が、改革どころかこの国に取り返しのつかない弊害をもたらす可能性があると憂える。

旧郵政族を頂点とし、「集票マシン」とまで揶揄された既得権益構造を解体することも、民営化がもたらす恩恵のはずだった。しかし今回の民営化には、新たな勢力に巧妙に特権を与え、これまで以上に巨大な利権構造の構築を目論む新たな権力の影が見え隠れしていると指摘する。例として、郵便貯金残高200兆円の “甘い汁”に群がる金融各社の実態を示す。旧・田中角栄派郵政族の解体に端を発するこのシナリオは、「小泉・新郵政族」の悲願であると言い、国民がその暴走を食い止めなければならないと訴える。

■2005/12/26, 日経ビジネス, 135ページ

円、元、消滅!
円、元、消滅!一橋総合研究所 通貨戦略部会

ダイヤモンド社 2005-11-11
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star通貨による大東亜共栄圏の確率

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国家百年の計の策定を目的に集った一橋総合研究所の志士たちが、アジアの基軸通貨となる「アジア圓(“ゥイァン”と発音する)」創設の有効性を世に問う書。我が国民には円を捨てる決意を促し、政府には隣国中国に対して人民元の消滅を要請すべしと訴える。

通貨・金融政策の優劣が国家の趨勢を左右する傾向はこの先ますます強まるであろう。同研究所では、専任研究員や金融業など民間企業の最前線で活動するメンバーから成る「通貨戦略部会」を設置。一見荒唐無稽にも見える基軸通貨創設のアイデアだが、政治的、経済的裏づけはもとより、アジア及び西欧諸国の歴史的背景を踏まえた論拠を持って、その正当性を論じていく。

まずは膨張する中国経済を恐れる結果生じる“嫌中感情”を排し、ともに勝つモデルを見つけるべきと訴える。中国国内には既に「人民元基軸通貨論」が存在しており、手をこまぬいていればドルやユーロに比肩するパワーを持つ可能性も否定できない。その時「円」はどうなってしまうのかと問い、中国を巻き込んだ「円、元、消滅政策」は待ったなしだと論じる。また、我が国の通貨史を幕末から今日まで丹念にひもといた結果、「その場しのぎの歴史」であったがゆえに欧米諸国につけ入る隙を与えていると総括する。

■2005/12/26, 日経ビジネス, 135ページ

村が消えた―平成大合併とは何だったのか
村が消えた―平成大合併とは何だったのか菅沼 栄一郎

祥伝社 2005-10
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star市町村の合併騒動、洗いざらい調べました!

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「合併特例債と地方交付税の減額」という「アメとムチ」で進んだ平成の大合併。「国から地方へ」というかけ声の下で起きる“合併狂騒”に迫る。

合併による混乱は全国で起きている。その1つが地名。例えば、山梨県は甲斐市、甲府市、山梨市、甲州市と、時代を超えて山梨県が4つ並んだような格好となっている。人口規模がほぼ同じ4町が合併した三重県いなべ市は、合併をすんなり進めるために、あえて本庁舎を1つに決めず、4つに分散する「分庁舎方式」を採用。市長は軽自動車で4庁舎を駆け回る日々だ。

「合併しない宣言」を最初に打ち出した福島県矢祭町の改革、合併の推進役・野中広務自民党元幹事長らへのインタビューなども紹介しながら、健全な地方自治のあり方を探る。

■2005/12/19, 日経ビジネス, 87ページ

ジョーからの贈りもの―若きサムライとの日々
ジョーからの贈りもの―若きサムライとの日々ジョー トーリ 広岡 勲 Joe Torre

アイビーシーパブリッシング 2005-10
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star様々な角度から読める本

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■パーソナルライフ-広岡勲 氏[ニューヨーク・ヤンキース広報] 日本的感覚を持つ指導者

松井秀喜選手の後見役として知られる名将が野球人生で得た哲学を語る。指揮官の心情を知れば大リーグが一層面白い。

――ビジネス書としても、十分、示唆に富んだ内容です。

ジョー・トーリ監督は、大企業の社長を目指しても、すごいボスになっていたと思います。松井秀喜選手がそう言います。上司は、わがままな性格で知られるオーナーのジョージ・スタインブレナー氏。部下は高給取りで、プライドの高い個性派集団。しかも、毎年メンバーが入れ替わる。地球上で、ニューヨーク・ヤンキースほど操縦が難しい組織はないでしょう。にもかかわらず、選手やコーチはワールドチャンピオンという目標に向け、一丸となっている。トーリ監督が、選手をその気にさせる技術を持っているからです。

この本を出したのは、トーリ監督から2005年春のキャンプで、声をかけられたのがきっかけでした。その時から単なる野球本でなく、監督のリーダーシップ論に焦点を当てたいと考えていました。特に人間関係に悩んでいるビジネスマンや、個性的な部下をうまく操縦できないという悩みを抱えている管理職には、読んでもらいたいですね。

――トーリ監督の人格を形成した2つの原体験の話が印象的です。

トーリ監督は沈着冷静な監督として知られています。どんな時でも声を荒らげることがない。これは幼い時の父親の姿が反面教師になっています。

父親はニューヨーク市警の刑事でしたが、怒り出したらとどまるところを知らない性格だったようです。幼い頃から、母親が殴られている姿や兄や姉が罵詈雑言を浴びる姿を見てきました。だから、トーリ監督は、選手を人前では絶対に叱りません。注意する時は、人がいないところにそっと呼びます。

もう1つは1999年に前立腺ガンを患ったことです。病気を通じて、運命には逆らえないことを悟ったそうです。病気になった時、自分ができるのは、医者を選び、健康的な食事を取ることくらい。最善を尽くして、結果を待つしかない。

野球も同じです。どんなに追い込まれた状況でも、うろたえることがない。常に自分たちがやれる最善策を考え、それを実行することに集中しています。選手に言う口癖は、「頑張り過ぎて120%の力を出そうとするな。100%の力を出し切ろう」です。

――監督のリーダーシップの要諦を1つだけ挙げるとすれば、何ですか。

どんな時も、部下を守ろうとする姿勢ですね。ヤンキースの選手やコーチは、激情家のオーナーやマスコミからしばしば叩かれます。そんな時、トーリ監督は必ず防波堤になろうとします。

例えば、今シーズンのヤンキースは投手陣が不調だったため、オーナーが投手コーチを批判しました。そのたびに、トーリ監督はコーチをかばい、ある時はオーナーの発言に不快感を表しました。周囲はそんなトーリ監督の姿勢を見ているのでしょう。だから、みんなトーリ監督についていく。

それでいて、オーナーとも、ギリギリのところで、うまくつき合っている。給与をもらっている以上、ボスに忠誠を尽くすのは当たり前。自分の意見は言うが、いったんボスが方針を決めたら、それに従う。従わないのなら、自分が辞めるしかないというのが、トーリ監督の基本的な考えです。

その意味では極めて日本的な感覚を持ったリーダーと言えるかもしれません。日本人にもファンが多いのは、そこに共感するからでしょう。

広岡勲(ひろおか・いさお)氏
1966年東京都生まれ。報知新聞で7年間巨人担当記者を務めた後、2003年に松井秀喜選手に請われて、ニューヨーク・ヤンキース広報に転身。

■2005/12/19, 日経ビジネス, 89ページ

パチンコ産業30兆円の闇―政財官癒着の全構図 怒れ!3000万ファン
坂口 義弘

パチンコ産業の市場規模は30兆円とされる。ギャンブルとして見ても、ゲームとして見ても、他に類のないガリバー産業である。本書は、パチンコ市場に流れる巨額のカネがホールや台メーカーなど関連業者を潤し、不良外国人や暴力団組員の資金源となり、警察の利権と化している実態を追ったノンフィクション。「週刊ポスト」での連載に加筆修正した。 <_/p>

パチンコは現実的にはギャンブルだが、法律上は風俗営業適性化法下の風俗産業に位置づけられる。パチンコ業界では風適法をくぐり抜けるため、ホール、景品交換所、景品問屋の間で景品を回し、換金する“3店方式”が定着している。風適法の下、パチンコ店を管理下に置く警察は、パチンコ店の営業許可、パチンコ機の違法性審査、換金許可など、何から何までコントロールし、生殺与奪の権を握る。業界との癒着は甚だしく、著者は「警察はパチンコを食い物にしてきた」と指摘する。

著者は、一刻も早くパチンコをギャンブルと認め、「パチンコ特別法」を作るべきだと主張する。パチンコ産業に流れるカネの入りと出をクリアにし、業者の経営と利益を保証すると同時に、利益の一部を公益目的に支出して、国民の利益にかなう存在にすべきだと強調している。

■2005/12/19, 日経ビジネス, 89ページ

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み
見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み遠藤 功

東洋経済新報社 2005-10-07
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star気軽に読めて直ぐに役立つ
star大事なテーマを取り扱っている
star現場力を鍛える第二弾

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現場力を強化するには、現場が能動的に高次元の問題を解決する問題解決能力を磨くことが必要である。そのためには、問題を発見すること、つまり「見える化」が重要。本書は「見える化」の考え方を整理し、体系化してまとめた。

「見える」ようにするためには、「見せる」意思と行動が必要だ。真の「見える化」の実現は、「見せる化」を推進することであり、「見せよう」とする人づくりがカギになると説く。「見える化」の落とし穴の1つがIT(情報技術)への偏重。「見てくれるはず」という期待を前提にした仕組みを作った結果、見る意思のない人間にとって「見ない化」「見えない化」になってしまう失敗例もある。

本書は「見える化」を「問題の見える化」「状況の見える化」「顧客の見える化」「知恵の見える化」「経営の見える化」という5つのカテゴリーに分け、それぞれ、事例を紹介する。トヨタ自動車は新型「カローラ」の開発に当たって、機密扱いだった部品単価を開発担当者すべてにオープンにする手法を取った。部品単価の明細まで「見える化」し、コスト上の無駄や改善の余地がどこにあるかを探るためだ。30を超える事例から、地道に現場力を磨く企業の工夫や努力がうかがえる。

■2005/12/19, 日経ビジネス, 89ページ

CEO 最高経営責任者
CEO 最高経営責任者トーマス・J・ネフ ジェームス・M・シトリン 村井 章子

アスペクト 2005-09-22
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starリーダーの為のバイブル
starリーダーの姿が現実の経験から学べる良書

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CEO(最高経営責任者)に就任したら、「最初の100日」が極めて重要である。この間は誰もが新CEOの一挙手一投足に注目している。新CEOのメッセージ次第で社員は忠誠心を抱き協力的になりもすれば、しらけて非協力的になりもする。ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルト氏、IBMのルイス・ガースナー氏、ギャップのポール・プレスラー氏ら名経営者たちの行動から「最初の100日」に何をし何を語るべきかを明らかにする。

新CEOが取るべき行動を「着任前から準備する」「現実と期待のギャップを埋める」「チームを編成する」「戦略アジェンダを練る」「企業文化に働きかける」「取締役会・上司と建設的な関係を築く」「コミュニケーションを取る」「危険な罠を避ける」という8つのステップに分けて詳しく解説する。

様々な事例を基に、「完全にできあがった計画を用意して着任するには及ばない」「自分は何も知らない部外者だと考える」「『小さな約束、大きな成果』を心がける」など、心得や言動のヒントを示す。

これらのルールは、CEOに限らず、新しく管理職になったビジネスマンにも応用できる。キャリアの中で何度も経験する「最初の100日」に適切に対処することが成功につながると説く。

■2005/12/19, 日経ビジネス, 89ページ

何のために生きるのか
何のために生きるのか五木 寛之 稲盛 和夫

致知出版社 2005-11
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昭和7(1932)年生まれのベストセラー作家と京セラ創業者が、人間、宗教、日本人について語り尽くした書。戦争体験は、2人の心に決定的な教訓を植えつけた。一瞬にして目の前のものが崩れ落ちる喪失感や、人々が喘ぐ地獄絵図は、心の奥底に確固たる信仰心を育むことの大切さを痛感させたと言う。

五木寛之氏は「日本の美しき風習」の復興を願う。かつての日本人が持ち合わせていた他者との共生を良しとするしなやかな信仰を忘れた現代社会は、うわべの豊かさとは裏腹に、枯れた大地に等しいと苦言を呈する。稲盛和夫氏は、生き馬の目を抜くビジネス社会にあっても、他者を思いやる「こころ」が放つ光が勝者の道を照らすのだと諭し、自らの体験を例に語る。

■2005/12/12, 日経ビジネス, 103ページ

驚異の大地アフリカ―空から眺めた地球の素顔
4931450474ロバート・B. ハース Robert B. Haas

日経ナショナル ジオグラフィック社 2005-08
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star空撮による美しい映像

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■パーソナルライフ-ロバート・B・ハース氏[写真家] 大陸の美と威厳を撮る

ヘリコプターに乗って上空から撮影、斬新な視点でアフリカを捉えた。貧困や病気、動物といったありきたりなイメージと構図を超えるのが狙い。日本から遠い大陸が、ぐっと身近に魅力的に見えてくる。

――ピンクのフラミンゴの大群や、オレンジが山盛りになった青空市場など上空から見たアフリカの表情は美しさに溢れています(ページ数は合計207)。

撮影に当たっては2つのテーマが心にありました。1つは果物市場をはじめとする具体的な対象を写すこと。もう1つは砂漠や空といった抽象的なテーマを追うことです。そうやって幅広いイメージを捉えると、いろいろなアフリカが伝えられると考えたのです。

空から撮ることは挑戦でした。人は歩けても空は飛べません。空から動物や住宅、火山、海などを捉えたら新しい風景が見えると思ったのです。実際に空に昇ってみると、予期しなかった素晴らしい風景が溢れていて、威厳もありました。予想以上にいい写真が多く撮れました。

アフリカと言えば、貧困や病気、あるいは自然といったありきたりのイメージから脱しきれません。私はそのステレオタイプ(画一的な印象)を超えたかった。日本について外国人が「東京と高層ビル」と言うのはよくある話です。しかし日本には違う表情がたくさんある。私はそれをアフリカで表現したかったのです。

――米国人のハースさんが、アフリカを訪問するのは時間に限りがある。しかも揺れるヘリコプターや軽飛行機の中で、シャッターチャンスを得るのは準備と集中を要しますね。

いい写真を撮るにはまず心のあり方を変えなくてはなりません。ヘリが揺れたり、プロペラの音で集中力が切れたりして、いい風景を見逃すのは残念なことです。しかも目の前には様々な風景が広がっています。何より集中をして、レンズの先に映る孤独な牛や目の前の太陽といった自分の心に響くものを選んで撮るのが大切です。

もう1つ、撮影の準備も念入りにしなくてはなりません。私は今回、タンザニアやナミビア、ケニアなどを訪れましたが、どこも事前に撮影計画を説明して、きちんと航空撮影許可を得なくてはなりません。

しかし、2001年9月11日の米テロ事件の後は、許可を取るのが難しくなっているのです。残念ながら許可を得られない国もあります。念入りに準備をするのですが、それでも天気が悪ければ中止になります。完成には何度も旅をしなくてはなりません。

――もともとは写真家ではなくて、投資会社で企業買収と再生支援を手がけています。

投資ファンドは今ではとても巨大で有名な存在ですが、私は20年前にその事業を始めた先駆けです。

セブンアップやドクタペッパーという飲料水会社の買収と再建を手がけました。企業再建の仕事にとって大切なのは、投資先の株の売却についての計画をきちんと練ることです。投資から何年後に誰に売るか、または上場させるのかなどを考えておくのです。

そんな仕事を続けるうちに、お金とは関係のない芸術性のある職業に引かれて写真家になりました。まず自分の中でバランスがうまく取れます。米国とアフリカの双方に関わることで、世界の奥深さを伝えていきたいです。

――次の撮影も始めていますね。

中南米への旅を繰り返しています。既にブラジルやペルーなどに足を運びました。ペルーのマチュピチュ遺跡は素晴らしいものでした。中南米の多様性を描きたいです。素晴らしい写真で、人々の想像力を高めることは、心を豊かにすると信じていますので。

ロバート・B・ハース(Robert B. Haas)氏
1969年にエール大学卒業。72年にハーバード大学法律大学院で博士号を取得。企業投資会社(米テキサス州)の共同創業者でもある。

■2005/12/12, 日経ビジネス, 107ページ

雇用破壊 非正社員という生き方
4000228609鹿嶋 敬

岩波書店 2005-11-03
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著者は、日本経済新聞社の編集局生活家庭部長、編集局編集委員などを歴任後、現在は実践女子大学人間社会学部の教授として教壇に立つ。その間、現代家族が内包する問題や男女共同参画社会のあり方について、様々な提言を行ってきた。本書では、今最も重大な雇用問題に発展している「非正社員問題」について論じる。雇用労働者約5000万人のうち1500万人以上が非正社員であるという現実と、そこに生じるいびつな処遇格差が、この国の社会基盤を蝕んでいると警鐘を鳴らす。

人材は単なるコストか――経営者に向けての、著者の一貫した問いかけである。「企業は不況脱出の過程で、人材の受け止め方に混乱が生じてしまったのではないか」と今の状況を憂える。非正社員問題は、雇う側と雇われる側双方に課題があることを、種々の統計や現場でのケースを基にして明らかにしていく。著者は非正社員を「若年フリーター」「中高年男性フリーター」「女性非正社員」に分類。それぞれ非正社員となった背景や将来直面するであろう問題が異なると分析する。一刻も早く着手すべきは、被雇用者に対する均等・公正な処遇への改革だと言う。社会全体が「男性・正社員・世帯主」という既成概念を捨て、制度設計をし直す時が来ていると訴える。

■2005/12/12, 日経ビジネス, 105ページ

「超テク」誕生 ニッポンの現場
4532312477日経産業新聞

日本経済新聞社 2005-10
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日本の製造業再生の糸口となる有望技術は数多くある。それらの中には既存の産業構造や社会生活を一変させる可能性を持つものさえある――。本書の基となった日経産業新聞紙上の連載企画「創造主義宣言――超テク国への道」(2004年3月から2005年3月)を担当した記者らの実感である。「超テク」創造のキーワードである「独創・連携・異才育成」を実現している様々な企業と研究開発の現場を訪ね歩き、その成果を明らかにしていく。

かつては接点のなかった生物学、システム工学、情報技術が連携して生まれようとしているのが、人間の身体機能を兼ね備えたロボットだ。危険を伴う現場での遠隔作業はもちろんだが、京都府には体の不自由な人が手軽にウエアとして「着るロボット」を開発している企業がある。音の方向性や遠近感を自在にコントロールする技術が注目されている企業、「食感」という曖昧な感覚の数値化に目をつけた企業などの試みも紹介する。一見無駄とも思える分野に突き進む異才たちが道を開く例も多い。老化を止める法やナノテクを超えた「ピコテク」の開発に挑む研究者とその現場を紹介する。日本経済新聞社と三菱総合研究所がまとめた「2010年の世界の新技術・市場調査」の資料も併せて掲載している。

■2005/12/12, 日経ビジネス, 105ページ

スティーブ・ジョブズ-偶像復活
4492501479ジェフリー・S・ヤング ウィリアム・L・サイモン 井口 耕二

東洋経済新報社 2005-11-05
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米マイクロソフトを率いるビル・ゲイツ氏のサクセスストーリーは、今やIT(情報技術)業界の伝説である。しかし、それにも増して劇的で謎めいた“伝説” の主人公がいる。米アップルコンピュータを世に送り出した天才、その会社を追い出された敗者、そして一時は存亡の危機に瀕した同社を再び常勝軍団に作り変えた救世主、スティーブ・ジョブズ氏その人である。

本書は米国のITジャーナリストが、ジョブズ氏の半生と転機となった様々な出来事を当事者らのインタビューなどから描き出そうと試みたもの。天才にのみ宿るセンスとカリスマ性に敬意を表しながらも、その気まぐれで自分本位な性格やそれゆえに失ったものを客観的な視点で綴っていく。

アップルを追われた彼が復活ののろしを上げたのは、同分野のネクスト・コンピューターの創業ではなく、全くの異分野であるショービジネスへの投資だった。CG(コンピューターグラフィックス)を駆使したアニメーション映画を製作するピクサー・アニメーション・スタジオは世界的ヒット作を連発。彼がコンピューター分野の“一発屋”ではないことを証明してみせた。このほか「iPod」の大ヒットなど様々な転機を舞台裏から取材しつつ、カリスマ経営者の実像に迫る。

■2005/12/12, 日経ビジネス, 105ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年11月14日~12月5日

告白
告白チャールズ・R・ジェンキンス 伊藤 真

角川書店 2005-10-08
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starジェンキンスさんの告白
star素直におもしろかった
star数奇な運命を辿った著者の赤裸々な自伝

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拉致被害者・曽我ひとみさんの夫の半生記。米軍兵として駐留していた韓国から北朝鮮へ渡った理由、曽我さんとの出会い、北朝鮮からの出国などを記す。横田めぐみさんら、他の拉致被害者に関する貴重な証言も出てくる。

「特権的な暮らしを享受していたとさえ言える」著者だが、それでも、寒さと空腹と不衛生と戦う日々だった。兵士が物ごいに来たり、学校の備品が盗まれないよう、生徒が交代で見張りに立つなど、困窮した北朝鮮社会の実情を振り返る描写が生々しい。

今の望みは夫婦2人、佐渡で幸せな日々を送ること、娘たちが幸せで充実した人生を歩むことという。「選択の自由がある社会で暮らしていることをありがたく思う」との言葉に実感がこもっている。

■2005/12/05, 日経ビジネス, 113ページ

どうするニッポン―古稀の憂いと願い
4861301173初亥会

日経BP企画 2005-09
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昭和で最初の亥年である1935年生まれの経済人が中心となって発足した「初亥会」。古希を迎えたメンバー43人が、半生を振り返り、自らの経験を基に、日本が豊かで明るい社会であるためにどうすべきかを提言する。

福井俊彦日本銀行総裁は、日本の若者について「自分の土俵を必要以上に狭く限定したり、最後まで独りで考え抜く自信と気迫に欠ける」とする一方、高齢者は「従来からの国内的な常識を破る若い人たちの行動に対し、本能的に違和感を抱き、少しの欠点を見いだしては『けしからん』と一喝してしまう」と指摘。ボキャブラリーから、思考停止を招きかねない「けしからん」を抹消することを提案する。

宮内義彦オリックス会長・グループCEO(最高経営責任者)は、21世紀を生きる若者は、「自分が日本人であるということ」「世界の中で生きていくことが求められていること」を認識すべきだと主張する。外国語を習得し、芸術・宗教・哲学など教養を学び、一生の座標軸になるものをつかんだうえで、政府にも会社にも頼らず、自立した人間として歩んでいくことを考えるべきだとする。巻末にはメンバーに対して行ったアンケートの結果を収録。日本の政治と教育に不満を募らせている様子などが浮かび上がる。

■2005/12/05, 日経ビジネス, 114ページ

職人力
4062129035小関 智弘

講談社 2005-10
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2003年に発刊した『職人学』の第2弾。熟練技能とは単なる手技ではなく、問題解決能力であること、また固定的なものではなく、常に現場で進化することを多くの事例を挙げて解説する。

パイプの曲がり角の継ぎ手、「エルボー」の専門メーカー・トキワ精機は、「誰にもできない、どこにもない」を合言葉に低コストのエルボー開発に取り組んだ。近所のプレス工場、金型職人、パイプ業者など、“アメーバ形ネットワーク”の知恵を借りながら、肉厚パイプを折り曲げて成形する新製法を開発。豊田自動織機、コマツなど十数社に納品している。

精密部品の加工を手がける大阪工作所では、工作機械の重要部分である多軸スピンドルの組み立ての際、部品や金属素材に精通し、部品加工を体験し、そのためのソフトが分かり、電気や油圧にも理解の深い熟練組立工が活躍する。熟練工は部品の一つひとつにあるゆとりを微調整し、先を読んで予測を立てながら、組み立てる。

生産現場の技術・技能を支えてきた団塊世代が定年退職期を迎える「2007年問題」が注目されている。マニュアル化、デジタル化できる熟練技能はほんの一部であり、高精度高品質なものを作ろうとするほど、“人”が大切になるということを強調している。 選択した文字列で記事検索します

■2005/12/05, 日経ビジネス, 114ページ

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略
4901234714C.K.プラハラード スカイライト コンサルティング

英治出版 2005-09-01
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おすすめ平均 star
star久しぶりに骨太な本
star常識をくつがえす
starMBA必読

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世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人いる。本書は、経済ピラミッドの底辺に位置するこの貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)こそ、今後急速に成長する魅力的な市場だと指摘。企業は彼らを、慈善や援助の相手としてはなく、ビジネスの対象として重視すべきと主張する。

貧困層を「顧客」や「消費者」に変えるには、先進国向けの製品・サービスに少し手を加えるといった対応では不十分。技術、製品・サービス、ビジネスモデルそのもののイノベーションが欠かせない。

BOP市場の基本となるのは、「パッケージ単位が小さく、1単位当たりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せる」ビジネス。例えば、米P&Gは低収入で現金不足のBOPに消費力を作り出すため、「使い切りパック」のシャンプーを販売した。ブラジルの家電チェーンは無理のない利子とカウンセリングで、BOPにも高品質な家電が買えるようにした。その他、医療、金融サービス、農業関連ビジネスなど様々な分野の成功事例も詳しく解説する。

BOP市場に参入することで得たノウハウ、実現したイノベーションは、先進国市場でも活用でき、企業の成長、発展に大いにつながると説いている。

■2005/12/05, 日経ビジネス, 114ページ

オタク市場の研究
4492555412野村総合研究所オタク市場予測チーム

東洋経済新報社 2005-10-14
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著者に聞く-パーソナルライフ-北林謙氏 野村総合研究所オタク市場 予測チームリーダー 4110億円市場が浮上中-

「オタク」市場に野村総合研究所(NRI)が挑んだ。調査対象は1万人、市場規模は4110億円。旧来のマニアも包含し、爛熟する消費を先導する。

――アニメやコミックにとどまらず、旅行やファッションなど、え、これがオタク?と思う分野も含まれていますね。

オタクというとどうしてもアキバ系を連想されますが、我々は、旅行や、カメラ、ファッションなどにもオタクな人は存在する、いわゆるアキバ系の人たちだけがオタクではない、という立場を取っています。

「こだわりがある対象」に、時間やお金を集中的に消費する人々を改めて見直すと、やはり昔から言う「マニア」「コレクター」「フリーク」と基本的には同じなんですよ。

ただし、生活が豊かになり、江戸時代の元禄時代のように、消費が爛熟してきた。社会の変化が、マニアの意識や行動も変えつつあるわけです。

今回は、12の分野を横断的に分析することによって、それぞれのオタクたちの共通要素を引き出しました。それが収集(collection)、創造(creativity)、コミュニティー(community)です。成熟した消費をリードする彼らに、企業経営や、もちろんマーケティング面でどうアプローチするかについて、この「3C」が1つの方法論になると思います。

――マニアからオタクへの変化には、インターネットの影響が大きそうです。

ネット普及以前は存在が目立たなかった層が一気に浮上したんですね。例えば鉄道模型のマニアの雑誌は、40年近い歴史があって、そこで強固なコミュニティーができていた。でも、本屋でちらっと見かけるぐらいなので、普通はよほどの意思がないとその棚に手を伸ばさない、という状況だった。それが、グーグルで検索をすれば一発で出てくるという環境になって、「そういえば昔、こんなのに興味があったな」という人がふっとそのコミュニティーに入れるようになってきた。時間も距離も超えて結びつけるわけです。

同時に、収集にはオタク同士のネットワークやオークション、創造には言うまでもなくブログやホームページ、と、ネットはものすごく有効ですからね。ブロードバンド環境の浸透とも重なって、新しいオタク像というものが、旧来のコレクターから変換されて出てきているのかな、と。

僕は旅行分野を担当しているので、いろいろなページを眺めるんですが、「温泉オタク」のページって中高年が圧倒的なんですよね。そういう方は自分でパソコンの参考書を買ってきて、一からホームページを作っている。

――オタクに年齢は無関係。

むしろ中高年のオタクは定量的に見ると、存在感は非常に大きいという印象です。特に購買力がほかの世代より高いですし。カメラオタクでも、デジタル一眼レフを買うような人はプロかオタクかです。10代、20代の人が好きだからと買えるかといったら、なかなか買えないわけですね。3Cに資金力と大人の目線が入るんですから、これは強力です。

今回はNRI内の有識者(オタク)たちに広く協力を求め、リチャード・クーさん(プラモデル)をはじめ多くの方に原稿を頂いたんですが、それぞれの世界に「えっ、こんなことがあるの」と気づかされて、読むのがものすごく面白かったんですよ。改めて、日本の消費社会は成熟し、驚くほど多様性があることを思い知りました。大げさに言えば歴史の中で「オタク」が誕生する時期に来ているんだろうなと思っています。

オタク市場予測チーム 北林謙(きたばやし・けん)氏をリーダーに野村総合研究所の研究員7人で構成、得意(オタク)分野を中心に本書の執筆に当たった。

■2005/11/28, 日経ビジネス, 105ページ

日本経済の環境変化と労働市場
4492394443阿部 正浩

東洋経済新報社 2005-08-19
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著者が本書で主題に据えたのは、我が国の労働市場において最も憂うべき問題「失業」である。完全失業率は1990年代後半から悪化の一途をたどり、2001年後半からは5%を超えて戦後最悪の状況となった。著者は、「未曾有の失業率上昇がバブル経済崩壊による労働需要不足だけでは説明できないことを明らかにしたい」と述べたうえで、日本社会の根底で進行する構造的な変化に着目した。今日の労働市場は、理論上では需要と供給の量的バランスが取れているにもかかわらず、職業能力、年齢、居住地などのミスマッチによる「構造的失業」が肥大化していると指摘する。

雇用のミスマッチを生じさせる要因は、大きく2つに分類できる。1つは、労働力の高齢化、労働力の高学歴化、女性の社会進出などによる「労働の供給構造の変化」である。もう1つは、経済のグローバル化や技術革新などの影響による「労働の需要構造(求人)の変化(複雑化、高度化)」だ。著者は、要因の一つひとつについて子細な分析を加えていく。また、雇用のミスマッチによって必然的に増加する転職行動については、個々人が前の職場で培った特殊スキルを無用化し、結果的に賃金と人的資本の価値の低下を招いているだけだと警鐘を鳴らす。

■2005/11/28, 日経ビジネス, 103ページ

少子高齢化の死角―本当の危機とは何か
4623044637高橋 伸彰

ミネルヴァ書房 2005-10
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立命館大学の教授であり、日本経済を独自の視点で論じてきた著者は、少子高齢化を巡る今日の議論にはいくつもの死角があると訴える。例えば、「老い」と一言で言っても、比較的健康で就業率も高い前期高齢者と、「老い」が苦しみや悩みとなって表れる75歳以上の後期高齢者に分けて考えるべきだと言う。これまでの日本は前期高齢者が多かったために、「老人は裕福」などというイメージが社会に定着していた。しかし今後はそれが一変して、「自らの暮らしを支えきれない弱者」が溢れる本当の高齢化社会がやってくると警告する。

また、少子化の原因については「産まない理由」と題して、女性の社会進出との関連性を探っていく。女性の社会進出そのものを少子化の原因とする見方には、「女性に対する一方的な責任転嫁だ」と怒りをあらわにする。女性が男性と等しく企業や社会で地位を得ようとすれば、結婚、ましてや出産と育児に時間を費やしていられない不平等な社会、いまだに家庭内の役割の多くを女性に押しつけているいびつな社会の側にこそ問題が潜んでいると指摘。昨年小泉政権の下で打ち出された年金改革については「信頼も安心もできない」と言い、医療費や介護保険制度と併せて問題点を抽出していく。

■2005/11/28, 日経ビジネス, 103ページ

中国の貯蓄と金融―家計・企業・政府の実証分析
4766411897唐 成

慶應義塾大学出版会 2005-08
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おすすめ平均 star
star中国経済の行方

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中国の経済発展をもたらした原動力の1つは、中国社会における高い家計貯蓄率である――。中国で生まれ育ち、現在は慶応義塾大学で講師を務める著者は、これまでほとんどの研究者が触れなかった家計や政府の金融面から、中国経済の強さの解明を試みた。

豊富なデータと現地事情に通じた著者ならではの調査に基づき、中国の豊かな資金循環について、他国のパフォーマンスと比較して検証する。そこから、計画経済期以降の「移行経済期」には、家計貯蓄が国内資本の形成に重要な役割を果たした事実を導き出す。また、家計貯蓄率の高さを国際比較によって明らかにしつつ、都市部と農村部の世帯別、所得階級別の貯蓄の特徴を子細に分析。貯蓄行動の背景には「住宅取得資金」や「子供の教育資金」といった動機があることを示す。

また、それらの資金を循環させていくべく、中国国内で急速な発展を遂げている「金融仲介機関」の種類、仕組み、役割などについても論じる。国有商業銀行はもとより、その他の銀行、信用組合、投資会社、保険会社が台頭して複合的な金融市場を形成している実情を示す。そうした中、不良債権など新たに生じつつある問題点についても触れ、制度構築のための政策提言を行う。

■2005/11/28, 日経ビジネス, 103ページ

大人のための読書法
大人のための読書法和田 秀樹

角川書店 2005-09
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おすすめ平均 star
starすぐ読める
starちょっとムッときました
star確かに「大人のため」である

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本を上手に読みこなし、必要な時に必要な情報を効率よく集めるにはどうすべきか。意外なことに子供の頃から読書嫌いだったという著者が、大人になって習得した読書法を披露する。

まず、「本は最初から最後まで読まなければならない」という思い込みを捨てるべきと説く。可能な限り、面白く有益な情報に触れるには、必要なページだけをじっくり読む「一部熟読法」がいい。総論的なことが書いてある第1章だけ読んだり、最新の情報や考え方を取り入れている「あとがき」から読むのも効果的という。

ハズレのない本の選び方や著者の推薦図書を紹介するほか、情報の整理方法や本以外の情報源の活用方法も解説する。大量の情報があふれる現代を賢く生きるノウハウ集となっている。

■2005/11/21, 日経ビジネス, 127ページ

国家の自縛
4594050239佐藤 優

産経新聞出版 2005-09
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おすすめ平均 star
star「国家主義者」佐藤優
star圧倒的な外交経験値と知力に感嘆する
star永田町の皆様へ

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■著者に聞く 佐藤優氏[外務省元主任分析官] 目標言わぬ日本外交

512日も拘置されながら無罪の主張を曲げず、鈴木宗男衆院議員をかばった。前作の『国家の罠』は国策捜査の実態を克明に描き、9万部近いベストセラーに。国家に尽くした男が、今度は国益について語る。

――長い拘置に耐え、裁判を戦い続けるモチベーションはどこから来ますか。

もし私だけの問題なら、検察のシナリオに乗ったかもしれません。檻の中の生活は決して楽ではないし、外で待っている人もいましたから。でも、鈴木宗男さんに法を犯すよう言われたわけでも、共謀してお金を作ったわけでもありません。鈴木さんを巻き込むと、一生鈴木さんの顔を見ることはできないし、鈴木という名前を新聞で見ただけでビクビクしなければなりません。

拘置所暮らしは最初つらかったんですが、人間には順応能力があります。あそこでは欲望がとても小さくなります。例えば金曜日に文房具を注文して水曜日に受領する。この時がとってもうれしい。私は崩壊期のソ連で要人が突然牢屋に入るのを見ましたから、予行演習ができていたのでしょう。

――きれいな鷹より汚れた鳩の方がいい、と言っていますが、問題はどこにあったと考えていますか。

外交は国民の感覚からずれたことをしないとできない部分があります。僕らが犯した万死に値する間違いは、国民に対する説明責任を果たさなかったことです。北方領土に関して、「4島に関する日本の主権が確認されるならば、返還の時期、条件については柔軟に対処する」とスタンスを変えているのに、それすら国民には説明してきませんでした。

ビジネスの世界でも、今までの慣行に従って仕事を一生懸命やっていたら、ある日流れが変わってとんでもない犯罪をしたとして捕まってしまうかもしれない。橋梁談合のように、ビジネスマンも突然背任罪でやられる。要は汚れすぎた鳩はダメなのです。

僕はまだ外務省に籍があり、このようなインタビューを受ける時は届けています。本当は外務省を辞めた方が楽なのですが、そうすると何かあったらまたトカゲのしっぽを切ろうとするでしょう。しっぽが切れない、あるいは毒が本体に回ってくると分かれば、しっぽ切りには慎重になります。

『国家の罠』も『国家の自縛』も外務省の許可を得て、事前の検閲を受けています。何も言われなかったのは、外務省の懐が広いのか、私が怖いから触りたくないのか。後者だとすれば不作為です。組織は意思を持って動いています。組織でしたことは組織皆で責任を取るべきです。役所の背任に個人犯罪はあり得ません。情報活動の必要があるなら、そのための基金を作ればいい。予算はないけどやれと言うのは、重大かつ明白な瑕疵です。日常的に皆がそういう仕事をさせられています。

――日本は建前の法律が厳しい割に、守られません。車の制限速度1つ取っても、厳密に取り締まると皆捕まってしまう。法治国家というより人治国家です。

そうそう。ソ連もそうでした。法律と掟という二重基準です。法律があまりに厳しすぎて、重視するのは掟でした。でも「法律を順守しろ」というのが、新自由主義的なグローバルスタンダードです。我々に必要なのは新たな掟だと思います。

外務省に優秀な人はいますが、ロシアに限るとダメです。司令官である課長クラスが今のままだと全滅しますよ。日本外交の問題は、目標を言わないことです。靖国問題にしてもプーチン氏の訪日にしても、終わってから言うから、成功か大成功しかない。泥沼化した日中戦争と同じです。プーチン氏訪日では「来なければもっと日露関係は悪くなっていた」と言うでしょう。

佐藤 優(さとう・まさる)氏
1960年埼玉県生まれ。85年外務省入省。ロシア問題の専門家として鳴らすが、2002年背任などで逮捕・起訴され執行猶予付き有罪に。控訴中。

■2005/11/21, 日経ビジネス, 131ページ

黒澤明と早坂文雄―風のように侍は
448087349X西村 雄一郎

筑摩書房 2005-10
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世界から高く評価される「黒澤映画」はいかにして生まれたのか。30年間にわたって映画監督・黒澤明と対話を続けた著者が、6年の歳月をかけて書き上げた大著。黒澤映画を生み出した2人の天才の生涯が克明に綴られている。そこには、創造的な作業を成功させる秘訣がちりばめられている。

黒澤明と音楽家・早坂文雄――。2人の天才が出会い、名作を生み出していった舞台は「日本離れした空間」だった。フォト・ケミカル・ラボラトリー。財界人、植村泰二が設立した映画専門現像所で、ソニー創業者の井深大も在籍した。東京・砧にステージを持ち、映画制作に乗り出していく。米国のプロデューサーシステムを導入し、自由かつ合理的な社風だった。戦前に、黒澤と早坂が入社。抑圧と統制の時代に、2人は自由の地、砧撮影所で才能を磨き上げる。そして戦後、世界を驚嘆させる作品を生み出していく。

黒澤が「夢の工場」と語った自由空間は、東宝スタジオとして現存する。スタッフが談笑した芝生こそなくなっているが、ガラス張りで、日の光が全面に差し込む食堂は、「黒澤時代」そのままに、今もクリエーターの憩いの場となっている。そんな「創造空間」で繰り広げられた天才たちのドラマが、モノ作りの原点を教えてくれる。

■2005/11/21, 日経ビジネス, 129ページ

CFOインサイト~常勝企業のアウトソーシング術
4492601538スチュワート・クレメンツ マイケル・ドネラン アクセンチュア

東洋経済新報社 2005-08-26
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競合他社を凌駕する業績を収め続ける「常勝企業」であるためには、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)が果たすべき役割が非常に大きい。本書は特にCFOがアウトソーシング分野で取り組むべき課題を明らかにし、その視点を提供する。CFOへのインタビューやケーススタディーを豊富に取り入れながら、費用対効果の策定、適切なアウトソーシング事業者の選定、リスクの軽減など、アウトソーシングの実践方法を解説する。

欧米企業の多くが、単なるコスト削減のためではなく、全社的な変革を促し、パフォーマンスを向上させるための手段としてアウトソーシングを利用している。英BPは財務・経理業務のうち、方針策定、意思決定支援、判断業務だけを社内に残し、アウトソーシングの範囲を最大限に拡大。これにより、経営スタイルはより革新的になった。米P&Gは北米と南米の業務はコスタリカ、欧州地域の業務は英国、アジア太平洋地域の業務はフィリピンで処理するなど、グローバルなアウトソーシング体制を確立することで、世界中の業務プロセスとシステムの標準化を実現した。

終章で、アウトソーシングのリスクに対する懸念が強く、広範な活用が進まない日本の現状も分析している。

■2005/11/21, 日経ビジネス, 129ページ

利益が上がる!NPOの経済学
4797671289跡田 直澄

集英社インターナショナル 2005-09
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米国では、NPO(非営利組織)の活動は息が長い。メトロポリタン美術館、ハーバード大学など、NPOが運営する有名組織も多い。一方、日本のNPOは登録数こそ2万を超えているが、多くは小規模で、持続性を持って活動しているところは少ない。著者は「NPO=ボランティア」という思い込みが問題だと指摘。「利益が上がるNPO」のビジネスモデルを示す。

NPOの多くは、公益性の高いミッション、志を抱いて、政府の手が届かず、逆に経済合理性から企業が手を出さないニッチ分野で活動している。志を持続させるには、様々な収入を得て、NPOそのものを永続させることが重要。具体的には、運営費を自前の稼ぎ、補助金・助成金、寄付という3要素で賄うのが理想と説明する。

日本のNPO業界は寄付金集めが非常に弱い。著者は日本で「寄付市場」を創り出すため、金銭的、社会的なリターンの設定を考えること、NPOの事業をプレゼンテーションする優秀な営業マンや財務マンを雇うことなどが必要と提案する。

多くのNPOが安価で質の良いサービスを提供するようになれば、民間の経済活動全体が拡大し、政府はスリムになる。NPOは資本主義経済の潤滑油だと指摘している。

■2005/11/21, 日経ビジネス, 129ページ

勝つ人の考え方 負ける人の考え方
勝つ人の考え方 負ける人の考え方林野 宏

かんき出版 2005-07
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star知的感性時代の革新的リーダー

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西武百貨店系列のクレジットカード会社、クレディセゾンのトップが明かす“勝てるビジネスパーソンになる法”。コツはビジネスを勝負事だと信じ込むこと、勝つことや一番になることにこだわり、持続性を持って楽しむことだと言う。自身の会社をクレジットカード業界において取扱高1位(2002年)の座に導いた経営手法や成功秘話を披露する。

多くの社員は知性と感性いずれかの方向に偏重ぎみだから、2つをバランスよく育てるよう工夫せよと言う。雇用については「今後は優秀な女性を積極的に登用する企業が勝つ」という読みを示す。また、「私は今でも堤清二門下である」と断言して、堤氏の業績を改めて評価する。

■2005/11/14, 日経ビジネス, 83ページ

視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる
4794214383田原 茂行

草思社 2005-09-22
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おすすめ平均 star
star視聴者からNOをつきつけられたNHK。

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■著者に聞く 田原茂行氏[常磐大学人間科学部講師] 問われるテレビの公共性

不祥事が続発したNHKが抱える問題点と原因を明らかにし、将来の姿を論じた。視聴率主義に影響され、テレビ放送の公共性の議論がないがしろにされていると指摘。民放テレビ局を含む業界全体の流れにも一石を投じる。

――9月にNHKは「新生プラン」を発表しました。これで本当に変わることはできるのでしょうか。

率直に言って、現状では容易ではないでしょう。数カ月かけて作り上げた新生プランのはずなのに、郵政民営化のように内外で議論が尽くされたわけでもありません。内容も具体性に欠けていると言わざるを得ません。それを新生プランとして出してくることがNHKの問題であり、公共放送の役割や重さを深く考えなくなっていることの表れだと思います。

今のNHKの状況を建築物に例えて言えば、中心の柱が腐食しており、本格的な建て替えが必要な状況にあります。規模を縮小して外から見える部分を変えるだけではなく、本質的な中身を掘り下げて議論していかないと、問題は何も解決しません。もちろん、視聴者のためにもなりませんし、芽生えた不信感も拭えないと思います。

――なぜ、このような状況になったと見ていますか。

これまでのNHKは、民放のすさまじい視聴率主義の影響を受けて、民放と同じようなことを何となくやってきたからだと思います。組織も肥大化して、公共放送のあり方を組織として考えていなかったように思います。様々な問題が起きた今こそ、視聴率を意識せずにできることを真剣に考える機会ではないでしょうか。

民放テレビ局にも問題はあります。民放幹部は「NHKは公共性を保つべきだ」と主張していますが、本来は民放だって公共性を考えなければいけない立場にあります。それなのに、外部に制作を発注してばかりいますし、視聴率主義が蔓延して、より収益を重視するようになってしまいました。もはや公共性なんて存在しないと言っていいでしょう。

――NHKに限らず、民放テレビ局を含むマスメディアの不祥事が増えたのも、こうした問題が顕在化したからなのでしょうか。

その通りだと思います。NHKだけでなく民放が意識すべき公共性の議論を置き去りにしたという意味で、キー局を中心とした視聴率「三冠王」の礼賛主義がはびこった罪は、重いと感じています。最近は楽天がTBSの買収や提携を模索していますが、今のままで実現したとしても、決して良い方向には進んでいかないような気がしてなりません。

――楽天やライブドアのように、インターネット企業がテレビ局を買収しようとする動きが活発になっています。実現すれば、テレビ局のあり方や体質を変える原動力になり得るでしょうか。

そもそも、テレビ局の内部には閉塞感があります。例えば、多メディア化やテレビ放送のデジタル化、多チャンネル化が放送の未来を開くと言われましたが、それは幻想だという見方もあります。

今のままでは大きな変化も未来も見えない状況にあり、業界内の意欲ある人々にとっては息が詰まる状況です。その点で、インターネット企業との提携が議論されている今の状況を、突破口にしなければならないと思います。

それと同時に、放送の公共性という原点を見つめ直すべきとも感じています。外国資本に限らず、社会に対する影響力が高まっているネット企業がテレビ局を支配する構図に問題がないのかも含めて、本質的な議論を進めていく良い機会ではないでしょうか。

田原 茂行(たはら・しげゆき)氏
1931年横浜市生まれ。東京大学法学部卒業後、TBS入社。スターチャンネル専務取締役、常磐大学人間科学部教授を経て、同学部講師。

■2005/11/14, 日経ビジネス, 87ページ

ヨーロッパのCSRと日本のCSR―何が違い、何を学ぶのか。
4817191600藤井 敏彦

日科技連出版社 2005-09
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おすすめ平均 star
starCSRの本質を分かりやすく整理し、明快に解き明かした経営者必読の書
starEUに関心がある人必読の書
starヨーロッパの理念性への洞察に満ちた、EUに関心がある人必読の書

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本書がテーマとしているCSRとは、Corporate Social Responsibility、日本語では「企業の社会的責任」と訳されている。法令順守、企業倫理の明示、環境問題、労働問題など、市民社会の発展や安全に対して企業が積極的な役割を果たす行為を指す。本書は、経済産業省の官僚として欧州に駐在し、欧州連合(EU)の政策決定にも関わってきた著者が、CSRの本質とその向かうべき先を論じたもの。

CSRというと環境問題に重きを置きがちな日本企業とは異なり、欧州企業は、社会問題、特に失業者や発展途上国からの労働者の人権に関わる労働問題を機軸に据えることが多いという。それらの問題は、もはや政府の力だけでは解決できない状態にあるからだ。「法律上、契約上の義務」を上回る社会貢献への自主性を企業が有し、同時にそれを業務の一部として取り込まない限り、「社会の持続的発展」は望めないという危機意識が欧州企業にはある。またこの点こそが、本来の業務とは切り離した「慈善的事業」によってCSRを実現しようとしている米国企業との決定的な差異であると指摘。これらを踏まえたうえで、若年層の失業、外国人の増加、地域社会の崩壊などの課題に直面する日本企業のCSRについて検討する。

■2005/11/14, 日経ビジネス, 85ページ

消費税15%による年金改革
4492701133橘木 俊詔

東洋経済新報社 2005-08-31
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star素晴らしい提案と思う。

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著者は、時代の急激な変化にさらされている生活者の現状や問題点を、経済的な視点から鋭く指摘している京都大学大学院の教授だ。近年では『家計からみる日本経済』『脱フリーター社会』『日本のお金持ち研究』などの著書を通じて、日本社会の根底で生じている歪みをあぶり出してきた。今回は研究室の学生との共同作業によって、我が国における公的年金制度の問題点を掘り下げ、抜本的な改革案を示す。それが、「公的年金制度の一元化と、基礎年金の全額を消費税で賄う方式」だ。その際の消費税率は「15%前後が適切」という大胆な提言である。

これによって引退した夫婦に月額17万円の年金支給が可能になるという。実際にそうなれば、今日の年金未納の原因である「老後を生きるに足る支給額が保証されていない」という問題が解消される可能性が高い。そのほかにも、年金保険料がゼロになることで経済成長率が高まる、現状の保険料徴収管理コストが減る、第3号被保険者(専業主婦)問題がなくなるなど、メリットは計り知れない。とはいえ、15%という高い消費税率がもたらすマイナス効果に加え、年金一元化の前に横たわる難問は山積だ。著者らはこの点に関しても可能な限りの解決策を模索している。

■2005/11/14, 日経ビジネス, 85ページ

そんな新事業なら、やめてしまえ! 既存の資産と能力を活かす6つの原則
4478502595セルジオ・ジーマン 中野 雅司 山本 暎子

ダイヤモンド社 2005-09-15
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イノベーション(技術革新)によってビジネスを成長させようとすること自体、全くもって怠惰であり、大多数の企業では機能しない――。こう指摘されたら新規事業に賭けようとしている経営者、新規事業の責任者、プロジェクト関係者、投資家はどう思うだろうか。著者は元コカ・コーラ社マーケティング部門の最高責任者であり、多くの世界的企業のマーケティング・広告戦略に知恵を貸してきた人物である。

イノベーションに頼る行為は、言い換えれば“本業の行き詰まりから来る焦り”にすぎないと言う。新規事業による商品がブームになったり、株価が上がったりするのはあくまでも一時的な現象で、企業に実質的かつ長期的発展をもたらす利益やブランドが構築できたかどうかは疑わしく、成功例は少ないと指摘。失敗の原因は、経営者が自社の本質を見誤っていることだと言い、会社が本来持ち合わせている性格(コアエッセンス)と、ノウハウや資源の強み(コアコンピテンシー)を混同するなと忠告する。著者が推奨するのは、コアエッセンスを核に据えて行う「リノベーション(本業見直し改善)」だ。米国の有名企業が行った本業改善の事例や、反対にコアコンピテンシーに頼ったイノベーションの失敗例を示して子細に検証する。

■2005/11/14, 日経ビジネス, 85ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年10月24日~11月7日

卵でピカソを買った男 「エッグ・キング」伊勢彦信の成功法則
卵でピカソを買った男 「エッグ・キング」伊勢彦信の成功法則山田 清機

実業之日本社 2005-07-05
売り上げランキング : 61,117

おすすめ平均 star
star卵の安全が書いてあります

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鶏卵の生産・販売を手がけるイセ食品の伊勢彦信会長は、世界の「エッグ・キング」である一方、ピカソ、モジリアニ、マチスなど数々の名画の所有者でもある。“ミステリアス”な伊勢氏の人生から、成功の秘密を探る。

伊勢氏は富山で父から養鶏業を引き継いだ。ヒヨコの育種改良事業から採卵事業に拡大。委託養鶏の一種「ツリー・エッグ・システム」を立ち上げ、大成功を収めた。生産調整によって国内の事業拡大が望めなくなると米国に進出。4年で全米のトップに立った。

取材を重ねた著者は、伊勢氏の原点は差別や偏見なく、誰もが対等と考える姿勢だと指摘。誰にも依存せず、自分の足で立って生きる姿勢を貫き通した本物の個人主義者であることが成功を呼んだと結論づけている。

■2005/11/07, 日経ビジネス, 101ページ

ロジスティクス 経営と戦略
447837502Xアラン・ハリソン 水嶋 康雅

ダイヤモンド社 2005-09-08
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おすすめ平均 star
star理論でも実務でもなく中途半端

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著者が教壇に立つ英クランフィールド経営大学院でロジスティクスコースを学ぶ学生向けに編集した教科書第2版の訳書。企業経営の視点からロジスティクスの本質や役割を探る。

まず、ロジスティクス戦略と管理手法の基礎を説明する。マーケティング戦略上、忠実な顧客は新規顧客より多くの利点があることを指摘。顧客の期待を超える優れたサービスを提供して顧客の忠誠心を高めることがロジスティクスの課題であると主張する。

続いて、顧客の需要に対する応答性を高めるロジスティクス業務について解説する。国際的なロジスティクス管理、「ジャスト・イン・タイム」や「リーン思考」「俊敏なサプライチェーン」がどんな効果を発揮し、どんな影響を与えるかを紹介していく。こうしたロジスティクス業務は、多くの場合、ネットワークパートナーの協力なしには実現できないことから、サプライチェーンの統合、パートナーシップという視点で、ロジスティクスにおける“協働”を考察する。

最後にRFID(無線自動識別)システムなど最新の話題にも触れながら、ロジスティクスの将来の課題を示す。各章に演習問題や事例研究に基づく設問を豊富に掲載し、実践的に学べる内容となっている。

■2005/11/07, 日経ビジネス, 103ページ

170のkeywordによる ものづくり経営講義
4822244709東京大学ものづくり経営研究センター 高橋 伸夫

日経BP社 2005-09-02
売り上げランキング : 533

おすすめ平均 star
star自由闊達な「補講」が面白い
star良書。。

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東京大学経済学部の「ものづくり経営」講義の内容を基に、そのエッセンスをまとめた1冊。「競争戦略」「品質経営」「大量生産方式」など11分野に分け、ものづくり経営に関する経営用語を解説する。

重要度の高い用語を1ページ、それに関連する2~3の用語を1ページで説明する。2ページを読むと、その項目に関して、ある程度まとまった知識が頭に入るようになっている。例えば、「競争戦略」の中で取り上げる「市場シェア」の項目では、市場での売上比率に応じて、リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーなどの立場があることを説明。高い市場シェアを持ち、規模の経済や経験効果によるコスト優位を得ることができるリーダーは「コストリーダーシップ戦略」が成功しやすくなること、他社が成功の兆しを見せたら、すかさず「同質化戦略」を取り、規模の大きさでの勝負に持ち込むべきであることを指摘したうえで、それぞれの戦略についても解説を加える。

11分野の用語解説の終わりには「補講」のコーナーを設け、大学の講義やゼミで学生が質問し、それに教師が答えるような形で、議論を発展させている。経営学の入門書として、読みやすく、分かりやすい構成だ。

■2005/11/07, 日経ビジネス, 103ページ

第三の消費スタイル―日本人独自の“利便性消費”を解くマーケティング戦略
4889901183野村総合研究所 野村総研=

野村総合研究所広報部 2005-10
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おすすめ平均 star
star何も考えない消費スタイル、というのは新しい定義
starそりゃないよ野村さん

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日本の消費は高級志向と価格志向に2極化していると指摘されてきた。だが本書は、日本にはこのほかに、モノにも価格にもこだわりがなく、手軽に買えるから購入する「第3の消費スタイル」があることを指摘。その特徴を説明しながら、企業が取るべきマーケティング戦略を提案する。

まず定量データを基に、日本人消費者を徹底的に分析。値段は高くても自分のお気に入りにこだわる「プレミアム消費」、その反対に位置する「安さ納得消費」のほか、第3の消費スタイルである「利便性消費」、さらにはモノにも低価格にもこだわる「徹底探索消費」の4つがあることを示す。日本人は利便性消費を取る人の比率が35%と最も高く、この層を攻略できるか否かが市場での位置を決定づける。従来のマーケティングで重要だった製品(Product)、価格(Price)、販売チャネル(Place)、広告宣伝(Promotion)の4Pに、利便性(Convenience)を加えた「4P+1C」の追求が求められる。

郵送でやり取りできるレンタルDVDサービスを始めたカルチュア・コンビニエンス・クラブのグループ会社、駅前でブロードバンド(高速大容量)インターネット接続機器を配るソフトバンクなど、常識を覆す「プラスの利便性」を提供する事例を紹介する。

■2005/11/07, 日経ビジネス, 103ページ

義務教育を問いなおす
義務教育を問いなおす藤田 英典

筑摩書房 2005-07-06
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構造改革の大合唱の下、我が国は経済立て直しを最優先課題に据えて、新自由主義的競争原理を推し進めてきた。しかし、義務教育でさえその潮流に巻き込まれていくことに、教育社会学の第一人者である著者は危機感を抱く。本書では、教育の現場で着々と進行する習熟度別学習、エリート教育、成果主義的教員評価などの問題点をえぐり出して、警鐘を鳴らす。

とはいえ、加速するグローバル化や日本社会の変容は著者も認めるところであり、硬直的な旧来の制度はもはや通用しないと説く。しかし、国を挙げて推進してきた「ゆとり教育」は失策であったと言い、ましてやできる子や恵まれた家庭の子が優先される「強者の論理」に未来はないと訴えて、抜本的な改革の指針を論じる。

■2005/10/31, 日経ビジネス, 79ページ

学力の新しいルール
4163674802陰山 英男

文藝春秋 2005-09-09
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おすすめ平均 star
star衝撃だった  
star大事なことは変わらない

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■著者に聞く 陰山英男氏[広島県尾道市立土堂小学校校長] 学力低下は朝ご飯で防げ

「百ます計算」で有名な著者が、学力低下を招いた原因を改めて考察する。教育政策が激変する中で、保護者は何を信じて子供と向き合えばいいのか。“教育の常識”から逃れることが最善だと説く。

――「子供の教育にはカネがかかる」という通説を否定されています。

現在教育界で信じられている多くは、実は何の根拠もないということを保護者の方々に知ってほしい。それが本著を執筆した目的です。

例えば「東京大学は金持ちの子しか入れない」とまことしやかに語られていますが、事実は異なります。東大が公表している合格者の概要を見ると、最近では東大生の3人に1人が平均所得以下の家庭で育てられています。学力低下問題についても、「元凶はゆとり教育」と多くの人は信じていますが、原因はそれだけではありません。

そもそも学力低下は、京都大学の学生の学力が低下しているという指摘から始まっています。京大に受かるような学生は、小さい頃から激烈な受験競争をくぐり抜けてきたわけですから、ゆとり教育とは無縁のはずです。

つまり、学力低下問題は、勉強をしなくなって学力が低下した層と、勉強してきたにもかかわらず学力が低下してしまった層の2つに分けて考える必要があります。双方に共通している原因が、子供たちの生活が夜型化してしまったことだと私は考えています。

――朝ご飯をきちんと食べさせると学力が上がると主張されていますが、どうしてですか。

小学校に赴任してみて驚いたのは、とにかく朝からぼーっとしている子供が多かったことです。それで朝ご飯をきちんと食べているか聞いてみると、食べていないか、食べていてもパン食が多かった。それで保護者の方々に子供は夜更かしさせずに、毎朝ご飯とみそ汁をちゃんと食べさせてあげてくださいとお願いしました。

生活習慣を改善すれば子供は元気になります。そして「読み書き計算」の繰り返し学習を徹底させる。そうすれば子供の学力は必ず上がります。私は公募で選ばれ、2003年4月から広島県の尾道市立土堂小学校の校長を務めています。私の教育手法を全校で実施した結果、2年余りでテストの平均点が全国トップクラスになりました。

事情があるにせよ、親が夜遅く帰ってくるのは子供にとって良くない。親の帰りが遅くなれば必然的に家族の生活が夜型になってしまい、結果として子供の学力低下を招いてしまう。親御さんからすれば「子供を塾に入れるため必死に働いている」と言われるかもしれません。ただ、子供への愛情表現が高い学歴をつけることだけに特化してしまっているのであれば、それは寂しいことです。

――教師の質も問題視されています。

問題が深刻化するのはむしろこれからです。今の学校では40代後半の教師が約半数を占めるので、その人たちは今後10年間で退職していきます。その代わりに入ってくる新任教師はゆとり教育の時代に義務教育を受けた若者たちです。先日、ある有力な国立大学で教育学部の学生たちと話をする機会がありました。彼らに富士山の位置を尋ねてみたところ、1割の学生が正確な場所を知らなかった。教職に就こうという者が最低限の教養も身につけていない。思わず背筋が寒くなってしまいました。

原因は指導要領にあります。北海道から沖縄まで順番に教えるカリキュラムは小学校になく、中学校でも3つの県について学習するだけです。高校で日本地理は必修ではありませんから、最低限の教養も備わっていない大人が生まれてしまうのです。

陰山英男(かげやま・ひでお)氏
1958年生まれ。89年に小学校教諭となり、生活習慣の改善と「読み書き計算」の反復練習を柱に学力向上に取り組む。著書多数。

■2005/10/31, 日経ビジネス, 83ページ

産業活性化を担う プロジェクトマネージャー養成講座―東工大COE教育改革 PM編
4822232042丸山 正明

日経BP社 2005-09
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おすすめ平均 star
star成果は如何に?
star東工大における新しい試み
star企業側にも参考になる本

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技術立国日本の優位性をより強固にすべく文部科学省が推進する「21世紀COE(研究拠点)プログラム」。拠点の1つである東京工業大学大学院において実際に行われている研究開発者養成コースの講義を再現し、その成果を報告する。本書では「プロジェクト・マネージング(PM)」をテーマに据えて、将来を担う技術系の学生が、研究開発プロジェクトを自ら企画・立案し管理・運営する基礎力を養うための学習課程を紹介する。

我が国の研究開発の現場では、「基礎研究だから、研究期間に制限されることなく、真理を追究すればいい」という風潮がいまだに根強いと言う。端的に言えば、経営を理解しようとしない技術者が多いということだ。このままでは広義の研究開発能力という点で欧米に後れを取ると著者は指摘。我が国の理工系大学院では先駆的な試みとなる、「経営者と議論できる研究開発リーダーの育成」を行っている同大学院の取り組みを追う。PMコースで院生らは、実際の企業経営を例に、資源配分や財務的指標の意義など、会社経営の本質について学んでいく。

さらに、自らの提案の有効性を、関係者のみならず非専門家に対しても分かりやすくプレゼンテーションする法など、実践的な講義も紹介する。

■2005/10/31, 日経ビジネス, 81ページ

コトラーの資金調達マーケティング 起業家、ベンチャー、中小企業のための投資家獲得戦略
4569644651フィリップ・コトラー ヘルマワン・カルタジャヤ S・デイヴィッド・ヤング

PHP研究所 2005-08-25
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おすすめ平均 star
star天才コトラーがついに金融に
star悪書です。
star悪書です。

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マーケティングの世界的権威として知られるフィリップ・コトラー氏が、企業における資金調達の今日的状況を示し、それを成功に導くノウハウを指南する。金融の専門家ではない著者がキーワードに据えるのは、ずばり「マーケティング」である。金融のグローバル化、情報伝達の広域化やスピード化により資金を求める企業経営者と投資家の関係は劇的に変化していると指摘。「一瞬にして巨額な資本があなたの企業に向かって流れてくる、あるいはあなたの企業から離れていってしまう可能性がある」と述べ自身のマーケティング理論を基に最適の投資家と出会う法や彼らを説得する法を論じる。

まずは資本調達の手段を整理して示す。縁故やエンジェル(投資意欲のある裕福な個人)から、ベンチャーキャピタルや新規株式公開まで、今日の選択肢は一見多様に見えるが、有効な選択を行うためには自社のポジションやライフサイクル(創業期、拡張期、衰退期など)を冷静に分析する作業が不可欠だと言う。自社に内在する価値をどう引き出してそれぞれの投資家に示すと効果的か、セグメンテーションやポジショニングなどマーケティングの概念を当てはめつつ導いていく。効率的な資産運用を望む投資家の側にとっても役立つ1冊である。

■2005/10/31, 日経ビジネス, 81ページ

クリティカル・ワーカーの仕事力
4478312184赤堀 広幸

ダイヤモンド社 2005-09-01
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おすすめ平均 star
star【起業成功の人財活用方法】
star自分はどうだろう?
star素晴らしいケース

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成長著しいソフトウエア企業、ワークスアプリケーションズの創業者であり現役リーダー2人を題材に、今日のビジネス社会で個人、特に若手社員が成功する法を模索する書。人材育成や新規事業の創出を専門とする著者は、理想のビジネスパーソンを「クリティカル・ワーカー」と呼んでその特性を示す。安定的かつ豊かな生活の確保に加えて、個人のやりたいテーマで仕事ができる、個人の才能を生かせる、社会に貢献する新しい価値を創造する、スケールの大きな仕事ができるといった4つの目標を抱けと言う。しかし、それをかなえているのは100人に1人くらいだとも指摘。ただ働いているだけではダメだと叱咤激励する。

「クリティカル・ワーカー」になるには、「あるべき頭の使い方や取り組む姿勢、成長の方法論などの具体的『ノウハウ』が必要」と言い、2人のリーダーが身をもって示してきた問題解決の実例を紹介する。また、彼らのようなブレークスルー(現状打破)型人材の対極にあり、論理的で迅速な作業を好む「ルーチン・ワーカー」との違いを解説する。著者は本書を多くの若いビジネスパーソンに推奨しているが、後輩を育成して組織に忠誠心を抱かせたいと願うリーダーにとっても様々なヒントを提示している。

■2005/10/31, 日経ビジネス, 81ページ

私ががんなら、この医者に行く
私ががんなら、この医者に行く海老原 敏

小学館 2005-09
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おすすめ平均 star
starこれまでで最高の「がん専門医紹介」の本

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国民の約3人に1人がガンに命を奪われている(2002年の統計)時代に、我々はどのような姿勢でこの病と向き合い、どの医者にかかることを最善の策とすべきか。ガン治療の最前線に約40年間身を置き、自らも大腸ガンを患った経験を持つ国立がんセンター名誉院長が、1つの答えを示す。

前半では、苦痛を伴うことが少なくなったガン治療の今を紹介する。一方で、患者の身体の機能をどこまで温存するかなどは、病院や医者によって判断が異なるのも事実だという。そこで、頭頚部ガン、肺ガンなどに症状を分類したうえで、著者が信頼する全国70の病院と143人の専門医を紹介する。登場する専門医は自らの治療方針を自らの言葉で具体的に語るという、分かりやすく心強い構成だ。

■2005/10/24, 日経ビジネス, 71ページ

1985年
4106101300吉崎 達彦

新潮社 2005-08
売り上げランキング : 2,742

おすすめ平均 star
star少し通り一辺倒かな
star退屈な本
star日本にとって確かに変節点だった年

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■著者に聞く 吉崎達彦氏[双日総合研究所副所長] 2005年と似たリセット感

プラザ合意やゴルバチョフ登場、金妻やひょうきん族の跋扈、日航機墜落……。歴史をあえて「横」に読み返せば、当時の景色と空気が実に新鮮に見えてくる。20年後の2005年。「共通するのは時代をリセットする感覚」という。

――過去と言うには新しく、現在と言うには時間が経っている。1985年は確かに微妙な距離感がありますね。

10年前の記憶は鮮明なのに、20年前となると覚えていそうで忘れてしまっていることが多い。本を書いていて我ながら驚きました。例えば当時、私が勤めていた日商岩井にはファクス端末が1台しかなかった。部署に1台ではなく全社に1台ですよ。ワープロも導入したばかりで、文書作成のワープロ専門職の社員がいたほどです。

多くの人がこの本の感想をメールで送ってくれたり、ブログ(日記風のホームページ)で紹介してくれていますが、大半が私と同世代です。内容は「自分の1985年はこうだった、ああだった」という話ばかり。45歳の私ぐらいの世代の人間が20代のことを振り返るのは、楽しい作業なんですね。

最初に書いたのが、テレビドラマ「金曜日の妻たちへ」を取り上げた第6章です。主題歌の「恋に落ちて」に「ダイヤル回して手を止めた」という詞があるのを思い出し、これは使えるなとひらめきました。携帯電話がない頃は不倫も慎ましかったのでしょう。

分量の都合で掲載できなかった題材の1つが学生の就職先人気ランキング。第一勧業銀行、富士銀行など懐かしい名前が並んでいます。もう1つは新風俗営業法で歌舞伎町から賑わいが消えたことです。初のエイズ患者発生もこの年で、風俗の社会通念みたいなものが大きく変わった気がします。

――85年が日本にとってどういう意味を持つのかといった点は、あえて論じないということですが。

ただ、85年と2005年はある種、時代をリセットする感覚が似ているかもしれません。高度成長時代から日本の製造業がコツコツと積み上げてきたものに対し、プラザ合意と円高は企業の競争力のゼロからの見直しを迫った。2005年はというと、長い間、日本経済を苦しめてきた不良債権の問題があらかた片づき、再び経済成長を目指して頑張りましょうという空気が広がってきた局面だと思います。

9月の総選挙もそうです。ガラガラポン解散などと呼ばれていますが、新人議員を含めて100人を超す「小泉チルドレン」はかつての田中(角栄氏)派より巨大ですから、そのパワーは無視できません。経済は大概、連続的な変化を見せるものですが、政治は突然、何もかも変わることがある。不連続な変化から生まれたものが、2005年体制ということだと思います。

もし20年後に2005年が描かれるとしたら、最大の事件は、恐らく「日本の歴史で初めて人口が減少に転じた年」という点でしょう。人が減っていく、社会が縮小に向かうというのは大変なことです。そう考えても今の時期に金融が蘇生し、政治が変わった意味は決して小さくないと思います。

――吉崎さん個人にとっての1985年はどういう年でしたか。

やはり日本航空機事故が忘れられません。8月12日の夜、1人で残業している時にニュースが入りました。当時の上司の奥様が乗っており、テレビで行方不明者の名前が読み上げられるのを聞いているのが実に辛かった。あまりに重い出来事としか言えません。

明るい記憶なら阪神タイガース優勝です。野球って面白い、と心が躍りました。今年の優勝はどうでもいい。虎党の私でさえ、3年間で2回も優勝するのは変だと思っていますから。

吉崎 達彦(よしざき・たつひこ)氏
1960年富山市生まれ。日商岩井、米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て現職。ホームページ「溜池通信」運営。

■2005/10/24, 日経ビジネス, 75ページ

戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ
4532165296野中 郁次郎 戸部 良一 鎌田 伸一

日本経済新聞社 2005-08-06
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おすすめ平均 star
star前作の成功にいい思いをした出版社がけしかけた・・・?
star類書を凌ぐ
starもう一つ踏み込みが足りないような

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勝つための戦略とは何か。リーダーたる立場の者が、常に自問自答を繰り返すこの難問に、企業戦略の専門家と軍事戦略の専門家らが改めて答えを導き出そうと試みた。著者らは「戦争や軍事の領域にこそ戦略現象が明確に発現する」という考え方に立つ。そしてその本質は今日の一般社会全般に求められる「戦略」にも通じると述べる。本書は、第2次世界大戦における日本軍敗北の原因を、組織論の視点から鋭く掘り下げた著作『失敗の本質〓〓日本軍の組織論的研究』(1984年、ダイヤモンド社刊)の姉妹編でもある。

今回は「転機・逆転」をテーマに据えた。戦略不在であった日本軍とは対照的に、中国の国民政府軍に対抗した毛沢東の反「包囲討伐」戦、第2次世界大戦下でドイツ軍の侵攻をソ連軍が食い止め反撃に転じたスターリングラードの攻防戦、「小国」が「大国」を退ける結果となったベトナム戦争などには、戦略の本質である「逆転の契機」が存在していたと指摘。また、戦略論の発展の歴史をひもとき、クラウゼヴィッツら大家の理論を併せて検証する。さらに終章では「戦略は『弁証法』である」「戦略は時間・空間・パワーの『場』の創造である」「戦略は『言葉(レトリック)』である」などといった「10の命題」を示して解説を加えていく。

■2005/10/24, 日経ビジネス, 73ページ

「談合業務課」 現場から見た官民癒着
4334974864鬼島 紘一

光文社 2005-08-24
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おすすめ平均 star
star告発本としてではなく
star出版物としては、ここまでが限界か

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構造改革の大合唱の下、長年この国を支配してきた官民癒着の構図は崩れかかっているように見える。その原動力の1つが関係者による内部告発だ。本書もその1つであり、かつて大林組課長という肩書を背負っていた著者が、建設業界の中枢で目の当たりにした官民の馴れ合いと談合の実態を白日の下にさらす。著者は、「極秘内部資料」だというデータや手書きのメモも公開する。すべてが事実であれば、現在発覚し裁かれている談合や汚職の事例などは、氷山の一角だと考えざるを得ない。それほど根深くやっかいな“負の仕組み”が、この国の建設業に組み込まれていることが分かる。

5~6年前まで、ゼネコン(総合建設会社)大手、大成建設、鹿島、清水建設、大林組の中で、大林組は売上高、株価などで決して秀でた存在ではなかった。しかし、それ以降首都圏で最も注目を浴びた汐留、品川駅周辺、丸の内、六本木ヒルズなどの超高層ビル建設の大半を請け負い、経常利益でトップとなった。その要因を「天下りによる癒着」と「絶えざる談合」だと指摘。その巧妙な仕掛けと落札に至る過程を示す。門外不出であるべき入札予定価格を探る社員の動きや、天下りOBの巣窟と化した「談合専門部署」の実態などを、赤裸々に綴っている。

■2005/10/24, 日経ビジネス, 73ページ

コンテンツビジネス・マネジメント
4492270434八代 英輝

東洋経済新報社 2005-08-26
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コンテンツとは新聞、雑誌、書籍などを飾る文字やグラフィックの情報、映画やテレビ番組などの映像情報、その他音楽やコンピューターソフトウエアなどを指す。日本をはじめとする先進国の政府では、こうした「経済的価値を有する情報」の知的財産権を明確に定義してビジネスの発展を後押しすることを、経済政策の重要な課題に位置づけ始めた。本書は、著作権法を専門分野とする弁護士であり米国の事例にも明るい著者が、かつては「水もの」と呼ばれた著作権ビジネスの仕組みを、最新事例を交えて説いたもの。

まずはアニメ業界の大ヒット作「宇宙戦艦ヤマト」や「キャンディ・キャンディ」の著作者認定を巡って繰り広げられた裁判の例を示す。一般の目からは、キャラクターを描いた漫画家が有利と見られがちだが、裁判所はプロデューサーや原作者に同等の権利を認めた。著者は、一見単純に見えるこうした事例でも争いが起きるのだから、作品を加工して行った2次使用やパロディー、インターネット上に市民が匿名で書き込んだ文書などのケースは一筋縄ではいかないと注意を促す。著作物が国境を越えた場合の対処はさらに難しいと言い、例として日米での法の違いを示しつつ、契約時に取り交わすべき事項などを助言する。

■2005/10/24, 日経ビジネス, 73ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年10月3日~10月17日

昔、革命的だったお父さんたちへ―「団塊世代」の登場と終焉
昔、革命的だったお父さんたちへ―「団塊世代」の登場と終焉林 信吾 葛岡 智恭

平凡社 2005-09
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おすすめ平均 star
star一気に読み終えました。
starむしろ学生運動の概説書として
star団塊のお父さんの若い頃

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定年を間近に控えた団塊世代。善くも悪しくも今日の日本社会の形成に重大な役割を果たしてきた彼らを徹底検証する。40代の著者らは、高度経済成長に乗って奔放に時代を駆け抜けた団塊世代を羨む一方、「信念なし責任なし金こそすべて」といった負の風潮をまき散らした“戦犯”だと指摘してその責任を問う。

年金持ち逃げ世代にだけはなってくれるなと言う。「バブルのツケを次世代に押しつけ、闘争ならぬ逃走を試みるというのなら、袋だたきにしたくなる」など、荒っぽい叱咤激励も飛び出す。しかし、根底には子や孫たちのためにいま一度理想に向かう革命家の血を煮えたぎらせてほしいという願いが込められた書である。

■2005/10/17, 日経ビジネス, 93ページ

「プロ経営者」の条件
4198620369折口 雅博

徳間書店 2005-07-22
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おすすめ平均 star
star起業とは?を大いに考えるきっかけ
star事業のセンターピンを見抜け
star歩みを知ってこそ

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■著者に聞く 折口雅博氏[グッドウィル・グループ会長兼CEO] 大きく社会貢献をする

人材派遣のグッドウィルと介護のコムスンを、1400億円の事業に育てた著者。貧困時代から防衛大、商社、ディスコの企画、そして現在までの歴史を綴る。そこには、一貫した人生哲学と経営哲学があった。

――精神的な基礎作りが成功を導いたと書いていますね。

僕は、グッドウィルを創業した時に、5人の社員の前で、「5年以内に株式公開をして、10年以内に売上高を1000億円にするぞ」と言ったんです。まず、夢と志を宣言した。そのために「拡大発展、社会貢献、自己実現」という企業理念を制定して、社員みんなで夢と志を共有しました。大きいことはいいことなんだと。大きな力を得て、大きく社会貢献をすると。

大きくなっても質を伴って崩れないようにするために「弛まぬベンチャースピリット」という社是も作りました。夢と志を与えて、理念で共有し、社是で固める。そうすると、DNAがしっかりとできて、新しい社員にもどんどん伝播していくのです。

だから我々の売上高は、昨年の930億円から1400億円に伸びる。企業買収による効果は100億円で、あとは自力成長ですよ。なぜそれができるか。なぜ5割も成長できるのか。会社が小さい頃から植え込んでいるDNAが、連続して社員に共有されているからです。

今は、サービスコングロマリットのトップを目指すと言っている。そして10年後に売上高1兆円を実現すると。夢と志はさらに高く進化するけれど、理念や社是は変わりません。

――潜在意識への刷り込みも重要だと。

例えば、コンプライアンス(法令順守)とか個人情報保護法とかは、単にルール違反を罰する仕組みだけではダメなんですよ。我々には、理念や社是を実践する指示書と言うべき「グループ十訓」という中に、「正しくないことをするな、常に正しい方を選べ」という訓示があります。それを、いつもみんなで唱和しているんですね。そうすると、迷った時でも、正しい方を選ぶ行動が自然と心の中から出てくる。

僕自身は昔からやっていますよ。絶対に成功したい、でかくなりたいとか。思えば思うほど潜在意識が満たされてそれが行動に出る。進学もそうです。

父親の事業が倒産して、どん底の貧困生活に急転。仕送りをするために高校は自衛隊少年工科学校に行きました。予想以上に訓練が厳しくて、防衛大学校へ進学するのは400人中10人と狭き門でしたが、それでも、入学した時から防衛大へ行くんだと自分に言い聞かせて、乗り越えました。

――テクニカルな経営論として、センターピン理論を挙げています。

業種によって違いますが、ディスコだったら満杯というように、外してはいけない真ん中のポイントがある。レストランはどんなに内装やサービスを良くしても、味がまずかったら行かないですよね。そこを見極めて、外さない経営をすればいいのです。

介護事業で言えば居心地のよさ。我々は医者と戦ったら勝てるわけがないけれど、何かあったら医者にかかればいいわけで、毎日のことじゃない。基本的にケアですから、やっぱり居心地がよいことが一番です。だから、我々はブランドを作っている。なぜコムスン、コムスンと、あれだけ宣伝しているかというと、それは安心感なんですね。安心して任せられると居心地もよくなりますから。

我々が介護を受ける方からお金を頂くことも非常に大事。お金を払ってケアを受けるということで、いい意味での権利意識が出るし、それは居心地のよさになるんですよ。やる方も、プロとしてやることによって甘えが許されなくなる。だからいい介護ができる。全部、センターピンにつながるのです。

折口 雅博(おりぐち・まさひろ)氏
1961年生まれ。84年防衛大学校卒業、日本ユニバック(現日本ユニシス)、日商岩井を経て、95年にグッドウィル・グループを設立。

■2005/10/17, 日経ビジネス, 97ページ

イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド
4023308005小田嶋 隆

朝日新聞社 2005-09-15
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starおもしろい!

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副題は「ネット巌窟王の電脳日記ワールド」。今、いわゆる「ブログ」と呼ばれるインターネット・サイト上の個人日記の出版がブームになっている。本書はその流れの1つではあるが、著者はプロのコラムニストでもある。テーマは政治、事件、スポーツからエンターテインメント、身近な話題まで多岐に及び、「ネット巌窟王」の通称通り、市販の新聞や週刊誌などに連載を持つ著名コラムニストらとは一味も二味も異なる視点と語り口で、社会の隙間に潜む矛盾を切り取っていく。

ある日のテーマは「愛国心」だ。若者のサッカー熱や朝鮮民主主義人民共和国への国民感情を巡る報道、教科書問題などを取り上げつつ、自らの心の底に潜む本音と、世間で言う「愛国心」との距離を詰めていく。結論として、愛国心の大部分は過剰な自尊心であって、他国に対して謙虚になれないのは傲慢だと綴る。「お世辞」と題した日記では、詐欺商法に引っかかる人が後を絶たない現状を嘆きつつ、「長年、お世辞を聞いて暮らしてきた人間は、お世辞なしで生きていくことができなくなる」と分析し、打つ手がないとさじを投げてしまう。そのほか、選挙、回転寿司、秋葉原、ネット世界に登場した新商品などについて、主観と客観を交錯させつつ論評を展開していく。

■2005/10/17, 日経ビジネス, 95ページ

技術系ベンチャーのイノベーション評価法
447826080X松井 憲一

ダイヤモンド社 2005-09-15
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starベンチャー関係者必読
star起業家や金融マンにお薦め

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著者は大手金融機関の調査部などを歴任後、日本経済団体連合会が行う新事業創出活動に携わり、現在はUFJベンチャー育成基金の常務理事として活動する松井憲一氏だ。金融業界においては、技術系ベンチャー企業への期待と投資意欲が高まりつつある一方、「リスクの高い分野とそうでない分野を見分ける知見などの集積や共有がなされていないことが問題である」と危機感を抱く。そこで本書では、研究開発型ベンチャーの事業性の評価方法とその応用事例を示す。ここで提案する評価法は、政府系及び民間金融機関、都道府県などのベンチャー支援財団、ベンチャーキャピタルにとって大きな指針となるであろうと言い、ベンチャー企業の側にも事業戦略や新製品開発の羅針盤にしてほしいと述べている。

まずはベンチャー企業と金融機関の基本的な関わり方を整理して示す。そのうえで、対象となる企業の「市場実績」と成否の関連性を、ケーススタディーを織り交ぜつつ解説する。特に市場実績が小さい企業の成功率を高める要因について、「企業提携」「集中戦略」などをキーワードに据えて詳しく論じる。後半では、それらに基づく「事業性」と「経営資源(経営者・技術・財務)」の評価法を示し、具体的な13社を挙げて事例を紹介していく。

■2005/10/17, 日経ビジネス, 95ページ

本田宗一郎と井深大に学ぶ現場力
4532312426吉村 久夫

日本経済新聞社 2005-09
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人生の大半を経済記者として過ごし、日本企業が内包する「現場力」を身をもって取材し続けてきた著者が、第2、第3の本田宗一郎氏や井深大氏の出現を願い綴った書。今、多くの日本企業が抱える離職率の増加や勤労意欲の低下といった問題を解決するヒントは両氏の哲学にあると言い、2人が挑み育んだモノ作りの英知と普遍的な教訓を改めて解き明かす。

「『人生は仕事だ』とすれば、仕事をする現場とはなんだろうか。一番いい言葉が『現場は宝の山だ』である。人は現場で育ち、現場で情報を知り、現場で創意工夫する。その意味で、現場にこそお宝が転がっている」。著者はそう語り、今日の経営トップに、創業哲学に思いを馳せ、原点に回帰せよと訴える。「技術の天才」と称される本田氏、井深氏もスタートは「素人」であったと言う。

失敗を繰り返しながらも成長し続けた両氏は、人真似はしない、人の話に素直に耳を傾けるなど、誰の心にも眠る素朴でありながらも強靭な信念を守り続けたのだと評価する。著者が本誌の編集長を務めていた当時に行った両氏へのインタビュー記事も併せて掲載。仕事に懸けるひた向きな姿勢や人間味溢れる大らかな個性が滲み出ており、今を生きる我々に勇気とヒントを与えてくれる。

■2005/10/17, 日経ビジネス, 95ページ

初代総料理長サリー・ワイル
初代総料理長サリー・ワイル神山 典士

講談社 2005-09
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star日本の西洋料理史
star点から線へ、そして面へ
starうなりました

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昭和初期に来日し、横浜のホテルニューグランドの初代総料理長として本格フランス料理を伝えたスイス人シェフ、サリー・ワイルの生涯を描く。

ワイルはニューグランドで20年間、フランス料理を作り続け、多くの顧客に愛された。その味は評判を呼び、皇居や皇族私邸でも出張料理として振る舞われたという。調理場では、持ち場を半年から1年で変えるローテーション制を導入して料理人を鍛えた。スイス帰国後も、本場欧州で修業したいという料理人たちの受け入れを手伝い続け、ワイルの下からは、名だたるホテルやレストランの料理人が弟子として巣立った。

ワイルの名前は消えかけているが、今もフランス料理の1皿1皿に、その情熱が満ちていると指摘している。

■2005/10/10, 日経ビジネス, 89ページ

アースダイバー
4062128519中沢 新一

講談社 2005-06-01
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おすすめ平均 star
star美しいイメージ
star学術的価値とはなんだろうか
star東京の深淵を覗き見る

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■著者に聞く 中沢新一氏[思想家・哲学者] 東京の「文化防衛論」

街を歩いていて東京には縄文時代からの歴史が残っていることに気づいた。しかも単に残っているだけでなく、古代の考えがそのまま継承されている。そんな蓄積された街の記憶を根こそぎ壊す都市開発に疑問を呈する。

――東京は世界でもまれに見る歴史ある所なんですね。江戸時代以降、急に栄えたと思っていたので驚きでした。

東京の今ある姿が形作られたのは縄文時代の頃です。東京湾は現在よりもずっと内陸にあり、見事なリアス式海岸を形作っていました。この湾に流れ込む川の周辺にいくつもの村落が形成されました。

歴史ある街並みとされている京都や奈良は、街が人工的に縦横に整備されたことで、古い地形は失われてしまいました。それに比べ、東京は地形自体を変えてしまうような大規模な整備が行われなかったことで、縄文時代からの人のたたずまいを残す、より深い歴史の層を残すことができたのです。

――縄文時代の名残が東京には至る所に残っているのも驚きです。

東京の街を散歩して気づいたのです。戦争や震災を経験し、大改造されたはずの東京ですが、よく見てみると縄文時代から、ほとんど変わっていない。東京のど真ん中の港区や新宿区でさえ、縄文の記憶をとどめています。

そこで、海抜が今よりもずっと高く、海が内陸まで入り込んでいた縄文時代の地図を頼りに、土地に眠った歴史や神話を散歩しながら探っていきました。すると、今まで見えなかったものが見えてきたのです。

例えば、古い大学のほとんどは古代の埋葬地や貝塚などの上に建てられていることが分かりました。昔から、学問や知性には死の感覚が必要不可欠で、生者の権力から自由な空間でなければならないという考えがありました。その考えが古代から引き継がれ、死者が住む場所にちゃんと学問の場が建てられているのです。

東京タワー周辺も、縄文時代は海に突き出た半島で、聖なる場所でした。当時、海は死の領域であり、半島は人間的なものとそれを超越したものが触れ合う場所と考えられていました。そんな聖なる土地に、戦場で死を見つめてきた戦車の鉄を使って東京タワーが建てられました。聖なる土地に霊的なオーラを発するアンテナが建っているというのも興味深いことです。

古代から蓄積されてきた歴史の層の上に無意識に同じ意味合いのものを建ててきた。そんな積み重ねでできた街が今の東京と言えるのです。

――最近の都市開発でこの蓄積されてきた街の記憶が破壊されつつあると指摘されています。

縄文時代から深く刻まれた土地の記憶は21世紀の今、都市再開発という名の破壊活動によって、地形そのものから変えられようとしています。開発者側の個人的な構想によって、昔から積み重ねられてきた歴史の層が、いとも簡単に破壊されていく。そんな事態を目の当たりにし、疑問を感じざるを得ませんでした。単なる懐古趣味ではなく、縄文時代から積み重ねられてきた文化の層を守る「文化防衛論」を書きたいと思ったのです。

東京は長い年月をかけて、無意識的に積み重ねられた歴史の上に建っている、世界でもまれに見る街です。そんな貴重な街がお金や権力によって、壊されていく事態を黙って見過ごすわけにはいかないと感じたのです。

この本を読んで、東京の街を散策していただきたい。しかし、それ以上にこの本を読んでもらいたいのは、開発をする側の人たちです。その土地の特徴を生かしたアースダイバー的な「街の作り方」もあるのだということを知ってもらいたいのです。

中沢 新一(なかざわ・しんいち)氏
1950年、山梨県生まれ。東京大学大学院修了。著書に『チベットのモーツァルト』や『カイエ・ソバージュ全5巻』など。

■2005/10/10, 日経ビジネス, 91ページ

「食」の大戦争~売れる仕組みはこう創る
4492761543厚美 尚武

東洋経済新報社 2005-08-19
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star売り方の気持ち
star「食」業界以外の方にもためになりそう・・・

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競争が激化する食業界。どうすれば顧客が増え、売り上げ、利益が伸びるのか。本書は様々な実例を挙げながら、食ビジネスの「目のつけ所」を示す。

食材・食品の企画開発に当たっては、誰の、どんなニーズに応えるかを明確に定めることが重要。それには、「不便、不満に注目する」「あったらいい…を実現する」という2つの視点で市場を見ることが大切だ。例えば、今、女子高生やOLには190ミリリットルのボトル缶が人気だが、これは「300ミリリットル缶は重くてかさばるから持ち運びに不便」「少しのどを潤したいだけなのに」といった不便、不満の声に気づいたのがきっかけだった。

ターゲット顧客に向けて、食材・食品のコンセプト作りをする段階では、時代性、先進性、独自性の3つの要件を追求することがポイント。ハウス食品の「黒豆ココア」はテレビ番組などで人気が出たココアと、健康食品市場の売れ筋に挙がっていた黒豆を組み合わせた製品。健康志向という時代の流れをとらえたことで、手軽においしく体に良いものを取りたいと思う中高年女性の支持を得た。

「時間をかけて作る」「物流にこだわる」「適量を提供する」など、他社商品との違いを出すための実践的なアイデアも紹介する。

■2005/10/10, 日経ビジネス, 90ページ

「強い」会社は、どこが違うか―勝ち続ける企業の〈シンプルな法則〉
4757211759ローレンス・ホートン

アスペクト 2005-08
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企業の業績を左右するのは戦略の優劣ではない。従業員が計画を確実に遂行するか否かが分かれ目である。本書は、従業員に計画を完遂させるためには、「方向性を明確にする」「適切な人材を見つける」「賛同を得る」「個人の主体性を増す」という4点が重要と指摘。それぞれ具体策を示す。

ある研究によれば、従業員の半数近くが自分たちのビジネスの方向性を理解しておらず、目標達成のための道筋が見えないと答えたという。本書は、従業員に明確な方向を示すため、マネジャーは期待を明確にすること、言外の意味を汲み取ること、正確な評価をすることが必要と説く。曖昧な期待は具体的で計測可能、説明可能、現実的で時間制限がある目標に変える。大きな目標を各階層に見合った大きさに分け、立ち往生した時は話し合うといったやり方が必要と説明する。

一般的に、目標にふさわしい人材を決める時にはその業務の経験者を探すもの。だが、ビジネスが絶えず変化している場合、新しいアイデアに迅速に対応すべき場合など、経験者の採用が有効とならないことも多い。著者は、経験よりも仕事に対する姿勢が重要と主張。目標に適合する姿勢を見極める方法、最高の人材となり得る候補者を選別する方法などを示す。

■2005/10/10, 日経ビジネス, 90ページ

脱税の決算書 田中角栄~堤義明の逃税学
4198620415立石 勝規

徳間書店 2005-08-31
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おすすめ平均 star
star決算書とはいうものの・・・

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国税局に査察部が誕生して以来、摘発した脱税事件は約1万2000件、約6万人に及ぶ。査察部に追跡され、逃げ切った人物はほとんどいない。非常に成功率が低く、実刑が科されることもある脱税だが、“挑戦者”は後を絶たない。元毎日新聞論説副委員長である著者が、悪知恵の限りを尽くし、国を騙そうとする人々の暗躍ぶりを追跡する。

2005年1月、法人税法違反に問われた平哲夫・元ライジングプロダクション社長の懲役2年4カ月の刑が確定した。安室奈美恵、SPEEDら人気タレントを抱えたライジングは、平社長の指示で架空の役員報酬費、外注費などを計上。3年間で26億3000万円の所得を隠し、10億2000万円の法人税を脱税した。平社長は5億円を超える裏金を手にした。

査察部がライジングを追いかける過程で、加藤紘一・元自民党幹事長の事務所元代表の脱税、浜田常吉・元札幌国税局長の脱税という第2、第3の事件が浮上した。

「逃税者」たちは、脱税で得たカネをそのままにできず、新たなカネを求めて動く。その痕跡が国税局の情報網にかかる。脱税は麻薬と同じで、何度も繰り返す。脱税は露見しやすい宿命を持った犯罪だと指摘している。

■2005/10/10, 日経ビジネス, 90ページ

住宅購入学入門-いま、何を買わないか
住宅購入学入門-いま、何を買わないか長嶋 修

講談社 2005-06-21
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おすすめ平均 star
starなるほど・・・
star住宅には国民の哲学が必要である

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個人向け不動産コンサルティング会社を率いる著者が、住宅購入に際して持つべき基礎知識や哲学をまとめた。

住宅販売では、「低金利の今が買い時」というセールストークがつきもの。だが、住宅の販売価格は金利を織り込んで決定されるため、金利上昇時には不動産価格が下がりがちだという。

地価下落が続いたことで、これからは建物の価値が重要になる。表面を繕った設備過剰な住宅ではなく、丁寧にメンテナンスをして長く大切に住み継がれた「ヴィンテージ住宅」に価値が出る風潮に変わると予測する。

住宅購入に当たって最適な解を得るためには、情報ではなく、どのように生き、住宅とどのように関わるかという自身の哲学が必要と指摘している。

■2005/10/03, 日経ビジネス, 161ページ

時空を旅する遺伝子~最新分子生物学の不思議ワールド
4822282368西田 徹

日経BP社 2005-06-30
売り上げランキング : 30,341

おすすめ平均 star
star生命の目的
star生命の本質から生き方・ビジネスの原理をあぶりだした人生・経営書
star分子生物学だけではない所が良い!

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生命の起源は約40億年前にさかのぼる。太古の生物の遺伝子は、果てしない時間を旅して現代にたどり着いた。本書は最新の分子生物学が解明した生命現象を紹介し、そこから、人間社会にも応用できる英知を探る。

生命は、DNAを格納する核を持つ「真核生物」と、持たない「原核生物」に分けられる。数十億年前、真核生物の祖先は、大腸菌に似た原核生物を取り込み、一体化した。取り込んだ原核生物は、今では細胞内のミトコンドリアとして、エネルギー生産工場の役割を果たす。生命の合体は常に起き、現在も進行中である。著者は、こうしたプロセスがM&A(企業の合併・買収)とそっくりだと指摘する。M&Aは欧米の異質なビジネス手法ではなく、生き残りを賭けて競争する世界では、必ず生じる現象ととらえられる。

細胞は、時に意図的な死「アポトーシス」を起こす。生命が、一種の消去法であるアポトーシスを採用しているのは、その方が効率が良いためだと考えられている。ここから、著者は企業戦略を構築するうえでも、消去法の採用がコツになると分析する。

40億年進化してきた生命のダイナミズムが分かりやすく描かれ、人間社会や企業のあり方を考察するうえで、新しい視点と発想を提供する1冊だ。

■2005/10/03, 日経ビジネス, 163ページ

狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命
4000243012下野新聞「鹿沼事件」取材班

岩波書店 2005-05-21
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おすすめ平均 star
starこれぞ地元メディアの真骨頂
star公務員には思い当たることもある内容

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2001年10月、栃木県鹿沼市の職員が帰宅途中で失踪した「鹿沼事件」。1年3カ月後、職員の拉致・殺害の実行犯として、暴力団関係者ら4人が逮捕された。廃棄物行政を担当していた被害者は、なぜ命を狙われたのか。地元紙・下野新聞の取材班が事件の全貌に迫る。第4回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を獲得した新聞連載を、大幅に加筆・再構成した。

事件の首謀者とされたのは廃棄物処理業者・鹿沼環境美化センターの経営者。同社は本来、自治体が扱うべき一般廃棄物の焼却処理を許可された国内でも特異な業者として急成長を遂げていた。歴代の市幹部と深いつながりを持ち、数々の便宜を受ける一方、廃棄物の不正搬入にも手を染め、不当な利益を得ていた。被害者は、長年にわたる「負の連鎖」を断ち切り、行政の公平性を守り抜こうとした。不正行為を見逃さず、厳しい行政指導を行ったことで逆恨みを買った。

鹿沼事件の背景には、複雑に入り組んだ「政・官・業・暴」の利益構造がある。廃棄物ビジネスと政・官・暴との密な関係はこれまでも指摘されてきており、行政対象暴力はどの地方都市でも起こりかねない。最終章では各地の先進的な対策事例を紹介し、事件の教訓を示す。

■2005/10/03, 日経ビジネス, 163ページ

ヤマハ発動機の経営革新
4478331162中村 元一 嶋田 淑之

ダイヤモンド社 2005-07-01
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静岡県磐田市に本社を構えつつ、売上高の88%が海外市場というグローバルな事業活動を展開する異色企業・ヤマハ発動機の実像に迫る。

2005年6月中間期の決算で、過去最高益を獲得するなど快進撃を続ける同社だが、21世紀初頭には環境変化に対する適切な対応を取りきれず、2輪車シェアを落とし、業績も伸び悩んでいた。2001年に社長に就任した長谷川至現会長らは、中期経営計画「NEXT50」を策定。収益力向上、成長性確保、財務体質強化、企業体質の変革という4つの柱を立て、これらの実現を通して「1ドル100円、1ユーロ100円」でも利益が出る体質の確立などを目指した。NEXT50は数値目標の多くを前倒しで実現。現在、梶川隆社長が中心となって、「NEXT50フェーズII」を推進中である。

本書では、ヤマハ発動機がわずか3年の経営革新で躍進した理由を「歴史的アプローチ」と「理論的アプローチ」から分析する。理論的アプローチでは、経営理念群、戦略、システム/プロセス、組織能力、コンピタンス分析の項目を立て、詳細に解説する。

最終章には梶川社長とのインタビューを収録。ヤマハブランドの確立、バイオを中心とする新規事業の成長など、目指すべき将来像を明らかにする。

■2005/10/03, 日経ビジネス, 163ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年9月5日~9月26日

エンピツは魔法の杖―物語・詩・手紙…ニューヨークの子どもたちに「書くこと」を教えた作家の奇跡のような3年間
4751520504サム スウォープ 金 利光 Sam Swope

あすなろ書房 2005-06
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star心温まるだけではない、限界も壁もありのままに書いた本

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■著者に聞く サム・スウォープ氏[作家] 想像力は人生を彩る

ニューヨークの小学校で、1人の作家が作文の授業を担当することになった。21の国から集まった28人の移民の子供たちは、書くことを学び成長していく。苦しい境遇を生き抜く子供たちに多くを学んだと著者は語る。

――プロの作家が小学校で作文を指導する試みは面白いですね。

実は依頼を受けた時、スランプに陥っていたのです。子供に教えるのは気分転換になるかな、と考えて引き受けたのですが、実際に21の国々から移民としてやってきた子供たちと接して、彼らの多彩な文化や宗教に魅了されました。

何より驚きだったのは、子供たちの強さです。多くは家が貧しく、両親のけんかが絶えなかったり、親が家を出ていってしまったり、恵まれているとは言い難い状況にありました。それでも宿題を仕上げて、学校に来るのです。もちろん、本当につらい日は休むこともありますが、学校に来たら私に微笑みかけて、日常生活をこなしていく。魂の強さのようなものがあるのです。

――日本では教育改革が話題になっています。教壇に立って米国の教育制度についてどう思われましたか。

ニューヨークの学校について言うと、私が教えていた当時は、例えば3年生で何を教えるという統一基準がありませんでした。たまたま私が行った学校は、創作活動に力を入れていましたが、全体としては質の高い学校もあれば、混乱状態の学校もある状況でした。

2002年にマイケル・ブルームバーグ市長に代わってから、市内の学校教育に一定の水準を持たせ、質の悪い教師であっても一定の授業をこなせるように、15分教科書を読んで、5分間質問の時間を設けて、と内容を細かく設定したのです。テストの点は上がったのですが、授業は退屈になり、意欲をそがれ、教壇を去った教師もいました。しかし現在、教員の給与を上げる方向にあります。優秀な人が集まれば教育の質も上がっていくかもしれません。

――子供たちに独創的な話を書かせようと苦心されたようですが、コンピューターゲームやテレビのキャラクターに囲まれて育った子供たちは想像力を阻害されてしまう心配はありませんか。

ないと思います。子供にとって想像するのは、息をするのと同じことです。本をよく読む子は、物語を書くために十分な材料を与えられているとは思いますが、テレビであれ映画であれ、子供はインプットされたものから、何かしら生み出すものです。シンデレラを見て、「ポケモン」を見て、そこから物語を構成してしまうのです。

生徒の両親には、毎晩少しずつでも子供に本を読んであげてほしいと話しました。本を読む親の声は、子供の中に残るのです。一緒に物語を作るのもいいでしょう。どんな登場人物がいて、どんな所に住んでいるのか、子供に聞きながら仕上げるのです。子供は親を殺す話を思いついたりもしますが、親は筋を変えたりせず、子供の考えを尊重してください。物語の世界を経験することで、様々な問題を乗り越える方法を学ぶこともあるのです。もちろん感想は自由に述べてください。

子供は先入観や偏見を持っていません。だからこそ、多くの芸術に触れさせて、自由に発想させるべきです。創造性は芸術家だけのものではありません。物事を横から見たり、裏から考えたりする突拍子のない発想や創造力は、ビジネスマンが新しいサービスを考えたり、政治家が政策を考えるのに必要な能力です。もっとも大人の場合は、想像力を養うというより、想像力を生かすことが大切。自由な発想を妨げないことが重要だと思います。

サム・スウォープ(Sam Swope)氏
1954年、米ペンシルべニア州生まれ。英オックスフォード大学などで英文学を学ぶ。著書に『The Araboolies of Liberty Street』など。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 87ページ

自分の会社をつくるということ
4478733015経沢 香保子

ダイヤモンド社 2005-06-24
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star書評が割れる本って・・・
starマスコミ巧者たれば商売繁盛!
star「女性」の立場を強調した起業論、良い時代になったと実感。

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女性の会社起こしを指導するセミナーなどを主宰する著者は、目指すべき目標に「競合の少ないオンリーワンビジネスによる年商1億円、社員3~4人規模の会社」を掲げる。資金は無理な借り入れを避け、自ら蓄財した300万円を目安とし、3年間は活動を継続すべきだが、それで芽が出なければ諦めよと言う。社長の年収目標は3000万円に設定せよとも助言する。何かと自分の財布からの持ち出しが多い零細規模の社長業では額面1000万円程度の年収だとやっていられないそうだ。

「結局、社長って実は社員のお世話係。もしかしたら社員の奴隷みたいなもの」という持論も明かす。3~4人の社員で運営する会社では、社長が描くルーチン作業を堅実にこなせる人材が不可欠であり、それがあって初めて社長は収益の要となる営業や広報活動に専念できると語る。著者はリクルートや楽天といった若者に人気のある企業に所属していた経験から、特にマスコミ対策の重要性を強調。取材記事の掲載による広告効果は計り知れないと言い、ウェブ上での社長日記(ブログ)やプレスリリースの利用法を指南する。「タレント型社長」の特殊な事例に見えないこともないが、竹を割ったような明確な意思表示からは、近年の働く女性の心の一端が垣間見える。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

産業進化4つの法則
4270000686アニタ・M・マクガーハン 藤堂 圭太

ランダムハウス講談社 2005-06-09
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starコア資産とコア活動に着目して産業変化のパターンを分析

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著者はマッキンゼー・アンド・カンパニー、モルガン・スタンレーに勤務後、現在はボストン大学とハーバードビジネススクールで教壇に立つ企業戦略論の専門家だ。本書は、『競争優位の戦略』で知られるマイケル・E・ポーター博士の協力の下に、世界700以上の企業を調査して書き上げたもの。企業経営を巡る環境の劇的な変化を利用して、さらなる成長を遂げる企業、一方では荒波に翻弄され撤退を余儀なくされる企業がある。両者の明暗を分けるのは「ある法則に従うか否か」と著者は論じ、産業の進化過程における4つの法則を明らかにする。

著者は経営者に対して「新しい技術によって、構造的な変化が産業に起こると分かるのはいつか?」「市場が新製品を受け入れるようになるのはいつか?」と問う。これらに対する正解は、属する産業の進化がたどるルートを把握すれば分かると言い、いかなる産業にも当てはまる、漸進型・創造型・関係型・激震型といった4パターンの軌道について、主に米国で起きた事例などを示しつつ詳しく論じていく。同時に、それらに対応するための経営戦略を示す。いかに急速かつ斬新に見えた近年の産業革新事例にも、その裏には“不変の法則”があり、予測は可能であったという説は興味深い。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

スクラップエコノミー なぜ、いつまでも経済規模に見合った豊かさを手に入れられないのだ!
482224458X石渡 正佳

日経BP出版センター 2005-06-23
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star解体工事費もGDPを押し上げる?

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千葉県庁の職員として産業廃棄物の不法投棄と戦い続けてきた著者の目に映る日本経済と社会は、どのような姿なのか。「戦後の日本は所得の豊かさだけを追求し、資源の豊かさを食いつぶしてきた。その結果が、このみじめな国土である」と語り、産廃問題とは我々の車、家電、家、都市をどうするのかという暮らしそのものの問題であると強く訴える。ともすれば、犯罪、環境問題、行政のあり方などばらばらの側面から語られがちな産廃問題を、日本社会と一体化した重大課題として捉え、現実に横たわる矛盾をあぶり出し、解決策を論じていく。

スクラップエコノミーから、ストックエコノミーへの転換こそが著者の理想である。日本企業が生産する製品の多くは、本来の寿命の何分の1にも満たないサイクルで産廃化されていく。現在、行政主導の下に叫ばれているリサイクル(循環型)社会の形成も、「高回転型社会」の前提から抜け切れない小手先の施策であると懸念をあらわにする。高回転型消費を止めることは景気後退をもたらすという定説を著者は否定し、豊かなフローから豊かなストックへの転換に発想を切り替えるべき時代が来たと主張する。特に都市と住宅の問題について、欧米の事例などを紹介しつつ掘り下げていく。

■2005/09/26, 日経ビジネス, 83ページ

チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える
4822244644渡邊 奈々

日経BP社 2005-08-04
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star救われる思い!
starわかりやすい
star社会に積極的につながっていくためのもうひとつの方法

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■著者に聞く 渡邊奈々氏[写真家] 米国発の生き方革命

日本では馴染みの薄い言葉だが、米国は新たなエリート像の1つとして認知されつつある。気鋭の写真家が世界で活躍する18人を選び、その生き様を紹介する。

――写真家の渡邊奈々さんが、本を書こうと思い立ったきっかけは何ですか。

写真家というのは、普通の人が見過ごすような細かいところに気づく癖があります。ちょっとした仕草とか表情とか。私は大学時代からずっと米国に住み、外から日本を見てきたのですが、1990年代に入ってから日本人がおかしくなったと感じていました。すごく忙しそうなのに満たされていない。それでも状況を変えようとはせず、あきらめてしまっている。

そんな日本を変えるために「自分に何かできないか」と考え、思いついたのが、ロールモデル(模範になる人物)を示すことでした。自分が得意な写真と英語を使って、時代の最先端を行く人たちを紹介する。「それなら自分にもできる」と思いました。

ちょうどその頃、米国ではソーシャル・アントレプレナーが注目され始めました。ソーシャル・ベンチャーと言われることもあります。政府の援助や寄付だけに頼らず、自力で収益を上げながら持続可能な社会活動を展開する人たちです。

「これだ!」と思って、人づてに何人かを紹介してもらい、インタビューを始めたのです。

――日本にもNPO(非営利組織)や社会福祉団体はありますが、最先端というイメージではありませんね。

米国でも5年前まで、NPOや福祉にかかわる若者は「バッド・ブレス(ダサい奴)」と呼ばれていた。エリートは投資銀行に入り、弁護士になってお金を稼ぐのがカッコよかった。

しかし今は、望めば政府の高官でも起業家でも、何にでもなれるエリート中のエリートが、競って社会起業家を目指しています。知り合いの若者はコロンビア大学を出て、イタリア語とフランス語を完璧に操る秀才ですが、初任給12万ドル(約1320万円)の法律事務所を辞めて、年収4万5000ドル(約495万円)のNPOに移りました。

投資銀行に就職する若者は「しばらく働いてお金をためてからNPOをやるんだ」と言い訳しています。2001年の米同時テロで、こうした風潮が決定的になったと思います。

――「他人のために働く」のは確かにカッコいいけれど、それで生活は成り立つのでしょうか。

私が会った人たちは、すごく貧乏でした。企業からNPOに移ると平均で年収が3割下がる、と言われます。実際にはもっと低いかもしれない。みんなお金がなくて大変そうだったけど、すごく生き生きしていましたよ。

大抵の日本人は何にも増して安全を優先する。健康にすごく気を使い、長生きすることが人生の目的みたいでしょ。社会貢献なんてあんまり考えませんよね。

NPOで働く米国の若者は「元気なうちに正しいことをやっておきたい」と言います。テロで刹那的になっているわけではないと思います。彼らがやっている活動は自己満足でお涙頂戴の昔ながらのチャリティーとは一味違います。最先端のビジネスの手法を取り込んで企業顔負けの収益力を身につけ、持続可能な事業を展開している。彼らは本気で「世の中を変えられる」と思っているんです。

日本にいると世界にコンパッション(共感)を感じにくい。島国根性というか、世界の危機を身近に感じられない。「日本が平和ならそれでいい」という時代ではないと思うのですが。

渡邊 奈々(わたなべ・なな)氏
東京都生まれ。慶応義塾大学、米シートンホール大学卒業。1980年ニューヨークで写真家として独立。87年アメリカン・フォトグラファー誌年度賞受賞。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 91ページ

女性に選ばれるマーケティングの法則
4478502390リサ・ジョンソン アンドレア・ラーニド 飯岡 美紀

ダイヤモンド社 2005-07-08
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star女性向けビジネスの考え方が良くわかります

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米国では消費活動の約80%を女性が担っているという。多くの家庭で消費の決定権を女性が握っているほか、企業でも、女性の購買担当者が増えている。企業にとって、女性は顧客の大部分を占める存在であり、その嗜好に焦点を合わせることは収益・シェア拡大に重要な要素であると主張する。

女性の需要を得ようとする場合、パステルカラーや花模様を採用したり、通常の製品のライトバージョンを生産しがちだが、著者はこうしたステレオタイプな仕様を「ピンクの発想」と否定する。女性の購買意欲をかき立てるには、巧妙で洗練されたアプローチが必要。言葉やイメージで女性向けと分かる「目に見えるアプローチ」、女性のニーズに合わせて工夫しつつ、製品・サービスにはあえて女性向けのレッテルを張らない「透明なアプローチ」を検討すべきとする。ジレットの安全カミソリ「ヴィーナス」、ホーム・デポの店舗などの例を挙げ、それぞれのアプローチを詳しく解説する。

世代別、ライフステージ別の女性の購買の特徴やオンライン上での女性顧客とのつき合い方も紹介。ゆくゆくは女性顧客をパートナーとして囲い込み、女性「向け」ではなく、女性「との」マーケティングへと転換することが必要と説く。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

ニッポンテクノロジー―NEDOプロジェクト開拓者たちの100の挑戦
4621076035赤池 学

丸善 2005-06
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star資料が役立つ
star研究者のみならず経営者にも 絶対お勧め!

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は過去25年、産業技術関連の国家プロジェクトをコーディネートしてきた。本書はNEDOの成果事例を基に、日本の産業を支える基盤的技術のテーマ探索、プロジェクト・マネジメントのあり方などを探る。

第2次石油ショック直後に創設されたNEDOは、新エネルギーの開発・実用化事業を積極的に進めた。現在、日本の太陽電池は生産、導入量とも世界のトップ。その背景には、商用電力系統と連系して太陽光発電を利用する「系統連系型システム」の採用がある。このシステムの普及は、NEDOの委託で関西電力などが行った「系統連系制御技術の実証研究開発」によるところが大きい。太陽電池の要素技術開発は、カラー液晶ディスプレー、ナノスケールの新規材料など、異分野にも生かされた。NEDOの事業は様々な形で社会に還元されている。

著者は、これから求められるMOT(技術経営)は「ビジネス・マーケティング・オブ・サイエンス&テクノロジー(B・MOST)」、社会や未来の子供たちのための「パブリック・マネジメント・オブ・サイエンス&テクノロジー(P・MOST)」だと指摘。NEDOはB・MOSTとP・MOSTを実践する戦略組織として発展すべきと結ぶ。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

「ビジネスブログ」で儲かる会社になる
4492555366岡林 秀明

東洋経済新報社 2005-05-27
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おすすめ平均 star
starお勉強用の1冊
star広告・宣伝・マーケティング部門の人にはオススメ!
starタイムリーな本

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2005年に入って、ビジネス用途のブログが急増している。開設・更新が簡単で、情報が連鎖的に広まるブログは、うまく活用すれば、企業にとってまたとない広報宣伝・プロモーションツールとなり得る。本書は、ビジネスブログのメリットとして「応援団を作ることができる」「鮮度のいい情報を届けることができる」「ユーザーと企業、トップと社員、社員と社員の間にある“壁”をぶち壊すことができる」という3点を挙げ、具体例を示す。

ギャガ・コミュニケーションズは映画「オペラ座の怪人」の公開に当たって、集客ツールの1つとしてブログを採用した。「感動したシーン」「好きになったキャスト」などの「お題」を出したところ、トラックバックは合計770件に上り、「ブロガーたちを“口コミリーダー”にしたい」という目的を果たした。三越は、オンラインの会員制コミュニティーサロンでブログサービスを開始。流行のブーツの写真をブログに載せたところ、その日のうちに3人の顧客が「ブーツをよく見せてほしい」と来店したという。今日流した情報の反応が今日返ってくるというブログの即時性が発揮された好例だ。

「ストーリーを作る」「雑学的な知識を挟む」など、ブログ成功の10の秘訣も簡潔にまとめている。

■2005/09/19, 日経ビジネス, 89ページ

投資される女消費される女
4860631110酒井 光雄

あさ出版 2005-07-15
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star物足りない
starGood
star蝶々さんが推薦されていたので

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■著者に聞く 酒井光雄氏[ブレインゲイトCEO(最高経営責任者)] 企業にも“色気”が必要

「人に投資する」という言葉をマーケティングのプロが男女の恋愛関係に置き換え、解説した。恋愛指南書である一方、ビジネスにも通用する「現代版・気配りのすすめ」の性格も持つ。社会が成熟し、日本にも「大人のカップル文化」が根づき始めたと言う。

――相手を思いやる気持ちを持った男女が一緒に時間を過ごすことの有意義さを説いていますね。そのような男女が増えてきたのですか。

未婚、既婚に関係なく、カップルで行動する30~50代が増えています。レストランの景色はここ4~5年で様変わりしました。男女2人でテーブルを囲む風景が日常的に見られるようになっています。会話も弾んでいて、周囲が見ても楽しそうにしている。以前なら考えられなかったことです。

その男性の中には、かつては「休日は上司や同僚とゴルフ三昧」という生活だった人も大勢います。それが、異性と一緒に行動することで体験できる世界の存在に気づき始めたのです。

例えば、若い時は飲食店に「安くてボリュームがあること」を求めていた人が、「量より質」に変わり始めた時に、女性とレストランに行く。すると、「気の利いた空間で快適なサービスを受けながら食事をする」楽しさを知る。旅行や観劇にしても同じです。

比較的豊かな時代を送ってきた彼らは、ブランド物の魅力も知っています。ただ、ブランド物で所有欲は満たせるけれど、心はときめかない。そうなると、「誰とどういう時間を過ごすか」が大事になってくる。それに気づく人が増えて、「大人のカップル文化」が日本に根づき始めたのです。社会が成熟化してきたのだと思います。

――ただ、そのような境地の男女はまだ少数です。仕事中心の生活で、異性づき合いには不器用な男性もいます。

最近、未婚の女性を揶揄する風潮がありますが、実は30代、40代の未婚率は男性の方が高い。結婚の是非とは別に、「身近に素敵な男性がいない」と嘆く女性が大勢いるのは事実です。でも、同性から見て魅力的な男性は多い。女性をエスコートするような経験が少なく、場数を踏んでいない男性が多いために、こうしたギャップが起きるのだと思います。

この事情を女性に理解してもらい、相手が「投資する」男性に変わる手助けをしながら、自らも「投資される」女性になってほしい〓〓。こんな思いで本書を執筆しました。

では、恋愛における投資とは何か。いとおしい人に時間とお金と知恵、工夫を投じることだと思います。高価なプレゼントを買うだけではなく、記念日には心のこもった手紙を添えるといったことです。恋愛の情報に翻弄される人たちに、「こんな考え方もある」と伝えたかったのです。

――日本の経済的な存在感は低下しています。恋愛に価値を置く社会の成熟化を素直に喜んでよいのでしょうか。

個人がプライベートの充実を図るのは、仕事からの逃避とは違います。あくまでバランスの問題です。

「人に投資する」という言葉があるように、恋愛における「投資」の中身は、ビジネス界でも同じです。顧客が「ここまで時間と手間とお金をかけてくれたのか」と感激してくれる気配りができる人は、プライベートを犠牲にしていないし、自分以外の人に対して「生きたカネ」を使うことができます。

そういう人が多くいる組織は、業績も順調です。社内の危機意識は高いのだけれど、悲壮感のようなものがない。逆に、軟派とは違う一種の「色気」のようなものが社内に漂っています。今後、魅力的な会社を評価する価値軸として、「色気のある会社」というキーワードが出てくるかもしれません。

酒井 光雄(さかい・みつお)氏
1953年5月生まれ。学習院大学法学部卒業。88年にマーケティングおよびコンサルティング会社のブレインシーエスディー(現ブレインゲイト)を設立。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 125ページ

レクサス~完璧主義者たちがつくったプレミアムブランド
4492555404チェスター・ドーソン 鬼澤 忍

東洋経済新報社 2005-06-17
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おすすめ平均 star
starファクトを積み上げて冷静に成功を読み解く
star北米での凄さは判ったけど
starレクサスユーザーの証言

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「(米国では)今ではレクサスという言葉を誰もが知っている。これが辞書に載るのも時間の問題だろう。人類がつくり出した最も完全に近い自動車という定義で」(本文から)。トヨタ自動車が世界に誇る高級車ブランド「レクサス」。1989年、多くの日本人が知らぬ間に米国で産声を上げ、驚異的な速度で成長を遂げたこのブランドが、今年から正式に日本上陸を果たす。

本書は、米国「ビジネスウィーク」誌のニューヨーク本社編集者であり、過去には日本で10年間特派員を務めた著者が、レクサス誕生秘話と成功の理由を、関係者らへのインタビューから解き明かそうと試みたもの。「トヨタは極めて保守的でリスクを嫌う会社という評判を得ている」という認識から、著者の取材は始まる。しかし、プロジェクトに関わった技術者や米国トヨタのリーダーたちの胸の内には、熱く、極めて高い目標に向けての大志が燃え盛っていた。

設計の基本となるエンジンの選択に関して、生産直前まで社内で論争が繰り広げられた事実などを明らかにし、彼らが掲げる「完全への飽くなき追求」とは何かを米国人の視点から解説する。日本のジャーナリストによる著書『レクサス  トヨタの挑戦』(日本経済新聞社刊)と併せて読み解くのもよいだろう。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

リーダーシップ・コミュニケーション
4478360723ロバート・メイ アラン・エイカーソン 徳岡 晃一郎

ダイヤモンド社 2005-07-01
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おすすめ平均 star
star一読の価値あり

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組織のリーダーは自動的に「チーフ・コミュニケーション・オフィサー(CCO=最高コミュニケーション責任者)」となる。従業員から信頼され、変革の重要性を常に組織全体に意識させることができる人物こそが、優れたリーダーになり得る。多くのグローバル企業を顧客に持つコミュニケーションコンサルタントとして活動する著者らはそう語り、組織内でリーダーが行うコミュニケーションに不可欠な戦略や方法論を示していく。

まずは3つのテーマを課題に据える。「コミュニティーの開拓者」「組織のナビゲーター」「組織変革の仕掛け人」である。さらに各テーマを具体的な施策に落とし込んだ10のキーワードを示す。「意義構築者」「ストーリーテラー」「批評者」「学習推進者」などである。自社の従業員に対しては、既にほとんどの項目で示唆を与えていると反論するリーダーも多いだろう。

しかし、優先順位や周到な備え、あるいは“伝える技術”を駆使した戦略がそこにあるかと問われると、イエスと答え難い現状もあろう。著者らは従業員の本音やリーダーが犯しがちなミスの事例を子細に分析したうえで、ともすれば行き当たりばったりになりがちなコミュニケーションのあり方を「マニュアル」にして提示する。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

中国で「勝ち組」になる100の秘訣
4532312248卓 子旋

日本経済新聞社 2005-06
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おすすめ平均 star
star単なる中国進出のためのノウハウ本ではない。経営者にとっての指南書であり教科書であると

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中国ビジネスに関わる調査やコンサルティングで実績があり、現在野村総合研究所の上級コンサルタントを務めている著者は、今こそ対中事業戦略を再構築するタイミングだと言う。本書では、必勝の秘訣を「準備」「経営管理」「立地」「人材活用」に加え、対日感情の悪化に伴う「カントリーリスク」などの10のテーマに分類したうえで、合計100項目について具体的な施策を提示している。

「準備」の項目では、もはやブームや横並び意識で中国に進出する時代は去ったと言い、及び腰の投資ではなく、企業トップの積極的かつ哲学のある「コミットメント(目標達成の確約)」が不可欠だと指摘する。コミットメントを明確に示している欧米企業は、対市場、対政府といった局面で優位性を確立できていると言い、市場調査、事業調査、自己PRの方法などを事前に徹底研究せよとアドバイスする。

「人材活用」の項目では、主に労働力を求め現地採用を進めてきた日本企業は、販売や研究開発などでも現地登用を進めている欧米企業に比べて、ハンディを背負っていると指摘。元から日本語が話せる人材を探すといった偏重を改善し、現地採用者に対する教育研修制度の整備など、目に見える形で内外に貢献度を示せと訴える。

■2005/09/12, 日経ビジネス, 123ページ

会社成長の原理
4478374953髙畑 省一郎

ダイヤモンド社 2005-07-01
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star経営者必読の一冊

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企業が存続するには成長を続けることが必要であり、それには「成功の連続」が求められる。本書は企業経営に必要とされる成功の原理原則、すなわち経営技術の体系とセオリーを、実際の経営数字に基づいて解説する。

100年という時間を生き残れる会社組織は実に少ない。本書は、生き残った会社から成功のポイントを検証。企業の成長は、利益(Income)、財政の安定度(Balance)、キャッシュフロー(Cash-Flow)、シェア(Share)または特別な付加価値(Special added value)という4つの成長指標(IBCS)によって測られるべきだとする。米ゼネラル・エレクトリック(GE)、東レなど、長く存続する企業をIBCSの観点から分析し、これらの水準がどの程度であるべきかを考察する。

会社成長のための戦術、戦略も解説する。戦術としては、組織に内在する機会費用を削減する具体的な経営管理手法を提示。究極の手法として、仮想で民事再生法を申請し、あらゆる機会費用をあぶり出す方法を紹介する。戦略に関しては、本来的な利益をもたらす事業構造の構築が必要と指摘。具体的に、著者が21世紀前半に採用すべきと考える事業活動のキーワードを挙げ、どのような新事業に進出すべきかという着眼点を示す。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

日本力 アジアを引っぱる経済・欧米が憧れる文化
4062129825伊藤 洋一

講談社 2005-06-25
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おすすめ平均 star
starアジアに「名誉ある地位を占める」新しいパラダイムを示す書
star共感しました!
star悲観スパイラルの「修正」。

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バブル崩壊以後、国内には日本の経済・産業に対する悲観論が蔓延した。だが、ハイブリッド車をはじめとするエコカーでは日本車が世界のトップを走る。アニメなどのポップカルチャーも世界に普及している。日本企業の競争力・収益力は回復しており、世界の格付け機関による格付けも上昇傾向だ。日本を脅かす存在として、しばしば中国、韓国、インドの台頭が取り上げられる。だが、これらの国々を何度も訪問してきた著者は、その状況を冷静に分析すれば、日本や日本企業の強さは当面揺るがないと主張する。

例えば、中国は賃金の安さこそ大きな武器だが、法律や制度など市場経済の基本的体制はまだ整っていない。中国の輸出の大部分を担っているのが実は中国に進出した外国企業である。韓国経済ではサムスン電子の存在感ばかりが異常に大きい。全労働者に占める製造業労働者の割合は急減し、もはや製造業の国とは言えないほどだ。依然として階級制度が残るインドは貧困が蔓延し、一般国民の教育水準が低い。

著者は、客観的・相対的に立ち位置を評価した時、「日本力」は大きいことを認識すべきだと指摘。歴史、文化、現実の経済力に対して、過度な悲観論を抱き、本来あるべき成長の道を踏み誤ってはならないと呼びかける。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

落ちこぼれタケダを変える
4532312302武田 国男

日本経済新聞社 2005-06
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star武田における「くすりの哲学:規」に感銘
star落ちこぼれ?本当に?
star笑っている場合か、タケダ。

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武田薬品工業会長の半生記。日本経済新聞で2004年11月に連載した「私の履歴書」を単行本化した。

著者は創業家の3人兄弟の三男坊。長男がすべて、という古い家柄で「どうせ期待されていない」というひがみ根性がしみついたという。学校では全く勉強しない落ちこぼれ。武田薬品に入社後も食品事業部など傍流をたらい回しにされる“窓際人生”だったと振り返る。だが、1980年に副社長の長兄が急逝し運命が大きく変わった。

93年6月、社長に就任。スリムで強靭な会社に生まれ変わるための構造改革を進めた。本業の医薬品事業に回帰し、人員削減を進め、実力主義の人事制度を導入した。社員やOBからは批判が相次ぎ、自宅には匿名の手紙が何通も届いた。社内では「独裁者」と呼ばれ、雑誌には「バカ殿ご乱心」と書かれたが、信念は曲げなかった。

ガン闘病なども克服し、2003年に最年少取締役だった長谷川閑史氏に社長をバトンタッチするまで、10年間にわたって改革を推進。この間、武田薬品は1兆円企業に仲間入りし、海外での売り上げが4割に達するグローバル企業に変身した。

巻末には「武田國男語録」を収録。世襲、ガバナンス、人材育成などについての著者の考えを紹介している。

■2005/09/05, 日経ビジネス, 91ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年8月22日~8月29日

シルクロードの滑走路
4163240500黒木 亮

文藝春秋 2005-06-10
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star商社はリスクを取ってなんぼ
starやはりおもしろい
star白熱する交渉戦

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■著者に聞く 黒木亮氏[作家] 常識が通用しない国々

国際金融の裏事情に詳しい著者が、中央アジアにおける航空機ビジネスを小説にした。日本ではほとんど馴染みのない国々だが、そこでのビジネスはまさに世界の縮図だ。ロンドン在住の著者は、海外から見た日本をテーマにしていきたいと語る。

――国際協調融資を描いた『トップ・レフト』や『小説エンロン』など、得意とされる金融小説とは随分違ったテーマを設定しましたね。

そう思われるかもしれませんが、実は私が作家としてデビューする前から書きたかったテーマなんです。1997年に原稿用紙100枚ほどの短編を書いて「文学界」という雑誌に応募しました。しかし、当時は全く見向きもされませんでした。その後に書いた『トップ・レフト』や『小説エンロン』がおかげさまで話題を呼び、この中央アジアを舞台にした航空機ファイナンスの話を雑誌の連載にしないかと、出版社からお話を頂きました。

中央アジアを舞台にした本はほとんどないし、私が商社マンとして経験した中でも最も強烈な印象を受けたので、何としても活字にしたかった。中央アジアには多くのアジア人、欧州人が住み、旧ソ連時代に強制移住させられた人たちも多くいます。人種も考え方も信じられないくらい多様性に富んでいます。書いているうちにどんどん膨れて原稿用紙640枚になりました。

中央アジアの社会は日本人や欧米の先進国では考えられない常識がまかり通っています。この本でも紹介しましたが、先進国の企業人なら当たり前の「上司の言うことを聞く」ことをしません。下は下で自分の判断で勝手に行動する。そのうえ自己保身には極めて敏感で、自分の責任が問われるようなことは極力避けようとする。契約書になかなか自分のサインを書こうとしないんですよ。これには商社時代、私自身、何度も泣かされました。

――小説の中の登場人物では紅一点であるキルギスタンの運輸省顧問は、自分を捨ててまで国の発展に尽くそうとします。奇特な人もいるんですね。

もちろん、全員が自己保身だけ考えているわけではありません。民間ベースでは利益や企業の成長に極めて敏感だし、交渉術といったら、さすがにシルクロード時代から鍛え上げられているだけあって、日本人にはなかなか真似できません。しかし、国や役所は全く別の世界です。長年の共産主義が染み込んでしまっていて、金利や減価償却という資本主義世界の基本中の基本も理解してもらえない。

ホテルなどの経営でも、旧ソ連時代は建物などの設備は国から与えられているので、ホテルの経営者は毎日の日銭を稼ぐことだけに集中すればよかった。そうした中では、航空機のリース料に占める金利の割合は全体の80%だということがそもそも理解されません。「おまえたちいくら儲けるつもりなんだ」と何度も怒鳴られた経験があります。

――会話の中身が、とても詳細に描かれています。実体験だと思いますが、記憶力がいいですね。

会話は小説の最も大切な要素だと思うので、そのリアリティーさにはこだわっています。実は、90年代に私がアジアに駐在していた時から将来は小説を書こうと考え、準備をしていました。それ以来、私の電話はほとんど録音してあります。その資産が今回の小説ではとても役に立ちました。

かつて当時の上司から「おまえ、あのこと覚えているか。忘れちゃったよな」と聞かれ、後で教えてあげてびっくりされたこともあります。もっとも、録音のことを知った知人の女性からは、「そんなことしてたの。信じられない」と呆れられてしまいましたが。 黒木 亮(くろき・りょう)氏 1957年北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士、大手都市銀行、証券会社、総合商社を経て2003年に独立。金融関連の著作が多い。

■2005/08/29, 日経ビジネス, 97ページ

ケーススタディ住友スリーエム―イノベーションを生む技術経営
4822222365日本に根付くグローバル企業研究会

日経BP社 2005-05
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starMBA、MOT大学院の教材になりうる、幅広い角度からの分析

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「日本に根付くグローバル企業研究会」は、グローバル企業に関心を抱く経営者、研究者、ジャーナリスト及び政策経験者らによって昨年発足した。グローバル企業がわが国に定着して所得と雇用を増やすこと、それは日本経済の発展に、もはや欠かせない条件となっている。研究の第1弾に選ばれた企業が、住友スリーエムだ。

本書では研究会のメンバーと同社のトップをはじめとするキーマンらが、様々な角度から組織の優位性と今後の戦略について論じる。また、液晶用フィルムや「ポスト・イット」など、卓越した技術力とアイデアの融合によって、一大市場を築き上げた製品を取り上げて事例研究を示す。

まずは米国ミネソタ州に本社を置くスリーエム(3M)の現地取材などを通じて、技術経営における優位性を明らかにしていく。一方、住友スリーエムのポール・ロッソ社長には、日本市場への定着のカギについて聞く。ある幹部はその点について、「米国流でもなく、日本流でもなく、3M流カルチャーの創造が成功をもたらす」と言及する。今や世界中のオフィスで見かける「のり付きしおり」の代名詞ともなった「ポスト・イット」。研究者の熱意と失敗の経験が、世界商品を生み出した開発秘話などは興味深い。

■2005/08/29, 日経ビジネス, 84ページ

失礼ながら、その売り方ではモノは売れません
475050503X林 文子

亜紀書房 2005-07-01
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star行間を読まざるを得ないこのつくり。
star一歩間違えばゴミ箱行き
star仕事に疲れたときにもお勧め

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著者は、20年以上の長きにわたり車販売の世界に身を置き、トップセールスの道を歩み続けてきた。ホンダ、BMW、フォルクスワーゲングループと転身する中、マネジメントの分野でも才能を発揮。支店マネジャーなどを経て、2003年にはビー・エム・ダブリュー東京の代表取締役に就任。そして今年5月、ダイエー代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任し、世間を驚かせた。

本書では、販売一筋に歩んできた自らの道を思い起こしながら、すべての商売の基本となる「モノを売る」ことについての哲学や独自の方法論を説いたもの。販売マニュアルではなく、あらゆる仕事に通じる顧客への愛情や、同僚や部下に注ぐべき信頼の必要性などについて力強く助言する。

マーケティングだけではモノは売れないと言う。 マーケティングでつかめる大局的な潮流と、一つひとつ異なる顔を持つ顧客のニーズは必ずしも一致しない。個別の商品の売れる売れないは「神のみぞ知る」だと言い、顧客の生活や思いを自らの目と心で確認していく労を惜しむなと助言する。また、長く男性社会で働いてきた経験から、台頭する女性たちに「細やかであることは、大事に目がいかないことでもある」など、厳しくも温かいエールを送る。

■2005/08/29, 日経ビジネス, 84ページ

誰も書かなかった厚生省
4794214197水野 肇

草思社 2005-06
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わが国の医療が抱える病巣に鋭く切り込み、『誰も書かなかった日本医師会』(草思社)などの問題作を世に問うてきた著者が、本書では「医療行政」をテーマに据えその実像に迫る。

「厚生労働省」としないのは、労働関連行政には言及していないため。戦後の厚生省が、世界に比類なき日本の高度成長に重要な役割を果たしてきた事実は著者も認めるところだ。しかし今日はといえば、医療費増、薬害、医療ミス、高齢化社会への無策など、問題点が山積している。著者はまず、医療を含む社会保障政策を経済政策と同じ土俵で論じる政治家や、「小さな政府」の名の下に国民に負担を押しつける小泉純一郎内閣のやり方に対して不信感をあらわにする。

戦後の厚生行政で著者が最も国民のプラスになったと考えるのは、1961(昭和36)年から実施された「国民皆年金と国民皆保険」だ。経済の論理をかさに、健康保険不要論者が幅を利かせる今の状況と比較し、「弱肉強食の米国型社会を金科玉条としてよいのか」と改革の見直しを迫る。HIV(エイズウイルス)事件に象徴される薬害事件と医師の責任、介護保険制度の隙間に潜む落とし穴、社会保険庁という組織の欠陥などについても、歴史的経緯を踏まえながら丹念に論じていく。

■2005/08/29, 日経ビジネス, 84ページ

経済の世界勢力図
4163669302榊原 英資

文藝春秋 2005-05-27
売り上げランキング : 7,094

おすすめ平均 star
star教科書的にアジア経済情勢を解説

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■著者に聞く 榊原英資氏[慶応義塾大学教授] ドル暴落は起きる

ドル安、原油高は、米国が覇権を握る時代から転換していく兆候だ。それは近代資本主義が終わり、アジア中心の経済体制へのパラダイムシフトとも言える。日本は米国中心主義から脱却していく必要があると言う。

――現在、大きな構造転換が起きている、という認識を持たれています。

米国が超大国として政治や経済の覇権を握るパックスアメリカーナに陰りが見えてきました。イラク戦争で強い米国を世界に示したにもかかわらず、ドルはユーロに対して下落を続けました。米国が今後も唯一のスーパーパワーであるという確信があれば、基軸通貨であるドルの下落が続くことは考えにくい。マーケットでは、米国の経済的地位は今後、相対的に低下していくと見ているのです。

米国に代わって台頭していくのがアジアです。米ゴールドマン・サックスのいわゆる「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)レポート」では、2050年の世界のGDP(国内総生産)は1位中国、3位インドになるといいます。この半世紀で最も成長するのは中国やインドといったアジアの国々です。

日本では、中国やインドというとまだ発展途上の国と見る傾向が強い。しかし、19世紀初頭までは中国やインドはGDPが突出し、アジアは世界経済の中心地でした。1820年頃から西欧が台頭し、アジアの没落が始まりました。現在は、アジアが再び世界経済の中心になるべく、本格的に動き始めた時期なのです。一方で、19世紀初頭に欧米の台頭によって形成された近代資本主義が終焉を迎えようとしていると言えます。そのような認識を持って、日本は今後、行動していく必要があります。

――どのような行動ポジションを取るべきなのでしょうか。

英国のように振る舞うべきでしょう。英国はEU(欧州連合)の一員でありながら、米国に最も近い立場を取ります。日本もアジアの共同体の一員でありながら、メンバーの中では米国と最も近い関係を築いていくのです。

経済に限らず安全保障の面から見ても、日本にとって米国は無視できない存在です。米国に安全保障を依存しない中国やインドと、依存する日本が対米政策で同じ行動を取ることはできません。だからといって、これまでのように何でも米国を中心にして行動する立場は、変えていくべきでしょう。

アジア諸国との関係では、領土問題や歴史認識が話題になります。それは交渉で解決できるものであり、解決しなくてはなりません。偏狭なナショナリズムをはびこらせ、交渉を困難にすることは避けるべきです。

――新しい経済勢力図の中で通貨は今後、どのように動くのでしょう。

いずれドルの暴落は起きるでしょう。それが数年後になるのか20年後、もっと先になるのかは分かりません。経済の中心地がアジアに移り変われば、当然起こることです。ドルに代わって力を持つのがアジア共通通貨です。アジアの経済圏が拡大していけば、共通通貨の必要性は確実に増していく。

アジア共通通貨を形成していく中心になるのは人民元です。この7月の改革で、しばらくは大幅な切り上げは行われず、管理フロート制を維持していくと見られます。9月の胡錦濤国家主席の米国訪問時に、変動幅を0.3%から、例えば0.5%に広げることはあるかもしれません。騒がれているような、数十%の大幅な切り上げは、中国の実情を考えると難しいでしょう。

小幅な切り上げを続ければ投機を招き、市場を混乱させるリスクがあります。しかし、元の弾力化は長期的に成長を続ける原動力となるでしょう。

榊原英資(さかきばら・えいすけ)氏
1941年生まれ。65年東京大学大学院経済学研究科修了、同年大蔵省(現財務省)入省、99年勇退。現在、慶応義塾大学教授。

■2005/08/22, 日経ビジネス, 85ページ

真相 ライブドアvsフジ 日本を揺るがせた70日
4532312388日本経済新聞社

日本経済新聞社 2005-06-23
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おすすめ平均 star
star「真実は小説より奇なり」とは、まさにこのこと
starまずまず
starニッポン放送買収騒動を上手にまとめた本

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日本中が騒然となったライフドアとフジテレビジョンによるニッポン放送株の買収戦。その裏では、何が起きていたのか。事件の真相に迫る。

2003年11月にポータル(玄関)サイトを開設したライブドアは先行大手との差を縮めるためメディア買収を志した。新聞社、出版社の買収が失敗する中、ニッポン放送とフジテレビの資本関係のねじれに注目するようになる。

そんな時期にある人物から、ニッポン放送株買い取りを持ちかけられた。関係者は口を閉ざすが、その人物とは村上世彰M&Aコンサルティング社長だという声がある。ライブドアはその提案に乗り、立会外取引でニッポン放送株を大量取得した。政財界からの批判、法廷闘争、ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)の登場などで、経営陣に動揺が走る中、財務担当役員は強気一辺倒の主張で社内を鼓舞し、結果、ライブドアは巨額の資金と資本・業務提携を手にした。堀江貴文社長の個人商店的イメージが強い同社だが、実際には取締役5人による合議制で運営されている実態が明らかになる。

黒子として動いた投資銀行や投資ファンドなどの動きも紹介。取材のこぼれ話や識者へのインタビューなども掲載し、多面的に事件を追う。

■2005/08/22, 日経ビジネス, 83ページ

知らなかったでは済まない改正独禁法~談合、不当表示、下請けいじめが会社をダメにする
4492270396諏訪園 貞明

東洋経済新報社 2005-06-24
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おすすめ平均 star
star独禁法って怖いってわかった

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ここ数年、下請法、景品表示法、独占禁止法などの法律改正が相次いだ。本書は公正取引委員会の担当官が、法律改正の概要と、それによって生じるビジネスリスクを詳細に解説する。

独禁法改正によって、カルテル・入札談合行為を取り巻く情勢は格段に厳しいものとなった。刑事罰が強化され、罰金額は企業犯罪の中でも最高額の5億円に引き上げられた。カルテル・入札談合を行う企業は巨額の財務リスク、法的措置を受けることに伴う国際信用リスク、競争力低下のリスクなどにさらされることになったのである。

独禁法同様、景品表示法、下請法も厳格化され、事業撤退の憂き目に遭ったり、体力が蝕まれる企業も出てきた。今や社員は社内の違法行為・不正行為をかばったり、「見て見ぬふり」していれば、失業や更迭のリスクが生じる。会社のためにも、自分のためにも、事実をきちんと報告することが最低限の常識であると主張する。

一方、本書は新規ビジネスを成功させる方法としての独禁法活用にも触れる。「取引拒絶」「コスト割れ販売」「不可欠施設の利用妨害」など、新規参入を排除しようとする行為に対する独禁法上の規制を明確に認識しておくことで、事業拡大に大きな差が出ることを指摘している。

■2005/08/22, 日経ビジネス, 83ページ

会社はだれのものか
4582832709岩井 克人

平凡社 2005-06-25
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おすすめ平均 star
star資本主義は果たして社会を幸せにできるか?
star会社は株主のものという原則を貫く大切さ
star大いにインパクトを受けた

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2003年に出版した『会社はこれからどうなるのか』の続編。「会社とは何か」という、より基本的な問いから出発して、「会社はだれのものか」を詳しく解説していく。

会社とは「法人企業」の別名である。法人とは「法律上、ヒトとして扱われているモノ」のこと。会社はヒトとして会社資産を所有し、それを自由に管理し、そこから生み出される利益を受け取る権利を持っている。一方、株主は会社をモノとして持ち、会社がヒトとして持っている権利、具体的には株主総会の議決権や配当への請求権などを所有している。

会社は、2階部分で株主が会社をモノとして所有し、1階部分ではその株主に所有されている会社がヒトとして会社資産を所有する2階建て構造になっている。「会社は株主のものでしかない」という株主主権論は、2階部分のみしか見ていないことになる。2階部分を強調するのが米国型の会社のあり方で、1階部分を強調するのが日本型の会社のあり方。その時々の状況に応じて選び取っていく選択肢の1つと理解すべきだと主張する。

後半は著者と小林陽太郎・富士ゼロックス会長、コピーライターの糸井重里氏らとの対談を収録。会社の未来を考察している。

■2005/08/22, 日経ビジネス, 83ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年7月25日~8月8日

“教祖”降臨―楽天・三木谷浩史の真実
4822222829児玉 博

日経BP社 2005-07
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おすすめ平均 star
starタイムリーな本
star確かに読ませる内容でした
star「三木谷がロールモデルになりうる」なんて大ウソ

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幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来
4822244547児玉 博

日経BP社 2005-06-03
売り上げランキング : 9,914

おすすめ平均 star
star筆者の裏切り行為が気になるけどいい本です
star読んでください。
star実にロック!

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■著者に聞く 児玉博氏[ジャーナリスト] 起業家は平凡を目指す

ソフトバンクの孫正義社長と楽天の三木谷浩史社長。プロ野球の参入問題で注目を集めた2人のIT(情報技術)経営者の半生を綴った。「秩序の破壊者」と「制度の落とし子」――。両者の相違を明快に描く。

――現在、経営者として最も注目を浴びる2人の半生を描いています。

在日韓国人3世として生を受け、佐賀県鳥栖市の「無番地」から成り上がった孫社長と、ベンチャー起業家でありながら、どこかエスタブリッシュメントの雰囲気を漂わせる三木谷社長。この2人の生き方はコインの裏表のように対照的です。

「失われた10年」と言われた1990年代、孫社長は古い秩序や規制を破壊してきました。メーンバンクが社債管理会社を務めるという金融業界の慣習を打破しただけでなく、新興市場ナスダック・ジャパン(現・大証ヘラクレス)の創設を発表し、ベンチャー企業の資金調達に新しい道を開きました。

ライブドアによるニッポン放送の敵対的買収で広く知られるようになったM&A(企業の合併・買収)にしても、10年近く前に豪州出身のメディア王、ルパート・マードック氏と組んでテレビ朝日の買収を仕掛けています。希代の天才経営者であると同時に、日本的な資本主義の「ルールブレーカー」だったと言えるでしょう。

孫社長の半生は波瀾万丈であり、強い物語性があります。だが、それゆえに、孫社長の生き方をほかの人が真似することはできない。「経営者」という以前に、「革命家」である彼の足跡は、後に続く人々のロールモデルにはなり得ない。

――逆に、三木谷社長はロールモデルになり得る、と。

父親が著名な経済学者というのは特殊ですが、地方の公立高校を卒業し、1浪後に一橋大学入学、そして日本興業銀行に入行する――という彼のキャリアは、「1億総中流」と言われた日本人の常識から外れたものではない。

また、三木谷社長が旧日本興業銀行を辞め、楽天を創業した背景には、90年代の構造改革や金融改革、IT(情報技術)革命がありました。三木谷社長やその後に続く起業家は、制度改革の落とし子。ある意味では、孫社長が破壊した秩序の後を歩んでいる。

もちろん、三木谷社長も孫社長に劣らぬ経営者です。ただ、孫社長に比べれば、三木谷社長の人生の方が平凡なだけに実現可能に見える。雑誌「小学六年生」が三木谷社長を特集したのはその象徴ではないでしょうか。起業家を目指す子供たちのモデルは破壊者、孫社長ではなく、三木谷社長なのです。孫社長の役回りには皮肉なものを感じますね。

――2人の後には、ライブドアの堀江貴文社長ら次の経営者が控えます。

ここにきて、秩序の破壊者だった孫社長の立ち位置は変化している気がします。プロ野球の参入問題でも、初めに行動を起こしたのはライブドアの堀江社長でした。孫社長のソフトバンクはこれまでと違って、堀江社長が暴れ回った後に福岡ダイエーホークスのスポンサーに名乗りを上げています。

ニッポン放送問題にしても、破壊者の役回りを演じたのは、堀江社長や、M&Aコンサルティングの村上世彰代表でした。彼らの目には、孫社長が破壊すべき存在に映っているようにさえ思えます。堀江社長や村上代表ら、後に続く起業家については、次の連載で描いていくつもりです。

児玉博(こだま・ひろし)氏
1959年大分県生まれ。早稲田大学卒業後、ジャーナリズムの世界に。旧大蔵省幹部の接待汚職でスクープを飛ばした。経済事件の取材に定評がある。

■2005/08/08, 日経ビジネス, 75ページ

伊勢丹な人々
4532165121川島 蓉子

日本経済新聞社 2005-05-14
売り上げランキング : 6,808

おすすめ平均 star
star内容が浅いような
star伊勢丹が好きな人、バイヤーには必須の1冊
star調査不足で、伊勢丹思い出話みたい。

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百貨店業界に逆風が吹き荒れ、そごうの破綻や西武百貨店の低迷のニュースが駆け巡る中、飄々と地盤を固めていった老舗デパートがある。2003年度の百貨店店舗別売上高ランキングで、東京・新宿の伊勢丹が三越本店に次ぐ2位に浮上。西武百貨店池袋店を抜いた。本書は伊藤忠ファッションシステムで消費動向の調査研究を行う著者が、伊勢丹の強みを“人”という視点から解読しようと試みたもの。

伊勢丹の革新的な戦略を語るうえで欠かせない男がいる。1990年代同店のバイヤーとして活動し、福助の社長として改革に腕を振るってきた藤巻幸夫氏だ。安定した高級ブランドテナントの誘致が主流の時代にあって、無名デザイナーたちの商品群で売り場を埋め尽くした「解放区」や、今日のメンズファッションの隆盛をいち早く見越した「メンズ館」などの仕掛け人として業界に一石を投じてきた。

著者は伊勢丹の強みを、そうした「濃い人間たちの強い思いの結集」だと見る。同店の社員には「55%攻撃論」という共通語が存在していると言う。新規のアイデアに50%の自信があれば上司に相談し、55%だと確信したら自分の判断で動けというのだ。成功事例とともに、多くの企業に当てはまるであろう勝利の法則を探り出す。

■2005/08/08, 日経ビジネス, 73ページ

世界の経営思想家たち―ピーター・F・ドラッカーほか三十余人
4860291247小林 薫

清流出版 2005-06
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世界的に名を馳せた経営思想家、著名コンサルタントらが残した金言や箴言に、産能大学名誉教授であり国際経営評論家である著者が今日的な視点から解説を加えた書。過去の経営論には不変性を有するものもあれば、もはや古典的価値しか認められないものもある。膨大な論文や著作の一つひとつを検証し直す作業は困難だが、長年国際経営の第一線に関わった著者というフィルターを通した本書は、望むべき論説集に近いと言えよう。

現代の経営、特にグローバルマネジメントのカギとなるテーマを各章に立てて、それぞれに対し計30人以上の思想家の見解を示す。「マネジメントとマネジャー」の章では、個人的にも親交のある経営思想家、ピーター・F・ドラッカー博士の持論を端的にまとめて示す。特に著者自身が一番気に入っているという「強みの上におのれを築け」という言葉を引用し、日本人が真摯に受け止めるべき教訓について解説する。

「変革と戦略」の章では、ハーバード大学教授のマイケル・E・ポーター氏が世に示した「競争優位の戦略」を分かりやすく解説。最終章では「日本のマネジメントの戦後50年――わが私説裏面史」と題して、自身が影響を受けた思想家らとの交流秘話などを披露する。

■2005/08/08, 日経ビジネス, 73ページ

日本道路公団―借金30兆円の真相
4140810203NHK報道局「道路公団」取材班

日本放送出版協会 2005-05
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おすすめ平均 star
star日本の高速道路行政の問題点を明らかにした一冊

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郵政民営化を巡る喧騒にかき消されつつある日本道路公団民営化問題だが、何も解決していないどころか、今後長きにわたって日本社会を苦しめる病巣であるという事実が、日を追うごとに明らかになっている。国家予算のおよそ3分の1に相当する30兆円の借金をどうするのか、それ1つ取っても有効な打開策は提示されていない。

天下り、談合、露骨な票集めに象徴される政官財の癒着や不透明な会計操作など、国民の目を欺きながら肥大化した悪の構造はいかにして生まれ、増殖を遂げてきたかを、NHK取材班が独自の調査でまとめた。昨年8月に放映され反響を呼んだNHKスペシャル「調査報告  日本道路公団~借金30兆円・膨張の軌跡~」の内容に新たな取材を加え、道路問題の闇に迫る。

昭和30年代以降、「国会議員が自分の関係する地域に高速道路を敷くための法律が毎年成立していった」。それに歯止めをかけるべく総延長距離を7600kmに抑える法改正が成されたのだが、それすら「一般有料道路はこれに含まない」という“裏技”によって有名無実化していく。同時に不採算路線に対する税金投入も、歯止めを失っていく。そうした過程を膨大な内部資料や当時の関係者らへの取材を通じて整理する。

■2005/08/08, 日経ビジネス, 73ページ

わが闘争―不良青年は世界を目指す
4872575660角川 春樹

イースト・プレス 2005-06
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おすすめ平均 star
star自慢かよ
star角川春樹 この凄い人
star愛と激励の一冊

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角川書店元社長による半生記。創業者である父・角川源義や幼時に生き別れた生母との確執、麻薬取締法違反で経験した刑務所生活などを赤裸々に綴る。弟の角川歴彦・角川ホールディングス会長への敵意を剥き出しにし、自らが体験してきたという超常現象を詳細に記すなど特異な1冊だが、出版事業をいかに変革してきたかを振り返るくだりは興味深い。

かつて、角川書店は作家に印税が支払えないほど経営状態が悪化していた。著者は活字と映像と音楽をリンクする「メディアミックス路線」を進め、ベストセラーを連発する。評価が安定した名作、古典向けとして定着していた文庫本に映画作品の原作などを取り入れ、派手なカバーをつけて、「読み捨て」にしたのも著者のアイデア。映画の宣伝にはテレビコマーシャルを活用し、その宣伝コピーを文庫本の帯にも使うなどして認知度を高めた。

麻薬事件での逮捕後、角川書店社長を解任されたが、1995年には角川春樹事務所を設立、再び出版事業を始めた。現在、他社から買い取った雑誌「ポップティーン」でティーンズ市場のトップを狙う。新創刊した少し上の世代向けの雑誌なども含め10代後半~30歳ぐらいの女性読者を獲得したいと経営戦略を披露している。

■2005/08/01, 日経ビジネス, 89ページ

大事なことだけを考える技術
4478760799鷲田 小彌太

ダイヤモンド社 2005-06-10
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star技術は伝わらない
starせっかく買ったのに・・・。

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人生で起こる様々な現象の中で、本当に「大事なこと」とは何か。本書は、大事なことだけを考えられれば、思考と決断をスピードアップできるとして、大事なことを発見し、大事なこととそうでないことを判別する技術を解説する。  まず、著者は自分が大事だと思うことを紙に書き出すことを勧める。1枚に1つずつ書き、ふるいにかけて本当に大事なものを見極める。それに順番をつける。大事なことの順位は不動ではない。勤める会社がうまくいかなくなる、家族が病気になる、国の存立が危うくなるような戦争が勃発する〓〓など、事情によってその順序も変わる。ある時大事と思えたことも、いずれ色あせる。「朝令暮改」のようになっても、その場その場で、一番いいと思ったものに素直に対面すればいい。率直に柔軟に生きてこそ、大事なものを失わないで済むのだと指摘する。  大事なことは完成品としてどこかにあるわけではない。未知で未見の物、人、事を求める意思を持ってこそ発見できるものである。その大事な願望を実現するためには、目前に立ちふさがる問題に対処し、解決することが必要。完全な解決を求めないこと、目の前のことを淡々と片づけていくことなど、具体的な思考法や行動法を解説する。

■2005/08/01, 日経ビジネス, 89ページ

CSRイニシアチブ―CSR経営理念・行動憲章・行動基準の推奨モデル
4542701565日本経営倫理学会・CSRイニシアチブ委員会 馬越 恵美子 昆 政彦

日本規格協会 2005-06
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日本企業の間で、CSR(企業の社会的責任)への関心が急速に高まっている。日本経営倫理学会は昨春、産学協同のCSR研究部会を設け、研究活動を行ってきた。今年2月にはCSRイニシアチブ委員会を設立。委員会の活動の一環として、CSRのポイントを紹介する本書をまとめた。

本書は企業の主要ステークホルダー(利害関係者)として、消費者、取引先、従業員、株主、地域社会・地球環境、競争会社、マスメディア、行政、NPO(非営利組織)・NGO(非政府組織)、国際社会の10者を挙げる。CSRに含まれる責任を法的、経済的、倫理的、社会貢献的責任の4つと位置づけ、ステークホルダーごとの責任に基づく行動憲章を制定する。

さらに、このCSR行動憲章を計250項目の行動基準に落とし込む。例えば、消費者に対する経済的責任として「適性機能」「適正価格」「合理的で経済的な価値の提供」を、社会貢献的責任として「社会貢献の啓発活動」「バリアフリー社会の構築支援」「寄付金協賛型活動」などを挙げ、具体的な内容を例示する。

企業規模などに応じて、対象とするステークホルダー、責任のレベルを絞って活用することも可能。企業がCSRを進めていくうえで羅針盤となる。

■2005/08/01, 日経ビジネス, 89ページ

市町村崩壊 破壊と再生のシナリオ
4902835045穂坂 邦夫

スパイス 2005-05-28
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star再生へのシナリオは住民主体

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■著者に聞く穂坂邦夫氏[前埼玉県志木市長] 市長と議会の両方は不要

近未来小説風に、市町村の崩壊と再生までのシナリオを綴った。小学校の少人数学級や一般市民への業務委託など、改革を進めたアイデア市長らしい発想。本書には地方自治体が今、なすべきことが記されている。

――改革派市長として鳴らしながら、なぜ1期4年でやめてしまったのですか。

最初から4年と決め、自分にも言い聞かせてきました。4年間で基本的な方向性は出せました。埼玉県の職員に始まり、志木市議や埼玉県議など39年間地方自治の世界にいました。直接かかわるのはもういい。NPO(非営利組織)の立場でより多くの地方議員や職員に情報提供した方が、改革を加速させられると判断しました。

志木市では議会、市役所、市民それぞれに特別委員会を設けるなど意見を出してもらい、927の事業すべてを見直しました。スクラップ・アンド・ビルドを進めた結果、12億7000万円を削減できました。市民から「毎月50万~60万円の支出は無駄」と指摘のあった公用車は廃止し、花火大会も5年に1回に減らしました。一方、小学校の25人学級実現にかかった費用は5000万円です。

役所は非営利的独占サービス企業体です。志木市程度の規模の自治体の経営はさほど難しくありません。行政は職員の雇用を考えるべきですが、公務員を食わせるために存在しているわけではありません。職員定数を減らすことで人件費を削減しましたが、職員には「皆を守るためだ」と言って説得しました。破綻してしまっては、退職金すら払えなくなりますから。

――収入役や教育委員会の廃止という改革案は、議会で否決されました。

星取表をつけるなら、6勝24敗でした。多くが否決されたのは根回しをしなかったからです。根回しをするとどちらの顔も立てなければならず、足して2や3で割ることになります。修繕ならこれでいいのですが、改革では成果がゼロになってしまいます。抜本改革をするなら原案に対して「イエス」か「ノー」しかありません。

収入役の廃止は、議会では否決されましたが、国が地方制度調査会で見直しの方向で検討することになるなど、成果もあります。市役所を変えるには、民間から人を採用するぐらいでは効果が出ません。民間出身者と純粋な公務員の数が逆転してようやく変わります。だから市民を市役所にドンドン入れました。市役所の受付は今、時給770円という有償ボランティアです。広報誌の作成もNPOに頼んでいます。彼らとはパートナーシップ協定を結び、業務を委託するだけでなく、市制への提案権も持たせています。

――本書の描く近未来は、自治体が破綻する様が描かれています。ここでは市長も議員も無給です。

グローバリゼーションが進んでいるのに、地方の行政構造だけは60年前と同じままです。ここにメスを入れないとダメだと思いました。首長と議会からなる2元制は、議会が首長を牽制し、監視するという意味では理想的です。しかし、果たして小さな市町村にも必要なのか。例えて言うなら、今の自治体は泥棒に入られないようガードマンを雇い、番犬を飼い、鉄条網を張り巡らした結果、お金がなくて食うに困っているような状況です。これでは本末転倒でしょう。

住民が無関心なのは、行政主導が当たり前で、官尊民卑の発想が根づいているからです。地方自治を戦い取っていないからですが、住民の関心を引きつけるには情報公開が一番です。議会を昼間開くという発想もどうでしょうか。志木市でもその点は改められず、反省しています。

穂坂 邦夫(ほさか・くにお)氏
1941年生まれ。埼玉大学卒。埼玉県議会議員などを経て、2001年から2005年6月まで志木市長。退任後、NPO「地方自立政策研究所」設立。

■2005/07/25, 日経ビジネス, 95ページ

内部告発の研究
4534039042六角 弘

日本実業出版社 2005-04-28
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談合、癒着、粉飾決算、商品の欠陥隠しなど、企業や官公庁による不正や犯罪の多くは「内部告発」によって暴かれてきた。「週刊文春」などの記者として企業犯罪の実相を追い続けてきた著者が出入りする新聞社や雑誌編集部には、日々そうした告発文や怪文書が届くと言う。近年の傾向として、信憑性の高い告発が増えていると言い、実例を示しながら解説を加えていく。

まだ記憶に新しいNHK元プロデューサーによる8000万円横領事件も、内部告発によって明るみになった。批判は受信料不払い者の急増にまで発展してNHKの体制の根幹を揺さぶる結果となった。「組織の中では何の力もない一社員の告発によって、大企業であってもいつ足をすくわれるか分からない、そんな時代に突入している」と著者は警告する。

8年前の防衛庁による「防衛装備品納入代金の巨額水増し請求事件」については、マスコミ各社に配られた告発対象者の実名入り怪文書をそのまま掲載している。間近で悪行を見続けた者にしか表現し得ない細部にわたっての記述が生々しい。さらに雪印乳業、日本ハムの牛肉偽装事件や三菱自動車のリコール隠し、武富士の武井保雄元会長の逮捕に発展した盗聴事件などの顛末を“告発”を軸に追っていく。

■2005/07/25, 日経ビジネス, 93ページ

日本経営品質賞とは何か (2005年度版)
4820118080社会経済生産性本部

生産性出版 2005-04
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本書を編集・発行する財団法人社会経済生産性本部が主体となり、1995年に創設されたのが「日本経営品質賞」である。「変化する経営環境に対応し、率先した経営革新によって顧客本意・競争優位の経営を実現した企業」を卓越した経営モデルとして表彰してきた。第1回はNEC半導体事業グループが受賞、以後アサヒビール、リコー、千葉ゼロックス(中小企業部門)などが受賞している。本書は、基準となる「2005年度版アセスメント基準書」に基づいて、今日の企業が目指すべき経営に至る道筋を示すもの。

アセスメント基準の柱としてまず提示されるのは、顧客本位、独自能力、社員重視、社会との調和の4要素だ。それらを具体的な行動に移す時の「経営において重視する考え方」としては、顧客から見たクオリティー、リーダーシップ、対話による「知」の創造、スピードなどの重要性を挙げる。さらに個々の要素について、基準を満たすレベルや取り組み方を解説していく。また、同賞へのエントリー方法と審査の方法を示し、企業へ参加を呼びかける。表彰対象は大規模部門(300人超)と中小部門(300人以下)に分かれ、一昨年からは行政・自治体も対象に加わった。1人の審査員が審査に費やす時間は平均100時間を超えるとも言う。

■2005/07/25, 日経ビジネス, 93ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年7月4日~7月18日

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀
4794214081鳥居 民

草思社 2005-06-01
売り上げランキング : 3,194

おすすめ平均 star
star従来の大陸打通作戦、一号作戦解釈を大きく改めさせられた
star原爆投下を巡る点と線--一号作戦についての問題提起は秀逸だが、裏付けを欠く
starトルーマンとバーンズはどこに?

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■著者に聞く 鳥居民氏[歴史研究家] 歴史の正しい認識を

日本に原爆を落としたのは戦争終結を早め被害を少なくするためとの通説を否定する。当時の米トルーマン大統領が、戦後の覇権拡大を狙い、周囲の反対を押し切って投下した。自分で検証せず米国や中国の言い分を鵜呑みにするのは危険だと言う。

――日本に原爆を落としたのは、戦争を早期に終結させるためだとの通説を完全に否定されています。

あのね。日本人は先の戦争について不勉強だし、あまりに自虐的な見方をしているんだと思いますよ。「原爆を落とさなかったら1億総玉砕するまで戦い抜いて泥沼の戦争になっていた」という米国の言い訳を信じている日本人が多すぎる。歴史学者までが何の検証もなしに、それが事実かのように話したり書いたりしている。

そういう日本の風潮に腹が立って仕方がないので本書を書くことにしたんです。昭和20(1945)年6月22日に、天皇を交えた公式の会議が皇居で開かれました。その場で昭和天皇は「時局収拾ニツキ考慮スルコト必要ナルベシ」と発言されています。時局収拾という糖衣に包むような表現を使っていますが、戦争を終結させたいという意思は明確です。しかも、米国は日本が降伏しそうだという情報を察知しています。なのに、なぜ原爆を投下する必要があったのですか。

それは、当時の米ハリー・トルーマン大統領が、日本が降伏した後の世界が米国にとって有利になるようにするため、原爆の威力を見せつける必要があったからです。このケタ外れの殺傷力を見れば、誰もが米国の言うことを聞くと思ったのでしょう。

――トルーマン大統領はそのために周到な準備をしたようですね。

米議会や英国のウィンストン・チャーチル首相らほとんどの人たちが早く日本に降伏勧告をして戦争を終結させたいと思っている中、何とか日本に原爆を落としたいと思っていたトルーマン大統領は秘密裏に周到な準備を進めていきます。原爆を投下するまでに側近とどんな会話をしたのか、何を指示したのか、資料らしきものはほとんど残していません。よほど慎重に事を進めていた証拠だと私は見ています。

彼にとって最大の問題はソ連がいつ参戦するかでした。2月のヤルタ会談で、「対独戦勝利の2~3カ月後に参戦する」ことが決まっていたので、5月8日のドイツ降伏後、7月初旬~8月初旬が参戦日になる計算です。米国で原爆の実験を終え投下準備が完了するのが8月1日だったので、それまでにソ連には参戦してほしくなかった。そのため、トルーマン大統領は一番のソ連通でソ連からの信任の厚い側近をモスクワへ飛ばします。徹底的に参戦日の情報収集をすると同時に、ポーランド問題で大変な譲歩をしてソ連の参戦をできるだけ遅らせる画策に乗り出します。その間の経緯は執念としか言いようがありません。

――ルーズベルト大統領が急逝して大統領が交代していなければ、原爆の投下はなかったのでしょうか。

ルーズベルト大統領とトルーマン大統領では人間のスケールがまるで違いました。学歴もキャリアも乏しいトルーマン大統領は自分がはい上がることばかりが先に立ち、世界観に乏しかったんだと思います。自分が世界史の中心に行くんだと公言していたルーズベルト大統領だったら、あんな恐ろしいものを実際に使って世界から信頼されるとは考えなかったはずです。

現実に原爆を使った結果は、ソ連を威嚇するどころか、ソ連はベルリンを閉鎖、北朝鮮は韓国へ侵攻しました。原爆の投下は何の抑止力にもならなかったのです。その事実を日本人は正しく認識する必要があります。

鳥居民(とりい・たみ)氏
1929年生まれ。徹底した資料研究を基に独自の史観を展開する歴史研究家。著書に『周恩来と毛沢東』『「反日」で生きのびる中国』などがある。

■2005/07/18, 日経ビジネス, 85ページ

技術経営―未来をイノベートする
4757121482山田 肇

NTT出版 2005-04
売り上げランキング : 21,436

おすすめ平均 star
star王道の考え方に豊富な事例

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タイトルの「技術経営」とは「技術を企業経営の観点から扱う」学問を指す。著者の山田肇氏は、米マサチューセッツ工科大学で技術経営修士号を取得後、日本電信電話(現NTT)で基礎研究に従事、現在は東洋大学経済学部教授として情報社会に関わる諸問題を研究対象としている。本書では、我が国の情報通信、電気・電子分野における技術経営の現状と課題を総括しつつ、今後に向けての施策を提案している。

著者はまず冒頭でこのように語る。「我が国で技術経営に関わる教育の強化という施策が、経済産業省と文部科学省から打ち出されたのは、2002年のことである。米国より20年遅れだ。この遅れが、産業の競争力を後退させた。そして、技術立国の礎を危うくしている」。革新的技術で世界をリードするには、企業個々の進歩では足りず、大枠となる国家的な施策が欠かせないと指摘する。

まずはデジタルカメラ、家庭用テレビゲーム、電気通信事業などの具体的事例を示し、それらのケースの裏に潜む「半導体の進歩の原理」を歴史的な視点からひもといていく。さらに、これらをコントロール可能な「技術経営人材」の資質を示す。常に社会的影響を考慮して、構想提案力を駆使できる人材が不可欠だと結ぶ。

■2005/07/18, 日経ビジネス, 83ページ

中村邦夫「幸之助神話」を壊した男
4532311837森 一夫

日本経済新聞社 2005-04
売り上げランキング : 13,883

おすすめ平均 star
star圧倒的な情報量
star読者をも元気にする本

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中村邦夫社長が就任してから5年、松下電器産業はV字回復を遂げた。中村社長は松下の何を変えたのか。これまで進めてきた改革を紹介しながら、そのリーダーシップの源泉に迫る。

創業者・松下幸之助が作り上げた松下の経営は、日本型経営の象徴と見られてきたが、中村社長は「創業者の経営理念以外はすべて変えていい」と、聖域なき改革を進めた。「破壊と創造」というスローガンの下、不採算拠点の統廃合、事業部制の廃止、主要関連会社の子会社化などに踏み切ったほか、希望退職によって、タブー視されていた人員削減にも手をつけた。

中村社長は幸之助のような生まれながらのカリスマ経営者ではない。だが、合理的に物事を突き詰め、理に忠実な一種の原理主義者である点は幸之助に共通する。本書はこうした中村社長の特質は、米国での勤務経験が大きく影響していると分析する。

著者は、構造的な問題を抱えていた松下の経営改革は、1977年に就任した山下俊彦元社長の時代から始まったと指摘する。松下は創業者の大きな影から脱するため、山下、谷井昭雄、森下洋一、中村という4代の社長を要した。松下の「30年戦争」は、「番頭」から「革新的な経営者」の時代に移るための試行錯誤だったと結んでいる。

■2005/07/18, 日経ビジネス, 83ページ

敵対的買収
4198620121堀井 愼一

徳間書店 2005-05-22
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おすすめ平均 star
star初心者向けにやさしく書かれた本。
star敵対的買収の全体を俯瞰したいならこの本!
starM&A、そして株式会社の本質がようやく理解できました!

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ライブドアによるニッポン放送株の買収騒動は日本の企業社会に大きな衝撃を与えた。2006年の商法改正をきっかけに、日本にも本格的なM&A(企業の合併・買収)時代が到来すると予測される。本書はライブドア騒動を実践的事例として、M&Aを基礎から解説する。

今回の騒動で、証券会社には「どうすれば会社を守れるか」という問い合わせが殺到しているという。だが、経営者が考えるべきは企業価値の最大化であり、企業価値が上がるのであれば買収を受け入れたり、積極的に買収を仕掛けるぐらいの意識が必要。攻めの姿勢こそ成功を生むと指摘する。

敵対的な買収を仕掛けられやすいのは、株価が低く、時価総額が少ない企業。現預金や遊休不動産が多く、資本を活用し切れない「金満会社」も狙われやすい。経営者は効率的な経営を心がけること、株主還元の意識を高めること、積極的な情報開示を進めることが必要である。

一方、従業員はM&Aを「慣れ親しんだ経営者が代わってしまう」と後ろ向きに受け止めず、新しいチャンスの場ととらえるべきと主張。投資家の立場から見ても、M&Aは持っている株式の価値が一気に高まる可能性があり、大いに注目すべきと説いている。

■2005/07/18, 日経ビジネス, 83ページ

経営者になる 経営者を育てる
4478374848菅野 寛

ダイヤモンド社 2005-06-10
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おすすめ平均 star
star意欲作です
starBCG関連の本の中では秀逸な出来!
star経営者の心がわかります。

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「優秀な経営者になる」、または「優秀な経営者を育てる」ためにはどうすればいいのか。ボストンコンサルティンググループでのコンサルタント活動や第一線の経営者へのインタビューなどから、必要条件を抽出する。

優れた経営者は、“経営者のスキルセット”と呼ぶべき一連のスキルを持っているという。それはマネジメント知識と論理的思考といった「科学系スキル」と「アート系スキル」に大別できる。本書は、形式知化しにくく、習得が容易ではないアート系スキルに焦点を当てて詳細に解説する。

著者が考えるアート系スキルとは、強烈な意志、有機、インサイト、しつこさ、ソフトな統率力の5つ。これらのスキルは個人の属性として扱われることが多いが、著者はそれを否定し、強烈な意志さえあれば、ほかのスキルは先天的に持ち合わせていなくても習得できると主張する。自分なりの訓練法を構築して習慣化すること、また体験を通じて習得することが重要だとして、その方法論を紹介する。

個別スキルの中には、反対の性質を持ったスキルもある。どのスキルを前面に出すかによって、経営スタイルも変わってくる。経営環境に応じて、メリハリをつけてスキルセットを使い分けることが必要だと指摘している。

■2005/07/18, 日経ビジネス, 83ページ

希望のニート 現場からのメッセージ
4492222626二神 能基

東洋経済新報社 2005-05-13
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おすすめ平均 star
starこれから
starもはや他人事ではない
star自分とてらして

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■著者に聞く 二神能基氏[NPO「ニュースタート事務局」代表] ニートは日本の希望

ニート(15歳から34歳までの無業者)の急増が社会問題として注目されているが、

「ニートの登場は“もう1つの日本”を作るまたとないチャンス」と著者は唱える。 長年、彼らの再出発を支援してきたのが著者だ。(聞き手は大西  康之)

――ニートをポジティブにとらえるタイトルに驚きました。

ニートこそ21世紀の希望である、という意味を込めて、挑戦的なタイトルを選びました。行政が「ニート対策」を打ち出したり、マスコミが「ニート問題」を取り上げる時、そこには「あの困った連中を何とか更生させなければ」という視線があります。

でも実際にニートの若者たちと接していると、おかしいのは彼らではなく、今の日本の社会の仕組みではないか、日本人の働き方ではないのか、という気がしてきました。

私のところに来たある若者は、職場で毎日12時間、コンピューターに向かわされ、それが「働くということだ」と思い込んでニートになってしまった。若者を消耗品のように扱う会社の方がおかしいと思います。

――しかし、ニートは働かなくてもいい、というわけにはいかないと思いますが。

私は30年近く不登校の子供たちに関わってきました。行政と一緒になって、何とか子供を学校に戻そうとした。きちんとした統計があるわけではありませんが、経験値で言うと、学校に戻れたのは25%しかいません。残りの子供たちは、戻る、戻らないの騒動で疲れ果ててしまった。我々の努力は実りませんでした。

今になって思うんですよ。「学校なんて学ぶ場所の1つに過ぎない」と言ってあげればよかった。ニートを強引に社会に戻すのも違うと思います。彼らを今の社会に適応させる必要はありません。彼らが幸せに生きられる“もう1つの日本”を作ればいい。これは日本が変わるチャンスなんですよ。

我々のNPO(非営利組織)は今、「雑居福祉村」作りに取り組んでいます。ニートに老人介護をやらせると、ゆっくりしたお年寄りのペースを少しも嫌がらない。

そういう才能を生かして、彼らが自分のペースで働ける職場を作ればいいんです。

――ニートはなぜ生まれたのか。その時代背景をどう見ますか。

ニートの若者に「欲しいものは何だ」と聞くと、99%が「別にない」と答えます。「強いて言えば何が欲しい」と聞くと、「根性」とか「身長」とくる。

我々の世代は「自動車」「ステレオ」「マイホーム」と次から次に言えたけれど、彼らは本当に物欲がありません。我々は欲しいものを手に入れるために働いたけれど、彼らは純粋に働くことの意味を考えています。そういう豊かな世代がついに日本に登場した。価値観が多様化したと考えるべきでしょう。

ニートは自分たちの新しい価値観に気づかず、「世の中から落ちこぼれた」と思い込んでいる。しかし、実際にはほかの人たちと価値観が「違う」だけで「劣る」わけではないのです。

私は1日12時間働く「ファストワーク」の人たちを否定はしませんが、一方で自分のペースで働く「スローワーク」の人たちがいてもいい。1日5時間労働で給料は相場の半分。そういう企業が出てくれば、きっと発展しますよ。ファストワークは人間と環境に大きな負荷をかけるんです。

企業はコスト削減のために派遣社員やパート社員を増やしていますが、そんなやり方はいずれ通用しなくなるでしょう。トイレに行く時間まで制限するトヨタ自動車のやり方も、いずれは時代に取り残されると思いますよ。

二神能基(ふたがみ・のうき)氏
1943年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。学習塾経営を経て、ニートの再出発を支援するNPO「ニュースタート事務局」を設立。

■2005/07/11, 日経ビジネス, 75ページ

思考停止企業
4478374899ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS

ダイヤモンド社 2005-04-14
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おすすめ平均 star
starさり気ない分かりやすさ!
star1冊で4度おいしい
starナレッジマネジメントの理解

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一枚岩であったはずの企業の中で、深刻な情報の断絶現象が起き始めている。今日の組織は、営業部門、開発部門、研究部門、マーケティング部門、管理部門などに高度に専門化されているが故に、一体感を持ちにくい。このような状態だと、一度全社的な問題が生じた場合に解決の一手が打ち難い。社員個々の危機意識が乏しく、責任を部門同士で押しつけ合う傾向が強いからだ。

本書はそうした実例を間近に見てきたコンサルタントらが、「ナレッジマネジメント」をキーワードに社内改革法を提案するもの。

問題の深刻さを現実感を持って知ってもらおうと、本書全体を架空の企業と問題解決に立ち向かう社員の姿から成る小説形式で構成した。創業社長が残した従業員2000人強の中堅メーカーが、表面的には大きなトラブルがないのに業績低迷の危機に直面している。業務改革室に抜擢されたメンバーらは、社員一人ひとりの心に巣食う「事なかれ主義」や「個人主義」による情報の断絶、目的意識の不徹底などが原因であることに気づいた。

急激な改革とナレッジマネジメントの推進には抵抗勢力も現れるが、結果として会社は業績アップを達成する。各章の間に専門家による解説を挿入して、改革の方法論を分かりやすく説いていく。

■2005/07/11, 日経ビジネス, 71ページ

サイコグラフで「買う気にさせる」心理戦術
4896919262内藤 誼人

洋泉社 2005-06
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おすすめ平均 star
star消費者行動の謎がよくわかる!
starサイコグラフってすごい☆★
starマーケティングの新機軸

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十人十色の顧客模様に翻弄され、旧来のマーケティングや販売促進活動の効果に不安を持つ経営者が増えている。本書はそうした企業に対し、心理学の視点から顧客の消費行動を読み解いて対策を練るヒントを示すもの。

これまでのマーケティングでは年齢、性別、居住地域などから「人口統計的属性」を割り出す「デモグラフ」が主流だった。一方、心理学者の著者が提案する「サイコグラフ」は、顧客の個性と心理状況などの心理特性を読み解き、購買行動に潜む“一定の法則”をあぶり出そうとする試みだ。

サイコグラフを有効に活用すれば、顧客を「思わず買ってしまう状況」に導くことができると言う。例えば従来の定説である「顧客は合理的に判断し、自分の好みを説明できて、できるだけ後悔しないように買い物をする」という考え方そのものが誤りだと指摘する。実際はその反対で、品揃えが多いほど考える気をなくし、感覚的にぼんやりと買い物するのが好きで、時には衝動買いによる後悔も楽しんでいると言う。そうした意外な心理を利用した品揃え、陳列、パッケージの工夫などについて解説する。また、新製品の第1段階では、新しいものが大好きで失敗を恐れない顧客(リスクテーカー)に対象を絞り込めと提案する。

■2005/07/11, 日経ビジネス, 71ページ

図解仕事の法律
4837921000中島 茂

三笠書房 2005-04
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自分の会社や身近な仕事を「法律」という観点から見るとどうなるのか、慣例的な行為の中に落とし穴はないか。企業人にとって死活問題になりかねない法律問題とその対処法を、分かりやすく図解してまとめた1冊。対顧客、対組織のほころびをあうんの呼吸で処理してきた時代は去り、日本も米国並みの訴訟社会に向かいつつある今日、雇用契約、コンプライアンス(法令順守)、顧客との契約、知的財産権などに関わる法的理解と対応を他人任せにしてはならないと訴える。

ある会社に就職することで、当人と会社、あるいは上司と部下の間にどのような法の縛りが介在するのかを図解して示す。女性に対するセクハラ(セクシュアル・ハラスメント)はもちろん、権力をかさに部下を必要以上になじったり陰湿な業務妨害を行うパワハラ(パワーハラスメント)についての判例を挙げ、注意を促す。

上司の命令であっても、それが違法なものであれば「No」と言う権利がある一方で、私用メールや営業途中にマンガ喫茶で時間を潰すような行為は、いつでも処分の対象になると指摘する。コンプライアンスについては、株主や取引先に加えて汚染や騒音、リサイクルなどに関する「社会の期待に応える義務」の果たし方について詳しく解説する。

■2005/07/11, 日経ビジネス, 71ページ

39歳までに組織のリーダーになる―活躍スピードを加速する
476126246X柴田 励司

かんき出版 2005-04
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おすすめ平均 star
starやる気のでる一冊!
star参考になりました
star若い世代の人にぜひ読ませたい

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周囲から「デキる」と一目置かれる人は、おのずと組織を率いるリーダーに選ばれる。以前は、そのタイミングが50歳前後だったが、今では40歳前後に下がっている。本書は30代のうちに様々な課題に果敢にチャレンジし、自らの器を大きくしておくべきと主張し、効果的・効率的に真のリーダーになるためのヒントをまとめている。

デキるリーダーに共通する強みとして、物事の全体を見る「鳥瞰力」、物事をどんどん進め、くよくよしない「未来志向性」、論理的に本質をつかむ「論理的思考」「素早い回復力」など10項目を挙げる。現役リーダーたちは、修羅場を通じて自分の器を大きくしていったり、異文化の中でもがいたり、挫折から人の痛みを知るといった経験によって、こうした強みを持つに至ったと解説する。

一方、デキるリーダー候補が道を踏み外す原因の1つに、周囲の人間とのつき合い方があると指摘。優秀な人ほど、仕事が集中しがちだが、背伸びした課題に取り組むうちに、周りの仕事ぶりが気になり、組織や上司、部下に批判的な言動が出たり、無意識のうちにパワーハラスメントを起こすことがある。真のリーダーは周囲から「一緒に仕事がしたい」と思われる存在であることを忘れてはならないと説く。

■2005/07/04, 日経ビジネス, 73ページ

アマゾン・ドット・コムの光と影―潜入ルポ
4795843422横田 増生

情報センター出版局 2005-04
売り上げランキング : 715

おすすめ平均 star
starタイトル負け
star階層化する雇用の実態
starアマゾン中毒!

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日本市場に浸透し、急成長を遂げつつあるアマゾンジャパン。徹底した秘密主義の裏側では、何が進んでいるのか。元物流業界紙編集長の著者が物流センターの作業員として半年間働き、その内部事情をリポートした。

明らかになるのは、見事なまでのアルバイト活用術である。時給900円のアルバイトたちは広大なスペースを走り回り、指示された本を探し出して抜き出す。ノルマは「1分3冊」。毎月、個人の作業データを基にした成績表が作られ、成績が良くないアルバイトは2カ月ごとの契約更新時に契約が打ち切られる。厳しいノルマとコンピューターの監視によって、アルバイトたちが一瞬たりとも気を抜くことがないよう、管理しているのである。

ドライな雇用関係によってコスト管理を徹底する一方で、アマゾンジャパンの注文件数は日々拡大している。バイト仲間から「2003年の売り上げが500億円を超えたらしい」という話を聞いた著者は、関係者への取材などから、この数字がほぼ間違いないことを突き止める。出版社との直接取引を増やそうとしていること、アマゾン限定の商品開発に取り組んでいることなども明らかにし、アマゾンという“黒船”が、静かに、着実に日本の出版業界を変質させていると指摘する。

■2005/07/04, 日経ビジネス, 73ページ

サービス経営戦略―モノづくりからサービスづくりへ
4757121458小山 周三

NTT出版 2005-03
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顧客満足を勝ち取るサービス経営は、いかにすれば構築できるのか。本書は必要な諸条件を提示する。

優れたサービス価値を提供できる組織を作るには、十分に考え抜かれたサービス戦略、顧客志向的な最前線の人々、顧客に親切なシステムの3要件が必要となる。サービス価値は顧客とサービス提供者との協働生産によって生み出されるもの。顧客との接点で価値を創造するために、組織体制も従来型のピラミッド型ではなく、これを逆にして顧客を頂点とした「逆さまのピラミッド」にすべきと解説する。

サービスは「たった1回限り」で評価されるため、失敗が許されない。数学の世界では「100-1」は「99」だが、サービス学の世界では「0」である。100人に1人、または100回に1回のミスや不満をゼロに近づけるためには、常識を超えた経営努力が必要。サービス品質を均質にするため、モノ作りと同様、ルール化、マニュアル化、作業の工程管理など、エンジニアリング発想も取り入れるべきと説く。

顧客満足とは、顧客の期待を上回る価値が提供された時に実現するもの。こうしたサービスを提供し、良い記憶を残してもらえば、「ブーメラン効果」が生まれ、顧客は必ずその店や企業に戻ってくると主張している。

■2005/07/04, 日経ビジネス, 73ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年6月6日~6月27日

農で起業する!―脱サラ農業のススメ
4806713015杉山 経昌

築地書館 2005-02
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star農業を志すなら心して来るがよし
star楽しい農業とは
star農業「経営」とは何か

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■著者に聞く 杉山経昌氏[専業農家] 素晴しい“3K”職場

外資系電機メーカーから就農した“素人”が語る農業の指南書。研究、新工場建設、営業の経験を積んだ筆者が語る成功の秘訣は時間、計画、予算の管理。農業に限らず企業経営の場でも参考になる内容だ。

――「農業は本当に3K(きつい、汚い、危険)なのか」、という問いかけから始まっています。

私は30年近くサラリーマン生活を続けました。最後に在籍した外資系メーカーでは、数字を達成できなければ降格、時には解雇されることもある職場でした。労働時間も長い。グローバルな企業でしたから、接待で遅く帰宅しても、それから海外拠点と電話会議をしたり海外の学生にリクルートの連絡をしたりと、休む間もありませんでした。睡眠時間も十分に取れないまま、早朝に出勤する日々が続きました。

就農したら、リストラの不安もなければ、疲れ切った体にムチ打ちながら満員電車に揺られて通勤する必要もありません。農作業は肉体面で「きつい」と思われますが、今はトラクターに除草機や定植機など機械化されて、力仕事などほとんどありません。「汚い」「危険」も、やり方次第できれいにも快適にもなります。

私にとって農業は「きつい、汚い、危険」よりも「快適、かっこよい、お金が儲かる」という別の3K職場です。当然、そうするには工夫が必要です。私はコンピューターで作物ごとに作付面積や収入、経費、月別労働時間などをシミュレーションしました。顧客データベースを構築し、何度も購入していただいているお得意さまには、効果的な販促もしています。

もちろん自然が相手だから計画通り進まないこともあります。就農して15年になりますが、1年目は赤字、2年目はトントンでしたが、3年目からは黒字になっています。借金をせずに、暇でも無理して余計な作物を作らなかったことが、よかったと思います。

――丼勘定的な体質批判など、行政や旧来からの農家には耳の痛い話もありますね。

日本の農業は変わらなくてはいけないという一心から指摘しました。「すべての農民は、食料自給率100%を目指して努力しなくてはならない」というのが、私の考えです。就農前から、自分たちで食べる食料を「自分たちの力だけで賄えるようにすべきだ」という信念を持っていました。外資系企業に在籍していましたから、なおさら感じるのですが、外国に生きる糧を委ねているのはリスクが大きい。国際分業化とか自由貿易とか言いますが、いざとなれば外国より自国の利益を優先します。

安全保障の確保のためにも、日本の農家は変わらなくてはなりません。日本の農政は、江戸時代からの「生かさず殺さず」の状況から本質的に変わっていません。見かけ上は化学肥料を使うなど進歩しましたが、肥料設計の基準が確立されていないため、不要な肥料まで使わされ、支出がかさむのです。これだから豊かになれないのです。

――農業の活性化には、新しい人材の参入が必要ですね。

企業勤めの人に限らず、新たに農業に就きたいという人から相談をよく受けます。今までの経験から言うと、これまでの仕事で成功した経験のある人でないと、農業でも成功することは難しいように思えます。今の仕事が嫌で逃げの姿勢で来た人は、まず失敗すると言っていいでしょう。

また、人のマネではなく「自分がやりたいのはこれだ」という具体的なプランを持っていることも必要です。どんな仕事もやらされるより、自発的にやる方が楽しい。楽しければ仕事にのめり込んでいくはずです。

杉山経昌(すぎやま・つねまさ)氏
1938年生まれ。千葉大学文理学部化学科卒業後、沖電気工業入社。旧日本モトローラなど経て90年に就農。今年著書を上梓。

■2005/06/27, 日経ビジネス, 95ページ

社長の哲学
4884747127青木 定雄 鍵山 秀三郎 鳥羽 博道 矢野 博丈

致知出版社 2005-04
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star素晴らしい人選。

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逆風の時代に成長を遂げてきた企業のトップ4人が、自ら語った「経営哲学」をまとめたもの。4人の共通点は創業社長であること、そして幾多の大きな試練を乗り越えてきたことである。タクシー事業を中心に展開するエムケイ(MK)グループの現オーナーである青木定雄氏は、「常識的なことを50年間継続してきただけです」と言う。それは、例えば毎朝無線室に出向き、自らの声で車を運転しているMK社員全員に心構えを呼びかけるような地道な努力である。正しい掃除習慣が社員を育てると説くのは、カー用品店を全国展開するイエローハットの現相談役、鍵山秀三郎氏だ。釈迦の教えを引用しつつ清掃の功徳を諭し、自らが率先して取り組んでいる国際規模での清掃活動の意義について語る。

ドトールコーヒー現社長の鳥羽博道氏は、「喫茶業とは、1杯のおいしいコーヒーを通じて人々に安らぎと活力を与え、お客様を建設的な方向へ向かわせるものでなくてはならない」をはじめとする「社長としての7つの座標軸」を示す。「100円SHOPダイソー」で成功を収めた大創産業現社長の矢野博丈氏は、かつて背負った借金や遭遇した数多の危機が、揺るぎない経営哲学を育ててくれたのだと言い、興味深いエピソードを明かす。

■2005/06/27, 日経ビジネス, 93ページ

人事破壊―その後10年そして今から
4828411860日下 公人

ビジネス社 2005-04
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star会社はもうアテに出来ない

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日本の会社の人事風土には世界に誇るべき利点や美学が山ほどある。なのに崩壊の危機に瀕している訳は、古い制度にすがりつく者、うわべだけの中途半端な改革で済まそうとする者が多いからだ。時代が確実に変わったことを認め、しがらみを排し、ゼロから人事制度を構築し直せば道は開ける。著者の主張はそう要約できる。

例えば、「アメリカ型経営」を叫びながら老いてもトップに居座り続ける経営者の矛盾を指摘する。「老害よ、さようなら」と言い、会社に良い人事を定着させたいのなら、まず年功序列だけで昇進した幹部連中を大掃除し、その後に自分も辞めよと呼びかける。もう1つのカギは「正社員」だ。雇用の流動化や専門職種化が叫ばれて久しいが、正社員は会社にとって必要不可欠な存在であることに変わりはないと言う。問題はそのあり方にある。まずは数が多過ぎるため、本来あるべき仲間意識や団結が有名無実化してしまったと指摘。正社員の採用は毎年20人くらいに絞るべきで、そうでなければ「仲間意識などなくても仕事が進むような会社」を徹底的に作れと決断を求める。背景には「デフレ時代の逆転の発想」がある。被雇用者には「安定大企業は『不安定分解寸前企業』だと180度転換して見よ」と訴える。

■2005/06/27, 日経ビジネス, 93ページ

平凡な私が月300万円稼ぐ7つの理由
4492042261右近 勝吉

東洋経済新報社 2005-03
売り上げランキング : 1,029

おすすめ平均 star
star詐欺師は読むな
star心の便利屋
star相手を受け入れると成功する

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「便利屋として成功しているのは、例外なく凡庸な人ばかりです。月に100万円以上売り上げるような便利屋になっているのは、何の才能もなく、不器用で気の利かない人間だけなのです」。そう言い切るのは、引っ越しからドブさらいまで何でも請け負う便利屋稼業の「元祖」、右近勝吉氏である。彼の成功談を聞きつけて、弟子入りしたいと門を叩く人は後を絶たないそうだ。本書では、才人には決して思いが及ばないという商売の工夫やコツ、凡人だからこそ可能な「運」を呼び込む習慣などについて持論を披露する。

自分が凡人であることを認めた瞬間こそが最大のチャンスだと言う。「平凡なサラリーマンが成功するためには『社内の便利屋』になることです」と言い、届かないであろう才能や評価を追い求めたり、「こんなはずじゃない」などと虚勢を張っているうちは、富を呼び込む「凡人力」が宿らないと諭す。凡人だからお金に執着しない、凡人だから頼まれたことは何でも笑顔で引き受ける。無欲無心を極めた時、右近氏の月の稼ぎは最高で4600万円に達していたという。他人の話を聞く才についても触れる。依頼主の話の腰を折る余計な相槌や質問はご法度、4時間に及ぶ相談であっても気持ちよく応じられれば合格だと言う。

■2005/06/27, 日経ビジネス, 93ページ

企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神
4569642144平田 雅彦

PHP研究所 2005-04-16
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おすすめ平均 star
star企業の社会的責任

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■著者に聞く 平田雅彦氏[元・松下電器産業副社長] 日本的なCSR構築を

東西の冷戦終了が、資本主義をいびつな形に発展させ企業の不祥事を頻発させた。その猛反省に立って生まれたのがCSR(企業の社会的責任)の考え方だと言う。ただ、それは既に江戸時代の学者、石田梅岩の教えの中にあった。

――最近、日本に限らず企業の不祥事が増えているのは、資本主義の論理と倫理のバランスが崩れてきたことが原因だと指摘されていますね。

東西の冷戦が終わるまで、資本主義は何やかんや言っても、その論理と倫理はバランスしていたと思います。企業の短期的な利益追求が強くなり過ぎ、社会への貢献が後回しにされるような状態が起きても、ある時点で反省する機運が高まり、バランスを取り戻してきました。

しかし、冷戦が終わって資本主義が勝ったことで、資本主義の論理が急激に勢いを増してきました。ファンドキャピタリズムとでも言うか、短期的な株価にとらわれた経営が跋扈し始めたのです。これは人間の欲望につながっており、勢いづくと止めたり減速させたりするのは難しくなる。米国のエンロン、ワールドコムなどで起きた不祥事は、そうした環境で起こるべくして起こった事件と言えるでしょう。

さらに悪かったのが、頻発する不祥事を抑えるために米証券取引委員会(SEC)による規制強化に頼り過ぎたことです。多くの企業で、取締役会メンバーはいつの間にか経営をチェックする社外の人たちばかりになり、企業の経営をできる人が少なくなってしまいました。

――CSR(企業の社会的責任)は、そうした歴史の反省から生まれたようですが、コンプライアンス(法令順守)との違いは何でしょう。

コンプライアンスは、リスクマネジメントの一環で、企業の防衛を目的とする、いわば消極的な手法です。しかし、CSRは企業が自発的に社会的な責任を果たそうというものです。それぞれの活動で得られる結果は似てくる場合もあるでしょう。しかし、考え方が全く異なるのです。

この点が重要で、CSRの考え方を取り入れると、企業は株主価値を最優先するだけの経営を続けられなくなります。地球環境問題への取り組みなどを企業のブランドにまで発展させようというわけですから、従業員や関連会社を巻き込んだ活動が必要になり、株主以外のステークホルダー(利害関係者)も重視した経営が不可欠です。

経営者だけでなく従業員一人ひとりの高い倫理観が求められる、今までとは違う経営が必要になります。

――日本ではCSRの考え方は今に始まったわけではなく、江戸時代から商家に浸透していたそうですね。

日本人は勉強好きなせいか、外国の新しい手法を見ると、すぐに導入しようとするんですね。それはそれでいいのですが、CSRの考え方は江戸時代から商売を成功させ長続きさせる手法として定着していたことが意外に忘れられています。

江戸時代の学者に石田梅岩という人がいます。当時、34藩108塾で講義していた超人気の学者でした。彼の教えを詳しく調べたら、現在のCSRの精神そのものなんですね。日本人は自分たちの先輩が生み出した教えや知恵をもっと大切にして活用すべきではないか。そう思ったのがこの本の執筆の動機でした。私は松下幸之助翁から様々なことを直接教わりましたが、今考えると、石田梅岩の教えに通じるものがたくさんありました。

日本人は西洋の人たちとは発想が根底でどこか違います。外国生まれの素晴らしい経営手法を活用することは重要ですが、真に役立たせるには日本に合うように仕立て直しが必要です。その意味で、日本の先達の優れた知恵をもっと勉強すべきだと思います。

平田雅彦(ひらた・まさひこ)氏
1931年生まれ。54年一橋大学卒業、松下電器産業入社。副社長を経て97年退任、産能大学客員教授。現在は複数の企業で社外取締役を務める。

■2005/06/20, 日経ビジネス, 99ページ

レピュテーション・マネジメント
4534039026ロナルド・J・オルソップ

日本実業出版社 2005-04-19
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おすすめ平均 star
star企業のトップや現場はレピュテーションをもっと意識すべきである。

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企業にとって、自社の「評判」は重要な無形資産。評判への意識を高め、積極的に管理する「レピュテーションマネジメント」は、今や必須の経営課題と言える。良い評判を築き、良い評判を保ち、傷ついた評判を修復するためにはどうすればいいのか。「ウォールストリート・ジャーナル」のコラムニスト兼編集者が、米国企業の具体例を挙げながら、18の法則を示す。

適切なレピュテーションマネジメントには、まず「己を知る」ことが重要。かつて軍需品の販売で莫大な利益を上げ、「死の商人」とのレッテルを張られた米デュポンは、負の遺産を解消するため、レピュテーションリサーチを何十年も継続している。ステークホルダー(利害関係者)が会社や業界に抱くイメージを定期的にチェックすることで、素早く適切な対応策を講じることができるという。

商品落下による死傷事故が頻発した米ホーム・デポは、「問題点を知る」行動を取った。顧客の苦情に真摯に耳を傾け、サービスと安全の改善策を講じた。社内態勢が整った後は、積極的なイメージキャンペーンを展開し、徐々に信頼と評判を回復していった。

企業は問題発生時だけでなく、普段から「攻めの姿勢」を持って自社の評判管理に注力すべきと解説する。

■2005/06/20, 日経ビジネス, 97ページ

虚構の景気回復 - 「統合と分断」の時代をいかに生きるか
4120036367水野 和夫

中央公論新社 2005-05-11
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おすすめ平均 star
starグローバル経済分析の視点が分かる

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世界市場は「統合」し、国内経済は「分断」しているという視点で現状を読み解く1冊。

IT(情報技術)革命とグローバリゼーションによって、世界市場は「統合」した。IT産業、自動車、鉄鋼などの産業は米国、中国市場と一体化し、「近代化経済圏」を形成している。一方、国境を容易に越えられない「ポスト近代経済圏」と呼ぶべきサービス産業はグローバル化から取り残され、長期停滞に陥っている。国内経済は近代化経済圏とポスト近代経済圏とに「分断」された。昨今の景気回復は、近代化経済圏の結果であって、政府の構造改革の成果ではない。米国や中国の動き次第で頓挫しかねない「虚構の景気回復」だと指摘する。

過去、ポスト近代経済圏を救済するため、過剰な金融緩和が行われてきたが、そのマネーは近代化経済圏に流入し、1次産品価格の急騰や素材インフレを引き起こした。ポスト近代経済圏では、今後、サービス価格がさらに下落してデフレが定着すると予想。日本経済は2極化が進み、分配が重要な経済政策になると指摘する。

経済の性格・構造が根本的に変わった今、1つの国家を均質的なものと見る従来の経済理論では、政策・景気観測を誤ると主張している。

■2005/06/20, 日経ビジネス, 97ページ

東工大COE教育改革
4822232026丸山 正明

日経BP 2005-03-31
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おすすめ平均 star
star東工大COE教育改革雑感
star本書を読むのは、このような人たち

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東京工業大学大学院の材料系4専攻は文部科学省の21世紀COEプログラム「産業化を目指すナノ材料開拓と人材育成」によって、「スーパードクター」を育成する新コースを設けた。スーパードクターとは、研究開発プロジェクトを率いるリーダーシップなどを身につけた有能な博士。本書は「強い者をより強く」「伸びる学生を徹底して伸ばす」といった方針の下、東工大が取り組む教育改革をリポートする。

新博士コースは、「企業経営者と議論ができる研究開発者の育成」が目標。ベンチャーキャピタル、商社などの第一線で働く実務者5人を客員教授として招き、貸借対照表や事業プラン作成などの経営実務を教え込む。学生には研究成果発表の場もふんだんに与え、優れた研究成果を上げる動機づけとしている。博士課程の若い学生に海外で研究経験を積ませる「海外インターンシップ」もプログラムに組み込む。

こうして鍛えられた博士課程の学生たちは、教員たちの研究成果にも厳しい目を向けるようになった。教員と学生が切磋琢磨する中、教員にもいい緊張感が生まれ、東工大からは独創的な研究開発成果が出始めている。本書はモノ作りの基盤技術であり、日本産業競争力をも左右する材料分野での新たな成果も詳しく紹介している。

■2005/06/20, 日経ビジネス, 97ページ

世界がもし全部アメリカになったら
477620214X勝谷 誠彦 藤波 俊彦

アスコム 2005-05
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おすすめ平均 star
star映画じゃ映らないアメリカ
starアメリカ万歳!
star藤波俊彦ワールド全開じゃん

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■著者に聞く 勝谷誠彦氏[コラムニスト] 米国が地球を滅ぼす?

現実世界のデータを使って、すべてが米国になった地球を大胆に“試算”。戦争と犯罪が日常化し、肥満者と自動車があふれかえる世の中になる。「米国化」が進行する日本の生き方も考えさせられる。

――米国って一体、何なんだというのが読み終わった直後の感想でした。

旅行や仕事で100カ国以上を訪れていますが、海外へ行くと気づくことがあります。どんな国でも米国資本のホテルは同じサービス水準だし、ベッドも同じ型で同じ大きさ。米国の食べ物がふんだんに出てきて、夜はスポーツジムで自転車を漕いでいる。どうして米国人の客は、違う国に来てまで米国の生活をしているのだろうと不思議に思うわけです。それほど、自分たちの生活が素晴らしいのかと。それならば、いっそのことすべてが米国になった世界を考えてみようというわけです。

もう1つのきっかけは、イラク戦争をこの目で見たことです。対テロ、民主主義を掲げていますが、結局、彼らは、米国とブッシュ大統領の価値観を広めようとしているだけでしょう。グローバリゼーションという名の押しつけに過ぎません。しかも、それを善意だと信じ込んでいる。本の中では、米国民1人当たりの年間寄付額は実に6万8391円(日本人は915円)に上ることを紹介しています。何しろ米国人はそれほど「いい人」なんです。

――文化や思想を世界中に行き渡らせる帝国主義みたいなものだと。

ファストフードを1カ月間、毎食、食べ続けたらどうなるかという実験を自ら行った「スーパーサイズ・ミー」というドキュメンタリー映画が話題を呼びました。米マクドナルドのハンバーガーという食文化についていえば、世界全部が米国と同じになった、米国はそれを実現してしまったことになります。

一方で、政治家が隣国メキシコの大統領の名前も言えないなんてことがよくある。外国に行ったことがない人も数多くいる。自分の国以外のことに興味を持たない。田舎者と言ってもいいかもしれない。そのくせお節介。そうした自画像が見えていないにもかかわらず、自分たちが変だなどとは、これっぽっちも思っていない。だからこそ問題は深刻なんですよ。

ドイツの精神科医ホルスト・ガイヤー博士は「勤勉な馬鹿ほど、はた迷惑なものはない」との格言を残していますが、私に言わせれば、地球上でこれだけ熱心に武力行使に励んでいる米国は、それに「粗暴」という形容詞がつくのではないでしょうか。

――数字のマジックなのかもしれませんが、こういう手法で見せられると改めて米国のすごさに衝撃を受けます。

イラク戦争といえば石油。米国のようにジャブジャブ石油を使ったらどうなるか試算してみました。消費量と埋蔵量を比べた場合、普通に使えば44年持ちますが、全世界が米国になるとわずか7年で枯渇する。これは、えらいことだと思いました。

米国の現状を遠く離れた日本から眺めているだけでは、事の深刻さはなかなか見えてきませんが、数字を使って考えると恐ろしさがよく分かる。逆の発想もできます。私が住んでいる長野県は日本で唯一、県債(借金)残高の削減に成功しました。日本が全部、長野県になれば、火の車の日本の財政も少しは改善する計算になります。

昨年暮れ、「スーパーサイズ・ミー」のモーガン・スパーロック監督と対談する機会がありました。彼も「世界が全部米国になるかもしれないという予感がある」そうです。この本の映画化を考えたいとも言っていました。冗談か本気か分かりませんが、この本が英訳されて、米国の人々に読んでもらいたいという思いはありますね。

勝谷誠彦(かつや・まさひこ)氏
1960年兵庫県生まれ。カメラマン、編集者、テレビタレントなどとして幅広く活動。『にっぽん蔵々紀行』『イラク生残記』など著書多数。

■2005/06/13, 日経ビジネス, 81ページ

とことんやれば必ずできる
4761262435原田 永幸

かんき出版 2005-04-23
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おすすめ平均 star
star日本有数のプロフェッショナルマネージャー

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昨年2月にある人物のヘッドハンティングが話題を呼んだ。コンピューター関連業界一筋に歩み、1997年にはアップルコンピュータ日本法人の社長兼米国本社副社長にまで上り詰めた原田永幸氏が、全くの畑違いに思われるマクドナルド(日本マクドナルドホールディングス)の社長兼CEO(最高経営責任者)に身を転じたのである。

外食市場の伸び悩みやBSE(牛海綿状脳症)問題による逆風の最中にあったマクドナルドブランドだが、原田氏の大胆かつスピーディーな改革によって、今日ではV字回復を果たそうとしている。本書は「結果こそすべて」と言い切る原田氏が自らの働き方や仕事の哲学を公開したもの。経営者に限らずすべてのビジネスパーソンに向けて成長と成功を勝ち取るヒントを示す。

スピードこそ命であり、1年かけてやっていたことを3カ月で終わらせよと言う。そのためには「自分のための時間」を何が何でも確保する必要がある。時間管理のコツを自らの予定帳を示して指南する。また「理論を学ぶ前にまず実践経験を」と強調し、MBA(経営学修士)取得にはやる若者らに注意を促す。計画的に5年程度の現場経験を経て理論を学んでこそ意味があると言い、明確な人生設計がもたらすメリットを自らの経験を踏まえ説く。

■2005/06/13, 日経ビジネス, 79ページ

リーダーになる極意
456963916X古野 庸一 リクルート ワークス研究所

PHP研究所 2005-04-19
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次世代リーダーの育成を優先課題に据えている企業への提言集。リクルートワークス研究所の主幹研究員である古野庸一氏が、リーダーたる人間に不可欠な要素として研究を進めているテーマは「一皮むけた体験」である。

「一皮むけた体験」とは、卓越したリーダーとなる途上で遭遇した“修羅場”のことだ。米国の大学で実際に行われた研究をベースに、現役トップなら誰でも思い当たるであろう「リーダーシップを育てた困難や脱線の経験」を集め、科学的な分析を施していく。

第1部ではカルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏、セコム最高顧問の飯田亮氏、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏ら現役トップへのインタビューを通してリーダーの条件を探り出していく。そこではトップたちの「一皮むけた体験」も明らかになる。第2部では同研究所の成果として導き出されたリーダーの条件を示す。「アイデンティティーを塗り替えながら成長する」「学生時代に学んだことを生かす」「『高潔さ』を大切にする」など、現役トップから共通して読み取れる「7つの発見」について解説する。

そのうえで具体的なリーダー育成法を示す。先天的に持つ資質と後から育成可能な資質に分けて育て方を考える手法などユニークな提案が多い。

■2005/06/13, 日経ビジネス, 79ページ

銀行とノンバンクの融合―上限金利規制統一法の設計
4322107699石川 和男 野尻 明裕

金融財政事情研究会 2005-05
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融業界再編の焦点が、大手都市銀行と大手消費者金融会社の融合に移ってきた。メガバンクとメガノンバンクの一体化による消費者サービスの向上を歓迎する声もあるが、両者の間にある溝、すなわち上限金利規制に根本的な相違点を残したままでの融合には問題が多いという指摘もある。

そうした不安に経済産業省の現役官僚と元財務省・金融庁官僚が応えたのが本書である。まずは、銀行に課せられた「利息制限法」及び上限金利規制(元本額の一定区分ごとに年15~20%)について、またノンバンクに課せられた「出資法」及び上限金利(元本額に関係なく年29.2%)について明らかにする。次いで両者の上限規制の差異によって生じる弊害や、今日の事情にそぐわなくなった運用面での問題点を考察。結論として、「与信業に係わる上限金利規制統一法に関する具体的な試案」を提言する。

法人と個人の区分や元本額の区分はあるが、おおむね30~45%の上限金利を定めることを前提として、「債務者の保護と便益確保の促進」を実現し得る試案だと言う。補足資料では新旧の「利息制限法」「出資法」「貸金業規制法」などの全文を掲載し、その制定理由を分かりやすく解説しているので、初心者はガイドブックとしても活用できる。

■2005/06/13, 日経ビジネス, 79ページ

2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる!
4761262532吉越 浩一郎

かんき出版 2005-04
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おすすめ平均 star
star主張が明確で説得力があります
starマネジメントの理想形
star◆「早朝会議」の主に学ぶ

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18期連続で増収増益を続けるトリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長が説くスピード経営論。

同社が毎朝8時半から開く早朝会議は、1時間で40~50の項目を処理する。1つの議題にかける時間は最長で2分。即断即決できる根底には、「川があるなら飛び込め」という精神がある。向こう岸に渡れば成功を手にできるのなら、橋を探したり、どうしようかと考えるのではなく、とにかく飛び込むという考え方だ。複雑に絡み合った問題も分解して細かく小さくしてから判断することも重要。会議で決定した仕事は、必ず締め切りを設定する。仕事のスピードを上げるには、「いつでもできる」という状況を意図的になくす必要があると著者は指摘する。

会議の議事録は、30分後には全社員のパソコンと携帯電話に送信する。同じ情報を深く知れば知るほど、人は同じ判断をし、同じ結論に達するようになるからだ。毎日12時半からの2時間は「がんばるタイム」。私語や電話を禁じ、机に張りついて仕事するよう促す。

同社は18年間で、社員数はほぼ同じながら売上高は5倍に増えた。原則として残業禁止の同社には、業務を素早く、効率的に仕上げるノウハウが確立されており、参考になる点が多い。

■2005/06/06, 日経ビジネス, 81ページ

ジェネレーションY―日本を変える新たな世代
4532351464日本経済新聞社

日本経済新聞社 2005-04
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おすすめ平均 star
star同世代の感想。
star面白い!と思う。

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新入社員や新入生たちを迎え、社内や街が華やぐ昨今、その言動に度肝を抜かれることも多い。だが「今時の若い者は…」という常套句で片づけてはいけない。彼らの真の姿や秘めた実力を見落としてしまう、と本書は説く。

ジェネレーションYとは、いわゆるX世代(1960~74年生まれ)に続く、75年以降に生まれた世代の総称だ。中核の16~25歳では、10人に1人が就職や通学の意思のない「ニート」か、フリーター。将来の日本を担うY世代の評判は芳しくない。ところが、実態はイメージと違い、じっくり向き合えば、本当の顔が浮かび上がるという。

すぐ辞める新入社員が増えているため、「働く意欲に欠け、堪え性がない」と見られがちだが、ステップアップを目指した退社も多い。活字離れの指摘も目立つが、ケータイ小説など新たな分野を切り開くのはY世代の若者だ。

小さい頃からデジタル環境に囲まれ国際経験も豊富。海外に出て物怖じすることが少なく、ツボを的確に押しさえすればすごい力を発揮する。本書は、Y世代を徹底分析し、隠れた素顔を浮き彫りにするとともに、秘めた力を引き出す処方箋を描き出している。

充実した調査データは企業のマーケティングに役立ち、Y語辞典は楽しく読める仕掛けだ。

■2005/06/06, 日経ビジネス, 81ページ

人はみな「ビジネスの天才」として生まれる
4093566410アラン・グレジャーマン 福澤 善文 福澤 良美

小学館 2005-05-10
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おすすめ平均 star
star子供から学ぼう
star簡単にシンプルに
star特に40歳以上の人に読んでもらいたい

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企業が既成概念から離れた革新的なアイデアを生み出し、突出した競争力を得るにはどうすればいいか。著者は既成の枠に入ったことのない「子供」から、ビジネスで成功する術を学ぶべきだというコンセプトを立てる。

誰もが子供の頃には特別な才能を持っていた。それは遊ぶ力、熱中する力、焦点をしぼる力、急がせる力、リーダーシップをとる力、驚嘆する力、好奇心を抱く力、質問する力、挑戦する力、創造する力、参加する力、居心地良くする力、やり遂げる力である。本書はビジネスマンがこの13の才能を思い出し、実際のビジネスに応用することで大きな成果を得られると解説する。

子供の世界では遊びが仕事。子供たちは遊びから学び、すべてを組み立てる。ビジネスの世界でも自分のしていることを楽しんでこそ、最良の仕事ができる。物事をうまく行うために、遊ぶこと、笑うことは重要だ。子供の頃は好奇心いっぱいに世界を見ていた。会社に入ってからも、いかに物事が動くのか、なぜそうなるのか、どうしたらうまくやれるのかについて、もっと好奇心を持つべきだ。

本書は子供時代を再訪し、自分の潜在的な才能、可能性の再確認を促す。付録として子供力を試す「CQ(Children Quotient)」テストを収録する。

■2005/06/06, 日経ビジネス, 81ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年5月9日~5月30日

腐蝕の王国〈上〉
4093797323江上 剛

小学館 2005-04
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おすすめ平均 star
star腐蝕の大国を読んで

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腐蝕の王国〈下〉
4093797331江上 剛

小学館 2005-04
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おすすめ平均 star
starメガバンクを舞台とした壮絶な人間模様

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■著者に聞く 江上剛氏[作家] カリスマ経営の検証

バブル発生からその清算までの約20年間に及ぶ日本経済を描いた“経済小説”。剛腕な上司と忠実な部下が、1人の女を通して密接につながり、銀行の経営を握っていく。上下2巻の大作だが、展開がスリリングで一気に読み通せる。

――主人公が勤める銀行は架空だと思いますが、彼の強烈な上司である藤山は、どうしても三井住友銀行の西川善文頭取にイメージが重なります。

この小説は実際に起きたことをできるだけ忠実に再現しようという「経済小説」ではないので、主人公や主人公の上司に明確なモデルはいません。しかし、バブル経済の発生から崩壊、現在に至るまでの銀行を中心とした様々な事件を扱っている以上、実在の人物と重なる部分は多くなりました。

特に、小説のテーマの1つに設定した「日本で最後のカリスマ経営者」を、主人公の上司、藤山に演じさせたため、そのモデルが三井住友の西川さんだと思われるのは自然だと思います。日本がバブル経済に突入する起点となったのが、住友銀行による平和相互銀行の吸収合併でした。それ以来、激しい出店、貸し付け競争に銀行は没頭し、バブル経済を膨らませました。

西川さんはその中心にいて、また後始末を一手に引き受けてきた人です。今度、退任されることになりましたが、時折、言葉に詰まった退任会見を見ていて、平和相互を吸収合併して以来ずっと引きずってきた不良債権の処理にようやく片がついたんだと思いました。西川さんの退任によってカリスマ経営は終わり、小説の中で主人公として描いたテクノクラートが銀行の経営を担う新しい時代が到来することは間違いないと思います。

――この本で最も訴えたかったテーマは何ですか。

最後のカリスマ経営者を描く一方で、正義感を持って仕事に打ち込みながら、ワンマン経営の下で浮かばれなかった人たちを描こうというのが第1の狙いでした。本の最初のページに引用した陸軍統帥綱領には次のような一文があります。「幕僚は決して指揮官に非ず。これを混同するに至らば、軍は最早や無政府状態に陥るべし」。本物のリーダーと言えない人がリーダーになった組織で起きる不合理と混乱。そして、そこに身を置いた人たちの悲哀を描きたかったのです。

しかし、それだけでは非常に暗い小説になってしまうので、美しい女性との究極のプラトニックラブを展開させました。最近の日本では目を覆いたくなるような性犯罪が増えています。そういう行為に対する反発もあって、男女の肉体関係ではなく、美しい心と心のつながりを描きたかったのです。少し格好よすぎるかもしれませんが、「愛と歴史の物語」を目指して執筆しました。

――二足のわらじを履くこともできるのに、エリート銀行員の立場を捨てて作家に専念されたのはなぜですか。

銀行の仕事に対して情熱が冷めてきたことが最大の理由でしょうか。銀行は、4兆~5兆円もの公的資金をもらっていながら、大きな顔をしている変な業界ですよね。私たち庶民の税金を使っておいて、再生したら5億円以上の資産がある人を対象にしたプライベートバンクを目指すなどと平気で言う銀行がある。庶民は相手にせず金持ちのための銀行を目指すとは何事かと思いませんか。

しかも、最近の銀行を見ていると、ほとんど審査しないで不動産融資に走っている姿など、バブルの時そっくりになってきています。中身が何も変わっていない銀行を外から冷めた目で見てみようとも思ったのです。

江上剛(えがみ・ごう)氏
1954年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)入社、2002年、『非情銀行』で作家デビュー。翌年銀行を退社。

■2005/05/30, 日経ビジネス, 83ページ

営業の神様が教える25の習慣―顧客心理のつかみ方からトラブルの解決法まで
4594049052ステファン・シフマン

扶桑社 2005-03
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販売競争が激化する一方の今日、営業マンの戦略や習慣も変わらなければならない。IBM、AT&T、フォード・モーターなど米国を代表する企業で営業教育を手がけてきた著者は、変化の時代に適応して成功を収めたスター営業マンたちが実践するという「25の習慣」を分かりやすくまとめた。著者が身につけよと強調するのは「日々の活動でプロの営業マンが取るべき立派な態度」である。市場や顧客の分析法ではなく、営業マン一人ひとりの小さな習慣の積み重ねが、大きな利益を生むのだと説く。

例えば午前9時に行くと言ったら、9時2分でも8時55分でもダメで、必ず9時に到着する。その姿勢が自らの言葉に100%責任を持ち顧客の信頼を勝ち取る基本だが、果たして日々実践できているかと問う。また、「営業マンは、結局のところ、コンサルタントでなければならない」と言う。今すぐ物を売るという立場を離れて顧客の抱える問題に適切な解決策を提案できるようになってこそ一流であると語る。さらに「他の社員より早めに出社せよ」「業界誌には必ず目を通せ」「ユーモアを忘れるな」などといった、具体的で誰にでも実践可能な習慣の大切さを説く。根底にあるのは誠意や和の精神であり、日本人にも受け入れやすい。

■2005/05/30, 日経ビジネス, 81ページ

ファンサイト・マーケティング
4478530378日野 佳恵子

ダイヤモンド社 2005-04-15
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おすすめ平均 star
star頷きと共感の連続でした。
star企業サイドから見たコミュニティサイト
star企業のPRやWEB担当にはおすすめ。

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著者は近年のインターネット事業において注目される経営者の1人である。タウン誌編集長などを経て、1990年に広島市で女性の企画集団「ハー・ストーリィ」を設立。インターネットの特性を有効に活用して10万人を超える主婦のネットワークを構築し、多くの企業でWebビジネスをサポートしたり、マーケティングを請け負うなどして事業を拡大させてきた。本書のタイトル『ファンサイト・マーケティング』は著者による造語だ。「個」としての顧客の声や動向をダイレクトかつ迅速につかみ、ファンを育てるWebサイトとは何かについて、自社のサイトや成功企業の事例を挙げながら解説する。

強調点の1つは「Webサイトは広告メディアではない」ということだ。Webサイトを宣伝のための新しいメディアだと考えると失敗すると注意を促す。Webサイトは顧客が自らの意思で訪れる「場」であり、企業が顧客との絆を強める場、同時に共通の価値観を持った顧客同士が出会う場であると指摘する。また、「ファンサイト」を構築し成功に導く秘訣は顧客のクチコミにあると言い、ダスキン、ベネッセコーポレーション、無印良品などの成功事例を示しながらクチコミパワーの有効性と活用法を示す。

■2005/05/30, 日経ビジネス, 81ページ

ビジネスを育てる
4901784641ポール・ホーケン 阪本 啓一

バジリコ 2005-04-02
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star自分のビジネスを構築する方法を物語で楽しめる
starビジネスとは実行である
star鳥肌が5分間消えなかった

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本書はスモールビジネスを立ち上げようと一念発起した人のための指南書である。しかし、会社設立のマニュアル本ではない。会社を作るということが創業者の人生においてどのような意味を持つのかを問い、正しい行いを積み重ねてこそビジネスはおのずと育つという道理を、作家として、事業家として大きな成功を収めた著者が語る。米国で雇用が不安定になり始めた1987年に上梓されて以来、全世界で約200万部が売れたロングセラーである。

メディアに頻繁に登場する「著名経営者による誰も知らないとっておきの成功の秘密」など存在しないと言う。世界的な大企業の経営者でさえ、常に自らの経営に不安を抱えているのが現実だと指摘。また、「カネさえあればうまくいく」などという考え方は論外で、不足しているのは資本ではなく起業家の想像力だと一喝する。他者の成功例や事業規模や儲けの算段に心を奪われず、まずは自分自身の特性と社会が求める新たなビジネスとは何かについて冷静に考え抜けと助言する。

著者が最も注意を促すのが「原資の問題」だ。友人からカネを借りたり、不相応な資金を調達して翻弄され傷つく事例が米国でも後を絶たないと言う。カネの考え方を根本的に改めることが成功への第一歩だと説く。

■2005/05/30, 日経ビジネス, 81ページ

再生巨流
4104753017楡 周平

新潮社 2005-04-21
売り上げランキング : 6,679

おすすめ平均 star
star営業マンの執念
star新しい経済小説
star元気の出るビジネス書

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■著者に聞く 楡周平氏[作家] 家電店は再生できる

巨大運輸企業を舞台に、流通改革に取り組む男たちを描いた経済小説。苦戦する家電店の再生を、実現可能なビジネスモデルとして物語に著した。ネット社会はアナログ企業こそチャンスと説く。

――通販の配送に街中の家電店を活用するというアイデアは新鮮でした。

大手の家電量販店が次々と出店している中で、規模で劣る地域の家電店の経営は相当厳しい状況に置かれているのはご存じの通りです。高齢化も進み事業継続を断念する店も増えています。しかし、家電店には地域の顧客情報を熟知しているという強みがあります。家電製品を配送するために、自動車なども既に用意されている。ならば家電に限らず、文具や生活雑貨など通販で買える製品の配送も、家電店に任せたら面白いビジネスが展開できるのではないかと考えました。

問題は何をどんな価格で配送するかですが、アスクルに代表される文具通販のように、カタログを配って利用者が好きなものを選べるようにすれば、多種多様な商品を供給できるし、一括仕入れによって商品の価格も下げられます。トイレットペーパーのようにかさばるものやミネラルウオーターなど重たい商品は、自宅まで届けてもらいたい。そのようなニーズは高齢者だけでなく、小さな子供を抱える家庭などでも高いと思います。私が考えたこうしたアイデアを基に、主人公たちが流通改革に取り組む姿を描いたのが本書です。

――実際にあり得そうな内容ですね。

家電店の数や市場規模といったデータは実際に取材をして得られた現実の数値を利用しましたし、私は本気で実現可能だろうと思っています。この本を発表してから、企業から多くのコンタクトがありました。中には、「事業として検討したい」という申し入れもありました。

実は、作家になる前に米国系企業で働いていて、そこで日本で新しい物流システムを構築するプロジェクトを任されていました。当時、日本の物流業界を徹底的に調べたこともあって、極めて現実的なビジネスモデルを示せたと思っています。新事業を立ち上げるための投資も妥当な金額に抑えてあります。小説という形を取っていますが、この本は僕の企画書と言えます。

個人的には、本作で示したビジネスモデルを実際に自分の手で実現させたいと思っています。臨時で構わないので、どこかの会社が雇ってくれないかと期待しています。その間、作家業はお休みしなければなりませんが(笑)。

――物流企業はもっと潜在力を生かすべきと考えられていますね。

ネットが普及したことで、楽天やライブドアのようなIT(情報技術)企業がもてはやされていますが、ネット社会ではアナログな物流企業こそチャンスが多いと感じています。

例えば佐川急便やヤマト運輸は、既に全国規模の物流ネットワークを整備しています。IT企業もネットワークを持っていますが、それはあくまでも電子的な情報のやり取りであって、実際に物を運ぶためには既存の物流業者に依存せざるを得ない。今は物流業者が荷物をもらう立場にありますが、本来は佐川やヤマトがイニシアティブを取れるはずです。

この本では、既存の宅配ネットワークに文具通販の仕組みや家電店の機能をうまく組み合わせることで、日本の流通を変革できることを示したつもりです。発想を少し軟らかくすれば、新しいビジネスを創出できることに気づいてほしいと思います。その意味で、物流業界だけでなく小売りやメーカーなどの企業人にも、ぜひ読んでもらいたいですね。

楡周平(にれ・しゅうへい)氏
1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年に書いた『Cの福音』(宝島社)がベストセラーとなり作家業に専念。『クーデター』『青狼記』など著書多数。

■2005/05/23, 日経ビジネス, 69ページ

ダメな会社ほど社員をコキ使う
419861993X宋 文洲

徳間書店 2005-03-20
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おすすめ平均 star
star身近にまだ有る消え行く会社!
star多くの主張に頷ける
star本来この本を読むべき人が

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非製造部門の効率改善を目的にソフト開発、コンサルティング事業を手がけるソフトブレーンの会長である著者が、日本企業に潜む無駄を指摘する。

営業現場にノルマ制や成果主義を導入する企業は多い。だが、結果ばかりに重点を置く経営を続けると、営業マンが買う気のない顧客にしつこく営業したり、成果や手柄を得るために苦手なことにも無理に手を伸ばすことになり、無駄が生じる。マネジャーは結果ばかりにこだわるのではなく、営業マンと一緒に営業プロセスの段階にある問題点をチェックし、解決策を議論することが重要。そのためには、営業プロセスを正確に記録し、社内で共有する仕組みを作る必要があると説く。

「いいモノを作ろう」というこだわりの強い製造現場では、商品の高性能化、高品質化を目指しがち。だが、本書はそうした商品は必ずしも消費者が求めるモノとは合致しないと指摘する。モノ作りでは満点や完璧を追い求めるよりも、合格点を決めてそれを追求することが重要。そのためには、顧客が何に価値を置いているかを理解することを最重視すべきと解説する。

古い発想の経営者が、科学性、客観性、本質論を無視したまま企業改革を行っても、社員は疲弊するばかりで一向に成果は出ないと主張している。

■2005/05/23, 日経ビジネス, 67ページ

人事の日本史―エコノミスト
4620317209遠山 美都男 関 幸彦 山本 博文

毎日新聞社 2005-03
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古代の聖徳太子から江戸時代の大老・井伊直弼まで、人事を巡るエピソードを紹介する。「エコノミスト」での連載を単行本化した。

本書は日本的人事の源流が、律令制システムにあると分析する。「官位」という肩書を重視する点、官位の間や地方と中央の間に厚い壁があり、優秀な人材を大抜擢しにくい点などは、現代の日本の人事にも影響を残していると指摘する。

その特徴を逆に利用したのが源頼朝。優秀な同志と家来を獲得するため、当時、中央の人事システムから外れ、無位無官だった東国武士に目をつけ、一人ひとりに「お前だけが頼りだ」と説得して味方に引き入れた。誇り高い武士の心をつかんだ頼朝は、平氏打倒に成功し、鎌倉幕府を開く。

江戸時代、老中の松平定信はそれまで家格と賄賂で決まっていた幕府人事に能力主義を導入。抜擢人事を断行し、成果を上げた。役に命じられる者は、前日、老中から奉書が届く。昇進を期待する者は気もそぞろだったという。定期異動を前にした現代のビジネスマンと変わらないと指摘している。

歴史上、重要な意味を持つ人事はどう決まったのか、古人は人事をどう考え、どう行動したかなどを知ることができ、興味深い。

■2005/05/23, 日経ビジネス, 67ページ

賭けた儲けた生きた―紅花大尽からアラビア太郎まで
4309906265鍋島 高明

五台山書房 2005-04
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リスクを背負いながら事業や投資に賭け、巨富を築いた30人の波瀾万丈の人生を紹介する。江戸時代から現代に至るまで活躍した多様な相場師・実業家が登場する。

山形特産の紅花を商い、巨利を得た鈴木清風。その羽振りの良さを嫉妬した江戸の紅花問屋が「不買同盟」を結ぶと、「せっかくの荷物を国に持ち帰るのも商人の名折れ」と、紅花の荷物をそっくり焼却してしまった。その日のうちに、紅花相場は急騰。頃合いを見計らって、清風は大量の紅花を放出し、数日間で3万両という大金を儲けた。先に焼却したのは紅花に見せかけた古綿花だったという。清風はその金を使って吉原で豪遊し、「紅花大尽」の異名を取った。

幕末、女貿易商として活躍したのが大浦お慶。ある時、イギリス商人から日本茶を大量に受注し、九州中の茶を買い占めた。こうして築いた巨額の資産は坂本龍馬ら幕末志士の資金援助に充てた。晩年は保証人となったのがきっかけで借金地獄に陥るが、お慶自身は「不注意のために残念なことになってしまった」とあっけらかんとしていたという。

歴史に名を残す相場師たちの度胸、たくましさ、スケールの大きさが非常に印象に残る。

■2005/05/23, 日経ビジネス, 67ページ

入管戦記―「在日」差別、「日系人」問題、外国人犯罪と、日本の近未来
4062128527坂中 英徳

講談社 2005-03
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おすすめ平均 star
star「小さくて美しい日本」を目指す著者の退官記念
star入管政策の第一人者の偉大な業績と、今後の課題

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■著者に聞く 坂中英徳氏[前・東京入国管理局長] 移民政策の議論急げ

経済界を中心に人口減による労働力不足を外国人で補う「開国論」が盛んに主張されている。著者は、理念なき拡大に警鐘を鳴らし、移民政策の国民的な合意が必要と指摘。「外国人との共生に、残る半生を賭けたい」という。

――1人の入国管理官として、「入管」のことをもっと国民に理解してほしい。それが本書を執筆した動機だそうですね。

入管(入国管理局)といっても、名前くらいしか知らない人が大半ですからね。日本が人口減少社会を迎えるに当たり、外国人の移民政策は、国の将来を間違いなく左右します。入管の仕事ぶりを通じて、1人でも多くの国民に、この問題の重要性を認識してもらいたかったのです。

日本に在留している外国人は2003年で192万人に上ります。特別永住資格を持つ在日朝鮮・韓国人が47万人いるので、残る145万人が新たに入国した外国人ということになります。

日本は在留資格を厳しく審査し、外国人比率を人口の約1.5%に抑えています。先進国の中でも最低水準です。建前上は、特有の才能を有する外国人を優先して入国させているのですが、実態はまるで違います。

愛知県豊田市に、全住民の過半数に当たる約3500人の日系ブラジル人が住む保見団地というところがあります。多くはトヨタ自動車グループや、下請け、孫請け企業で働いていますが、周辺住民とのトラブルや、少年犯罪が多発することで有名でした。

保見団地の日系人は、トヨタなどに労働者を斡旋する請負会社に期間限定で雇用されます。賃金は安く、年金や健康保険などの福利厚生も、十分に受けられていないのが実情です。

企業がコストカットに走ると、彼らが真っ先にしわ寄せを食らう。親は失業して生活保護を受け、子供たちは学校でひどい差別を受ける。犯罪に手を染めたり、中学でドロップアウトする子供たちも多いのです。この地域では、高校に進む子供たちは、わずか数人に過ぎません。外国人を人手不足を補う低賃金労働者としてしか見ない企業の姿勢が、問題の根底にあります。

――では、これまでの「労働鎖国」を改めて、外国人にもっと門戸を開けという主張には反対なのですか。

そんなことはありません。2050年に人口が3000万人も減るという予測がある中で、現状より受け入れを増やすべきなのは間違いありません。必要なのは、移民を1000万人単位で受け入れる「大きな日本」を目指すのか、移民を制限して人口減少とともに縮小する経済を甘受する「小さな日本」を選ぶのか、という国民的な選択でしょう。十分な議論もないまま奥田さん(碩・トヨタ会長)率いる日本経済団体連合会などが、外国人受け入れのさらなる拡大だけを主張する。これは問題だろうと言っているのです。

3月で法務省を退職し、自由な身になったので、日本人と外国人が共生できる社会を考えるNPO(非営利組織)を発足させます。後輩官僚や大学教授、ジャーナリストらの有志とともに、政府に政策提言をしていくつもりです。

――外国人との共生といっても、実現は容易ではないですね。

中国、韓国など隣国との関係すら、ぎくしゃくしているのが実情ですからね。具体策はこれから議論しますが、「移民庁」のような組織の新設を提案するつもりです。外国人が安心して仕事や住む場所を見つけたり、日本に長くとどまってもらうには、外国人政策を一貫して担う役所が、どうしても必要になります。

「日本に行ってみたい」「良い国だから長くとどまりたい」といった、日本のファンを内外に増やすことが、共生に向けた第一歩になるでしょう。

坂中  英徳(さかなか・ひでのり)氏
1945年生まれ。慶応義塾大学大学院修了後、法務省入省。一貫して入国管理政策に携わり、3月で退職。移民問題に関するNPOを発足予定。

■2005/05/16, 日経ビジネス, 75ページ

日本のお金持ち研究
4532351359橘木 俊詔 森 剛志

日本経済新聞社 2005-03
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おすすめ平均
starお金持ちの在り様
starお金持ちへの道
star実用書にあらず。

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本書はお金持ちになるためのハウツー本ではない。「日本で漠然とお金持ちと呼ばれている人間とは何者か」という疑問に、経済学者らが学術的視点から答えたものだ。まず著者らは国税庁が発行している「全国高額納税者名簿(2001年度版)」に記された年間納税額3000万円以上の層を「日本のお金持ち」と定義した。所得にすればおよそ1億円以上に当たり約9000人存在する。彼らへのアンケート結果などからお金持ちの定義を導き出していく。

職種で見ると最も多いのは企業家、次いで医師だ。この2つが「お金持ち」の45%を占める。いわゆるサラリーマン社長や勤務医ではなく、オーナー企業家や開業医である場合がほとんどだと言う。日本ではこうした「お金持ち」と、「上流階級」と呼ばれる人々が必ずしも一致していないとも言う。パワーエリートと呼ばれる政治家や官僚の中には、手にした高い学歴や社会的地位に所得が伴わない「地位の非一貫性」が見られると解説。結果として大企業、特にオーナー企業のトップに所得・権力・支配力のすべてを兼ね備えた上流階級が多いと論じる。企業家は自家用車にトヨタを、医師ならメルセデス・ベンツを選ぶ傾向が強いなど、日本のお金持ちならではの嗜好を読み解いていく。

■2005/05/16, 日経ビジネス, 73ページ

全てがゼロ、だから成功する―地図王への道
4062121913黒田 敏夫

講談社 2005-04-12
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著者は昭文社を世界屈指の地図会社に育て上げた創業者(現・最高顧問)である。50年前、まだ地図というものが一般商品としては認知されていなかった時代にあって、著者は直感的にその可能性を見いだしたと言う。その後は独自の方法論と商才を武器に事業を成功に導いていった。本書は、知られざる優良企業の実像を紹介する書であり、裸一貫で新たなビジネスに挑んだ男の成功秘話でもある。また、著者ならではのセールステクニックや経営哲学が随所に顔をのぞかせる。

小さな地図会社に飛び込んで、地図セールスの全国行脚に精を出していた頃、ビジネスには欠かせない直感力が磨かれたと言う。どの町のどの企業がどのような地図を求めているのかを見抜く力とともに、夜行列車を乗り継ぎ自らの足で歩いた町々のオリジナルデータが、頭の中に形成されていったと振り返る。その経験が後に全国地図を製作するエネルギーになったと語る。

経営者たる著者のモットーは「3秒で即決」だ。グルメブームとともに大ヒットシリーズとなった「たべあるき地図」や、セールスレディーのハンドバッグに入る地図として定番化した「ミニミニマップ」も、直感と3秒の即決で生まれたのだと解説。スピード経営がもたらすメリットを強調する。

■2005/05/16, 日経ビジネス, 73ページ

韓国の構造改革
4757121474高安 雄一

NTT出版 2005-04
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著者は経済企画庁に入庁し調査局などを経て、1999~2002年の3年間は在韓国日本国大使館一等書記官を務めた。そこでは主にマクロ経済情勢の調査と分析を担当し、特に韓国政府が1998年に着手した経済の劇的な構造改革に注目した。金大中政権(当時)の下でスタートした構造改革路線は、一昨年に誕生した盧武鉉政権に引き継がれ、今日に至っている。

韓国の構造改革に対する我が国での評判について、著者は次のように述べている。「日本の構造改革のお手本とすべく、一部の成功事例が誇張されて伝わっていたり、失敗が成功と伝わっていたりと、誤解されている部分が多い」。こうした認識に立ち、本書では「金融構造改革」「企業構造改革」「労働構造改革」それぞれについての背景、具体的施策、成果などを詳しく検証。日本の構造改革との比較を交えながら丹念に整理していく。

例えば日本と対比されることが多い銀行の立て直し策については、「日韓で大きな差があったわけではない」と見る。日本では公の介入を恐れて主要銀行が自己資本比率8%を守り抜いたのに対し、韓国ではクリアできない銀行が30行中14行に達してしまった。それにより政府は堂々と銀行の構造調整を主導できたのだと解説する。

■2005/05/16, 日経ビジネス, 73ページ

渋谷ではたらく社長の告白
4902843056藤田 晋

アメーバブックス 2005-03-31
売り上げランキング : 49

おすすめ平均
star起業をするということ -想像以上にリアル
starなんで
starいい!文句なくいい!

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インターネット広告代理店・サイバーエージェントの社長が自ら綴った半生記。起業までの道のりや、その後の苦悩を率直に振り返る。平凡なサラリーマン家庭に育った著者は、「1度しかない人生を悔いなく送りたい」と起業家を志すようになる。大学卒業後に入社したインテリジェンスでは休みも取らず猛烈に働き、実績を上げた。その働きぶりは宇野康秀社長(現USEN社長)の目に留まり、インテリジェンスの出資を得てサイバーエージェントを設立する。インターネットの拡大に伴って業績を伸ばし、2000年には26歳の若さで同社を東証マザーズ上場にさせた。

だが、間もなくネットバブルの崩壊に見舞われる。株価が低迷し、株主からの批判が社長に集中。ライバル企業からは買収話がいくつも持ちかけられた。急拡大したツケで、社内も混乱を極めた。著者自ら、株価対策に奔走するが、一向に効果が出ない。社内外から激しい突き上げを受け、絶望の淵に立たされた著者は、一時、USENの身売りを決意したと告白する。

つき合いのある堀江貴文ライブドア社長や三木谷浩史・楽天社長ら話題の経営者のエピソードも盛り込み、ネット業界の一面がうかがえる興味深い内容となっている。

■2005/05/09, 日経ビジネス, 87ページ

ぼくと会社と“にっぽん再生”―変質する企業社会戸惑う現場
453231206X日経産業新聞

日本経済新聞社 2005-03
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おすすめ平均
star日本経済V字回復の裏に請負会社の存在?

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デジタル製品の売れ行きが拡大するなど、日本の製造業の復活、再生が指摘されることが多い。だが、そうした回復ムードと異なり、企業の工場に高揚感は乏しい。本書は日本企業が正社員を大幅に減らし、社外戦力を活用し始めた実態を紹介。現場で働く人々の生の声から、経済復活の陰で変質した企業や地域の姿を明らかにする。日経産業新聞での連載を大幅に加筆した。

1990年代、高賃金の正社員では国際競争を戦えないと判断した日本企業は「業務請負」を急増させた。請負会社に登録するのは、正社員を望みつつ、かなわないフリーターや日系人など。彼らはいつ解雇されるか分からない不安定な環境下、低賃金で激務をこなしている。

請負労働者を多数抱える中では、製造現場での技能伝承や安全確保は難しい。雇用が安定せず、生活基盤を固められない若者の増加は社会不安の一因にもなる。一方で、請負労働者として働く外国人就労者の急増が、地域社会に大きな負担を強いるケースも出てきている。多くの問題を抱える中で、日本の工場は、ギリギリの戦いを余儀なくされている。「日本のモノ作りを死守した」と胸を張る経営者は多いが、本書は果たしてそう言い切れるのかと疑問を投げかけている。

■2005/05/09, 日経ビジネス, 87ページ

競争に勝つ大学―科学技術システムの再構築に向けて
4492222588沢 昭裕 寺沢 達也 井上 悟志

東洋経済新報社 2005-02
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国際経営開発研究所(IMD)が発表した2002年の『国際競争力年鑑』で、日本の大学教育は最下位の49位だった。2004年4月から国立大学が法人化されるなど、日本の大学教育システムは大きな転換点を迎えている。本書はこの機に日本の大学はレベルアップを図るべきとして、その方策を探る。

まず、基礎研究から応用研究まで、世界の先端を行く米国の大学システムを分析する。その最大の特徴は徹底した「競争」。米国では研究資金の確保、人材獲得などあらゆる面で大学間、また研究者間で厳しい競争が繰り広げられている。競争に勝つため、学長らはリーダーシップを発揮しながら大学の経営・教育・研究戦略を策定し断行する。内部では理事会がガバナンス機能を担い、外部からは様々な尺度で大学が評価される。こうした環境が大学の研究・教育レベルを上げている。

本書は米国で研究する日本人研究者へのインタビューを基に、日本の大学が米国とは大きく異なるシステムで運営されていることを指摘。「競争的研究資金の大幅拡大」「競争力のある人材を競争的に確保できる環境の整備」「学長・学部長が多層的にリーダーシップを発揮できる設計」など、日本の大学が国際的な競争力を獲得するために必要な9つの提言を示す。 この画面の先頭へ

■2005/05/09, 日経ビジネス, 87ページ

メイン > 日経ビジネス書評『新刊の森』(2005年) 2005年4月4日~4月25日

けなす技術
4797330775山本 一郎

ソフトバンククリエイティブ 2005-03-23
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おすすめ平均 star
starけなされる技術
star流行のブログの書き方というよりは
star部分的に価値あり

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■著者に聞く 山本一郎氏 イレギュラーズアンドパートナーズ社長 僕はまず、けなします

個人サイト“ブログ”の流行からネット社会の行方まで、ネットの今を描く。ネット界では「切込隊長」として有名な著者の体験談を幅広く展開。ネットによる社会の変革を的確、かつ冷静に説く。

――インターネットで「俺様キングダム」というブログ(日記風の簡易型ホームページ)が大人気ですね。

何か知らない間に読者が増えました。多い時で1日14万人からのアクセスがあります。ブログは、自分の情報整理ツールとして使い始めたのがきっかけです。以前、匿名掲示板「2ちゃんねる」の運営に参加していた時に、匿名であるが故の歯がゆさみたいなものを感じていて、書き手の顔が見えるブログが出てきた時に、ちょっと面白いなと思って、試してみたというのもあります。

私は、いわゆる個人投資家というか、米国株、日本株をメーンにした投資業務を行っています。投資対象がIT(情報技術)やインターネットの領域なので、そのための技術調査や業界分析を兼ねたコンサルティングのような仕事を企業から請け負うこともあります。加えて、協業先を探している外資系企業を三菱商事さんやNTTさんにご紹介して、一緒に出資させていただくといったことも多いですね。

もともとコンテンツに興味があり、吉本興業のインターネット事業やゲームソフト会社の企画など、エンターテインメント関連の仕事をお手伝いすることもあります。

――常に幅広く情報収集・整理するためのツールとしてブログを始めたと。

そうです。今何が起きていて、何が流行るかをきっちり見ていないといけないですから。インターネットというものをコミュニケーションツールとしか捉えないと、もったいないんですよね。例えばニュースを読んだ時に何を感じたかを書き連ねることによって、何に関心があり、自分がどう変わってきたのかを見比べることができる。

それだけだと日記と変わりませんが、ブログはインターネットで公開されているので、同じ話題のブログからリンクされたりコメントがついたりして、情報の集まり方が段違いに多くなるんですね。他人の考えが交ざって、物事が立体的に見えてきます。

その際、「けなす」という対人コミュニケーションにおける持論を、ブログでも実践しています。私は、まずけなします。真剣に考えている人ほど、問題点を指摘してくれる人を重宝がるはずなんですよ。そこで感情的になるような人とは、けなさなくとも、いずれ亀裂が生じる。その人の能力の高さを判断するのに役に立つのです。

あと、けなすって最大のリスク回避手段なんですよ。けなす内容は問題の芽でもある。いずれ火を噴くんだから小さいうちに指摘して、改善してからおつき合いした方が建設的ですよね。本書は短編集みたいなもので、これも1つの話題。書店さんの受けが良かったのでタイトルにしたようです。

――ブログ以外にもネット界の様々な動向に触れていますが、口コミマーケティングの話が面白かった。

個人的な趣味として、ネットでいかに人を煽れるかというのがあって、煽りの波及の仕方を検証していました。その話にメーカーさんやテレビ局さんが興味を持ち、じゃあやりますかと。

例えば、昨年の年末商戦の時に、某有名メーカーの依頼を受けて、バイトにそのメーカーのデジカメの話題を、掲示板やブログなんかにばんばん書き込ませたんですよ。あえて人気薄の機種を選んだのですが、3カ月も売り上げが持続する効果を得ました。

そういうノウハウなども多少書いていますので、マーケティング担当者さんも、面白く読めると思います。

山本 一郎(やまもと・いちろう)氏
1973年生まれ。96年慶応義塾大学法学部卒、2001年、IT関連のコンサルティングを手がけるイレギュラーズアンドパートナーズを設立。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 99ページ

ジョイ・オブ・ワーク~組織再生のマネジメント
吉田 耕作

日経BP社 2005-04-07
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ジョイ・オブ・ワーク

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デミング博士は、我が国では“品質管理の開祖”として名高い。一方米国では、勢いを失った米国企業が1990年代に復活を遂げる礎となった実践的経営哲学の提唱者として、今日も高く評価されていると著者は説く。著者は博士の数少ない直弟子の1人であり、競争力が低下しつつある今日の日本企業には、デミング理論を基盤とした新たな経営理論が必要だと論じる。

かつて日本の製造業を世界のトップに押し上げるのに貢献した「QC(品質管理)サークル活動」も、今日ではほとんど機能していないと著者は見る。従業員は「やらされ感」を抱き、勤労意欲は下がるばかりだと言う。それに取って代わる実践的な施策が「CDGM(クリエーティブ・ダイナミック・グループ・メソッド」である。

キーワードは働く喜びを実現せよという「Joy of Work」。デミング博士が構築した「TQM(総合的品質管理)理論」をベースに、従業員の欠点ではなく良い点に着目せよ、成長を続けるグループを作れ、トップダウンよりもボトムアップを重視せよ、順位をつけず敗者を作るななどと提唱。QCサークルとの根本的な違いや優位性を具体的に示していく。CDGM導入によって成果を上げた企業の実例も詳しく報告されている。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

品質求道 食産業の現場から
竹田 正興

東洋経済新報社 2005-01-21
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題の『品質求道』は、著者が勤めていた日本レストランエンタプライズ(NRE、旧日本食堂)が掲げた経営理念である。著者は1963年に当時の日本国有鉄道に入社、要職を経て、87年に日本食堂に入社した。その後96年にはNREの社長に就任する。一昨年に同社を退職した後も、一貫して“日本人の食の安全性”に思いを巡らし、様々な提言を行ってきた。

本書は、著者が実践してきた品質追求の足跡を振り返りつつ、今日の食の危険性や起こり得る食糧危機などを論じる一方、消費者の無防備さに対して警鐘を鳴らすものだ。安全な食を確保するには農業の立て直しはもちろん、国民一人ひとりの意識の改革が必要であることを痛感する1冊である。

著者は早くから食産業の危険性を見抜き、有機野菜栽培の実験農場の設立などに取り組んできた。2001年には世界初となる有機野菜使用の冷凍弁当を開発して商品化にも成功している。消費者には「自分で食べるものは自分で手当てしなければならないと覚悟する時代がきた」と呼びかける。消費者は“安く安全な食品”を求めるだけではなく、自らの努力で生産者とつながりを持てと言う。そうした取り組みには相応のコストが生じる。そうした痛みの必要性を認識せよと諭す。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

新たなる「挑戦」―夢をカタチにする時
渡邉 美樹

ソフトバンクパブリッシング 2005-03-26
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おすすめ平均
できないことは何もない。
もうちょっと「大盛り」にしてください。
こっちの方がいいや

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ワタミ(旧ワタミフードサービス)グループを率いる著者が、新たな企業戦略とともに、「ビジネスとは」「社会とは」いかにあるべきかを論じた書。居酒屋と定食屋の中間業態として成功した「和民」は、現在全国に約350店舗を展開、中国・香港へも出店している。2000年には東証1部上場を果たすなど拡大を続ける一方で、著者のビジネス的な視線は教育、農業、環境、介護などの分野にも向けられている。

学校経営は、グループ事業とは別のもう1つの夢だと著者は言う。しかし、一昨年に学校法人郁文館学園の理事長に就任して行った財務改革や提言によって、教育界においても経営者たる著者の手腕が嘱望されている事実を証明してみせた。 農業ではどうか。ワタミグループは2002年から有機農産物の生産に取り組んでいる。毎日約7万人の顧客の食の安全を守りたいという思いからだ。15年後には自社農場を拡大し、農業関連の売り上げだけで1000億円を目指すと熱く語る。

また、一昨年度環境対策に4億円を費やしたと解説。先進的な試みを通じて得たノウハウを事業化して、やはり15年後には売上高1000億円を目指すと言う。こうした試みは、若い世代に失われた働く意欲を喚起する目的もあるのだとも語る。

■2005/04/25, 日経ビジネス, 97ページ

子どもが減って何が悪いか!
4480062114赤川 学

筑摩書房 2004-12
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おすすめ平均 star
starタイトルは小谷野敦風。内容は学術書。
star啓発的で痛快です
star科学的な正論を求めて

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■著者に聞く 赤川学氏[信州大学人文学部助教授] 少子化対策はいらない

人口減少時代が近づき、政府や学者は少子化対策を相次ぎ打ち出している。これに対し、著者はデータの使い方に問題があるとかみついた。少子化対策そのものが不要だと言い切る。

――本の前半では、統計の恣意的な利用や結論の導き方に注文をつけています。

表題と中身が合っていないとよく言われます。この本は学生向けに書きました。リサーチリテラシーと言いますが、社会学ではまず、世論調査とか社会調査にだまされないための教育をします。調査を読み解く能力を磨くわけです。

その素材として、少子化統計を取り上げました。「女性の労働力率が上がると出生率が高まる」という説は本当だろうか、と思ったのがきっかけです。少子化が問題になり始めた1990年頃は、逆に女性が高学歴化して社会進出すると、結婚が遅れて少子化すると言われていました。卒業論文で少子化を研究したいという学生がいたので、資料を集めさせたところ、おかしいことに気づいたのです。

「男女共同参画社会が実現すれば、少子化は防げる」と主張した高名な学者の根拠は、たった13カ国のデータでした。経済開発協力機構(OECD)のデータを30カ国で取り直したら、男女共同参画と少子化にはほとんど関係がないことが分かりました。

最近だと、労働分配率について竹中平蔵経済財政担当相あたりは「高い」と言っているのに、連合は「下がっている」と反対の主張をしています。どちらが正しいのか、社会学の観点からは格好の題材です。

――出生率と男女共同参画に相関があるという主張は、結論ありきだと。

そうです。男女共同参画はそれ自体必要ですが、出生率と結びつけたことに怒りを感じました。もし、男女共同参画を実現できても出生率が上がらなかったらどうするのか。反論する資格がなくなります。官僚は世論を誘導するためにデータをゆがめて使いますが、学者まで同じことをしては学生にウソを教えることになります。

本当に出生率を上げる必要があるなら、私はいいとは思わないが、避妊や中絶を禁止するとか、強制的に結婚させるとか子供を産んだ人にたくさんお金をあげる方が効果はあるはずです。もちろん、費用対効果の問題は見逃せません。出生率を上げるには、莫大なカネがかかるはずです。その意味で、少子化対策は必要ないと思います。

――人口が減るとマイナス成長になる可能性が高まり、今のシステムは行き詰まります。北欧型は解決策に見えますが。

北欧とは消費税率をはじめ国民負担率が全然違います。今、政府が進めている市場の効率性を取り入れた小さな政府路線とは、正反対の議論だと思います。子供を減らすことは「家族計画」などで簡単にできますが、増やすことは戦時中でもそれほどうまくいっていません。少子化で大学をはじめとした子供向けの産業は壊滅的な打撃を受けるでしょうが、子供を産む、産まないの選択が、個別の産業への配慮で左右されてはいけないと思います。

もちろん、スウェーデンやノルウェーがいいという意見はそれでいい。でも、統計的に正しいと言われると、社会学の観点からやめていただきたい、と言いたくなります。

それに、多少出生率が上がっても人口減少は食い止められません。高齢化も進むのに、そもそも2%の経済成長を維持するのが現実的な目標なのかどうか。外国人労働者を受け入れても、年金問題は解決しません。年金問題で公平を達成し、低成長の痛みを分かち合う仕組みを作る方が大事です。もし、子育て支援の効果があるなら、既に増えていてもおかしくない。少なくとも下げ止まっているはずです。

赤川  学(あかがわ・まなぶ)氏
1967年生まれ。99年東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。岡山大学助教授を経て2002年から現職。専攻は社会的文化的性差など。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 79ページ

マッキンゼー ITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する
横浜 信一 萩平 和巳 金平 直人 大隈 健史

ダイヤモンド社 2005-03-04
売り上げランキング : 2,871

おすすめ平均
同シリーズの中では比較的具体的で臨場感がある
IT投資の効果を最大化するためには
CIOやIT部門が生き残るための近未来像

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マッキンゼー・アンド・カンパニーの季刊論文集「マッキンゼー・クォータリー」を再編集した「マッキンゼー・アンソロジー・シリーズ」の5作目。IT(情報技術)を活用して企業の生産性・効率性を高め、収益を拡大する方法を提示する。8つの論文と2つのインタビュー記事を収録する。

1990年代後半のITブームで、日本企業はこぞってIT投資に走ったが、その後も課題が解決されずに残ったケースは多い。IT導入は経営のイノベーションにつながってこそ、成果が出る。米国の小売業、金融機関の事例から、最も効果的に競合と差別化できる生産性向上の「レバー」を探ること、適切な順序とタイミングを見極めることがIT投資の大原則と指摘する。

IT投資の成果に失望したためか、多くの企業がIT支出に大なたを振るっている。不要不急のプロジェクトを凍結することが多いが、それだけでは不十分。過去の投資で複雑に絡み合った情報システムやITプロジェクトを抜本的に見直すことが重要と説く。

ファーストリテイリングの堂前宣夫副社長へのインタビューからは、ビジネスコンセプトや業務改革とITとの関係、CIO(最高情報責任者)が果たすべき役割、ベンダーとのつき合い方などが示される。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 77ページ

羊のリーダーで終わるかライオンリーダーになるか―組織は上に立つ者で決まる
皆木 和義 市川 周

中経出版 2005-02
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おすすめ平均
企業勉強会必修の本
これこそ新しいリーダー像
部門戦略構築に役立つ実践本

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「1頭のライオンに率いられた100匹の羊の群れは、1匹の羊に率いられた100頭のライオンの群れに優る」ということわざがある。しかしながら、こういう組織は先頭のライオンがいなくなると、急に元気がなくなってしまう。本書は、「1頭のライオンが100頭のライオンを率いる集団」こそが最強の組織と考え、ライオンリーダー、つまり最強のリーダーへの道を指南する。

第1部ではライオンリーダーになるための5つの関門を挙げ、それぞれの関門を突破するため必要な合計19の鉄則を列記する。例えば、「戦いに情熱を燃やせるか」という関門では「『敵意』を忘れるな」「自分のベクトルを貫け」「潮時は自分で決めろ」という鉄則を掲げる。

トヨタ自動車やゼネラル・エレクトリックなど多くの企業事例を交えながら、そのほかの「知の渦を巻き起こせるか」「行動の渦に巻き込めるか」「『勝てる場所』に立ち続けられるか」「進化を持続させられるか」という関門と、クリアすべき鉄則を解説する。  第2部では、「ライオン道」を邁進するリーダーとして大橋洋治・全日本空輸会長、熊谷正寿GMO会長兼社長、渡邉美樹ワタミ社長、塚本勲・加賀電子社長の4人を取り上げる。

■2005/04/18, 日経ビジネス, 77ページ

経営者、15歳に仕事を教える
4621074903北城 恪太郎

丸善 2004-12-11
売り上げランキング : 34,108

おすすめ平均 star
star気分のいい本でした
star分かりやすい本です。
star企業こそが変わらないと

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■著者に聞く 北城恪太郎氏[日本IBM会長] このままでは国が滅ぶ

企業はこの10年で大きく変わった。年功序列、終身雇用は崩れて実力主義に。しかし、子供を社会に送り出す学校は偏差値重視の古き価値観のまま。このままでは国が衰退する。そんな危機感が筆を執らせた。

――読者対象は中学生や高校生ですが、日本の教育制度、教師、親たちに警鐘を鳴らしていますね。

1999年に、経済同友会で教育委員会の委員長を担当しました。その時に、企業の経営者が日本の教育にどんな貢献ができるかと考えて現場に伺ったんです。主に公立の中学校で授業に参加したり、講演したりしました。

いろいろなことをやっているうちに気づいたんです。こういう人たちに社会に出てきてほしいという企業経営者からの期待と、こうやって子供たちを育てないと社会に受け入れられないんじゃないかという学校や親の側の意識に、あまりにも大きなギャップがあるんです。

お母さん方と話すと、子供の偏差値を上げて有名な高校や大学に入れ、そこで一生懸命勉強して良い成績を取ると、一生安泰な会社に入れるというイメージなんですね。そういう時代もありました。かつて企業はそういう人材を求めたことがあった。でも、状況は一変しています。

同友会の会員の方々の企業にアンケートを取ると、大学の名前とか成績を重視しているなんていう企業は皆無ですよ。あくまで人物本位です。本人がどういう経験をしてきたのか、ほかの人と違うどんな能力を持っているのか、自分で課題を見つけて挑戦してきたか、新しいアイデアを生む発想力があるか、行動力はあるか、チームワークで仕事ができるか、というところを面接などを通して見るのです。大学名や学校の成績だけでは、激しさを増す国際競争を勝ち抜けないことが分かっているからです。

――根っこには、日本の将来に対する強烈な危機感がありますね。

企業の勝ち負けだけでなく、社会の発展を支えるのは詰まるところ人材です。意欲に満ちた若い人たちが減ってしまったら活力のない社会になってしまいます。仕事柄、いろいろな国の人材育成を見ていますが、米国やアジア、特に中国とかインドの人たちはそれはもう必死に努力していますよ。

日本は教育現場の基準がいまだに偏差値に偏っています。一方で、社会全体が豊かになった結果、無理をしなくても、努力しなくても十分生活していけるという意識がどこかにある。これから先、日本という国が今の生活水準を維持していけるのか心配です。

企業の人材に対する価値観は、既に大きく変わっていることを、学校の先生や親たちに伝えるために、毎年100人を超える経営者が学校を訪れて出張授業をやっています。この本は、より多くの子供たちに「働く」ということを考えてもらうために書きました。

――日本の教育現場は変われますか。

生徒さんはともかく、現場に立って教える先生方が変わる必要があると思います。既に意識を切り替えて頑張っている先生もいますが、変えなくて済んでしまっている先生もたくさんいる。校長先生の中にも、現場の教師や親たちとぎくしゃくしないで数年間の任期を大過なく過ごしたいという方もいらっしゃる。学校の最高責任者である校長自身に予算と人事の権限がないのですからおのずと限界がある。

結局、国が細かく制度設計して末端まで指示する「上から下へ」の制度がうまく機能しなくなっているのです。企業で言えば、経営トップは大きな方針と目標を示して、権限は現場に委譲すべきです。この本は、国と現場の先生にこそ読んでもらいたいですね。

北城恪太郎(きたしろ・かくたろう)氏
1944年生まれ。67年、慶応義塾大学工学部卒、72年、米カリフォルニア大学大学院(バークレー校)修了。2003年から経済同友会代表幹事。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 89ページ

「愚直」論 私はこうして社長になった
樋口 泰行

ダイヤモンド社 2005-03-04
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おすすめ平均
がんばってみたくなります
「ハードワーク」の勧め
一気に読破♪

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本書の副題は「私はこうして社長になった」。45歳の若さで日本ヒューレット・パッカードの代表取締役社長に就任した著者が、自らが歩んだ異色のキャリアを通じて培ってきた仕事の哲学を、率直に綴った書だ。

松下電器産業の技術者であった著者は、学ぶべきものもあったが不満も多かったと松下時代を振り返る。そうした日々にあって、あるプロジェクトで仕事を共にした米国IBMのスタッフたちから、強烈なカルチャーショックを受けたと言う。米国流の価値観やマネジメントに触発された著者は、「MBA(経営学修士)留学」を渇望するようになる。猛勉強を始め、ついには社内制度を使って米ハーバード大学への入学を果たすが、帰国後に松下を去る。その後、外資系経営コンサルティング会社を経て、コンピューター業界でキャリアを積んでいく。

その間に味わった無力感や挫折感を、著者は隠すことなく述べていく。それらの幾つかは、トップに立つ者にふさわしい武勇伝とはほど遠く、むしろ不平不満や弱音に近い。しかし、それらはビジネスパーソンであれば誰もがぶつかる現実の問題である。数々の壁を意志と努力で乗り越えた著者の体験談は、どのような職に就く者にとっても参考になるだろう。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 87ページ

流通・サービス業「人件費革命」―ムリなくムダなく成功させる「勤務シフト」の改善法
木谷 裕 三浦 孝広

日経BP企画 2005-03
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IT(情報技術)の進歩によって、多くの企業が業務体系の効率化やスリム化を実現できたというが、流通・サービス業はどうか。コンサルティング会社を経営する著者らは、「出勤・退勤の時間が異なる多数の従業員を要する企業」は、そうした恩恵を十分に得られていないと指摘する。例えばデパートやコンビニエンスストアなどの流通関連企業、ホテルやコールセンター、その他カウンター業務を必須とするサービス業だ。そうした現場に染みついてしまった非効率をなくすカギは、「勤務シフト表」、すなわち「出勤・業務予定表」にあると言い、大手術を施すことなく「10%の人件費削減」を実現する法を提案する。

流通・サービス業では、総労働量の計算と配分が複雑なため必要人員を策定できず、人件費予算が“どんぶり勘定”になりがちである。著者らは、「業務の整理と理解」「業務に要する時間」「人員の能力」の3つを記録して整理しないから、必要人員計算ができないのだと厳しく指摘。そのためには勤務シフト表を最大限に活用せよと言い、その効果的な作成法と、検証の仕方を具体例とともに示していく。一つひとつの小さな業務工程を「売上げに連動する業務」としない業務に分類して分析する手法が興味深い。

■2005/04/11, 日経ビジネス, 87ページ

インサイト
桶谷 功

ダイヤモンド社 2005-02-17
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おすすめ平均
考え方のヒント。

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インサイトとは本音のこと。消費者の気持ちを揺り動かし、行動を起こさせる「心のホットボタン」と呼ぶべきものだ。本書はインサイトを見つけ出し、マーケティング活動に活用する方法を解説する。

人は論理的に頭で考えて商品を買うのではなく、直感や感情に従って買う。消費者分析を徹底し、客観的なデータ